説明

圧縮成形装置

【課題】成形型に供給する合成樹脂の偏りを抑制し、さらには圧縮成形する合成樹脂の形状をこれから成形しようとする前成形体の形状に成形しやすくすること。
【解決手段】雌型31は、可動ロッド34と可動ロッド34を囲繞する雌型本体33とを含み、雌型本体33には上方に開放されたキャビティー孔33aが形成されており、可動ロッド34は通常位置と通常位置よりも上方に移動された上昇位置との間を昇降動され、合成樹脂の切断・保持ユニット14から合成樹脂8が落下される際には可動ロッド34が上昇位置に移動され合成樹脂8は該中央部材の上面上に落下される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂で圧縮成形される蓋、容器、容器のプリフォームなどを圧縮成形する圧縮成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等のための容器として、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような合成樹脂から形成された合成樹脂製容器が広く実用に供されている。ブロー成形することによって合成樹脂製容器にされる前成形体(プリフォーム)は、圧縮成形装置を用いた圧縮成形によって成形が可能である。このような圧縮成形の遂行に際し、押出機のダイヘッドの吐出口から押し出された溶融状態の合成樹脂は、樹脂供給装置によって圧縮成形装置に供給される。圧縮成形装置では、溶融状態の合成樹脂を圧縮成形して前成形体を成形し、次いでかかる前成形体をブロー成形することによって、ボトルを形成することができる。
【0003】
下記の特許文献1には、前成形体の圧縮成形方法が開示されている。かかる圧縮成形方法においては、押出機の押出開口から押し出された溶融状態の合成樹脂をカッターで切断し、切断された合成樹脂(ドロップ)を圧縮成形装置の樹脂供給域に搬送している。樹脂供給域では、所定案内位置に位置させている案内手段を通して切断された合成樹脂を、開状態にある成形型の上方に開放された凹部内に、落下するようにしている。そして、成形型を閉状態にし、凹部内に落下された合成樹脂を所定形状に圧縮成形している。
【0004】
上述の合成樹脂の案内手段は、下方に向かって断面積が漸次減少する逆円錐台形状の上部案内路と上部案内路に続く直立筒形状の下部案内路とを有している。下部案内路の断面形状は、上部案内路の下端の断面形状と実質上同一である。案内手段を通して、成形型の凹部内に合成樹脂を落下させる際には、案内手段はその上部案内路及び下部案内路の中心軸線を凹部の中心軸線に合致させた案内位置に位置するようにし、合成樹脂は案内手段の上部案内路及び下部案内路を通る際に、凹部の中心位置に位置合わせされる。
【特許文献1】特開2000−280248号公報(溶融樹脂の位置合わせに関する記載がある)
【特許文献2】特表2007−508966号公報(雄型を下型とし雌型を上型とする記載がある)
【特許文献3】特公平6−2359号公報(雄型を下型とし雌型を上型とする内容がある)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている圧縮成形方法には、次のとおりの解決すべき問題が存在することが判明した。例えば広口容器を成形するための前成形体を圧縮成形する成形型においては、凹部の内径が比較的大きく、切断された合成樹脂の外径に対して凹部の内径が相当大きくなる。特に合成樹脂の外径に対して凹部の内径が相当大きい場合に、案内手段を通ることによって一旦は凹部の中心に位置合わせされた合成樹脂が、凹部内に落下した後に凹部の中心に対して移動し、凹部内に偏って位置されてしまう傾向がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、成形型における凹部内の合成樹脂の偏りを充分に抑制して合成樹脂を凹部内に所要とおりに位置させ、さらには圧縮成形する合成樹脂の形状をこれから成形しようとする成形体又は前成形体の形状に成形しやすくすることができる圧縮成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の圧縮成形装置は、上方に開放された成形凹部(キャビティ孔)を有する雌型部材、該雌型部材の上方に配置され該雌型部材に対して相対的に昇降動されて、該雌型部材と協働して成形空間を規定する閉位置と該雌型部材から上方に離隔して位置する開位置とに選択的に