圧力制御機構を備えたミキシングヘッド
【課題】混合室の内圧を制御し、圧力を徐々に開放することにより爆発的な吐出を防ぎ、発泡倍率を上げる新たな圧力制御機構を備えたミキシングヘッドを提供する。
【解決手段】 発泡剤を混入した2種のプラスチックフォーム薬液A,Bを加圧状態で混合吐出するミキシングヘッド1において、吐出口を有する流出通路2と、該流出通路2に交叉して開口した薬液A,Bの注入口5a,5bを形成した混合室5と、混合室5に対設した調節室6と、該混合室5に収挿され前記開口部から注入口5a,5bの開放位置までの間を往復動するピストン7と、該調節室6に収挿され混合室5内に進退するピストン7より径が小さい絞りピストン8を備え、薬液A,Bが注入口5a,5bから混合室5内へ注入されると同時に絞りピストン8を、混合室5に挿入しその挿入量を調節することにより、混合室5内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにした。
【解決手段】 発泡剤を混入した2種のプラスチックフォーム薬液A,Bを加圧状態で混合吐出するミキシングヘッド1において、吐出口を有する流出通路2と、該流出通路2に交叉して開口した薬液A,Bの注入口5a,5bを形成した混合室5と、混合室5に対設した調節室6と、該混合室5に収挿され前記開口部から注入口5a,5bの開放位置までの間を往復動するピストン7と、該調節室6に収挿され混合室5内に進退するピストン7より径が小さい絞りピストン8を備え、薬液A,Bが注入口5a,5bから混合室5内へ注入されると同時に絞りピストン8を、混合室5に挿入しその挿入量を調節することにより、混合室5内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドに関し、混合室の内圧を制御して圧力を徐々に開放させることにより爆発的な吐出を防ぎ、発泡倍率を上げるようにした圧力制御機構を備えたミキシングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフォーム成形体は、建築分野,梱包輸送分野などにおいて広く用いられ、また、家具や事務用機器、各種機械類の補助材としても用いられている。特に、硬質ポリウレタンフォーム等の発泡成形体は、その優れた断熱性,緩衝性,成形性,接着性等により、住宅や冷蔵倉庫等の断熱材、建築・土木用の材料・構造材、家電製品の枠体等として広く活用されている。
【0003】
従来より、硬質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分又はポリオール成分を原料とし高圧注入発泡装置又はスプレー発泡装置を用いて成形することが広く行われてきた。また、発泡剤としてオゾン層破壊係数(ODP)を有するフロン類(ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕等)は近年全廃され、地球温暖化係数(GWP)の大きい代替フロン類(ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕)もその使用量が規制されていることにより、水とイソシアネート成分の反応により得られる二酸化炭素の他にペンタン等の炭化水素類や液化二酸化炭素を発泡剤として用いることが提案されている。
【0004】
このうち発泡剤としてペンタン等の炭化水素類を用いた発泡成形体と液化二酸化炭素を用いた発泡成形体を比較すると、それらの熱伝導率は発泡ガスの熱伝導率にほぼ比例し、ペンタン等の炭化水素類を用いた場合の発泡ガス、例えばシクロペンタンの熱伝導率は、炭酸ガスより小さく、HFCの熱伝導率と同等かHCFCの熱伝導率に近い。従って、発泡ガスの発泡成形体中におけるセル径(発泡成形体中における気泡を囲む樹脂膜・骨格の内径)、密度が同一の場合、熱伝導率の観点から見ればペンタン等の炭化水素類の方が発泡剤として二酸化炭素よりも優れている。
しかしながら、ペンタン等の炭化水素類を用いる場合は実用性の面で大きな問題を抱えている。即ち、炭化水素は危険な引火性物質であり安全対策上の設備投資が極めて高額となること、現場発泡分野では十分な安全対策が事実上不可能であるという問題があり、炭化水素発泡に移行することができない。
【0005】
一方、水とイソシアネート成分の反応により得られる二酸化炭素のみによる発泡、即ち、完全水発泡は、断熱性能が劣ることによりエネルギー使用量の低減効果が薄れること、接着対象物との接着力の低下、現場発泡での施工性が悪いというような問題があった。
【0006】
そのため、最近では液化二酸化炭素などを用いた発泡成形体についての研究と開発が主に行われている。例えば、特許文献1〜特許文献4などにおいて、発泡剤として亜臨界流体、超臨界流体又は液体状態の二酸化炭素を使用した発泡成形体の発明が提案されている。
【0007】
しかし、発泡剤として二酸化炭素を用いた場合は、上記の通り、炭化水素類やHFC,HCFCを用いた場合と比較して発泡成形体の熱伝導率が大きくなってしまうことから、この問題を解決する必要がある。そのためには、発泡泡成形体中の発泡セル(気泡)の微細化を図ると共に、プラスチックフォーム原料中の二酸化炭素成分の増量を図り、更に成形体中に発泡セルが均等に拡散されるのが望ましい。上述した特許文献1に提案されている発明などにおいてもセル径の微細化を企図しているが、実際には、十分に制御された形でそこまでの微細化ができないのが現状である。
【0008】
そこで、本出願の出願人の一人により、発泡剤として超臨界,亜臨界状態の二酸化炭素を使用したプラスチックフォーム等の発泡成形体の製造方法とそのための装置に関し、特に、発泡成形体中の発泡セルの微細化と、プラスチックフォーム原料中の二酸化炭素成分の増量を図ることにより、熱伝導率が小さく低密度のマイクロセルフォームを製造する方法とそのための製造装置を開発し、既に特許出願している(特願2006−154942)。
【0009】
本出願の出願人の一人による上記特許出願に係る発明は、熱伝導率が小さく低密度のマイクロセルフォームを製造するための方法,装置として極めて優れているが、この目的を達成するためには別の観点からの取り組みも可能であることが分かってきた。即ち、発泡剤として低沸点ガスを含んだ原料成分をミキシングヘッドから混合吐出する際に、従来のヘッド構造では、低沸点ガスの原料成分からの揮発による爆発的な吐出により、発泡倍率が低下しセル径の制御ができないという問題があり、この問題を解決するためにミキシングヘッドを、爆発的な吐出が生じない構造に改良するという観点からの取り組みが可能であることが分かった。なお、このヘッド構造の改良は、発泡剤として超臨界,亜臨界状態の二酸化炭素を使用する場合のほか、その他の低沸点ガスを使用する場合についても適用され得るものである。
以下、ミキシングヘッドについて、従来の技術を含めその特徴について検討する。
【0010】
低沸点ガスや液化炭酸ガスが発泡剤としてポリウレタン発泡に使用されている主な用途は、スラブフォームのように機械撹拌し、連続で吐出するものが主流である(特許文献5,特許文献6,特許文献7等参照)。これら特許文献5〜7には、フォーム材料の混合時に圧力を保持し、発泡時に圧力を徐々に開放する必要があることが開示されている。
【0011】
特許文献5〜7で提案されている発明では、吐出後にヘッドの洗浄が必要となり、断続ショットには向かないという問題があった。
【0012】
断続ショットに向くヘッドとしては、通常のL型ヘッドや機械洗浄方式のヘッド、例えば、特許文献8〜11等で提案されているような二次撹拌と整流を目的にした絞り機構を備えたヘッドがある。
【0013】
しかし、特許文献8〜11等で提案されているヘッドでは、ミキシングチャンバー(混合室)の内圧を制御する構造にはなっていない。これは通常の発泡では、混合室内の圧力が上がると混合室内の乱流が抑えられてしまい、混合が悪くなってしまうためであり、また、無理に内圧を上げようとすると絞り制御以降で圧力が急激に開放されるため飛散を伴った吐出となって発泡倍率が上がらないという問題があるからである。
【0014】
特に、特許文献10で提案されている高圧混合装置では、絞りピストンが混合室内に挿入されるが、混合液の流れの方向を変えると同時に整流することを目的としており、混合室の内圧を保持,制御するための構成にはなっていない。また、低沸点ガスを含んだ混合液の圧力を徐々に大気圧へ戻す目的のものでもない。
【特許文献1】特開2002−47326号公報
【特許文献2】特開2004−107376号公報
【特許文献3】特開2003−82050号公報
