基板サポート板および基板サポート板へのウェハ仮固着方法
【課題】本発明は、ウェハに関する製造中に、基板サポート板にウェハを貼り付ける工程を含む技術に関するものであり、重ね合わせ量の測定を容易に(簡易的に)行うことができる基板サポート板を提供する。より好ましくは、仮接着剤の回り込みを防止できる基板サポート板を提供する。
【解決手段】
本発明に係る基板サポート板1は、ウェハ10が固着される主面に形成され、当該主面上におけるウェハ10の配置位置限界を示す、重ね合わせ限界域マーク2を、備えている。
【解決手段】
本発明に係る基板サポート板1は、ウェハ10が固着される主面に形成され、当該主面上におけるウェハ10の配置位置限界を示す、重ね合わせ限界域マーク2を、備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程中において使用される、ウェアが固着される基板サポート板、および基板サポート板へのウェア基板仮固着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、Si(シリコン)ウェハやSiC(炭化シリコン)ウェハなどの半導体ウェハ(以下、ウェハと称する)を用いたパワー半導体デバイス(以下ウェハと記す)において、電力損失の改善を目的に、次のような製造工程が一般的に行われている。たとえば、ウェハ表面製造工程で半導体素子形成の後、ウェハ厚みを研削(またはウェットエッチングにより薄く加工)し、さらにウェハ裏面またはウェハ表面に絶縁膜やメタル形成などを行う。
【0003】
近年では、ウェハ厚みは100μm以下の極薄化になっており、ウェハ自体の重量でウェハは、大きく反った状態となる。また、ウェハの反りは、ウェハ表面及びウェハ裏面に形成された絶縁膜、メタル膜等によるストレスにより、大きくなる。
【0004】
ウェハの反りが大きくなると、半導体製造装置におけるウェハ搬送が困難となるため、ウェハの反りを防止する必要がある。そこで、ガラスまたはシリコンなどの基板(以下、基板サポート板と称す)を用意し、当該基板サポート板にウェハを貼り付け、当該貼り付けられたウェハに対して所定の製造工程を施す、基板サポート方式が一般的に採用されている。
【0005】
ここで、基板サポート板にウェハを貼り付ける場合、基板サポート板とウェハの重ね合わせ量を、所望の範囲内で行なう必要がある。つまり、平面視において、基板サポート板内にウェハが収まっており、基板サポート板の中心とウェアの中心とのズレ(当該ズレ量が、前記重ね合わせ量と把握できる)が、所望の範囲内であることが必要である。
【0006】
従来では、当該重ね合わせ量を測定するために、基板サポート板の端縁から、基板サポート板に貼り付けられたウェハの端縁までの距離を、少なくとも3点以上測定(以下、単に3点以上測定と称する)し、重ね合わせ量が所望の範囲内であるか否かを確認していた。
【0007】
なお、ウェハの研磨処理に際して、当該ウェハをウェハ保持プレートに貼り付ける先行文献として、特許文献1,2,3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−271864号公報
【特許文献2】特開2000−271863号公報
【特許文献3】特開2000−271862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来では、上記のように、重ね合わせ量の測定において、3点以上測定が必要であった。しかしながら、当該3点以上測定は、測定に困難性を有し、専用の寸法測定機を用いて測定する必要があった。
【0010】
また、ウェハの端縁からの仮接着剤のはみ出し量を制御することは、非常に難しい。したがって、ウェハの端縁から基板サポート板の端縁までの距離が短い部分においては、ウェハの端縁からはみ出した仮接着剤が、基板サポート板の端側面から基板サポート板の裏面(ウェハ非貼り付け面側)にまで達することがあった(以下、仮接着剤の回り込みと称する)。当該仮接着剤の回り込みは、異物の発生源となり、製品歩留まり低下の要因となる。
【0011】
そこで、本発明は、ウェハに関する製造中に、基板サポート板にウェハを貼り付ける工程を含む技術に関するものであり、重ね合わせ量の測定を容易に(簡易的に)行うことができ、さらに仮接着剤の回り込みを防止できる、基板サポート板および基板サポート板へのウェハ仮固着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る基板サポート板は、ウェハが固着される主面と、前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える。
【0013】
また、本発明に係る基板サポート板へのウェハ仮固着方法は、(A)ウェハが固着される主面に形成された重ね合わせ限界域マークを有する基板サポート板を用意する工程と、(B)仮接着剤を介して、前記主面に、前記ウェハを仮固着する工程と、(C)前記重ね合わせ限界域マークと重ならないように、前記ウェハが、前記基板サポート板に固着されているかの成否を観測する工程とを、備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、基板サポート板は、ウェハが固着される主面と、前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える。そして、重ね合わせ限界域マークと重ならないように、ウェハが、基板サポート板に固着されているかの成否を観測する。
