説明

型内被覆成形体及び型内被覆成形体の製造方法

【課題】耐溶剤性、耐擦り傷性、耐久性等に優れた被膜を有する型内被覆成形体を提供すること。
【解決手段】射出成形法等であって、
金型の型締め工程、
キャビティ内で樹脂の成形工程、
キャビティ内へ型内被覆組成物の注入工程、
注入した型内被覆組成物の硬化工程、
型内被覆組成物の硬化後に被覆成形体を取り出す工程
を有する方法で得られる型内被覆成形体において、
型内被覆組成物が、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマー、不飽和ポリエステルの少なくとも1種、
(B)該(A)と共重合可能なモノマー、
(C)アリルエステルオリゴマー、
(D)重合開始剤
を有し、かつ
(A)/(B)=20/80〜80/20、
(C)/{(A)+(B)}=0.5/100〜50/100、
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.1/100〜5/100
である型内被覆成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は型内被覆成形体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂成形材料又は熱硬化性樹脂成形材料を射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法あるいは反応射出成形法により、金型内で成形し、得られた成形体の表面と金型キャビティ面との間に型内被覆組成物を注入し、この型内被覆組成物を前記金型内で硬化させて、樹脂成形体の表面に型内被覆組成物が密着した一体成形体を製造する、いわゆる金型内被覆成形法(IMC法あるいはインモールドコーティング法とも呼ばれる)により得られる、型内被覆成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、家電、建材等に使用される樹脂成形体の表面の耐傷つき性を向上させたり、あるいは耐候性を高めて製品の長寿命化を図ることを目的として、成形体の表面に塗装を施すことは従来から広く利用されている。このような塗膜形成方法としては、スプレー塗装を行った後、紫外線や電子線等のエネルギー線を照射して塗料を硬化させ塗膜を形成させる方法が一般的に使われている。そのような塗料組成物として、例えば、光重合性多官能ウレタン化合物を用いたもの(例えば、特許文献1)や、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋重合性化合物を、プラスチック成形体に塗布し紫外線硬化させるもの(例えば、特許文献2)、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いたもの(例えば、特許文献3及び4)等がある。しかし、近年環境問題に強い関心が寄せられるなか、塗装工場からの揮発性有機物、いわゆるVOCの大気への放出が厳しく制限される傾向が強まってきていることや、このようなスプレー塗装法では塗装時又は紫外線照射による塗料の硬化時に、ゴミの付着やピンホールの発生等の不具合が発生しており、これらの方法に代わる技術の開発が急務となっている。
【0003】
このような状況において、金型内で成形した樹脂成形体の表面と金型のキャビティ面との間に塗料を注入した後、塗料を金型内で硬化させて樹脂成形体表面に塗膜が密着した一体成形体を製造する金型内被覆成形方法が注目されている。
【0004】
金型内被覆成形方法は金型内で塗膜を形成するため、被覆組成物は無溶剤であり、金型内で100%塗膜となるため、VOCの大気への放出がなく、廃棄物も少なく、環境に対する負荷が少ない工法である。また、塗膜の形成も金型の熱によるラジカル反応で硬化するため、熱や紫外線照射による反応に比べて塗膜形成のエネルギー消費も少なく、優れた塗装方法と言える。
【0005】
金型内被覆成形用に用いられる塗料は、金型内で塗膜を形成させるため、無溶剤で且つ短時間で硬化することが要求されるため、一般の塗料に比べ開発が難しく、金型内被覆成形方法に用いられる塗料として既に開発されているものとしては、熱硬化性成形樹脂用及びABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の一部の熱可塑性樹脂用の塗料が公知であるがエナメル塗料やプライマー用途に限定されている(例えば、特許文献5〜10参照)。
【0006】
また、金型内被覆での成形収縮を避けることが望まれる場合、低収縮剤、例えばポリ酢酸ビニルを加えることが公知であるが、このような低収縮剤を型内被覆組成物に加えた場合、低収縮剤の働きとして被覆剤の硬化に伴い、低収縮剤がミクロで分離することにより硬化収縮を抑える働きをしている。従って、硬化塗膜は色別れ、光沢の減退、白化等の問題が生じることとなる(例えば、特許文献9及び10)。
【0007】
また、特許文献11にはガラス転移温度が30℃以上である熱可塑性高分子を含む型内被覆組成物が開示されているが、これら低収縮剤は熱可塑性ポリマーであることから耐溶剤性に劣るといった問題があった。
【0008】
また、ポリカーボネート樹脂は透明性と耐衝撃性に優れているため、自動車のヘッドランプや合成樹脂レンズ等に使われている。しかし、ポリカーボネート樹脂は表面が傷付き易く耐候性にも劣っており、それを改善するため金型内被覆成形体が提案されている。
【0009】
例えば、特許文献12によれば、型内被覆組成物として、
(a)少なくとも1分子内に2個以上8個以下の(メタ)アクリロイル基を持つウレタンオリゴマー、
(b)1分子内に2個のエチレン性二重結合を持つモノマーの少なくとも1種、
(c)1分子内に3個以上のエチレン性二重結合を持つモノマーの少なくとも1種、
(d)有機過酸化物重合開始剤
とを含有してなるものが開示されている。しかし、上記組成物は塗膜の硬度を上げることによって、表面の傷つきを防止するものであるため、塗料の硬化に伴う収縮が大きいことから、塗膜を厚くするとクラックや、成形体のソリ、変形といった不具合が生じていた。
【特許文献1】特開昭58−101121号公報
【特許文献2】特開平1−308416号公報
【特許文献3】特開平7−247383号公報
【特許文献4】特開平11−343460号公報
【特許文献5】特開昭60−212467号公報
【特許文献6】特開昭60−47011号公報
【特許文献7】特開平8−258080号公報
【特許文献8】特開平11−240042号公報
【特許文献9】特表2005−528507号公報
【特許文献10】特表2005−528504号公報
【特許文献11】特開平5−70712号公報
【特許文献12】特開2005−74896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の第一の目的は、SMC(シートモールディングコンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等の熱硬化性成形樹脂やABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性成形樹脂に対して優れた付着性を有すると共に、耐溶剤性、耐擦り傷性、耐久性等に優れた被膜を有する型内被覆成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
