説明

埋め込み可能医療デバイスシステム内のパラメータの状態を提供する方法

【課題】警戒レベルの検出に続いて、外部モニタにより、更新されたパラメータ値を取り出すことができるような埋め込み可能医療デバイスシステムを提供する。
【解決手段】埋め込み可能医療デバイスシステムは、生理的パラメータに相当する信号を検知する埋め込み可能センサと、センサ信号に基づいて生理的パラメータの警告レベルを検出するプロセッサと、プロセッサに結合される、該プロセッサが警告レベルを検出することに応答して、生理的パラメータに相当するデータを送信するデバイステレメトリ回路と、テレメトリ回路と通信するようになっている、送信データを受信する外部テレメトリ回路と、外部テレメトリ回路に結合される、該外部テレメトリ回路とデバイステレメトリ回路との間の通信によって、生理的パラメータに相当する更新値をプロセッサから取り出す後続の呼び掛けセッションを計画する外部制御システムとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的に、埋め込み可能医療デバイスに関し、より詳細には、監視されるパラメータの状態を提供する埋め込み可能医療デバイスシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理的信号を監視する、種々の埋め込み可能医療デバイス(IMD)が市販されている。このようなデバイスは、心臓ペースメーカ及びディフィブリレータ、血行力学モニタ、薬物送出デバイス、インスリンモニタ及びインスリンポンプ、神経刺激器、並びに筋肉刺激器等の治療を送出するように構成されることができる。これらのデバイスは、生理的事象又は生理的状況に関連する、臨床的に重篤か又は生命にかかわる状況を検出する場合がある。このようなデバイスはまた、通常、自己診断試験を実施するか、又は、電池平均寿命、電気リード線インピーダンス、送出される治療の頻度等のようなデバイス性能問題をその他の方法で監視することが可能である。注意深い監視、臨床的処置、又は、さらに緊急ケアを許可する場合がある、生理的状況又はデバイス関連状況を検出するときのIMDの進歩した能力は、IMDシステムに対してリアルタイム患者通知機能(notification feature)を付加する動機を与えた。
【0003】
家庭用モニタは、デバイス性能又は生理的状況に関連するデータを取り出すために、IMDと通信することができる外部デバイスである。さらなる監視又は対処を許可する状況を患者が知るように、患者警告又は通知を表示するか、又は、ブロードキャストする家庭用モニタの使用が提案されてきた。家庭用モニタは、一般に、通信ネットワークに結合して、通信ネットワークを介してIMDデータを遠隔患者管理センタに送信する。それにより、健康管理専門家は、取り出されたデバイス関連データ及び生理的データに適切に応答することができる。家庭用モニタによるIMDの呼び掛け及び遠隔患者管理センタへのデータ転送は、計画された周期で起こることができる。
【0004】
IMDは、所定の警戒状況に相当するトリガー事象を検出することによって、家庭用モニタにデータを送信することが可能であってもよい。リアルタイム警告は、医療処置を必要とするか、或いは、綿密な監視又は患者によるアクションを許可する状況が検出されたことを患者に警報する。家庭用モニタは、警戒状況の通知を、患者又は他の介護人に表示してもよく、及び/又は、遠隔患者管理センタにデータを送信してもよい。しかし、警戒状況をもたらすパラメータのさらなる更新は、一般に、利用可能でない。患者又は臨床医は、警戒状況が、或る期間の間、持続するかどうか、又は、警戒状況がもはや存在しないかどうかを通知されない。更新データは、別のトリガー事象まで、次に計画された呼び掛けセッションまで、又は、臨床医が手作業で呼び掛けを計画するまで、IMDから遠隔で取り出されない場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、IMDによってパラメータの最新状態を提供することを対象とする。従来、IMDによって記憶されたデータは、一般に、臨床オフィス訪問中の呼び掛けセッション中のみに取り出されていた。遠隔患者管理システムの開発によって、IMDは、遠隔患者管理システムにプログラム入力された呼び掛け計画に従って、より頻繁な計画された間隔で呼び掛けられることができる。IMDが、監視されるパラメータの所定の警戒レベルを検出すると、計画されていないデータ送信が起こる場合がある。送信は、警戒レベル検出に応答して1回起こるため、監視されるパラメータが、警戒レベルのままである継続時間、及び、監視されるパラメータが、非警戒レベルに戻るかどうかは、計画された次の呼び掛けまでわからないままである可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、警戒レベルの検出に続いて、更新されたパラメータ値を取り出すことができるような、外部モニタによる付加的なIMD呼び掛けを対象とする。それにより、遠隔患者管理システム内に記憶された以前にプログラムされたいずれの呼び掛けセッションに関わらず、監視されるパラメータの最新状態は、患者及び/又は臨床医に利用可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の態様及び特徴は、本発明が、添付図面に関連して考えられると、以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるように、容易に理解されるであろう。
