説明

地図情報処理装置および地図情報処理方法並びにプログラム

【課題】特別な申請操作を行うことなく使用権のない部分の地図の利用できるようにし且つ地図の購入をユーザに促すことができる地図情報処理装置を実現する。
【解決手段】電子制御装置(ECU)11は、例えば、走行中に自車位置が使用権が設定されていない分割地図に対応する地域に入った場合、その分割地図に対応する地図の表示等の処理を継続して実行し、その代わりに、例えば、分割地図の宣伝や、最新版地図の宣伝、又は他の各種サービスの宣伝といったコマーシャル情報を映像または音声にて再生する。コマーシャル情報の再生は、例えば、定期的に繰り返し実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に地図情報を処理するための地図情報処理装置に関し、特に分割地図を用いて地図情報を処理するための地図情報処理装置および地図情報処理方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地図情報の表示や経路案内等を行うための地図情報処理装置としては、カーナビゲーション、携帯ナビゲーションといったナビゲーション装置が広く使用されている。ナビゲーション装置は、地図データを用いて、当該装置の現在地周辺の地図や目的地周辺の地図等を検索して表示する処理、ルート検索処理、およびルート案内処理等を実行する。
【0003】
また、最近では、地図データを分割して管理する技術も開発され始めている。例えば、特許文献1には、ナビゲーション装置用の地図の分割販売に関する技術が開示されている。この特許文献1に開示された装置は、使用権が無い部分の地図について、その購入を前提に暫定使用権を与え、且つ一定期間その表示を行う。すなわち、この装置は、使用権が設定されていない部分の地図データに関し、正式使用のための処置を所定の期間内に講じることを担保とした暫定使用の許可申請を入力する入力手段を備えており、暫定使用の許可申請が入力手段によって入力された場合に、その暫定使用の許可申請された分の地図データに対してその処理の実行を許可するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−243457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、許可申請が入力されない限りは、使用権のない部分の地図の利用は一切出来ない。このため、使用権のない部分の地図の利用を継続する場合には、ユーザ(運転者)は許可申請の有無を即座に判断し、さらに許可申請する場合にはそのための入力操作を行わなければならない。しかし、このような判断やその許可申請のための入力操作を運転中などに即座に行うことは、ユーザ(運転者)にとって必ずしも容易なことではない。また、特許文献1では、使用権のない部分の地図に対するユーザの購買意欲を高めるための工夫については特に考慮されていない。
【0006】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、特別な申請操作を行うことなく使用権のない部分の地図を利用できるようにし且つ当該地図の購入をユーザに促すことができる地図情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の地図情報処理装置は、地図データ記憶手段に格納された地図データを用いて地図の表示を含む所定の処理を実行する処理手段と、前記地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理する管理手段と、表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合、前記使用権が設定されていない分割地図データを利用することによって前記処理手段による前記表示対象の場所の地図表示を継続しながら、所定のコマーシャル情報を再生するコマーシャル情報再生手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに地図を表示させるためのプログラムであって、記憶媒体に格納された地図データを用いて地図の表示を含む所定の処理を実行する処理手順と、前記地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理する管理手順と、表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合、前記使用権が設定されていない分割地図データを利用することによって前記表示対象の場所の地図表示を継続しながら、所定のコマーシャル情報を再生するコマーシャル情報再生手順とを前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特別な申請操作を行うことなく使用権のない部分の地図を利用できるようになり且つ当該地図の購入をユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る地図情報処理装置のシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の地図情報処理装置が分割地図それぞれの使用権を管理するために用いる使用権情報の例を示す図。
