圧電振動デバイス
【課題】 超小型であっても低背化を図るとともに、安定した振動片の搭載を行うことができる圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【解決手段】 音叉型水晶振動子は、基部210と、該基部の一端側200から突出形成された一対の振動腕211,212とで構成される振動片本体21と、基部の他端側201から突出形成された接続部220と、接続部220と繋がり、基部210の幅方向に延長された連結部221を有する支持体22とからなる音叉型水晶振動片2が、筐体1の内底面101に接合された構成となっている。支持体22は該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域223,223を有しており、該幅広領域で凸状の搭載パッド14,14と接合され、幅広領域の搭載パッドと対応する位置には、搭載パッドと嵌合する凹部23が形成されている。
【解決手段】 音叉型水晶振動子は、基部210と、該基部の一端側200から突出形成された一対の振動腕211,212とで構成される振動片本体21と、基部の他端側201から突出形成された接続部220と、接続部220と繋がり、基部210の幅方向に延長された連結部221を有する支持体22とからなる音叉型水晶振動片2が、筐体1の内底面101に接合された構成となっている。支持体22は該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域223,223を有しており、該幅広領域で凸状の搭載パッド14,14と接合され、幅広領域の搭載パッドと対応する位置には、搭載パッドと嵌合する凹部23が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は移動体通信機器等の電子機器に広く用いられている圧電振動デバイスである。音叉型水晶振動子は、時計等の基準信号の周波数発生源として従来から使用されている。最近の電子機器等の小型化・薄型化に伴って、音叉型水晶振動子もさらなる低背化が必要となってきている。
【0003】
音叉型水晶振動子の一例を図10に示す。図10では、基部210と、該基部の一端側200から突出して形成された一対の振動腕211,212とで構成される振動片本体21と、前記基部の一端側200から一定距離だけ離間した他端部201から突出形成された接続部220と、該接続部と繋がり、基部210の幅方向に延長された連結部221を有し、前記振動腕と同方向に伸長する支持体22とからなる形態の音叉型圧電振動片2(以下、振動片と略記)となっている。このような振動片2は前記支持体22の一部分が、上部に開口部4を有する筐体1の内部に接合材を介して接合されている。そして開口部4は平板状の蓋体で気密封止されている。このような形態の音叉型水晶振動子は例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−357178号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、音叉型水晶振動子が小型化・低背化がさらに進行してくると振動片の上主面と蓋体との距離(クリアランス)を充分に確保することができず、例えば外部衝撃等を受けた際に、蓋体と振動片とが接触し、発振異常や振動片の欠損による発振停止等の不具合が発生することがあった。また、音叉型水晶振動子の製造工程には筐体内部に設けられた搭載パッド上に、振動片を搭載する工程があるが、音叉型水晶振動子が超小型になってくると、振動片を搭載パッド上に精度良く搭載することが困難になってきている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、超小型であっても低背化を図るとともに、安定した振動片の搭載を行うことができる圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と、該基部の一端側から突出形成された一対の振動腕とで構成される振動片本体と、前記基部の他端側から突出形成された接続部と、前記接続部と繋がり、少なくとも前記基部の幅方向に延長された連結部を有する支持体とからなる音叉型圧電振動片が、筐体の内部に収容された圧電振動デバイスであって、前記支持体は、該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が、筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合されてなり、前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されている。
【0008】
このような構造によると、前記支持体の幅広領域には前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されているため、凸状の搭載パッドと嵌合状態で接合される。これより、前記振動片本体の筐体の内底面からの高さを低くすることができる。つまり、蓋体と振動片本体との距離を拡大することができる。また、従来の圧電振動デバイスにおける蓋体と振動片本体との距離を維持しつつ、圧電振動デバイスの低背化を図ることも可能となる。
【0009】
さらに上記構造であれば、前記支持体が該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合され、前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されているので、振動片本体を搭載パッドへ搭載する際に、前記凹部が搭載パッドに対して位置決めの機能、つまり“ガイド”の機能を果たすことになる。これにより、圧電振動デバイスが超小型になっても音叉型圧電振動片の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制し、安定した搭載が可能となる。また、前記幅広領域を有することによって、より前記位置決め機能の効果を向上させることができる。さらに、振動片本体と搭載パッドとが嵌合状態で接合されることから、振動片本体と搭載パッドとの接合を補強することができ、水平方向の応力に対して所謂“アンカー効果”として機能することになる。
【0010】
上記構成において、前記幅広領域を支持体の先端に近接した位置に形成し、当該位置で搭載パッドと接合することによって、一対の振動腕からの距離を長く確保することができ、振動腕の振動エネルギーの伝搬漏れ(所謂、“振動漏れ”)を抑制することができ、好適である。また、前記幅広領域に凹部を形成することによって該凹部の内壁面で、一対の振動腕の振動エネルギーの反射が生じ、前記振動漏れを抑制することができる。