第二の目的として、色むらが無く、表面光沢や透明性に優れた被膜を有する型内被覆成形体を提供することにある。
【0012】
第三の目的として、ソリの少ない型内被覆成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下の構成により、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0014】
即ち、本発明に従って、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法あるいは反応射出成形法であって、
固定金型部と可動金型部からなる金型を型締めする工程と、
金型キャビティ内で樹脂を成形する工程と、
該金型キャビティ内へ型内被覆組成物を注入する工程と、
注入した型内被覆組成物を硬化させる工程と、
型内被覆組成物が硬化した後に被覆された成形体を金型から取り出す工程と
を有する製造方法により製造される型内被覆成形体において、
該型内被覆組成物が、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種と、
(B)前記(A)と共重合可能なモノマーと、
(C)アリルエステルオリゴマーと、
(D)重合開始剤と
を含有してなり、
かつ、該(A)と該(B)との質量割合が、(A)/(B)=20/80〜80/20であり、
該(C)の質量割合が、(C)/{(A)+(B)}=0.5/100〜50/100であり、
該(D)の質量割合が、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.1/100〜5/100である
ことを特徴とする型内被覆成形体が提供される。
【0015】
また、本発明に従って、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法あるいは反応射出成形法であって、
固定金型部と可動金型部からなる金型を型締めする工程と、
金型キャビティ内で樹脂を成形する工程と、
該金型キャビティ内へ型内被覆組成物を注入する工程と、
注入した型内被覆組成物を硬化させる工程と、
型内被覆組成物が硬化した後に被覆された成形体を金型から取り出す工程と
を有する型内被覆成形体の製造方法において、
該型内被覆組成物が、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種と、
(B)前記(A)と共重合可能なモノマーと、
(C)アリルエステルオリゴマーと、
(D)重合開始剤と
を含有してなり、
かつ、該(A)と該(B)との質量割合が、(A)/(B)=20/80〜80/20であり、
該(C)の質量割合が、(C)/{(A)+(B)}=0.5/100〜50/100であり、
該(D)の質量割合が、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.1/100〜5/100である
ことを特徴とする型内被覆成形体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱硬化性成形樹脂又は熱可塑性成形樹脂の成形体表面に、金型内で被覆組成物を硬化させて、ソリの少ない、付着性や耐擦り傷性に優れた被膜として一体化された、型内被覆成形体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の型内被覆成形体について、具体的に説明する。
【0018】
本発明に係わる型内被覆成形体は、熱硬化性成形樹脂又は熱可塑性成形樹脂からなる成形体と、その表面に形成された型内被覆組成物の被膜からなっている。
【0019】
前記熱硬化性成形樹脂としては、従来より公知の成形材料が使用でき、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂をマトリックスとするSMC、BMCと呼ばれる繊維強化プラスチック成形材料、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシ樹脂をマトリックスとするRTM成形材料、ジシクロペンタジエン、ウレタン等を用いたRIM成形材料等が挙げられる。
【0020】
前記熱可塑性成形樹脂としては、従来より公知の各種成形材料を使用することができ、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂あるいはこれらのアロイ材が挙げられる。中でも、透明性を有したポリメチルメタアクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂に被膜として被覆組成物を硬化することが、耐擦り傷性、耐候性等の特性を向上させることから好ましい。
【0021】
このような成形材料は、用途に応じた特性を満足するように、例えば、着色顔料、ガラス繊維強化材、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤等を含有することができる。
【0022】
次に、本発明で用いられる型内被覆組成物について説明する。
【0023】
本発明で用いられる型内被覆組成物は、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂の少なくとも1種、
(B)前記(A)と共重合可能なモノマー、
(C)アリルエステルオリゴマー、
(D)重合開始剤、
を必須成分として含有し、更に必要に応じて
(E)平均粒子径が0.05μm以下である無機微粒子、
(F)シリコン(メタ)アクリレート等のオリゴマー、
顔料、離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、重合防止剤、硬化促進剤等の任意成分を含むものである。
【0024】
(a)(A)成分について
本発明で用いられる型内被覆用組成物に使用される成分(A)は、(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
【0025】
(a−1)(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0026】
これらのオリゴマーの質量平均分子量は、それぞれの種類により変動し得るが、一般に、約300〜30,000、好ましくは、500〜10,000とするのが適当である。上記(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーは、(メタ)アクリロイル基を、1分子中に、少なくとも2個以上8個、好ましくは、2〜6個有することが適当である。
【0027】
(a−1−1)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるオリゴマーとしてのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、
<1>有機ジイソシアネート化合物と、
<2>有機ポリオール化合物と、
<3>ヒドロシキアルキル(メタ)アクリレートと
を、NCO/OH比が、例えば、0.8〜1.0、好ましくは、0.9〜1.0となるような存在比で混合し、通常の方法により製造することができる。水酸基が過剰に存在する場合や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを多量に使用することにより、水酸基を多く有するオリゴマーが得られる。