【図3】同実施形態の地図情報処理装置が分割地図それぞれの使用権を管理するために用いる使用権情報の他の例を示す図。
【図4】同実施形態の地図情報処理装置で用いられるナビゲーションプログラムの構成例を示す図。
【図5】図4のナビゲーションプログラムに含まれるCM情報処理モジュールの構成例を示す図。
【図6】同実施形態の地図情報処理装置によって表示されるナビゲーション画面の遷移の例を示す図。
【図7】同実施形態の地図情報処理装置によって実行される地図データ処理の手順の例を示すフローチャート。
【図8】同実施形態の地図情報処理装置によって実行されるCM再生処理の手順の例を示すフローチャート。
【図9】同実施形態の地図情報処理装置によって実行されるCM再生処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【図10】同実施形態の地図情報処理装置によって実行される操作禁止処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る地図情報処理装置の構成を示している。この地図情報処理装置は、地図データを用いて、地図の表示、ルート検索、およびルート案内(経路誘導)等の処理を実行する装置である。以下では、本地図情報処理装置が自動車に搭載して使用されるカーナビゲーション装置10として実現されている場合を想定して、その構成を説明する。
【0013】
このカーナビゲーション装置10は、図1に示されているように、電子制御装置(ECU)11、位置検出部12、記憶装置13、操作スイッチ群14、リモコンセンサ15、リモコンユニット16、通信装置17、表示装置18、スピーカ19、および外部メモリ20等を備えている。
【0014】
電子制御装置(ECU)11はカーナビゲーション装置10の動作を制御するためのものであり、CPU111およびメモリ112等を備えている。CPU111は各種演算処理を実行するためのプロセッサであり、メモリ112に格納されたナビゲーションプログラム40を実行することにより、記憶装置13に記憶されている地図データを用いて、自車位置(カーナビゲーション装置10の現在位置)周辺の地図やユーザによって指定された場所の地図等を表示する地図表示処理、表示される地図の拡大・縮小処理、表示される地図のスクロール処理、現在地のような出発地から目的地までのルートを設定するルート検索処理、設定されたルートを案内するための案内処理(例えば音声案内処理)等を実行する。
【0015】
位置検出部12は現在の自車位置(現在位置)を検出する。この位置検出部12は、例えば、GPS受信機121、ジャイロスコープ122、および車速センサ123などから構成することができる。記憶装置13は地図データを格納している。この記憶装置13は、例えば、DVDドライブ、ハードディスクドライブ、またはメモリカードコントローラ等から構成されており、電子制御装置(ECU)11からの要求に応じて、DVDメディアまたはメモリカードのようなリムーバブル記録メディアやハードディスク内の固定ディスクメディアのような記憶媒体から地図データを読み出す。
【0016】
記憶装置13の記憶媒体に格納されている地図データは使用権が無いと使用することができない。この使用権は、例えば、携帯電話網のような無線網を介した情報センタ30のサーバとの通信を用いて所定の使用権取得処理を実行することによって得ることが出来る。なお、地図データは例えば地域のような所定の単位でファイル化されており、ファイル単位での使用権設定ができるようになっている。したがって、地図データを構成する複数の分割地図データ(例えば、複数の分割地図データファイル)の内、一部の分割地図データの使用権のみを取得して使用するという運用が可能となる。
【0017】
複数の分割地図データは暗号化された状態で記憶装置13に格納してもよい。この場合、使用権取得処理によって使用権が取得された分割地図データを復号するための鍵は無線網を介して情報センタ30のサーバから取得することが出来る。
【0018】
電子制御装置(ECU)11は、使用権が設定されていない分割地図の購入機会をユーザに提供するための機能としてコマーシャル(CM)情報再生機能を有している。このCM情報再生機能は、例えば、走行中に自車位置が使用権が設定されていない分割地図に対応する地域に入ってしまった場合でも、その分割地図に対応する地図の表示等の処理を継続して実行し(地図の表示制限、機能制限を伴う使用形態も含む)、その代わりに、例えば、分割地図の宣伝や、最新版地図の宣伝、又は他の各種サービスの宣伝といったコマーシャル情報を映像または音声にて再生する機能である。
【0019】
コマーシャル情報の再生は、例えば、定期的に繰り返し実行される。コマーシャル情報の再生による効果としては、例えば、(1)ユーザに対して地図等に関する宣伝を行うことが出来ること、(2)地図を購入すればコマーシャル情報が再生されずに快適なナビゲーションが可能になるという認識をユーザに対して与えることが出来ること、等が挙げられる。
