基板にスポットするための装置および方法
【課題】生物学的サンプルまたは生物学的試薬のような少量の選択された微量の液体を基板上に、迅速かつ正確な様式で分配するための方法および装置を提供する。
【解決手段】このデバイスは、液体を含むように適応されたチューブを備える。伸長ファイバーは、チューブ内での上昇位置と下降位置の間の軸方向の運動のために、チューブ内に配置される。その上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動または振動する際に、液体スポットは基板上の選択された位置に形成され得る。このデバイスは、多数の別個のスポットを有するマイクロアレイの製造に容易に適応可能である。
【解決手段】このデバイスは、液体を含むように適応されたチューブを備える。伸長ファイバーは、チューブ内での上昇位置と下降位置の間の軸方向の運動のために、チューブ内に配置される。その上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動または振動する際に、液体スポットは基板上の選択された位置に形成され得る。このデバイスは、多数の別個のスポットを有するマイクロアレイの製造に容易に適応可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の分配に関する。より詳細には、本発明は、液体(例えば、生物学的サンプルまたは試薬)を基板上にスポットするための、装置および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サンプル中に存在する標的化合物または被分析物は、しばしば、そのサンプルの適切なプローブへの制御された曝露を通して同定され得、後に生じる反応が検出される。代表的な配置において、目的の被分析物を含有する試験溶液のサンプルは、検出可能なレポーターを保有するプローブに曝露される。このプローブは、それが、例えば、相補的ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションまたは抗体−抗原相互作用によって、被分析物を特異的に結合し得るように選択され得る。過剰のプローブ材料が除去(例えば、洗浄)された後、被分析物へのプローブの特異的結合が検出され得る。
【0003】
分析技術の感度が改良し続けるにつれて、非常に小容量のサンプル/試薬を使用してこのような分析を実施することがますます所望される。これは、高価な化合物を含む状況において、特にあてはまる。従って、今日、基板(例えば、スライド、マイクロカード、またはチップ)の表面上に「スポット(spot)」として敷設された非常に少量のこのような液体を利用することが受け入れられている。
【0004】
スポットの形態にある極少量の個々のサンプルおよび/または試薬をを提供することがしばしば所望されるだけでなく、基板上のアレイのように互いに密接した多数のスポットを配列することがますます受け入れられている。例えば、実験技術者は、広範な種類の標的生物学的化合物および/または化学化合物の存在のための標本を評価する必要があり、または1つ以上の試薬(例えば、標識されたプローブ)に対する多くの種々の標本の反応を決定する必要がある。高密度アレイ形式によって、多くの反応が実質的に同様の様式、節約空間、時間および費用で実施され得る。
【0005】
非常に少量の流体を分配するための手動デバイスおよび自動デバイスの両方が、考案され、例えば、マイクロピペット、ピン、クイルおよびインクジェットデバイスが挙げられる。幾らかの目的に対して適切である一方で、これらの各々は、所定の不利益と関連している。例えば、マイクロピペットは、一般に、多くの存在する1日のプロトコールによって要求される極端に小容量の液体を正確に分配し得ない。ペンおよびクイルに関して、配置されるスポットのサイズおよび形状の差(スポットの生じるシグナル強度または重なりの差を導き得る)、「ミススポット(missed spots)」(サンプルがほとんどまたは全く表面上に配置されない)、およびクリーニングおよび再補充に付随したオーバーヘッドに関連する多くの課題が、解決される必要がある。インクジェットデバイスは、制御された容量の液体をカートリッジ内に生成される圧力波(pressure wave)の使用によって基板上に分配する。このアプローチは、比較的に脆弱な高分子を含有するサンプルのスポッティング(spotting)に対して受け入れられない。なぜならば、それらは、せん断され得るか、または他の方法で損傷を受け得るからである。さらに、インクジェットデバイスは、程度の高い飛び散り(splattering)と関連しており、それによって、特に接近した空間のスポットにおいて、汚染の実質的な危険性が存在する。
【0006】
追加の不利益として、公知のスポッティングデバイスのほとんどが、基板表面に対するスポッティングヘッドの非常に正確な配置を要求する。スポッティングヘッドと基板表面との間の距離の変動は、一貫しないスポットサイズおよび/またはミススポットを生じ得る。特に接触型デバイス(contact−type devaice)に関して、基板に接近して配置される場合、スポッティングチップは、スポッティングチップおよび/または基板に損傷を与えるのに十分な力で基板表面と衝突し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の点で、迅速かつ正確な様式で基板上に微量の液体を送達するために有用なデバイスおよび方法の必要とされることは、明らかである。好ましくは、このデバイスは、比較的使用が容易で、コスト効率が高く、大多数の個々のスポットを有するマイクロアレイの製造に対して容易に受け入れられ得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明によれば、以下が提供される。
(1)基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、以下:
該液体を含むように適応され、約200μm未満の内径を有するオリフィスを規定する下端を有する、チューブ;
該基板を保持するためのワークピースホルダー、
約100μm未満の直径および遠位端を有する、伸長した可撓性ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で、該チューブ内の軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、ここで、該上昇位置のファイバーの自由端が該基板の表面から離れ、そして該下降位置のファイバーが該基板の表面と接触し、該基板が該ワークピース内に保持される、ファイバー、
該上昇位置と該下降位置との間に該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、移動手段、
該基板に対して選択された堆積位置に、該ホルダーに対して、該チューブおよび付随のファイバーを側方的に位置付けするための、位置付け手段、および
連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置で該チューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)該下方位置にファイバーを移動して、該基板上に選択された容量の液体を堆積する際における使用のために、該位置付け手段および移動手段に作動可能に接続された、制御ユニットであって、該チューブの下端と該基板との間の距離の変動が該ファイバーのたわみによって適応される、制御ユニット、
を備える、装置。
(2)上記位置付け手段が、上記チューブおよび上記移動手段に作動可能に接続される、項目(1)に記載の装置。
(3)項目(1)または(2)に記載の装置であって、上記ワークピースホルダー内の複数の異なる基板の各々上の予め選択された位置に、予め決定された容量の液体をミクロスポットする際における使用のための装置であって、上記制御ユニットが、各基板上の該予め選択された位置において連続的に上記チューブを位置付けするのに作動可能である、装置。
(4)項目(1)〜(3)のいずれかに記載の装置であって、上記オリフィスの上記直径が、上記ファイバーの直径より約10〜100μm大きい、装置。
(5)項目(1)〜(4)のいずれかに記載の装置であって、上記チューブが、実質的に均一な直径を有し、上記液体を保持するためのより大きな直径の上方リザーバをさらに備える、装置。
(6)項目(1)〜(5)のいずれかに記載の装置であって、上記チューブの内径が、上記オリフィスの上記直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きに向かって先細となり、該チューブ末端領域の直径が上記ファイバーの直径と実質的に同じであり、上昇位置にある該ファイバーの末端が、該チューブ末端領域上に配置され、その結果、該ファイバーの上昇位置から下降位置までの該ファイバーの移動が、該チューブ末端領域内に含まれるある容量の液体を該チューブから放出するのに効果的である、装置。
(7)項目(1)〜(6)のいずれかに記載の装置であって、基板上の選択された堆積領域において予め決定された容量の上記液体を同時にミクロスポッティングする際における使用のための装置であって、複数の上記チューブ、付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える、装置。
(8)基板上で予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、該装置は、以下:
該液体を含むように適応され、約500μm未満の実質的に均一な直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きに向かって先細となる内径を有する、チューブ;
該チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で、該チューブ内の軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、ここで、該上昇位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の上に配置され、そして該下降位置のファイバーが該チューブ末端領域の下に配置される、ファイバー、および
該上昇位置と該下降位置との間に該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、移動手段であって、それによって該チューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、該チューブから該チューブの下に配置された該基板上に放出される、移動手段、
を備える、装置。
(9)上記チューブ末端領域が、約200μm未満の直径を有する、項目(8)に記載の装置。
(10)項目(8)または(9)のいずれかに記載の装置であって、上記ファイバーが可撓性ファイバーであり、そして下降位置にある該ファイバーが、該基板と接触するように適応される、装置。
(11)項目(8)〜(10)のいずれかに記載の装置であって、複数の基板の各々の予め選択された位置に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングする際における使用のための装置であって、該装置が、該予め選択された位置において上記チューブおよび付随のファイバーを連続的に位置付けするための位置付け手段をさらに備え、該チューブの下端と該異なる基板位置との間の距離の変動がファイバーのたわみによって適応される、装置。
(12)項目(8)〜(11)のいずれかに記載の装置であって、基板上の複数の選択された堆積領域において予め決定された容量の該液体を同時にミクロスポッティング際における使用のための装置であって、複数の該チューブおよび付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える、装置。
(13)上記チューブ末端領域が約200μm未満の直径を有し、該ファイバーが可撓性ファイバーであり、下降位置にあるファイバーが、該基板と接触するように適応され、該チューブの下端と該基板上の関連した位置との間の距離の変動がファイバーのたわみによって適応される、項目(8)〜(12)のいずれかに記載の装置。
(14)基板上に液体−試薬スポットのアレイを製造するための装置であって、該装置が以下:
複数の毛細管チャネルを有するマニホルドであって、各々が、選択された液体を保持するように適応され、該チャネルが対向する上端開口部および下端開口部を有し、その内径が該上端開口部から該下端開口部へ向かって減少し、該下端開口部が該アレイを形成する、マニホルド、
上記マニホルドに対して、上昇位置と下降位置との間で可動性である支持体、および
支持体との運動のために該支持体上に保有された複数のファイバーであって、該支持体が上昇位置と下降位置との間で運動する際に、各々のファイバーが、付随のチャネル内で長手軸方向に移動するように適応される、複数のファイバーであって、上昇位置から下降位置までの該ファイバーの運動が、該マニホルド内の各チャネルから選択された容量の液体を堆積するのに効果的である、複数のファイバー、
を備える、装置。
(15)上記上端開口部間の間隔が、隣接する下端開口部間の間隔より大きい、項目(14)に記載の装置。
(16)項目(14)または(15)のいずれかに記載の装置であって、上昇位置と下降位置との間で上記支持体を移動するために該支持体に作動可能に接続された接続された移動手段をさらに備える、装置。
(17)項目(14)〜(16)のいずれかに記載の装置であって、上記下端の上記チャネルの直径が約200μm未満であり、付随のファイバーの直径より約10〜約100μm大きい、装置。
(18)項目(14)〜(17)のいずれかに記載の装置であって、上記ファイバーが、上記基板を下方位置の支持体と接触するように適応され、そして付随のチャネル末端と該基板上の接触点との間で延びるファイバーの長さの変動がファイバーのたわみによって適応される、装置。
(19)項目(14)〜(18)のいずれかに記載の装置であって、各チャネルが、該チャネルの下端で終結する下端領域に沿って延びる実質的に均一な直径を有し、各チャネル末端領域の直径が、付随のファイバーの直径と実質的に同じであり、上昇位置のファイバーの末端が、該チャネル末端領域の上に配置され、その結果、上昇位置から下降位置への該ファイバーの移動が、該チャネル末端領域内に含まれる上記容量の液体を該チャネルから放出するのに効果的である、装置。
(20)基板の表面上の選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接した下端オリフィスで終端する、チューブ、
軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバー振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通ることを防止するような寸法である、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動手段であって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって、該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動手段、
を備える、バルブ装置。
(21)上記振動手段が、少なくとも約10Hzの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)に記載の装置。
(22)上記振動手段が、少なくとも約100Hzの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)または(21)のいずれかに記載の装置。
(23)上記振動手段が、少なくとも約10μmの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)〜(22)のいずれかに記載の装置。
(24)上記振動手段が、少なくとも約100μmの振動振幅を生じるように適応される、項目(20)〜(23)のいずれかに記載の装置。
(25)上記チューブが、約100μm未満の下端直径を有し、そして上記ファイバーと下端のチューブとの間の間隔が約25μm未満である、項目(20)〜(24)のいずれかに記載の装置。
(26)上記ファイバーが、振動サイクルの少なくとも一部の間に上記基板と接触するように適応される、項目(20)〜(25)のいずれかに記載の装置。
(27)上記ファイバーが、振動サイクルにわたって、上記基板と接触したままであるように適応される、項目(20)〜(26)のいずれかに記載の装置。
(28)項目(20)〜(27)のいずれかに記載の装置であって、一方の選択された側方位置から他方の選択された側方位置まで、上記基板に対して上記チューブおよびファイバーを位置付けするための位置付け手段をさらに備える、装置。
(29)上記位置付け手段が、上記チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に接続される、項目(20)〜(28)のいずれかに記載の装置。
(30)基板上に試薬スポットを形成するための方法であって、該方法は以下:
上記チューブの下端においてオリフィスを通して選択された液体の一部をポンプ上げするのに十分な周波数および振幅で、該選択された液体を保持する毛細管チューブ内で長手軸方向に伸長した可撓性ファイバーを往復運動する工程であって、それによってペンダントドロップを形成する、工程;および
該ペンダントドロップを該基板上の選択された領域に配置する工程、
を包含する、方法。
(31)上記ペンダントドロップが、上記ファイバーの末端を上記基板の上記選択された領域と接触させる工程によって該基板上に配置される、項目(30)に記載の方法。
(32)上記選択された領域上に間隔をあけてファイバーを維持し、そして重力下で上記ペンダントドロップが落下するまで該ペンダントドロップを拡大することによって、該ペンダントドロップが、該基板上に配置される、項目(30)または(31)のいずれかに記載の方法。
(33)基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域において予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、以下:
該液体を含むように適応され、そして約200μm未満の内径を有するオリフィスを規定する下端を有する、チューブ;
該基板を保持するためのワークピースホルダー、
約100μm未満の直径および遠位自由端を有する、伸長した可撓性ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で該チューブ内での軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、該上昇位置のファイバーの自由端が該基板の表面から離れ、該下降位置のファイバーの自由端が該基板の表面と接触し、該基板が該ワークピースホルダー内に保持される、ファイバー、
2つの位置の間で可動性であるアクチュエータであって、該アクチュエータが、該ファイバーの上昇位置と下降位置との間で該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、アクチュエータ、および
該基板に対する選択された堆積位置で、該ホルダーに対して側方的に該チューブおよび付随のファイバーを位置付けするために該チューブに作動可能に接続されたx−yポジショナー、および
連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置に該チューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)該下方位置にファイバーを移動して、該基板上に選択された容量の液体を堆積する際における使用のために、該x−yポジショナーおよび垂直なアクチュアルに作動可能に接続される、制御ユニットであって、該チューブの下端と該基板との間の距離の変動が、該ファイバーのたわみによって適応される、制御ユニット、
を備える、装置。
(34)基板上に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、該装置は以下:
該液体を含むように適応され、そして約500μm未満の実質的に均一な直径を有する規定された容量のチューブ末端領域に下向きに向かって先細となる内径を有する、チューブ、
上記チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長したファイバーであって、該ファイバーが、該チューブ内での上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のための該チューブ内に配置され、該上昇位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の上に配置され、該下降位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の下に配置される、ファイバー、および
2つの位置間で可動性であるアクチュエータであって、該アクチュエータが、該ファイバーの上昇位置と下降位置との間で該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続され、それによって、該チューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、該チューブから該チューブの下に配置された該基板上に放出される、アクチュエータ、
を備える、装置。
(35)基板の表面上に、選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにおいて終結する、チューブ、
該チューブ内での軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、そして該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバーの振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通るのを防止するような寸法にされた、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動ユニットであって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数、および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動ユニット、
を備える、バルブ装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の局面の1つにおいて、本発明は、基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域に予め決定された容量の液体をミクロスポッティング(micro−spotting)するための装置を提供する。