【0011】
また、前記幅広領域の幅方向において、外側の領域だけが薄肉化されていてもよい。このような構造であれば、前記幅広領域の幅方向において外側の領域だけが薄肉化され、前記幅広領域の幅方向内側の領域は薄肉化されていない。つまり、幅広領域の幅方向外側の領域に凹部が形成されることになり、当該凹部と凸状の搭載パッドとが嵌合状態にて接合される。ここで、前記幅広領域の幅方向内側の領域が振動片本体の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、圧電振動デバイスが超小型になっても音叉型圧電振動片の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制し、安定した搭載を行うことができる。
【0012】
前記支持体と前記搭載パッドとの接合部材に金属バンプを用い、FCB法(Flip Chip Bonding)による金属拡散接合を行うことで、支持体と搭載パッドとを高精度で接合することができる。前記金属バンプとして、例えばメッキバンプやスタッドバンプ(ワイヤバンプ)を用いることができる。このとき、前記金属バンプを多数の金属バンプの1群として形成してもよい。このような構成とすることで、被接合部材側への金属バンプの転写率(筐体に接合された音叉型圧電振動片を筐体から引き剥がした際に、接合前に接合部材側に形成した金属バンプが被接合部材側に残存する(転写する)率)を向上させて、支持体と搭載パッドとの接合強度をより向上させることができる。なお、前記接合部材として金属バンプ以外に導電性接着材を用いてもよい。
【0013】
本発明において、支持体は前記接続部と繋がり、前記基部の幅方向に延長された連結部を有した構造となっている。つまり、基部の幅方向に延長された連結部を有していればよく、例えば図10に示す従来の支持体の構造のように、一対の振動腕と同方向に伸長する部位が連結部に繋がっている構造や、連結部のみで構成された支持体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の平面図であり、図2は図1のA−A線における断面図、図3は図1のB−B線における断面図で、図4は図1における幅広領域の部分拡大図である。なお、図1乃至4において音叉型水晶振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、図2乃至3において筐体底面に形成される外部接続端子の記載を省略している。
【0015】
本実施形態では音叉型水晶振動子(以下、水晶振動子と略記)が使用されている。水晶振動子は、図1に示す音叉型水晶振動片2(以下、振動片と略記)と、上部に開口部4を有し、前記振動片2を収容する筐体1と、前記開口部4を気密封止する平板状の蓋体(図示省略)を主要部材として構成されている。
【0016】
図1に示すように振動片2は、振動片本体21と接続部220と支持体22とで構成されている。振動片本体21は、一対の振動腕211,212と基部210とからなり、一対の振動腕211,212は基部210の一端側200から突出して形成されている。
【0017】
接続部220は、基部210の他端側201から突出して形成されており、基部210の幅方向(図1に示すX軸方向)の中心を通り、一定幅を有している。
【0018】
図1において支持体22は、平面視でアルファベットの“U”の形状となっており、接続部220を介して振動片本体21と一体的に繋がっている。そして、支持体22は接続部220から基部210の幅方向(図1に示すX軸方向)に、振動片本体21の外側まで左右双方向に延長された一対の連結部221,221と、該連結部の終端から振動腕211,212と同方向に伸長した一対の支持腕222,222と、該支持腕の幅寸法(X軸方向の寸法)よりも幅広の幅広領域223,223とから構成されている。なお、振動片2は1枚の水晶ウエハ(Z板)から多数個の振動片2,2,・・・,2がウエットエッチングによって一括で成形される。
【0019】
一対の振動腕211,212の両主面には、振動片2の小型化によって劣化する直列共振抵抗値(本実施形態ではCI(Crystal Impedance)値、以下同様)を改善するために、溝(図示省略)が形成されている。この振動腕211,212の表面(両主面および側面)には異電位で構成された2つの励振電極(図示省略)と、これらの励振電極から引き出された引出電極(図示省略)とが設けられている。また、2つの励振電極の一部は振動腕の溝の内部に形成されている。このため、振動片2を小型化しても振動腕の振動損失が抑制され、CI値を低く抑えることができる。
【0020】
上記した振動片2の励振電極と引出電極とは、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。これらの薄膜は、真空蒸着法等の手法により、全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によってメタルエッチングして所望の形状に形成される。なお、本実施形態では励振電極及び引出電極はクロム,金の順に形成されているが、例えば、クロム,銀の順や,クロム,金,クロムの順や,クロム,銀,クロムの順等であってもよい。
【0021】
図1乃至3では図示していないが、振動腕211,212の先端領域の表裏主面および内外側面にも前記励振電極が周状に形成されている。また、基部210の表裏主面にも同材料の電極が形成されており、接続部220および連結部221,221を経由して幅広領域223,223に形成された接合電極(後述)まで延設されている。
【0022】
振動腕211,212の先端領域の励振電極の上層には、金からなる調整用金属膜(図示省略)が電解メッキ法によって形成されている。なお、前記調整用金属膜の材料は、金に限定されるものでなく、例えば銀(Ag)を用いてもよい。また、前記調整用金属膜の成膜には電解メッキ法以外に無電解メッキ法や真空蒸着法等を用いてもよい。なお、水晶振動子の周波数の微調整は前記調整用金属膜の質量を削減することによって行われる。
【0023】