以下の説明において、本発明を実施する具体的な実施形態が参照される。他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく利用されてもよいことが理解される。
【0008】
図1は、IMDと通信する外部モニタを含むIMDシステムを示す。患者12内に埋め込まれたIMD10が示される。IMD10の簡単な実例は、心臓ペースメーカ、埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ、血行力学モニタ、ECGレコーダ、薬物送出デバイス、インスリンモニタ又はインスリンポンプ、又は、神経筋肉刺激器等の種々のIMDを示してもよい。IMD10は、1つ又は複数のリード線又は流体送出カテーテルに結合されてもよい。リード線は、1つ又は複数の生理的状況を監視し、電気刺激治療を送出するために使用される電極又は生理的センサを搭載するのに使用されてもよい。或いはIMD10は、リード線の無いデバイスとして具現化されてもよく、このデバイスでは、センサ又は電極は、IMD10のハウジング内又はハウジング上に組み込まれる。リード線無し監視デバイスの例は、参照によりその全体が本明細書に援用される、Nolan他に発行された米国特許第5,404,877号及びKlein他に発行された米国特許第5,987,352号に全体が開示される。
【0009】
IMD10は、以下で述べられるように、外部モニタ20との通信リンク14を確立する、アンテナ及び関連回路要素(circuitry)を備える。外部モニタ20は、IMD10と通信し、本明細書で述べられるように、患者警告機能を実施する専用デバイスとして具現化されてもよい。或いは、外部モニタ20は、他のIMDプログラミング機能及び呼び掛け機能を含む家庭用プログラマ又は監視ユニット26のコンポーネントとして実施されてもよい。IMDと共に使用するプログラマ及び家庭用監視ユニットは、当該技術分野で知られている。本明細書でより詳細に述べるように、患者警戒情報は、双方向通信リンク14を介してIMD10から外部モニタ21に転送されることができる。
【0010】
外部モニタ20は、任意選択で、IMD10から受信した患者警告データ及び任意の他の生理的データ又はデバイス関連データの、中央データベース24への転送を可能にするために、中央データベース24と通信するようになっていてもよい。本明細書で「遠隔患者管理データベース」とも呼ばれる中央データベース24は、遠隔患者監視に使用される、インターネットベースデータベース又は他のネットワーク化データベースであってもよい。外部モニタ20は、通信リンク22を介してデータを転送してもよく、通信リンク22は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、電気通信ネットワーク、若しくは他の適切な通信ネットワークを介して確立されてもよく、又は、無線通信リンクであってもよい。
【0011】
遠隔監視システムの例は、Webb他に発行された米国特許第6,599,250号、Linbergに発行された米国特許第6,442,433号、Leeに発行された米国特許第6,574,511号、Nelson他に発行された米国特許第6,480,745号、Nelson他に発行された米国特許第6,418,346号、Krichen他に発行された米国特許第6,250,306号に全体が開示される。
【0012】
図2は、図1に示すIMD10等のIMDの典型的な機能コンポーネントのブロック図である。IMD10は、一般に、タイミング及び制御回路52、及び、プログラムされた動作モードに従って検知機能及び治療送出機能のタイミングをとる、マイクロプロセッサ54又はデジタル状態機械等の他の動作システムアーキテクチャを使用してもよい動作システムを含む。マイクロプロセッサ54及び関連するメモリ56は、データ/アドレスバス55を介してIMD10の種々のコンポーネントに結合される。IMD10は、タイミング及び制御回路52の制御下で、電気刺激又は薬物治療等の治療を送出する治療送出ユニット50を含んでもよい。心臓刺激治療等の電気刺激治療の場合、治療送出ユニット50は、通常、スイッチマトリクス58を介して2つ以上の電極68に結合される。スイッチマトリクス58は、電気刺激パルスを送出するのに、どの電極及びどの対応する極性が使用されるかを選択するために使用される。
【0013】