【0010】
1実施形態において、この装置は、選択された液体(生物学的サンプル、生物学的試薬など)を含むように適応されたチューブを含む。このチューブの下端は、約1mm未満の直径を有するオリフィスを規定する。例示的な構成において、このオリフィスの直径は、約500μm未満であり、好ましくは、約200μm未満である。伸長ファイバーは、上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のためにチューブ内に配置される。このファイバー(自由端を有する)は、チューブの下端の内径未満である直径を有して提供される。1つの例示的な配置において、ファイバーの直径は、オリフィスの直径より小さく、約10〜100μmの間にある。例えば、約100μmの直径を有するファイバーは、約110〜200μmの間の内径を有するチューブ内に配置され得る。ワークピースホルダーは、スポッティングのための選択された基板(単数または複数)を保持するために使用され得る。その上昇位置において、ファイバー自由端は、このような基板の表面から間隔があけられる。その下降位置において、ファイバー自由端はその基板の表面と接触する。
【0011】
移動手段は、上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動するためにファイバーに作動可能に接続される。この移動手段は、例えば、線形アクチュエータまたは垂直アクチュエータなどのようなアクチュエータであり得る。位置付け手段(positioning means)は、ワークピースホルダーに対して側方的に、基板に対して選択された堆積位置に、チューブおよび付随のファイバーを位置付けするために、提供される。この位置付け手段は、基板および/またはチューブ、ファイバーおよび移動手段を移動するように適応され得る。1実施形態において、例えば、位置付け手段は、チューブおよび移動手段に作動可能に接続されたx−yポジショナー(例えば、自動制御されたx−y可動アーム)である。
【0012】
制御ユニットは、連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置でチューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)その下方位置にファイバーを移動して、このような基板上に選択された容量の液体を堆積する場合における使用のための、位置付け手段および移動手段に作動可能に接続される。好ましい実施形態において、ファイバーは、(i)側方的に可撓性であり、そして(ii)その長手軸に沿って実質的に非圧縮性である。このような特性を有する適切なファイバーは、例えば、光ファイバーを含む。有利なことに、これらの特性により、移動手段からファイバーへの運動の効率的な伝達、およびファイバーのたわみまたはそりによってチューブの下端と基板との間の距離の変動の適応が可能となる。
【0013】
1実施形態に従って、装置は、ワークピースホルダー内の複数の異なる基板の各々上の予め選択された位置に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングする際における使用に適応される。この実施形態において、制御ユニットは、各基板上のこのような予め選択された位置に連続してチューブを位置付けするのに作動可能である。
【0014】
1実施形態において、チューブは、実質的に均一な直径を有し、選択された液体を保持するためのより大きな直径の上方リザーバを含む。このチューブおよびリザーバは、別々に形成されて、後に一緒に取り付けられ得るか、またはそれらは一体的に形成され得る。
【0015】
別の実施形態において、チューブの内径は、オリフィスの直径を有する規定された容量のチューブ末端領域に下向きに向かって先細になっている。チューブ末端領域の直径は、この実施形態において、ファイバーの直径と実質的に同じである。上昇位置にあるファイバー末端は、チューブ末端領域上に配置され、その結果、その上昇位置から下降位置までのファイバーの移動は、チューブ末端領域内に含まれる容量の液体をチューブから放出するのに有効である。
【0016】
特に、基板上の選択された堆積領域において同時に予め決定された容量の1つ以上の選択された液体をミクロスポッティングにおいて特に有用である装置の1実施形態は、複数のチューブ、および付随のファイバー、および移動手段を備える。このチューブは、例えば、マニホルド内に設けられたチャネルの形態をとり得る。ファイバーのたわみは、チューブの下端と基板の関連した位置との間の距離の変動に適応する。
【0017】
本発明は、さらに、基板上に予め決定された容量の選択された液体をミクロスポッティングするための装置を提供し、これは、約1mm未満の実質的に均一の直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きにむかって先細になっている内径を有するチューブを含む。1実施形態によれば、チューブ末端領域に沿った直径は、約500μm未満であり、好ましくは、約200μm未満である。このチューブは、毛細管または表面張力によって選択された液体を含むように適応される。チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長ファイバーは、チューブ内で上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のためにチューブ内に配置され、ここでファイバーの自由端は、それぞれ、チューブ末端領域の上下に配置される。移動手段(例えば、線形アクチュエータまたは垂直アクチュエータのようなアクチュエータなど)は、ファイバーの上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動するためにファイバーに作動可能に接続され、それによってチューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、チューブからこのチューブの下に配置された選択された基板上に放出される。
【0018】
好ましい実施形態において、ファイバーは、その長手軸に沿って、(i)側方的に可撓性であり、かつ(ii)実質的に非圧縮性である。例えば、このファイバーは光ファイバーであり得る。有利なことに、これらの特徴によって、移動手段からファイバーへの運動の効率的な伝達を可能にし、そしてファイバーのたわみまたはそりによって、チューブの下端と基板との間の距離の変動の適応を可能にする。
【0019】
1実施形態によれば、ファイバーがその下降位置に移動したとき、基板と接触する。別の実施形態において、このファイバーは、その下降位置に移動したとき、基板から間隔をあける。
【0020】
ミクロスポッティング装置は、複数の基板の各々において予め選択された位置で予め決定された容量の液体をミクロスポットするために使用され得る。1つのこのような実施形態において、この装置は、さらに予め選択された位置においてチューブおよび付随のファイバーを連続的に位置付けするための位置付け手段を含む。ファイバーのたわみは、チューブの下端と異なる基板位置との間の距離の変動に適応する。
【0021】
別の実施形態において、この装置は、基板上の複数の選択された堆積領域に予め決定された容量の1つ以上の選択された液体を同時にミクロスポットする際の使用に適応する。この実施形態において、この装置は、複数のチューブ、および付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える。例示的な配置において、チューブ末端領域は、約200μm未満の直径を有し、このファイバーは可撓性ファイバーであり、そしてこの下降位置にあるファイバーは、基板と接触するように適応される。さらに、ファイバーのたわみは、チューブの下端と基板上の関連した位置との間の距離の変動に適応する。
【0022】
本発明の別の局面は、基板上の液体−試薬スポットのアレイを製造するための装置を提供する。
【0023】
1実施形態において、このアレイ製造装置は、マニホルド、または複数の毛細管チャネルを有するチャネルアセンブリを備え、各々は、選択された液体を保持するように適応される。このチャネルは、対向する上端開口部および下端開口部を有し、その上端開口部から下端開口部へ向かうにつれ内径が減少する。この実施形態における下端開口部は、スポットアレイのパターン、中心間の間隔、またはピッチを規定する。支持体は、マニホルドに対して上昇位置と下降位置との間で可動性である。複数のファイバーは、それらとの運動のための支持体から懸架される。各ファイバーは、支持体がその上昇位置と下降位置との間で運動される場合、付随のチャネル内で長手軸方向に運動するように適応される。それらの上昇位置から下降位置までのファイバーの運動は、マニホルド内の各チャネルからの選択された容量の液体を堆積するのに有効である。
【0024】
1実施形態は、上昇位置と下降位置との間で支持体を移動するために支持体に作動可能に接続された移動手段をさらに提供する。
【0025】
マニホルドの隣接する上端開口部間の間隔は、隣接する下端開口部間の間隔と同じであり得るか、または異なり得る。1実施形態において、隣接する上端開口部間の間隔は、隣接する下端開口部間の間隔より実質的に大きい。例えば、下端開口部間の間隔は、上端開口部の2分の1、3分の1、または4分の1であり得る。
【0026】
1実施形態によれば、このファイバーは、横たわる基板をその下降位置の支持体と接触させるように適応され、そしてその付随チャネル末端と基板上の接触点との間で延びるファイバーの長さの変動は、ファイバーのたわみによって適応される。
【0027】
1つの特定の構成において、チャネルのそれらの下端における直径は、約200μm未満であり、そして付随のファイバーの直径より約10〜100μm大きい。
【0028】
別の例示的な構成において、各チャネルは、チャネルの下端で終結する下端領域に沿って延びる実質的に均一な直径を有する。さらに、各チャネル末端および領域の直径は、実質的に付随のファイバーの直径と同じである。このファイバー末端は、その上昇位置にある場合、チャネル末端領域上に配置され、その結果、その上昇位置から下降位置までのファイバーの移動は、チャネル末端領域に含まれる容量の液体をチャネルから放出するのに有効である。
【0029】
本発明のさらなる局面は、選択された量の液体を測量する際における使用のためのバルブ装置(valving apparatus)を基板の表面上に提供する。
【0030】
1実施形態によれば、本発明のバルブ装置は、選択された液体を保持ためのリザーバを含む。チューブは、リザーバから延び、選択された基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにて終結する。ファイバーは、チューブ内の軸方向の振動運動のためにチューブ内に配置され、ファイバーの下方部分はオリフィスを通って延びる。チューブの内径およびファイバーの直径は、ファイバー振動の非存在下で、流体流れがオリフィスを通過することを防止するような寸法にされる。振動手段(例えば、振動ユニット)は、ファイバーを振動するためにファイバーに作動可能に接続し、ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを含み、それによってその量の液体がチューブオリフィスを通過することが可能となる。
【0031】
バルブ装置の一実施形態は、チューブおよびファイバーを、1つの選択した側方位置から別の位置に、基板に対して位置決めするための位置付け手段を備える。例示の配置において、この位置付け手段は、チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に連結される。
【0032】
一実施形態において、振動手段は、少なくとも約10ヘルツ、好ましくは、少なくとも100ヘルツの振動数を生成するように適合される。別の実施形態において、振動手段は、少なくとも10μm、好ましくは、少なくとも100μmの振幅を生成するように適合される。
【0033】
1つの例示の構成において、バルブ装置のチューブは、約100μm未満の下側末端の直径を有し、そしてその下側末端におけるファイバーとチューブとの間の間隔は、約25μm未満である。
【0034】
バルブ装置のファイバーは、その振動サイクルの間、選択された基板から間隔をあけられたままであり得るか、またはこれはその振動サイクルの少なくとも一部の間、この基板と接触するように適合され得る。一実施形態において、例えば、このファイバーは、その振動サイクルの間中、基板と接触したままである。
【0035】
別のこの局面において、本発明は、基板上に試薬スポットを形成する方法を提供する。一実施形態によると、この方法は以下の工程を包含する:(i)細長の可撓性ファイバーを、一部の液体をチューブの下側末端のオリフィスを通して汲み出し、それにより垂下した液滴を形成するのに十分な振動数および振幅で、選択された液体を保持するキャピラリーチューブ内で長手軸方向に相反的に移動させる工程;および(ii)この垂下した液滴を基板上の選択された領域に配置する工程。
【0036】
1つの一般的な実施形態によると、この垂下した液滴は、基板の選択された領域内で、液滴および/またはファイバーの先端と接触することによって、基板上に配置される。別の実施形態において、この垂下した液滴は、ファイバーを選択された領域上で間隔のあいた関係に維持し、そしてこの垂下した液滴が重力下で落下するまで、この液滴を拡大することによって、基板上に配置される。
【0037】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の記載から明らかになる。
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい実施形態の以下の議論は、単なる特徴の例示にすぎない。従って、この議論は、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0039】
本発明の1つの局面は、少量の液体試薬を基板上に分配するためのデバイスを提供する。一般に、このデバイスは、液体を含むように適合されたチューブを備える。細長ファイバーは、隆起した位置と低下した位置との間の軸方向の移動のために、チューブ内に配置される。その隆起した位置と低下した位置との間でファイバーを移動または振動させると、液体スポットが基板上の選択された位置で形成され得る。
【0040】
図1に一般に記載されるスポッティングデバイスの1つの例示の配置において、図12に記載されるファイバーは、図14に記載される、その下部末端にオリフィス16を有するチューブ内で、長手軸方向に伸長する。チューブ14は、以下でより詳細に議論されるように、基板上への制御された分配のために、液体試薬(例えば18)を含むように適合される。チューブ14は、例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、または当業者が適切であると認める他の材料から形成され得る。チューブ14と流体連絡して配置されるリザーバ20は、液体試薬の供給源を受容および保持するように適合される。レザーバ20は、チューブの試薬内容物が使い果たされると、液体試薬をチューブ14に供給する。例示の構成において、皮下注射針(ゲージ30、1/4インチ長、90°のブラントエンド)は、チューブとして用いられ、そして付随のプラスチックルアーハブはレザーバとして使用される。
【0041】
通常、毛管力または表面張力は、チューブの下側オリフィスからの液体試薬のフリーフローを防止する。この点において、このチューブの下側領域は、キャピラリーサイズであり得、その結果、毛管力はオリフィス16からの液体試薬18のフリーフローを防止する。例えば、オリフィス16、およびそれらから上向きに伸長しているチューブ14の領域は、2mm未満、好ましくは、約1mm未満の内径で形成され得る。1つの特定の構成において、チューブ14の下側領域に沿った内径は、約200μm未満である。所望の毛管作用をさらに与えるために、チューブ14のキャピラリーサイズ領域は、親水性、すなわち、水和性である内面を設けられ得る。例えば、チューブ14の内面は、親水性材料から形成され得、そして/または親水特性を示すように処理され得る。一実施形態において、内面は、未変性か、結合したかまたは共有結合した荷電した基を有する。1つの適切な表面は、ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリ−1−リジン)の吸収層を有するガラス表面である。
【0042】
チューブ14は、疎水性である外面(すなわち、基板上に配置された水性媒体を玉にする表面)を備えられ得る。例えば、チューブ14の外面は、疎水性材料から形成され得、そして/または疎水特性を示すように処理され得る。これは、例えば、オリフィス16の領域に形成された液滴がチューブの外面に沿って広がるのを防止するために有用であり得る。最下部の先端において、液滴を小球の形態に維持することもまた有用であり得る。様々な公知の疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレン)が、所望の疎水特性を得るために利用され得る。さらに、または代替として、種々の潤滑剤または他の従来的な疎水性フィルムが、チューブの外面、特に出口16に近接したチューブの下側領域に沿って塗布され得る。
【0043】
続いて図1の実施形態を参照すると、ファイバー12の直径は、チューブ14の内径より小さい、約10〜500μmの間である。この点において、ファイバー12は、約25〜1,000μmの直径を有し得る。一実施形態によると、ファイバー12は、約200μm未満、好ましくは約100μm未満の直径を有する。1つの特定の配置において、約75μmの直径を有するファイバーは、その下側領域に沿って約100μmの内径、および約200μmの外径を有するチューブ内で長手軸方向に伸長する。別の配置において、約50μmの直径を有するファイバーは、その下側領域に沿って約75μmの内径、および約200μmの外径を有するチューブ内で長手軸方向に伸長する。
【0044】
明らかになる理由のため、ファイバー12は、好ましくは、側方に可撓性であり、そして長手軸方向に収縮可能であるように構成される。ファイバー12を形成するのに適切な材料には、光ファイバーの作製に典型的に用いられる材料(例えば、ガラス、プラスチック、シリカ、石英など)が挙げられる。適切な光ファイバーは、多数の市販の供給源から入手可能である。約0.002インチ(すなわち、約50.8μm)の直径を有する1つの特に好ましいファイバーは、Edmund Scientific Co.(Barrington,N.J.)により、カタログ番号F54014で供給されるものである。
【0045】
以前に示されたように、ファイバー12は、隆起した位置と低下した位置と間の軸方向の運動のために、チューブ14内に配置される。本実施形態において、隆起した位置にある場合、ファイバーの自由端またはチップ12aは、選択された基板の表面(例えば、スライド22)から間隔をあけられる。低下した位置まで移動される場合、チップ12aは、基板22の表面に接近する。
【0046】
移動手段は、その隆起した位置と低下した位置との間で、この手段を移動するためのファイバー12に作動可能に連結される。この移動手段は、例えば、2つの位置の間で移動可能なアクチュエーター(例えば、直線アクチュエーターまたは垂直アクチュエーターなど)を備え得る。図1の実施形態において、例えば、ソレノイドアセンブリ24は、ソレノイドピストン26を下に下げ、次いで、例えば、ピストンバイアス下で、ピストンを通常の持ち上がった位置(点線で示される)まで解放するように作動可能である。多くのソレノイドは、市販の供給源から入手可能であり、そして適切なモデルは、当業者によって容易に選択される。本明細書中で使用するために考案される1つの特定のソレノイドは、Jameco Electronics Components(Belmont、California)から、部品番号145314(12VDC Continuous Tubular Push/Pull Solenoid)として入手可能である。一実施形態において、ソレノイドは約1mmのストロークで、ファイバーを上下に移動させるように作動可能である。
【0047】
ファイバーを移動するために有用な他のアクチュエーターには、例えば、空気圧式アクチュエータ、水圧式アクチュエータ、磁気アクチュエータおよび圧電式アクチュエーター、ならびに下向きの運動力を生じ、続いてレシプロケーションを生じるように作動可能なモーターアセンブリ(例えば、ステッパー)が挙げられる。いくつかの特定のアセンブリ(これは、移動手段として本明細書中で使用するために容易に適合され得る)は、例えば、米国特許第3,164,304号;同第3,329,964号;同第3,334,354号;同第5,443,791号;同第5,525,515号;同第5,551,487号;同第5,601,980号;および同第5,807,522号に開示され、これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。
【0048】
位置付け手段は、スポッティングデバイスを、直線的にか、またはx−y平面内で移動し、選択された沈着位置にスポッティングデバイスを位置決めするために、使用され得る。この点において、特定の実施形態は、標的の基板を静止したままに保ちつつ、チューブの運動を提供する。他の実施形態によると、基板が所定の位置で往復しつつ、チューブは固定位置に維持される。なおさらなる実施形態は、チューブおよび標的の基板の両方の、連続または並行のいずれかの運動を提供する。
【0049】
位置付け手段の1つの代表的な配置において、スポッティングデバイスは、x−yポジショナーのアーム上に移送される。この配置において、アームは直線的かまたはx−y平面に沿ってのいずれかで移動し、スポッティングデバイスを選択された沈着位置に位置決めし得る。このような運動は、例えば、ロボットアセンブリなどを使用して達成され得る。代表的なロボットデバイスには、例えば、電気的に制御された連結または交差した移動可能アーム(例えば、SCARA、ガントリーおよびCartesianロボット)が挙げられる。もちろん、実質的に同じ目的が達成され得、そして実質的に同じ結果が確保され得さえすれば、任意の他のロボットメカニズムが、本発明に従って使用され得ることが理解される。この点において、円筒形ロボット、ポーラーロボット、連接ロボットなどが利用され得る。一実施形態において、位置付け手段は、電動式x−yキャリジまたはレールアセンブリを備える。例えば、AUTOMOVE(登録商標)402(Asymtek(Carlsbad,CA)から入手可能)は、x−yの位置決めおよびソレノイドの活性化のために使用され得る。
【0050】
上記の配置において、チューブを支持するアームは、チューブを解放可能に把持し得るクランプを備え得る。この配置により、所望ならば、チューブは異なるチューブ(例えば、異なる液体試薬を充填されたチューブ)と交換され得る。
【0051】