幅広領域223,223の幅方向(X軸方向)の寸法は、支持体22の他の領域、例えば支持腕222の幅寸法(X軸方向)よりも大きくなっており、支持体の先端側から一定長だけが幅広領域となっている(図1参照)。そして、図2に示すように、幅広領域223,223には部分的に薄肉となった凹部23,23が各々形成されている。具体的に、凹部23,23は幅広領域223,223の両主面の内、一対の搭載パッド14,14との接合面側の主面にウエットエッチングによって所定の深さで形成されている。本実施形態では凹部23の深さは、0.04〜0.05mmの深さとなっている(振動片2の厚みは約0.1mm)。なお、前記凹部の深さは一例であり、前記深さに限定されるものではない。
【0024】
前記凹部23,23は幅広領域を幅方向に貫くように形成されており、凹部23の長手方向(Y軸方向)の寸法は搭載パッド14の外形寸法(筐体の長手方向と同方向における寸法)よりも僅かに大きく設定されている。なお、本実施形態において凹部の形状は、平面視では略矩形で、断面視では略台形となっており、凹部の底面における外形寸法は凹部の上面における外形寸法よりも小さく形成されており、凹部の上面と底面との間の壁面はテーパー状の斜面となっている。しかしながら、凹部の形状は本形状に限定されるものではない。図2において凹部の断面形状は、凹部を形成する各辺が直線であるとともに左右対称性を有する形状となっているが、左右非対称形状の凹部であっても本発明は適用可能である。また、本実施形態において凹部はウエットエッチングによる化学的溶解によって形成されているがウエットエッチング(湿式エッチング)に限定されるものではなく、機械的エッチング(乾式エッチング)によって形成してもよい。なお、凹部23の内壁面は金属膜(接合電極)で覆われており、基部に形成された電極と電気的に接続されている。
【0025】
筐体1は、上部に開口部4を有する断面視凹形状の容器体で、セラミックシートが3層(第1層11、第2層12、第3層13)積層された積層体であり、焼成よって一体成形されている(図2参照)。そして、図1に示すように筐体1の対向する2つの長辺の中央寄りの位置には、振動片2を搭載するための凸状の一対の搭載パッド14,14が対向して形成されている。ここで一対の搭載パッド14,14は第2層12の一部として形成されており、直方体形状となっている。搭載パッド14の上面には、一対の搭載電極15,15が印刷技術により形成されている。搭載電極15はタングステンを印刷焼成した後に、表面に金メッキ処理が施されている。また、搭載電極15は筐体内部に形成された配線導体(図示省略)を介して筐体底面102(裏面)に形成されている外部端子(図示省略)と電気的に接続されている。
【0026】
筐体1の開口部4の周囲には第2層12および第3層13とから構成される堤部が環状に形成されており、堤部上面130(第3層13の上面)には複数層からなる金属膜(図示省略)が周状に形成されている。前記金属膜は3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0027】
筐体1と振動片2との接合は、まず、凹部23の底面に形成された金属膜(接合電極)上に平面視円状のバンプ3(メッキバンプ)を電解メッキ法によって形成しておく。具体的には1つの支持腕の幅広領域内に3個のバンプ3,3,3が支持腕の伸長方向と平行に略整列して直列形成される。つまり、支持体全体では6個のバンプが幅広領域内に形成される(図4参照)。なお、バンプ3の形成数は1つの幅広領域に対して3個に限定されるものではない。つまり、幅広領域(具体的に凹部あるいは薄肉領域)の長さ方向(図4のY軸方向)の寸法は、筐体側の搭載パッド(搭載電極)の外形寸法に応じて設定されるため、バンプの形成数も可変させることができる。また、前記1個のバンプを多数の微小な金属バンプの1群として形成してもよい。このような構成とすることで、被接合部材側への金属バンプの転写率(筐体に接合された音叉型圧電振動片を筐体から引き剥がした際に、接合前に接合部材側に形成した金属バンプが被接合部材側に残存する(転写する)率)を向上させて、支持体と搭載パッドとの接合強度をより向上させることができる。
【0028】
支持体22の幅広領域223に複数のバンプ3,3,・・・3を形成した後、一対の搭載パッド14,14の上面の搭載電極15,15上に、バンプ3,3,・・・3が当接するように一対の凹部23,23(振動片2)を各々位置決め載置し、超音波を印加してバンプと搭載電極との金属拡散接合を行う(FCB接合。Flip Chip Bonding)。このように接合部材として金属バンプを用い、FCB法による金属拡散接合を行うことで、支持体と搭載パッドとを高精度で接合することができる。
【0029】
支持体22の幅広領域223には搭載パッド14と嵌合する凹部23が形成されているため、凸状の搭載パッド14と嵌合状態で接合される。つまり、図2に示すように凹部23の内部で搭載電極15とバンプ3とが接合され、図3に示すように一対の振動腕211,212の一部が搭載パッド14の上面よりも下側に位置することになるため、図11に示す従来の水晶振動子における振動片の支持形態に比べて、振動片本体21の筐体内底面101からの高さを低くすることができる。これにより蓋体と振動片本体21との距離を拡大することができる。また、従来の水晶振動子における蓋体と振動片本体との距離を維持しつつ、水晶振動子の低背化を図ることが可能となる。
【0030】
さらに上記構造であれば、図4に示すように支持体22が該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域223を有しており、前記幅広領域で該支持体が筐体1の内部に形成された凸状の搭載パッド14と接合され、幅広領域223の搭載パッド14と対応する位置には、搭載パッドと嵌合する凹部23が形成されているので、振動片本体21を搭載パッド14へ搭載する際に、凹部23が搭載パッド14に対して位置決めの機能、つまり“ガイド”の機能を果たすことになる。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッド14への搭載位置ずれを抑制することができる。したがって振動片の搭載パッドへの安定した搭載が可能となる。また、幅広領域を有することによって、より前記位置決め機能の効果を向上させることができる。さらに、振動片本体21と搭載パッド14とが嵌合状態で接合されることから、振動片本体と搭載パッドとの接合を補強することができ、水平方向の応力に対して所謂“アンカー効果”として機能することになる。
【0031】
