説明

圧電素子ユニット、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】コストを低減して外部配線と容易に接続することができる圧電素子ユニット、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧電素子17と、該圧電素子17の第1の面34aと接合された一端面35aを有する第1の基板35と、を具備し、前記圧電素子17は、前記第1の面34aとは反対側の第2の基板12側の面となる第2の面34cと、前記第1の面34a及び第2の面34cとは直交し、外部配線50との接続部となる個別外部電極43が形成された第3の面34bと、前記圧電素子17の外部表面に設けられた共通外部電極44と、前記第1の面34aと前記第3の面34bとの境界に設けられて、当該第1の面34a及び第3の面34bに対して斜めに形成された傾斜面と、を有し、該傾斜面が、個別外部電極43と共通外部電極44とを分断する境界部40となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子と圧電素子を固定する固定基板とを具備する圧電素子ユニット、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、圧電素子の変位による圧力を利用してノズル開口からインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが知られている。具体的には、ノズル開口に連通する圧力発生室が設けられ流路形成基板とその一方面側に設けられる振動板とを有する流路ユニットと、各圧力発生室に対応して設けられ固定基板に固定された圧電素子を有する圧電素子ユニットと、この固定基板が固定される収容室を有するケースヘッド(構造体)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような圧電素子ユニットでは、圧電素子の端部の側面と固定基板の端部の側面とが互いに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−74740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固定基板の一端部側の側面に圧電素子を固定するためには、圧電素子には固定基板に固定される不活性領域(非駆動領域)が必要となり、実際に駆動する領域と非駆動領域とによって圧電素子が長尺化してしまい高コストとなってしまうという問題がある。
【0006】
また、圧電素子の固定基板に固定される不活性領域には、圧電素子の個別電極や共通電極と外部配線とを接続するための高精度にパターニングされた電極が必要になるという問題がある。
【0007】
なお、このような問題は液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子ユニットに限定されず、他の装置に搭載される圧電素子ユニットにおいても同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、コストを低減して外部配線と容易に接続することができる圧電素子ユニット、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の態様は、圧電素子と、該圧電素子の第1の面と接合された一端面を有する第1の基板と、を具備し、前記圧電素子は、前記第1の面とは反対側の第2の基板側の面となる第2の面と、前記第1の面及び第2の面とは直交し、外部配線との接続部となる個別外部電極が形成された第3の面と、前記圧電素子の外部表面に設けられた共通外部電極と、前記第1の面と前記第3の面との境界に設けられて、当該第1の面及び第3の面に対して斜めに形成された傾斜面と、を有し、該傾斜面が、個別外部電極と共通外部電極とを分断する境界部となっていることを特徴とする圧電素子ユニットにある。
かかる態様では、圧電素子と第1の基板との側面同士をオーバーラップさせた状態で固定するのに比べて、圧電素子に不活性領域が実質的に不要となり、圧電素子を短尺化することができる。また、圧電素子の表面に外部電極をフォトリソグラフィー法等により高精度にパターニングしなくても、境界部によって外部電極を容易に分断することができ、コストを低減することができる。
【0010】
ここで、前記圧電素子が、圧電材料層と電極材料層とを交互に積層形成されたものであり、且つ積層方向とは交差する方向に前記第1の基板に固定される前記第1の面が設けられ、前記境界部側の前記圧電材料層が、他の領域よりも厚くなっていることが好ましい。これによれば、境界部を形成した際に電極材料層が切断されて、不活性領域が形成されるのを抑制することができる。
【0011】
また、前記個別外部電極には、外部配線が接続されると共に、当該外部配線が、前記共通外部電極に前記第1の基板を介して電気的に接続されていることが好ましい。これによれば、外部電極と圧電素子との電気的な接続を容易にすることができる。また、外部配線の配線パターンの配置を容易にして、外部配線の小型化を図ることができる。
【0012】
また、前記第1の基板が、導電性を有することが好ましい。これによれば、共通外部電極と外部配線とを第1の基板を介して容易に電気的に接続することができる。
【0013】
