説明

圧接測定対応熔接ゲージ

【課題】スライダーの指示部の目盛と倍率対応目盛との交点を読み取り素早く合否判定ができる。
【解決手段】ゲージ本体aにピン12により回動自在に軸着する回転子b、隙間・のど厚ゲージ体cと、下方部より突設する第1あご板部3と対向する当て部4と内側に窓孔5を形成するスライダーdをゲージ本体aの下方部にスライド自在に取着し、上方端縁部6の所定個所より表面に使用頻度の高い鉄筋径等の丸棒径測定目盛8を付記した指示部7を突設し、ゲージ本体aの裏面部2に指示部7に記載の鉄筋径等に対応する圧接部の膨らみ直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定機能を有する検査規定の倍率対応測定目盛9を付記し、窓孔5より見ることが可能な測定目盛5aを付記し、第1あご部3とスライダーdの当て部4により測定時にスライドしたスライダーdの指示部7に付記した測定目盛8と倍率対応測定目盛9との交点を読み取り合否判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接測定対応熔接ゲージの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来熔接ゲージとして本件出願人が有する実用新案登録第3089649号登録実用新案公報が開示されその構成として、図2に図示されているように、ゲージ本体1の裏面部13に窓孔20と当て部19を有する肉盛長さ・幅員及び径ゲージ体4がスライド自在に枢着し、隙間・のど厚ゲージ体3が取着された構成である。
【0003】
さらに、前記ゲージ本体1の裏面部13には、上端縁部に測定目盛16と右側縁部に測定目盛15が、さらに前記肉盛長さ・幅員及び径ゲージ体4の窓孔20から測定目盛18が見える構成である。
【特許文献1】実用新案登録第3089649号登録実用新案公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の圧接測定対応熔接ゲージが解決しようとする課題は以下のとおりである。
【0005】
従来開示の実用新案登録第3089649号登録実用新案公報の熔接ゲージは、圧接外観寸法測定機能がないことと、さらにアンダーカット測定において正確な測定に対応することができない構成である。
【0006】
しかるに本発明の圧接測定対応熔接ゲージは、このゲージを構成するゲージ本体の裏面部に、窓孔を有するスライダーの上端縁部の所定個所に使用頻度の高い鉄筋径(φ19、22、25、29、32)を付記した指示部を突設し、さらに前記ゲージ本体の裏面部に検査規定の倍率対応目盛(1/4、1.0〜1.6倍)を記載し、前記スライダーの当て部と第1あご部とを介して圧接部の膨らみの直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定時において、前記スライダーの指示部の目盛と前記倍率対応目盛との交点を読み取ることで素早く合否判定ができるようにした。
【0007】
また本発明の圧接測定対応熔接ゲージを構成するゲージ本体の下方開口部を従来のものより、約7mm深くし、前記鉄筋の膨らみ径が50φまでの測定に対応せしめた。
【0008】
さらに本発明の圧接測定対応熔接ゲージの回転子を構成するアンダーカット測定用端子の先端部を研磨し鋭利にして、アンダーカットの測定を従来のものに比し、より正確な測定に対応することができるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記標題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、ゲージ本体aにピン12によって回動自在に軸着する回転子b及び隙間・のど厚ゲージ体cと、前記ゲージ本体aを構成する下方部より突設する第1あご板部3と対向する当て部4と内側に窓孔5を形成するスライダーdを前記ゲージ本体aの下方部にスライド自在に取着し、前記スライダーdの上方端縁部6の所定個所より表面に使用頻度の高い鉄筋径等の丸棒径測定目盛8を付記した指示部7を突設し、前記ゲージ本体aの裏面部2に前記指示部7に記載の鉄筋径等に対応する圧接部の膨らみ直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定機能を有する検査規定の倍率対応測定目盛9を付記し、且前記スライダーdの窓孔5より見ることが可能な測定目盛5aを付記すると共に、前記第1あご部3とスライダーdの当て部4とによって測定時にスライドした前記スライダーdの指示部7に付記した測定目盛8と前記倍率対応測定目盛9との交点を読み取り合否判定ができるようにした圧接測定対応熔接ゲージである。
【0010】