【特許文献4】特開2002−283420号公報
【特許文献5】特許第3201415号公報
【特許文献6】特許第3332313号公報
【特許文献7】特許第3607296号公報
【特許文献8】特開昭57−105325号公報
【特許文献9】特開昭54−163952号公報
【特許文献10】特開平1−264807号公報
【特許文献11】特許第2832504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドは、上述したような改良の余地があることに鑑み、ミキシングヘッドにおける混合室の内圧を制御し、圧力を徐々に開放させることにより爆発的な吐出を防ぎ、発泡倍率を上げるようにした新たな圧力制御機構を備えたミキシングヘッドを提供することを、その課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドにおいて、吐出口を有する流出通路と、該流出通路に交叉して開口し内壁に前記薬液の注入口を形成した混合室と、前記流出通路を挟んで前記混合室に対設した調節室と、該混合室に収挿され前記開口部から前記注入口の開放位置までの間を往復動する注入ピストンと、該調節室に収挿され前記混合室内に進退する前記注入ピストンより径が小さい絞りピストンを備え、前記薬液が前記注入口から混合室内へ注入されると同時に前記絞りピストンを、そのストロークを制御しつつ混合室に挿入しその挿入率を調節することにより、前記混合室内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明は、上記構成において、流出通路に交叉する混合室の開口位置から吐出口まで往復動するクリーニングピストンを収挿した構成にすることもできる。
【0018】
また、本発明は、上記構成において、絞りピストンの断面積を注入ピストンの断面積の70%以上98%未満に形成した構成、更に、絞りピストンの混合室への挿入率を混合室のストローク深さの5%以上80%未満にした構成にするのが好ましい。
【0019】
次に、本発明は、上記構成において、混合室内の圧力は、絞りピストンの断面積、及び、絞りピストンの混合室への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持するのが望ましい。また、絞りピストンのストローク制御は、少なくとも1種のプラスチックフォーム薬液の圧力に基づきアクチュエータにより自動で行う構成にしてもよい。
【0020】
また、発泡剤は、二酸化炭素、窒素、HFC、HFE(ハイドロフルオロエーテル)等の低沸点ガス又は、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスを使用することができる。又、水とイソシアネートの反応により生成する二酸化炭素も使用する事ができる。なお、発泡剤の混入は、混合室に注入する前のプラスチックフォーム薬液に対して行うことができ、また、当該混合室の内部で行うこともできる。
【0021】
更に、発明は、上記構成において、低沸点ガスの供給切替機構を備えた構成にしてもよく、また、吐出混合液の圧力保持及び液流の調節は、流出通路の吐出口が位置するヘッド先端に着脱可能に取付けたアタッチメントにより行う構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のミキシングヘッドによれば、混合室内の圧力の保持と同時に、プラスチックフォーム薬液を狭い領域を急速膨張させつつ通過させることにより、混合度を上げながら緩やかな圧力の開放が同時に達成される。その結果、従来のミキシングヘッドで問題とされていた混合液の爆発的な吐出による発泡ガスの放出を防ぐことができ、フォームの発泡倍率を上げて均一なセル径のプラスチックフォームを得ることができるという従来にない格別の効果を奏することができる。
【0023】
また、本発明のミキシングヘッドによれば、絞りピストンのストロークを外部から簡単に調節することができるので、混合液に吐出量や発泡ガス量に応じた混合室の内圧調整を容易に行うことができる。更に、本発明のミキシングヘッドは、各ピストンが吐出後の残液を押し出すために洗浄不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は、薬液循環中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図、図2は、図1に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図、図3は、混合液吐出中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図、図4は、図3に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図、図5は、図3に示したミキシングヘッドにおける混合室の要部拡大正断面図、図6は、図5のX−X矢視線断面図、図7は、ミキシングヘッドにおいて二酸化炭素の混入させる装置の断面図、図8は、図7の装置において二酸化炭素混入状態をしめす断面図、図9は、ヘッド先端に装着したホース状アタッチメントの一部切截断面図、図10は、ヘッド先端に装着したL型管状アタッチメントの断面図、図11は、フリー発泡密度を示すグラフ図、図12は、混合室の内圧と絞りピストンの挿入量の関係を示すグラフ図、図13は、絞りピストンの挿入量とフォームの密度の関係を示すグラフ図、図14は、フォームの型における金型フリー密度(金型の最小充填発泡ポリウレタン質量をその金型容積で割った密度)を従来のヘッドと比較したグラフ図、図15は、フォームの熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図、図16は、フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図である。
【0025】
図において、1は、本発明の一例のミキシングヘッド、2は、ミキシングヘッド1における2種のプラスチックフォーム薬液A,Bの混合液を吐出する流出通路、2aはこの流出通路2の吐出口、3は、2種のプラスチックフォーム薬液A,Bを注入する混合室側のシリンダ、3aはこのシリンダ3の位置検知センサー、4は、調節室側のシリンダ、4aはこのシリンダ4の位置検知センサーである。なお、2種のプラスチックフォーム薬液A,Bとしては、代表例として硬質ポリウレタンフォームを製造するためのイソシアネート成分とポリオール成分の薬液が挙げられるが、ウレタン原料に限らず、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,メトン樹脂などのフォームを製造するための2液が混合し反応する薬液原料であればいずれも使用することができる。また、本発明は、図示しないが2液以上の薬液が混合してフォームを製造する場合にも適用することができる。
【0026】
5は、混合室側シリンダ3における混合室で、流出通路2に交叉して開口している。5aは、混合室5の内壁に設けたプラスチックフォーム薬液Aを注入する注入口、5bは、同じく注入口5aと対向させて設けたプラスチックフォーム薬液Bを注入する混合室5の内壁に設けた注入口である。また、5cは、注入口5a側の混合室5の壁に設けたA液循環路、5dは、同じく注入口5b側の混合室5の壁に設けたB液循環路で、これら循環路5c,5dは、後述するように上記の薬液A,Bを混合吐出しないとき、薬液A,Bをそれぞれ原料薬液供給側に戻すためのものである。
【0027】
6は、流出通路2を挟んで混合室5に対設した調節室側シリンダ4における調節室、7は、混合室5に収挿された注入ピストン、8は、調節室6に収挿された注入ピストン7より径が小さい絞りピストン、9は、この絞りピストン8のストローク長さを調節するための調節ナットである。
【0028】
注入ピストン7は、混合室5内を、その先端7aが開口kの位置から注入口5a,5bを開放する位置、具体的には、プラスチックフォーム薬液A,Bが、混合室5内に注入される位置までの間を往復動するようになっている。7bは、混合室側シリンダ3に収挿されている注入ピストン7の駆動板である。また、7cは、注入ピストン7の長さ方向の側壁に凹設した注入口5a側のA液循環溝、7dは、同じく注入ピストン7の長さ方向の側壁に凹設した注入口5b側のB液循環溝である。なお、注入ピストン7の往復動は、ここでは油圧により駆動しているが、電動モータなどにより駆動するようにしてもよい。
【0029】