また本実施形態によれば、幅広領域223が支持体22の先端に近接する位置に形成されている。前記位置で支持体22を搭載パッド14に接合することによって、一対の振動腕211,212からの距離を長く確保することができ、振動腕の振動エネルギーの伝搬漏れ(所謂、“振動漏れ”)を抑制することができる。また、幅広領域223に凹部23を形成することによって該凹部の内壁面で、一対の振動腕211、212の振動エネルギーの反射が生じ、前記振動漏れを抑制することができる。
【0032】
−第2の実施形態−
次に本発明の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。図5は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動子の平面図で、図6は図2のC−C線における断面図である。なお、図5乃至6において音叉型水晶振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、図6において筐体底面102に形成される外部接続端子の記載を省略している。その他、第1の実施形態と同様の構成は同一の作用効果を有するとともに説明を割愛する。
【0033】
本実施形態では、図5に示すように振動片2の支持体22の幅広領域223の幅寸法は第1の実施形態よりも幅広に形成され、一対の振動腕の腕間距離については第1の実施形態よりも狭く形成されている。そして幅広領域223,223の内、搭載パッド14(搭載電極15)と接合される領域は、幅広領域の幅方向(図5に示すX軸方向)において外側の領域となっている。具体的に、図6に示すように幅広領域223の断面形状は、搭載パッド14(搭載電極15)との接合面側の幅広領域において、幅方向(X軸方向)外側の領域が薄肉に形成(薄肉領域24)されており、内側部分は支持腕222と同一の厚さ、すなわち厚肉の領域(厚肉領域25)となっている。このように薄肉領域と厚肉領域とで段差が形成され、薄肉領域24が搭載電極15とバンプ3を介して接合された状態となっている。
【0034】
図6に示すように、幅広領域223の幅方向外側の領域に薄肉領域24によって凹部が形成されることになり、当該凹部と凸状の搭載パッドとが嵌合状態にて接合される。ここで厚肉領域25が振動片本体21の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制することができ、安定した搭載が可能となる。
【0035】
次に、第2の実施形態の変形例を図7に示す。図7では、搭載パッド14は筐体内部方向への張り出しは第1および第2の実施形態における搭載パッドの前記張り出しよりも小さくなっている。つまり平面視では第1の実施形態よりも小さく形成されている。そして幅広領域223の幅寸法は、第1の実施形態の幅広領域の幅寸法と同一寸法となっている。
【0036】
図7に示すように幅広領域223の断面形状は、第2の実施形態と同形状となっており、一対の振動腕211,212の腕幅および腕部の間隔は第1の実施形態と同一となっている。このような断面形状であれば前述の第2の実施形態と同様に、薄肉領域と厚肉領域とで段差が形成され、薄肉領域24が搭載電極15とバンプ3を介して接合されているため、厚肉領域25が振動片本体21の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制することができる。
【0037】
第2の実施形態のその他の変形例として、支持体の構造を図8に示すように連結部のみの構造にしてもよい。このような構造の支持体において、幅広領域224は支持体の先端付近の領域に形成されている。そして図9に示すように、幅広領域224には部分的に薄肉となった凹部23が形成されているとともに、接続部220と支持体(連結部)との接続点近傍の領域も凹部230が形成されている。凹部230は凹部23と略同一の深さで形成されている。
【0038】
一方、筐体1の内底面101には、凹部23と凹部230と対応する位置に凸状の搭載パッド14,140が形成されている。前記搭載パッド14,140は、凹部23と凹部230と各々嵌合する外形寸法で形成されており、当該搭載パッドの上面には、一対の搭載電極15,15が印刷技術により形成されている。搭載電極15は第1の実施形態と同様にタングステンを印刷焼成した後に、表面に金メッキ処理が施されている。
【0039】
上記した構造の支持体は図9に示すように、凹部23,230が、金属バンプ3,3を介して搭載パッド14,140とFCB接合されることで筐体の内底面101と接合される。なお、前記金属バンプにはメッキバンプあるいはスタッドバンプを用いることができ、支持体側あるいは搭載電極側のいずれかに予め形成しておいてから、前記FCB接合を行ってもよい。
【0040】
本発明の実施形態では、筐体と振動片の接合手段としてメッキバンプを使用しているが、メッキバンプ以外にスタッドバンプを用いることも可能である。さらに本発明の実施形態では、水晶振動片側に予めバンプを形成しておいてから搭載電極とFCB法を用いて接合しているが、搭載電極側に予めバンプを形成しておき、予めバンプを形成していない水晶振動片とFCB法によって接合してもよい。
【0041】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す水晶振動子の平面図。
【図2】図1のA−A線における断面図。
【図3】図1のB−B線における断面図。
【図4】図1における幅広領域の部分拡大図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す水晶振動子の平面図。
【図6】図2のC−C線における断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態の変形例を示す水晶振動子の断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態のその他の変形例を示す水晶振動子の平面図。
【図9】図8のD−D線における断面図。
【図10】従来の一例を示す水晶振動子の平面図。
【図11】図10のE−E線における断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体
14、140 搭載パッド
15 搭載電極
101 筐体内底面
2 音叉型水晶振動片
21 振動片本体
210 基部
211、212 振動腕
22 支持体
220 接続部
221 連結部
222 支持腕
223、224 幅広領域
23、230 凹部
24 薄肉領域
25 厚肉領域