電極68はまた、心臓信号等の体内の電気信号を検知するため、又は、インピーダンスを測定するために使用されてもよい。心臓刺激デバイスの場合、心臓電気信号は、電気刺激治療がいつ必要とされるかを判定するために、また、刺激パルスのタイミングを制御するときに検知される。一部の実施形態では、不整脈の検出は、患者警告状況であり、IMD10が、患者警告信号を発するようにさせる。
【0014】
検知に使用される電極及び刺激に使用される電極は、スイッチマトリクス58を介して選択されてもよい。検知に使用されると、電極68は、スイッチマトリクス58を介して信号処理回路60に結合される。信号処理回路(信号プロセッサ)60は、センス増幅器を含み、他の信号調節回路要素及びアナログ−デジタル変換器を含んでもよい。電気信号は、その後、マイクロプロセッサ54によって使用されて、心臓不整脈を検出し、識別する等、生理的事象が検出されてもよい。他の実施形態では、電極68は、浮腫、呼吸、又は心腔容積を監視するためにインピーダンス信号を測定するのに使用されてもよい。これらの信号のうちの任意の信号を使用して、悪化する病理学的状況を指示する変化又はレベルが検出されてもよく、これらの変化又はレベルは、患者警告信号をトリガーしてもよい。インピーダンス信号はまた、リード線性能を監視し、当該技術分野で知られている、リード線関連問題を検出するのに使用することができる。
【0015】
IMD10は、付加的に、又は、別法として、1つ又は複数の生理的センサ70に結合されてもよい。このようなセンサは、圧力センサ、加速度計、流量センサ、血液化学センサ、活動センサ、又は、IMDと共に使用するのに知られている他の生理的センサを含んでもよい。センサ70は、信号処理回路60にセンサ信号を提供するセンサインタフェース62を介してIMD10に結合する。センサ信号は、マイクロプロセッサ54によって使用されて、生理的事象又は生理的状況が検出される。たとえば、IMD10は、心臓壁運動、血圧、血液化学、呼吸、又は患者活動を監視してもよい。被監視信号は、動作システムの制御下で治療を送出する必要性を検知するのに使用されてもよい。監視される生理的状況の生理的事象又は生理的変化は、患者警告信号が、IMD10によって生成されるトリガー条件として定義されてもよい。
【0016】
動作システムは、種々のプログラム入力された動作モード及びマイクロプロセッサ54によって使用されるパラメータ値を記憶する関連のメモリ56を含む。
メモリ56はまた、検知された生理的信号から編集されたデータ、及び/又は、取り出し命令又は呼び掛け命令の受信によって、テレメトリ出力するデバイス動作履歴に関連するデータを記憶するのに使用されてもよい。これらの機能及び動作は全て、当該技術分野で知られており、デバイス動作を制御するため、また、後で取り出して、デバイス機能又は患者状況を診断するために、動作コマンド及びデータを記憶するのに使用される。本発明の一実施形態によれば、パラメータ値、1つ又は複数の警告トリガー条件を定義する限界又は範囲は、メモリ56に記憶され、警告レベルを検出するときにマイクロプロセッサ54によって使用されてもよい。
【0017】
IMD10は、さらに、テレメトリ回路64及びアンテナ65を含む。プログラミングコマンド又はデータは、IMDのテレメトリ回路64と、外部モニタに含まれる外部テレメトリ回路との間のアップリンクテレメトリ又はダウンリンクテレメトリ中に送信される。
【0018】
テレメトリ回路64及びアンテナ65は、当該技術分野で知られるテレメトリシステムに相当してもよい。生理的パラメータ又はデバイス関連パラメータの所定の警告レベルの検出によって、IMD10は、外部モニタとのテレメトリセッションを開始する。警告状況をもたらす監視されるパラメータに相当するデータが、外部モニタに送信される。送信されるデータは、任意の他の利用可能な生理的又はデバイス関連データ並びに時間及び日付け情報を含んでもよい。
【0019】
テレメトリ回路64は、警告データが自動的に転送されることを可能にする長距離テレメトリシステムとして具現化され、その時、警告データは、患者による介入が無い状態で利用可能である。長距離テレメトリシステムは、参照によりその全体が本明細書に援用される、Haubrick他に発行された米国特許第6,482,154号に全体が開示される。他の実施形態では、テレメトリ回路は、外部モニタへの患者警告データの転送を開始するか、又は、イネーブルにするために、患者の介入を必要とする場合がある。たとえば、テレメトリ回路64は、Wyborny他に発行された米国特許第5,354,319号に全体が開示されるように、IMD10にわたって配置される外部アンテナを含む外部プログラミングヘッドの使用を必要とする場合がある。テレメトリ回路64は、データ送信をイネーブルにするために、患者による手動の「起動」を必要としてもよく、又は、外部モニタから制限された通信距離内にいることを患者に要求してもよい。このような実施形態では、IMD10は、データが外部モニタにいつでも送信することができることを患者に通知する患者アラーム66を含む。IMD10は、可聴音、知覚可能な振動、筋肉刺激、又は、患者警告状況がIMD10によって検出され、データ送信が保留中であることを患者に通知する他の感覚刺激を生成する患者アラーム66を装備してもよい。患者は、感覚患者アラームを知覚することによって、IMD10と外部モニタとの間の通信セッションを開始するように、前もって忠告される。したがって、一部の実施形態では、トリガー条件の検出による、患者警告信号の生成は、IMD10が、患者アラーム66による感覚患者アラームを生成し、また、テレメトリ回路64による外部モニタへの患者警告データ送信を準備するか、又は、患者警告データ送信を自動的に開始するようにさせる。