【0015】
したがって、簡易(簡易的に)かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハが基板サポート板上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板サポート板1の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る基板サポート板1の他の構成例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る基板サポート板1の一部構成を拡大表示した拡大平面図である。
【図4】本発明に係る基板サポート板1の一部構成を拡大表示した拡大断面図である。
【図5】重ね合わせ限界域マーク2付近の構成を拡大表示した拡大断面図である。
【図6】重ね合わせ限界域マーク2の他の構成例を拡大表示した拡大断面図である。
【図7】本発明に係る基板サポート板1へのウェハ仮固着方法を説明するための断面図である。
【図8】重ね合わせ限界域マーク2を有さない基板サポート板1への、ウェハ仮固着を示す断面図である。
【図9】重ね合わせ限界域マーク2を有さない基板サポート板1への、ウェハ仮固着を示す断面図である。
【図10】重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である。
【図11】重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る基板サポート板1の構成を示す平面図である。当該基板サポート板1の主面(図1の紙面に表れている面)には、SiウェハやSiCウェハなどのウェハが仮固定される。具体的に、当該基板サポート板1の主面には、仮接着剤を介して、ウェハが貼り付けられる。ここで、「仮」と称するのは、製造工程中において一時的に、ウェハが基板サポート板1に貼り付け(固定)され、ウェハに対する所定の処理後には、ウェハは当該基板サポート板1から、剥離されるからである。
【0019】
平面視において、基板サポート板1の枠内にウェハが収まるように、当該ウェハが貼り付けられる必要がある。基板サポート板1の枠外にウェハがはみ出ると、当該はみ出た箇所において、ウェハが外的損傷を受けるからである。
【0020】
また、たとえば回転を伴うウェハに対する処理などの場合には、当該ウェハが貼り付けられている基板サポート板1の中心が、当該処理の際に利用される。したがって、当該処理が正常にウェハに施されるためには、基板サポート板1の中心Aと貼り付けされたウェハの中心との距離(つまり、両中心のズレ)が、所定の範囲内ある必要がある。換言すれば、上記した重ね合わせ量が、所定の範囲内に収まっている必要がある。
【0021】
そこで、本発明に係る基板サポート板1の前記主面には、当該主面上におけるウェハの配置位置限界を示す、重ね合わせ限界域マーク(図1の斜線部)2が形成されている。当該重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、所定の深さで掘られた凹部(溝)である。
【0022】
ここで、基板サポート板1に形成される重ね合わせ限界域マーク2は、上記凹部(溝)以外の単なる平面的なマークであっても良い。しかしながら、基板サポート板1に形成される重ね合わせ限界域マーク2は、上記凹部(溝)であることがより好ましい。また、図2に示すように、基板サポート板1の主面において、複数の重ね合わせ限界域マーク2が離散的に形成されていても良い。しかしながら、図1に示すように、基板サポート板1の主面の外周部付近において、重ね合わせ限界域マーク2は、連続して環状に形成されている方がより好ましい。
【0023】
上記重ね合わせ限界域マーク2は、主面上におけるウェハの配置位置限界を示す。したがって、当該重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、上記重ね合わせ量が許容できる範囲に形成されている。
【0024】
つまり、平面視において、全ての重ね合わせ限界域マーク2を望むことができるように、ウェハが基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハは、基板サポート板1板上において、重ね合わせ量が許容できる範囲内に貼り付けられていることとなる。これに対して、平面視において、ウェハにより重ね合わせ限界域マーク2が一部においても覆われるように、当該ウェハが基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハは基板サポート板1上に、重ね合わせ量が許容できる範囲以上に貼り付けられていることとなる(当該状態で、基板サポート板1に貼り付けられたウェハに対して、所定の処理を行うと、当該処理が正常に実施されない可能性が高くなる)。
【0025】
当該重ね合わせ限界域マーク2の深さや幅は、使用される仮接着剤の材質や厚さなどに応じて、適宜設定される。
【0026】
図3は、図1の点線で囲まれた領域の拡大平面図であり、図4は、図3のX−X'断面を示す拡大断面図である。また、図5は、図4の重ね合わせ限界域マーク2付近の構成をさらに拡大表示した拡大断面図である。ここで、図5において、図面左側が、基板サポート板1の端縁側であり、図面右側が、基板サポート板1の中心A側である。
【0027】
