説明

基地局および移動局

【課題】移動局(携帯端末装置)とフェムトセルとを用いて、一般家庭の家屋や小規模オフィスにおけるメッセージの伝達技法(メッセージ処理装置として機能する基地局及び移動局)を提供する。
【解決手段】移動体通信システムの基地局(FAP)は、移動体通信システムの移動局(AT)を宛先としたメッセージを格納する記憶部(140)、記憶部(140)に格納しているメッセージの宛先となる移動局を基地局(FAP)に対して位置登録している場合または位置登録した場合に、当該メッセージを移動局(AT)に送信する送信部(134)とを備え、当該メッセージは、移動局(AT)が前記基地局を検出できなくなってから、メッセージを報知するまでのタイミングを示すタイミング情報を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局および移動局に関し、特に、移動局を有するユーザが所定の基地局の圏外になってから適切なタイミングで伝言メッセージを伝達することのできる基地局および移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信用の機器、特に携帯電話端末は急速に普及し、人口がある程度あるエリアはほとんどカバーされるようになった。しかしながら、家屋や建物の内部の空間や立地状況が悪い場所では、通常の既存基地局(即ち、広域基地局)からの電波が届かず圏外となったり、電波が弱く通信が安定しなかったりするエリアが存在している。このような圏外となるエリアをカバーするものとして、出力電力が小さく、半径数メートル〜数10メートル程度のセル(サービスエリア)を提供する小型基地局が開発されている。このような超小規模のセル自体、或いは、当該セルを提供する小型基地局をフェムトセルと称する。(非特許文献1を参照されたい。)フェムトセルは、セルラー網(携帯電話網、セルラーネットワーク)に接続するために、各家庭に引込まれているADSL、光回線(FTTH)などのブロードバンド回線(一般加入者回線)を利用することが想定されている。
【0003】
一般家庭やオフィスにおいては、光回線、ADSLなどのブロードバンド回線の常時接続が普及しているため、フェムトセルと移動体通信端末を接続する環境(即ちバックボーン)は整いつつある。さらに、通信事業者としては、フェムトセルおよびブロードバンド回線の利用によって、本来消費されるはずであった通常の既存基地局の帯域を使わずに済むというメリットもある。さらに、2008年2月、総務省により、フェムトセルに関するそれ以前の規制緩和の方針が発表された。これを受け、一部の携帯電話事業者で既にビジネスプランが発表されているように、フェムトセルの本格的な開発及び使用がさらに進むことが考えられる。
【0004】
ここで、一般家庭やオフィスにおいて、家族間または社員間で、自分が不在の間に相手に用件を伝える「伝言メッセージ(伝言メモ)」を残したい、という需要がよくある。例えば家庭において、母親は、自分の不在時に帰宅した子供や父親等、帰宅した誰かに、「ペットに餌をあげてね」、「洗濯物を取り込んでね」等の依頼を伝えたい場合がある。また、自宅内の用件だけでなく、帰宅後さらに外出する人物に対して、「忘れ物はないか」「20時に帰りなさい」といった注意や、「ペットに餌をあげたか」といった、前述の自宅内の用件を行ったかどうかの確認を行ないたい場合がある。オフィスにおいても、例えば出張に向かう人物に対して、持ち物や、出張前に依頼しておいた事の確認を行ないたい場合がある。すなわち、用件を依頼した人物が用件を行なうべき場所から離れるときに、確認や注意をする意味での伝言メッセージの需要が多々ある。
【0005】
これらの伝言メッセージを伝える場合、伝言の書かれたメモ紙を用いたり、例えばオフィスでは、社内グループウェアを活用したりすることが考えられる。また、従来技術に、留守番電話機を利用するものが開示されている(特許文献1を参照されたい。)。図12に、この従来技術による留守番電話機のブロック図を示す。この従来技術による留守番電話機は、伝言メッセージの再生時刻をあらかじめ設定して、伝言メッセージと共にメモリに格納しておく。そして、留守番電話機は、指定された再生時刻になると伝言メッセージを再生する。
【0006】
【非特許文献1】http://e−words.jp/w/E38395E382A7E383A0E38388E382BBE383AB.html