位置される雄型部材、及び該雄型部材が該開位置に位置されている時に該雌型部材と該雄型部材との間に位置される合成樹脂素材搬入手段(合成樹脂供給装置)を具備し、該合成樹脂素材搬入手段は保持している合成樹脂素材を該雌型部材内に落下させる圧縮成形装置において、該雌型部材は中央部材(可動ロッド)と該中央部材を囲繞する周縁部材(雌型本体)とを含み、該周縁部材には上方に開放された凹部が形成されており、該中央部材はその上面が該周縁部材の該凹部と協働して該成形凹部を規定する通常位置と該通常位置よりも上方に移動された上昇位置との間を昇降動され、該合成樹脂素材搬入手段から合成樹脂素材が落下される際には該中央部材が該上昇位置に移動され合成樹脂素材は該中央部材の上面(載置面)上に落下されるようにした。
また、上記目的を達成するために、本発明の圧縮成形装置は、成形凹部を有する雌型部材、該雌型部材に対して相対的に昇降動されて、該雌型部材と協働して成形空間を規定する閉位置と該雌型部材から離隔して位置する開位置とに選択的に位置される雄型部材、及び該雄型部材が該開位置に位置されている時に該雌型部材と該雄型部材との間に位置される合成樹脂素材搬入手段(合成樹脂供給装置)を具備し、該合成樹脂搬入手段は保持している合成樹脂素材を落下させる圧縮成形装置において、該雌型部材の該成形凹部は下方に開放されており、該雄型部材は該雌型部材の下方に配置されており、該合成樹脂素材搬入手段から落下される合成樹脂素材は該雄型部材上に落下されるようにした。
上記圧縮成形装置の該合成樹脂素材搬入手段は、保持している合成樹脂素材に下方に指向された気体流を作用させて合成樹脂素材を下方に強制する気体流噴射手段(噴き出しノズル)を備えることができる。
上記圧縮成形装置の該合成樹脂素材搬入手段は、保持している合成樹脂素材に作用して下方に強制する押下部材(昇降ロッド)を備えることができる。
上記圧縮成形装置は、該合成樹脂素材搬入手段から落下した合成樹脂素材が該雌型部材の該中央部材の上面上に或いは該雄型部材上に到達した後も該気体流噴射手段による気体流の噴射或いは該押下部材による強制が継続されて合成樹脂素材が予備成形されることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、雌型部材の中央部材が昇降動するので、合成樹脂素材搬入手段から中央部材に合成樹脂素材を落下させるときに、中央部材を上昇位置に配置することによって、合成樹脂素材搬入手段と中央部材の上面との距離を短縮して、落下距離を短くすることで正確な位置に合成樹脂素材を配置することができる。また、雄型部材を下型にすることで、合成樹脂の落下距離を短くできるので、雄型部材上に正確に合成樹脂素材を落下させることができる。
上記圧縮成形装置は、該合成樹脂素材搬入手段から落下した合成樹脂素材が該雌型部材の該中央部材の上面上に或いは該雄型部材上に到達した後も該気体流噴射手段による気体流の噴射或いは該押下部材による強制が継続されて合成樹脂素材が予備成形されるので、予め合成樹脂素材が圧縮成形されやすい形状に成形され、位置ズレもないことから圧縮成形時の合成樹脂素材の方向性もよく、均一に周囲に拡がることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態による圧縮成形装置について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の圧縮成形方法の好適実施形態を実施するための成形システム1の概略平面図、図2は図1の成形システムの一部を示す部分拡大平面図である。
この成形システム1は、押出機2、合成樹脂供給装置3、圧縮成形装置4及び搬出装置5を備えている。
押出機2は、ほぼ筒状の外形を有しており、PP、PET等の合成樹脂素材を加熱溶融及び混練して、溶融樹脂を生成する。押出機2の先端側は、実線で示す非作用位置と二点鎖線で示す作用位置との間を移動自在に装着されている押出ノズル7を含んでおり、この押出ノズル7にはその先端部下面に形成されている図3のA及びBに示す押出開口20まで延びる樹脂流路が形成されている。すなわち、押出機2は溶融合成樹脂8を押出ノズル7に連続的に送出し、押出機2から送出された合成樹脂8が押出開口20から押し出される。成形システム1の作動時では、押出ノズル7は図1の二点鎖線で示す作用位置に位置し、非作動時に実線で示す非作用位置に待機されている。
【0010】