図4,5に示すように、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状の断面を有する。具体的に、当該凹部の溝内部における、基板サポート板1の端縁に近い側の側面は、基板サポート板1の主面と当該側面の延長線Lとで形成される角度θが、90度より小さいテーパ角が形成されるように、形成されている。つまり、凹部の両側面のうち、少なくとも基板サポート板1の端縁に近い側の側面は、当該凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されている。
【0028】
なお、図4,5に示す構成では、当該凹部の溝内部における、基板サポート板1の中心Aに近い側の側面においても、基板サポート板1の主面と当該側面の延長線とで形成される角度が90度より小さいテーパ角が形成されるように、形成されている。たとえば、前記角度θとしては、45度〜60度程度が採用できる。
【0029】
ここで、図6に示すように、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状でない、矩形の断面を有するものであっても良い(または、溝の開口部が溝の底面より狭い、逆テーパの断面形状であっても良い)。しかしながら、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状の断面を有する方がより好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る基板サポート板へのウェハ仮固着方法について説明する。
【0031】
まず、たとえば円盤状のシリコンまたはガラスなどから成る基板サポート板1を用意する。そして、当該基板サポート板1の主面の所定の部分に凹部を形成し、重ね合わせ限界域マーク2を当該主面上に形成する。
【0032】
次に、当該重ね合わせ限界域マーク2が形成されている基板サポート板1の主面に対して、仮接着剤5を塗布し、当該主面上に当該仮接着剤5を介して、ウェハ10を仮接着固定する(図7参照)。ここで、図7に示すように、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、凹状の重ね合わせ限界域マーク2内部に流れ込む。
【0033】
ここで、図8に示すように、基板サポート板1に重ね合わせ限界域マーク2が形成されておらず、当該基板サポート板1上に仮接着剤5を介してウェハ10が仮接着固定されているとする。図8の例のように、ウェハ10の端縁から基板サポート板1の端縁までの距離が長い部分においては、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、基板サポート板1の端側面に到達することはない。しかしながら、ウェハ10の端縁から基板サポート板1の端縁までの距離が短い部分においては、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、基板サポート板1の端側面から基板サポート板の裏面(ウェハ非貼り付け面側)にまで達する。つまり、上記した仮接着剤の回り込みが、発生する。
【0034】
これに対して、本発明に係る基板サポート板1には、重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、凹状の重ね合わせ限界域マーク2内部に流れ込む。よって、本発明に係る基板サポート板1を採用した場合には、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5が、基板サポート板1の端縁側に到達することを防止でき、図9を用いて説明したような仮接着剤の回り込みは、発生しない。
【0035】
さて、基板サポート板1に対してウェハ10を仮固定した後、重ね合わせ量の測定を行い、基板サポート板1の正面の所望領域内に、ウェハ10が仮固定されているか否かを確認する。
【0036】
ここで、図8に示すように、基板サポート板1に重ね合わせ限界域マーク2が形成されておらず、当該基板サポート板1上に仮接着剤5を介してウェハ10が仮接着固定されているとする。この場合には、「背景技術」でも説明したように、重ね合わせ量を測定するために、基板サポート板1の端縁から、基板サポート板1に貼り付けられたウェハ10の端縁までの距離D1を、少なくとも3点以上測定(上記3点以上測定)し、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認していた。当該3点以上測定は、非常煩雑な作業であり、専用の寸法測定機も必要であるので、コストもかかる。
【0037】
これに対して、本発明に係る基板サポート板1には、重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、ウェハ10が基板サポート板1上に貼り付けられることにより、当該ウェハ10により、当該重ね合わせ限界域マーク2が覆われる部分があるか否かを視認観測することにより、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内に仮固定されているか否かを判断できる。つまり、本発明に係る基板サポート板1を採用することにより、簡易かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【0038】