10は、流出通路2に接続するクリーニングシリンダ、10aは、クリーニングシリンダ10の位置検知センサー、11は、流出通路2に収挿されたクリーニングピストン、11aは、このピストン11の先端、11bは、クリーニングシリンダ10に収挿されているクリーニングピストン11の駆動板である。クリーニングピストン11は、その先端11aが交叉する混合室5の開口kが開放された位置から吐出口2aまで往復動する。クリーニングピストン11の往復動は、注入ピストン7と同様に油圧駆動のほか、電動モータなどにより駆動するようにしてもよい。なお、各シリンダに設けている位置検知センサーは、それぞれのシリンダのピストンの位置を確認し、注入ピストン7、絞りピストン8、クリーニングピストン11が干渉しないようにするために用いる。
【0030】
次に、図5,図6により、絞りピストン8の混合室5への挿入について説明する。絞りピストン8は注入ピストン7より小径であるが、詳細には、注入ピストンの断面積の70%以上98%未満、好ましくは、80〜90%の断面積にする。絞りピストン8の断面積が98%未満より大きいと混合室5の内圧が大きくなりすぎ、混合状態が悪くなってしまう。他方、70%より小さいと内圧が小さくなりすぎ、急激に圧力が開放されてしまうので飛散を伴う爆発的な吐出となり、発泡ガスが放出されて発泡倍率を上げることができない。
【0031】
混合室5の内圧は、注入ピストン7の断面積に対する絞りピストン8の断面積の割合のほか、本発明では、絞りピストン8の混合室5への挿入長さによる挿入率によっても調節する。本発明では、クリーニングピストン11を引上げ、その先端11aを開口kの少し上に位置づけた後、薬液A,Bが注入口5a,5bから混合室5内へ注入されると同時に絞りピストン8を、そのストロークを制御しつつ混合室5に挿入する。ここで絞りピストン8の混合室5への挿入率は、絞りピストン8の先端8aが混合室5の開口kの位置にあるときを0%、混合室5の開口kから注入ピストン7のストロークの最大深さをD、開口kから挿入した絞りピストン8の先端8aまでの距離をdとすると、D/d×100(%)で求めることができる。本発明では、この絞りピストン8の混合室への挿入率は、混合室5のストローク深さの5%以上80%未満、好ましくは20〜50%で制御している。80%以上であると混合室5の内圧が大きくなりすぎ、混合状態が悪くなってしまう。他方、5%未満であると内圧が小さくなり、急激に圧力が開放されて飛散を伴う爆発的な吐出となって発泡ガスが放出されてしまい発泡倍率を上げることができない。絞りピストン8の混合室5への挿入率は、絞りピストン8の調節ナット9により絞りピストン8のストローク長さを調節して行う。
【0032】
本発明では、混合室5の内圧は、上述したように絞りピストン8の断面積、及び、絞りピストン8の混合室5への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持するようにしている。本発明は、この範囲内で混合室5の内圧を保持すると共に、プラスチックフォーム薬液Aと薬液Bが混合室5で混合し絞りピストン8の外周面と混合室5の内壁面の狭い領域を急速膨張しながら通過するので、混合度を上げながら緩やかな圧力の開放が同時に達成される。
【0033】
次に、本発明ミキシングヘッド1は、断続ショットが可能で、プラスチックフォーム薬液A,Bを混合吐出させないときは、図1,図2に示したように、絞りピストン8を後退させて調節室6内に引込むと共に、注入ピストン7をその先端7aを開口kまで前進させ、その状態で、クリーニングピストン11を押下げる。この状態では、注入口5aからの薬液Aは、注入ピストン7のA液循環溝7cと混合室5の内壁の間を通り、A液循環路5cを経て原料薬液供給側に戻され循環する。また、注入口5bからの薬液Bは、注入ピストン7のB液循環溝7dと混合室5の内壁の間を通り、B液循環路5dを経て原料薬液供給側に戻され循環する。
【0034】
絞りピストン8のストローク制御は、本実施例では上述したように調節ナット9をミキシングヘッド1の外部から回転させることにより行っているが、このストローク制御を、プラスチックフォーム薬液A,Bのいずれかの圧力又は薬液A,Bの両方の圧力を検出し、その検出した値に基づきアクチュエータにより自動的に行うようにしてもよい。例えば、絞りピストン8を油圧駆動する場合は、アクチュエータにより比例電磁式制御弁を駆動して行うことができ、また、絞りピストン8を電動モータにより駆動する場合は、アクチュエータによりサーボモータ等位置制御することにより行うことができる(ともに図示せず)。
【0035】
本発明では、発泡剤として二酸化炭素を使用するのが好ましいが、他の低沸点ガス、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスを発泡剤として使用することもできる。他の低沸点ガスとしては、窒素等の不活性ガス、ペンタン等の炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕,ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕、ハイドロフルオロエーテル〔HFE〕などが挙げられる。勿論、発泡剤として超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素を使用することもできる。また、水とイソシアネートの反応により生成する二酸化炭素を併せて使用する事もできる。超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素を使用する場合は、ポリウレタンフォーム薬液の混合液(ポリオール成分薬液とイソシアネート成分薬液の混合液)に対し0.3wt%以上混入するのが望ましい。これらの発泡ガスは、通常は、プラスチックフォーム薬液A,Bの原料タンクからそれぞれ原料供給ラインを経てミキシングヘッド1に至るまでの間に薬液A,Bの少なくともいずれか一方に混入されるが、ミキシングヘッド1において発泡ガスを混入するようにしてもよい。
【0036】
ここでは図7,図8により、ミキシングヘッド1においてプラスチックフォーム薬液Aに二酸化炭素を混入させる例について説明する。図7,図8において、12は、低沸点ガスの供給切替装置、13は、この装置12内のガス供給室14に収挿された切替ピストン、15は、この切替ピストン13のガス供給室14に対し二酸化炭素を供給するガス供給装置である。図7は、プラスチックフォーム薬液A,Bを循環させている状態を示し、この状態では、切替ピストン13は前進させられていて二酸化炭素はガス供給室14に供給されないため、二酸化炭素を混入しない状態で薬液Aを循環させることができる。図8は、プラスチックフォーム薬液A,Bを混合吐出させている状態を示し、この状態では、切替ピストン13は後進させられていて二酸化炭素はガス供給室14に供給され薬液Aに混入された状態で薬液Bと混合し吐出される。
【0037】
次に、本発明のミキシングヘッド1では、絞りピストン8の断面積,ストロークの調節により混合室5の内圧を調節することができ、流出通路2の吐出口2aからの混合液の吐出圧力をも制御することができるが、本発明では、吐出口2aが位置するヘッド先端に図9に示したようなホース状のアタッチメント16、或は、図10に示したようなL型管状のアタッチメント17を取付け、これらのアタッチメント16,17により吐出混合液の圧力を保持し、また、吐出混合液の液流の調節をすることもできる。17aは、アタッチメント17の調節ネジである。18,19は、それぞれアタッチメント16,17のヘッド先端への止具である。なお、アタッチメント16,17は、プラスチック,金属管等で形成され、成型品の形状,寸法に合せて長さを0〜3m程度に調節する。
【0038】
本発明の一例のミキシングヘッド1は上述した通りであるが、本発明のミキシングヘッドはこれに限られるものではない。
【0039】
次に、原料としてポリウレタンフォーム薬液(ポリオール成分薬液とイソシアネート成分薬液)を使用し、本発明のミキシングヘッド1と通常のL型ヘッドによりポリウレタンフォームを製造したときに製造されたポリウレタンフォームのセル径,密度,熱伝導率などについての実証データを下記の表1〜表4に示すと共に、それぞれ図11〜図16のグラフ図により示す。本発明のミキシングヘッドにおける絞りピストンの断面積は、注入ピストンの断面積の83%にして実験を行った。また、本実験では、混合室の全長を15mmにし、絞りピストンの先端が混合室の開口から何mm挿入したかを「挿入量(mm)」とし、混合室の全長を15mmに対する挿入割合を「挿入率(%)」で表示している(下記の表2,表3参照)。なお、通常のL型ヘッドには、東邦機械製MS-215L型(アジャスター調整タイプ)を使用した。