3 バンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は移動体通信機器等の電子機器に広く用いられている圧電振動デバイスである。音叉型水晶振動子は、時計等の基準信号の周波数発生源として従来から使用されている。最近の電子機器等の小型化・薄型化に伴って、音叉型水晶振動子もさらなる低背化が必要となってきている。
【0003】
音叉型水晶振動子の一例を図10に示す。図10では、基部210と、該基部の一端側200から突出して形成された一対の振動腕211,212とで構成される振動片本体21と、前記基部の一端側200から一定距離だけ離間した他端部201から突出形成された接続部220と、該接続部と繋がり、基部210の幅方向に延長された連結部221を有し、前記振動腕と同方向に伸長する支持体22とからなる形態の音叉型圧電振動片2(以下、振動片と略記)となっている。このような振動片2は前記支持体22の一部分が、上部に開口部4を有する筐体1の内部に接合材を介して接合されている。そして開口部4は平板状の蓋体で気密封止されている。このような形態の音叉型水晶振動子は例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−357178号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、音叉型水晶振動子が小型化・低背化がさらに進行してくると振動片の上主面と蓋体との距離(クリアランス)を充分に確保することができず、例えば外部衝撃等を受けた際に、蓋体と振動片とが接触し、発振異常や振動片の欠損による発振停止等の不具合が発生することがあった。また、音叉型水晶振動子の製造工程には筐体内部に設けられた搭載パッド上に、振動片を搭載する工程があるが、音叉型水晶振動子が超小型になってくると、振動片を搭載パッド上に精度良く搭載することが困難になってきている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、超小型であっても低背化を図るとともに、安定した振動片の搭載を行うことができる圧電振動デバイスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と、該基部の一端側から突出形成された一対の振動腕とで構成される振動片本体と、前記基部の他端側から突出形成された接続部と、前記接続部と繋がり、少なくとも前記基部の幅方向に延長された連結部を有する支持体とからなる音叉型圧電振動片が、筐体の内部に収容された圧電振動デバイスであって、前記支持体は、該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が、筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合されてなり、前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されている。
【0008】
このような構造によると、前記支持体の幅広領域には前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されているため、凸状の搭載パッドと嵌合状態で接合される。これより、前記振動片本体の筐体の内底面からの高さを低くすることができる。つまり、蓋体と振動片本体との距離を拡大することができる。また、従来の圧電振動デバイスにおける蓋体と振動片本体との距離を維持しつつ、圧電振動デバイスの低背化を図ることも可能となる。
【0009】
さらに上記構造であれば、前記支持体が該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合され、前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されているので、振動片本体を搭載パッドへ搭載する際に、前記凹部が搭載パッドに対して位置決めの機能、つまり“ガイド”の機能を果たすことになる。これにより、圧電振動デバイスが超小型になっても音叉型圧電振動片の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制し、安定した搭載が可能となる。また、前記幅広領域を有することによって、より前記位置決め機能の効果を向上させることができる。さらに、振動片本体と搭載パッドとが嵌合状態で接合されることから、振動片本体と搭載パッドとの接合を補強することができ、水平方向の応力に対して所謂“アンカー効果”として機能することになる。
【0010】
上記構成において、前記幅広領域を支持体の先端に近接した位置に形成し、当該位置で搭載パッドと接合することによって、一対の振動腕からの距離を長く確保することができ、振動腕の振動エネルギーの伝搬漏れ(所謂、“振動漏れ”)を抑制することができ、好適である。また、前記幅広領域に凹部を形成することによって該凹部の内壁面で、一対の振動腕の振動エネルギーの反射が生じ、前記振動漏れを抑制することができる。
【0011】
また、前記幅広領域の幅方向において、外側の領域だけが薄肉化されていてもよい。このような構造であれば、前記幅広領域の幅方向において外側の領域だけが薄肉化され、前記幅広領域の幅方向内側の領域は薄肉化されていない。つまり、幅広領域の幅方向外側の領域に凹部が形成されることになり、当該凹部と凸状の搭載パッドとが嵌合状態にて接合される。ここで、前記幅広領域の幅方向内側の領域が振動片本体の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、圧電振動デバイスが超小型になっても音叉型圧電振動片の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制し、安定した搭載を行うことができる。
【0012】
前記支持体と前記搭載パッドとの接合部材に金属バンプを用い、FCB法(Flip Chip Bonding)による金属拡散接合を行うことで、支持体と搭載パッドとを高精度で接合することができる。前記金属バンプとして、例えばメッキバンプやスタッドバンプ(ワイヤバンプ)を用いることができる。このとき、前記金属バンプを多数の金属バンプの1群として形成してもよい。このような構成とすることで、被接合部材側への金属バンプの転写率(筐体に接合された音叉型圧電振動片を筐体から引き剥がした際に、接合前に接合部材側に形成した金属バンプが被接合部材側に残存する(転写する)率)を向上させて、支持体と搭載パッドとの接合強度をより向上させることができる。なお、前記接合部材として金属バンプ以外に導電性接着材を用いてもよい。
【0013】