【特許文献1】特開平6−205099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、メモ紙の場合は、用件を伝えたい相手がメモ紙に気づかないおそれもある。また、図12に示す従来技術では、メッセージを通知したい人物(受取人)のスケジュールに基づき、メッセージを受取人に通知可能と予測される時刻を、再生時刻として予め設定すると考えられる。しかしながら、スケジュールの変更は多々生じえることであり、受取人が居ないにも係わらずメッセージが再生されるおそれがある。また、一旦メッセージの聞ける場所に居た受取人に対してメッセージを通知する前に、受取人が外出する(メッセージを聞けない場所に移動してしまう)おそれがある。さらに、受取人に外出先の用件を依頼するメッセージを通知することができても、外出するまでに時間が空いた場合、受取人は、メッセージの用件を忘れてしまうことも考えられる。即ち、伝言メッセージの受取人が伝言メッセージを聞いた時間・場所と、伝言メッセージの用件を確認すべき時間・場所との間にずれが生じることにより、伝言メッセージの用件に対する受取人の認識が薄れてしまう。もし、用件を確認すべき時間・場所でその用件を何者かに通知することができれば、当該用件が確実に実行される可能性が高まるが、そのような技術は開発されていない。
【0008】
本願発明者は、上述した諸問題を解決するため、今後、普及が進むであろうフェムトセルを用いて、家庭やオフィスで需要の高い伝言メッセージの伝達システムを構築する手法に想到した。従って、本発明は、移動局(携帯端末装置)とフェムトセルとを用いて、一般家庭の家屋や小規模オフィスにおける伝言メッセージの伝達技法(伝言メッセージ処理装置として機能する基地局及び移動局)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による基地局は、
移動体通信システムの基地局であって、
前記移動体通信システムの移動局を宛先としたメッセージを格納する記憶部と、
(前記移動体通信システムの移動局からの要求に基づき当該移動局を位置登録する処理部と、)
(通信回線を介して移動体通信システムと通信する通信部と、)
前記記憶部に格納しているメッセージの宛先となる移動局が、前記基地局に対して位置登録している場合または位置登録した場合に、当該メッセージを前記移動局に送信する送信部と、を備え、
前記メッセージは、前記移動局が前記基地局を検出できなくなってから、該メッセージを報知するまでのタイミングを示すタイミング情報を含む、
ことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明による基地局は、
前記基地局に対して位置登録している移動局から前記メッセージを受信する受信部をさらに備え、
前記記憶部は、前記受信部により受信された前記メッセージを格納する、
ことを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明による基地局は、
前記基地局への入力操作を受け付ける入力部と、
前記入力部への入力に基づき、移動体通信システムの移動局を宛先としたメッセージを生成する生成部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記生成部により生成したメッセージを格納する、
ことを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明による移動局(携帯端末)は、
移動体通信システムの基地局から当該基地局に格納されている自移動局宛のメッセージを受信する受信部と、
前記受信部により受信したメッセージを格納する記憶部と、
前記メッセージを受信した基地局が検出できなくなると(前記メッセージを受信した基地局からの電波を受信できなくなると(ハンドオーバ、圏外、ロスト等))、当該基地局から受信して格納した前記メッセージを報知するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第5の発明による移動局は、
前記メッセージは、前記基地局を検出できなくなってから該メッセージを前記移動局が報知するまでのタイミング(時間)を示すタイミング情報を含み、
前記制御部は、前記タイミング情報に基づいて、前記メッセージを報知するように制御する、
ことを特徴とする。
【0014】