【0020】
患者警告状況は、IMD10によって提供される監視機能のうちのいずれかの機能に関して定義されてもよい。IMD10の動作システムは、所定の警告トリガー条件が存在するかどうかを判定するために、検知信号又は検知信号から導出されるパラメータの比較解析を実施する。所定のトリガー条件が検出される場合、患者警告トリガー信号が生成される。一実施形態では、患者警告トリガー信号は、IMD10が、テレメトリ回路64を「起動」させて、テレメトリリンク14(図1に示す)を介して外部モニタ20に患者警告データを自動的に転送するようにさせる。
【0021】
さらに、患者警告トリガー信号は、患者アラーム66が、患者に対して感覚刺激を生成するようにさせてもよい。或いは、患者警告トリガー信号は、患者アラーム66が、感覚刺激を生成するようにさせ、それにより、患者が、外部モニタ20への患者警告データ転送を開始する。
【0022】
図3は、外部モニタ20の機能ブロック図である。外部モニタ20は、通常、IMD10からデータを受信するテレメトリ回路72を含むであろう。外部モニタ20は、マイクロプロセッサ74が、モニタ機能を制御するために、関連のメモリ78と動作するマイクロプロセッサ制御式デバイスであってもよい。警告状況データ送信がIMD10から受信されることに応答して、将来、IMD10からデータを取り出すために、マイクロプロセッサ74は、少なくとも1つの後続の呼び掛けセッション(follow-up interrogation session)を計画するであろう。こうして、外部モニタ20は、警告状況をトリガーした監視されるパラメータについての更新値を取り出す。
【0023】
IMD10からの警告データ送信及び任意の後続の計画された呼び掛けセッションに応答して、外部モニタ20は、ディスプレイ76上にメッセージを生成してもよい。メッセージは、IMD10から受信された警告データに基づく情報及び更新されたモニタパラメータ値を含むであろう。外部モニタ20は、さらに、送信が起こったこと、及び/又は、警告メッセージが表示されていることを患者に通知するために、可聴音を生成するスピーカ77を含んでもよい。ディスプレイ76は、テキスト表示又はグラフィック表示を可能にするグラフィックスクリーンであってもよい。或いは、ディスプレイ76は、警告状況の存在を指示するLEDを含んでもよい。
【0024】
外部モニタ20は、通信ネットワークを介してデータ通信を可能にする、モデムとして具現化されてもよい、通信モジュール79を含んでもよい。患者、介護人、又は、医療関係者に、警告状況、及び、後続の計画された呼び掛けセッション中に得られる更新されたパラメータ値の存在を通知するために、外部モニタ20は、遠隔患者管理データベースへデータを送信してもよく、電話の呼び鈴を鳴らしてもよく、又は、電子メッセージを送出してもよい。
【0025】
一部の実施形態では、外部モニタ20は、外部モニタ20が、プログラミング機能を実施することが可能である場合、コマンドを入力するか、又は、情報をプログラミングするユーザインタフェース73を含む。ユーザインタフェース73を使用して、通信モジュール79による通信ネットワークへのデータ送信及び/又はテレメトリ回路72を介したIMD10からのデータ取り出しを手作業でトリガーしてもよい。
【0026】
図4は、本発明の実施形態による、IMDによって監視されるパラメータの更新された状態を提供する方法を要約するフローチャートである。ステップ105にて、IMDは、監視されるパラメータの所定の警告レベルを検出する。方法100は、デバイス関連パラメータ及び生理的パラメータを含んでもよい、IMDによって監視される任意のパラメータに適用されてもよい。警告レベルは、監視されるパラメータの、所定の値、値の範囲、又は閾値交差であってもよい。警告状況は、複数のパラメータについて定義され、それにより、方法100は、2つ以上の監視されるパラメータの警告レベルを検出することによって起動され、複数の監視されるパラメータの更新された状態を提供するために同時に動作してもよい。
【0027】