上記のように、平面視において、全ての重ね合わせ限界域マーク2を望むことができるように、ウェハ10が基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハ10は、基板サポート板1板上において、重ね合わせ量が許容できる範囲内に貼り付けられていることとなる(重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される)。これに対して、平面視において、ウェハ10により重ね合わせ限界域マーク2が一部においても覆われるように、当該ウェハ10が基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハ10は基板サポート板1上に、重ね合わせ量が許容できる範囲以上に貼り付けられていることとなる(重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される)。
【0039】
なお、図10は、重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である(つまり、環状の重ね合わせ限界域マーク2の内側にウェハ10が収まっている場合の平面図である)。また、図11は、重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である(つまり、環状の重ね合わせ限界域マーク2の内側にウェハ10が収まっていない場合の平面図である)。図10,図11において、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、図面簡略化のため、図示を省略している。
【0040】
ここで、重ね合わせ限界域マーク2が、基板サポート板1上に、平面的に形成されるマークであっても、上記重ね合わせ量確認の成否は判断できる。しかし、上記した仮接着剤の回り込み発生の防止の効果をも奏するためには、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1上に、立体的に(凹部として)形成されることを要する。
【0041】
さて、重ね合わせ量確認の結果「成」と判断されたとき、当該判断された基板サポート板1に固着されているウェハ10に対して、所望の処理を施す。当該所望の処理の後、ウェハ10を基板サポート板1から剥離する。具体的に、基板サポート板1を回転させながら、所定の溶剤(有機溶剤等)を用いて仮接着剤5を溶解し、これにより、基板サポート板1からウェハ10を剥離する。なお、所定の溶剤を用いず、基板サポート板1に熱を印加し、仮接着剤5を溶解させることにより、基板サポート板1からウェハ10を剥離しても良い。
【0042】
ここで、図6に示すように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状は、矩形(または、上記逆テーパの断面形状)であっても良い。しかしながら、図5に示すように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状をテーパ形状とすることにより、上記剥離のために基板サポート板1を回転させたときには、当該回転起因した遠心力により、仮接着剤5の溶解性が向上し、用いた溶剤および仮接着剤5を重ね合わせ限界域マーク2の内部から完全に除去できる。
【0043】
以上のように、本発明に係る基板サポート板1には、ウェハ10が固着される主面に重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、簡易(簡易的に)かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【0044】
また、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面に掘られた凹部(溝)である。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、当該凹部に入り込み、基板サポート板1の端縁にまで到達することを抑制できる。
【0045】
また、図1に示したように、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、連続して環状に掘られた凹部(溝)である。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは全て、当該凹部に入り込み、基板サポート板1の端縁にまで到達することを防止できる。つまり、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aが、環状の重ね合わせ限界域マーク2の外側に漏れだすことを防止でき、結果として、仮接着剤の回り込みの発生を防止できる。
【0046】
また、図5に示したように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状は、テーパ形状である。したがって、ウェハ10の剥離のために、基板サポート板1を回転させ、溶剤を使用したときには、当該回転起因した遠心力により、仮接着剤5の溶解性が向上し、用いた溶剤および仮接着剤5を重ね合わせ限界域マーク2の内部から完全に除去できる。
【0047】
なお、本発明は、たとえば、パワー半導体デバイスで使用されるウェハの製造工程において適用できる。また、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で使用されるウェハの製造工程において適用できる。
【0048】