図1及び図2を参照して説明すると、合成樹脂供給装置3は矢印aで示す方向に回転駆動する回転円盤11を含んでいる。この回転円盤11の周縁には、周方向に等間隔をおいて複数個の切断・保持ユニット14が配設されている。回転円盤11の回転に応じて、切断・保持ユニット14は回転円盤11の周縁に沿って延在する円形搬送径路を通して搬送され、上記押出ノズル7の押出開口20に対向してその直ぐ下方に位置する受入域18、及び圧縮成形装置4の所定部位(後に詳述する如く、雌型における凹部)に対向してその上方に位置する樹脂供給域21を通して搬送される。
【0011】
図2と共に図3を参照して説明を続けると、切断・保持ユニット14の各々は、カッター17、第1の挟持部材15及び第2の挟持部材16を有する。第1の挟持部材15と第2の挟持部材16とは協働して、移動方向前面と共に上面及び下面が開放された受入空間を規定している。第2の挟持部材16は、図3のAに示す第1の挟持部材15から離隔する開放位置と、図3のBに示す第1の挟持部材15に接近する挟持位置との間を適宜に移動することができる。
カッター17は、受入空間の上方を横方向に延びている。切断・保持ユニット14が受入域18を通過する際には、図3のAに示すように、第2の挟持部材16は開放位置にあり、押出ノズル7の押出開口20から押し出されている溶融状態の合成樹脂8が受入空間内に受け入れられる。
【0012】
カッター17はその上面が押出ノズル7の下面に接触乃至近接して移動され、押出ノズル7の下面と協働して、押出開口20から押し出されている合成樹脂8を切断する。カッター17が合成樹脂8を切断し始めた後の適宜の時点で、図3のBに示すように、第2の挟持部材16が挟持位置に移動され、こうして押出開口20から切断された切断合成樹脂8が、第1の挟持部材15と第2の挟持部材16との間に挟持される。
切断・保持ユニット14が樹脂供給域21を通過する際には、第2の挟持部材16が開放位置に移動され、第1の挟持部材15と第2の挟持部材16との協働による合成樹脂8の挟持が開放され、合成樹脂8が下方の圧縮成形装置の図4に示す雌型31に落下される。
【0013】
図4は、本発明の第1の実施形態における金型30を示し、金型30は雌型31と雄型32とから構成され、雌型31は雌型本体33と可動ロッド34とを備えている。
雌型31は中央部材である円柱形状の可動ロッド34と該可動ロッド34を囲繞する雌型本体33とを含み、該雌型本体33には上方に開放された凹部33cが形成されている。可動ロッド34は、その載置面34aが雌型本体33の凹部33cと協働して、図4及び図5のDに示すキャビティー孔33aを形成する。可動ロッド34は、図5のDに示す通常位置(下降位置)と該通常位置よりも上方に移動された図5のAに示す上昇位置との間を昇降動される。可動ロッド34の上端部は、上方へ突出する緩やかな円弧形状に形成された合成樹脂8の載置面34aを形成している。
雄型32は、雄型本体35と雄型本体35の中央部に配設されているコア型36とを備えている。雄型32は図示しない駆動手段によって、上下に摺動することができる。
【0014】
図5のB及びCに示すように、上述の切断・保持ユニット14の合成樹脂8を保持する第1の挟持部材15と第2の挟持部材16で形成される合成樹脂8の保持する部位の上方には、気体の噴き出しノズル37を配設し、噴き出しノズル37には図示しない気体の供給手段に接続されている。噴き出しノズル37から噴出される気体は不活性ガスやエアなどの圧縮気体が排出される。第1の挟持部材15及び第2の挟持部材16の下部には、下側へ向かって裾拡がりの拡径部38が形成されている。
【0015】
次に、本発明の第1の実施形態における圧縮成形装置の作用について説明する。
上述した構成により、押出機2は、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂素材を加熱溶融及び混練して、合成樹脂8を押出ノズル7に搬送する。押出ノズル7の押出開口20から押し出された合成樹脂8は、カッター17によって切断され、押出開口20から切り離される。合成樹脂8が切り離された時には、第1及び第2の挟持部材15,16を閉じることによって合成樹脂8を保持する。閉状態の切断・保持ユニット14に保持された溶融樹脂8は、圧縮成形装置4の雌型31の上方位置まで移動させられる。
【0016】