ステップ110にて、IMDは、警告レベルに応答して、警告レベル検出に関連するデータを外部モニタに送信する。送信されるデータは、警告レベルが検出されたことを指示し、且つ、対応する監視されるパラメータを指示する信号であってもよい。一部の実施形態では、送信されるデータは、実際のパラメータ値、パラメータ値の履歴、他の監視されるパラメータ値、日時情報、又は任意の他の関連データを含んでもよい。
【0028】
ステップ115にて、外部モニタは、患者又は別の介護人に警告状況を知らせるために、警告データ情報を表示してもよい。先に述べたように、ディスプレイは、警告状況の存在を指示するLEDディスプレイであってもよい。種々の実施形態では、点灯されるLEDの数又は色を使用して、検出された、警告状況の深刻さ又は警告状況のタイプが指示されてもよい。他の実施形態では、ディスプレイは、モニタ上でのグラフィック表示又はテキスト表示及び/又はブロードキャスト可聴音又は音声メッセージを含んでもよい。警告状況情報を患者又は他の介護人に表示するか、又は、ブロードキャストする多数の変形が、実施されてもよいことが理解される。
【0029】
外部モニタは、付加的に、又は、別法として、ステップ115にて、通信ネットワークを介して遠隔患者管理データベースに警告状況データを転送してもよい。医療関係者は、その後、警告状況に適切に応答してもよい。
【0030】
ステップ120にて、外部モニタは、警告状況データの受信に応答して、将来のIMD呼び掛けを計画する。IMD呼び掛けは、任意の時間間隔、たとえば、数分後、数時間後、1日後、又は1週間後に起こるように計画されてもよい。適切な時間間隔は、警告レベル検出の、それについて行われた監視されるパラメータのタイプに依存してもよい。たとえば、不整脈状況は、何秒又は何分かにわたって変化する場合があるが、浮腫は、1日にわたって変化する場合がある。一部のパラメータは、IMDによって連続して監視されてもよく、それにより、後続の呼び掛けが外部モニタによっていつでも実施され、更新されたパラメータ値が得られるであろう。他のパラメータは、IMDによって、或る周期で監視されてもよい。したがって、外部モニタによる計画された呼び掛けは、更新されたパラメータ値を得るために、次の周期的測定が予想された後に起こるべきである。監視間隔が、外部モニタによって知られていない場合、更新されたパラメータ値が得られるまで、呼び掛けが繰り返されてもよい。
【0031】
特定の監視されるパラメータについて、後続の呼び掛けを計画する時間間隔はまた、個々の患者の必要性に応じて調節されてもよい。一部の患者は、或る警告レベルに従う、入院又は緊急ケアを必要とするより大きなリスクにある場合がある。したがって、警告レベルに達したパラメータを綿密に監視するために、頻繁な後続の呼び掛けが計画されてもよい。
【0032】
患者は、警告の通知に応答して、薬物を服用するか、又は、薬物を調整するか、自身の活動レベルを調整するか、流体摂取を調整するか、又は、任意の他の医師によって指示されたアクションを行ってもよい。患者の応答は、患者が臨床施設又は他の医療施設に出かける必要無しで警告レベルを引き起こした状況を解決する場合がある。
【0033】
外部モニタによって後続の呼び掛けセッションを計画することによって、患者又は他の介護人が、警告に対する患者の応答が、有益な効果をもたらしたかどうかを観測することが可能になる。適切な頻度で呼び掛けセッションを計画することによって、警告の通知に対する患者自身の応答によって、状況が迅速に解決されないときに、患者が、適宜医療処置を受けることができる。それにより、入院又は他の深刻な結果が回避される場合がある。
【0034】
一部の実施形態では、警告データは、遠隔患者管理システムに送信され、患者に状況を通知するために表示されなくてもよい。医療関係者は、その後、患者に適切に助言し、計画された後続の呼び掛けによって状況の状態を監視し続ける。医療関係者は、計画された後続の呼び掛け中に取り出された監視されるパラメータの最新状態に基づいて、介入する適切な時間に関するインフォームドデシジョン(informed decision)を行うことができる。
【0035】
別の実施形態では、ステップ120における後続のIMD呼び掛けセッションの計画は、遠隔患者管理システムによって開始されるプログラミング操作によって実施されてもよい。遠隔患者管理データベースによる警告データの受信に応答して、プログラミング要求が、外部モニタに送り返されてもよい。外部モニタは、計画された呼び掛けセッションデータをIMDに転送することによって応答する。
【0036】
ステップ125にて、計画された呼び掛けが実施される。外部モニタは、IMDに呼び掛けコマンドを転送することによって、呼び掛けセッションを開始する。先に述べたように、計画された呼び掛けセッションは、患者の介入を必要とせず、長距離テレメトリシステムによって自動的に発生してもよい。IMDは、計画された呼び掛けセッションに従って設定されたタイマの終了時にIMDテレメトリ回路を「起動」させ、それにより、呼び掛け要求を受け取ることが可能になるであろう。他の実施形態では、IMDテレメトリ回路が使用可能にされ、且つ、IMDが、計画された後続の呼び掛けについて、外部モニタのテレメトリ距離内にあることを確実にするために、患者又は他の介護人が介入することを要求されてもよい。