本明細書中で使用するために考案される1つの特定の位置付け手段が、ここで詳細に記載される。この装置は、平面の部分概略図で図2に示される。この装置におけるスポッティングデバイス8は、図1に関して上で記載される基本構造を有し、そして下側オリフィスで終結するチューブ14を備える。このスポッティングデバイス8のチューブ14内で軸方向に配置されるファイバー12は、基板の表面に向かいそしてこれから離れて移動するように適合されて、本明細書中で記載されるように、選択された容量の液体サンプルまたは試薬を分配する。ソレノイド24または他の移動手段は、この運動を行う。ソレノイド24は、制御装置52の制御下にあり、この制御装置の作動は、以下に記載される。
【0052】
スポッティングデバイスは、アーム54上に移送され、このアーム54もまたステッパーモーター62によって装置52の制御下で、所望の方向に駆動(または回転)されるウォームスクリュー58にネジで取り付けられる。この図の左末端において、スクリュー58は、スクリューの軸の周りの回転のためにスリーブ64内に移送される。この他方の末端において、このスクリューは、ステッパーモーターのドライブシャフトに取り付けられ、次にスリーブ66上に移送される。スポッティングデバイス、ウォームスクリュー、このウォームスクリューを取り付ける2つのスリーブ、およびこのデバイスを図において「x」(水平)方向に移動するのに使用されるステッパーモーターは、変位アセンブリ66とまとめて称されるものを形成する。
【0053】
この変位アセンブリは、スクリューの方向の正確なミクロ範囲の移動(すなわち、図のx軸に沿う)を生成するように構成される。1つの様式において、このアセンブリは、スポッティングデバイスを、5〜500μmの範囲の選択された距離を有するx軸の増加量ずつ移動させるように機能する。別の様式において、スポッティングデバイスは、スポッティングデバイスを隣接する基板上の関連した位置に位置決めするために、数ミクロン以上の正確なx軸増加量ずつ移動され得る。
【0054】
次いで、図の「y」(垂直)軸の移動のため、スポッティングデバイスを選択されたy軸の位置に位置決めするための変位アセンブリが取り付けられる。このアセンブリを取り付ける構造は、一対のフレームバー70、72の間に固く取り付けられた固定ロッド68、および一対のフレームバー76、78の間の回転のために取り付けられたウォームスクリュー74を備える。ウォームスクリューは、装置52の制御下で作動するステッパーモーター80によって駆動(回転)される。このモーターは、示されるように、バー79に取り付けられる。
【0055】
ウォームスクリュー74およびモーター80を備えるすぐ上で記載された構造は、スクリューの正確なミクロ範囲の方向の移動(すなわち、図のy軸に沿う)を生成するように構成される。上記のように、1つの様式において、この構造は、スポッティングヘッドを、隣接する基板上の関連した位置に位置決めするために、スポッティングヘッドを5〜500μmの範囲の選択された距離を有するy軸の増加量ずつ移動させるように機能し、第2の様式において、スポッティングヘッドを数ミクロン以上のy軸の正確な増加量ずつ移動させるように機能する。
【0056】
この装置におけるワークピースホルダー82は、複数の基板(例えば、基板22)(この基板上で、試薬領域のマイクロアレイがこの装置により形成される)を保持するように機能する。ホルダーは、多数の溝型スロット(例えば、スロット86)を提供し、これは基板を受容し、そしてこれらをスポッティングデバイスの位置付け手段が取り付けられたフレームバーに関して正確な選択された位置に位置決めする。
【0057】
上記のように、このデバイスにおける制御装置は、試薬領域の選択されたマイクロアレイを各複数の基板上に形成する際に、装置の自動作動のために設計された順で、2つのステッパーおよびソレノイドを作動するように機能する。
【0058】
制御装置は、従来のマイクロプロセッサー制御原理に従って構成され、適切なシグナルを、所定のタイミングの順で、適切なシグナル伝達時間の間、ソレノイドおよびステッパーモーターの各々に提供する。この装置の構成、および所望のアレイパターンを達成するように使用者によって選択される設定は、典型的な装置の作動の以下の説明から理解される。
【0059】
最初に、1つ以上の基板が、ホルダー中の1つ以上のスロット内に配置される。モーター62、80は、次いで、スポッティングデバイスを、第1基板の選択されたアレイの位置に位置決めするように作動される。スポッティングデバイスのソレノイドの作動は、次いで、この位置において、試薬の選択された容量のアリコートを分配する。この作動は、例えば、好ましくは約1μlより少ない選択された容量(例えば、約2plと2nlとの間)の液体試薬を分配するのに有効である。
【0060】
スポッティングデバイスは、ここで、隣接する基板の対応する位置まで移動され、そして同じ容量の液体試薬がこの位置で分配される。このプロセスは、試薬が各基板上のこの予め選択された対応する位置で分配されるまで繰り返される。
【0061】
単一の試薬を基板上の2つより多いアレイの位置に分配することが所望される場合、このスポッティングデバイスは、スポッティングデバイスを新たな基板まで移動させる前に、各基板の異なるアレイ位置まで移動され得るか、または液体試薬は、1つの選択された位置において、各基板上の別個の位置で分配され得、次いでこのサイクルが各新たなアレイ位置ごとに繰り返される。
【0062】
次の試薬を分配するために、スポッティングデバイスは、異なる選択された試薬を含む別のこのようなデバイスと交換される。対応する第2のアレイ位置の各々で試薬を分配するプロセスは、次いで、上記のように行われる。このプロセスは、各基板上の液体試薬のマイクロアレイ全体が形成されるまで繰り返される。
【0063】
位置付け手段として本明細書中で使用するために容易に適合され得るいくつかの他のx−y位置決めアセンブリは、例えば、米国特許第5,443,791号;同第5,551,487号;同第5,587,522号(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)に開示される。
【0064】
以前に記載されたように、位置付け手段は、代わりに、またはさらに、基板をスポッティング位置まで移動させるように適合され得る。この点において、基板はロボットアセンブリによる操作のために適合され得るか、またはコンベア、またはx−y移動可能ステージもしくはプラットフォーム上で支持され得る。
【0065】
任意の所望の基板(単数または複数)が、本発明と共に使用され得、これにはスライド、カード、プレート、チップなどが挙げられる。1つの一般的な実施形態において、基板表面は比較的親水性、すなわち、水和性である。例えば、表面は、未変性か、結合したかまたは共有結合した荷電基を有し得る。1つのこのような表面は、ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリ−1−リジン)の吸収層を有するガラス表面である。一実施形態において、例えば、水性または大部分が水性の試薬溶液または生物学的サンプルが親水性表面を有するスライド上にスポットされる。別の実施形態において、基板表面は比較的疎水特性(すなわち、表面上に配置された水性媒体を玉にする)を有するかまたはこの特性を有するように形成される。様々な公知の疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレン)は、所望の疎水特性を有し、基板表面に塗布され得る様々な潤滑剤または他の疎水性フィルムとして働く。
【0066】
いくつかの場合、液滴がアレイ操作が完了するまで乾かないように、湿った環境に試薬をスポットすることが所望される。
【0067】
基板をスポットするいくつかの例示的デバイスおよび方法を、図3〜図6に示す。概して、本発明のスポッティングデバイスは、基板の選択領域上に配置される。典型的な動作では、これは、基板の選択領域をスポッティングデバイスに合わせることにより達成され、それにより、選択領域は、スポッティングデバイスの中心縦軸の捕外法(extrapolation)により規定される直線を横切る。次いで、アリコートの液体をチューブから基板の選択領域上に移動させるために効果的な方法で、スポッティングデバイス内で軸方向に動きを適合させた細長いファイバーを、スポッティングデバイスの上位と下位との間で移行するか、または振動させる。上記の移動手段および位置付け手段のうちのいずれもが、以下の実施形態と共に使用され得ることに留意されたい。また、任意の適切な制御装置(例えば、図2の52)が利用され得る。
【0068】
ファイバーは、サイクル内で上位から下位まで往復移動し逆行するにつれ、ファイバーの終端および末端は、本明細書中で「ストローク」と呼ばれる経路を介して移動することもまた留意されたい。フォワードストロークに沿って、先端は前端から後端に移動する。バックストロークに沿って、先端は、後端から先端に逆に移動する。
【0069】
図3A〜図3Cに示す1実施形態において、ストロークの始点(すなわち、前端)において、ファイバー12の先端12aは、ファイバー12の断面が、オリフィス16でチューブ14の末端リムが規定する平面を横切るように、チューブ14の外部に位置する。ファイバーの先端12aは、図3Aに図示された開始位置から選択基板(例えば、スライド22)の表面に移動させられ、結果的に、図3bに示すように、先端12aが選択基板領域22aと接触する後端に至る。ファイバー12が、先端12aの表面を含む自身の内部表面上で共に液体試薬18の層を運ぶことに留意されたい。基板と接触して、液体試薬の少量部および制御部は、先端12aから基板22の選択領域22aに届けられる。基板22と接触した後、ファイバー12は、上位から移し戻され、基板の表面上28において液体のスポットを残す。次いで、スポッティングデバイスは他の選択領域上に配置され、所望ならばさらなるスポットを横たえ得る。利用される繰り返し率は、2〜3ストローク/秒(例えば、約1〜10Hzの領域内)であり得る。1実施形態において、繰り返し率は、約5ストローク/秒である。
【0070】
スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差は、本発明のスポッティングデバイスを使用して好結果を達成するために重要でないことが理解されるべきである。つまり、ファイバーは、基板表面とほんのわずかに接触した後、自身の上位まで後退し得るか、またはファイバーは、ファイバーの先端を基板との接点に運ぶために、基板表面に向かい必要とされるものよりさらに低くなり得る。一旦、先端が基板表面に接触すると、ファイバーの可撓性はファイバーが撓むことまたは曲がることを有利に可能にする。つまり、ファイバーが撓むことにより、スポッティングデバイスの低端部と基板の表面との間の距離の差異が調整され得る。図示を簡略化するために、これを図3Bに誇張様式で示す。
【0071】
ファイバーの縦方向の非圧縮性は、移動手段からファイバーの先端までの、効果的な伝送の運動を提供する。有利に、この特性は,比較的長いファイバー(例えば、10、20、30cm、またはそれ以上)を含む、長さを変化させるファイバーの使用を可能にする。
【0072】
他の実施形態(図示せず)において、今述べた実施形態と同様に、フォワードストロークは、接触を実質的に行うことなく、基板の選択表面領域と非常に近いファイバーの先端を運ぶ。これは、ファイバーの末端部の液体試薬が、基板表面と接触し付着することを可能にすると同時に、先端自身と基板表面との間の物理的接触を回避する。この実施形態は、特定の目的に有利である一方、この場合、スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差が必要とされるために、先に記載の実施形態よりも概して好ましくないことが理解されるべきである。
【0073】
他のスポッティング方法を図4A〜図4Cに示す。ここで、ストロークの開始点(すなわち、前端)において、ファイバー12の先端12aは、オリフィス16でチューブ14の末端リムが規定する平面上でチューブ14内に置かれる。ファイバーの先端12aは、図4Aに示すこの開始点から選択された基板(例えば、スライド22)へと移動される。先端12aの、プランジャーまたはピストンのような作用は、チューブ14の低端部領域18から液体試薬18のアリコートを押し出すように作用する。このような方法で押し出された液体量は、先端12aが基板22へと移動する時に、先端12aの下側領域を占有する液体容積に部分的に依存する。従って、本実施形態において、チューブ内の先端の前端の位置は、基板上にスポットすることを所望される液体量により、典型的に少なくとも部分的に規定される。本実施形態において堆積された液体量を制御するために調節され得る他の変数は、先端12aの表面領域およびファイバーをチューブの内部表面から分離する間隙の距離を含む。
【0074】
先端12aが先端のストロークを介して基板へと移動されるにつれて、先端12aは結果的に基板22と接触するファイバーの末端に到達する。基板22と接触した後、ファイバー12は、図4Cの28におけるように液体のスポットを基板表面上に残してファイバーの上位に逆移行される。次いで、スポッティングデバイスは他の選択領域上に配置され、所望ならばさらなるスポットを横たえ得る。先に記載された実施形態と同様に、利用される繰り返し率は、2〜3ストローク/秒(例えば、約1〜10Hzの領域内)であり得る。1実施形態において、繰り返し率は、約5ストローク/秒である。
【0075】
ファイバー12のピストンのような作用は、今述べたように、図3A〜図3Cの実施形態と比較して液体の厚い層をファイバーの低端部領域で生成させることが理解されるべきである。従って、本実施形態は、より大きな容積を有する試薬スポットを生成するために使用される。
【0076】
他の実施形態(図示せず)において、今述べた実施形態と同様にファイバーの先端は、基板と接触することなく基板の選択表面領域へと移動され得る。例えば、基板に向かうファイバーの先端は、例えば、慣性により、基板上のファイバーから液体が投じられるまたは排出されるように突然停止するか、または反転する。または、ファイバーの先端は、ファイバー上で運ばれる液体試薬が基板に届いて付着するように、物理的に基板と接触することなく、基板表面と非常に接近した近傍に移動させられ得る。
【0077】
本発明のさらなる局面は、バルブ装置に、選択された量の液体を基板の表面で計測する使用方法を提供する。1実施形態において、図5および図6に示すように、チューブ14は、先に記載されたスポッティングデバイス同様に、上端部において試薬供給リザーバ20に通じて、低端部においてオリフィス16で終端する。ファイバー12は、軸方向の振動運動用にチューブ14中に配置される。
【0078】
チューブ14の直径およびファイバー12の直径は、ファイバーの振動がない状態でオリフィス16を介する流体フローを妨げるように設計される。例えば、1実施形態において、チューブ14は、約200μm未満の低端部直径、および好適には、約100μm未満の低端部直径を有し、低端部におけるファイバーとチューブとの間隔は、約50μm未満、および好適には約25μm未満である。
【0079】
振動手段は、ファイバー12を振動させるために、ファイバー12と有効に接続する。振動手段は、例えば、ファイバーに適応される振動振幅、振動周波数、および振動時間を規定する制御ユニットを備える振動ユニットを含み、それにより、液体量がオリフィス16を通過することを可能にする。振動ユニットは、このように制御された方法で、ファイバーをチューブ内で軸方向に振動させることが可能な任意のデバイスを備える。適切な振動ユニットは、例えば、ソレノイドまたはモータアセンブリか、あるいは含気性、水硬性、磁気ひずみ、または圧電性のアクチュエータを備え得る。1実施形態において、振動手段は、少なくとも約10Hzの、および好適には、少なくとも約100MHzの振動周波数を生成するために適合される。好適に、振動手段は、少なくとも約10μm、および好適には少なくとも100μmの振動振幅を生成するために適合される。
【0080】
バルブ装置は、基板に関するチューブおよびファイバーを、選択された側方変位から他の選択された側方変位へ配置する位置付け手段をさらに備え得る。1実施形態において、位置付け手段はチューブ、ファイバー、および振動手段と有効に接続される。位置付け手段は、スポッティングデバイスに関して上記したようなデバイスを備え得る。
【0081】
動作において、ファイバー12は、相反様式(reciprocal fashion)で、液体保持チューブ内で軸方向に移動し得る。このような振動運動は周波数および振幅において、ならびにチューブ14の低端部でオリフィス16を介して選択液体試薬量18を吸い出すのに十分な時間長さで発生し、これにより、図5の18aにおけるような、ぶら下がった液滴を形成する。ぶら下がった液滴は、液滴を選択基板領域に接触させることにより、基板の選択領域において配置され得る。1実施形態において、ファイバーの先端12aは、基板との接触点に移動される。このような接触点は周期的(例えば、ファイバーの振動につき1回)であり得るか、または、ファイバーが自身の振動サイクル全体にわたり基板と連動するように連続的であり得る。図6に示すような「液体ブリッジ」のような構成は、比較的大きな試薬スポットの生成を可能にすることが理解されるべきである。あるいは、ぶら下がった液滴は、選択領域上で間隔の開いた関係を維持し、ぶら下がった液滴が重力で落下するまで、自身を増大させることにより基板上に配置され得る。
【0082】
本発明の他の例示的スポッティングデバイスを、図7A〜図7Eに示す。先の実施形態と同様に、可撓性ファイバー12は、低オリフィス16を有するチューブ14を介して縦方向に伸張する。しかしながら、本実施形態において、チューブ14の内径は、規定量のチューブおよび領域の下側に進むにつれて次第に細くなり、概して14aに示すように、実質的に均一な直径を有する。好適に、チューブの端部領域14aの直径は、オリフィス16の直径と実質的に同一である。さらに、チューブ14の低端部領域14a、近接オリフィス16に沿う内径は、ファイバー12の直径と非常に近く(例えば、約10μm)、好適には、実質的にファイバー12の直径と同一である。例えば、1実施形態において、領域14aに沿うファイバーの直径およびチューブの内径の両方は、約200μm未満であり、好適には約100μm未満である。他の実施形態において、これらの量は約50μmである。チューブの上位のより大きな直径部は、スポッティング動作が達成されるにつれて、液体試薬を下位のチューブ部に搬送するための供給リザーバ20として機能し得る。
【0083】
移動手段は、上位と下位との間でファイバーを移行するために、ファイバー12と効果的に接続される。上記装置は、1つの選択された側方変位から他の選択された側方変位へ、基板に関してチューブおよびファイバーを配置する位置付け手段をさらに備え得る。1実施形態において、位置付け手段は、チューブ、ファイバー、および振動手段と効果的に接続される。移動手段および位置付け手段は、本明細書中で先に述べられたようなデバイスを備える。
【0084】
典型的な動作の工程を、図7A〜図7Eに実質的に示す。まず、移動手段(図示せず)は、ファイバー12を、図7Aの自身の上位からスライド22のような基板へと移行する。特に、ファイバー12が自身の上位にあると、ファイバーの先端12aは、チューブの端部領域14a上に配置される。ファイバー12が、自身の上位から下位に移行するにつれて、チューブの端部領域14aを占有する液体試薬18の容積は、図7Bに示すようにチューブ14から放出される。図7Cに示すように、ファイバー12が自身の下位に到達すると、放出された液体試薬は基板22の選択領域22aに移動させられる。図7Dおよび図7Eに示すように、ファイバー12を、自身の上位へ逆移行させるにつれて、液体試薬28のスポットは基板22の表面上に残される。ファイバーが流体コンテナ(図7E)中へ完全に縮まされると、所望ならば、他の配置サイクルは開始される状態にある。
【0085】
ファイバーと基板との間の接触を含む先の実施形態と同様に、スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差は、今述べたスポッティングデバイスを使用し好結果を達成するために重要でないことが理解されるべきである。図示の簡略化のために図7Cに誇張様式で示すように、一旦、先端が基板表面に接触すると、ファイバーの可撓性は、有利にファイバーが撓むことまたは曲がることを可能にする。つまり、ファイバーの可撓性は、スポッティングデバイスの低端部と基板の表面との間の距離の差異を調整し得る。ファイバーの縦方向の非圧縮性は、移動手段からファイバーの先端までの効果的な伝送の運動を提供することがまた理解されるべきである。
【0086】
1実施形態は、ファイバーの低先端が基板表面と決して接触しないことを除いて、図7A〜図7Eの動作と実質的に同様の動作を提供する。例えば、慣性により、基板上のファイバーから液体が投じられるまたは排出されるように、基板へのファイバーの先端の運動は突然停止し得るか、または反転し得る。または、ファイバーの先端は、ファイバー上で運ばれる液体試薬が基板に届いて付着するように、物理的に基板と接触することなく、基板表面と非常に接近した近傍に移動させられ得る。
【0087】
本発明のさらなる局面は、手動可能なスポッティングデバイス(図示せず)を提供する。本実施形態において、チューブは、操作者の手中に十分適合するように設計される。この点において、ハンドデバイスの外形寸法は、好適に標準的な筆記用具(例えば、インクペン、シャープペン等)の外形寸法と類似する。例えば、チューブは約0.75〜1.50cmの間の外径および約10〜20cmの間の長さを有し得る。細長い可撓性ファイバー、例えば光ファイバーは、チューブ内で、軸方向の運動のために上位と下位との間に配置される。チューブは、(例えば、毛細管力(capillary force)を手段として)堆積用の選択液体試薬を保持するように適合される。チューブの内側寸法およびファイバーの寸法は先の実施形態のいずれかについて設計され得る。
【0088】
ハンドデバイスのファイバーは、ファイバーの上端部において、チューブ内の逆運動に適合させる位置に取りつける。通常、その位置は、コイルスプリングまたは他の偏向機構により、チューブの低オリフィスから離れてチューブの頂点へと向けられる。この位置において、ファイバーは自身の上位へと移行され、実質的にチューブ内へ縮まされる。本実施形態において、移動手段は、チューブの上端部において開口部を通して突き出る端部領域を有する下降シャフトを備える。チューブ内に位置する他の移行の終端は、効果的にピストンを行う。(例えば、操作者の握り手の親指を使用して)ロッドを押し下げる際に、ピストンがチューブを通して下側に押されるように、コイルスプリングの通常の偏向力は超越し得る。ピストンのこのような運動は、ファイバーの低端部がチューブの低オリフィスから突き出るように、ファイバーをチューブ内の軸方向に移動させる。この位置において、液体スポットはファイバーの先端から、基板の選択位置に伝送され得る。押し下げシャフトを解放する際に、コイルスプリングは自身の上位へファイバーを戻す。
【0089】