【0028】
具体的には、<1>有機ジイソシアネート化合物と、<2>有機ポリオール化合物等とを例えば、ジブチル錫ラウレート等のウレタン化触媒の存在下で反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを得る。次いで、ほとんどの遊離イソシアネート基が反応するまで、<3>ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させることにより、上記ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを製造することが出来る。なお、<2>有機ポリオール化合物と、<3>ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの割合は、後者1モルに対し、例えば、前者0.1〜0.5モル程度が適当である。
【0029】
上記の反応に使用される<1>有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−ジイソシアナトエタン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン等を使用することができる。これら有機ジイソシアネート化合物は、単独で用いても、また、それらの2種以上の混合物として使用することもできる。
【0030】
上記反応で使用される<2>有機ポリオール化合物は、好ましくは、有機ジオール化合物として、例えば、アルキルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール等を挙げることができる。
【0031】
アルキルジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,8−ジヒドロキシトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等を代表的なものとして挙げることができる。
【0032】
有機ジオール化合物としてのポリエーテルジオールは、例えば、既知の方法により、アルデヒドや、アルキレンオキサイド、グリコール等の重合により合成することができる。
【0033】
例えば、ホルムアルデヒドや、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を適当な条件下でアルキルジオールに付加重合させることによって、ポリエーテルジオールが得られる。
【0034】
有機ジオール化合物としてのポリエステルジオールとしては、例えば、飽和又は不飽和のジカルボン酸及び/又はそれらの酸無水物と、過剰のアルキルジオールとを反応させて得られるエステル化反応生成物、並びにアルキルジオールにヒドロキシカルボン酸及び/又はその分子内エステルであるラクトン及び/又は分子間エステルであるラクチドを重合させて得られるエステル化反応生成物を用いることができる。これらの有機ポリオール化合物は、単独で用いても、それらの2種以上を併用して使用することもできる。
【0035】
上記<3>ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0036】
その他、本発明で使用されるオリゴマーとしてのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子中に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物と、有機ジイソシアネート化合物とを、NCO/OHの比が、例えば、0.9〜1.0の割合で、例えば、ジブチル錫ジラウリレート等のウレタン化触媒の存在下で反応しても製造することができる。
【0037】
(a−1−2)ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるオリゴマーとしてのポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。このようなポリエステルポリオールは、代表的には飽和又は不飽和のジカルボン酸又はその酸無水物と、過剰量のアルキレンジオールとをエステル化反応することによって製造することができる。使用されるジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸や、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、マレイン酸等が代表的なものとして挙げられる。また、使用されるアルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等が代表的なものとして挙げることができる。ここで、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸等を代表的なものとして挙げることができる。
【0038】
(a−1−3)エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるオリゴマーとしてのエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、エポキシ化合物と、上記のような不飽和カルボン酸とを、エポキシ基1当量当たりのカルボキシル基当量を、例えば、0.5〜1.5となるような割合で用い、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によって製造させたものである。ここで使用されるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、フェノール性ノボラック型エポキシ等を好適に挙げることができる。
【0039】
(a−1−4)ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるオリゴマーとしてのポリエーテル(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエチレングリコールや、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、前述の不飽和カルボン酸との反応によって製造することができる。
【0040】
(a−2)不飽和ポリエステル樹脂
一方、本発明において、(A)成分として使用される不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、有機ポリオール化合物と、不飽和カルボン酸とを、公知の方法により反応させ、更に必要に応じて、飽和ポリカルボン酸を反応させて製造することができる。使用される有機ポリオールとしては、例えば、エチレングリコールや、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ビスフェノールA等が代表的なものとして挙げることができる。また、使用される不飽和ポリカルボン酸としては、例えば、(無水)マレイン酸や、(無水)フマル酸、(無水)イタコン酸等を代表的なものとして挙げることができる。
【0041】
これら(A)成分としては、上記(メタ)アクリロイル基含有オリゴマーと、不飽和ポリエステル樹脂とを併用しても良い。