【0037】
後続の呼び掛け中に、以前の警告レベル検出を引き起こした監視されるパラメータに相当するデータは、外部モニタにアップリンクされる。特に、更新された監視されるパラメータ値及び/又は警告状況の状態が取り出される。他のデバイス関連若しくは生理的パラメータデータ、日時情報、又は、他の関連データ等の他のデータが、任意選択で取り出されてもよい。
【0038】
ステップ130にて、更新された監視されるパラメータデータは、外部モニタによって表示される、及び/又は、遠隔患者管理センタへ転送される。決定ステップ135にて、更新されたパラメータ値が、警告レベルのままであるかどうかについて判定が行われる。警告レベルのままである場合、ステップ120にて、別の後続の呼び掛けセッションが計画される。パラメータ値が、非警告レベルに戻っている場合、方法100は、ステップ140で終了してもよい。ステップ130にて、患者及び/又は医療関係者が、監視されるパラメータの非警告状態を通知されている場合、さらなる後続の呼び掛けは、もはや必要とされない。
【0039】
或いは、監視されるパラメータが、所定の時間間隔の間、非警告レベルのままであることを確実にするために、監視されるパラメータの非警告レベルを検出した後に、1つ又は複数の付加的な後続の呼び掛けが計画されてもよい。
【0040】
図5は、更新された流体状態を外部モニタに提供する方法を要約するフローチャートである。うっ血性心不全を患う患者は、肺浮腫を発症する可能性がある。このような患者は、流体レベルを管理するために、利尿剤を投薬されることが多い。患者の肺湿潤(lung wetness)の注意深い監視は、利尿剤治療を管理するのに役立ち、また、入院を必要とすることになる肺浮腫の重篤な事例を回避することができる。したがって、本発明の一実施形態では、流体状態の警告レベルを検出することに続いて、更新された流体状態パラメータが、計画された後続の呼び掛けによって取り出される。患者について更新された流体状態を提供することによって、患者又は臨床医は、浮腫状況又は利尿過多(over-diuresed)状況に対処する適切な処置を、適宜とることができる。
【0041】
ステップ155にて、流体状態パラメータが、IMDによって測定される。一般に、流体状態パラメータの測定は、呼吸の変化を評価することによって認められることができる、肺湿潤の変化に関連する胸郭インピーダンスの変化を検出するためにインピーダンス信号を監視することを含む。浮腫を監視する方法は、たとえば、参照によりその全体が本明細書に援用される、Combs他に発行された米国特許第6,512,949号に全体が開示される。肺湿潤の変化を検出する、IMDで使用するために知られている他の方法に置換えられてもよい。
【0042】
ステップ160にて、方法150は、測定された流体状態パラメータ値が、警戒レベルにあるかどうかを判定する。警戒レベルは、利尿過多状況に関連する場合がある低い流体状態を指示してもよい。別の警告レベルは、浮腫状況に関連する高い流体状態を指示してもよい。したがって、2つ以上の警告レベルが、監視されるパラメータによって指示されることが可能な異なるタイプの生理的状況を指示する任意の監視されるパラメータについて定義されてもよい。
【0043】
測定された流体状態パラメータ値が警戒レベルにない場合、プログラムされた監視モードに従って、ステップ155にて、IMDは、流体状態パラメータを測定し続ける。ステップ160にて、警戒レベルが検出される場合、ステップ170にて、IMDは、データ送信を開始する。流体状態パラメータデータが、外部モニタに転送される。ステップ175にて、警戒状況情報は、外部モニタによって表示されてもよく、及び/又は、遠隔患者管理データベースに転送されてもよい。一実施形態では、外部モニタ上のLEDディスプレイは、流体状態が警告レベルにあることを患者に指示してもよい。LEDの1つの色が点灯して、低い流体状態警告状況を指示してもよく、LEDの異なる色が点灯して、高い流体状態警告状況を指示してもよい。他のパラメータデータ又は情報が、任意選択で、外部モニタによって、スクリーン上に表示されるか、又は、ブロードキャストされてもよい。
【0044】
外部モニタは、ステップ180にて、自動的に、流体状態警告送信の受信に応答して、将来のIMD呼び掛けを計画する。一部の実施形態では、適切な時間間隔で起こる一連のIMD呼び掛けが計画されてもよい。
【0045】
たとえば、更新された流体状態を提供するために、外部モニタは、ステップ180によって指示されるように、一連の毎日のIMD呼び掛けを計画してもよい。一連のIMD呼び掛けは、無期限の間、選択された時間間隔で起こるように計画されてもよく、又は、所定数のIMD呼び掛けが計画されてもよい。
【0046】