他の局面において、本発明は、基板上に液体試薬スポットの配列を生成するスポッティングヘッドを提供する。以下でより完全に記述するように、本発明のスポッティングヘッドは、1秒につき、多数の(例えば、数百、数千の)スポットを横たえるように適応され得る。
【0090】
スポッティングヘッドの1実施形態を図8に示す。本実施形態において、マニホルドとして本明細書中でまた参照されるコンデットまたはチャネルアセンブリ101は、114a〜114bのような複数のチャネルを備える。各チャネル114a、114bは、それぞれ115a〜115bおよび116a〜116bにおいて、逆の上端部および下端部を有する。チャネルは、互いに間隔をあけ固定して維持される。1実施形態において、チャネルはチューブ、バレル、または漏斗の形状を取り、フレームまたはラック本体中に固定される。他の実施形態において、チャネルはモノリシックな構造である。例えば、チャネルアセンブリは、射出成形プロセスを使用し、プラスチックを材料として完全に作製され得るか、または各チャネルは、1単位の材料(例えば、ガラス、プラスチック、金属等)に穴を開けることにより、形成され得る。
【0091】
各チャネルの内径は、上端部の開口から低端部の開口まで進行するにつれて減少する。例えば、チャネルは、概して、円錐形状か、または角型形状であり得る。各チャネルの縦軸は直線状、角状、曲線状、または他の適切な形状であり得る。この点について、図8に示す一般的な形状のチャネルに注意が向けられる。
【0092】
低端部開口のうちの各開口から伸びる各チャネルの領域は、液体(例えば、チャネルに配置される生体サンプルまたは試薬溶液)が通常、毛細管力を用いてチャネル中で保持されるような毛細管サイズ(capillary size)である。所望の毛細管作用(capillary action)をもたらす任意の内径は、本発明の精神内で利用され得る。例えば、毛細管サイズの領域は、約1mm未満の内径、好適には約200μmの内径を用いて使用され得る。所望の毛細管作用をさらに促進するために、各コンデットの毛細管サイズの領域は、親水性の内部表面を提供され得る。
【0093】
直線様式で並列に配列された6つのチャネルのみが、図8において視覚可能である一方、任意の適度な数のチャネルが、任意の所望の空間配置に配置され得ることが理解されるべきである。例えば、マニホルドは、24,48,96,384,1024,1536個、またはそれ以上のチャネルを備え得る。他のレイアウトが可能であるが、このような配列においては、上端部および低端部の開口部は、典型的には規則的配列(例えば、8×12、16×24、32×32、または32×48配列)に配列される。
【0094】
105に示すような支持材を、マニフォルド101に関する上位と下位との間の運動に適合させる。図8の実施形態において、これらは、支持材105が先導される、109aおよび109bとして示すような間隔の開いた平行直線レイル部から構成されるトラックを有するフレーム(例えば、107)を提供することにより達成される。例えば、支持材105は、側端領域の各々に沿って形成される溝またはスロット(図示せず)、各レイル上で滑走可能に取り付けられる各スロットを有する近接レイル109a、109bを備え得る。
【0095】
トラックに沿う支持材105の運動または配置は、手動または自動以降手段により達成され得る。この点について、図9を追加的に参照して、モータアセンブリ121がコントローラ123および電力供給源125と通じている。可撓性ワイアまたはライン127は、モータ121と支持材105との間で伸長する。ワイヤ127の一端は、支持材105の上側で接続される。ワイヤ127の他の側は、モータアセンブリ121が、回転用に適合させるスプール(図示せず)に固定される。1形態において、モータアセンブリ121は、ワイヤ127をそれらの周りで巻くために、スプールを回転させ得、それにより支持材105をトラックに沿ってトラックの上位(図8)へと上に移行させる。他の形態において、モータアセンブリ121は、ワイヤ127をそれらから巻き戻し、次いで伸ばすために、スプールを回転させ得、それにより支持材105をトラックに沿ってトラックの下位(図9)へと下に移行させる。モータを支持材とつなぐワイヤを利用することよりもむしろ、他の実施形態では、ギアアセンブリの使用が考えられる。本明細書中の使用に適切な他の自動移動手段が、例えば、水硬性、または圧電性のアクチュエータを備えることに留意されたい。あるいは、支持材105は手動で移行され得る。
【0096】
複数のファイバー(例えば、光ファイバー112a〜112b)は、支持材との運動のために支持材105上に搬送される。ファイバーは、任意の適切な方法で支持材に固定され得る。例えば、各ファイバーの上端部領域は、支持材105の下側から伸びる各穴の中で受け取られ得る。各ファイバーの上端部は、例えば、摩擦力を用いおよび/または従来の接着剤を用いて、ファイバーの穴で保持され得る。ファイバーは配列され、その結果、隣接するファイバー間の空間が、マニホルド101の隣接する上端部の開口の間の空間と実質的に一致し、これにより、支持材105が低位置へと向かうにつれて、チャネルにつき1つのファイバーの挿入が可能にされる。典型的な配列において、ファイバーは、規則的配列で配置される。
【0097】
支持体105から延びるファイバーの直径、およびチャネルの毛細管サイズの領域の内部寸法は、前述の実施形態のいずれかについて設定されたものと同様である。例示的な配置において、各チャネルの直径は、約200μm未満であり、そして各チャネルは、付随のファイバーの直径より約10〜100μm大きい。別の配置において、各チャネルの下端領域に沿った内径は、実質的に付随のファイバーの直径と実質的に同じである。
【0098】
支持体105をその下方部分に移動する際、各ファイバーの下方チップは、マニホルド101の各チャネルを通して通過され、基板によって占められるように適応される面に導かれる。図9に示されるように、プレート22のような基板がこのような面を占める場合、ファイバーチップは、この位置で基板の表面に当接する。この様式において、各ファイバーはその各チャネル内に保持された液体試薬のアリコートを基板の表面へ移動し得る。マニホルド101の下端開口部アレイが基板22上に形成されたスポットのアレイを規定することは注目されるべきである。
【0099】
図8に最もよく見られるように、支持体105から延びるファイバーは、全て同じ長さではない。むしろ、それらのファイバーは、それらの各チャネルを通って下降する際に、ファイバーがほぼ同時にまたは互いの間隔が短時間で、下に横たわる基板と接触するように、切断される。適切なファイバー長は、チャネルを通してファイバーを通過させることによって確立され得、次いで基板の表面によて占められるように適応された面と交差する領域で各ファイバーを切断する。種々のファイバーが基板面に対してそれぞれ厳密な精度で切断されることは、本発明の首尾一貫した操作にとって重要ではない。なぜなら、ファイバーの付随のチャネルと基板上のファイバーの接触点との間で延びるファイバーの長さの変動はファイバーのたわみによって適応され得るためである。
【0100】
ファイバーアレイの隣接ファイバー間と同じ中心間の間隔、またはピッチを有する試薬スポットのアレイの形成を必要とする適用において、上方開口部アレイと下方開口部アレイの両方のピッチは、ほぼ等しく形成され得る。例えば、1実施形態において、(i)ファイバーアレイ、(ii)上端開口部アレイ、および(iii)下端開口部アレイ、の各々は、全て、実質的に同じ中心間の間隔を有する。他方では、ファイバーアレイと比較して減少したピッチを有する試薬スポットアレイの形成を必要とする適用において、ピッチの異なる上端開口部アレイと下端開口部アレイを有するチャネルアセンブリを利用することは有利である。この型の1つの例示的な実施形態において、チャネル下端開口部アレイは、上端開口部アレイの中心間のピッチより小さい中心間のピッチを有して設けられる。図8および図9は、例えば、下端開口部アレイのピッチが上端開口部アレイのピッチより実質的に小さい実施形態を示す。例えば、下端開口部アレイの中心間のピッチは、上端開口部アレイの約1/2〜1/4の間であり得る。1つの特定の実施形態において、下端開口部アレイの中心間の間隔は、上端開口部アレイの中心間の間隔の約1/3である。
【0101】
1実施形態によれば、複数の基板は、スポッティングヘッド下で実質的に折り返される。例えば、コンベアは、マニホルド下を通過する輸送通路にそって多数の直列配置した基板を運び得る。マニホルドのチャネルは、単一の型の液体試薬、または複数の型の液体試薬を保持し得る。マニホルド下に選択された基板を位置付けする際に、コンベアは休止し得る。この地点で、ファイバーは、それらの上昇位置と下降位置との間を移動し得、基板上にスポットのアレイを置く。所望される場合、このような移動は、1回以上繰り返され、追加の液体を基板に移し得る。所望される場合、このような追加の液体は、すでに置かれたスポットに設置され得るか、またはマニホルド下で側方的に基板を漸進的に移動する際に、以前に基板のスポットされていない領域に設置され得る。次いで、ちょうどスポットされた基板は、マニホルド下から移動され得、新たな上流の基板がスポッティングのための位置まで移動され得る。所望される場合、幾つかのスポッティングヘッドは、輸送通路に沿って各位置に置かれ得る。1実施形態において、コンベアは、互いから側方的にズレた位置で実質的に輸送通路に沿って配置される幾つかのスポッティングヘッド下で延びる輸送通路に沿って1つ以上の基板を折り返す。たとえ、いずれか1つのスポッティングヘッドによって置かれたスポットが広い間隔を有する場合であっても、この配置は、所与の基板上に非常に緻密なスポットの交互配列(interleaving)を提供し得る。
【0102】
一組の液体試薬から異なる組への転換、または空のマニホルドの充填されたマニホルドとの置換は、迅速かつ効率的な様式で達成され得る。例えば、オペレーターまたはロボットは、単純に、存在するマニホルドを除去し得、そしてその位置に別のマニホルドを挿入し得る。この点において、マニホルドは、フレーム内に取り外し可能にスナップロック(snap−lock)するように構成され得る。第1組の液体試薬を保持する1つのマニホルドが第2の異なる組の試薬を保持する別のマニホルドと交換される位置で、ファイバーアレイは容易に変更され得る。この目的のために、ファイバー支持体はまた、フレーム内に取り外し可能にスナップフィット(snap−fit)するように構成され得る。
【0103】
マニホルドの不十分なまたは空のチャネルを再充填することはまた、容易に達成され得る。この点において、チャネルの上端開口部は、ピペットまたはシリンジのような流体充填の従来の手段へ即時アクセスを可能にするのに十分大きい(例えば、直径3mmより大きい)寸法にされ得る。
【0104】
1実施形態において、マニホルドおよびファイバー支持体の両方とも、比較的安価な材料(例えば、プラスチック、金属またはガラス)から、従来のツールおよび/またはモールド手順を使用して構成される。この構成要素のコストを低く維持することによって、新しい試薬セットが導入される際に、ファイバー支持体(ファイバーを有する)および/またはマニホルドを捨てることがコスト効率を良くし得る。これらの構成要素の洗浄および再使用よりむしろ、これらの構成要素の1つまたは両方の廃棄が、夾雑の潜在的原因を除去する。さらに、廃棄可能な構成要素の利用は、洗浄/乾燥の試みに付随する時間、設備、および労働コストを回避するのに役立つ。対照的に、クイル、インクジェット、またはピンのような最も従来のスポッティングシステムは、新たな流体が堆積される各時間において洗浄されなければならない。
【0105】
上記のスポッティングデバイスおよび方法は、液体堆積への比較的低エネルギーアプローチを提供する。例えば、スポッティングヘッドは、1秒間あたり多くのスポット(例えば、数百または数千)を置くための高度に平行なアプローチを利用し得る。注目すべきことに、任意の単一のスポットを置くプロセスは、比較的遅いプロセスである。例えば、各々の別個のファイバーは、1秒間あたり1つのみかまたは幾つかのスポットを置き得る。結果として、スパッタリングおよび誤方向射出(サテライト(satellite))のような非常にエネルギー性のあるスポット堆積、およびそれらから生じる夾雑に関する問題は、本発明によって回避される。
【0106】
本明細書中に記載されるスポッティングデバイスは、最も従来の堆積システムと比べて減少した試薬損失を提供する。本発明によれば、基板上に堆積される液体は、チューブまたはチャネルから、基板の表面上に、使用媒介容器なしに、直接、移される。回避されずに残る残渣およびフィルムのために、媒介容器が代表的に流体を浪費することは、理解されるべきである。非常に少量の流体(例えば、1μm以下)を必要とする適用において、インクジェット内のリザーバまたはクイル内のスプリットのような媒介容器は、許容できない量の流体を浪費し得る。
【0107】
本発明のなおさらなる局面は、例えば、トレイまたはプレート内に形成されるウェルまたは凹部内に液体試薬を分配するための方法および装置を提供する。図10A〜10Eを参照して、スパイク217のような突出部は、マルチウェルトレイ222のウェル219の底部から上向きに延びる。伸長チューブ216のような液体容器は、分配のための液体218を保持する。チューブ216は、毛細管または表面張力によって液体を保持するように適応される。図10A〜10Bに示されるように、メニスカス218aは、チューブ216の下方領域で形成し得る。液体218は、スパイク217がメニスカス218aを貫通するまで、ウェル219に向かってチューブ216を移動することによって分配される。好ましくは、湿潤性の表面を有するスパイクは、チューブからウェル内に液体を引き出す。
【0108】
図11は、プレートまたはトレイの複数のウェル内に1つ以上の液体試薬を同時に送達するための自動化システムを示す。このシステムは、マルチウェルトレイ322のような、基板上の上昇位置と下降位置との間を移動するために適応された、図8および9に関して上で記載されたものと同じマニホルドまたはチャネルアセンブリ301を備える。マニホルド301は、314aおよび314bのような複数のチャネルを備え、各々は、図10A〜10Eのチューブ216の内部と実質的に同じ下端領域を有する。移動手段は、上昇位置と下降位置との間でマニホルド301を移動するように作動可能である。図11の実施形態において、例えば、支持体305は、マニホルド301の上方領域と取り外し可能に係合するように構成される。次いで、支持体305は、フレームアセンブリ307上に設けられた一対の平行レール309a、309bに沿って乗るように適応される。モーター321、コントローラ323、および電源325は、支持体305、従ってマニホルド301をレール309a、309bに沿ってワイア327を介して、上下に移動するように作動可能である。図11に示していないが、トレイ322の各トレイは、その床部から上向きに延びるスパイクのような突出部を備える。このスパイクは、実質的に図10A〜10Eに示されるような様式で、マニホルド301がその下降位置に向かって移動される際に、各チャネルから液体試薬を抽出するように適応される。
【0109】
ここで、当業者は、本発明の広範な教示が種々の形態で実施され得ることを前述の記載から理解し得る。それ故に、本発明は特定の実施形態およびそれらの実施例と組み合わせて記載される一方で、本発明の真の範囲は限定されるべきではない。種々の変更および改変は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなく行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
本発明の構造および操作様式は、それらのさらなる目的および利点と一緒に、添付の図面と共に理解される以下の記載を参照することによって、最も良く理解され得る。
【図1】図1は、部分概略側面図であり、本発明の実施形態に従って構成されたスポッティングデバイスの部分を断面で示す。
【図2】図2は、部分概略上面図であり、本発明に従う、アレイを形成するための自動化装置の要素を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4A】図4Aは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4B】図4Bは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4C】図4Cは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図5】図5は、本発明により教示されるように、バルブ装置を使用して、チューブから基板の表面までマイクロ容量の液体を移動させるための非接触送達方法を示す。
【図6】図6は、本発明によって教示されるように、バルブ装置を使用して、チューブから基板の表面までマイクロ容量の液体を移動させるための接触送達方法を示す。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7B】図7Bは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7C】図7Cは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7D−E】図7D〜7Eは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従って、液体スポットのアレイを基板の表面上に下ろすためのスポッティングヘッドの部分概略側面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従って、液体スポットのアレイを基板の表面上に下ろすためのスポッティングヘッドの部分概略側面図である。
【図10A】図10Aは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10B】図10Bは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10C】図10Cは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10D】図10Dは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10E】図10Eは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図11】図11は、1つ以上の液体試薬をマイクロプレートの複数のウェルに同時に送達するための自動化システムの部分概略側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の分配に関する。より詳細には、本発明は、液体(例えば、生物学的サンプルまたは試薬)を基板上にスポットするための、装置および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サンプル中に存在する標的化合物または被分析物は、しばしば、そのサンプルの適切なプローブへの制御された曝露を通して同定され得、後に生じる反応が検出される。代表的な配置において、目的の被分析物を含有する試験溶液のサンプルは、検出可能なレポーターを保有するプローブに曝露される。このプローブは、それが、例えば、相補的ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションまたは抗体−抗原相互作用によって、被分析物を特異的に結合し得るように選択され得る。過剰のプローブ材料が除去(例えば、洗浄)された後、被分析物へのプローブの特異的結合が検出され得る。
【0003】
分析技術の感度が改良し続けるにつれて、非常に小容量のサンプル/試薬を使用してこのような分析を実施することがますます所望される。これは、高価な化合物を含む状況において、特にあてはまる。従って、今日、基板(例えば、スライド、マイクロカード、またはチップ)の表面上に「スポット(spot)」として敷設された非常に少量のこのような液体を利用することが受け入れられている。
【0004】
スポットの形態にある極少量の個々のサンプルおよび/または試薬をを提供することがしばしば所望されるだけでなく、基板上のアレイのように互いに密接した多数のスポットを配列することがますます受け入れられている。例えば、実験技術者は、広範な種類の標的生物学的化合物および/または化学化合物の存在のための標本を評価する必要があり、または1つ以上の試薬(例えば、標識されたプローブ)に対する多くの種々の標本の反応を決定する必要がある。高密度アレイ形式によって、多くの反応が実質的に同様の様式、節約空間、時間および費用で実施され得る。
【0005】
非常に少量の流体を分配するための手動デバイスおよび自動デバイスの両方が、考案され、例えば、マイクロピペット、ピン、クイルおよびインクジェットデバイスが挙げられる。幾らかの目的に対して適切である一方で、これらの各々は、所定の不利益と関連している。例えば、マイクロピペットは、一般に、多くの存在する1日のプロトコールによって要求される極端に小容量の液体を正確に分配し得ない。ペンおよびクイルに関して、配置されるスポットのサイズおよび形状の差(スポットの生じるシグナル強度または重なりの差を導き得る)、「ミススポット(missed spots)」(サンプルがほとんどまたは全く表面上に配置されない)、およびクリーニングおよび再補充に付随したオーバーヘッドに関連する多くの課題が、解決される必要がある。インクジェットデバイスは、制御された容量の液体をカートリッジ内に生成される圧力波(pressure wave)の使用によって基板上に分配する。このアプローチは、比較的に脆弱な高分子を含有するサンプルのスポッティング(spotting)に対して受け入れられない。なぜならば、それらは、せん断され得るか、または他の方法で損傷を受け得るからである。さらに、インクジェットデバイスは、程度の高い飛び散り(splattering)と関連しており、それによって、特に接近した空間のスポットにおいて、汚染の実質的な危険性が存在する。
【0006】
追加の不利益として、公知のスポッティングデバイスのほとんどが、基板表面に対するスポッティングヘッドの非常に正確な配置を要求する。スポッティングヘッドと基板表面との間の距離の変動は、一貫しないスポットサイズおよび/またはミススポットを生じ得る。特に接触型デバイス(contact−type devaice)に関して、基板に接近して配置される場合、スポッティングチップは、スポッティングチップおよび/または基板に損傷を与えるのに十分な力で基板表面と衝突し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の点で、迅速かつ正確な様式で基板上に微量の液体を送達するために有用なデバイスおよび方法の必要とされることは、明らかである。好ましくは、このデバイスは、比較的使用が容易で、コスト効率が高く、大多数の個々のスポットを有するマイクロアレイの製造に対して容易に受け入れられ得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明によれば、以下が提供される。