上記標題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、前記スライダーdの指示部7は、鉄筋径等の中、使用頻度の高い数字の19、22、25、29、32、35とする圧接測定対応熔接ゲージである。
【0011】
上記標題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、前記スライダーdの指示部7は、φ=19mmから1mm間隔で35mmとする圧接測定対応熔接ゲージである。
【0012】
上記標題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、前記倍率対応測定目盛9は、4分の1、1.0、1.2、1.4、1.6の5種類とする圧接測定対応熔接ゲージである。
【0013】
上記標題を解決するための手段として、請求項5に記載の発明は、前記倍率対応測定目盛9は、最初の4分の1の測定目盛の傾斜角度を大にし、前記測定目盛が1.0から1.6と大きくなるに比例して傾斜角度を漸次小さくする圧接測定対応熔接ゲージである。
【0014】
上記標題を解決するための手段として、請求項6に記載の発明は、前記ゲージ本体aの第1あご板部3の深さを、既設のものより約7mm深くし、前記圧接部の膨らみ径の50φまでの測定に対応可能にした圧接測定対応熔接ゲージである。
【0015】
上記標題を解決するための手段として、請求項7に記載の発明は、前記回転子bを構成するアンダーカット測定用端子10の先端部11を研磨し鋭利にする圧接測定対応熔接ゲージである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の本発明は、ゲージ本体aにピン12によって回動自在に軸着する回転子b及び隙間・のど厚ゲージ体cと、前記ゲージ本体aを構成する下方部より突設する第1あご板部3と対向する当て部4と内側に窓孔5を形成するスライダーdを前記ゲージ本体aの下方部にスライド自在に取着し、前記スライダーdの上方端縁部6の所定個所より表面に使用頻度の高い鉄筋径等の丸棒径測定目盛8を付記した指示部7を突設し、前記ゲージ本体aの裏面部2に前記指示部7に記載の鉄筋径等に対応する圧接部の膨らみ直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定機能を有する検査規定の倍率対応測定目盛9を付記し、且前記スライダーdの窓孔5より見ることが可能な測定目盛5aを付記すると共に、前記第1あご部3とスライダーdの当て部4とによって測定時にスライドした前記スライダーdの指示部7に付記した測定目盛8と前記倍率対応測定目盛9との交点を読み取り合否判定ができるようにした圧接測定対応熔接ゲージなので、前記スライダーの当て部と第1あご部とを介して圧接部の膨らみの直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定時において、前記スライダーの指示部の目盛と前記倍率対応目盛との交点を読み取ることで素早く合否判定ができる利点がある。
【0017】
請求項2の本発明は、前記スライダーdの指示部7が、鉄筋径等の中、使用頻度の高い数字の19、22、25、29、32、35とする圧接測定対応熔接ゲージなので前記請求項1に記載の発明の効果と同じ効果を有している。
【0018】
請求項3の本発明は、前記スライダーdの指示部7が、φ=19mmから1mm間隔で35mmとする圧接測定対応熔接ゲージなので、前記請求項1又は同2に記載の発明と同じ効果を有している。
【0019】
請求項4の本発明は、前記倍率対応測定目盛9が、4分の1、1.0、1.2、1.4、1.6の5種類とする圧接測定対応熔接ゲージなので、前記請求項1又は同2又は同3に記載の発明と同じ効果を有している。
【0020】
請求項5の本発明は、前記倍率対応測定目盛9が、最初の4分の1の測定目盛の傾斜角度を大にし、前記測定目盛が1.0から1.6と大きくなるに比例して傾斜角度を漸次小さくする圧接測定対応熔接ゲージなので、前記請求項1又は同2又は同3又は同4に記載の発明と同じ効果を有している。
【0021】
請求項6の本発明は、前記ゲージ本体aの第1あご板部3の深さを、既設のものより約7mm深くし、前記圧接部の膨らみ径の50φまでの測定に対応可能にした圧接測定対応熔接ゲージなので前記請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5に記載の発明と同じ効果を有している。
【0022】
さらに本発明は、従来の熔接ゲージより、約7mm深くし、前記鉄筋の膨らみ径が50φまでの測定に対応させた。
【0023】