雌型31では、予め図5のAに示すように、可動ロッド34が上昇位置に待機した状態に配置する。切断・保持ユニット14が圧縮成形装置4の雌型31が同一軌道上である樹脂供給域21(図2参照)に移動したときに、図5のBに示すように、切断・保持ユニット14は、雌型31の上方に位置する。このとき、合成樹脂8を載置する可動ロッド34の載置面34aが合成樹脂8に近接した位置に配置され、互いの軌道が樹脂供給域21に移動したときに、切断・保持ユニット14の第1及び第2の挟持部材15,16を開状態にして、図5のCに示すように、切断・保持ユニット14から可動ロッド34の載置面34a上に合成樹脂8が落下される。
この際、噴き出しノズル37から圧縮空気を合成樹脂8の任意の部位に噴出し、合成樹脂8の形状を整えるとともに、合成樹脂8の位置決めを行う。この合成樹脂8の予備成形は、例えば、合成樹脂8の圧縮時に拡げられる方向(溶融樹脂が拡がりにくい方向があれば、その方向)へ合成樹脂8の形状を予備成形するとよい。この際、第1及び第2の挟持部材15,16の下部には、拡径部38が形成されているので、合成樹脂8の予備成形を妨げることがない。
【0017】
その後、図5のDに示すように、切断・保持ユニット14が、金型30の軌道上から離れ、可動ロッド34が下降位置まで、合成樹脂8とともに下降する。合成樹脂8は、形状が整えられ、可動ロッド34上の載置面34aに付着するように保持されているので、合成樹脂8の位置ズレを防止できる。また、合成樹脂8の落下距離が短いので正確な位置に合成樹脂8を配置することができる。
次いで、雄型32が下降することによって、雄型32が雌型31の上に重ねられ、雄型32とともにコア型36が下降して合成樹脂8が圧縮されることによって、容器の圧縮成形が行われる。圧縮成形時では、予め合成樹脂8が圧縮成形されやすい形状に成形され、位置ズレもないことから圧縮成形時の溶融樹脂8の方向性もよく、均一に周囲に拡がることができる。
圧縮成形された、容器(又は蓋、プリフォームなど)は、冷却後に金型30からとりだされる。
【0018】
なお、本実施形態では、合成樹脂8は一層(一種類)の溶融樹脂を用いたが、中心のコア層とコア層の周りにシェル層を有する二層以上の合成樹脂を用いて(特許文献1を参照)、本実施形態と同様な方法で圧縮成形をすることができる。特に、そのような二層以上の合成樹脂は、例えば機械的特性及び衛生性に優れた外側層内にガスバリア性に優れた内側層が包み込まれている構造である場合、合成樹脂の雌型内での偏りは、合成樹脂のコア層が均一に拡がらないという重大な問題を発生させる。本実施形態によれば、多層構造の合成樹脂を圧縮成形するにも好適な効果を有する。これについては、以下に述べる他の実施形態も同様である。
【0019】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態に対して金型30のみが異なるので、この異なる構成部分についてのみ説明する。
図6の金型40は、図6のAに示すように、雄型42を下型に配置し雌型41を上型に配置した例である。雄型42は中心部に上側に突出するパンチ本体43が設けられ、パンチ本体43の上部に下側へ円弧状に窪む凹部43aを形成している。雌型41は、中央にキャビティー孔41aを形成している。
このような構成により、待機状態にある雄型42のパンチ本体43の上方へ、図6のBに示すように切断・保持ユニット14が搬送されたときにパンチ本体43の凹部43aに合成樹脂8が近接した位置に配置される。このようにそれらの互いの軌道が樹脂供給域21(図2参照)に移動したときに、切断・保持ユニット14の第1及び第2の挟持部材15,16を開状態にして、図6のCに示すように、切断・保持ユニット14からパンチ本体43の凹部43a上に合成樹脂8が落下される。この際、雄型42が下型にあるので、合成樹脂8の落下距離が短く凹部43aの正確な位置に合成樹脂8を配置することができる。
【0020】
この際、噴き出しノズル37から圧縮空気が合成樹脂8の任意の部位に噴出し、合成樹脂8は、形状が整えられ、パンチ本体43の凹部43aに付着するように保持されているので、合成樹脂8の位置ズレを防止できる。
合成樹脂8が予備成形された後は、図6のDに示すように、切断・保持ユニット14が金型40から離れる。成形時では、予め合成樹脂8が圧縮成形されやすい形状に成形され、位置ズレもないことから圧縮成形時の方向性もよく、均一に周囲に拡がることができる。
圧縮成形された、容器(又は蓋、プリフォームなど)は、冷却後に金型40からとりだされる。
【0021】