上述したように本発明の解決手段を装置(基地局および移動局)として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メッセージの用件を適切なタイミングで用件を依頼したい人物に認識させることで、その用件が実行されない可能性を大幅に減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。最初に用語を説明する。「フェムトセル」とは、一般回線(ADSLなどのブロードバンド回線)を介して移動通信網(セルラー網)に接続されている小型の基地局のことを言う。なお、以下では、移動局として携帯端末を想定して説明するが、本発明はこれに限られるものではないことに留意されたい。例えば、移動局としては、フェムトセルへの接続が可能であるならば、PDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、携帯ゲーム機、携帯オーディオプレーヤー、携帯ビデオプレイヤー、携帯電子辞書、携帯電子書籍ビューワーなどの携帯電子機器に幅広く本発明を適用することが可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施態様によるフェムトセルのブロック図である。図に示すように、フェムトセルFAPは、一般回線インターフェース部110、生成部120、無線部130、記憶部140、制御部150、入力部(ボタン、タッチパネル等)KEY1、表示部(液晶ディスプレイ、有機ELおよびLEDディスプレイ等)DIS1、アンテナANT1、及びシステムバスBUSを具える。また、制御部150は、登録部152及び処理部154を備える。アンテナ部ANT1は、携帯端末と通信するための電波を送受信する。無線部130は、受信部132及び送信部134を備え、アンテナANT1を介した携帯端末との無線通信(メッセージの送受信や音声通話を含む。)を行なう。入力部KEY1は、フェムトセルFAPを利用するユーザからの各種設定情報やメッセージ本文の入力を受け付ける。設定情報には、フェムトセルFAPを利用する携帯端末の情報(端末IDや電話番号等)が含まれる。生成部120は、入力部KEY1を介したユーザの入力に基づきメッセージを生成する。記憶部140は、入力部KEY1を介して入力された、又はアンテナANT1、一般回線インターフェース部110を介して受信した設定情報やメッセージを格納する。表示部DIS1は、記憶部140に格納された設定情報やメッセージ等を表示する。制御部150は、装置全体の制御を司る。また、一般回線インターフェース部110は、ルータ等を介して一般回線(ADSLなどのブロードバンド回線)に接続されている。
【0018】
制御部150は、フェムトセルFAPを利用するユーザの情報、すなわち、フェムトセルFAPを利用する少なくとも1つの携帯端末の情報(携帯電話番号、端末IDなどの識別情報)を登録する登録部152と、携帯端末の位置登録要求を処理する処理部154とを具える。登録部152により登録された携帯端末の情報は、記憶部140にも格納される。
【0019】
フェムトセルFAPのユーザは、予め、フェムトセルFAPの入力部KEY1を用いて、一般回線インターフェース部110を介して、無線部130を介して、又はフェムトセルFAPを購入した店舗等で、フェムトセルFAPを利用する携帯端末の固有ID及び/又は携帯電話を登録する処理を行なう。携帯端末のユーザには、フェムトセルが設置された建造物に出入りする者(家族やヘルパー等)を含むことができる。登録された携帯端末は、フェムトセルFAPへの位置登録がされると、フェムトセルFAPを介した無線通信が可能となる。
【0020】
図2は、本発明の一実施態様による携帯端末のブロック図である。図に示すように、携帯端末ATは、音声制御部220、ベースバンド部230、無線部240、記憶部250、端末全体の制御を司る制御部(例えば、CPUなど)260、スピーカSP、表示部DIS2、入力部(キー、ボタンなど)KEY2、アンテナANT2、振動部VI、及びシステムバスSBを具える。無線部240は、受信部242及び送信部244を備え、フェムトセルFAPとのアンテナANT2を介した無線通信を行ない、フェムトセルFAPとメッセージを送受信する。制御部260は、フェムトセルFAPへ送信するメッセージの生成や、フェムトセルFAPとのメッセージのやり取りを制御する。また、制御部260は、フェムトセルFAPへの位置登録要求の制御も行なう。音声制御部220は、携帯端末ATの音声通話を制御する。ベースバンド部230は、ベースバンド信号の処理を行なう。記憶部250は、フェムトセルFAPから受信したメッセージを格納する。表示部DIS2は、フェムトセルFAPから受信したメッセージを表示する。なお、受信したメッセージは、スピーカSPから音声で報知することもできる。入力部KEY2は、ユーザによるメッセージを生成するための入力操作を受け付ける。制御部260は、受信したメッセージをユーザに報知するための制御を行なう。制御部260に含まれる比較部262は、受信したメッセージに含まれるタイミング情報と現在時刻とを、時刻管理部264の示す時刻に基づいて比較し、比較結果を制御部260へ通知する。振動部VIは、例えば小型のモータ等を含み、携帯端末ATを振動させる。