請求項6の本発明は、前記回転子bを構成するアンダーカット測定用端子10の先端部11を研磨し鋭利にする圧接測定対応熔接ゲージなので、アンダーカットの測定を従来の熔接ゲージに比し、より正確な測定に対応することができるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
請求項1〜7に記載の発明に関する実施の形態は共通しているので以下のとおり一括して説明する。
【0025】
図において、aは本発明の熔接ゲージを構成するゲージ本体である。その構成は以下のとおりである。
【0026】
前記ゲージ本体aの表面部1には、回転子bが表面部1にピン12を介して回動自在に軸着してる(図1)。さらにこのゲージ本体aは左側方のアンダーカット測定用端子10について改良しているが、具体的説明は後述する。
【0027】
前記ゲージ本体aの裏面部2には、隙間・のど厚ゲージ体cが取着されている。このゲージ体cは公知とのものである。
【0028】
図においてdはスライダーであり以下の構成からなっている。
【0029】
このスライダーdは、前記ゲージ本体aの裏面部2にして、且下方より突設する第1あご板部3と対向する左側方端部に突設する当て部4を有し、且内側に細長形状の窓孔5を形成する。
【0030】
前記の構成からなるスライダーdは、前記ゲージ本体aの下方部にピン12を介して左右両サイドに水平状に取着する。
【0031】
さらに前記スライダーdは、直線状の上方端縁部6の所定個所例えば稍中央部に、前記直線状の上方端縁部6に対し直角状に突出する指示部7を形成する。
【0032】
そして前記指示部7の表面に、使用頻度が高い鉄筋径等の丸棒径測定目盛8を付記する。
【0033】
前記スライダーdの指示部7の丸棒測定目盛8は、鉄筋径等の中、使用頻度の高い数字の「19」、「22」、「25」、「29」、「32」、「35」とする(図2)。従って限定しない。
【0034】
また前記測定目盛8を、φ19mmから1mm間隔で35mmとする(図2)。
【0035】
さらに前記ゲージ本体aの裏面部3に、前記スライダーdの指示部7に付記した鉄筋径等の数字に対応する圧接部の膨らみ13の直径測定と、同じく圧接部の膨らみ13の長さ測定と圧接面のズレ14の測定機能を有する検査規定(国土交通省告示による)の倍率対応測定目盛9を記載する(図2)。
【0036】
そして、前記倍率対応測定目盛9は、4分の1、1.0、1.2、1.4、1.6の5種類とする。
【0037】
さらに、前記倍率対応測定目盛9において、最初の4分の1の測定目盛の傾斜角度は大にし、前記測定目盛が1.0から1.6と大きくなるに比例して傾斜角度は漸次小さくする。
【0038】
また前記指示部7に付記の測定目盛8は、前記ゲージ本体aの裏面部2の右方向に延長して表示する水平ラインと一致している。
【0039】
従って、傾斜角度の異なる前記倍率対応測定目盛9と、前記ゲージ本体aの裏面部2の右方向に延長して表示する水平ラインと交叉状に図示されている(図2)。
【0040】
さらに前記スライダーdの窓孔5より見ることが可能な測定目盛5aを前記ゲージ本体aの裏面部2に付記する。その目盛5aは図5、6、7に図示のとおり0、10、20、30、40、50mmである。
【0041】
さらに前記ゲージ本体aの第1あご板部3の深さを、既設のものより約7mm深くし、前記圧接部の膨らみ径の50φまでの測定に対応可能にした。
【0042】
前記回転子bを構成するアンダーカット測定用端子10の先端部11は、研磨して鋭利に形成する。
【0043】
本発明の熔接ゲージを使用して、鉄筋15径等の圧接部の膨らみ13の直径測定もしくは、同じく圧接部の膨らみ13長さ測定と圧接面のズレ14の測定をするときは、前記第1あご部3とスライダーdの当て部4とによって測定すると、鉄筋15の径がスライダーdの窓孔5に図5、図6、図7のように外側目盛5aがあらわれる。
【0044】
図5は前記圧接部の膨らみ13の直径測定時のものであるが、前記圧接部の膨らみ13が測定目盛5aの24mmを測定指示すると、指示部7の測定目盛8の24mmと交叉する傾斜している前記倍率対応測定目盛9が1.0であることを読み取り合否判定をする。
【0045】
図6は圧接部の膨らみ13の長さ測定を示す図であり、前記図5の測定方法と同じ手法なので具体的説明は省略する。
【0046】
さらに図7は、圧接面のズレ測定の測定方法を図示しているものであるが、前記図5のケースと同じ測定手法なので、その具体的説明は省略する。
【0047】
また本発明は、前記回転子bを構成するアンダーカット測定用端子10の先端部11を研磨し鋭利にしたので、従来の端子10aと異なり、アンダーカット測定をより一層正確な測定対応ができるに至った。
【0048】
さらに本発明は、従来の熔接ゲージより、約7mm深くしたので、前記鉄筋の膨らみ径が50φまでの測定に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の圧接測定対応熔接ゲージの正面図である。