次に、本発明の第3の実施形態について、図7及び図8を参照にして説明し、上記第1の実施形態と同じ部分については同一符合を付して説明する。
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態で説明した金型30(図4参照)と同じ金型を用いており、異なるのは切断・保持ユニット14に備えた噴き出しノズル37を廃止し、昇降ロッド51を金型に備えている。
図7に示すように、雌型31は雌型本体33と可動ロッド34とを備えている。雌型本体33は、中央部の上側にキャビティー孔33a(図7のD参照)と該キャビティー孔33aの下部に連通する摺動孔33bが形成され、円柱形状の可動ロッド34は摺動孔33bを駆動手段によって上下動することができ、図7のAに示す上方位置と、図7のDに示す下方位置に位置することができる。可動ロッド34の上端部は、上方へ突出する緩やかな円弧形状に形成された合成樹脂8の載置面34aを形成している。
【0022】
雌型31の上部には、軸を上下方向に向けた昇降ロッド51が配設され、昇降ロッド51の先(下)端部には、合成樹脂8を雌型側へ押し込むプッシャー51aが取付けられている。昇降ロッド51は、上下動することができ、プッシャー51aと可動ロッド34の載置面34aと対向して配置され、本実施形態では昇降ロッド51と可動ロッド34の軸心を一直線上に一致させている。図7のBに示すように、切断・保持ユニット14と雌型31との軌道を一致させたときには、昇降ロッド51と雌型31との間に、切断・保持ユニット14を配置することができる。昇降ロッド51のプッシャー51aは、切断・保持ユニット14の合成樹脂8の保持部を挿通するように構成されている。
図8は、プッシャー51の形態を示しており、図8のAに示すプッシャー51aの先端形状は平面であり、図8のBに示すプッシャー51bの先端形状は凸球面形状であり、図8のCに示すプッシャー51cの先端形状は、凹球面形状に形成されたものなどが使用できるが、成形体の形状によって適宜異なる。なお、昇降ロッド51は、切断・保持ユニット14に取付けることもできる。
【0023】
このような構成により、雌型31では、予め図7のAに示すように、可動ロッド34が上昇位置に待機した状態で、昇降ロッド51を上昇位置に配置する。切断・保持ユニット14が圧縮成形装置4の雌型31の上方に位置したとき、図7のBに示すように、合成樹脂8を載置する可動ロッド34の載置面34aが合成樹脂8に近接した位置に配置される。すると、第1及び第2の挟持部材15,16が開状態になり、可動ロッド34の載置面34aに合成樹脂8を落とし込む。そして、昇降ロッド51が下降し、第1及び第2の挟持部材15,16の内部に挿入され、合成樹脂8をプッシャー51aの先端面の形状に応じて、予備成形することができる。例えば、合成樹脂8の圧縮成形時に拡げられる方向(溶融樹脂が拡がりにくい方向があれば、その方向)へ向かって合成樹脂8の形状を予備成形するとよい。この際、第1及び第2の挟持部材15,16の下部には、拡径部38が形成されているので、合成樹脂8の変形を妨げることがない。
【0024】
その後、昇降ロッド51が上昇位置に戻り、切断・保持ユニット14が図7のDに示すよう雌型31の上部位置から離れ、可動ロッド34が下降位置まで、合成樹脂8とともに下降する。合成樹脂8は、形状が整えられ、可動ロッド34上の載置面34aに付着するように保持されているので、合成樹脂8の位置ズレを防止できる。また、合成樹脂8の落下距離が短いので、載置面34aの正確な位置に合成樹脂8を配置することができる。
次いで、雄型32が下降することによって、雄型32が雌型31の上に重ねられ、コア型36が下降して合成樹脂8が圧縮されることによって、容器の成形が行われる。成形時では、予め合成樹脂8が圧縮成形されやすい形状に成形され、位置ズレもないことから圧縮成形時の方向性もよく、均一に周囲に拡がることができる。
圧縮成形された、容器(又は蓋、プリフォームなど)は、冷却後に金型30からとりだされる。
【0025】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、上記第2の実施形態に対して噴き出しノズル37に代えて、上記第3の実施形態の昇降ロッド51を用いた例である。
図の金型40は、図9のDに示すように、雄型42を下型に配置し雌型41を上型に配置した例である。雄型42は中心部に上側に突出するパンチ本体43が設けられ、パンチ本体43の上部に下側へ窪む凹部43aを形成している。雌型41は、中央にキャビティー孔41aを形成している。