また、前記第1の基板には、前記外部配線と前記共通外部電極とを接続する接続配線が設けられていてもよい。これによれば、共通外部電極と外部配線とを第1の基板に設けられた接続配線を介して電気的に接続することができる。
【0014】
また、前記圧電素子が、前記第1の基板の前記圧電素子が固定された端面に直交し、複数の圧電素子に亘って設けられた側面から突出して設けられていると共に、前記境界部が、前記圧電素子の前記第1の面の前記第1の基板から突出した領域に設けられていることが好ましい。これによれば、第1の基板と圧電素子とを固定した後に、境界部を研削やエッチングなどで容易に形成することができる。
【0015】
また、前記第1の基板の一端面には、前記圧電素子の列が、当該圧電素子の並設方向とは交差する方向に2列設けられていることが好ましい。これによれば、圧電素子の高密度化を図ることができる。
【0016】
さらに本発明の他の態様は、上記態様の何れか一項に記載の圧電素子ユニットと、該圧電素子ユニットの前記圧電素子の前記第2の面が固定される振動板と、前記第2の基板に設けられて前記振動板によって一方面が画成されると共にノズル開口に連通する圧力発生室と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、圧電素子の振動板を押圧した際の反発力が、第1の基板によってダイレクトに受け止められるため、圧電素子の変位を振動板に効率よく伝えて、液体噴射特性を向上することができる。
【0017】
また、本発明の他の態様は、上記態様に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、液体噴射特性を向上して印刷品質を向上した液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る圧電素子ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る圧電素子ユニットの平面図及び断面図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る圧電素子ユニットの断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの断面図である。
【図6】一実施形態に係るインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【0020】
図示するように、インクジェット式記録ヘッドIは、複数の圧力発生室11を有する流路形成基板12(第2の基板)と、各圧力発生室11に連通する複数のノズル開口13が穿設されたノズルプレート14と、流路形成基板12のノズルプレート14とは反対側の面に設けられる振動板15とを具備する流路ユニット16を有する。さらに、振動板15上の各圧力発生室11に対応する領域に設けられる圧電素子17を有する圧電素子ユニット18と、振動板15上に固定されて圧電素子ユニット18が収容される収容部19を有するケースヘッド20とを具備する。
【0021】
流路形成基板12には、その一方面側の表層部分に、圧力発生室11が隔壁によって区画されてその幅方向で複数並設されている。各圧力発生室11の列の外側には、ケースヘッド20の液体導入路であるインク導入路(図示なし)を介してインクが供給されるリザーバー22が、流路形成基板12を厚さ方向に貫通して設けられている。そして、リザーバー22と各圧力発生室11とは、インク供給路23を介して連通し、各圧力発生室11には、インク導入路(図示なし)、リザーバー22及びインク供給路23を介してインクが供給される。インク供給路23は、本実施形態では、圧力発生室11よりも狭い幅で形成されており、リザーバー22から圧力発生室11に流入するインクの流路抵抗を一定に保持する役割を果たしている。さらに、圧力発生室11のリザーバー22とは反対の端部側には、流路形成基板12を貫通するノズル連通孔24が形成されている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板12に液体流路として、圧力発生室11、リザーバー22、インク供給路23、ノズル連通孔24が設けられている。このような流路形成基板12は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、流路形成基板12に設けられる上記圧力発生室11等は、流路形成基板12をエッチングすることによって形成されている。
【0022】
この流路形成基板12の一方面側にはノズル開口13が穿設されたノズルプレート14が接合され、各ノズル開口13は、流路形成基板12に設けられたノズル連通孔24を介して各圧力発生室11と連通している。
【0023】
また、流路形成基板12の他方面側、すなわち、圧力発生室11の開口面側には振動板15が接合されて、各圧力発生室11はこの振動板15によって封止されている。
【0024】
振動板15は、例えば、樹脂フィルム等の弾性部材からなる弾性膜25と、この弾性膜25を支持する支持板26との複合板で形成されており、弾性膜25側が流路形成基板12に接合されている。例えば、本実施形態では、弾性膜25は、厚さが数μm程度のPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムからなり、支持板26は、厚さが数十μm程度のステンレス鋼板(SUS)などからなる。
【0025】