【0020】
コマーシャル情報の再生期間中は、例えば、表示対象の場所の地図を縮小して表示画面上に表示すると共に、コマーシャル情報に含まれるコマーシャル映像を表示画面上に表示するという処理が実行される。すなわち、ナビゲーション画面を縮小することによって表示画面上に空き領域を設け、その空き領域にコマーシャル映像が表示される。また、コマーシャル情報に含まれるコマーシャル音声を再生出力するといった処理も実行することができる。なお、自車位置が地図の使用権が無い地域内である間、コマーシャル映像を表示せずに、コマーシャル音声のみを例えば定期的に繰り返し再生出力するようにしてもよい。この場合、ナビゲーション画面を縮小する必要はない。
【0021】
コマーシャル情報は例えば記憶装置13に予め格納しておいてもよいが、情報センタ30のサーバからリアルタイムにコマーシャル情報を取得して再生出力するようにすることもできる。例えば、表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに対応する地域を示す情報や、現在位置情報等を情報センタ30のサーバに通知することにより、表示対象の場所に対応する地域に関連づけられたコマーシャル情報を情報センタ30のサーバから取得して再生することも可能となる。これにより、常に最新の内容のコマーシャル情報を再生出力することが可能となると共に、自車位置に対応する地域内の飲食店やアミューズメントパークの宣伝等を効果的に行うことも可能となる。
【0022】
操作スイッチ群14はユーザが各種操作指示を入力するための入力操作部である。リモコンセンサ15は利用者が各種指令を入力するためのスイッチ等が設けられたリモコンユニット16からの信号を受信する装置であり、各種操作指示を入力するために用いられる。通信装置17は無線網(ネットワーク)を介して情報センタ30のサーバとの通信を実行する。この通信装置17としては、ナビゲーション装置10に内蔵された無線通信モジュールの他、ユーザの携帯電話等を使用することもできる。
【0023】
表示装置18は地図(道路地図)や各種施設に対応するランドマーク等を含むナビゲーション画面等を表示するためのディスプレイである。スピーカ19は音声案内のための音声メッセージや他の各種音声を出力するために使用される。外部メモリ20は、電子制御装置11の設定したルートや地図データの使用権に関する情報(使用権情報)などを記憶する。使用権情報は、複数の分割地図データそれぞれについて使用権の有無を管理するための情報である。
【0024】
使用権情報は、例えば、図2または図3に示すデータ構造等を用いて管理することができる。図2の使用権情報においては、分割地図データ毎に、その分割地図データの番号、対応する地域を示す地域番号、使用権の有無が管理されている。また、図3の使用権情報においては、使用権の有無を示す情報の代わりに、対応する分割地図データを復号するための鍵またはその鍵の格納位置等が管理されている。使用権が設定されていない分割地図データに対応する鍵のフィールドはブランクとなる。
【0025】
図4には、ナビゲーションプログラム40の構成が示されている。ナビゲーションプログラム40は、ナビゲーション処理モジュール41、地図データ管理モジュール42、使用権判定モジュール43、CM情報処理モジュール44、通信モジュール45、地図データ購入モジュール46等から構成されている。
【0026】
ナビゲーション処理モジュール41は、地図データを用いて、地図の表示や、出発地から目的地までのルートを設定し当該設定されたルートを案内するルート検索・案内処理等を実行するためのソフトウェアモジュールである。このナビゲーション処理モジュール41は、位置検出部12によって検出された自車位置(現在位置)周辺の地図やユーザによって指定された指定場所周辺の地図表示を行うための地図表示モジュール411、地図データに基づいて、現在位置等の出発地から指定された目的地までのルートを設定するためのルート検索モジュール412、および設定されたルートを地図上のルート案内表示や音声案内等によって案内するための音声案内モジュール413を備えている。
【0027】
地図データ管理モジュール42は、記憶装置13に格納された地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理するためのソフトウェアモジュールであり、上述の使用権情報の生成および管理を行う。使用権判定モジュール43は、上述の使用権情報に基づいて、表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されている否かを判定する。CM情報処理モジュール44は、表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合に、上述のCM情報再生処理を実行するためのソフトウェアモジュールである。
【0028】