【0042】
(b)(B)成分について
本発明で使用される成分(B)は、上記(A)成分と共重合することができる不飽和モノマーである。
【0043】
このような不飽和モノマーとしては、例えば、スチレンや、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)クリル酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が代表的なものとして挙げられる。
【0044】
好ましくは、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6−HDDA)のような脂肪族(メタ)アクリレートモノマー、並びにシクロヘキシルメタアクリレートのような脂環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPT)等である。(B)成分としては、上記不飽和モノマーを単独で使用してもよく、又は、これらの混合物として使用することができる。特に、1分子内に1個のエチレン性二重結合を有するモノマーと、2個のエチレン性二重結合を有するモノマーと、3個以上のエチレン性二重結合を有するモノマーとを含むことにより、形成した被膜の硬度が上がり擦り傷がつき難くなるので好ましい。また、1分子内に1個のエチレン性二重結合を有するモノマーとしてスチレンを{(A)+(B)}成分の合計100質量部に対し0.1質量部以上、1質量部以下の量を含むことによって、ポットライフが著しく伸びるので好ましい。
【0045】
また、エチレン性不飽和モノマーとしては、上記のように、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーも含まれる。
【0046】
上記(A)成分と上記(B)成分の質量割合は、(A)成分及び(B)成分として使用される化合物等の種類にもよるが、通常、(A)/(B)=20/80〜80/20であり、更に33/67〜67/33がより好ましい。この範囲であれば、硬化特性が良く堅牢な硬化塗膜が得られる、また、被覆組成物の型内での流動性が良く、気泡の混入もなく均一な被覆が得られるので好ましい。
【0047】
(c)(C)成分について
本発明で使用される成分(C)は、アリルエステルオリゴマーである。アリルエステルオリゴマーとしては、末端にアリルエステル基を有し、内部が多価飽和カルボン酸と多価飽和アルコールから誘導された、特に下記の構造を持つアリルエステルオリゴマーが有用である。
【0048】
CH=CHCHO(CORCOORO)CORCOOCHCH=CH
(ここで、Rは多価飽和カルボン酸から誘導された有機残基を示し、Rは多価アルコールから誘導された有機残基を示す。)
多価飽和カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、これらカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、1,3−シクロヘキシルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、等のカルボン酸無水物等を挙げることができる。
【0049】
多価アルコールとは、分子内にアルコール性水酸基を2つ以上持つ化合物である。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0050】
また、窒素原子を含むポリオールを原料の一部に使用して合成したアリルエステルオリゴマーは硬化性に優れ、型内被覆用オリゴマーとして有用である。窒素原子を含むポリオールとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本発明のアリルエステルオリゴマーは、エステル交換反応触媒の存在下反応させて、アルコールを留去することにより得られる。
【0052】
アリルエステルオリゴマーの質量平均分子量は、それぞれの原料により変動し得るが、一般に、約500〜50,000とするのが適当である。質量平均分子量が500以下であると、ソリの防止効果が薄れ、逆に質量平均分子量が50,000を超えると、被覆剤の粘度が高くなり過ぎ金型内での流動性が低下し、金型内での全面コートが困難となるので好ましくない。
【0053】
特に(C)成分は、{(A)+(B)}成分の合計100質量部に対して、0.5〜50質量部であり、より好ましくは、5〜30質量部で使用することが適当である。(C)成分の量が、0.5質量部以上であれば、その硬化塗膜は十分な強度を有しており、被覆成形体のソリも少なく、均一な被覆が得られるので好ましい。一方、(C)成分の量が、50質量部以下であれば、その硬化塗膜の強度が低くなりすぎず、ソリのない被覆成形体が得られるので好ましい。
【0054】
(d)(D)成分について
本発明で使用される(D)成分は、フリーラジカルを発生し、前記(A)成分及び(B)成分を重合させるために使用する重合開始剤である。重合開始剤としては、ジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルオキシラウレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が代表的なものとして挙げられる。
【0055】
(D)重合開始剤の配合量は、{(A)+(B)+(C)}の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、より好ましくは、0.5〜3質量部であることが適当である。(D)重合開始剤の配合量が、この範囲を外れると(A)、(B)成分の反応がうまく進まず、硬化不良となり正常な塗膜が得られない。
【0056】
(e)(E)成分について
本発明で用いられる被覆組成物には、更に平均粒子径0.05μm以下の無機微粒子を含むことが好ましく、特には平均粒子径0.015μm以下が好ましい。その無機微粒子としては、シリカやアルミナ等であるが、特にシリカであることが被膜の透明性の点から好ましい。シリカの屈折率は1.5前後であり、原料により変動し得るが{(A)+(B)+(C)}の屈折率1.43〜1.57に近いため、硬化した被膜の透明性は優れている。その配合量は、被覆組成物の{(A)+(B)+(C)}の合計100質量部に対し、1〜50質量部を含むことが被膜の透明性及び耐スチールウール傷付き性の点から好ましく、特には10〜30重量部が好ましい。これら無機微粒子は一次粒子の状態で安定的に分散させておくことが困難なため、エチレン性不飽和モノマーに予め分散させた分散液を使用することが好ましい。
【0057】
(f)(F)成分について
本発明で用いられる被覆組成物には、更に、シリコン(メタ)アクリレート又はフッ素含有(メタ)アクリレートを含むことができ、そのうち(F)シリコン(メタ)アクリレートは、特に撥水性、耐スチールウール傷付き性、光安定性や耐光性に優れており、長期間屋外で使用される場合に有効であることから好ましい。その(F)の配合量は、被覆組成物の{(A)+(B)+(C)}の合計100質量部に対し、1〜50質量部を含むことが撥水性、耐スチールウール傷付き性、光安定性や耐光性の点から好ましく、特には5〜30重量部が好ましい。
【0058】
(f−1)シリコン(メタ)アクリレートオリゴマー