また、振動板15の各圧力発生室11に対向する領域内には、圧電素子17の先端部が当接する島部27が設けられている。すなわち、振動板15の各圧力発生室11の周縁部に対向する領域に他の領域よりも厚さの薄い薄肉部28が形成されて、この薄肉部28の内側にそれぞれ島部27が設けられている。また、本実施形態では、振動板15のリザーバー22に対向する領域に、薄肉部28と同様に、支持板26がエッチングにより除去されて実質的に弾性膜のみで構成されるコンプライアンス部29が設けられている。なお、このコンプライアンス部29は、リザーバー22内の圧力変化が生じた時に、このコンプライアンス部29の弾性膜25が変形することによって圧力変化を吸収し、リザーバー22内の圧力を常に一定に保持する役割を果たす。
【0026】
ここで、圧電素子ユニット18について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る圧電素子ユニットの斜視図であり、図3は、図2の平面図及びそのA−A'断面図である。
【0027】
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る圧電素子ユニット18は、複数の圧電素子17がその幅方向に並設された列を有する圧電素子形成部材34と、圧電素子形成部材34の先端部(一端部)側が自由端となるように他端部の基端面が接合される固定基板35(第1の基板)とを有する。
【0028】
圧電素子形成部材34は、詳しくは後述するが、直方体の先端部側にスリット39によって複数の圧電素子17の列が設けられた櫛歯形状を有する。そして、圧電素子17が形成された先端面34cが島部27に固定され、基端面34aが固定基板35に固定されている。
【0029】
固定基板35は、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料で形成された直方体からなり、流路ユニット16側の一端面35a、すなわち、圧力発生室11側に向いた面となり、圧電素子17の先端面と同一方向を向く一端面35aを有している。この一端面35aに圧電素子17の第1の面となる基端面34aが固定されている。すなわち、圧電素子形成部材34(圧電素子17)と固定基板35とは、互いに端面34a及び35a同士が固定されて一体化されている。
【0030】
そして、この固定基板35は、複数の圧電素子17に亘って形成される側面35bを有している。
【0031】
また、圧電素子形成部材34(圧電素子17)の側面34b、つまり、圧電素子17の第1の面である基端面34aとは直交し、後述する外部配線である回路基板50との接続面となる第3の面が、固定基板35の側面35bよりも突出した状態で固定基板35に固定されている。これは、圧電素子形成部材34の固定基板35よりも突出した領域(第3の面である側面34b)に外部配線である回路基板50を容易に接続させるためである。
【0032】
ここで、圧電素子形成部材34(圧電素子17)について詳細に説明する。圧電素子形成部材34は、圧電材料層36と、圧電素子17の2つの極を構成する電極材料層、すなわち、隣接する圧電素子17と電気的に独立する個別電極を構成する個別内部電極37と、隣接する圧電素子17と電気的に共通する共通電極を構成する共通内部電極38とを交互に挟んで積層することにより形成されている。圧電材料層36と、個別内部電極37及び共通内部電極38との積層方向は、本実施形態では、圧電素子17の島部に固定される先端面34cから固定基板35に固定される基端面34aに向かう方向に対して交差する方向、すなわち、先端面34c及び基端面34aの面方向と同一方向となっている。
【0033】
この圧電素子形成部材34には、固定基板35に固定された基端部(基端面)とは反対側の先端部(自由端)側に、例えば、ワイヤーソー等によってスリット39が形成されている。そして、圧電素子形成部材34の先端部側は、スリット39によって各圧力発生室11に対応して櫛歯状に切り分けられて、各圧電素子17の列が形成されている。すなわち、圧電素子形成部材34には、複数の圧電素子17が基端部側で一体となるように形成されている。
【0034】
スリット39は、圧電素子形成部材34の第1の面である基端面34aとは反対側の面であって、圧力発生室11側の面となる先端面34c(第2の面)側から固定基板35に固定された基端面34aの一方の角部である境界部40に至るまで、斜めに設けられており(スリット39の基端面34a側の底面が基端面34aに対して傾斜しているという意味)、固定基板35に固定された基端面34aの少なくとも一部が切り分けられることなく一体的に設けられている。
【0035】
なお、圧電素子17の第1の面(基端面34a)とは直交し、図3(b)に示すとおり、個別内部電極37及び共通内部電極38が露出する面を第4の面とする。
【0036】
そして、この圧電素子17(圧電素子形成部材34)の島部27に当接する先端面34cとは反対側の基端面34aが、上述のように固定基板35の一端面35aに固定され、圧電素子17は固定基板35を介してケースヘッド20に固定されている。
【0037】