【0040】
下記の表1〜表4において、表1は,フリー発泡密度を、表2は、混合室の内圧と絞りピストンの挿入率(%)(及び挿入量(mm))の関係を、表3は、絞りピストンの挿入率(%)(及び挿入量(mm))とフォームの密度の関係を、表4は、フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率の従来のヘッドとの比較を示している。
なお、金型フリー密度は、内側寸法200mm×40mm×1000mmの金型の1000mmm方向を開放して発泡した場合のポリウレタンフォーム密度である。フリー発泡密度は、内径225mm×2830mmのプラスチック製円筒容器に高さ(2830mm)方向がフリーな状態で成型したポリウレタンフォームの表層を含まない芯部分で測定した密度である。この金型フリー密度、フリー発泡密度ともに、JIS A 9511に従って測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表1から通常のL型ヘッドと比較して本発明のミキシングヘッドではCO2混合量が多い1%以上でもポリウレタンフォームのフリー発泡密度が小さくなり、効率的に二酸化炭素(CO2)が発泡に活用されている事が分かる。
表2から、本発明のミキシングヘッドでは、絞りピストンの混合室に対する挿入量により、混合室の内圧を制御できることが分かる。
表3から、本発明のミキシングヘッドでは、CO2混合量が1.5%の場合には挿入率(挿入量)が0〜20%までは大きくなるに従いポリウレタンフォームのフリー発泡密度が小さくなり、挿入率(挿入量)が20〜46.7%では、ポリウレタンフォームのフリー発泡密度がほぼ一定になり、効率的に二酸化炭素(CO2)が発泡に活用されている事が分かる。
表4から、本発明のミキシングヘッドを使用した場合は、従来の通常のL型ヘッドを使用した場合と比較してセル径が略等しいときでも金型フリー密度を低下させることができることが分かる。これにより本発明のミキシングヘッドを使用した場合は、従来の通常のL型ヘッドを使用した場合よりも発泡倍率が向上し、熱伝導率を下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明ミキシングヘッドによれば、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出する場合、通常のL型ヘッドと比較し、絞りピストンのストロークを調節して混合室の内圧を制御し、圧力を徐々に開放させることができるので、爆発的な吐出を防ぎ発泡倍率を上げることができ、その結果、プラスチックフォームの熱伝導率を低下させることができる。また、本発明ミキシングヘッドは、ポリウレタン樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,メトン樹脂などのフォームを製造するための少なくとも2液が混合し反応する薬液原料であればいずれも使用することができる。更に、本発明では、発泡剤として二酸化炭素のほか、ペンタン等の炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕,ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕などを使用することができ、超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】薬液循環中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図。
【図2】図1に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図。
【図3】混合液吐出中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図。
【図4】図3に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図。
【図5】図3に示したミキシングヘッドにおける混合室の要部拡大正断面図。
【図6】図5のX−X矢視線断面図。
【図7】ミキシングヘッドにおいて二酸化炭素の混入させる装置の断面図。
【図8】図7の装置において二酸化炭素混入状態をしめす断面図。
【図9】ヘッド先端に装着したホース状アタッチメントの一部切截断面図。
【図10】ヘッド先端に装着したL型管状アタッチメントの断面図。
【図11】フリー発泡密度を示すグラフ図。
【図12】混合室の内圧と絞りピストンの挿入量の関係を示すグラフ図。
【図13】絞りピストンの挿入量とフォームの密度の関係を示すグラフ図。
【図14】フォームの金型フリー密度を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【図15】フォームの熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【図16】フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【符号の説明】
【0048】
1 ミキシングヘッド
2 流出通路
2a 吐出口
3 混合室側シリンダ
4 調節室側シリンダ
5 混合室
5a,5b 注入口
6 調節室
7 注入ピストン
8 絞りピストン
9 調節ナット
10 クリーニングシリンダ
11 クリーニングピストン
12 低沸点ガスの供給切替装置
13 切替ピストン
14 ガス供給室
15 ガス供給装置
16,17 アタッチメント
18,19 止具
20 パッキン
A,B プラスチックフォーム薬液
k 開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドに関し、混合室の内圧を制御して圧力を徐々に開放させることにより爆発的な吐出を防ぎ、発泡倍率を上げるようにした圧力制御機構を備えたミキシングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフォーム成形体は、建築分野,梱包輸送分野などにおいて広く用いられ、また、家具や事務用機器、各種機械類の補助材としても用いられている。特に、硬質ポリウレタンフォーム等の発泡成形体は、その優れた断熱性,緩衝性,成形性,接着性等により、住宅や冷蔵倉庫等の断熱材、建築・土木用の材料・構造材、家電製品の枠体等として広く活用されている。
【0003】
従来より、硬質ポリウレタンフォームは、イソシアネート成分又はポリオール成分を原料とし高圧注入発泡装置又はスプレー発泡装置を用いて成形することが広く行われてきた。また、発泡剤としてオゾン層破壊係数(ODP)を有するフロン類(ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕等)は近年全廃され、地球温暖化係数(GWP)の大きい代替フロン類(ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕)もその使用量が規制されていることにより、水とイソシアネート成分の反応により得られる二酸化炭素の他にペンタン等の炭化水素類や液化二酸化炭素を発泡剤として用いることが提案されている。
【0004】
このうち発泡剤としてペンタン等の炭化水素類を用いた発泡成形体と液化二酸化炭素を用いた発泡成形体を比較すると、それらの熱伝導率は発泡ガスの熱伝導率にほぼ比例し、ペンタン等の炭化水素類を用いた場合の発泡ガス、例えばシクロペンタンの熱伝導率は、炭酸ガスより小さく、HFCの熱伝導率と同等かHCFCの熱伝導率に近い。従って、発泡ガスの発泡成形体中におけるセル径(発泡成形体中における気泡を囲む樹脂膜・骨格の内径)、密度が同一の場合、熱伝導率の観点から見ればペンタン等の炭化水素類の方が発泡剤として二酸化炭素よりも優れている。
しかしながら、ペンタン等の炭化水素類を用いる場合は実用性の面で大きな問題を抱えている。即ち、炭化水素は危険な引火性物質であり安全対策上の設備投資が極めて高額となること、現場発泡分野では十分な安全対策が事実上不可能であるという問題があり、炭化水素発泡に移行することができない。
【0005】
一方、水とイソシアネート成分の反応により得られる二酸化炭素のみによる発泡、即ち、完全水発泡は、断熱性能が劣ることによりエネルギー使用量の低減効果が薄れること、接着対象物との接着力の低下、現場発泡での施工性が悪いというような問題があった。