なお、本発明を採用すると、上記仮接着剤の回り込みの発生を防止等の効果が奏され、歩留まりが向上する。したがって、ウェハ10として、シリコンウェハより高価な炭化シリコン(SiC)ウェハを採用する場合には、本発明は、コスト削減の観点からより効果的に働く。
【符号の説明】
【0049】
1 基板サポート板、2 重ね合わせ限界域マーク、5 仮接着剤、5a はみ出した仮接着剤、10 ウェハ、θ (テーパ)角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程中において使用される、ウェアが固着される基板サポート板、および基板サポート板へのウェア基板仮固着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、Si(シリコン)ウェハやSiC(炭化シリコン)ウェハなどの半導体ウェハ(以下、ウェハと称する)を用いたパワー半導体デバイス(以下ウェハと記す)において、電力損失の改善を目的に、次のような製造工程が一般的に行われている。たとえば、ウェハ表面製造工程で半導体素子形成の後、ウェハ厚みを研削(またはウェットエッチングにより薄く加工)し、さらにウェハ裏面またはウェハ表面に絶縁膜やメタル形成などを行う。
【0003】
近年では、ウェハ厚みは100μm以下の極薄化になっており、ウェハ自体の重量でウェハは、大きく反った状態となる。また、ウェハの反りは、ウェハ表面及びウェハ裏面に形成された絶縁膜、メタル膜等によるストレスにより、大きくなる。
【0004】
ウェハの反りが大きくなると、半導体製造装置におけるウェハ搬送が困難となるため、ウェハの反りを防止する必要がある。そこで、ガラスまたはシリコンなどの基板(以下、基板サポート板と称す)を用意し、当該基板サポート板にウェハを貼り付け、当該貼り付けられたウェハに対して所定の製造工程を施す、基板サポート方式が一般的に採用されている。
【0005】
ここで、基板サポート板にウェハを貼り付ける場合、基板サポート板とウェハの重ね合わせ量を、所望の範囲内で行なう必要がある。つまり、平面視において、基板サポート板内にウェハが収まっており、基板サポート板の中心とウェアの中心とのズレ(当該ズレ量が、前記重ね合わせ量と把握できる)が、所望の範囲内であることが必要である。
【0006】
従来では、当該重ね合わせ量を測定するために、基板サポート板の端縁から、基板サポート板に貼り付けられたウェハの端縁までの距離を、少なくとも3点以上測定(以下、単に3点以上測定と称する)し、重ね合わせ量が所望の範囲内であるか否かを確認していた。
【0007】
なお、ウェハの研磨処理に際して、当該ウェハをウェハ保持プレートに貼り付ける先行文献として、特許文献1,2,3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−271864号公報
【特許文献2】特開2000−271863号公報
【特許文献3】特開2000−271862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来では、上記のように、重ね合わせ量の測定において、3点以上測定が必要であった。しかしながら、当該3点以上測定は、測定に困難性を有し、専用の寸法測定機を用いて測定する必要があった。
【0010】
また、ウェハの端縁からの仮接着剤のはみ出し量を制御することは、非常に難しい。したがって、ウェハの端縁から基板サポート板の端縁までの距離が短い部分においては、ウェハの端縁からはみ出した仮接着剤が、基板サポート板の端側面から基板サポート板の裏面(ウェハ非貼り付け面側)にまで達することがあった(以下、仮接着剤の回り込みと称する)。当該仮接着剤の回り込みは、異物の発生源となり、製品歩留まり低下の要因となる。
【0011】
そこで、本発明は、ウェハに関する製造中に、基板サポート板にウェハを貼り付ける工程を含む技術に関するものであり、重ね合わせ量の測定を容易に(簡易的に)行うことができ、さらに仮接着剤の回り込みを防止できる、基板サポート板および基板サポート板へのウェハ仮固着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る基板サポート板は、ウェハが固着される主面と、前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える。
【0013】
また、本発明に係る基板サポート板へのウェハ仮固着方法は、(A)ウェハが固着される主面に形成された重ね合わせ限界域マークを有する基板サポート板を用意する工程と、(B)仮接着剤を介して、前記主面に、前記ウェハを仮固着する工程と、(C)前記重ね合わせ限界域マークと重ならないように、前記ウェハが、前記基板サポート板に固着されているかの成否を観測する工程とを、備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、基板サポート板は、ウェハが固着される主面と、前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える。そして、重ね合わせ限界域マークと重ならないように、ウェハが、基板サポート板に固着されているかの成否を観測する。
【0015】