被覆組成物に使用されるオリゴマーとしてのシリコン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、アルコール性シロキサン化合物のヒドロキシル基と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって製造させたものである。
【0059】
フッ素含有(メタ)アクリレートオリゴマー
被覆組成物に使用されるオリゴマーとしてのフッ素含有(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、2−メチル−2−アダマンチル−α−トリフルオロメチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチル−α−トリフルオロメチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチル−α−トリフルオロメチルアクリレート、1−アダマンチル−(3−ヒドロキシ)−α−トリフルオロメチルアクリレート、1−アダマンチル−α−トリフルオロメチルアクリレート等の含フッ素アクリレート類と、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、スチレン、メチルスチレン等のビニルモノマーとをラジカル重合開始剤の存在下に共重合させて得られるものである。
【0060】
(g)(G)成分について
本発明で使用される型内被覆組成物は、更に必要に応じ着色顔料又は染料の少なくとも1種を含むことができる。着色顔料としては、従来から通常プラスチックス用、塗料用として使用されている各種着色顔料や、体質顔料、導電性顔料等を併用することができる。
【0061】
例えば、白色系顔料では、二酸化チタン、黄系では、ベンジジンイエローや、チタンイエロー、ハンザイエロー、橙系では、モリブデートオレンジや、ハンザジンオレンジ、赤系では、キナクリドン、緑系では、クロムグリーンや、フタロシアニングリーン、青系では、フタロシアニンブルーや、コバルトブルー、群青、黒系では、カーボンブラックや、酸化鉄等の着色顔料を使用することができる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウムや、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー等を好適に挙げることができる。導電性顔料としては、例えば、カーボンブラックや、グラファイト、酸化亜鉛、二酸化チタン等の表面を、酸化アンチモンのような導電性金属酸化物でコーティングしたもの、カーボン繊維等が使用できる。
【0062】
また、染料としては、例えばアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、フタロシアニン系、銅錯塩アゾ系、ジオキサジン系等の直接染料、酸性アゾ系、酸性アントラキノン系、金属錯塩アゾ系等の酸性染料、アゾ、トリフェニルメタン、アジン、オキサジン、チアジン染料のアミン塩、第4アンモニウム塩、塩化亜鉛複塩である塩基性染料、インジゴイド系、アントラキノン系等の建染染料、建染染料のロイコ化合物の硫酸エステル・ナトリウム塩である可溶性建染染料、その他分散染料等が挙げられる。これらの成分は、顔料、染料とも数種類を併用して使用することができる。
【0063】
着色顔料又は染料は、成形物を着色し、美観を持たせ、被膜硬化に伴う収縮応力を分散させ、成形体との付着性を向上させたり、表面の凹凸を平滑にしたり、成形体表面の外観を改良したり、硬化塗膜に導電性を持たせ帯電防止等の目的で配合する。
【0064】
(h)(H)成分について
本発明で使用される型内被覆組成物は、更に必要に応じ平均粒子径が1〜300μmでかつアスペクト比が1〜200である鱗片状顔料を含むことができる。本発明で使用できる鱗片状顔料は、具体的にはアルミニウムや、ニッケル、グラファイト、酸化チタン等で表面処理した雲母、真鍮や銀等で表面被覆したガラスフレーク等が代表的なものとして挙げられる。なお、鱗片状顔料は、成形体の色を完全に隠ぺいすることはなく、即ち、成形体の色を生かしつつ、被覆剤中の鱗片状顔料による高輝度感によってメタリック調外観を生じさせ、更には、鱗片状顔料の配向によるウエルドラインを防止するため、特定の平均粒子径とアスペクト比とを持つことが必要である。本発明で使用される鱗片状顔料については、平均粒子径が1〜300μmで、かつアスペクト比が1〜200であることが好ましい。この範囲の鱗片状顔料であれば、数種類を併用してもかまわない。
【0065】
(i)その他の成分について
本発明では、硬化塗膜を金型からスムーズに離型させるために、任意に、離型剤を併用することができる。離型剤は、例えば、ステアリン酸や、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩、大豆油レシチン、シリコーン油、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール二塩基酸エステル類等を挙げることができる。これら離型剤の配合量は、前記{(A)+(B)+(C)}成分の合計100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部、更には、0.2〜3質量部であることが好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
【0066】
本発明に使用される型内被覆組成物には、必要に応じて可塑剤が使用される。可塑剤は(D)重合開始剤の分散を容易にする目的で配合される。
【0067】
可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチルエステル、フタル酸ジエチルエステル、フタル酸ジオクチルエステル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチルエステル、セバシン酸ジブチルエステル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ジエチレングリコールジベンゾエート等のグリコールエステル類等が代表的なものとして挙げられる。
【0068】
本発明に使用される型内被覆組成物には、更に必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、顔料分散剤、消泡剤等の各種添加剤等を配合してもよい。
【0069】
<型内被覆成形体の製造方法>
以下、本発明の型内被覆成形体の製造方法について、それを実施するための成形機の構成、成形型及び被覆組成物注入装置を、図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明の範囲はこのような具体的な成形機、成形型及び被覆組成物注入装置によって何ら限定されるものではない。
【0070】
図1は、例えばSMCと呼ばれるガラス繊維強化熱硬化性成形材料を用いた圧縮成形法を実施する装置を示す。その成形方法としては金型内で成形する従来の方法が特に制限無く利用できるが、好適には特公昭55−9291号公報、特開昭61−273921号公報に記載の方法を用いることができる。
【0071】