本発明において、支持体は前記接続部と繋がり、前記基部の幅方向に延長された連結部を有した構造となっている。つまり、基部の幅方向に延長された連結部を有していればよく、例えば図10に示す従来の支持体の構造のように、一対の振動腕と同方向に伸長する部位が連結部に繋がっている構造や、連結部のみで構成された支持体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す音叉型水晶振動子の平面図であり、図2は図1のA−A線における断面図、図3は図1のB−B線における断面図で、図4は図1における幅広領域の部分拡大図である。なお、図1乃至4において音叉型水晶振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、図2乃至3において筐体底面に形成される外部接続端子の記載を省略している。
【0015】
本実施形態では音叉型水晶振動子(以下、水晶振動子と略記)が使用されている。水晶振動子は、図1に示す音叉型水晶振動片2(以下、振動片と略記)と、上部に開口部4を有し、前記振動片2を収容する筐体1と、前記開口部4を気密封止する平板状の蓋体(図示省略)を主要部材として構成されている。
【0016】
図1に示すように振動片2は、振動片本体21と接続部220と支持体22とで構成されている。振動片本体21は、一対の振動腕211,212と基部210とからなり、一対の振動腕211,212は基部210の一端側200から突出して形成されている。
【0017】
接続部220は、基部210の他端側201から突出して形成されており、基部210の幅方向(図1に示すX軸方向)の中心を通り、一定幅を有している。
【0018】
図1において支持体22は、平面視でアルファベットの“U”の形状となっており、接続部220を介して振動片本体21と一体的に繋がっている。そして、支持体22は接続部220から基部210の幅方向(図1に示すX軸方向)に、振動片本体21の外側まで左右双方向に延長された一対の連結部221,221と、該連結部の終端から振動腕211,212と同方向に伸長した一対の支持腕222,222と、該支持腕の幅寸法(X軸方向の寸法)よりも幅広の幅広領域223,223とから構成されている。なお、振動片2は1枚の水晶ウエハ(Z板)から多数個の振動片2,2,・・・,2がウエットエッチングによって一括で成形される。
【0019】
一対の振動腕211,212の両主面には、振動片2の小型化によって劣化する直列共振抵抗値(本実施形態ではCI(Crystal Impedance)値、以下同様)を改善するために、溝(図示省略)が形成されている。この振動腕211,212の表面(両主面および側面)には異電位で構成された2つの励振電極(図示省略)と、これらの励振電極から引き出された引出電極(図示省略)とが設けられている。また、2つの励振電極の一部は振動腕の溝の内部に形成されている。このため、振動片2を小型化しても振動腕の振動損失が抑制され、CI値を低く抑えることができる。
【0020】
上記した振動片2の励振電極と引出電極とは、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。これらの薄膜は、真空蒸着法等の手法により、全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によってメタルエッチングして所望の形状に形成される。なお、本実施形態では励振電極及び引出電極はクロム,金の順に形成されているが、例えば、クロム,銀の順や,クロム,金,クロムの順や,クロム,銀,クロムの順等であってもよい。
【0021】
図1乃至3では図示していないが、振動腕211,212の先端領域の表裏主面および内外側面にも前記励振電極が周状に形成されている。また、基部210の表裏主面にも同材料の電極が形成されており、接続部220および連結部221,221を経由して幅広領域223,223に形成された接合電極(後述)まで延設されている。
【0022】
振動腕211,212の先端領域の励振電極の上層には、金からなる調整用金属膜(図示省略)が電解メッキ法によって形成されている。なお、前記調整用金属膜の材料は、金に限定されるものでなく、例えば銀(Ag)を用いてもよい。また、前記調整用金属膜の成膜には電解メッキ法以外に無電解メッキ法や真空蒸着法等を用いてもよい。なお、水晶振動子の周波数の微調整は前記調整用金属膜の質量を削減することによって行われる。
【0023】
幅広領域223,223の幅方向(X軸方向)の寸法は、支持体22の他の領域、例えば支持腕222の幅寸法(X軸方向)よりも大きくなっており、支持体の先端側から一定長だけが幅広領域となっている(図1参照)。そして、図2に示すように、幅広領域223,223には部分的に薄肉となった凹部23,23が各々形成されている。具体的に、凹部23,23は幅広領域223,223の両主面の内、一対の搭載パッド14,14との接合面側の主面にウエットエッチングによって所定の深さで形成されている。本実施形態では凹部23の深さは、0.04〜0.05mmの深さとなっている(振動片2の厚みは約0.1mm)。なお、前記凹部の深さは一例であり、前記深さに限定されるものではない。
【0024】
前記凹部23,23は幅広領域を幅方向に貫くように形成されており、凹部23の長手方向(Y軸方向)の寸法は搭載パッド14の外形寸法(筐体の長手方向と同方向における寸法)よりも僅かに大きく設定されている。なお、本実施形態において凹部の形状は、平面視では略矩形で、断面視では略台形となっており、凹部の底面における外形寸法は凹部の上面における外形寸法よりも小さく形成されており、凹部の上面と底面との間の壁面はテーパー状の斜面となっている。しかしながら、凹部の形状は本形状に限定されるものではない。図2において凹部の断面形状は、凹部を形成する各辺が直線であるとともに左右対称性を有する形状となっているが、左右非対称形状の凹部であっても本発明は適用可能である。また、本実施形態において凹部はウエットエッチングによる化学的溶解によって形成されているがウエットエッチング(湿式エッチング)に限定されるものではなく、機械的エッチング(乾式エッチング)によって形成してもよい。なお、凹部23の内壁面は金属膜(接合電極)で覆われており、基部に形成された電極と電気的に接続されている。
【0025】