【0021】
次に、メッセージを送信したいユーザ(差出人)がフェムトセルFAPにメッセージを登録する処理について、図を用いて説明する。なお、以下では、携帯端末AT1をメッセージの差出人の携帯端末(差出端末)とし、携帯端末AT2をメッセージの宛先人の携帯端末(宛先端末)とする。図3〜6は、フェムトセルFAPへの、差出人によるメッセージの登録処理を説明する概略図である。メッセージの登録方法としては、差出人が、自身の携帯端末AT1を用いてメッセージを作成し、当該メッセージを無線でフェムトセルFAPへ送信する場合と、差出人が、フェムトセルFAPの入力部KEY1を用いて、直接フェムトセルFAPへメッセージを入力する場合とが考えられる。まず、図3の概略図及び図4のフローチャートを用いて、前者の場合を説明する。メッセージの差出人(図示せず)は、差出人の携帯端末AT1を用いてメッセージMSG1を作成し、フェムトセルFAPへ送信する(ステップS11)。メッセージMSG1は、図3及び4に示すように、少なくとも「メッセージ種別」及び「情報要素」を含む。「メッセージ種別」は、当該メッセージの種類を示す情報であり、このメッセージが、伝言メッセージ、ショートメッセージサービスのメッセージ、電子メールメッセージ等の何れであるかを示す。「情報要素」は、発番号(差出人情報)、着番号(宛先情報)、メッセージ本文SENTENCE、タイミング情報T−INFO等を含む。発番号・着番号は、端末IDや電話番号等である。タイミング情報T−INFOは、当該メッセージを受信した端末において、当該メッセージを報知すべきタイミング(宛先端末がフェムトセルFAPの電波を受信できなくなってからの経過時間や、報知すべき時刻)を示す情報である。なお、詳細は後述するが、タイミング情報T−INFOは必須とは限らない。フェムトセルFAPは、携帯端末AT1から送信されたメッセージMSG1を受信し(ステップS12)、記憶部140に格納する(ステップS13)。なお、差出人が、作成したメッセージを一般回線インターフェース部110を介してフェムトセルFAPに送信することも出来る。
【0022】
次に、差出人が、フェムトセルFAPの入力部KEYを用いて、直接フェムトセルFAPへメッセージを入力する場合を、図5の概略図及び図6のフローチャートを用いて説明する。差出人U1が、フェムトセルFAPの入力部KEY1を用いて、メッセージMSG2を入力し、フェムトセルFAPはメッセージMSG2を生成する(ステップS21)。メッセージMSG2は、「発番号」、「着番号」、「メッセージ本文」及び「タイミング情報」を含む。さらに、「メッセージ種別:伝言メッセージ」を含んでもよい。なお、詳細は後述するが、タイミング情報T−INFOは必須とは限らない。メッセージMSG2を生成したフェムトセルFAPは、記憶部140に、生成したメッセージMSG2を格納する(ステップS22)。なお、メッセージMSG2を生成する項目において、「発番号」ではなく、入力ユーザの名前等を示すテキスト情報などの差出人情報でも良い。
【0023】
次に、フェムトセルFAPが、フェムトセルFAPに格納されたメッセージMSG1(又はMSG2)を、当該メッセージを送信すべき携帯端末AT2に送信する処理について説明する。図7及び8は、フェムトセルFAPの携帯端末AT2へのメッセージの送信処理を説明する概略図及びフローチャートである。
【0024】
フェムトセルFAPは、図3〜6で説明した処理によりメッセージを受信又は生成すると、携帯端末へのメッセージ送信処理を開始する。まず、制御部150は、処理部154が位置登録処理を行なった端末があるか否か(記憶部140に位置登録済みの端末の情報が格納されているか否か)を判定する(ステップS31)。位置登録済みの端末があると判定された場合は、制御部150は、記録部140に格納されているメッセージの宛先である携帯端末が位置登録されているか否かを判定する(ステップS34)。位置登録済みの携帯端末を宛先とするメッセージがあると判定された場合は、図7に示すように、そのメッセージ(MSG1)を宛先の携帯端末AT2へと送信する(ステップS35)。図7に示すように、フェムトセルFAPによりメッセージが送信されると、宛先の携帯端末AT2は、その記憶部250に、「発番号」(メッセージの差出人)、「メッセージ本文」及び「タイミング情報」を含むメッセージMSG3を格納する。ステップS31にて、位置登録済みの携帯端末がないと判定された場合、又はステップS34にて、メッセージの宛先である携帯端末が位置登録されていないと判定された場合は、ステップS32へ進み、処理部154は、携帯端末から位置登録要求があるか否かを判定する。ステップS32にて、携帯端末から位置登録要求があると判定された場合は、ステップS33にて、位置登録を受け付ける。