図1に示す装置において、割り型の上型1及び下型2はそれぞれ互いに対向する成形用型部材である。上型1及び下型2はそれぞれ型締め装置の可動盤3及び固定盤4に固定されており、可動盤3は型締めシリンダ5によって進退動作する構成となっている。上型1及び下型2により所要形状の割り型キャビティ6を形成できるようになっており、上型1の移動で型内成形体の型内被覆する表面方向へのキャビティの拡張が可能である。この型内被覆する表面が1面であっても、2面以上であってもよく、従って、この型内被覆する表面方向へのキャビティの拡張は1方向であっても、2方向以上であってもよい。上型1と下型2との間に上記のガラス繊維強化プラスチック成形材料を入れ、型締めシリンダ5を動作させ、上型1と下型2とを接近させて該成形材料をキャビティの形状に成形し、型締め圧を付加して硬化させる。
【0072】
また、図1に示す装置においては、型内被覆用組成物の注入手段であるシャットオフピン7Aを備えたインジェクタ7、インジェクタ7に所定量の型内被覆用組成物を供給する計量シリンダ8及び型内被覆用組成物をその貯蔵部10から計量シリンダ8に供給するための供給ポンプ9が整備されている。なお、計量シリンダ8には型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ8Aが備えられている。
【0073】
成形に際しては、まず型締めシリンダ5を動作させて上型1を下型2から離間し、下型2の上に前記のガラス繊維強化プラスチック成形材料を乗せ、その後、型締めシリンダ5を動作させ、上型1と下型2とを接近させて該成形材料をキャビティの形状に成形し、型締め圧を付加する。この型締め圧は通常4〜15MPaである。成形温度は、成形時間、成形材料の種類等に応じて任意に決定されるが、通常120〜180℃が適当であり、成形材料を入れる前に金型を予め上記の温度にセットし、後記する硬化被膜が得られるまで該温度を維持するようにしておくのが望ましい。
【0074】
次いで、上記のキャビティ内の成形体が型内被覆用組成物の注入圧力、流動圧力に耐え得る程度に硬化した段階で、上記の型締め圧をそのまま維持しながら、又は上記の型締め圧を減圧した後、又は下記の所望の硬化被膜厚よりも大きいが、上型1と下型2との嵌合を離脱させることがない距離だけ、好ましくは0.2〜5mmだけ上型1を成形体の表面から離した後、所望の膜厚、好ましくは20〜1,000μmの硬化被膜が得られるだけの量の型内被覆用組成物をインジェクタ7から上型1の内壁と成形体の型内被覆する表面との間に注入する。
【0075】
型内被覆用組成物を注入した後、シャットオフピン7Aで注入口を閉じ、必要に応じて型締めシリンダ5を動作させ型締め操作を行い、キャビティ6内の成形体の表面上で型内被覆用組成物を硬化させる。型内被覆用組成物が成形体表面を均一に被覆するように、通常約1〜10MPaに(再)加圧し、その圧力を硬化被膜が形成されるまで、通常約10〜300秒程度保持する。このようにして成形体表面に硬化被膜が形成された後、型締めシリンダ5を動作させ、上型1及び下型2を離間して、硬化被膜を有する成形体を金型から取り出す。
【0076】
図2は熱可塑性樹脂成形材料の射出成形法の場合の態様を示すものである。図2において、符号11は射出成形機の型締め装置の固定盤、12は可動盤であり、それぞれ互いに対向する成形型部材である固定金型部13及び可動金型部14を備えている。可動盤12が型締めシリンダ15によって進退動作される構成になっている。そして、固定金型部13及び可動金型部14の嵌合個所には、所要形状のキャビティ16が形成されていて、このキャビティ16中に溶融もしくは軟化状態の熱可塑性樹脂成形材料を射出、充填し固化させるのである。溶融樹脂成形材料を射出、充填する場合、上記キャビティ16にはスクリューを有する射出シリンダ17から、ノズル18及びスプルー19を介して樹脂成形材料が射出できるようになっている。なお、図2中、符号20はリブ部(ボス部)、21は離型時のエジェクタピンである。
【0077】
また、図2において型内被覆用組成物の注入手段としては、シャットオフピン22Aを備えたインジェクタ22、上記インジェクタ22に所定量の型内被覆用組成物を供給する計量シリンダ23及び型内被覆用組成物をその貯蔵部24から上記計量シリンダ23に供給するための供給ポンプ25が装備されている。なお、上記計量シリンダ23には型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ23Aが備えられている。
【0078】
成形に際しては、先ず型締めシリンダ15を動作して、固定金型部13と可動金型部14を閉じ、型締め圧を付加する。この型締め圧は樹脂成形材料の射出圧力に対抗できる必要がある。通常この射出圧力はノズル18の部分で40〜250MPaの高圧である。この過程で供給ポンプが動作し、計量シリンダ23に必要な量の被覆剤を供給しておく。
【0079】
次いで、溶融もしくは軟化状態の樹脂成形材料を射出シリンダ17からノズル18及びスプルー19を介してキャビティ16内に射出する。上記樹脂成形材料が金型内で、型内被覆用組成物の注入圧力、流動圧力に耐える程度に固化した段階で、上記型締め圧を減圧するか、又は下記の所望の硬化被膜厚よりも大きいが、固定金型部13と可動金型部14との嵌合を離脱させることがない距離だけ、好ましくは0.2〜5mmだけ可動金型部14を後退させる。次いで、シャットオフピン22Aを動作させてインジェクタ22の注入口を開放する。次いで、計量シリンダ23の型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ23Aを動作させ、キャビティ16、すなわち固定金型部13の内壁と樹脂成形体の型内被覆する表面との間に所望の膜厚、好ましくは20〜1,000μmの硬化被膜が得られるだけの量の型内被覆用組成物を注入する。
【0080】
型内被覆用組成物を注入した後、再びシャットオフピン22Aで注入口を閉じ、必要に応じて型締めシリンダ15を動作させ型締め操作を行い、型内で型内被覆用組成物を押し広げ成形体表面への被覆を行い、キャビティ16の成形体の表面上で型内被覆用組成物を硬化させる。次いで、型締めシリンダ15を動作させ、固定金型部13と可動金型部14を離間して、硬化被膜を有する成形体を金型から取り出す。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0082】
<ウレタンオリゴマーの合成>
ウレタンオリゴマーは各種公知の方法で重合して作製することができる。合成例として、表1に示す(A)成分に、<1>〜<3>成分の合計量100質量部当たり0.02質量部となる量のジブチル錫ジラウレートを仕込み、40℃に保ちつつ、表1に示す量の<2>成分を滴下し、十分な時間反応させた後、表1に示す<3>成分に<1>〜<3>成分の合計量100質量部当たり0.1質量部となる量のハイドロキノンを溶解させたものを滴下して、更に十分な時間75℃で加熱攪拌を続け、ウレタンオリゴマーUAC−1〜UAC−5を得た。
【0083】
【表1】

【0084】
<エポキシオリゴマーの合成>
エポキシ化合物(エピコート828(油化シェルエポキシ社製))1,000質量部、メタクリル酸490質量部、トリエチルアミン3質量部、ハイドロキノン0.01質量部を反応器中に入れ、125℃、3時間反応させ、エポキシオリゴマーEAC−1を得た。
【0085】
<実施例1〜15及び比較例1〜10>