筐体1は、上部に開口部4を有する断面視凹形状の容器体で、セラミックシートが3層(第1層11、第2層12、第3層13)積層された積層体であり、焼成よって一体成形されている(図2参照)。そして、図1に示すように筐体1の対向する2つの長辺の中央寄りの位置には、振動片2を搭載するための凸状の一対の搭載パッド14,14が対向して形成されている。ここで一対の搭載パッド14,14は第2層12の一部として形成されており、直方体形状となっている。搭載パッド14の上面には、一対の搭載電極15,15が印刷技術により形成されている。搭載電極15はタングステンを印刷焼成した後に、表面に金メッキ処理が施されている。また、搭載電極15は筐体内部に形成された配線導体(図示省略)を介して筐体底面102(裏面)に形成されている外部端子(図示省略)と電気的に接続されている。
【0026】
筐体1の開口部4の周囲には第2層12および第3層13とから構成される堤部が環状に形成されており、堤部上面130(第3層13の上面)には複数層からなる金属膜(図示省略)が周状に形成されている。前記金属膜は3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0027】
筐体1と振動片2との接合は、まず、凹部23の底面に形成された金属膜(接合電極)上に平面視円状のバンプ3(メッキバンプ)を電解メッキ法によって形成しておく。具体的には1つの支持腕の幅広領域内に3個のバンプ3,3,3が支持腕の伸長方向と平行に略整列して直列形成される。つまり、支持体全体では6個のバンプが幅広領域内に形成される(図4参照)。なお、バンプ3の形成数は1つの幅広領域に対して3個に限定されるものではない。つまり、幅広領域(具体的に凹部あるいは薄肉領域)の長さ方向(図4のY軸方向)の寸法は、筐体側の搭載パッド(搭載電極)の外形寸法に応じて設定されるため、バンプの形成数も可変させることができる。また、前記1個のバンプを多数の微小な金属バンプの1群として形成してもよい。このような構成とすることで、被接合部材側への金属バンプの転写率(筐体に接合された音叉型圧電振動片を筐体から引き剥がした際に、接合前に接合部材側に形成した金属バンプが被接合部材側に残存する(転写する)率)を向上させて、支持体と搭載パッドとの接合強度をより向上させることができる。
【0028】
支持体22の幅広領域223に複数のバンプ3,3,・・・3を形成した後、一対の搭載パッド14,14の上面の搭載電極15,15上に、バンプ3,3,・・・3が当接するように一対の凹部23,23(振動片2)を各々位置決め載置し、超音波を印加してバンプと搭載電極との金属拡散接合を行う(FCB接合。Flip Chip Bonding)。このように接合部材として金属バンプを用い、FCB法による金属拡散接合を行うことで、支持体と搭載パッドとを高精度で接合することができる。
【0029】
支持体22の幅広領域223には搭載パッド14と嵌合する凹部23が形成されているため、凸状の搭載パッド14と嵌合状態で接合される。つまり、図2に示すように凹部23の内部で搭載電極15とバンプ3とが接合され、図3に示すように一対の振動腕211,212の一部が搭載パッド14の上面よりも下側に位置することになるため、図11に示す従来の水晶振動子における振動片の支持形態に比べて、振動片本体21の筐体内底面101からの高さを低くすることができる。これにより蓋体と振動片本体21との距離を拡大することができる。また、従来の水晶振動子における蓋体と振動片本体との距離を維持しつつ、水晶振動子の低背化を図ることが可能となる。
【0030】
さらに上記構造であれば、図4に示すように支持体22が該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域223を有しており、前記幅広領域で該支持体が筐体1の内部に形成された凸状の搭載パッド14と接合され、幅広領域223の搭載パッド14と対応する位置には、搭載パッドと嵌合する凹部23が形成されているので、振動片本体21を搭載パッド14へ搭載する際に、凹部23が搭載パッド14に対して位置決めの機能、つまり“ガイド”の機能を果たすことになる。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッド14への搭載位置ずれを抑制することができる。したがって振動片の搭載パッドへの安定した搭載が可能となる。また、幅広領域を有することによって、より前記位置決め機能の効果を向上させることができる。さらに、振動片本体21と搭載パッド14とが嵌合状態で接合されることから、振動片本体と搭載パッドとの接合を補強することができ、水平方向の応力に対して所謂“アンカー効果”として機能することになる。
【0031】
また本実施形態によれば、幅広領域223が支持体22の先端に近接する位置に形成されている。前記位置で支持体22を搭載パッド14に接合することによって、一対の振動腕211,212からの距離を長く確保することができ、振動腕の振動エネルギーの伝搬漏れ(所謂、“振動漏れ”)を抑制することができる。また、幅広領域223に凹部23を形成することによって該凹部の内壁面で、一対の振動腕211、212の振動エネルギーの反射が生じ、前記振動漏れを抑制することができる。
【0032】
−第2の実施形態−
次に本発明の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。図5は本発明の第2の実施形態を示す音叉型水晶振動子の平面図で、図6は図2のC−C線における断面図である。なお、図5乃至6において音叉型水晶振動片に形成される各種電極の記載は省略している。また、図6において筐体底面102に形成される外部接続端子の記載を省略している。その他、第1の実施形態と同様の構成は同一の作用効果を有するとともに説明を割愛する。
【0033】
本実施形態では、図5に示すように振動片2の支持体22の幅広領域223の幅寸法は第1の実施形態よりも幅広に形成され、一対の振動腕の腕間距離については第1の実施形態よりも狭く形成されている。そして幅広領域223,223の内、搭載パッド14(搭載電極15)と接合される領域は、幅広領域の幅方向(図5に示すX軸方向)において外側の領域となっている。具体的に、図6に示すように幅広領域223の断面形状は、搭載パッド14(搭載電極15)との接合面側の幅広領域において、幅方向(X軸方向)外側の領域が薄肉に形成(薄肉領域24)されており、内側部分は支持腕222と同一の厚さ、すなわち厚肉の領域(厚肉領域25)となっている。このように薄肉領域と厚肉領域とで段差が形成され、薄肉領域24が搭載電極15とバンプ3を介して接合された状態となっている。
【0034】