通信モジュール45は、携帯電話網のような無線通信網を介して情報センタ30のサーバとの通信を実行するためのソフトウェアモジュールである。地図データ購入モジュール46は、情報センタ30のサーバとの通信によって、例えば、クレジットカード番号等の金融取引情報等をサーバに通知する処理を含む所定の購入処理を実行するためのソフトウェアモジュールである。この購入処理によって分割地図データを購入することにより、その分割地図データを復号するための鍵を情報センタ30のサーバから取得することができ、その分割地図データの使用権を得ることができる。
【0029】
図5には、CM情報処理モジュール44の構成例が示されている。CM情報処理モジュール44は、例えば、CM再生タイミング制御モジュール401と、CM再生モジュール402とから構成されている。
【0030】
CM再生モジュール402は、CM映像を表示再生するためのCM表示再生モジュール411とCM音声を再生出力するためのCM音声再生モジュール412とを含む。なお、CM映像としては、文字や静止画像、アニメーションのようなグラフィクス、動画像等を使用し得る。CM再生タイミング制御モジュール401は、CM再生モジュール402によるCM情報の再生タイミングを制御する。
【0031】
CM再生タイミング制御モジュール401は、例えば、CM情報の再生が定期的(例えば、6時,9時,12時,15時,18時,21時,24時などの定刻毎)に実行されるようにCM情報の再生タイミングを制御する。
【0032】
このように、自車位置が使用権が設定されいない分割地図データに対応する地域にある間は、予め決められた時刻毎にCM情報を再生するという定刻CM再生を行うことにより、CM情報が再生される時間が運転者の記憶に残りやすい。運転者がCM情報が再生される時刻を予測しやすいため、運転時にCM情報が映像又は音声で急に流れ始めることで運転者が驚くことを軽減する効果もあると予測される。なお、現在時刻がCM再生時刻であっても、自車位置が例えば事故多発地点のような予め決められた特定のエリア内に存在する場合には、自車位置がその特定のエリアを抜けるまでCM情報の再生タイミングを遅らせるようにしてもよい。
【0033】
また、ルート検索によって設定されたルートに従ってルート案内を行う場合には、地図データに基づいて、設定されたルート中においてCM情報を再生する区間を決定し、現在位置が決定された区間内である時に、コマーシャル情報を再生するようにしてもよい。設定されたルートの中で、例えば、使用権の無い分割地図データに対応する地域に属し、且つ直線区間が一定距離以上続く区間等を、CM情報再生区間として決定しても良い。そして、そのCM情報再生区間の開始地点などをCM情報再生開始地点として決定し、自車位置がそのCM情報再生開始地点に対応する位置に到達した時にCM情報を再生するようにしてもよい。いずれにしても、現在走行中の地域が地図の使用権が無い地域である間は、CM情報が逐次再生される。
【0034】
図6には、自車位置が使用権が無い分割地図データに対応する地域に入った時にナビゲーション装置10によって表示されるナビゲーション画面の遷移の例が示されている。
【0035】
図6(A)に示されているように、自車位置が使用権が無い分割地図データに対応する地域に入ってもナビゲーション処理は継続して実行されるので、道路地図、自車位置を示す矢印等のマーク、周囲の施設を示すランドマークなどが表示されるナビゲーション画面が通常通り表示される。
【0036】
例えば、特定の時間(例えば、6時,9時,12時,15時,18時,21時,24時等)になると、図6(B)に示されているように、地図表示のための画面は縮小され、残りのスペースに、使用権の購入を促すメッセージや他の宣伝映像等のコマーシャル映像が表示される。
【0037】
さらに、現在時刻を示すコマーシャル映像が表示されると共に、例えば、“午前9時をお知らせします。地図の使用権を購入しましょう”といったコマーシャル音声が再生される。一回のCM情報の再生時間は例えば1分程度である。このように地図を縮小してナビゲーション画面上に表示することにより、地図の視認性は低下するものの、地図の内容等をユーザに知らせることが出来る。
【0038】
また、CM情報の再生期間中は、ユーザによるナビゲーション装置10の操作は禁止される。例えば、図6(C)に示されているように、停車中等で、ユーザがナビゲーション装置10の操作を行おうとしても、CM再生中であった場合には、その操作は受け付けられない。これにより、CM再生を優先して実行することが可能となる。ユーザがナビゲーション装置10を操作した時には、例えば、“CM中です”といった音声メッセージが再生される。これにより、故障ではないことをユーザに知らせることが出来る。
【0039】
1分程度CM再生が行われた後は、図6(D)に示されているように、ナビゲーション画面は通常通り表示される。つまり、地図表示の画面は元のサイズに拡大される。
【0040】
このように、定刻にコマーシャル情報を逐次再生し、またそのコマーシャル情報の再生間はシステムの操作を行うことが出来なくなるため、運転者に対して、地図の購入を行えば定刻のコマーシャル再生が無くなり、快適な利用を行えるという認識を与えることが可能となり、この結果地図の販売拡大の促進を図り得る。