ステップ190にて、計画された後続のIMD呼び掛けは、後続の呼び掛けの前に、ステップ185にて得られた新しい流体状態パラメータ測定値を取り出すように実施される。新しい流体状態パラメータ値に関連する情報は、ステップ193にて、外部モニタによって表示されるか、又は、ブロードキャストされ、且つ/又は、遠隔患者管理データベースに転送されてもよい。ステップ195にて、外部モニタは、流体状態パラメータが非警告レベルにあるかどうかを判定する。外部モニタは、さらに、パラメータが、所定の期間の間、非警告レベルのままであったかどうかを判定してもよい。たとえば、外部モニタは、流体状態パラメータが、少なくとも24時間の間、又は、2つの連続する後続の呼び掛けの間、非警告レベルにあったかどうかを判定してもよい。非警告レベルになかった場合、ステップ190にて、次の計画された呼び掛けが実施される。
【0047】
流体状態が、非警告レベル(流体状態は、所定の期間の間、又は、所定数の連続する後続の呼び掛けの間、必要とされる)にあると判定されると、ステップ197にて、任意の保留中の後続の呼び掛けが取り消される。方法150は、ステップ155に戻って、流体状態パラメータのIMD測定を継続する。場合によっては、計画された一連の後続の呼び掛けは、監視されるパラメータが、患者及び/又は医療関係者がそのときに適切な処置をとることができる非警告レベルに達する前に終了してもよい。
【0048】
上述した技法の一部は、マイクロプロセッサ等のプログラム可能なプロセッサ用の命令を含むコンピュータ可読媒体として具現化されてもよい。
プログラム可能なプロセッサは、独立して、又は、連携して働くことができる1つ又は複数の個々のプロセッサを含んでもよい。「コンピュータ可読媒体」は、フロッピーディスク、従来のハードディスク、CR−ROM、フラッシュROM、不揮発性ROM、RAM、及び磁気記憶媒体又は光記憶媒体等の任意のタイプのコンピュータメモリを含むが、これらに限定されない。媒体は、プロセッサが、本発明に従って、エスケープレート変動(escape rate variation)セッションを開始するために上述した特徴のうちの任意の特徴を実施するようにさせる命令を含んでもよい。
【0049】
したがって、監視されるパラメータの更新された状態を提供するIMDシステム及び関連方法が、特定の実施形態を参照して先の説明で提示された。特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、参照した実施形態に対する種々の変更が行われてもよいことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態による、埋め込み可能医療デバイスと通信する外部モニタを含む埋め込み可能医療デバイスシステムの略図である。
【図2】図1の埋め込み可能医療デバイスの典型的な機能コンポーネントの例示的なブロック図である。
【図3】外部モニタの機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による、埋め込み可能医療デバイスによって監視されるパラメータの更新された状態を提供する方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による、更新された流体状態を外部モニタに提供する方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスシステム内のパラメータの状態を提供する方法であって、
前記パラメータを監視すること、
前記監視されるパラメータの警告レベルを検出すること、
前記埋め込み可能医療デバイスから外部モニタに前記検出された警告レベルに相当するデータを送信すること、
前記警告レベルデータ送信に応答して、後続の呼び掛けセッションを計画すること、及び、
前記後続の呼び掛けセッション中に、前記監視されるパラメータに相当する更新データを前記埋め込み可能医療デバイスから取り出すこと
を含む、パラメータの状態を提供する方法。
【請求項2】
前記取り出された更新データに相当する情報を前記外部モニタ上に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取り出された更新データを遠隔患者管理データベースへ転送することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記後続の呼び掛けセッションを計画することは、前記遠隔患者管理データベースから前記外部モニタに計画要求を転送することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記監視されるパラメータに相当する前記取り出された更新データが、非警告レベルに相当するかどうかを判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記取り出された更新データが、非警告レベルに相当しないことに応答して、第2の後続の呼び掛けセッションを計画することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記取り出された更新データが、非警告レベルに相当すると判定されることに応答して、前記監視されるパラメータが、前記警告レベルにもはや相当しないことを指示する情報を表示することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記監視されるパラメータに相当する前記更新データが、所定の時間間隔の間、非警告レベルに相当するかどうかを判定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記後続の呼び掛けセッションを計画することは、一連の後続の呼び掛けセッションを計画することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記監視されるパラメータに相当する前記取り出された更新データが、非警告レベルに相当するかどうかを判定すること、及び
前記取り出された更新データが、非警告レベルに相当することに応答して、任意の保留中の計画された後続の呼び掛けセッションを取り消すこと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記埋め込み可能医療デバイスによって監視される前記パラメータは、生理的パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記埋め込み可能医療デバイスによって監視される前記生理的パラメータは、流体状態を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
埋め込み可能医療デバイスシステムであって、
生理的パラメータに相当する信号を検知する埋め込み可能センサと、
前記センサに結合される、前記センサ信号を受信すると共に該センサ信号に基づいて前記生理的パラメータの警告レベルを検出するプロセッサと、
前記プロセッサに結合される、該プロセッサが前記警告レベルを検出することに応答して、前記生理的パラメータに相当するデータを送信するデバイステレメトリ回路と、
前記デバイステレメトリ回路と通信するようになっている、前記送信データを受信する外部テレメトリ回路と、
前記外部テレメトリ回路に結合される、該外部テレメトリ回路と前記デバイステレメトリ回路との間の通信によって、前記生理的パラメータに相当する更新値を前記プロセッサから取り出す後続の呼び掛けセッションを計画する外部制御システムと
を備える、埋め込み可能医療デバイスシステム。
【請求項14】
前記生理的パラメータに相当する情報を表示する外部ディスプレイをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
遠隔患者管理データベースと、
通信ネットワークと、
前記通信ネットワークに結合される、前記監視される生理的パラメータに相当する前記外部テレメトリ回路によって受信される情報を、前記遠隔患者管理データベースに転送する外部通信モジュールと
をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサは、流体状態を監視するインピーダンスセンサを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータ可読媒体であって、
埋め込み可能医療デバイス内のパラメータの状態を提供する方法であって、
前記埋め込み可能医療デバイスから外部モニタに生理的パラメータ警告信号を送信すること、
前記外部モニタによって開始される後続の呼び掛けセッションを計画することであって、前記生理的パラメータ警告信号が受信された後に、更新された生理的パラメータデータを取り出す、後続の呼び掛けセッションを計画すること、及び
前記計画された後続の呼び掛けセッション中に、更新された生理的パラメータ値を取り出すこと
を含む方法を実施するコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記方法は、前記更新された生理的パラメータ値に相当するデータを表示することをさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法は、前記更新された生理的パラメータ値が、非警告レベルに相当するかどうかを判定することをさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505793(P2009−505793A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529150(P2008−529150)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033459
【国際公開番号】WO2007/027570
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】