(1)基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、以下:
該液体を含むように適応され、約200μm未満の内径を有するオリフィスを規定する下端を有する、チューブ;
該基板を保持するためのワークピースホルダー、
約100μm未満の直径および遠位端を有する、伸長した可撓性ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で、該チューブ内の軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、ここで、該上昇位置のファイバーの自由端が該基板の表面から離れ、そして該下降位置のファイバーが該基板の表面と接触し、該基板が該ワークピース内に保持される、ファイバー、
該上昇位置と該下降位置との間に該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、移動手段、
該基板に対して選択された堆積位置に、該ホルダーに対して、該チューブおよび付随のファイバーを側方的に位置付けするための、位置付け手段、および
連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置で該チューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)該下方位置にファイバーを移動して、該基板上に選択された容量の液体を堆積する際における使用のために、該位置付け手段および移動手段に作動可能に接続された、制御ユニットであって、該チューブの下端と該基板との間の距離の変動が該ファイバーのたわみによって適応される、制御ユニット、
を備える、装置。
(2)上記位置付け手段が、上記チューブおよび上記移動手段に作動可能に接続される、項目(1)に記載の装置。
(3)項目(1)または(2)に記載の装置であって、上記ワークピースホルダー内の複数の異なる基板の各々上の予め選択された位置に、予め決定された容量の液体をミクロスポットする際における使用のための装置であって、上記制御ユニットが、各基板上の該予め選択された位置において連続的に上記チューブを位置付けするのに作動可能である、装置。
(4)項目(1)〜(3)のいずれかに記載の装置であって、上記オリフィスの上記直径が、上記ファイバーの直径より約10〜100μm大きい、装置。
(5)項目(1)〜(4)のいずれかに記載の装置であって、上記チューブが、実質的に均一な直径を有し、上記液体を保持するためのより大きな直径の上方リザーバをさらに備える、装置。
(6)項目(1)〜(5)のいずれかに記載の装置であって、上記チューブの内径が、上記オリフィスの上記直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きに向かって先細となり、該チューブ末端領域の直径が上記ファイバーの直径と実質的に同じであり、上昇位置にある該ファイバーの末端が、該チューブ末端領域上に配置され、その結果、該ファイバーの上昇位置から下降位置までの該ファイバーの移動が、該チューブ末端領域内に含まれるある容量の液体を該チューブから放出するのに効果的である、装置。
(7)項目(1)〜(6)のいずれかに記載の装置であって、基板上の選択された堆積領域において予め決定された容量の上記液体を同時にミクロスポッティングする際における使用のための装置であって、複数の上記チューブ、付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える、装置。
(8)基板上で予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、該装置は、以下:
該液体を含むように適応され、約500μm未満の実質的に均一な直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きに向かって先細となる内径を有する、チューブ;
該チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で、該チューブ内の軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、ここで、該上昇位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の上に配置され、そして該下降位置のファイバーが該チューブ末端領域の下に配置される、ファイバー、および
該上昇位置と該下降位置との間に該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、移動手段であって、それによって該チューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、該チューブから該チューブの下に配置された該基板上に放出される、移動手段、
を備える、装置。
(9)上記チューブ末端領域が、約200μm未満の直径を有する、項目(8)に記載の装置。
(10)項目(8)または(9)のいずれかに記載の装置であって、上記ファイバーが可撓性ファイバーであり、そして下降位置にある該ファイバーが、該基板と接触するように適応される、装置。
(11)項目(8)〜(10)のいずれかに記載の装置であって、複数の基板の各々の予め選択された位置に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングする際における使用のための装置であって、該装置が、該予め選択された位置において上記チューブおよび付随のファイバーを連続的に位置付けするための位置付け手段をさらに備え、該チューブの下端と該異なる基板位置との間の距離の変動がファイバーのたわみによって適応される、装置。
(12)項目(8)〜(11)のいずれかに記載の装置であって、基板上の複数の選択された堆積領域において予め決定された容量の該液体を同時にミクロスポッティング際における使用のための装置であって、複数の該チューブおよび付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える、装置。
(13)上記チューブ末端領域が約200μm未満の直径を有し、該ファイバーが可撓性ファイバーであり、下降位置にあるファイバーが、該基板と接触するように適応され、該チューブの下端と該基板上の関連した位置との間の距離の変動がファイバーのたわみによって適応される、項目(8)〜(12)のいずれかに記載の装置。
(14)基板上に液体−試薬スポットのアレイを製造するための装置であって、該装置が以下:
複数の毛細管チャネルを有するマニホルドであって、各々が、選択された液体を保持するように適応され、該チャネルが対向する上端開口部および下端開口部を有し、その内径が該上端開口部から該下端開口部へ向かって減少し、該下端開口部が該アレイを形成する、マニホルド、
上記マニホルドに対して、上昇位置と下降位置との間で可動性である支持体、および
支持体との運動のために該支持体上に保有された複数のファイバーであって、該支持体が上昇位置と下降位置との間で運動する際に、各々のファイバーが、付随のチャネル内で長手軸方向に移動するように適応される、複数のファイバーであって、上昇位置から下降位置までの該ファイバーの運動が、該マニホルド内の各チャネルから選択された容量の液体を堆積するのに効果的である、複数のファイバー、
を備える、装置。
(15)上記上端開口部間の間隔が、隣接する下端開口部間の間隔より大きい、項目(14)に記載の装置。
(16)項目(14)または(15)のいずれかに記載の装置であって、上昇位置と下降位置との間で上記支持体を移動するために該支持体に作動可能に接続された接続された移動手段をさらに備える、装置。
(17)項目(14)〜(16)のいずれかに記載の装置であって、上記下端の上記チャネルの直径が約200μm未満であり、付随のファイバーの直径より約10〜約100μm大きい、装置。
(18)項目(14)〜(17)のいずれかに記載の装置であって、上記ファイバーが、上記基板を下方位置の支持体と接触するように適応され、そして付随のチャネル末端と該基板上の接触点との間で延びるファイバーの長さの変動がファイバーのたわみによって適応される、装置。
(19)項目(14)〜(18)のいずれかに記載の装置であって、各チャネルが、該チャネルの下端で終結する下端領域に沿って延びる実質的に均一な直径を有し、各チャネル末端領域の直径が、付随のファイバーの直径と実質的に同じであり、上昇位置のファイバーの末端が、該チャネル末端領域の上に配置され、その結果、上昇位置から下降位置への該ファイバーの移動が、該チャネル末端領域内に含まれる上記容量の液体を該チャネルから放出するのに効果的である、装置。
(20)基板の表面上の選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接した下端オリフィスで終端する、チューブ、
軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバー振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通ることを防止するような寸法である、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動手段であって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって、該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動手段、
を備える、バルブ装置。
(21)上記振動手段が、少なくとも約10Hzの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)に記載の装置。
(22)上記振動手段が、少なくとも約100Hzの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)または(21)のいずれかに記載の装置。
(23)上記振動手段が、少なくとも約10μmの振動周波数を生じるように適応される、項目(20)〜(22)のいずれかに記載の装置。
(24)上記振動手段が、少なくとも約100μmの振動振幅を生じるように適応される、項目(20)〜(23)のいずれかに記載の装置。
(25)上記チューブが、約100μm未満の下端直径を有し、そして上記ファイバーと下端のチューブとの間の間隔が約25μm未満である、項目(20)〜(24)のいずれかに記載の装置。
(26)上記ファイバーが、振動サイクルの少なくとも一部の間に上記基板と接触するように適応される、項目(20)〜(25)のいずれかに記載の装置。
(27)上記ファイバーが、振動サイクルにわたって、上記基板と接触したままであるように適応される、項目(20)〜(26)のいずれかに記載の装置。
(28)項目(20)〜(27)のいずれかに記載の装置であって、一方の選択された側方位置から他方の選択された側方位置まで、上記基板に対して上記チューブおよびファイバーを位置付けするための位置付け手段をさらに備える、装置。
(29)上記位置付け手段が、上記チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に接続される、項目(20)〜(28)のいずれかに記載の装置。
(30)基板上に試薬スポットを形成するための方法であって、該方法は以下:
上記チューブの下端においてオリフィスを通して選択された液体の一部をポンプ上げするのに十分な周波数および振幅で、該選択された液体を保持する毛細管チューブ内で長手軸方向に伸長した可撓性ファイバーを往復運動する工程であって、それによってペンダントドロップを形成する、工程;および
該ペンダントドロップを該基板上の選択された領域に配置する工程、
を包含する、方法。
(31)上記ペンダントドロップが、上記ファイバーの末端を上記基板の上記選択された領域と接触させる工程によって該基板上に配置される、項目(30)に記載の方法。
(32)上記選択された領域上に間隔をあけてファイバーを維持し、そして重力下で上記ペンダントドロップが落下するまで該ペンダントドロップを拡大することによって、該ペンダントドロップが、該基板上に配置される、項目(30)または(31)のいずれかに記載の方法。
(33)基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域において予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、以下:
該液体を含むように適応され、そして約200μm未満の内径を有するオリフィスを規定する下端を有する、チューブ;
該基板を保持するためのワークピースホルダー、
約100μm未満の直径および遠位自由端を有する、伸長した可撓性ファイバーであって、該ファイバーが、上昇位置と下降位置との間で該チューブ内での軸方向の運動のために該チューブ内に配置され、該上昇位置のファイバーの自由端が該基板の表面から離れ、該下降位置のファイバーの自由端が該基板の表面と接触し、該基板が該ワークピースホルダー内に保持される、ファイバー、
2つの位置の間で可動性であるアクチュエータであって、該アクチュエータが、該ファイバーの上昇位置と下降位置との間で該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続された、アクチュエータ、および
該基板に対する選択された堆積位置で、該ホルダーに対して側方的に該チューブおよび付随のファイバーを位置付けするために該チューブに作動可能に接続されたx−yポジショナー、および
連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置に該チューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)該下方位置にファイバーを移動して、該基板上に選択された容量の液体を堆積する際における使用のために、該x−yポジショナーおよび垂直なアクチュアルに作動可能に接続される、制御ユニットであって、該チューブの下端と該基板との間の距離の変動が、該ファイバーのたわみによって適応される、制御ユニット、
を備える、装置。
(34)基板上に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングするための装置であって、該装置は以下:
該液体を含むように適応され、そして約500μm未満の実質的に均一な直径を有する規定された容量のチューブ末端領域に下向きに向かって先細となる内径を有する、チューブ、
上記チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長したファイバーであって、該ファイバーが、該チューブ内での上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のための該チューブ内に配置され、該上昇位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の上に配置され、該下降位置のファイバーの自由端が該チューブ末端領域の下に配置される、ファイバー、および
2つの位置間で可動性であるアクチュエータであって、該アクチュエータが、該ファイバーの上昇位置と下降位置との間で該ファイバーを移動するために該ファイバーに作動可能に接続され、それによって、該チューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、該チューブから該チューブの下に配置された該基板上に放出される、アクチュエータ、
を備える、装置。
(35)基板の表面上に、選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにおいて終結する、チューブ、
該チューブ内での軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、そして該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバーの振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通るのを防止するような寸法にされた、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動ユニットであって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数、および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動ユニット、
を備える、バルブ装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の局面の1つにおいて、本発明は、基板(単数または複数)上の複数の間隔をあけた領域に予め決定された容量の液体をミクロスポッティング(micro−spotting)するための装置を提供する。
【0010】
1実施形態において、この装置は、選択された液体(生物学的サンプル、生物学的試薬など)を含むように適応されたチューブを含む。このチューブの下端は、約1mm未満の直径を有するオリフィスを規定する。例示的な構成において、このオリフィスの直径は、約500μm未満であり、好ましくは、約200μm未満である。伸長ファイバーは、上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のためにチューブ内に配置される。このファイバー(自由端を有する)は、チューブの下端の内径未満である直径を有して提供される。1つの例示的な配置において、ファイバーの直径は、オリフィスの直径より小さく、約10〜100μmの間にある。例えば、約100μmの直径を有するファイバーは、約110〜200μmの間の内径を有するチューブ内に配置され得る。ワークピースホルダーは、スポッティングのための選択された基板(単数または複数)を保持するために使用され得る。その上昇位置において、ファイバー自由端は、このような基板の表面から間隔があけられる。その下降位置において、ファイバー自由端はその基板の表面と接触する。
【0011】
移動手段は、上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動するためにファイバーに作動可能に接続される。この移動手段は、例えば、線形アクチュエータまたは垂直アクチュエータなどのようなアクチュエータであり得る。位置付け手段(positioning means)は、ワークピースホルダーに対して側方的に、基板に対して選択された堆積位置に、チューブおよび付随のファイバーを位置付けするために、提供される。この位置付け手段は、基板および/またはチューブ、ファイバーおよび移動手段を移動するように適応され得る。1実施形態において、例えば、位置付け手段は、チューブおよび移動手段に作動可能に接続されたx−yポジショナー(例えば、自動制御されたx−y可動アーム)である。
【0012】
制御ユニットは、連続的に、(i)基板に対する選択された堆積位置でチューブおよび付随のファイバーを位置付けし、そして(ii)その下方位置にファイバーを移動して、このような基板上に選択された容量の液体を堆積する場合における使用のための、位置付け手段および移動手段に作動可能に接続される。好ましい実施形態において、ファイバーは、(i)側方的に可撓性であり、そして(ii)その長手軸に沿って実質的に非圧縮性である。このような特性を有する適切なファイバーは、例えば、光ファイバーを含む。有利なことに、これらの特性により、移動手段からファイバーへの運動の効率的な伝達、およびファイバーのたわみまたはそりによってチューブの下端と基板との間の距離の変動の適応が可能となる。
【0013】
1実施形態に従って、装置は、ワークピースホルダー内の複数の異なる基板の各々上の予め選択された位置に予め決定された容量の液体をミクロスポッティングする際における使用に適応される。この実施形態において、制御ユニットは、各基板上のこのような予め選択された位置に連続してチューブを位置付けするのに作動可能である。
【0014】
1実施形態において、チューブは、実質的に均一な直径を有し、選択された液体を保持するためのより大きな直径の上方リザーバを含む。このチューブおよびリザーバは、別々に形成されて、後に一緒に取り付けられ得るか、またはそれらは一体的に形成され得る。
【0015】
別の実施形態において、チューブの内径は、オリフィスの直径を有する規定された容量のチューブ末端領域に下向きに向かって先細になっている。チューブ末端領域の直径は、この実施形態において、ファイバーの直径と実質的に同じである。上昇位置にあるファイバー末端は、チューブ末端領域上に配置され、その結果、その上昇位置から下降位置までのファイバーの移動は、チューブ末端領域内に含まれる容量の液体をチューブから放出するのに有効である。
【0016】
特に、基板上の選択された堆積領域において同時に予め決定された容量の1つ以上の選択された液体をミクロスポッティングにおいて特に有用である装置の1実施形態は、複数のチューブ、および付随のファイバー、および移動手段を備える。このチューブは、例えば、マニホルド内に設けられたチャネルの形態をとり得る。ファイバーのたわみは、チューブの下端と基板の関連した位置との間の距離の変動に適応する。
【0017】
本発明は、さらに、基板上に予め決定された容量の選択された液体をミクロスポッティングするための装置を提供し、これは、約1mm未満の実質的に均一の直径を有する規定された容量のチューブ末端領域へ下向きにむかって先細になっている内径を有するチューブを含む。1実施形態によれば、チューブ末端領域に沿った直径は、約500μm未満であり、好ましくは、約200μm未満である。このチューブは、毛細管または表面張力によって選択された液体を含むように適応される。チューブ末端領域の直径と実質的に同じ直径を有する伸長ファイバーは、チューブ内で上昇位置と下降位置との間の軸方向の運動のためにチューブ内に配置され、ここでファイバーの自由端は、それぞれ、チューブ末端領域の上下に配置される。移動手段(例えば、線形アクチュエータまたは垂直アクチュエータのようなアクチュエータなど)は、ファイバーの上昇位置と下降位置との間でファイバーを移動するためにファイバーに作動可能に接続され、それによってチューブ末端領域内に含まれる規定された容量の液体が、チューブからこのチューブの下に配置された選択された基板上に放出される。
【0018】
好ましい実施形態において、ファイバーは、その長手軸に沿って、(i)側方的に可撓性であり、かつ(ii)実質的に非圧縮性である。例えば、このファイバーは光ファイバーであり得る。有利なことに、これらの特徴によって、移動手段からファイバーへの運動の効率的な伝達を可能にし、そしてファイバーのたわみまたはそりによって、チューブの下端と基板との間の距離の変動の適応を可能にする。
【0019】
1実施形態によれば、ファイバーがその下降位置に移動したとき、基板と接触する。別の実施形態において、このファイバーは、その下降位置に移動したとき、基板から間隔をあける。
【0020】