【0041】
次に、図7のフローチャートを参照して、ナビゲーション装置10の電子制御装置11によって実行される地図データ処理の手順の例を説明する。
【0042】
基本的には、電子制御装置11は、現在地以外の表示指定がされている場合においては、ユーザ操作によって指定された指定場所の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が未取得であれば、その旨を表示又は音声でユーザに報知して指定された場所の地図を表示するのに必要な地図データの使用権が取得されていないことをユーザに知らせると共に、CM情報を再生して地図データの購入をユーザに促す。現在地の表示指定がされている場合には、電子制御装置11は、自車位置が使用権が無い分割地図データに対応する地域に入った時に、その旨を表示又は音声でユーザに報知して現在位置に対応する地図を表示するのに必要な地図データの使用権が取得されていないことをユーザに知らせると共に、CM情報を再生して地図データの購入をユーザに促す。以下、電子制御装置11によって実行される具体的な処理について説明する。
【0043】
まず、電子制御装置11は、現在の地図表示モードが“現在地表示”モードかそれ以外の表示モードであるかを判定する(ステップS11)。“現在地表示”モードは、位置検出部12によって検出される現在の自車位置周辺の地図を表示するモードであり、例えば、自車位置を示す矢印のマークが常にナビゲーション画面の中央に位置するように自車位置の変更に伴って地図表示のためのイメージが逐次更新される。
【0044】
“現在地表示”モードにおいては、電子制御装置11は、位置検出部12から現在地(自車位置)を取得し(ステップS12)、そして使用権情報に基づいて、現在地の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が未取得であるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0045】
現在地の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が取得済みであるならば(ステップS13のNO)、電子制御装置11は、通常通り地図表示を行う(ステップS14)。そして、電子制御装置11は、例えば、現在地が、使用権が取得済みの地図データに対応する地域の端(表示可能エリア端)に接近したかどうかを判定する(ステップS15、S16)。表示可能エリア端に接近したことが検出されたならば(ステップS17)、電子制御装置11は、自車位置が使用権が無い分割地図データに対応する地域に入る旨を報知すると共にCM再生処理を開始する(ステップS17)。現在地が使用権の無い地図データ(分割地図データ)に対応する地域内に存在する間は、電子制御装置11によってCM再生処理が実行される(ステップS18)。
【0046】
“現在地表示”モード以外の地図表示モードにおいては、電子制御装置11は、ユーザによって指定された場所の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が未取得であるかどうかを判定する(ステップS19)。指定場所の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が取得済みであるならば(ステップS19のNO)、電子制御装置11は、通常通り地図表示を行う(ステップS20)。一方、指定場所の地図表示に必要な地図データ(分割地図データ)の使用権が未取得であるならば(ステップS19のYES)、電子制御装置11は、CM再生処理を開始する(ステップS21)。このステップS21においても、指定された場所が使用権が無い分割地図データに対応する場所である旨を音声または映像によって報知する処理を実行してもよい。
【0047】
次に、図8のフローチャートを参照して、電子制御装置11によって実行されるCM再生処理の手順を説明する。ここでは、情報センタ30のサーバとの通信によってCM情報を取得する場合を想定する。
【0048】
電子制御装置11は、例えば、現在位置または指定場所の地図表示に必要な地図データの使用権が未取得であることが検出された時などに、情報センタ30のサーバとの通信によって情報センタ30のサーバにCM情報を要求し(ステップS31)、そして情報センタ30のサーバから送信されるCM情報を受信する(ステップS32)。そして、例えば、現在時刻が予め決められたCM再生時刻になった時(ステップS33のYES)、電子制御装置11は、CM情報の再生を開始する。
【0049】
この場合、電子制御装置11は、現在位置または指定場所周辺の地図を示す画像(地図表示データ)を縮小すると共に(ステップS34)、取得したCM情報に含まれるCM映像データを再生する(ステップS35)。そして、電子制御装置11は、縮小された地図表示のための画像とCM映像とを合成して表示装置18の表示画面上に表示する(ステップS36)。そして、電子制御装置11は、取得したCM情報に含まれるCM音声データを再生する(ステップS37)。