【0050】
【図2】同ゲージの背面図である。
【0051】
【図3】同鉄筋径の圧接部の膨らみと検査規定の倍率対応目盛との関係を示す図である。
【0052】
【図4】同鉄筋径の圧接面のズレ測定と検査規定の倍率対応測定目盛との関係を示す図である。
【0053】
【図5】同熔接ゲージが鉄筋圧接部の膨らみの直径測定をしているときの状態を示す図である。
【0054】
【図6】同熔接ゲージの鉄筋圧接部の膨らみの長さを測定しているときの状態を示す図である。
【0055】
【図7】同熔接ゲージの鉄筋圧接部の圧接面のズレ測定をしているときの状態を示す図である。
【0056】
【図8】同熔接ゲージの回転子のアンダーカット測定用端子の先端部を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
a ゲージ本体
b 回転子
c 隙間・のど厚ゲージ体
d スライダー
1 表面部
2 裏面部
3 第1あご板
4 当て部
5 窓孔
5a 測定目盛
6 上方端縁部
7 指示部
8 測定目盛
9 測定目盛
10 測定用端子
10a 端子
11 先端部
12 ピン
13 膨らみ
14 ズレ
15 鉄筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲージ本体aにピン12によって回動自在に軸着する回転子b及び隙間・のど厚ゲージ体cと、前記ゲージ本体aを構成する下方部より突設する第1あご板部3と対向する当て部4と内側に窓孔5を形成するスライダーdを前記ゲージ本体aの下方部にスライド自在に取着し、前記スライダーdの上方端縁部6の所定個所より表面に使用頻度の高い鉄筋径等の丸棒径測定目盛8を付記した指示部7を突設し、前記ゲージ本体aの裏面部2に前記指示部7に記載の鉄筋径等に対応する圧接部の膨らみ直径測定と圧接部の膨らみ長さ測定と圧接面のズレ測定機能を有する検査規定の倍率対応測定目盛9を付記し、且前記スライダーdの窓孔5より見ることが可能な測定目盛5aを付記すると共に、前記第1あご部3とスライダーdの当て部4とによって測定時にスライドした前記スライダーdの指示部7に付記した測定目盛8と前記倍率対応測定目盛9との交点を読み取り合否判定ができるようにしたことを特徴とする圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項2】
前記スライダーdの指示部7は、鉄筋径等の中、使用頻度の高い数字の19、22、25、29、32、35とすることを特徴とする請求項1に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項3】
前記スライダーdの指示部7は、φ=19mmから1mm間隔で35mmとすることを特徴とする請求項1又は同2に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項4】
前記倍率対応測定目盛9は、4分の1、1.0、1.2、1.4、1.6の5種類とすることを特徴とする請求項1又は同2又は他端部同3に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項5】
前記倍率対応測定目盛9は、最初の4分の1の測定目盛の傾斜角度を大にし、前記測定目盛が1.0から1.6と大きくなるに比例して傾斜角度を漸次小さくすることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項6】
前記ゲージ本体aの第1あご板部3の深さを、既設のものより約7mm深くし、前記圧接部の膨らみ径の50φまでの測定に対応可能にしたことを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。
【請求項7】
前記回転子bを構成するアンダーカット測定用端子10の先端部11を研磨し鋭利にすることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6に記載の圧接測定対応熔接ゲージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−96542(P2010−96542A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265576(P2008−265576)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(391011836)新潟精機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】