【0006】
そのため、最近では液化二酸化炭素などを用いた発泡成形体についての研究と開発が主に行われている。例えば、特許文献1〜特許文献4などにおいて、発泡剤として亜臨界流体、超臨界流体又は液体状態の二酸化炭素を使用した発泡成形体の発明が提案されている。
【0007】
しかし、発泡剤として二酸化炭素を用いた場合は、上記の通り、炭化水素類やHFC,HCFCを用いた場合と比較して発泡成形体の熱伝導率が大きくなってしまうことから、この問題を解決する必要がある。そのためには、発泡泡成形体中の発泡セル(気泡)の微細化を図ると共に、プラスチックフォーム原料中の二酸化炭素成分の増量を図り、更に成形体中に発泡セルが均等に拡散されるのが望ましい。上述した特許文献1に提案されている発明などにおいてもセル径の微細化を企図しているが、実際には、十分に制御された形でそこまでの微細化ができないのが現状である。
【0008】
そこで、本出願の出願人の一人により、発泡剤として超臨界,亜臨界状態の二酸化炭素を使用したプラスチックフォーム等の発泡成形体の製造方法とそのための装置に関し、特に、発泡成形体中の発泡セルの微細化と、プラスチックフォーム原料中の二酸化炭素成分の増量を図ることにより、熱伝導率が小さく低密度のマイクロセルフォームを製造する方法とそのための製造装置を開発し、既に特許出願している(特願2006−154942)。
【0009】
本出願の出願人の一人による上記特許出願に係る発明は、熱伝導率が小さく低密度のマイクロセルフォームを製造するための方法,装置として極めて優れているが、この目的を達成するためには別の観点からの取り組みも可能であることが分かってきた。即ち、発泡剤として低沸点ガスを含んだ原料成分をミキシングヘッドから混合吐出する際に、従来のヘッド構造では、低沸点ガスの原料成分からの揮発による爆発的な吐出により、発泡倍率が低下しセル径の制御ができないという問題があり、この問題を解決するためにミキシングヘッドを、爆発的な吐出が生じない構造に改良するという観点からの取り組みが可能であることが分かった。なお、このヘッド構造の改良は、発泡剤として超臨界,亜臨界状態の二酸化炭素を使用する場合のほか、その他の低沸点ガスを使用する場合についても適用され得るものである。
以下、ミキシングヘッドについて、従来の技術を含めその特徴について検討する。
【0010】
低沸点ガスや液化炭酸ガスが発泡剤としてポリウレタン発泡に使用されている主な用途は、スラブフォームのように機械撹拌し、連続で吐出するものが主流である(特許文献5,特許文献6,特許文献7等参照)。これら特許文献5〜7には、フォーム材料の混合時に圧力を保持し、発泡時に圧力を徐々に開放する必要があることが開示されている。
【0011】
特許文献5〜7で提案されている発明では、吐出後にヘッドの洗浄が必要となり、断続ショットには向かないという問題があった。
【0012】
断続ショットに向くヘッドとしては、通常のL型ヘッドや機械洗浄方式のヘッド、例えば、特許文献8〜11等で提案されているような二次撹拌と整流を目的にした絞り機構を備えたヘッドがある。
【0013】
しかし、特許文献8〜11等で提案されているヘッドでは、ミキシングチャンバー(混合室)の内圧を制御する構造にはなっていない。これは通常の発泡では、混合室内の圧力が上がると混合室内の乱流が抑えられてしまい、混合が悪くなってしまうためであり、また、無理に内圧を上げようとすると絞り制御以降で圧力が急激に開放されるため飛散を伴った吐出となって発泡倍率が上がらないという問題があるからである。
【0014】
特に、特許文献10で提案されている高圧混合装置では、絞りピストンが混合室内に挿入されるが、混合液の流れの方向を変えると同時に整流することを目的としており、混合室の内圧を保持,制御するための構成にはなっていない。また、低沸点ガスを含んだ混合液の圧力を徐々に大気圧へ戻す目的のものでもない。
【特許文献1】特開2002−47326号公報
【特許文献2】特開2004−107376号公報
【特許文献3】特開2003−82050号公報
【特許文献4】特開2002−283420号公報
【特許文献5】特許第3201415号公報
【特許文献6】特許第3332313号公報
【特許文献7】特許第3607296号公報
【特許文献8】特開昭57−105325号公報
【特許文献9】特開昭54−163952号公報
【特許文献10】特開平1−264807号公報
【特許文献11】特許第2832504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドは、上述したような改良の余地があることに鑑み、ミキシングヘッドにおける混合室の内圧を制御し、圧力を徐々に開放させることにより爆発的な吐出を防ぎ、発泡倍率を上げるようにした新たな圧力制御機構を備えたミキシングヘッドを提供することを、その課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドにおいて、吐出口を有する流出通路と、該流出通路に交叉して開口し内壁に前記薬液の注入口を形成した混合室と、前記流出通路を挟んで前記混合室に対設した調節室と、該混合室に収挿され前記開口部から前記注入口の開放位置までの間を往復動する注入ピストンと、該調節室に収挿され前記混合室内に進退する前記注入ピストンより径が小さい絞りピストンを備え、前記薬液が前記注入口から混合室内へ注入されると同時に前記絞りピストンを、そのストロークを制御しつつ混合室に挿入しその挿入率を調節することにより、前記混合室内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明は、上記構成において、流出通路に交叉する混合室の開口位置から吐出口まで往復動するクリーニングピストンを収挿した構成にすることもできる。
【0018】
また、本発明は、上記構成において、絞りピストンの断面積を注入ピストンの断面積の70%以上98%未満に形成した構成、更に、絞りピストンの混合室への挿入率を混合室のストローク深さの5%以上80%未満にした構成にするのが好ましい。
【0019】
次に、本発明は、上記構成において、混合室内の圧力は、絞りピストンの断面積、及び、絞りピストンの混合室への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持するのが望ましい。また、絞りピストンのストローク制御は、少なくとも1種のプラスチックフォーム薬液の圧力に基づきアクチュエータにより自動で行う構成にしてもよい。
【0020】
また、発泡剤は、二酸化炭素、窒素、HFC、HFE(ハイドロフルオロエーテル)等の低沸点ガス又は、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスを使用することができる。又、水とイソシアネートの反応により生成する二酸化炭素も使用する事ができる。なお、発泡剤の混入は、混合室に注入する前のプラスチックフォーム薬液に対して行うことができ、また、当該混合室の内部で行うこともできる。
【0021】
更に、発明は、上記構成において、低沸点ガスの供給切替機構を備えた構成にしてもよく、また、吐出混合液の圧力保持及び液流の調節は、流出通路の吐出口が位置するヘッド先端に着脱可能に取付けたアタッチメントにより行う構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のミキシングヘッドによれば、混合室内の圧力の保持と同時に、プラスチックフォーム薬液を狭い領域を急速膨張させつつ通過させることにより、混合度を上げながら緩やかな圧力の開放が同時に達成される。その結果、従来のミキシングヘッドで問題とされていた混合液の爆発的な吐出による発泡ガスの放出を防ぐことができ、フォームの発泡倍率を上げて均一なセル径のプラスチックフォームを得ることができるという従来にない格別の効果を奏することができる。
【0023】