図6に示すように、幅広領域223の幅方向外側の領域に薄肉領域24によって凹部が形成されることになり、当該凹部と凸状の搭載パッドとが嵌合状態にて接合される。ここで厚肉領域25が振動片本体21の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制することができ、安定した搭載が可能となる。
【0035】
次に、第2の実施形態の変形例を図7に示す。図7では、搭載パッド14は筐体内部方向への張り出しは第1および第2の実施形態における搭載パッドの前記張り出しよりも小さくなっている。つまり平面視では第1の実施形態よりも小さく形成されている。そして幅広領域223の幅寸法は、第1の実施形態の幅広領域の幅寸法と同一寸法となっている。
【0036】
図7に示すように幅広領域223の断面形状は、第2の実施形態と同形状となっており、一対の振動腕211,212の腕幅および腕部の間隔は第1の実施形態と同一となっている。このような断面形状であれば前述の第2の実施形態と同様に、薄肉領域と厚肉領域とで段差が形成され、薄肉領域24が搭載電極15とバンプ3を介して接合されているため、厚肉領域25が振動片本体21の幅方向(振動腕と直交する方向)における位置決めガイドとして機能する。これにより、水晶振動子が超小型になっても振動片2の搭載パッドへの搭載位置ずれを抑制することができる。
【0037】
第2の実施形態のその他の変形例として、支持体の構造を図8に示すように連結部のみの構造にしてもよい。このような構造の支持体において、幅広領域224は支持体の先端付近の領域に形成されている。そして図9に示すように、幅広領域224には部分的に薄肉となった凹部23が形成されているとともに、接続部220と支持体(連結部)との接続点近傍の領域も凹部230が形成されている。凹部230は凹部23と略同一の深さで形成されている。
【0038】
一方、筐体1の内底面101には、凹部23と凹部230と対応する位置に凸状の搭載パッド14,140が形成されている。前記搭載パッド14,140は、凹部23と凹部230と各々嵌合する外形寸法で形成されており、当該搭載パッドの上面には、一対の搭載電極15,15が印刷技術により形成されている。搭載電極15は第1の実施形態と同様にタングステンを印刷焼成した後に、表面に金メッキ処理が施されている。
【0039】
上記した構造の支持体は図9に示すように、凹部23,230が、金属バンプ3,3を介して搭載パッド14,140とFCB接合されることで筐体の内底面101と接合される。なお、前記金属バンプにはメッキバンプあるいはスタッドバンプを用いることができ、支持体側あるいは搭載電極側のいずれかに予め形成しておいてから、前記FCB接合を行ってもよい。
【0040】
本発明の実施形態では、筐体と振動片の接合手段としてメッキバンプを使用しているが、メッキバンプ以外にスタッドバンプを用いることも可能である。さらに本発明の実施形態では、水晶振動片側に予めバンプを形成しておいてから搭載電極とFCB法を用いて接合しているが、搭載電極側に予めバンプを形成しておき、予めバンプを形成していない水晶振動片とFCB法によって接合してもよい。
【0041】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す水晶振動子の平面図。
【図2】図1のA−A線における断面図。
【図3】図1のB−B線における断面図。
【図4】図1における幅広領域の部分拡大図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す水晶振動子の平面図。
【図6】図2のC−C線における断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態の変形例を示す水晶振動子の断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態のその他の変形例を示す水晶振動子の平面図。
【図9】図8のD−D線における断面図。
【図10】従来の一例を示す水晶振動子の平面図。
【図11】図10のE−E線における断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体
14、140 搭載パッド
15 搭載電極
101 筐体内底面
2 音叉型水晶振動片
21 振動片本体
210 基部
211、212 振動腕
22 支持体
220 接続部
221 連結部
222 支持腕
223、224 幅広領域
23、230 凹部
24 薄肉領域
25 厚肉領域
3 バンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、該基部の一端側から突出形成された一対の振動腕とで構成される振動片本体と、前記基部の他端側から突出形成された接続部と、
前記接続部と繋がり、少なくとも前記基部の幅方向に延長された連結部を有する支持体とからなる音叉型圧電振動片が、筐体の内部に収容された圧電振動デバイスであって、
前記支持体は、該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が、筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合されてなり、
前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項1】
基部と、該基部の一端側から突出形成された一対の振動腕とで構成される振動片本体と、前記基部の他端側から突出形成された接続部と、
前記接続部と繋がり、少なくとも前記基部の幅方向に延長された連結部を有する支持体とからなる音叉型圧電振動片が、筐体の内部に収容された圧電振動デバイスであって、
前記支持体は、該支持体の他の領域よりも幅広となる幅広領域を有しており、前記幅広領域で該支持体が、筐体内に形成された凸状の搭載パッドと接合されてなり、
前記幅広領域の前記搭載パッドと対応する位置には、前記搭載パッドと嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−74751(P2010−74751A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242814(P2008−242814)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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