ミクロスポッティング装置は、複数の基板の各々において予め選択された位置で予め決定された容量の液体をミクロスポットするために使用され得る。1つのこのような実施形態において、この装置は、さらに予め選択された位置においてチューブおよび付随のファイバーを連続的に位置付けするための位置付け手段を含む。ファイバーのたわみは、チューブの下端と異なる基板位置との間の距離の変動に適応する。
【0021】
別の実施形態において、この装置は、基板上の複数の選択された堆積領域に予め決定された容量の1つ以上の選択された液体を同時にミクロスポットする際の使用に適応する。この実施形態において、この装置は、複数のチューブ、および付随のファイバーおよび移動手段をさらに備える。例示的な配置において、チューブ末端領域は、約200μm未満の直径を有し、このファイバーは可撓性ファイバーであり、そしてこの下降位置にあるファイバーは、基板と接触するように適応される。さらに、ファイバーのたわみは、チューブの下端と基板上の関連した位置との間の距離の変動に適応する。
【0022】
本発明の別の局面は、基板上の液体−試薬スポットのアレイを製造するための装置を提供する。
【0023】
1実施形態において、このアレイ製造装置は、マニホルド、または複数の毛細管チャネルを有するチャネルアセンブリを備え、各々は、選択された液体を保持するように適応される。このチャネルは、対向する上端開口部および下端開口部を有し、その上端開口部から下端開口部へ向かうにつれ内径が減少する。この実施形態における下端開口部は、スポットアレイのパターン、中心間の間隔、またはピッチを規定する。支持体は、マニホルドに対して上昇位置と下降位置との間で可動性である。複数のファイバーは、それらとの運動のための支持体から懸架される。各ファイバーは、支持体がその上昇位置と下降位置との間で運動される場合、付随のチャネル内で長手軸方向に運動するように適応される。それらの上昇位置から下降位置までのファイバーの運動は、マニホルド内の各チャネルからの選択された容量の液体を堆積するのに有効である。
【0024】
1実施形態は、上昇位置と下降位置との間で支持体を移動するために支持体に作動可能に接続された移動手段をさらに提供する。
【0025】
マニホルドの隣接する上端開口部間の間隔は、隣接する下端開口部間の間隔と同じであり得るか、または異なり得る。1実施形態において、隣接する上端開口部間の間隔は、隣接する下端開口部間の間隔より実質的に大きい。例えば、下端開口部間の間隔は、上端開口部の2分の1、3分の1、または4分の1であり得る。
【0026】
1実施形態によれば、このファイバーは、横たわる基板をその下降位置の支持体と接触させるように適応され、そしてその付随チャネル末端と基板上の接触点との間で延びるファイバーの長さの変動は、ファイバーのたわみによって適応される。
【0027】
1つの特定の構成において、チャネルのそれらの下端における直径は、約200μm未満であり、そして付随のファイバーの直径より約10〜100μm大きい。
【0028】
別の例示的な構成において、各チャネルは、チャネルの下端で終結する下端領域に沿って延びる実質的に均一な直径を有する。さらに、各チャネル末端および領域の直径は、実質的に付随のファイバーの直径と同じである。このファイバー末端は、その上昇位置にある場合、チャネル末端領域上に配置され、その結果、その上昇位置から下降位置までのファイバーの移動は、チャネル末端領域に含まれる容量の液体をチャネルから放出するのに有効である。
【0029】
本発明のさらなる局面は、選択された量の液体を測量する際における使用のためのバルブ装置(valving apparatus)を基板の表面上に提供する。
【0030】
1実施形態によれば、本発明のバルブ装置は、選択された液体を保持ためのリザーバを含む。チューブは、リザーバから延び、選択された基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにて終結する。ファイバーは、チューブ内の軸方向の振動運動のためにチューブ内に配置され、ファイバーの下方部分はオリフィスを通って延びる。チューブの内径およびファイバーの直径は、ファイバー振動の非存在下で、流体流れがオリフィスを通過することを防止するような寸法にされる。振動手段(例えば、振動ユニット)は、ファイバーを振動するためにファイバーに作動可能に接続し、ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを含み、それによってその量の液体がチューブオリフィスを通過することが可能となる。
【0031】
バルブ装置の一実施形態は、チューブおよびファイバーを、1つの選択した側方位置から別の位置に、基板に対して位置決めするための位置付け手段を備える。例示の配置において、この位置付け手段は、チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に連結される。
【0032】
一実施形態において、振動手段は、少なくとも約10ヘルツ、好ましくは、少なくとも100ヘルツの振動数を生成するように適合される。別の実施形態において、振動手段は、少なくとも10μm、好ましくは、少なくとも100μmの振幅を生成するように適合される。
【0033】
1つの例示の構成において、バルブ装置のチューブは、約100μm未満の下側末端の直径を有し、そしてその下側末端におけるファイバーとチューブとの間の間隔は、約25μm未満である。
【0034】
バルブ装置のファイバーは、その振動サイクルの間、選択された基板から間隔をあけられたままであり得るか、またはこれはその振動サイクルの少なくとも一部の間、この基板と接触するように適合され得る。一実施形態において、例えば、このファイバーは、その振動サイクルの間中、基板と接触したままである。
【0035】
別のこの局面において、本発明は、基板上に試薬スポットを形成する方法を提供する。一実施形態によると、この方法は以下の工程を包含する:(i)細長の可撓性ファイバーを、一部の液体をチューブの下側末端のオリフィスを通して汲み出し、それにより垂下した液滴を形成するのに十分な振動数および振幅で、選択された液体を保持するキャピラリーチューブ内で長手軸方向に相反的に移動させる工程;および(ii)この垂下した液滴を基板上の選択された領域に配置する工程。
【0036】
1つの一般的な実施形態によると、この垂下した液滴は、基板の選択された領域内で、液滴および/またはファイバーの先端と接触することによって、基板上に配置される。別の実施形態において、この垂下した液滴は、ファイバーを選択された領域上で間隔のあいた関係に維持し、そしてこの垂下した液滴が重力下で落下するまで、この液滴を拡大することによって、基板上に配置される。
【0037】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の記載から明らかになる。
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい実施形態の以下の議論は、単なる特徴の例示にすぎない。従って、この議論は、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0039】
本発明の1つの局面は、少量の液体試薬を基板上に分配するためのデバイスを提供する。一般に、このデバイスは、液体を含むように適合されたチューブを備える。細長ファイバーは、隆起した位置と低下した位置との間の軸方向の移動のために、チューブ内に配置される。その隆起した位置と低下した位置との間でファイバーを移動または振動させると、液体スポットが基板上の選択された位置で形成され得る。
【0040】
図1に一般に記載されるスポッティングデバイスの1つの例示の配置において、図12に記載されるファイバーは、図14に記載される、その下部末端にオリフィス16を有するチューブ内で、長手軸方向に伸長する。チューブ14は、以下でより詳細に議論されるように、基板上への制御された分配のために、液体試薬(例えば18)を含むように適合される。チューブ14は、例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、または当業者が適切であると認める他の材料から形成され得る。チューブ14と流体連絡して配置されるリザーバ20は、液体試薬の供給源を受容および保持するように適合される。レザーバ20は、チューブの試薬内容物が使い果たされると、液体試薬をチューブ14に供給する。例示の構成において、皮下注射針(ゲージ30、1/4インチ長、90°のブラントエンド)は、チューブとして用いられ、そして付随のプラスチックルアーハブはレザーバとして使用される。
【0041】
通常、毛管力または表面張力は、チューブの下側オリフィスからの液体試薬のフリーフローを防止する。この点において、このチューブの下側領域は、キャピラリーサイズであり得、その結果、毛管力はオリフィス16からの液体試薬18のフリーフローを防止する。例えば、オリフィス16、およびそれらから上向きに伸長しているチューブ14の領域は、2mm未満、好ましくは、約1mm未満の内径で形成され得る。1つの特定の構成において、チューブ14の下側領域に沿った内径は、約200μm未満である。所望の毛管作用をさらに与えるために、チューブ14のキャピラリーサイズ領域は、親水性、すなわち、水和性である内面を設けられ得る。例えば、チューブ14の内面は、親水性材料から形成され得、そして/または親水特性を示すように処理され得る。一実施形態において、内面は、未変性か、結合したかまたは共有結合した荷電した基を有する。1つの適切な表面は、ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリ−1−リジン)の吸収層を有するガラス表面である。
【0042】
チューブ14は、疎水性である外面(すなわち、基板上に配置された水性媒体を玉にする表面)を備えられ得る。例えば、チューブ14の外面は、疎水性材料から形成され得、そして/または疎水特性を示すように処理され得る。これは、例えば、オリフィス16の領域に形成された液滴がチューブの外面に沿って広がるのを防止するために有用であり得る。最下部の先端において、液滴を小球の形態に維持することもまた有用であり得る。様々な公知の疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレン)が、所望の疎水特性を得るために利用され得る。さらに、または代替として、種々の潤滑剤または他の従来的な疎水性フィルムが、チューブの外面、特に出口16に近接したチューブの下側領域に沿って塗布され得る。
【0043】
続いて図1の実施形態を参照すると、ファイバー12の直径は、チューブ14の内径より小さい、約10〜500μmの間である。この点において、ファイバー12は、約25〜1,000μmの直径を有し得る。一実施形態によると、ファイバー12は、約200μm未満、好ましくは約100μm未満の直径を有する。1つの特定の配置において、約75μmの直径を有するファイバーは、その下側領域に沿って約100μmの内径、および約200μmの外径を有するチューブ内で長手軸方向に伸長する。別の配置において、約50μmの直径を有するファイバーは、その下側領域に沿って約75μmの内径、および約200μmの外径を有するチューブ内で長手軸方向に伸長する。
【0044】
明らかになる理由のため、ファイバー12は、好ましくは、側方に可撓性であり、そして長手軸方向に収縮可能であるように構成される。ファイバー12を形成するのに適切な材料には、光ファイバーの作製に典型的に用いられる材料(例えば、ガラス、プラスチック、シリカ、石英など)が挙げられる。適切な光ファイバーは、多数の市販の供給源から入手可能である。約0.002インチ(すなわち、約50.8μm)の直径を有する1つの特に好ましいファイバーは、Edmund Scientific Co.(Barrington,N.J.)により、カタログ番号F54014で供給されるものである。
【0045】
以前に示されたように、ファイバー12は、隆起した位置と低下した位置と間の軸方向の運動のために、チューブ14内に配置される。本実施形態において、隆起した位置にある場合、ファイバーの自由端またはチップ12aは、選択された基板の表面(例えば、スライド22)から間隔をあけられる。低下した位置まで移動される場合、チップ12aは、基板22の表面に接近する。
【0046】
移動手段は、その隆起した位置と低下した位置との間で、この手段を移動するためのファイバー12に作動可能に連結される。この移動手段は、例えば、2つの位置の間で移動可能なアクチュエーター(例えば、直線アクチュエーターまたは垂直アクチュエーターなど)を備え得る。図1の実施形態において、例えば、ソレノイドアセンブリ24は、ソレノイドピストン26を下に下げ、次いで、例えば、ピストンバイアス下で、ピストンを通常の持ち上がった位置(点線で示される)まで解放するように作動可能である。多くのソレノイドは、市販の供給源から入手可能であり、そして適切なモデルは、当業者によって容易に選択される。本明細書中で使用するために考案される1つの特定のソレノイドは、Jameco Electronics Components(Belmont、California)から、部品番号145314(12VDC Continuous Tubular Push/Pull Solenoid)として入手可能である。一実施形態において、ソレノイドは約1mmのストロークで、ファイバーを上下に移動させるように作動可能である。
【0047】
ファイバーを移動するために有用な他のアクチュエーターには、例えば、空気圧式アクチュエータ、水圧式アクチュエータ、磁気アクチュエータおよび圧電式アクチュエーター、ならびに下向きの運動力を生じ、続いてレシプロケーションを生じるように作動可能なモーターアセンブリ(例えば、ステッパー)が挙げられる。いくつかの特定のアセンブリ(これは、移動手段として本明細書中で使用するために容易に適合され得る)は、例えば、米国特許第3,164,304号;同第3,329,964号;同第3,334,354号;同第5,443,791号;同第5,525,515号;同第5,551,487号;同第5,601,980号;および同第5,807,522号に開示され、これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。
【0048】
位置付け手段は、スポッティングデバイスを、直線的にか、またはx−y平面内で移動し、選択された沈着位置にスポッティングデバイスを位置決めするために、使用され得る。この点において、特定の実施形態は、標的の基板を静止したままに保ちつつ、チューブの運動を提供する。他の実施形態によると、基板が所定の位置で往復しつつ、チューブは固定位置に維持される。なおさらなる実施形態は、チューブおよび標的の基板の両方の、連続または並行のいずれかの運動を提供する。
【0049】
位置付け手段の1つの代表的な配置において、スポッティングデバイスは、x−yポジショナーのアーム上に移送される。この配置において、アームは直線的かまたはx−y平面に沿ってのいずれかで移動し、スポッティングデバイスを選択された沈着位置に位置決めし得る。このような運動は、例えば、ロボットアセンブリなどを使用して達成され得る。代表的なロボットデバイスには、例えば、電気的に制御された連結または交差した移動可能アーム(例えば、SCARA、ガントリーおよびCartesianロボット)が挙げられる。もちろん、実質的に同じ目的が達成され得、そして実質的に同じ結果が確保され得さえすれば、任意の他のロボットメカニズムが、本発明に従って使用され得ることが理解される。この点において、円筒形ロボット、ポーラーロボット、連接ロボットなどが利用され得る。一実施形態において、位置付け手段は、電動式x−yキャリジまたはレールアセンブリを備える。例えば、AUTOMOVE(登録商標)402(Asymtek(Carlsbad,CA)から入手可能)は、x−yの位置決めおよびソレノイドの活性化のために使用され得る。
【0050】
上記の配置において、チューブを支持するアームは、チューブを解放可能に把持し得るクランプを備え得る。この配置により、所望ならば、チューブは異なるチューブ(例えば、異なる液体試薬を充填されたチューブ)と交換され得る。
【0051】
本明細書中で使用するために考案される1つの特定の位置付け手段が、ここで詳細に記載される。この装置は、平面の部分概略図で図2に示される。この装置におけるスポッティングデバイス8は、図1に関して上で記載される基本構造を有し、そして下側オリフィスで終結するチューブ14を備える。このスポッティングデバイス8のチューブ14内で軸方向に配置されるファイバー12は、基板の表面に向かいそしてこれから離れて移動するように適合されて、本明細書中で記載されるように、選択された容量の液体サンプルまたは試薬を分配する。ソレノイド24または他の移動手段は、この運動を行う。ソレノイド24は、制御装置52の制御下にあり、この制御装置の作動は、以下に記載される。
【0052】
スポッティングデバイスは、アーム54上に移送され、このアーム54もまたステッパーモーター62によって装置52の制御下で、所望の方向に駆動(または回転)されるウォームスクリュー58にネジで取り付けられる。この図の左末端において、スクリュー58は、スクリューの軸の周りの回転のためにスリーブ64内に移送される。この他方の末端において、このスクリューは、ステッパーモーターのドライブシャフトに取り付けられ、次にスリーブ66上に移送される。スポッティングデバイス、ウォームスクリュー、このウォームスクリューを取り付ける2つのスリーブ、およびこのデバイスを図において「x」(水平)方向に移動するのに使用されるステッパーモーターは、変位アセンブリ66とまとめて称されるものを形成する。
【0053】
この変位アセンブリは、スクリューの方向の正確なミクロ範囲の移動(すなわち、図のx軸に沿う)を生成するように構成される。1つの様式において、このアセンブリは、スポッティングデバイスを、5〜500μmの範囲の選択された距離を有するx軸の増加量ずつ移動させるように機能する。別の様式において、スポッティングデバイスは、スポッティングデバイスを隣接する基板上の関連した位置に位置決めするために、数ミクロン以上の正確なx軸増加量ずつ移動され得る。
【0054】
次いで、図の「y」(垂直)軸の移動のため、スポッティングデバイスを選択されたy軸の位置に位置決めするための変位アセンブリが取り付けられる。このアセンブリを取り付ける構造は、一対のフレームバー70、72の間に固く取り付けられた固定ロッド68、および一対のフレームバー76、78の間の回転のために取り付けられたウォームスクリュー74を備える。ウォームスクリューは、装置52の制御下で作動するステッパーモーター80によって駆動(回転)される。このモーターは、示されるように、バー79に取り付けられる。
【0055】
ウォームスクリュー74およびモーター80を備えるすぐ上で記載された構造は、スクリューの正確なミクロ範囲の方向の移動(すなわち、図のy軸に沿う)を生成するように構成される。上記のように、1つの様式において、この構造は、スポッティングヘッドを、隣接する基板上の関連した位置に位置決めするために、スポッティングヘッドを5〜500μmの範囲の選択された距離を有するy軸の増加量ずつ移動させるように機能し、第2の様式において、スポッティングヘッドを数ミクロン以上のy軸の正確な増加量ずつ移動させるように機能する。
【0056】
この装置におけるワークピースホルダー82は、複数の基板(例えば、基板22)(この基板上で、試薬領域のマイクロアレイがこの装置により形成される)を保持するように機能する。ホルダーは、多数の溝型スロット(例えば、スロット86)を提供し、これは基板を受容し、そしてこれらをスポッティングデバイスの位置付け手段が取り付けられたフレームバーに関して正確な選択された位置に位置決めする。
【0057】
上記のように、このデバイスにおける制御装置は、試薬領域の選択されたマイクロアレイを各複数の基板上に形成する際に、装置の自動作動のために設計された順で、2つのステッパーおよびソレノイドを作動するように機能する。
【0058】
制御装置は、従来のマイクロプロセッサー制御原理に従って構成され、適切なシグナルを、所定のタイミングの順で、適切なシグナル伝達時間の間、ソレノイドおよびステッパーモーターの各々に提供する。この装置の構成、および所望のアレイパターンを達成するように使用者によって選択される設定は、典型的な装置の作動の以下の説明から理解される。
【0059】
最初に、1つ以上の基板が、ホルダー中の1つ以上のスロット内に配置される。モーター62、80は、次いで、スポッティングデバイスを、第1基板の選択されたアレイの位置に位置決めするように作動される。スポッティングデバイスのソレノイドの作動は、次いで、この位置において、試薬の選択された容量のアリコートを分配する。この作動は、例えば、好ましくは約1μlより少ない選択された容量(例えば、約2plと2nlとの間)の液体試薬を分配するのに有効である。
【0060】
スポッティングデバイスは、ここで、隣接する基板の対応する位置まで移動され、そして同じ容量の液体試薬がこの位置で分配される。このプロセスは、試薬が各基板上のこの予め選択された対応する位置で分配されるまで繰り返される。
【0061】
単一の試薬を基板上の2つより多いアレイの位置に分配することが所望される場合、このスポッティングデバイスは、スポッティングデバイスを新たな基板まで移動させる前に、各基板の異なるアレイ位置まで移動され得るか、または液体試薬は、1つの選択された位置において、各基板上の別個の位置で分配され得、次いでこのサイクルが各新たなアレイ位置ごとに繰り返される。
【0062】
次の試薬を分配するために、スポッティングデバイスは、異なる選択された試薬を含む別のこのようなデバイスと交換される。対応する第2のアレイ位置の各々で試薬を分配するプロセスは、次いで、上記のように行われる。このプロセスは、各基板上の液体試薬のマイクロアレイ全体が形成されるまで繰り返される。
【0063】
位置付け手段として本明細書中で使用するために容易に適合され得るいくつかの他のx−y位置決めアセンブリは、例えば、米国特許第5,443,791号;同第5,551,487号;同第5,587,522号(これらの各々は、本明細書中で参考として援用される)に開示される。
【0064】
以前に記載されたように、位置付け手段は、代わりに、またはさらに、基板をスポッティング位置まで移動させるように適合され得る。この点において、基板はロボットアセンブリによる操作のために適合され得るか、またはコンベア、またはx−y移動可能ステージもしくはプラットフォーム上で支持され得る。
【0065】