また、本発明のミキシングヘッドによれば、絞りピストンのストロークを外部から簡単に調節することができるので、混合液に吐出量や発泡ガス量に応じた混合室の内圧調整を容易に行うことができる。更に、本発明のミキシングヘッドは、各ピストンが吐出後の残液を押し出すために洗浄不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は、薬液循環中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図、図2は、図1に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図、図3は、混合液吐出中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図、図4は、図3に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図、図5は、図3に示したミキシングヘッドにおける混合室の要部拡大正断面図、図6は、図5のX−X矢視線断面図、図7は、ミキシングヘッドにおいて二酸化炭素の混入させる装置の断面図、図8は、図7の装置において二酸化炭素混入状態をしめす断面図、図9は、ヘッド先端に装着したホース状アタッチメントの一部切截断面図、図10は、ヘッド先端に装着したL型管状アタッチメントの断面図、図11は、フリー発泡密度を示すグラフ図、図12は、混合室の内圧と絞りピストンの挿入量の関係を示すグラフ図、図13は、絞りピストンの挿入量とフォームの密度の関係を示すグラフ図、図14は、フォームの型における金型フリー密度(金型の最小充填発泡ポリウレタン質量をその金型容積で割った密度)を従来のヘッドと比較したグラフ図、図15は、フォームの熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図、図16は、フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図である。
【0025】
図において、1は、本発明の一例のミキシングヘッド、2は、ミキシングヘッド1における2種のプラスチックフォーム薬液A,Bの混合液を吐出する流出通路、2aはこの流出通路2の吐出口、3は、2種のプラスチックフォーム薬液A,Bを注入する混合室側のシリンダ、3aはこのシリンダ3の位置検知センサー、4は、調節室側のシリンダ、4aはこのシリンダ4の位置検知センサーである。なお、2種のプラスチックフォーム薬液A,Bとしては、代表例として硬質ポリウレタンフォームを製造するためのイソシアネート成分とポリオール成分の薬液が挙げられるが、ウレタン原料に限らず、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,メトン樹脂などのフォームを製造するための2液が混合し反応する薬液原料であればいずれも使用することができる。また、本発明は、図示しないが2液以上の薬液が混合してフォームを製造する場合にも適用することができる。
【0026】
5は、混合室側シリンダ3における混合室で、流出通路2に交叉して開口している。5aは、混合室5の内壁に設けたプラスチックフォーム薬液Aを注入する注入口、5bは、同じく注入口5aと対向させて設けたプラスチックフォーム薬液Bを注入する混合室5の内壁に設けた注入口である。また、5cは、注入口5a側の混合室5の壁に設けたA液循環路、5dは、同じく注入口5b側の混合室5の壁に設けたB液循環路で、これら循環路5c,5dは、後述するように上記の薬液A,Bを混合吐出しないとき、薬液A,Bをそれぞれ原料薬液供給側に戻すためのものである。
【0027】
6は、流出通路2を挟んで混合室5に対設した調節室側シリンダ4における調節室、7は、混合室5に収挿された注入ピストン、8は、調節室6に収挿された注入ピストン7より径が小さい絞りピストン、9は、この絞りピストン8のストローク長さを調節するための調節ナットである。
【0028】
注入ピストン7は、混合室5内を、その先端7aが開口kの位置から注入口5a,5bを開放する位置、具体的には、プラスチックフォーム薬液A,Bが、混合室5内に注入される位置までの間を往復動するようになっている。7bは、混合室側シリンダ3に収挿されている注入ピストン7の駆動板である。また、7cは、注入ピストン7の長さ方向の側壁に凹設した注入口5a側のA液循環溝、7dは、同じく注入ピストン7の長さ方向の側壁に凹設した注入口5b側のB液循環溝である。なお、注入ピストン7の往復動は、ここでは油圧により駆動しているが、電動モータなどにより駆動するようにしてもよい。
【0029】
10は、流出通路2に接続するクリーニングシリンダ、10aは、クリーニングシリンダ10の位置検知センサー、11は、流出通路2に収挿されたクリーニングピストン、11aは、このピストン11の先端、11bは、クリーニングシリンダ10に収挿されているクリーニングピストン11の駆動板である。クリーニングピストン11は、その先端11aが交叉する混合室5の開口kが開放された位置から吐出口2aまで往復動する。クリーニングピストン11の往復動は、注入ピストン7と同様に油圧駆動のほか、電動モータなどにより駆動するようにしてもよい。なお、各シリンダに設けている位置検知センサーは、それぞれのシリンダのピストンの位置を確認し、注入ピストン7、絞りピストン8、クリーニングピストン11が干渉しないようにするために用いる。
【0030】
次に、図5,図6により、絞りピストン8の混合室5への挿入について説明する。絞りピストン8は注入ピストン7より小径であるが、詳細には、注入ピストンの断面積の70%以上98%未満、好ましくは、80〜90%の断面積にする。絞りピストン8の断面積が98%未満より大きいと混合室5の内圧が大きくなりすぎ、混合状態が悪くなってしまう。他方、70%より小さいと内圧が小さくなりすぎ、急激に圧力が開放されてしまうので飛散を伴う爆発的な吐出となり、発泡ガスが放出されて発泡倍率を上げることができない。
【0031】
混合室5の内圧は、注入ピストン7の断面積に対する絞りピストン8の断面積の割合のほか、本発明では、絞りピストン8の混合室5への挿入長さによる挿入率によっても調節する。本発明では、クリーニングピストン11を引上げ、その先端11aを開口kの少し上に位置づけた後、薬液A,Bが注入口5a,5bから混合室5内へ注入されると同時に絞りピストン8を、そのストロークを制御しつつ混合室5に挿入する。ここで絞りピストン8の混合室5への挿入率は、絞りピストン8の先端8aが混合室5の開口kの位置にあるときを0%、混合室5の開口kから注入ピストン7のストロークの最大深さをD、開口kから挿入した絞りピストン8の先端8aまでの距離をdとすると、D/d×100(%)で求めることができる。本発明では、この絞りピストン8の混合室への挿入率は、混合室5のストローク深さの5%以上80%未満、好ましくは20〜50%で制御している。80%以上であると混合室5の内圧が大きくなりすぎ、混合状態が悪くなってしまう。他方、5%未満であると内圧が小さくなり、急激に圧力が開放されて飛散を伴う爆発的な吐出となって発泡ガスが放出されてしまい発泡倍率を上げることができない。絞りピストン8の混合室5への挿入率は、絞りピストン8の調節ナット9により絞りピストン8のストローク長さを調節して行う。
【0032】
本発明では、混合室5の内圧は、上述したように絞りピストン8の断面積、及び、絞りピストン8の混合室5への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持するようにしている。本発明は、この範囲内で混合室5の内圧を保持すると共に、プラスチックフォーム薬液Aと薬液Bが混合室5で混合し絞りピストン8の外周面と混合室5の内壁面の狭い領域を急速膨張しながら通過するので、混合度を上げながら緩やかな圧力の開放が同時に達成される。
【0033】
次に、本発明ミキシングヘッド1は、断続ショットが可能で、プラスチックフォーム薬液A,Bを混合吐出させないときは、図1,図2に示したように、絞りピストン8を後退させて調節室6内に引込むと共に、注入ピストン7をその先端7aを開口kまで前進させ、その状態で、クリーニングピストン11を押下げる。この状態では、注入口5aからの薬液Aは、注入ピストン7のA液循環溝7cと混合室5の内壁の間を通り、A液循環路5cを経て原料薬液供給側に戻され循環する。また、注入口5bからの薬液Bは、注入ピストン7のB液循環溝7dと混合室5の内壁の間を通り、B液循環路5dを経て原料薬液供給側に戻され循環する。
【0034】
絞りピストン8のストローク制御は、本実施例では上述したように調節ナット9をミキシングヘッド1の外部から回転させることにより行っているが、このストローク制御を、プラスチックフォーム薬液A,Bのいずれかの圧力又は薬液A,Bの両方の圧力を検出し、その検出した値に基づきアクチュエータにより自動的に行うようにしてもよい。例えば、絞りピストン8を油圧駆動する場合は、アクチュエータにより比例電磁式制御弁を駆動して行うことができ、また、絞りピストン8を電動モータにより駆動する場合は、アクチュエータによりサーボモータ等位置制御することにより行うことができる(ともに図示せず)。