このように、圧電素子形成部材34と固定基板35とを、その端面34a、35a同士を固定して一体化することで、圧電素子形成部材34の短尺化を図ることができる。すなわち、圧電素子(圧電素子形成部材)と固定基板とを端面同士ではなく、側面同士をオーバーラップさせた状態で固定した場合、圧電素子形成部材を固定基板に固定するための不活性領域が必要となり、圧電素子(圧電素子形成部材)が長尺化してしまう。これに対して、圧電素子形成部材34と固定基板35とを、その端面34a、35a同士を固定して一体化することで、圧電素子17を切り分けるスリット39を圧電素子形成部材34のほぼ長さ方向に至るまで形成することができる。したがって、圧電素子形成部材34はほぼ圧電素子17(実質的に活性領域)と同等の長さだけを設ければよく、圧電素子形成部材34を短尺化して、コストを低減することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、スリット39を、圧電素子形成部材34の固定基板35に固定される基端面34a側が完全に切り分けられることがないように設けたが、特にこれに限定されず、例えば、スリット39を圧電素子形成部材34が完全に切り分けられるように設けてもよい。このようなスリット39は、固定基板35に圧電素子形成部材34を固定した後にワイヤーソーによって形成すれば、複数個の圧電素子17を固定基板35に容易に固定することができる。
【0039】
また、圧電素子17の列の両外側には、各圧電素子17を位置決めするために位置決め部41が設けられている。この位置決め部41は、圧電素子ユニット18をインクジェット式記録ヘッドIに組み込む際に、ケースヘッド20の収容部19に対して圧電素子ユニット18を高精度に位置決めするためのものである。
【0040】
ここで、圧電素子17の電極について説明する。図3(b)に示すように、圧電素子形成部材34の外表面には、個別内部電極37及び共通内部電極38と接続される外部電極42が形成されている。外部電極42は、上述のように、先端面34cから一側面側に連続する個別外部電極43と、基端面34a側に設けられた共通外部電極44とを具備する。
【0041】
各圧電素子17の個別電極となる個別内部電極37は、基本的には圧電素子形成部材34の略全面に亘って設けられているが、固定基板35に固定された基端面34a側の共通外部電極44には導通することなく不連続となるように設けられている。一方、共通電極となる共通内部電極38も基本的に圧電素子形成部材34の略全面に亘って設けられているが、個別内部電極37と同様に、圧電素子17の先端面34c近傍で個別外部電極43と導通することなく不連続となるように設けられている。すなわち、本実施形態の圧電素子17は、ほとんど全てが、振動される振動領域となっており、固定基板35に固定される領域に余分な不活性領域が必要ない。
【0042】
個別外部電極43と共通外部電極44とは、圧電素子形成部材34の外周面に設けられた連続する電極層を、圧電素子形成部材34の角部と共に除去することにより形成された境界部40によって分離することで形成されている。具体的には、圧電素子形成部材34の先端面34c及び基端面34aと、これら先端面34c及び基端面34aの間の一方の側面34b上とに亘って電極層を設け、圧電素子形成部材34の固定基板35に固定される基端面34a及び側面34bの角部を電極層と共に研削やエッチング等で除去することで境界部40を形成する。すなわち、境界部40は、第1の面である基端面34aと第3の面である側面34bとの境界に設けられて、基端面34a及び側面34bに対して斜めに形成された傾斜面となっている。
【0043】
このように形成した境界部40によって電極層を分離することで、個別外部電極43及び共通外部電極44が形成されている。すなわち、個別外部電極43と共通外部電極44とは、同一層からなるが、境界部40によって不連続(絶縁した状態)となるように設けられている。そして、複数のスリット39は、圧電素子形成部材34の先端面34cから境界部40に達する長さで形成され、個別外部電極43は、スリット39によって分離されて、互いに隣接する圧電素子17と電気的に独立している。また、スリット39は、圧電素子形成部材34の固定基板35に固定される基端面34aにおいて、境界部40とは反対側の角部まで達することなく設けられている。したがって、共通外部電極44は、互いに隣接する圧電素子17と電気的に共通している。なお、スリット39を境界部40とは反対側の角部に達する長さ、すなわち、圧電素子形成部材34を完全に分離する長さで形成することで、共通外部電極44も個別外部電極43と同様に分離されるが、本実施形態の共通外部電極44は、導電性を有する固定基板35に接続されているため、固定基板35を介して互いに隣接する圧電素子17において電気的に共通(導通)することができる。ちなみに、固定基板35と圧電素子形成部材34(圧電素子17)とは、導電性接着剤や半田など、導電性を有する固定方法で互いに固定されている。
【0044】
また、本実施形態では、境界部40は、圧電素子形成部材34の固定基板35の一側面から突出した角部に設けるようにした。これにより、圧電素子形成部材34を固定基板35に固定した後に、電極層と圧電素子形成部材34の角部とを除去して容易に境界部40を形成することができる。
【0045】
また、境界部40は、圧電素子形成部材34の角部を除去することで形成される。したがって、この領域に共通内部電極38が存在すると、境界部40を形成することで共通内部電極38と共通外部電極44との接続が切断されてしまうため好ましくない。したがって、境界部40が設けられる側には、圧電材料層36を他の領域に比べて比較的厚く形成しておくのが好ましい。これにより、共通内部電極38が切断されることにより不活性領域(非振動領域)の形成による活性領域の減少を防止することができると共に、不活性領域によって活性領域の振動が阻害されるのを低減することができる。