【0025】
次に、フェムトセルFAPからメッセージを受信した携帯端末AT2の、メッセージの再生処理の概略について図を用いて説明する。図9は、携帯端末AT2のメッセージ再生処理の一例のフローチャートである。まず、タイミング情報T−INFOがメッセージに含まれていない場合について説明する。制御部260は、フェムトセルFAPの圏内であるか否か(フェムトセルFAPの電波を受信できているか否か)を判定する(ステップS41)。圏内でない(フェムトセルFAPが検出できなくなると)と判定された場合は、制御部260は、記憶部250にメッセージが格納されているか否か、即ち、フェムトセルFAPからメッセージを受信しているか否かを判定する(ステップS42)。メッセージが記憶部に格納されていると判定された場合は、制御部260は、記憶部250からメッセージを読み出す(ステップS43)。そして、スピーカSPや振動部VIを制御して音声や振動を発生させ、メッセージを受信した旨を通知する(ステップS44)。その後、制御部260は、フェムトセルFAPから受信したメッセージを表示するように表示部DIS2を制御して、メッセージを報知する(ステップS45)。なお、メッセージの報知方法としては、表示部DIS2へのテキストでの表示に限らず、スピーカSPから音声で出力することもできる。また、強制的に表示部DIS2へメッセージ本文をテキスト表示させたり、スピーカSPから音声出力させたりしてもよいし、メッセージがあることを示すアイコンを表示させても良い。強制的に表示部DISへ出力する場合は、ステップS44にてメッセージがあることを通知した後に、ユーザから何らかの入力操作(例えば、メッセージを受信した旨を通知する振動や音声を停止させるための操作等)があった場合に表示するのが好適である。なお、上記メッセージは圏外と判定されて通知(報知)するものであるため、圏内時にメッセージを受信した際は通知(報知)しない方が好ましい。
【0026】
このように、本実施例では、携帯端末AT2がフェムトセルFAPの圏外となったときに(フェムトセルFAPが検出できなくなると)、携帯端末AT2においてメッセージが報知される。即ち、携帯端末AT2のユーザがフェムトセルFAPの圏外になった時に、即ち自宅又はオフィスから外出するまさしくその時に、メッセージを報知することができる。従って、メッセージの受取人が自宅又はオフィスに即座に戻ることができる時に、忘れ物や依頼された用件の確認を行なわせることができる。
【0027】
次に、圏外になってから(フェムトセルFAPが検出できなくなってから)所定時間経過後にメッセージを報知する実施例について説明する。上述の実施例では、宛先端末が圏外になった時点でメッセージが報知されるが、例えば、外出先での用件を依頼する場合等、メッセージの内容によっては、圏外になってから(外出してから)所定時間経過後にメッセージを報知したい場合も考えられる。この場合に、フェムトセルFAPから携帯端末ATに送信されるメッセージMSG1(又はMSG2)に、タイミング情報T−INFOを含めることができる。ここで、タイミング情報T−INFOについて説明する。図10は、タイミング情報T−INFOの一例を示す図である。図に示すように、タイミング情報T−INFOには、携帯端末ATが受信したメッセージを、携帯端末ATがフェムトセルFAPの圏外になってからいつ報知(再生/表示)するかを示す情報が含まれる。図の例では、タイミング情報T−INFOは、第1オクテットに、メッセージを「圏外になってから指定時間の経過後に再生するか否か」の情報を含む。さらに、第2オクテットに、第1オクテットで指示された処理を行なうのに必要な情報を含む。例えばタイミング情報T−INFOが「圏外になってから指定時間経過後に再生する」(二列目)場合、第2オクテットには、「指定時間」に関する情報が含まれる。
【0028】
次に、フェムトセルFAPからメッセージ(タイミング情報T−INFOを含む)を受信した携帯端末AT2の、メッセージの再生処理について図を用いて説明する。図11は、携帯端末AT2のメッセージ再生処理の一例のフローチャートである。説明を分かり易くするために、図11には、フェムトセルFAPと携帯端末AT2との間の位置登録処理、及びフェムトセルFAPのメッセージ送信処理のフローチャートを合わせて示す。
【0029】