【0050】
次に、図9のフローチャートを参照して、電子制御装置11によって実行されるCM再生処理の他の手順を説明する。ここでは、既に案内ルートが設定されており、その設定されたルート中におけるCM情報再生区間を地図データに基づいて決定し、自車位置がCM情報再生区間内である時にコマーシャル情報を再生する場合を想定する。
【0051】
電子制御装置11は、例えば、現在位置の地図表示に必要な地図データの使用権が未取得であることが検出された時などに、情報センタ30のサーバとの通信によって情報センタ30のサーバにCM情報を要求し(ステップS41)、そして情報センタ30のサーバから送信されるCM情報を受信する(ステップS42)。また、電子制御装置11は、例えば、設定されたルートと、地図データと、使用権情報とに基づいて、設定されたルート中においてCM情報を再生する区間を決定する(ステップS43)。このステップS43では、例えば、使用権の無い分割地図データに対応する地域に属し、且つ例えば直線区間が一定距離以上続く区間などがCM情報再生区間として決定されると共に、その区間の開始地点などがCM情報再生開始地点として決定される。なお、ステップS43の処理は、現在位置の地図表示に必要な地図データの使用権が未取得であることが検出された時ではなく、例えば、ルートが設定された時またはその設定されたルートに従った案内処理が開始された時などに行うようにしてもよい。
【0052】
そして、電子制御装置11は、例えば、現在位置がCM情報再生開始地点に近づいたかどうか、つまり現在位置がCM情報再生開始地点に対応する地点に達したかどうかを判定する(ステップS44)。現在位置がCM情報再生開始地点に対応する地点に達した場合(ステップS44のYES)、電子制御装置11は、CM情報の再生を開始する。
【0053】
この場合、電子制御装置11は、現在位置または指定場所周辺の地図を示す画像(地図表示データ)を縮小すると共に(ステップS45)、取得したCM情報に含まれるCM映像データを再生する(ステップS46)。そして、電子制御装置11は、縮小された地図表示のための画像とCM映像とを合成して表示装置18の表示画面上に表示する(ステップS47)。そして、電子制御装置11は、取得したCM情報に含まれるCM音声データを再生する(ステップS48)。
【0054】
次に、図10のフローチャートを参照して、CM再生処理中の入力操作の受付を禁止する処理について説明する。
【0055】
ユーザによる操作スイッチ群14の操作およびリモコンユニット16の操作にそれぞれ応答して操作スイッチ群14およびリモコンセンサ15は入力操作イベントを発生する。この入力操作イベントの発生に応答して(ステップS51のYES)、電子制御装置11は、CM再生中であるか否かを判定する(ステップS52)。CM再生中でない場合には、電子制御装置11は、通常通り、入力操作イベントに対応する所定の処理(例えば、各種操作画面の表示処理、地図の拡大・縮小処理、ナビゲーション画面のスクロール処理、電源オフ処理、等)を実行する(ステップS53)。
【0056】
一方、CM再生中であった場合には(ステップS52のYES)、電子制御装置11は、入力操作イベントに対応する処理の実行を禁止するために、ステップS53の処理をスキップする。これにより、CM再生期間中は、ユーザによるナビゲーション装置10に対する入力操作は受付られなくなる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、現在地の地図や指定場所の地図といった表示対象の地図の表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合に、表示処理対象の地図の表示を継続した状態で地図等に関するコマーシャル情報が再生される。よって、特別な申請操作を行うことなく、使用権のない部分の地図の利用できるようになり、且つ地図の購入をユーザに促すことができる。さらに、使用権のない部分の地図の内容もユーザに提示でき、且つコマーシャル情報によって各種の有用な情報をユーザに提示することもできる。
【0058】
なお、本実施形態では、カーナビゲーションを例示して説明したが、本実施形態の機能は、携帯電話やPDAを使って道路を歩くユーザに対して地図表示やルート案内等を行うという携帯ナビゲーションにも同様にして適用することができる。
【0059】
また、本実施形態のナビゲーション装置10の機能は全てナビゲーションプログラム40によって制御可能であるので、このナビゲーションプログラム40を、このナビゲーションプログラム40を格納した記憶媒体を通じてコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に得ることができる。
【0060】