【0035】
本発明では、発泡剤として二酸化炭素を使用するのが好ましいが、他の低沸点ガス、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスを発泡剤として使用することもできる。他の低沸点ガスとしては、窒素等の不活性ガス、ペンタン等の炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕,ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕、ハイドロフルオロエーテル〔HFE〕などが挙げられる。勿論、発泡剤として超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素を使用することもできる。また、水とイソシアネートの反応により生成する二酸化炭素を併せて使用する事もできる。超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素を使用する場合は、ポリウレタンフォーム薬液の混合液(ポリオール成分薬液とイソシアネート成分薬液の混合液)に対し0.3wt%以上混入するのが望ましい。これらの発泡ガスは、通常は、プラスチックフォーム薬液A,Bの原料タンクからそれぞれ原料供給ラインを経てミキシングヘッド1に至るまでの間に薬液A,Bの少なくともいずれか一方に混入されるが、ミキシングヘッド1において発泡ガスを混入するようにしてもよい。
【0036】
ここでは図7,図8により、ミキシングヘッド1においてプラスチックフォーム薬液Aに二酸化炭素を混入させる例について説明する。図7,図8において、12は、低沸点ガスの供給切替装置、13は、この装置12内のガス供給室14に収挿された切替ピストン、15は、この切替ピストン13のガス供給室14に対し二酸化炭素を供給するガス供給装置である。図7は、プラスチックフォーム薬液A,Bを循環させている状態を示し、この状態では、切替ピストン13は前進させられていて二酸化炭素はガス供給室14に供給されないため、二酸化炭素を混入しない状態で薬液Aを循環させることができる。図8は、プラスチックフォーム薬液A,Bを混合吐出させている状態を示し、この状態では、切替ピストン13は後進させられていて二酸化炭素はガス供給室14に供給され薬液Aに混入された状態で薬液Bと混合し吐出される。
【0037】
次に、本発明のミキシングヘッド1では、絞りピストン8の断面積,ストロークの調節により混合室5の内圧を調節することができ、流出通路2の吐出口2aからの混合液の吐出圧力をも制御することができるが、本発明では、吐出口2aが位置するヘッド先端に図9に示したようなホース状のアタッチメント16、或は、図10に示したようなL型管状のアタッチメント17を取付け、これらのアタッチメント16,17により吐出混合液の圧力を保持し、また、吐出混合液の液流の調節をすることもできる。17aは、アタッチメント17の調節ネジである。18,19は、それぞれアタッチメント16,17のヘッド先端への止具である。なお、アタッチメント16,17は、プラスチック,金属管等で形成され、成型品の形状,寸法に合せて長さを0〜3m程度に調節する。
【0038】
本発明の一例のミキシングヘッド1は上述した通りであるが、本発明のミキシングヘッドはこれに限られるものではない。
【0039】
次に、原料としてポリウレタンフォーム薬液(ポリオール成分薬液とイソシアネート成分薬液)を使用し、本発明のミキシングヘッド1と通常のL型ヘッドによりポリウレタンフォームを製造したときに製造されたポリウレタンフォームのセル径,密度,熱伝導率などについての実証データを下記の表1〜表4に示すと共に、それぞれ図11〜図16のグラフ図により示す。本発明のミキシングヘッドにおける絞りピストンの断面積は、注入ピストンの断面積の83%にして実験を行った。また、本実験では、混合室の全長を15mmにし、絞りピストンの先端が混合室の開口から何mm挿入したかを「挿入量(mm)」とし、混合室の全長を15mmに対する挿入割合を「挿入率(%)」で表示している(下記の表2,表3参照)。なお、通常のL型ヘッドには、東邦機械製MS-215L型(アジャスター調整タイプ)を使用した。
【0040】
下記の表1〜表4において、表1は,フリー発泡密度を、表2は、混合室の内圧と絞りピストンの挿入率(%)(及び挿入量(mm))の関係を、表3は、絞りピストンの挿入率(%)(及び挿入量(mm))とフォームの密度の関係を、表4は、フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率の従来のヘッドとの比較を示している。
なお、金型フリー密度は、内側寸法200mm×40mm×1000mmの金型の1000mmm方向を開放して発泡した場合のポリウレタンフォーム密度である。フリー発泡密度は、内径225mm×2830mmのプラスチック製円筒容器に高さ(2830mm)方向がフリーな状態で成型したポリウレタンフォームの表層を含まない芯部分で測定した密度である。この金型フリー密度、フリー発泡密度ともに、JIS A 9511に従って測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表1から通常のL型ヘッドと比較して本発明のミキシングヘッドではCO2混合量が多い1%以上でもポリウレタンフォームのフリー発泡密度が小さくなり、効率的に二酸化炭素(CO2)が発泡に活用されている事が分かる。
表2から、本発明のミキシングヘッドでは、絞りピストンの混合室に対する挿入量により、混合室の内圧を制御できることが分かる。
表3から、本発明のミキシングヘッドでは、CO2混合量が1.5%の場合には挿入率(挿入量)が0〜20%までは大きくなるに従いポリウレタンフォームのフリー発泡密度が小さくなり、挿入率(挿入量)が20〜46.7%では、ポリウレタンフォームのフリー発泡密度がほぼ一定になり、効率的に二酸化炭素(CO2)が発泡に活用されている事が分かる。
表4から、本発明のミキシングヘッドを使用した場合は、従来の通常のL型ヘッドを使用した場合と比較してセル径が略等しいときでも金型フリー密度を低下させることができることが分かる。これにより本発明のミキシングヘッドを使用した場合は、従来の通常のL型ヘッドを使用した場合よりも発泡倍率が向上し、熱伝導率を下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明ミキシングヘッドによれば、発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出する場合、通常のL型ヘッドと比較し、絞りピストンのストロークを調節して混合室の内圧を制御し、圧力を徐々に開放させることができるので、爆発的な吐出を防ぎ発泡倍率を上げることができ、その結果、プラスチックフォームの熱伝導率を低下させることができる。また、本発明ミキシングヘッドは、ポリウレタン樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,メトン樹脂などのフォームを製造するための少なくとも2液が混合し反応する薬液原料であればいずれも使用することができる。更に、本発明では、発泡剤として二酸化炭素のほか、ペンタン等の炭化水素類、ハイドロフルオロカーボン〔HFC〕,ハイドロクロロフルオロカーボン〔HCFC〕などを使用することができ、超臨界及び/又は亜臨界状態の二酸化炭素も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】薬液循環中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図。
【図2】図1に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図。
【図3】混合液吐出中の本発明ミキシングヘッドの一例の内部構造を示す正断面図。
【図4】図3に示したミキシングヘッドを底面側から見た要部拡大断面図。
【図5】図3に示したミキシングヘッドにおける混合室の要部拡大正断面図。
【図6】図5のX−X矢視線断面図。
【図7】ミキシングヘッドにおいて二酸化炭素の混入させる装置の断面図。
【図8】図7の装置において二酸化炭素混入状態をしめす断面図。
【図9】ヘッド先端に装着したホース状アタッチメントの一部切截断面図。
【図10】ヘッド先端に装着したL型管状アタッチメントの断面図。