フェムトセルFAPは、メッセージの差出端末からメッセージを受信すると、宛先の携帯端末(宛先端末)へのメッセージ送信処理(図11、ステップS201〜S205)を開始する。この処理は、上述した図8のステップS31〜S35と同様であるため説明を省略する。メッセージの宛先端末AT2は、フェムトセルFAPの圏内に入った場合等に、フェムトセルFAPに位置登録を要求する(ステップS206)。制御部260は、フェムトセルFAPに対して位置登録がされたか否かを判定する(ステップS207)。位置登録された場合は、フェムトセルFAPから宛先端末AT2へメッセージが送信され(ステップS205)、受信部242は、フェムトセルFAPから送信されたメッセージを受信する(ステップS208)。なお、携帯端末AT2は、ステップS207にて位置登録がされなかった場合、ステップS206へ戻り再度位置登録を要求するが、位置登録要求が所定の回数拒否された場合、フェムトセルFAPへの位置登録要求を終了することもできる。
【0030】
携帯端末AT2は、受信したメッセージを記憶部250に格納する(ステップS209)。次に、制御部260は、フェムトセルFAPの圏内であるか否か(フェムトセルFAPの電波を受信できているか否か)を判定する(ステップS210)。圏内でないと判定された場合は、制御部260は、記憶部250からメッセージを読み出し(ステップS211)、タイミング情報T−INFOの内容を判定する(ステップS212)。タイミング情報T−INFOが、「指定時間経過後に再生する」である場合は、ステップS213へ進み、比較部262は、圏外になってからの経過時間が、タイミング情報T−INFOにより示された指定時間を経過したか否かを判定する(ステップS213)。ステップS213にて、圏外になってからの経過時間が指定時間を超えた(指定時刻になった)と判定された場合、又はステップS212にて、タイミング情報T−INFOが、「指定時間の指定なし」である場合は、ステップS214へ進み、制御部260は、スピーカSPや振動部VIを制御して音声や振動を発生させ、メッセージを受信した旨を通知する(ステップS214)。その後、制御部260は、フェムトセルFAPから受信したメッセージを表示するように表示部DIS2を制御して、メッセージを報知する(ステップS215)。なお、上記メッセージは圏外と判定されて通知(報知)するものであるため、圏内時にメッセージを受信した際は通知(報知)しない方が好ましい。
【0031】
このように、メッセージを報知すべき時を指定する情報を含ませたメッセージを携帯端末に送信することで、メッセージの差出人は、フェムトセルの圏外になってから所望の時間(指定時間)にて宛先端末にメッセージを報知させることができる。従って、外出先の用件を依頼するにも関らず外出していない場合にメッセージを確認してしまう従来技術と異なり、メッセージの受取人が外出している際に確実にメッセージを通知することができ、用件が実行される可能性を高めることができる。なお、タイミング情報T−INFOにて指定する時間としては、圏外になってからの経過時間(すなわち、相対時間)ではなく、時刻(例えば、T時M分等)を指定することもできる。指定時刻がメッセージを受信した時刻を過ぎていた場合は、メッセージを受信した時点で通知するように制御を行なえばよい。本発明では、携帯端末がフェムトセルの圏内となった時点(例えば位置登録した時点)でフェムトセルによりメッセージが送信され、ユーザが常時携行する携帯端末にメッセージを保持させるため、フェムトセルの圏外時には通知するメッセージを記憶しており、受取人に確実に通知できる。
【0032】
本発明の利点を再度説明する。本発明によれば、移動局(携帯端末装置)とフェムトセルとを用いて、一般家庭の家屋や小規模オフィスにおけるメッセージの通知技法(メッセージ処理装置として機能する基地局及び移動局)を提供することができる。従って、移動局を有するユーザへ適切な時間及び場所でメッセージを報知することが可能となり、メッセージの用件が実行されない可能性を大幅に減少させることができる。また、移動局へ報知すべき時(タイミング)を指定してメッセージを送信することができるため、メッセージの受取人が用件の実行を忘れる可能性を大幅に減らすことが可能となる。
【0033】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行なうことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述したフェムトセルの圏外とは、該フェムトセルの電波を受信できなくなる状態や、該フェムトセルから他の基地局へハンドオーバした状態なども含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施態様によるフェムトセルのブロック図である。