【0046】
このような圧電素子ユニット18では、上述のように、外周面に亘って電極層が形成された圧電素子形成部材34にスリット39及び境界部40を形成するだけで、外部電極42である個別外部電極43及び共通外部電極44がパターン形成される。したがって、圧電素子形成部材34の外周面に個別外部電極43や共通外部電極44をフォトリソグラフィ法等によって高精度にパターニングする必要がなく、コストを低減することができる。
【0047】
このような圧電素子ユニット18では、一方の側面(島部27に接合される先端面34cと固定基板35に接合される基端面34aとの間の一側面)に個別外部電極43が並設されると共に、固定基板35に固定される基端面34aに共通外部電極44が存在する。そして、圧電素子17の境界部40近傍の各個別外部電極43には、各圧電素子17を駆動するための信号を供給する外部配線である回路基板50が接続されている。
【0048】
回路基板50は、例えば、本実施形態では、圧電素子17を駆動するための駆動IC(図示なし)が搭載されたチップオンフィルム(COF)からなる。そして、回路基板50の各配線51は、その先端部側では、例えば、半田、異方性導電材等によって圧電素子17の個別外部電極43に接続されている。また、回路基板の配線51は、固定基板35に相対向する領域で、固定基板35と電気的に接続されており、圧電素子17の共通外部電極44は、固定基板35を介して回路基板50の配線51と接続されている。
【0049】
なお、固定基板35は、絶縁性を有する材料を用いてもよい。絶縁材料からなる固定基板35を用いる場合には、固定基板35の表面に共通外部電極44と回路基板50の配線51とを電気的に接続する接続配線等を設けるようにすればよい。
【0050】
このように、共通外部電極44を固定基板35を介して外部配線である回路基板50と接続することにより、回路基板50と個別外部電極43との接続領域を比較的広くすることができる。すなわち、圧電素子17の高密度化によって、個別外部電極43も高密度化されるため、回路基板50の配線51も高密度化される。このとき、圧電素子形成部材34の基端部側に個別外部電極43と共通外部電極44とが並設されてしまうと、回路基板50の先端部において、全ての配線を配置しなくてはならず、小型化及び接続が困難である。これに対して、本実施形態のように共通外部電極44を固定基板35を介して回路基板50と接続すれば、これらの接続は、固定基板35と回路基板50とが近接する領域であれば可能となる。したがって、回路基板50の先端部では、個別外部電極43のみを接続すればよく、配線51を取り回し易く、回路基板50の小型化及び接続性の向上を図ることができる。
【0051】
このような圧電素子ユニット18は、図1に示すように、固定基板35の圧電素子形成部材34の突出する側面35bとは反対側の側面が、ケースヘッド20の収容部19に固定される。
【0052】
具体的には、圧電素子ユニット18は、圧電素子17の先端面が振動板15の島部27に当接された状態で、固定基板35の圧電素子形成部材34の突出する側面35bとは反対側の側面が、ケースヘッド20の収容部19に固定されている。
【0053】
ケースヘッド20は、島部27に相対向する領域に厚さ方向に貫通する収容部19が設けられている。収容部19内には、段差部19aが設けられており、固定基板35は、この段差部19aに当接した状態で固定されている。
【0054】
このようなケースヘッド20は、例えば、樹脂材料からなる。そして、ケースヘッド20の収容部19の内面が、圧電素子ユニット18の少なくとも一部の側面が当接されるアライメント面となっている。本実施形態では、アライメント面は、収容部19の圧電素子17の並設方向の一方側の内面となっており、このアライメント面に圧電素子ユニット18の少なくとも一部として圧電素子17の並設方向の一方側の側面(位置決め部41)が当接された状態で保持されることで、圧電素子17は振動板15(島部27)に対して位置決めされている。なお、圧力発生室11は、その短手方向(幅方向のことであり、ノズル開口13の並設方向)に複数並設されており、圧電素子17は複数の圧力発生室11に対応して、その端面の短手方向(幅方向)に複数並設されている。すなわち、圧電素子17は、その並設方向が島部27に固定される端面における短手方向となっており、ケースヘッド20の収容部の側面であるアライメント面に圧電素子17の並設方向の一方側の側面(位置決め部41)を当接させることで、圧電素子17の短手方向と島部27の短手方向との位置決めが行われている。ちなみに、島部27の短手方向の幅と圧電素子17の短手方向の幅とは、共に数十μm程度の大きさしかなく、両者はほぼ同等の幅で形成されているため、圧電素子17と島部27との短手方向の位置決めを高精度に行わなければ、圧電素子17の変位を島部27を介して振動板15に伝わらせることができず、インク吐出特性が劣化してしまう。本実施形態では、ケースヘッド20のアライメント面と圧電素子17の並設方向の一方側の側面とを当接させて位置決めすることで、圧電素子17の短手方向と島部27の短手方向とが高精度に位置決めされて固定されており、優れたインク吐出特性を有する。
【0055】