任意の所望の基板(単数または複数)が、本発明と共に使用され得、これにはスライド、カード、プレート、チップなどが挙げられる。1つの一般的な実施形態において、基板表面は比較的親水性、すなわち、水和性である。例えば、表面は、未変性か、結合したかまたは共有結合した荷電基を有し得る。1つのこのような表面は、ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリ−1−リジン)の吸収層を有するガラス表面である。一実施形態において、例えば、水性または大部分が水性の試薬溶液または生物学的サンプルが親水性表面を有するスライド上にスポットされる。別の実施形態において、基板表面は比較的疎水特性(すなわち、表面上に配置された水性媒体を玉にする)を有するかまたはこの特性を有するように形成される。様々な公知の疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレン)は、所望の疎水特性を有し、基板表面に塗布され得る様々な潤滑剤または他の疎水性フィルムとして働く。
【0066】
いくつかの場合、液滴がアレイ操作が完了するまで乾かないように、湿った環境に試薬をスポットすることが所望される。
【0067】
基板をスポットするいくつかの例示的デバイスおよび方法を、図3〜図6に示す。概して、本発明のスポッティングデバイスは、基板の選択領域上に配置される。典型的な動作では、これは、基板の選択領域をスポッティングデバイスに合わせることにより達成され、それにより、選択領域は、スポッティングデバイスの中心縦軸の捕外法(extrapolation)により規定される直線を横切る。次いで、アリコートの液体をチューブから基板の選択領域上に移動させるために効果的な方法で、スポッティングデバイス内で軸方向に動きを適合させた細長いファイバーを、スポッティングデバイスの上位と下位との間で移行するか、または振動させる。上記の移動手段および位置付け手段のうちのいずれもが、以下の実施形態と共に使用され得ることに留意されたい。また、任意の適切な制御装置(例えば、図2の52)が利用され得る。
【0068】
ファイバーは、サイクル内で上位から下位まで往復移動し逆行するにつれ、ファイバーの終端および末端は、本明細書中で「ストローク」と呼ばれる経路を介して移動することもまた留意されたい。フォワードストロークに沿って、先端は前端から後端に移動する。バックストロークに沿って、先端は、後端から先端に逆に移動する。
【0069】
図3A〜図3Cに示す1実施形態において、ストロークの始点(すなわち、前端)において、ファイバー12の先端12aは、ファイバー12の断面が、オリフィス16でチューブ14の末端リムが規定する平面を横切るように、チューブ14の外部に位置する。ファイバーの先端12aは、図3Aに図示された開始位置から選択基板(例えば、スライド22)の表面に移動させられ、結果的に、図3bに示すように、先端12aが選択基板領域22aと接触する後端に至る。ファイバー12が、先端12aの表面を含む自身の内部表面上で共に液体試薬18の層を運ぶことに留意されたい。基板と接触して、液体試薬の少量部および制御部は、先端12aから基板22の選択領域22aに届けられる。基板22と接触した後、ファイバー12は、上位から移し戻され、基板の表面上28において液体のスポットを残す。次いで、スポッティングデバイスは他の選択領域上に配置され、所望ならばさらなるスポットを横たえ得る。利用される繰り返し率は、2〜3ストローク/秒(例えば、約1〜10Hzの領域内)であり得る。1実施形態において、繰り返し率は、約5ストローク/秒である。
【0070】
スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差は、本発明のスポッティングデバイスを使用して好結果を達成するために重要でないことが理解されるべきである。つまり、ファイバーは、基板表面とほんのわずかに接触した後、自身の上位まで後退し得るか、またはファイバーは、ファイバーの先端を基板との接点に運ぶために、基板表面に向かい必要とされるものよりさらに低くなり得る。一旦、先端が基板表面に接触すると、ファイバーの可撓性はファイバーが撓むことまたは曲がることを有利に可能にする。つまり、ファイバーが撓むことにより、スポッティングデバイスの低端部と基板の表面との間の距離の差異が調整され得る。図示を簡略化するために、これを図3Bに誇張様式で示す。
【0071】
ファイバーの縦方向の非圧縮性は、移動手段からファイバーの先端までの、効果的な伝送の運動を提供する。有利に、この特性は,比較的長いファイバー(例えば、10、20、30cm、またはそれ以上)を含む、長さを変化させるファイバーの使用を可能にする。
【0072】
他の実施形態(図示せず)において、今述べた実施形態と同様に、フォワードストロークは、接触を実質的に行うことなく、基板の選択表面領域と非常に近いファイバーの先端を運ぶ。これは、ファイバーの末端部の液体試薬が、基板表面と接触し付着することを可能にすると同時に、先端自身と基板表面との間の物理的接触を回避する。この実施形態は、特定の目的に有利である一方、この場合、スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差が必要とされるために、先に記載の実施形態よりも概して好ましくないことが理解されるべきである。
【0073】
他のスポッティング方法を図4A〜図4Cに示す。ここで、ストロークの開始点(すなわち、前端)において、ファイバー12の先端12aは、オリフィス16でチューブ14の末端リムが規定する平面上でチューブ14内に置かれる。ファイバーの先端12aは、図4Aに示すこの開始点から選択された基板(例えば、スライド22)へと移動される。先端12aの、プランジャーまたはピストンのような作用は、チューブ14の低端部領域18から液体試薬18のアリコートを押し出すように作用する。このような方法で押し出された液体量は、先端12aが基板22へと移動する時に、先端12aの下側領域を占有する液体容積に部分的に依存する。従って、本実施形態において、チューブ内の先端の前端の位置は、基板上にスポットすることを所望される液体量により、典型的に少なくとも部分的に規定される。本実施形態において堆積された液体量を制御するために調節され得る他の変数は、先端12aの表面領域およびファイバーをチューブの内部表面から分離する間隙の距離を含む。
【0074】
先端12aが先端のストロークを介して基板へと移動されるにつれて、先端12aは結果的に基板22と接触するファイバーの末端に到達する。基板22と接触した後、ファイバー12は、図4Cの28におけるように液体のスポットを基板表面上に残してファイバーの上位に逆移行される。次いで、スポッティングデバイスは他の選択領域上に配置され、所望ならばさらなるスポットを横たえ得る。先に記載された実施形態と同様に、利用される繰り返し率は、2〜3ストローク/秒(例えば、約1〜10Hzの領域内)であり得る。1実施形態において、繰り返し率は、約5ストローク/秒である。
【0075】
ファイバー12のピストンのような作用は、今述べたように、図3A〜図3Cの実施形態と比較して液体の厚い層をファイバーの低端部領域で生成させることが理解されるべきである。従って、本実施形態は、より大きな容積を有する試薬スポットを生成するために使用される。
【0076】
他の実施形態(図示せず)において、今述べた実施形態と同様にファイバーの先端は、基板と接触することなく基板の選択表面領域へと移動され得る。例えば、基板に向かうファイバーの先端は、例えば、慣性により、基板上のファイバーから液体が投じられるまたは排出されるように突然停止するか、または反転する。または、ファイバーの先端は、ファイバー上で運ばれる液体試薬が基板に届いて付着するように、物理的に基板と接触することなく、基板表面と非常に接近した近傍に移動させられ得る。
【0077】
本発明のさらなる局面は、バルブ装置に、選択された量の液体を基板の表面で計測する使用方法を提供する。1実施形態において、図5および図6に示すように、チューブ14は、先に記載されたスポッティングデバイス同様に、上端部において試薬供給リザーバ20に通じて、低端部においてオリフィス16で終端する。ファイバー12は、軸方向の振動運動用にチューブ14中に配置される。
【0078】
チューブ14の直径およびファイバー12の直径は、ファイバーの振動がない状態でオリフィス16を介する流体フローを妨げるように設計される。例えば、1実施形態において、チューブ14は、約200μm未満の低端部直径、および好適には、約100μm未満の低端部直径を有し、低端部におけるファイバーとチューブとの間隔は、約50μm未満、および好適には約25μm未満である。
【0079】
振動手段は、ファイバー12を振動させるために、ファイバー12と有効に接続する。振動手段は、例えば、ファイバーに適応される振動振幅、振動周波数、および振動時間を規定する制御ユニットを備える振動ユニットを含み、それにより、液体量がオリフィス16を通過することを可能にする。振動ユニットは、このように制御された方法で、ファイバーをチューブ内で軸方向に振動させることが可能な任意のデバイスを備える。適切な振動ユニットは、例えば、ソレノイドまたはモータアセンブリか、あるいは含気性、水硬性、磁気ひずみ、または圧電性のアクチュエータを備え得る。1実施形態において、振動手段は、少なくとも約10Hzの、および好適には、少なくとも約100MHzの振動周波数を生成するために適合される。好適に、振動手段は、少なくとも約10μm、および好適には少なくとも100μmの振動振幅を生成するために適合される。
【0080】
バルブ装置は、基板に関するチューブおよびファイバーを、選択された側方変位から他の選択された側方変位へ配置する位置付け手段をさらに備え得る。1実施形態において、位置付け手段はチューブ、ファイバー、および振動手段と有効に接続される。位置付け手段は、スポッティングデバイスに関して上記したようなデバイスを備え得る。
【0081】
動作において、ファイバー12は、相反様式(reciprocal fashion)で、液体保持チューブ内で軸方向に移動し得る。このような振動運動は周波数および振幅において、ならびにチューブ14の低端部でオリフィス16を介して選択液体試薬量18を吸い出すのに十分な時間長さで発生し、これにより、図5の18aにおけるような、ぶら下がった液滴を形成する。ぶら下がった液滴は、液滴を選択基板領域に接触させることにより、基板の選択領域において配置され得る。1実施形態において、ファイバーの先端12aは、基板との接触点に移動される。このような接触点は周期的(例えば、ファイバーの振動につき1回)であり得るか、または、ファイバーが自身の振動サイクル全体にわたり基板と連動するように連続的であり得る。図6に示すような「液体ブリッジ」のような構成は、比較的大きな試薬スポットの生成を可能にすることが理解されるべきである。あるいは、ぶら下がった液滴は、選択領域上で間隔の開いた関係を維持し、ぶら下がった液滴が重力で落下するまで、自身を増大させることにより基板上に配置され得る。
【0082】
本発明の他の例示的スポッティングデバイスを、図7A〜図7Eに示す。先の実施形態と同様に、可撓性ファイバー12は、低オリフィス16を有するチューブ14を介して縦方向に伸張する。しかしながら、本実施形態において、チューブ14の内径は、規定量のチューブおよび領域の下側に進むにつれて次第に細くなり、概して14aに示すように、実質的に均一な直径を有する。好適に、チューブの端部領域14aの直径は、オリフィス16の直径と実質的に同一である。さらに、チューブ14の低端部領域14a、近接オリフィス16に沿う内径は、ファイバー12の直径と非常に近く(例えば、約10μm)、好適には、実質的にファイバー12の直径と同一である。例えば、1実施形態において、領域14aに沿うファイバーの直径およびチューブの内径の両方は、約200μm未満であり、好適には約100μm未満である。他の実施形態において、これらの量は約50μmである。チューブの上位のより大きな直径部は、スポッティング動作が達成されるにつれて、液体試薬を下位のチューブ部に搬送するための供給リザーバ20として機能し得る。
【0083】
移動手段は、上位と下位との間でファイバーを移行するために、ファイバー12と効果的に接続される。上記装置は、1つの選択された側方変位から他の選択された側方変位へ、基板に関してチューブおよびファイバーを配置する位置付け手段をさらに備え得る。1実施形態において、位置付け手段は、チューブ、ファイバー、および振動手段と効果的に接続される。移動手段および位置付け手段は、本明細書中で先に述べられたようなデバイスを備える。
【0084】
典型的な動作の工程を、図7A〜図7Eに実質的に示す。まず、移動手段(図示せず)は、ファイバー12を、図7Aの自身の上位からスライド22のような基板へと移行する。特に、ファイバー12が自身の上位にあると、ファイバーの先端12aは、チューブの端部領域14a上に配置される。ファイバー12が、自身の上位から下位に移行するにつれて、チューブの端部領域14aを占有する液体試薬18の容積は、図7Bに示すようにチューブ14から放出される。図7Cに示すように、ファイバー12が自身の下位に到達すると、放出された液体試薬は基板22の選択領域22aに移動させられる。図7Dおよび図7Eに示すように、ファイバー12を、自身の上位へ逆移行させるにつれて、液体試薬28のスポットは基板22の表面上に残される。ファイバーが流体コンテナ(図7E)中へ完全に縮まされると、所望ならば、他の配置サイクルは開始される状態にある。
【0085】
ファイバーと基板との間の接触を含む先の実施形態と同様に、スポッティングデバイスと基板との間の正確な公差は、今述べたスポッティングデバイスを使用し好結果を達成するために重要でないことが理解されるべきである。図示の簡略化のために図7Cに誇張様式で示すように、一旦、先端が基板表面に接触すると、ファイバーの可撓性は、有利にファイバーが撓むことまたは曲がることを可能にする。つまり、ファイバーの可撓性は、スポッティングデバイスの低端部と基板の表面との間の距離の差異を調整し得る。ファイバーの縦方向の非圧縮性は、移動手段からファイバーの先端までの効果的な伝送の運動を提供することがまた理解されるべきである。
【0086】
1実施形態は、ファイバーの低先端が基板表面と決して接触しないことを除いて、図7A〜図7Eの動作と実質的に同様の動作を提供する。例えば、慣性により、基板上のファイバーから液体が投じられるまたは排出されるように、基板へのファイバーの先端の運動は突然停止し得るか、または反転し得る。または、ファイバーの先端は、ファイバー上で運ばれる液体試薬が基板に届いて付着するように、物理的に基板と接触することなく、基板表面と非常に接近した近傍に移動させられ得る。
【0087】
本発明のさらなる局面は、手動可能なスポッティングデバイス(図示せず)を提供する。本実施形態において、チューブは、操作者の手中に十分適合するように設計される。この点において、ハンドデバイスの外形寸法は、好適に標準的な筆記用具(例えば、インクペン、シャープペン等)の外形寸法と類似する。例えば、チューブは約0.75〜1.50cmの間の外径および約10〜20cmの間の長さを有し得る。細長い可撓性ファイバー、例えば光ファイバーは、チューブ内で、軸方向の運動のために上位と下位との間に配置される。チューブは、(例えば、毛細管力(capillary force)を手段として)堆積用の選択液体試薬を保持するように適合される。チューブの内側寸法およびファイバーの寸法は先の実施形態のいずれかについて設計され得る。
【0088】
ハンドデバイスのファイバーは、ファイバーの上端部において、チューブ内の逆運動に適合させる位置に取りつける。通常、その位置は、コイルスプリングまたは他の偏向機構により、チューブの低オリフィスから離れてチューブの頂点へと向けられる。この位置において、ファイバーは自身の上位へと移行され、実質的にチューブ内へ縮まされる。本実施形態において、移動手段は、チューブの上端部において開口部を通して突き出る端部領域を有する下降シャフトを備える。チューブ内に位置する他の移行の終端は、効果的にピストンを行う。(例えば、操作者の握り手の親指を使用して)ロッドを押し下げる際に、ピストンがチューブを通して下側に押されるように、コイルスプリングの通常の偏向力は超越し得る。ピストンのこのような運動は、ファイバーの低端部がチューブの低オリフィスから突き出るように、ファイバーをチューブ内の軸方向に移動させる。この位置において、液体スポットはファイバーの先端から、基板の選択位置に伝送され得る。押し下げシャフトを解放する際に、コイルスプリングは自身の上位へファイバーを戻す。
【0089】
他の局面において、本発明は、基板上に液体試薬スポットの配列を生成するスポッティングヘッドを提供する。以下でより完全に記述するように、本発明のスポッティングヘッドは、1秒につき、多数の(例えば、数百、数千の)スポットを横たえるように適応され得る。
【0090】
スポッティングヘッドの1実施形態を図8に示す。本実施形態において、マニホルドとして本明細書中でまた参照されるコンデットまたはチャネルアセンブリ101は、114a〜114bのような複数のチャネルを備える。各チャネル114a、114bは、それぞれ115a〜115bおよび116a〜116bにおいて、逆の上端部および下端部を有する。チャネルは、互いに間隔をあけ固定して維持される。1実施形態において、チャネルはチューブ、バレル、または漏斗の形状を取り、フレームまたはラック本体中に固定される。他の実施形態において、チャネルはモノリシックな構造である。例えば、チャネルアセンブリは、射出成形プロセスを使用し、プラスチックを材料として完全に作製され得るか、または各チャネルは、1単位の材料(例えば、ガラス、プラスチック、金属等)に穴を開けることにより、形成され得る。
【0091】
各チャネルの内径は、上端部の開口から低端部の開口まで進行するにつれて減少する。例えば、チャネルは、概して、円錐形状か、または角型形状であり得る。各チャネルの縦軸は直線状、角状、曲線状、または他の適切な形状であり得る。この点について、図8に示す一般的な形状のチャネルに注意が向けられる。
【0092】
低端部開口のうちの各開口から伸びる各チャネルの領域は、液体(例えば、チャネルに配置される生体サンプルまたは試薬溶液)が通常、毛細管力を用いてチャネル中で保持されるような毛細管サイズ(capillary size)である。所望の毛細管作用(capillary action)をもたらす任意の内径は、本発明の精神内で利用され得る。例えば、毛細管サイズの領域は、約1mm未満の内径、好適には約200μmの内径を用いて使用され得る。所望の毛細管作用をさらに促進するために、各コンデットの毛細管サイズの領域は、親水性の内部表面を提供され得る。
【0093】
直線様式で並列に配列された6つのチャネルのみが、図8において視覚可能である一方、任意の適度な数のチャネルが、任意の所望の空間配置に配置され得ることが理解されるべきである。例えば、マニホルドは、24,48,96,384,1024,1536個、またはそれ以上のチャネルを備え得る。他のレイアウトが可能であるが、このような配列においては、上端部および低端部の開口部は、典型的には規則的配列(例えば、8×12、16×24、32×32、または32×48配列)に配列される。
【0094】
105に示すような支持材を、マニフォルド101に関する上位と下位との間の運動に適合させる。図8の実施形態において、これらは、支持材105が先導される、109aおよび109bとして示すような間隔の開いた平行直線レイル部から構成されるトラックを有するフレーム(例えば、107)を提供することにより達成される。例えば、支持材105は、側端領域の各々に沿って形成される溝またはスロット(図示せず)、各レイル上で滑走可能に取り付けられる各スロットを有する近接レイル109a、109bを備え得る。
【0095】
トラックに沿う支持材105の運動または配置は、手動または自動以降手段により達成され得る。この点について、図9を追加的に参照して、モータアセンブリ121がコントローラ123および電力供給源125と通じている。可撓性ワイアまたはライン127は、モータ121と支持材105との間で伸長する。ワイヤ127の一端は、支持材105の上側で接続される。ワイヤ127の他の側は、モータアセンブリ121が、回転用に適合させるスプール(図示せず)に固定される。1形態において、モータアセンブリ121は、ワイヤ127をそれらの周りで巻くために、スプールを回転させ得、それにより支持材105をトラックに沿ってトラックの上位(図8)へと上に移行させる。他の形態において、モータアセンブリ121は、ワイヤ127をそれらから巻き戻し、次いで伸ばすために、スプールを回転させ得、それにより支持材105をトラックに沿ってトラックの下位(図9)へと下に移行させる。モータを支持材とつなぐワイヤを利用することよりもむしろ、他の実施形態では、ギアアセンブリの使用が考えられる。本明細書中の使用に適切な他の自動移動手段が、例えば、水硬性、または圧電性のアクチュエータを備えることに留意されたい。あるいは、支持材105は手動で移行され得る。
【0096】
複数のファイバー(例えば、光ファイバー112a〜112b)は、支持材との運動のために支持材105上に搬送される。ファイバーは、任意の適切な方法で支持材に固定され得る。例えば、各ファイバーの上端部領域は、支持材105の下側から伸びる各穴の中で受け取られ得る。各ファイバーの上端部は、例えば、摩擦力を用いおよび/または従来の接着剤を用いて、ファイバーの穴で保持され得る。ファイバーは配列され、その結果、隣接するファイバー間の空間が、マニホルド101の隣接する上端部の開口の間の空間と実質的に一致し、これにより、支持材105が低位置へと向かうにつれて、チャネルにつき1つのファイバーの挿入が可能にされる。典型的な配列において、ファイバーは、規則的配列で配置される。
【0097】
支持体105から延びるファイバーの直径、およびチャネルの毛細管サイズの領域の内部寸法は、前述の実施形態のいずれかについて設定されたものと同様である。例示的な配置において、各チャネルの直径は、約200μm未満であり、そして各チャネルは、付随のファイバーの直径より約10〜100μm大きい。別の配置において、各チャネルの下端領域に沿った内径は、実質的に付随のファイバーの直径と実質的に同じである。
【0098】
支持体105をその下方部分に移動する際、各ファイバーの下方チップは、マニホルド101の各チャネルを通して通過され、基板によって占められるように適応される面に導かれる。図9に示されるように、プレート22のような基板がこのような面を占める場合、ファイバーチップは、この位置で基板の表面に当接する。この様式において、各ファイバーはその各チャネル内に保持された液体試薬のアリコートを基板の表面へ移動し得る。マニホルド101の下端開口部アレイが基板22上に形成されたスポットのアレイを規定することは注目されるべきである。
【0099】
図8に最もよく見られるように、支持体105から延びるファイバーは、全て同じ長さではない。むしろ、それらのファイバーは、それらの各チャネルを通って下降する際に、ファイバーがほぼ同時にまたは互いの間隔が短時間で、下に横たわる基板と接触するように、切断される。適切なファイバー長は、チャネルを通してファイバーを通過させることによって確立され得、次いで基板の表面によて占められるように適応された面と交差する領域で各ファイバーを切断する。種々のファイバーが基板面に対してそれぞれ厳密な精度で切断されることは、本発明の首尾一貫した操作にとって重要ではない。なぜなら、ファイバーの付随のチャネルと基板上のファイバーの接触点との間で延びるファイバーの長さの変動はファイバーのたわみによって適応され得るためである。