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…ナビゲーション装置、11…電子制御装置、12…位置検出部、13…記憶装置、17…通信装置、18…表示装置、20…外部メモリ、30…情報センタ、40…ナビゲーションプログラム、111…CPU、41…ナビゲーション処理モジュール、42…地図データ管理モジュール、43…使用権判定モジュール、44…CM情報処理モジュール、45…通信モジュール、46…地図データ購入モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ記憶手段に格納された地図データを用いて地図の表示を含む所定の処理を実行する処理手段と、
前記地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理する管理手段と、
表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合、前記使用権が設定されていない分割地図データを利用することによって前記処理手段による前記表示対象の場所の地図表示を継続しながら、所定のコマーシャル情報を再生するコマーシャル情報再生手段とを具備することを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項2】
前記コマーシャル情報再生手段は、前記表示対象の場所の地図を縮小して表示画面上に表示すると共に、前記コマーシャル情報に含まれるコマーシャル映像を前記表示画面上に表示することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項3】
前記コマーシャル情報再生手段は前記コマーシャル情報に含まれるコマーシャル音声を再生出力することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項4】
前記コマーシャル情報再生手段は、無線網を介してサーバからコマーシャル情報を取得し、前記取得したコマーシャル情報を再生することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項5】
前記地図情報処理装置の現在位置を検出する位置検出手段をさらに具備し、
前記処理手段は前記位置検出手段によって検出された前記地図情報処理装置の現在位置の地図を表示するように構成されており、
前記コマーシャル情報再生手段は、前記地図情報処理装置の現在位置が使用権が設定されいない分割地図データに対応する地域にある間、予め決められた時刻毎に前記コマーシャル情報を再生することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項6】
前記地図情報処理装置の現在位置を検出する位置検出手段と、
出発地から目的地までのルートを設定し当該ルートを案内する案内手段と、
前記地図データに基づいて、前記ルート中において前記CM情報を再生する区間を決定する手段とをさらに具備し、
前記コマーシャル情報再生手段は、前記検出された現在位置が前記決定された区間内である時に、前記コマーシャル情報を再生することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項7】
前記コマーシャル情報再生手段による前記コマーシャル情報の再生期間中、前記地図情報処理装置に対する入力操作の受付を禁止する入力操作禁止手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項8】
記憶媒体に格納された地図データを用いて地図の表示を含む所定の処理を実行する処理ステップと、
前記地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理する管理ステップと、
表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合、前記使用権が設定されていない分割地図データを利用することによって前記表示対象の場所の地図表示を継続しながら、所定のコマーシャル情報を再生するコマーシャル情報再生ステップとを具備することを特徴とする地図情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに地図を表示させるためのプログラムであって、
記憶媒体に格納された地図データを用いて地図の表示を含む所定の処理を実行する処理手順と、
前記地図データを構成する複数の分割地図データそれぞれの使用権を管理する管理手順と、
表示対象の場所の地図表示に必要な分割地図データに使用権が設定されていない場合、前記使用権が設定されていない分割地図データを利用することによって前記表示対象の場所の地図表示を継続しながら、所定のコマーシャル情報を再生するコマーシャル情報再生手順とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−69663(P2011−69663A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219485(P2009−219485)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】