また、ケースヘッド20上には、回路基板50の各配線51がそれぞれ接続される複数の導電パッド52が設けられた配線基板53が固定されており、ケースヘッド20の収容部19は、この配線基板53によって実質的に塞がれている。配線基板53には、ケースヘッド20の収容部19に対向する領域にスリット状の開口部54が形成されており、回路基板50はこの配線基板53の開口部54から収容部19の外側に引き出されている。
【0056】
そして、収容部19から引き出された回路基板50の基端部側では、回路基板50の各配線51は配線基板53の各導電パッド52に接合されている。具体的には、配線基板53の開口部54から収容部19の外側に引き出された回路基板50の基端部が配線基板53の表面に沿って折り曲げられた状態で、各配線51は配線基板53の各導電パッド52に接合されている。
【0057】
このようなインクジェット式記録ヘッドIでは、インク滴を吐出する際に、圧電素子17及び振動板15の変形によって各圧力発生室11の容積を変化させて所定のノズル開口13からインク滴を吐出させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからリザーバー22にインクが供給されると、インク供給路23を介して各圧力発生室11にインクが分配される。実際には、圧電素子17に電圧を印加することにより圧電素子17を収縮させる。これにより、振動板15が圧電素子17と共に変形されて圧力発生室11の容積が広げられ、圧力発生室11内にインクが引き込まれる。ノズル開口13に至るまで内部にインクが満たされた後、配線基板53を介して供給される記録信号に従い、圧電素子17の個別内部電極37、共通内部電極38に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電素子17が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板15も変位して元の状態に戻る。結果として圧力発生室11の容積が収縮して圧力発生室11内の圧力が高まりノズル開口13からインク滴が吐出される。
【0058】
このとき、圧電素子17が振動板55を押圧した際の反発力は、圧電素子17(圧電素子形成部材34)の基端面34aを固定する固定基板35によってダイレクトに受けられる。すなわち、振動板15を押圧する際に、圧電素子17は、基端面34aが固定基板35によって規制されているため、圧電素子17の変位による押圧力を振動板15にダイレクトに伝えることができる。これにより、優れたインク吐出特性を得ることができる。ちなみに、圧電素子(圧電素子形成部材)と固定基板とを端面同士ではなく、側面同士をオーバーラップさせた状態で固定した場合、圧電素子の反発力は、圧電素子と固定基板との接合面を側面に沿ってせん断するように受け止められる。したがって、圧電素子の反発力は、せん断方向に逃げ易く、インク吐出特性が低下してしまう虞がある。
【0059】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る圧電素子ユニットの断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0060】
図4に示すように、本実施形態の圧電素子ユニット18Aは、固定基板35と、固定基板35の一端面35aに固定された2つの圧電素子形成部材34(圧電素子17)とを具備する。
【0061】
圧電素子形成部材34は、1つのノズル列に対して1つ用いられており、この圧電素子形成部材34は、ノズル開口13の数に応じて複数の圧電素子17に分割されている部分を有する。ここで2つの圧電素子形成部材34は、固定基板35の一端面35aの短手方向の両端部側にそれぞれ固定されている。ここで、一端面35aの短手方向とは、ノズル列の列設方向のことである。また、固定基板35の圧電素子形成部材34が固定された一端面35aには、2つの圧電素子形成部材34の間に脚部60が設けられている。脚部60の端面は、2つの圧電素子17の先端面34cと面一となるように形成されている。
【0062】
このように1つの固定基板35に2つの圧電素子17の列が設けられた圧電素子ユニット18Aであっても、圧電素子17を短尺化してコストを低減することができると共に、圧電素子17の振動板15を押圧する反発力を固定基板35でダイレクトに受け止めることができ、圧電特性を向上することができる。
【0063】
また、このような圧電素子ユニット18Aの各圧電素子形成部材34には、それぞれ回路基板50が接続されている。回路基板50は、固定基板35の両側面でそれぞれ圧電素子17と電気的に接続されている。すなわち、1つの固定基板35には、2つの圧電素子形成部材34が固定されているものの、2つの圧電素子形成部材34には、それぞれ固定基板35の異なる側面に沿って配置された回路基板50が接続される。したがって、2列の圧電素子17に容易に回路基板50を接続することができる。
【0064】
ここで、このような圧電素子ユニットを具備するインクジェット式記録ヘッドIについて説明する。なお、図5は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【0065】
図5に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIAは、流路ユニット16Aと、圧電素子ユニット18Aと、ケースヘッド20Aとを具備する。
【0066】