【0100】
ファイバーアレイの隣接ファイバー間と同じ中心間の間隔、またはピッチを有する試薬スポットのアレイの形成を必要とする適用において、上方開口部アレイと下方開口部アレイの両方のピッチは、ほぼ等しく形成され得る。例えば、1実施形態において、(i)ファイバーアレイ、(ii)上端開口部アレイ、および(iii)下端開口部アレイ、の各々は、全て、実質的に同じ中心間の間隔を有する。他方では、ファイバーアレイと比較して減少したピッチを有する試薬スポットアレイの形成を必要とする適用において、ピッチの異なる上端開口部アレイと下端開口部アレイを有するチャネルアセンブリを利用することは有利である。この型の1つの例示的な実施形態において、チャネル下端開口部アレイは、上端開口部アレイの中心間のピッチより小さい中心間のピッチを有して設けられる。図8および図9は、例えば、下端開口部アレイのピッチが上端開口部アレイのピッチより実質的に小さい実施形態を示す。例えば、下端開口部アレイの中心間のピッチは、上端開口部アレイの約1/2〜1/4の間であり得る。1つの特定の実施形態において、下端開口部アレイの中心間の間隔は、上端開口部アレイの中心間の間隔の約1/3である。
【0101】
1実施形態によれば、複数の基板は、スポッティングヘッド下で実質的に折り返される。例えば、コンベアは、マニホルド下を通過する輸送通路にそって多数の直列配置した基板を運び得る。マニホルドのチャネルは、単一の型の液体試薬、または複数の型の液体試薬を保持し得る。マニホルド下に選択された基板を位置付けする際に、コンベアは休止し得る。この地点で、ファイバーは、それらの上昇位置と下降位置との間を移動し得、基板上にスポットのアレイを置く。所望される場合、このような移動は、1回以上繰り返され、追加の液体を基板に移し得る。所望される場合、このような追加の液体は、すでに置かれたスポットに設置され得るか、またはマニホルド下で側方的に基板を漸進的に移動する際に、以前に基板のスポットされていない領域に設置され得る。次いで、ちょうどスポットされた基板は、マニホルド下から移動され得、新たな上流の基板がスポッティングのための位置まで移動され得る。所望される場合、幾つかのスポッティングヘッドは、輸送通路に沿って各位置に置かれ得る。1実施形態において、コンベアは、互いから側方的にズレた位置で実質的に輸送通路に沿って配置される幾つかのスポッティングヘッド下で延びる輸送通路に沿って1つ以上の基板を折り返す。たとえ、いずれか1つのスポッティングヘッドによって置かれたスポットが広い間隔を有する場合であっても、この配置は、所与の基板上に非常に緻密なスポットの交互配列(interleaving)を提供し得る。
【0102】
一組の液体試薬から異なる組への転換、または空のマニホルドの充填されたマニホルドとの置換は、迅速かつ効率的な様式で達成され得る。例えば、オペレーターまたはロボットは、単純に、存在するマニホルドを除去し得、そしてその位置に別のマニホルドを挿入し得る。この点において、マニホルドは、フレーム内に取り外し可能にスナップロック(snap−lock)するように構成され得る。第1組の液体試薬を保持する1つのマニホルドが第2の異なる組の試薬を保持する別のマニホルドと交換される位置で、ファイバーアレイは容易に変更され得る。この目的のために、ファイバー支持体はまた、フレーム内に取り外し可能にスナップフィット(snap−fit)するように構成され得る。
【0103】
マニホルドの不十分なまたは空のチャネルを再充填することはまた、容易に達成され得る。この点において、チャネルの上端開口部は、ピペットまたはシリンジのような流体充填の従来の手段へ即時アクセスを可能にするのに十分大きい(例えば、直径3mmより大きい)寸法にされ得る。
【0104】
1実施形態において、マニホルドおよびファイバー支持体の両方とも、比較的安価な材料(例えば、プラスチック、金属またはガラス)から、従来のツールおよび/またはモールド手順を使用して構成される。この構成要素のコストを低く維持することによって、新しい試薬セットが導入される際に、ファイバー支持体(ファイバーを有する)および/またはマニホルドを捨てることがコスト効率を良くし得る。これらの構成要素の洗浄および再使用よりむしろ、これらの構成要素の1つまたは両方の廃棄が、夾雑の潜在的原因を除去する。さらに、廃棄可能な構成要素の利用は、洗浄/乾燥の試みに付随する時間、設備、および労働コストを回避するのに役立つ。対照的に、クイル、インクジェット、またはピンのような最も従来のスポッティングシステムは、新たな流体が堆積される各時間において洗浄されなければならない。
【0105】
上記のスポッティングデバイスおよび方法は、液体堆積への比較的低エネルギーアプローチを提供する。例えば、スポッティングヘッドは、1秒間あたり多くのスポット(例えば、数百または数千)を置くための高度に平行なアプローチを利用し得る。注目すべきことに、任意の単一のスポットを置くプロセスは、比較的遅いプロセスである。例えば、各々の別個のファイバーは、1秒間あたり1つのみかまたは幾つかのスポットを置き得る。結果として、スパッタリングおよび誤方向射出(サテライト(satellite))のような非常にエネルギー性のあるスポット堆積、およびそれらから生じる夾雑に関する問題は、本発明によって回避される。
【0106】
本明細書中に記載されるスポッティングデバイスは、最も従来の堆積システムと比べて減少した試薬損失を提供する。本発明によれば、基板上に堆積される液体は、チューブまたはチャネルから、基板の表面上に、使用媒介容器なしに、直接、移される。回避されずに残る残渣およびフィルムのために、媒介容器が代表的に流体を浪費することは、理解されるべきである。非常に少量の流体(例えば、1μm以下)を必要とする適用において、インクジェット内のリザーバまたはクイル内のスプリットのような媒介容器は、許容できない量の流体を浪費し得る。
【0107】
本発明のなおさらなる局面は、例えば、トレイまたはプレート内に形成されるウェルまたは凹部内に液体試薬を分配するための方法および装置を提供する。図10A〜10Eを参照して、スパイク217のような突出部は、マルチウェルトレイ222のウェル219の底部から上向きに延びる。伸長チューブ216のような液体容器は、分配のための液体218を保持する。チューブ216は、毛細管または表面張力によって液体を保持するように適応される。図10A〜10Bに示されるように、メニスカス218aは、チューブ216の下方領域で形成し得る。液体218は、スパイク217がメニスカス218aを貫通するまで、ウェル219に向かってチューブ216を移動することによって分配される。好ましくは、湿潤性の表面を有するスパイクは、チューブからウェル内に液体を引き出す。
【0108】
図11は、プレートまたはトレイの複数のウェル内に1つ以上の液体試薬を同時に送達するための自動化システムを示す。このシステムは、マルチウェルトレイ322のような、基板上の上昇位置と下降位置との間を移動するために適応された、図8および9に関して上で記載されたものと同じマニホルドまたはチャネルアセンブリ301を備える。マニホルド301は、314aおよび314bのような複数のチャネルを備え、各々は、図10A〜10Eのチューブ216の内部と実質的に同じ下端領域を有する。移動手段は、上昇位置と下降位置との間でマニホルド301を移動するように作動可能である。図11の実施形態において、例えば、支持体305は、マニホルド301の上方領域と取り外し可能に係合するように構成される。次いで、支持体305は、フレームアセンブリ307上に設けられた一対の平行レール309a、309bに沿って乗るように適応される。モーター321、コントローラ323、および電源325は、支持体305、従ってマニホルド301をレール309a、309bに沿ってワイア327を介して、上下に移動するように作動可能である。図11に示していないが、トレイ322の各トレイは、その床部から上向きに延びるスパイクのような突出部を備える。このスパイクは、実質的に図10A〜10Eに示されるような様式で、マニホルド301がその下降位置に向かって移動される際に、各チャネルから液体試薬を抽出するように適応される。
【0109】
ここで、当業者は、本発明の広範な教示が種々の形態で実施され得ることを前述の記載から理解し得る。それ故に、本発明は特定の実施形態およびそれらの実施例と組み合わせて記載される一方で、本発明の真の範囲は限定されるべきではない。種々の変更および改変は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなく行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
本発明の構造および操作様式は、それらのさらなる目的および利点と一緒に、添付の図面と共に理解される以下の記載を参照することによって、最も良く理解され得る。
【図1】図1は、部分概略側面図であり、本発明の実施形態に従って構成されたスポッティングデバイスの部分を断面で示す。
【図2】図2は、部分概略上面図であり、本発明に従う、アレイを形成するための自動化装置の要素を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4A】図4Aは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4B】図4Bは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図4C】図4Cは、本発明のさらなる実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図5】図5は、本発明により教示されるように、バルブ装置を使用して、チューブから基板の表面までマイクロ容量の液体を移動させるための非接触送達方法を示す。
【図6】図6は、本発明によって教示されるように、バルブ装置を使用して、チューブから基板の表面までマイクロ容量の液体を移動させるための接触送達方法を示す。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7B】図7Bは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7C】図7Cは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図7D−E】図7D〜7Eは、本発明の実施形態に従って、マイクロ容量の液体を基板の表面に送達するためのスポッティングデバイス、および使用方法を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従って、液体スポットのアレイを基板の表面上に下ろすためのスポッティングヘッドの部分概略側面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従って、液体スポットのアレイを基板の表面上に下ろすためのスポッティングヘッドの部分概略側面図である。
【図10A】図10Aは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10B】図10Bは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10C】図10Cは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10D】図10Dは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図10E】図10Eは、本発明により教示されるように、液体試薬をチューブからマイクロプレートのウェルまで送達するための装置、および使用方法を示す。
【図11】図11は、1つ以上の液体試薬をマイクロプレートの複数のウェルに同時に送達するための自動化システムの部分概略側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上の選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接した下端オリフィスで終端する、チューブ、
軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバー振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通ることを防止するような寸法である、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動手段であって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって、該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動手段、
を備える、バルブ装置。
【請求項2】
前記振動手段が、少なくとも約10Hzの振動周波数を生じるように適応される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記振動手段が、少なくとも約100Hzの振動周波数を生じるように適応される、請求項1または2のに記載の装置。
【請求項4】
前記振動手段が、少なくとも約10μmの振動周波数を生じるように適応される、請求項1〜3に記載の装置。
【請求項5】
前記振動手段が、少なくとも約100μmの振動振幅を生じるように適応される、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記チューブが、約100μm未満の下端直径を有し、そして前記ファイバーと下端のチューブとの間の間隔が約25μm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ファイバーが、振動サイクルの少なくとも一部の間に前記基板と接触するように適応される、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記ファイバーが、振動サイクルにわたって、前記基板と接触したままであるように適応される、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の装置であって、一方の選択された側方位置から他方の選択された側方位置まで、前記基板に対して前記チューブおよびファイバーを位置付けするための位置付け手段をさらに備える、装置。
【請求項10】
前記位置付け手段が、前記チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に接続される、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
基板上に試薬スポットを形成するための方法であって、該方法は以下:
前記チューブの下端においてオリフィスを通して選択された液体の一部をポンプ上げするのに十分な周波数および振幅で、該選択された液体を保持する毛細管チューブ内で長手軸方向に伸長した可撓性ファイバーを往復運動する工程であって、それによってペンダントドロップを形成する、工程;および
該ペンダントドロップを該基板上の選択された領域に配置する工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記ペンダントドロップが、前記ファイバーの末端を前記基板の前記選択された領域と接触させる工程によって該基板上に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された領域上に間隔をあけてファイバーを維持し、そして重力下で前記ペンダントドロップが落下するまで該ペンダントドロップを拡大することによって、該ペンダントドロップが、該基板上に配置される、請求項11または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
基板の表面上に、選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにおいて終結する、チューブ、
該チューブ内での軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、そして該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバーの振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通るのを防止するような寸法にされた、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動ユニットであって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数、および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動ユニット、
を備える、バルブ装置。
【請求項1】
基板の表面上の選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接した下端オリフィスで終端する、チューブ、
軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバー振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通ることを防止するような寸法である、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動手段であって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって、該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動手段、
を備える、バルブ装置。
【請求項2】
前記振動手段が、少なくとも約10Hzの振動周波数を生じるように適応される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記振動手段が、少なくとも約100Hzの振動周波数を生じるように適応される、請求項1または2のに記載の装置。
【請求項4】
前記振動手段が、少なくとも約10μmの振動周波数を生じるように適応される、請求項1〜3に記載の装置。
【請求項5】
前記振動手段が、少なくとも約100μmの振動振幅を生じるように適応される、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記チューブが、約100μm未満の下端直径を有し、そして前記ファイバーと下端のチューブとの間の間隔が約25μm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ファイバーが、振動サイクルの少なくとも一部の間に前記基板と接触するように適応される、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記ファイバーが、振動サイクルにわたって、前記基板と接触したままであるように適応される、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の装置であって、一方の選択された側方位置から他方の選択された側方位置まで、前記基板に対して前記チューブおよびファイバーを位置付けするための位置付け手段をさらに備える、装置。
【請求項10】
前記位置付け手段が、前記チューブ、ファイバーおよび振動手段に作動可能に接続される、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
基板上に試薬スポットを形成するための方法であって、該方法は以下:
前記チューブの下端においてオリフィスを通して選択された液体の一部をポンプ上げするのに十分な周波数および振幅で、該選択された液体を保持する毛細管チューブ内で長手軸方向に伸長した可撓性ファイバーを往復運動する工程であって、それによってペンダントドロップを形成する、工程;および
該ペンダントドロップを該基板上の選択された領域に配置する工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記ペンダントドロップが、前記ファイバーの末端を前記基板の前記選択された領域と接触させる工程によって該基板上に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された領域上に間隔をあけてファイバーを維持し、そして重力下で前記ペンダントドロップが落下するまで該ペンダントドロップを拡大することによって、該ペンダントドロップが、該基板上に配置される、請求項11または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
基板の表面上に、選択された量の液体を測定する際における使用のためのバルブ装置であって、以下:
該液体を保持するためのリザーバ、
該リザーバから延び、そして該基板の表面によって占められるように適応された面に隣接する下端オリフィスにおいて終結する、チューブ、
該チューブ内での軸方向の振動運動のために該チューブ内に配置されたファイバーであって、該ファイバーの下方部分が該オリフィスを通って延び、そして該チューブの内径および該ファイバーの直径が、ファイバーの振動の非存在下で流体流れが該オリフィスを通るのを防止するような寸法にされた、ファイバー、
該ファイバーを振動するために該ファイバーに作動可能に接続された振動ユニットであって、該ファイバーに適用される振動振幅、振動周波数、および振動時間を決定するための制御ユニットを備え、それによって該量の液体が該チューブオリフィスを通過することが可能となる、振動ユニット、
を備える、バルブ装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D−E】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D−E】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【公開番号】特開2006−10700(P2006−10700A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202335(P2005−202335)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【分割の表示】特願2000−604948(P2000−604948)の分割
【原出願日】平成12年3月9日(2000.3.9)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【分割の表示】特願2000−604948(P2000−604948)の分割
【原出願日】平成12年3月9日(2000.3.9)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】
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