雄型42の上部には、軸を上下方向に向けた昇降ロッド51が配設され、昇降ロッド51の先(下)端部には、合成樹脂8を雄型側へ押し込むプッシャー51aが取付けられている。昇降ロッド51は、上下動することができ、プッシャー51aとパンチ本体43の凹部43aと対向して配置され、図9のBに示すように、切断・保持ユニット14と雄型42との軌道を一致させたときには、昇降ロッド51と雄型42との間に、切断・保持ユニット14を配置することができる。昇降ロッド51のプッシャー51aは、切断・保持ユニット14の合成樹脂8の保持部を挿通するように構成されている。
【0026】
このような構成により図9のBに示すように、待機状態にある雄型42のパンチ本体43の上方へ切断・保持ユニット14が搬送されたときにパンチ本体43の凹部43aに合成樹脂8が近接した位置に配置される。そして、互いの軌道が樹脂供給域21(図2参照)に移動したときに、切断・保持ユニット14の第1及び第2の挟持部材15,16を開状態にして、図6のCに示すように、パンチ本体43の凹部43a上に合成樹脂8が落下される。合成樹脂8の落下距離が短いので正確な位置に合成樹脂8を配置することができる。
【0027】
次いで、図9のCに示すように、昇降ロッド51が下降し、第1及び第2の挟持部材15,16の内部に挿入され、合成樹脂8をパンチ本体43の凹部43aに押圧する。この際、昇降ロッド51のプッシャー51aの先端面の形状に応じて、合成樹脂8を予備成形することができる。この際、第1及び第2の挟持部材15,16の下部には、拡径部38が形成されているので、合成樹脂8の変形を妨げることがない。
【0028】
その後、昇降ロッド51が上昇位置に戻り、切断・保持ユニット14及び昇降ロッド51が図7のDに示すように雄型31の軌道上から離れる。このように、合成樹脂8は、形状が整えられ、パンチ本体43の凹部43aに付着するように保持されているので、合成樹脂8の位置ズレを防止できる。また、合成樹脂8の落下距離が短いので正確な位置に合成樹脂8を配置することができる。
次いで、雌型31が下降することによって、雄型32の上に雌型31が重ねられ、合成樹脂8が圧縮されることによって、容器の成形が行われる。成形時では、予め合成樹脂8が圧縮成形されやすい形状に成形され、位置ズレもないことから圧縮成形時の方向性もよく、均一に周囲に拡がることができる。
圧縮成形された、容器(又は蓋、プリフォームなど)は、冷却後に金型30からとりだされる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的思想に基づいて、勿論、本発明は種々の変形又は変更が可能である。
さらには、本圧縮成形装置は、切断・保持ユニット14や金型が多数、連続回転するものに限らず、1個取りでもよいし、直線搬送形式でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の圧縮成形方法の好適実施形態を実施するための成形システム1の概略平面図である。
【図2】図2は図1の成形システムの一部を示す部分拡大平面図である。
【図3】図2の成形システムにおける合成樹脂供給装置のノズルと切断・保持ユニットを示し、Aは第1及び第2の挟持部材が開いた状態の断面図、Bは第1及び第2の挟持部材が閉じた状態の断面図である。
【図4】図2の圧縮成形装置の金型であり、本発明の第1及び第3の実施形態における金型の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、合成樹脂の形状を圧縮空気で予備成形している状態であって、Aは可動ロッドを上昇させた待機状態の断面図、Bは合成樹脂を雌型に搬送させた状態の断面図、Cは合成樹脂を可動ロッドに落下させて予備成形した状態の断面図、Dは可動ロッドを下降させた状態の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の合成樹脂の形状を圧縮空気で予備成形している状態であって(雄型が下型)、Aは雄型の待機状態の断面図、Bは合成樹脂を雄型に搬送させた状態の断面図、Cは合成樹脂を雄型に落下させて圧縮空気で合成樹脂を予備成形した状態の断面図、Dは雄型に合成樹脂を搬送させた状態の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の合成樹脂の形状をプッシャーで予備成形している状態であって、Aは可動ロッドを上昇させた待機状態の断面図、Bは合成樹脂を雌型に搬送させた状態の断面図、Cは合成樹脂を可動ロッドに落下させて予備成形した状態の断面図、Dは可動ロッドを下降させた状態の断面図である。