ケースヘッド20Aには、圧電素子ユニット18Aが配置される収容部19Aが設けられている。また、流路ユニット16Aには、各圧電素子17に対応して、液体流路であるリザーバー22、インク供給路23、圧力発生室11、ノズル連通孔24等がそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態では、圧電素子ユニット18Aには、圧電素子17の列が2列設けられているため、流路ユニット16Aには、2列の圧電素子17の列に対応する液体流路が2列設けられている。
【0067】
そして、圧電素子ユニット18Aの圧電素子17の各列は、各液体流路の圧力発生室11に対応する領域に設けられた島部27に固定されている。また、脚部60は、2つの液体流路の間の流路形成基板12が存在する領域に振動板15を介して固定されている。
【0068】
また、ケースヘッド20Aには、圧電素子ユニット18Aが配置される収容部19Aが設けられている。そして、ケースヘッド20Aと圧電素子ユニット18Aの固定基板35とは、圧電素子17の列における並設方向の両側面が固定されている(図示なし)。すなわち、固定基板35は、圧電素子17が突出する側の側面はケースヘッド20Aに固定されていない。
【0069】
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIAでは、固定基板35に圧電素子17が2列設けられているため、互いに隣接する圧電素子17の列同士を近接して設けることができる。したがって、圧電素子17の高密度化を図ることができ、ノズル開口13を高密度化して、印刷品質を向上することができる。
【0070】
また、固定基板35に圧電素子17を2列設け、圧電素子17の列の間に脚部60を設けるようにしたため、圧電素子ユニット18Aの剛性を維持することができる。すなわち、圧電素子17が振動板15を押圧した際の反発力は、固定基板35でダイレクトに受け止められるものの、固定基板35の圧電素子17の並設方向の両端部側でケースヘッド20Aに固定されているだけだと、振動板15の変位に伴って流路ユニット16A全体が変位してしまい良好なインク吐出特性を得ることができない虞がある。これに対して、脚部60を設け、脚部60を振動板15を介して流路形成基板12に固定することで、圧電素子17の変位方向とは反対方向に脚部60が流路ユニット16Aを押圧することになり、振動板15の変位に伴う流路ユニット16A全体の変形を抑制し、インク吐出特性を向上することができる。
【0071】
ちなみに、脚部60は、圧電素子17を分離するスリット39が設けられていない。これは、圧電素子形成部材34を固定基板35に固定した後、圧電素子形成部材34にスリット39を形成する際に、上述した実施形態1と同様にスリット39を斜めに形成することで実現できる。このように脚部60をスリット39によって分離しないことで、脚部60の剛性を高めることができるため、圧電素子17を駆動した際に固定基板35を介して流路ユニット16Aを確実に押さえて、インク吐出特性を向上することができる。
【0072】
また、上述した圧電素子ユニット18Aは、単体で自立することができるため、流路ユニット16Aにケースヘッド20Aを固定する前に圧電素子ユニット18Aを流路ユニット16Aに固定することができる。したがって、圧電素子ユニット18Aと島部27との位置決めを側面方向から視認することができ、圧電素子ユニット18Aと島部27との位置決めを高精度に行うことができる。
【0073】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1及び2では、固定基板35に、圧電素子形成部材34を1又は2個設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、1つの固定基板35に3個以上の圧電素子形成部材34を設けるようにしてもよい。すなわち、圧電素子17の列は、圧電素子17の並設方向で、2つ以上の圧電素子形成部材34で構成されていてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態1では、圧電素子形成部材34と、個別内部電極37及び共通内部電極38とを交互に積層した積層方向とは交差する方向の端面を基端面34aとして、固定基板35に固定するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、圧電素子形成部材34と個別内部電極37及び共通内部電極38との積層方向における一端面を基端面34aとして、固定基板35に固定してもよい。この場合には、積層方向における他端面が第2の面である先端面34cとなり、この先端面34cが振動板15に固定されればよい。
【0075】
さらに、上述した実施形態の固定基板は、放熱機能を有する放熱部材としても利用することができる。すなわち、固定基板35として比較的熱伝導性の高い材料を用いることで、圧電素子17の駆動による熱を固定基板35を介して放熱することができる。また、固定基板35として、表面積を広げた放熱フィンを用いるようにしてもよい。すなわち、固定基板35には、熱を放熱する放熱部材としての機能と、圧電素子17(圧電素子形成部材34)とをケースヘッド20、20Aに固定する固定部材としての機能との両方を持たせるようにしてもよい。もちろん、外部配線である回路基板50を固定基板35に接触又は接合させることで、固定基板35に設けられた駆動ICの放熱部材としても機能させることができる。もちろん、固定基板35は、放熱部材としての機能だけを有するものであってもよい。
【0076】