長さ300mm、幅200mm、高さ30mm、板厚2.5mmの箱形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、図2に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。金型温度を固定金型95℃に、可動金型75℃に設定し、バレル温度を200℃に加熱し、まずABS樹脂を射出シリンダ内で加熱溶融させ、3,500KNの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、30秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0086】
次いで、可動金型を約1mm離間させた後、表2及び表3に記載した各被覆用組成物13cmを金型表面と成形体の表面との間に約0.5秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて200KNまで加圧し60秒間保持し、型内被覆用組成物を硬化させた。
【0087】
得られた成形体のソリの大きさ、被覆膜の外観、耐スチールウール傷付き性、鏡面光沢度、付着性、耐溶剤性を下記の評価方法に従って評価した。それらの結果を表4及び表5に示す。
【0088】
〔成形体のソリの大きさ〕
図3に示したように、型内被覆をしていない成形体の中心部の凹深さを(a)、型内被覆した成形体の凹深さを(b)としたとき、下記(I)式により計算した値を、型内被覆成形体のソリの大きさとした。ただし、単位はmmとする。
型内被覆成形体のソリの大きさ=(b)−(a) (I)式
【0089】
〔被覆膜の外観〕
被覆膜のツヤ、にごり、均一性等を目視にて以下に従い評価した。
○…ツヤのムラ、にごりがなく、外観が均一であるもの
△…わずかにツヤのムラ、にごりがみられるもの
×…ツヤのムラ、にごりが著しく、外観が不均一であるもの
【0090】
〔耐スチールウール傷付き性〕
#000番スチールウールを用い、14KPaの圧力を加え、11往復を行い、試験前の鏡面光沢度と試験後の鏡面光沢度をJIS K 5600−4−7の方法に従って測定し、光沢保持率として評価した。
光沢保持率=(試験後の鏡面光沢度÷試験前の鏡面光沢度)×100
【0091】
〔鏡面光沢度〕
JIS K 5600−4−7に従って、入射角度60°での初期の鏡面光沢度を測定した。
【0092】
〔付着性〕
JIS K 5600−5−6:付着性(クロスカット法)に従って初期の塗膜付着性試験を実施した。塗膜の付着性はJIS K 5600−5−6に記載の試験結果の分類に基づき下記の0〜5の6段階で評価した。
<6段階評価>
0…カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1…カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2…塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4…塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び又は数カ所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
5…はがれの程度が分類4を超える場合。
【0093】
〔耐溶剤性〕
メチルエチルケトンを適当量ガーゼにつけ、塗膜表面を約500gfの力で10往復払拭後の塗膜状態を目視で確認した。
○…全く変化の認められないもの
△…わずかに光沢の減退が認められるもの
×…塗膜が軟化又は溶解するもの
【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

<実施例16〜20及び比較例11〜13>
長さ300mm、幅200mm、高さ30mm、板厚2.5mmの箱形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、図2に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。金型温度を固定金型90℃に、可動金型75℃に設定し、バレル温度を210℃に加熱し、まずポリメチルメタアクリレート樹脂(ヘーズ値0.10)を射出シリンダ内で加熱溶融させ、3,500KNの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、50秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0098】
次いで、可動金型を約1mm離間させた後、表6に記載した各被覆用組成物13cmを金型表面と成形体の表面との間に約0.5秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて200KNまで加圧し80秒間保持し、型内被覆用組成物を硬化させた。
【0099】
得られた成形体のソリの大きさ、鏡面光沢度、付着性、耐溶剤性を前記の評価方法に従って評価した。また、耐スチールウール傷付き性については、#0000スチールウールを用い、14KPaの圧力を加え、11往復行い、試験前後のヘーズ値(Haze)をJIS K7136−1:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に従い測定し、ヘーズ値の増加として評価した。それらの結果を表7に示す。
【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
<実施例21〜24及び比較例14〜16>
長さ300mm、幅200mm、高さ30mm、板厚2.5mmの箱形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、図2に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。金型温度を固定金型100℃に、可動金型80℃に設定し、バレル温度を280℃に加熱し、まずポリカーボネート樹脂(ヘーズ値0.17)を射出シリンダ内で加熱溶融させ、3,500KNの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、保圧完了後ただちに1,000KNまで型締め圧力を低減し3秒間保持した。その後再度2,000KNまで型締めを行い25秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。次いで、可動金型を約0.5mm離間させた後、表8に記載した各被覆用組成物13cmを金型表面と成形体の表面との間に約0.5秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて200KNまで加圧し60秒間保持し、型内被覆用組成物を硬化させた。
【0103】
得られた成形体のソリの大きさ、鏡面光沢度、付着性、耐溶剤性を前記の評価方法に従って評価した。また、耐スチールウール傷付き性については、#0000スチールウールを用い、14KPaの圧力を加え、11往復行い、試験前後のヘーズ値(Haze)をJIS K7136−1:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に従い測定し、ヘーズ値の増加として評価した。それらの結果を表9に示す。