【図8】図7のプッシャーの形状を示し、Aは先端形状が平面であるプッシャーの断面図、Bは先端形状が凸球面形状であるプッシャーの断面図、Cは先端形状が凹球面形状のプッシャーの断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の合成樹脂の形状をプッシャーで予備成形している状態であって(雄型が下型)、Aは雄型の待機状態の断面図、Bは合成樹脂を雄型に搬送させた状態の断面図、Cは合成樹脂を雄型に落下させてプッシャーで合成樹脂を予備成形した状態の断面図、Dは雄型に合成樹脂を搬送させた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 成形システム
2 押出機
3 合成樹脂供給装置
4 圧縮成形装置
8 合成樹脂
14 切断・保持ユニット
15 第1の挟持部材
16 第2の挟持部材
30 金型
31 雌型
32,42 雄型
33a,41a キャビティー孔
34 可動ロッド
35 雄型本体
36 コア型
37 噴き出しノズル
51 昇降ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開放された成形凹部を有する雌型部材、該雌型部材の上方に配置され該雌型部材に対して相対的に昇降動されて、該雌型部材と協働して成形空間を規定する閉位置と該雌型部材から上方に離隔して位置する開位置とに選択的に位置される雄型部材、及び該雄型部材が該開位置に位置されている時に該雌型部材と該雄型部材との間に位置される合成樹脂素材搬入手段を具備し、該合成樹脂素材搬入手段は保持している合成樹脂素材を該雌型部材内に落下させる圧縮成形装置において、
該雌型部材は中央部材と該中央部材を囲繞する周縁部材とを含み、該周縁部材には上方に開放された凹部が形成されており、該中央部材はその上面が該周縁部材の該凹部と協働して該成形凹部を規定する通常位置と該通常位置よりも上方に移動された上昇位置との間を昇降動され、該合成樹脂素材搬入手段から合成樹脂素材が落下される際には該中央部材が該上昇位置に移動され合成樹脂素材は該中央部材の上面上に落下される、ことを特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
成形凹部を有する雌型部材、該雌型部材に対して相対的に昇降動されて、該雌型部材と協働して成形空間を規定する閉位置と該雌型部材から離隔して位置する開位置とに選択的に位置される雄型部材、及び該雄型部材が該開位置に位置されている時に該雌型部材と該雄型部材との間に位置される合成樹脂素材搬入手段を具備し、該合成樹脂搬入手段は保持している合成樹脂素材を落下させる圧縮成形装置において、
該雌型部材の該成形凹部は下方に開放されており、該雄型部材は該雌型部材の下方に配置されており、該合成樹脂素材搬入手段から落下される合成樹脂素材は該雄型部材上に落下される、ことを特徴とする圧縮成形装置。
【請求項3】
該合成樹脂素材搬入手段は、保持している合成樹脂素材に下方に指向された気体流を作用させて合成樹脂素材を下方に強制する気体流噴射手段を備えている、請求項1又は2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
該合成樹脂素材搬入手段は、保持している合成樹脂素材に作用して下方に強制する押下部材を備えている、請求項1又は2記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
該合成樹脂素材搬入手段から落下した合成樹脂素材が該雌型部材の該中央部材の上面上に或いは該雄型部材上に到達した後も該気体流噴射手段による気体流の噴射或いは該押下部材による強制が継続されて合成樹脂素材が予備成形される、請求項3又は4記載の圧縮成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−101614(P2009−101614A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276017(P2007−276017)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】