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドI、IAは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図6は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0077】
図6に示すように、インクジェット式記録装置IIは、インクジェット式記録ヘッドI又はIAを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bを具備する。記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0078】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0079】
また、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI又はIA(ヘッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドI又はIAが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0080】
なお、上述した実施形態1及び2においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置IIを挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
I、IA インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 11 圧力発生室、 16、16A 流路ユニット、 17 圧電素子、 18、18A 圧電素子ユニット、 19、19A 収容部、 20、20A ケースヘッド、 34 圧電素子形成部材、 34a 基端面(第1の面)、 34b 側面(第3の面)、 34c 先端面(第2の面)、 35 固定基板、 36 圧電材料層、 37 個別内部電極、 38 共通内部電極、 40 境界部、 42 外部電極、 43 個別外部電極、 44 共通外部電極、 50 回路基板(外部配線)、 53 配線基板、 60 脚部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、該圧電素子の第1の面と接合された一端面を有する第1の基板と、を具備し、
前記圧電素子は、
前記第1の面とは反対側の第2の基板側の面となる第2の面と、前記第1の面及び第2の面とは直交し、外部配線との接続部となる個別外部電極が形成された第3の面と、
前記圧電素子の外部表面に設けられた共通外部電極と、
前記第1の面と前記第3の面との境界に設けられて、当該第1の面及び第3の面に対して斜めに形成された傾斜面と、を有し、
該傾斜面が、個別外部電極と共通外部電極とを分断する境界部となっていることを特徴とする圧電素子ユニット。
【請求項2】
前記圧電素子が、圧電材料層と電極材料層とを交互に積層形成されたものであり、且つ積層方向とは交差する方向に前記第1の基板に固定される前記第1の面が設けられ、前記境界部側の前記圧電材料層が、他の領域よりも厚くなっていることを特徴とする請求項1記載の圧電素子ユニット。
【請求項3】
前記個別外部電極には、外部配線が接続されると共に、当該外部配線が、前記共通外部電極に前記第1の基板を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子ユニット。
【請求項4】
前記第1の基板が、導電性を有することを特徴とする請求項3記載の圧電素子ユニット。
【請求項5】
前記第1の基板には、前記外部配線と前記共通外部電極とを接続する接続配線が設けられていることを特徴とする請求項3記載の圧電素子ユニット。
【請求項6】
前記圧電素子が、前記第1の基板の前記圧電素子が固定された端面に直交し、複数の圧電素子に亘って形成された側面から突出して設けられていると共に、前記境界部が、前記圧電素子の前記第1の面の前記第1の基板から突出した領域に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の圧電素子ユニット。
【請求項7】
前記第1の基板の一端面には、前記圧電素子の列が、当該圧電素子の並設方向とは交差する方向に2列設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の圧電素子ユニット。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の圧電素子ユニットと、該圧電素子ユニットの前記圧電素子の前記第2の面が固定される振動板と、前記第2の基板に設けられて前記振動板によって一方面が画成されると共にノズル開口に連通する圧力発生室と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項9】
請求項8記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182710(P2010−182710A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22300(P2009−22300)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】