したがって、簡易(簡易的に)かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハが基板サポート板上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板サポート板1の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る基板サポート板1の他の構成例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る基板サポート板1の一部構成を拡大表示した拡大平面図である。
【図4】本発明に係る基板サポート板1の一部構成を拡大表示した拡大断面図である。
【図5】重ね合わせ限界域マーク2付近の構成を拡大表示した拡大断面図である。
【図6】重ね合わせ限界域マーク2の他の構成例を拡大表示した拡大断面図である。
【図7】本発明に係る基板サポート板1へのウェハ仮固着方法を説明するための断面図である。
【図8】重ね合わせ限界域マーク2を有さない基板サポート板1への、ウェハ仮固着を示す断面図である。
【図9】重ね合わせ限界域マーク2を有さない基板サポート板1への、ウェハ仮固着を示す断面図である。
【図10】重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である。
【図11】重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る基板サポート板1の構成を示す平面図である。当該基板サポート板1の主面(図1の紙面に表れている面)には、SiウェハやSiCウェハなどのウェハが仮固定される。具体的に、当該基板サポート板1の主面には、仮接着剤を介して、ウェハが貼り付けられる。ここで、「仮」と称するのは、製造工程中において一時的に、ウェハが基板サポート板1に貼り付け(固定)され、ウェハに対する所定の処理後には、ウェハは当該基板サポート板1から、剥離されるからである。
【0019】
平面視において、基板サポート板1の枠内にウェハが収まるように、当該ウェハが貼り付けられる必要がある。基板サポート板1の枠外にウェハがはみ出ると、当該はみ出た箇所において、ウェハが外的損傷を受けるからである。
【0020】
また、たとえば回転を伴うウェハに対する処理などの場合には、当該ウェハが貼り付けられている基板サポート板1の中心が、当該処理の際に利用される。したがって、当該処理が正常にウェハに施されるためには、基板サポート板1の中心Aと貼り付けされたウェハの中心との距離(つまり、両中心のズレ)が、所定の範囲内ある必要がある。換言すれば、上記した重ね合わせ量が、所定の範囲内に収まっている必要がある。
【0021】
そこで、本発明に係る基板サポート板1の前記主面には、当該主面上におけるウェハの配置位置限界を示す、重ね合わせ限界域マーク(図1の斜線部)2が形成されている。当該重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、所定の深さで掘られた凹部(溝)である。
【0022】
ここで、基板サポート板1に形成される重ね合わせ限界域マーク2は、上記凹部(溝)以外の単なる平面的なマークであっても良い。しかしながら、基板サポート板1に形成される重ね合わせ限界域マーク2は、上記凹部(溝)であることがより好ましい。また、図2に示すように、基板サポート板1の主面において、複数の重ね合わせ限界域マーク2が離散的に形成されていても良い。しかしながら、図1に示すように、基板サポート板1の主面の外周部付近において、重ね合わせ限界域マーク2は、連続して環状に形成されている方がより好ましい。
【0023】
上記重ね合わせ限界域マーク2は、主面上におけるウェハの配置位置限界を示す。したがって、当該重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、上記重ね合わせ量が許容できる範囲に形成されている。
【0024】
つまり、平面視において、全ての重ね合わせ限界域マーク2を望むことができるように、ウェハが基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハは、基板サポート板1板上において、重ね合わせ量が許容できる範囲内に貼り付けられていることとなる。これに対して、平面視において、ウェハにより重ね合わせ限界域マーク2が一部においても覆われるように、当該ウェハが基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハは基板サポート板1上に、重ね合わせ量が許容できる範囲以上に貼り付けられていることとなる(当該状態で、基板サポート板1に貼り付けられたウェハに対して、所定の処理を行うと、当該処理が正常に実施されない可能性が高くなる)。
【0025】
当該重ね合わせ限界域マーク2の深さや幅は、使用される仮接着剤の材質や厚さなどに応じて、適宜設定される。
【0026】
図3は、図1の点線で囲まれた領域の拡大平面図であり、図4は、図3のX−X'断面を示す拡大断面図である。また、図5は、図4の重ね合わせ限界域マーク2付近の構成をさらに拡大表示した拡大断面図である。ここで、図5において、図面左側が、基板サポート板1の端縁側であり、図面右側が、基板サポート板1の中心A側である。
【0027】
図4,5に示すように、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状の断面を有する。具体的に、当該凹部の溝内部における、基板サポート板1の端縁に近い側の側面は、基板サポート板1の主面と当該側面の延長線Lとで形成される角度θが、90度より小さいテーパ角が形成されるように、形成されている。つまり、凹部の両側面のうち、少なくとも基板サポート板1の端縁に近い側の側面は、当該凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されている。