【図2】本発明の一実施態様による移動局のブロック図である。
【図3】フェムトセルへの無線によるメッセージの登録処理を説明する概略図である。
【図4】フェムトセルへの無線によるメッセージの登録処理を説明するフローチャートである。
【図5】フェムトセルへのキー入力によるメッセージの登録処理を説明する概略図である。
【図6】フェムトセルへのキー入力によるメッセージの登録処理を説明するフローチャートである。
【図7】フェムトセルFAPの移動局へのメッセージの送信処理を説明する概略図である。
【図8】フェムトセルFAPの移動局へのメッセージの送信処理を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例による移動局のメッセージ通知処理のフローチャートである。
【図10】タイミング情報T−INFOの一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例による移動端末のメッセージ通知処理のフローチャートである。
【図12】従来技術による留守番電話機のブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
FAP フェムトセル
110 一般回線インターフェース部
120 生成部
130 無線部
132 受信部
134 送信部
140 記憶部
150 制御部
152 登録部
154 処理部
KEY1 入力部
DIS1 表示部
ANT1,ANT2 アンテナ
AT,AT1,AT2 移動局(携帯端末)
220 音声制御部
230 ベースバンド部
240 無線部
242 受信部
244 送信部
250 記憶部
260 制御部
262 比較部
264 時刻管理部
SP スピーカ
KEY2 入力部
DIS2 表示部
VI 振動部
MSG1,MSG2 メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信システムの基地局であって、
前記移動体通信システムの移動局を宛先としたメッセージを格納する記憶部と、
前記記憶部に格納しているメッセージの宛先となる移動局が、前記基地局に対して位置登録している場合または位置登録した場合に、当該メッセージを前記移動局に送信する送信部と、
を備え、
前記メッセージは、前記移動局が前記基地局を検出できなくなってから、該メッセージを報知するまでのタイミングを示すタイミング情報を含む、
ことを特徴とする基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局において、
前記基地局に対して位置登録している移動局から前記メッセージを受信する受信部をさらに備え、
前記記憶部は、前記受信部により受信された前記メッセージを格納する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基地局において、
前記基地局への入力操作を受け付ける入力部と、
前記入力部への入力に基づき、移動体通信システムの移動局を宛先としたメッセージを生成する生成部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記生成部により生成したメッセージを格納する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項4】
移動体通信システムの基地局から当該基地局に格納されている自移動局宛のメッセージを受信する受信部と、
前記受信部により受信したメッセージを格納する記憶部と、
前記メッセージを受信した基地局が検出できなくなると、当該基地局から受信して前記記憶部に格納した前記メッセージを報知するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする移動局。
【請求項5】
請求項4に記載の移動局において、
前記メッセージは、前記基地局を検出できなくなってから該メッセージを前記移動局が報知するまでのタイミングを示すタイミング情報を含み、
前記制御部は、前記タイミング情報に基づいて、前記メッセージを報知するように制御する、
ことを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−290573(P2009−290573A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141143(P2008−141143)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】