【図11】フリー発泡密度を示すグラフ図。
【図12】混合室の内圧と絞りピストンの挿入量の関係を示すグラフ図。
【図13】絞りピストンの挿入量とフォームの密度の関係を示すグラフ図。
【図14】フォームの金型フリー密度を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【図15】フォームの熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【図16】フォームのセル径,金型フリー密度,熱伝導率を従来のヘッドと比較したグラフ図。
【符号の説明】
【0048】
1 ミキシングヘッド
2 流出通路
2a 吐出口
3 混合室側シリンダ
4 調節室側シリンダ
5 混合室
5a,5b 注入口
6 調節室
7 注入ピストン
8 絞りピストン
9 調節ナット
10 クリーニングシリンダ
11 クリーニングピストン
12 低沸点ガスの供給切替装置
13 切替ピストン
14 ガス供給室
15 ガス供給装置
16,17 アタッチメント
18,19 止具
20 パッキン
A,B プラスチックフォーム薬液
k 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドにおいて、
吐出口を有する流出通路と、該流出通路に交叉して開口し内壁に前記薬液の注入口を形成した混合室と、前記流出通路を挟んで前記混合室に対設した調節室と、該混合室に収挿され前記開口部から前記注入口の開放位置までの間を往復動する注入ピストンと、該調節室に収挿され前記混合室内に進退する前記注入ピストンより径が小さい絞りピストンを備え、
前記薬液が前記注入口から混合室内へ注入されると同時に前記絞りピストンを、そのストロークを制御しつつ混合室に挿入しその挿入率を調節することにより、前記混合室内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにしたことを特徴とする圧力制御機構を備えたミキシングヘッド。
【請求項2】
流出通路には、交叉する混合室の開口位置から吐出口まで往復動するクリーニングピストンを収挿した請求項1のミキシングヘッド。
【請求項3】
絞りピストンの断面積は、注入ピストンの断面積の70%以上98%未満に形成した請求項1又は2のミキシングヘッド。
【請求項4】
絞りピストンの混合室への挿入率は、混合室のストローク深さの5%以上80%未満である請求項1〜3のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項5】
混合室内の圧力は、絞りピストンの断面積、及び、絞りピストンの混合室への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持する請求項1〜4のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項6】
絞りピストンのストローク制御は、少なくとも1種のプラスチックフォーム薬液の圧力に基づきアクチュエータにより自動で行う請求項1〜5のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項7】
発泡剤は、二酸化炭素、又は、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスである請求項1〜6のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項8】
発泡剤の混入は、混合室に注入する前のプラスチックフォーム薬液に対し行うか、又は、当該混合室の内部で行う請求項1〜7のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項9】
低沸点ガスの供給切替機構を備えた請求項1〜8のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項10】
吐出混合液の圧力保持及び液流の調節は、流出通路の吐出口が位置するヘッド先端に着脱可能に取付けたアタッチメントにより行う請求項1〜9のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項1】
発泡剤を混入した少なくとも2種のプラスチックフォーム薬液を加圧状態で混合吐出するミキシングヘッドにおいて、
吐出口を有する流出通路と、該流出通路に交叉して開口し内壁に前記薬液の注入口を形成した混合室と、前記流出通路を挟んで前記混合室に対設した調節室と、該混合室に収挿され前記開口部から前記注入口の開放位置までの間を往復動する注入ピストンと、該調節室に収挿され前記混合室内に進退する前記注入ピストンより径が小さい絞りピストンを備え、
前記薬液が前記注入口から混合室内へ注入されると同時に前記絞りピストンを、そのストロークを制御しつつ混合室に挿入しその挿入率を調節することにより、前記混合室内の圧力を調節すると共に吐出時における混合液の急激な膨張を抑えるようにしたことを特徴とする圧力制御機構を備えたミキシングヘッド。
【請求項2】
流出通路には、交叉する混合室の開口位置から吐出口まで往復動するクリーニングピストンを収挿した請求項1のミキシングヘッド。
【請求項3】
絞りピストンの断面積は、注入ピストンの断面積の70%以上98%未満に形成した請求項1又は2のミキシングヘッド。
【請求項4】
絞りピストンの混合室への挿入率は、混合室のストローク深さの5%以上80%未満である請求項1〜3のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項5】
混合室内の圧力は、絞りピストンの断面積、及び、絞りピストンの混合室への挿入率を調節することにより0.5MPa以上2MPa以下に保持する請求項1〜4のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項6】
絞りピストンのストローク制御は、少なくとも1種のプラスチックフォーム薬液の圧力に基づきアクチュエータにより自動で行う請求項1〜5のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項7】
発泡剤は、二酸化炭素、又は、二酸化炭素と他の低沸点ガスの混合ガスである請求項1〜6のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項8】
発泡剤の混入は、混合室に注入する前のプラスチックフォーム薬液に対し行うか、又は、当該混合室の内部で行う請求項1〜7のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項9】
低沸点ガスの供給切替機構を備えた請求項1〜8のいずれかのミキシングヘッド。
【請求項10】
吐出混合液の圧力保持及び液流の調節は、流出通路の吐出口が位置するヘッド先端に着脱可能に取付けたアタッチメントにより行う請求項1〜9のいずれかのミキシングヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−51013(P2009−51013A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217125(P2007−217125)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る出願(平成18年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構「超臨界二酸化炭素を利用した硬質ポリウレタンフォーム成果普及事業」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【出願人】(597018576)東邦機械工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る出願(平成18年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構「超臨界二酸化炭素を利用した硬質ポリウレタンフォーム成果普及事業」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【出願人】(597018576)東邦機械工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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