【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
<実施例25〜28及び比較例17〜19>
長さ500mm、幅300mm、高さ30mm、板厚3mmの箱型形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、図1に示す態様に従って、成形体に対する型内被覆を実施した。この場合、金型温度を上型150℃、下型140℃に設定し、まずSMC成形材料を下型の上に置き、1,500KNの型締め圧力で型締めし、80秒間保持し、得られたSMC成形体の表面が型内被覆用組成物の注入、流動圧力に耐え得る程度に硬化させた。次いで型締め圧力を150KNまで減圧した後、表10に記載した組成の各々の型内被覆用組成物32cmを金型表面と成形体の表面との間に、約1.5秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒かけて900KNまで加圧し10秒間保持し、次いで型締め圧力を450KNに減圧し、80秒間保持して型内被覆用組成物を硬化させた。
【0107】
得られた成形体のソリの大きさ、耐スチールウール傷付き性、鏡面光沢度、付着性、耐溶剤性を前記の評価方法に従って評価した。それらの結果を表11に示す。
【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の型内被覆成形体は、熱可塑性成形樹脂として透明なポリメチルメタアクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂等を使うことにより、透明性に優れた成形体として、ヘッドランプカバーやサンルーフ等の自動車用透明樹脂部品、樹脂レンズ、家電製部品等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の型内被覆成形体の製造方法に用いられるガラス繊維強化熱硬化性成形材料を用いた圧縮成形法を実施する装置の概略図である。
【図2】本発明の型内被覆成形体の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂成形材料の射出成形法を実施する装置の概略図である。
【図3】型内被覆成形体のソリの大きさを示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 上型
2 下型
3 型締め装置の可動盤
4 型締め装置の固定盤
5 型締めシリンダ
6 キャビティ
7 インジェクタ
7A シャットオフピン
8 計量シリンダ
8A プランジャーレギュレータ
9 供給ポンプ
10 貯蔵部
11 型締め装置の固定盤
12 型締め装置の可動盤
13、14 固定金型部
15 型締めシリンダ
16 キャビティ
17 射出シリンダ
18 ノズル
19 スプルー
20 リブ部(ボス部)
21 エジェクタピン
22 インジェクタ
22A シャットオフピン
23 計量シリンダ
23A プランジャーレギュレータ
24 貯蔵部
25 供給ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法あるいは反応射出成形法であって、
固定金型部と可動金型部からなる金型を型締めする工程と、
金型キャビティ内で樹脂を成形する工程と、
該金型キャビティ内へ型内被覆組成物を注入する工程と、
注入した型内被覆組成物を硬化させる工程と、
型内被覆組成物が硬化した後に被覆された成形体を金型から取り出す工程と
を有する製造方法により製造される型内被覆成形体において、
該型内被覆組成物が、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種と、
(B)前記(A)と共重合可能なモノマーと、
(C)アリルエステルオリゴマーと、
(D)重合開始剤と
を含有してなり、
かつ、該(A)と該(B)との質量割合が、(A)/(B)=20/80〜80/20であり、
該(C)の質量割合が、(C)/{(A)+(B)}=0.5/100〜50/100であり、
該(D)の質量割合が、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.1/100〜5/100である
ことを特徴とする型内被覆成形体。
【請求項2】
更に、前記型内被覆組成物が、(E)平均粒子径が0.05μm以下である無機微粒子を含む請求項1に記載の型内被覆成形体。
【請求項3】
前記(E)無機微粒子がシリカであり、前記型内被覆組成物の(A)+(B)+(C)の合計100質量部に対し、1〜50質量部を含む請求項2に記載の型内被覆成形体。
【請求項4】
更に、前記型内被覆組成物に、(F)シリコン(メタ)アクリレートを、前記型内被覆組成物の(A)+(B)+(C)の合計100質量部に対し、1〜50質量部を含む請求項1〜3の何れかに記載の型内被覆成形体。
【請求項5】
更に、前記型内被覆組成物が、(G)着色顔料又は染料の少なくとも1種を含む請求項1〜4の何れかに記載の型内被覆成形体。
【請求項6】
更に、前記型内被覆組成物が、(H)平均粒子径が1〜300μmでかつアスペクト比が1〜200である鱗片状顔料を含む請求項1〜5の何れかに記載の型内被覆成形体。
【請求項7】
前記成形体が、ヘーズ値が3%以下であるポリメチルメタアクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂である請求項1〜4の何れかに記載の型内被覆成形体。
【請求項8】
射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法あるいは反応射出成形法であって、
固定金型部と可動金型部からなる金型を型締めする工程と、
金型キャビティ内で樹脂を成形する工程と、
該金型キャビティ内へ型内被覆組成物を注入する工程と、
注入した型内被覆組成物を硬化させる工程と、
型内被覆組成物が硬化した後に被覆された成形体を金型から取り出す工程と
を有する型内被覆成形体の製造方法において、
該型内被覆組成物が、
(A)(メタ)アクリロイル基を有するウレタンオリゴマー、エポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリエーテルオリゴマーあるいは不飽和ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種と、
(B)前記(A)と共重合可能なモノマーと、
(C)アリルエステルオリゴマーと、
(D)重合開始剤と
を含有してなり、
かつ、該(A)と該(B)との質量割合が、(A)/(B)=20/80〜80/20であり、
該(C)の質量割合が、(C)/{(A)+(B)}=0.5/100〜50/100であり、
該(D)の質量割合が、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.1/100〜5/100である
ことを特徴とする型内被覆成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−51124(P2009−51124A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221116(P2007−221116)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】