【0028】
なお、図4,5に示す構成では、当該凹部の溝内部における、基板サポート板1の中心Aに近い側の側面においても、基板サポート板1の主面と当該側面の延長線とで形成される角度が90度より小さいテーパ角が形成されるように、形成されている。たとえば、前記角度θとしては、45度〜60度程度が採用できる。
【0029】
ここで、図6に示すように、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状でない、矩形の断面を有するものであっても良い(または、溝の開口部が溝の底面より狭い、逆テーパの断面形状であっても良い)。しかしながら、凹部である重ね合わせ限界域マーク2は、テーパ形状の断面を有する方がより好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る基板サポート板へのウェハ仮固着方法について説明する。
【0031】
まず、たとえば円盤状のシリコンまたはガラスなどから成る基板サポート板1を用意する。そして、当該基板サポート板1の主面の所定の部分に凹部を形成し、重ね合わせ限界域マーク2を当該主面上に形成する。
【0032】
次に、当該重ね合わせ限界域マーク2が形成されている基板サポート板1の主面に対して、仮接着剤5を塗布し、当該主面上に当該仮接着剤5を介して、ウェハ10を仮接着固定する(図7参照)。ここで、図7に示すように、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、凹状の重ね合わせ限界域マーク2内部に流れ込む。
【0033】
ここで、図8に示すように、基板サポート板1に重ね合わせ限界域マーク2が形成されておらず、当該基板サポート板1上に仮接着剤5を介してウェハ10が仮接着固定されているとする。図8の例のように、ウェハ10の端縁から基板サポート板1の端縁までの距離が長い部分においては、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、基板サポート板1の端側面に到達することはない。しかしながら、ウェハ10の端縁から基板サポート板1の端縁までの距離が短い部分においては、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、基板サポート板1の端側面から基板サポート板の裏面(ウェハ非貼り付け面側)にまで達する。つまり、上記した仮接着剤の回り込みが、発生する。
【0034】
これに対して、本発明に係る基板サポート板1には、重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、凹状の重ね合わせ限界域マーク2内部に流れ込む。よって、本発明に係る基板サポート板1を採用した場合には、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5が、基板サポート板1の端縁側に到達することを防止でき、図9を用いて説明したような仮接着剤の回り込みは、発生しない。
【0035】
さて、基板サポート板1に対してウェハ10を仮固定した後、重ね合わせ量の測定を行い、基板サポート板1の正面の所望領域内に、ウェハ10が仮固定されているか否かを確認する。
【0036】
ここで、図8に示すように、基板サポート板1に重ね合わせ限界域マーク2が形成されておらず、当該基板サポート板1上に仮接着剤5を介してウェハ10が仮接着固定されているとする。この場合には、「背景技術」でも説明したように、重ね合わせ量を測定するために、基板サポート板1の端縁から、基板サポート板1に貼り付けられたウェハ10の端縁までの距離D1を、少なくとも3点以上測定(上記3点以上測定)し、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認していた。当該3点以上測定は、非常煩雑な作業であり、専用の寸法測定機も必要であるので、コストもかかる。
【0037】
これに対して、本発明に係る基板サポート板1には、重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、ウェハ10が基板サポート板1上に貼り付けられることにより、当該ウェハ10により、当該重ね合わせ限界域マーク2が覆われる部分があるか否かを視認観測することにより、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内に仮固定されているか否かを判断できる。つまり、本発明に係る基板サポート板1を採用することにより、簡易かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【0038】
上記のように、平面視において、全ての重ね合わせ限界域マーク2を望むことができるように、ウェハ10が基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハ10は、基板サポート板1板上において、重ね合わせ量が許容できる範囲内に貼り付けられていることとなる(重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される)。これに対して、平面視において、ウェハ10により重ね合わせ限界域マーク2が一部においても覆われるように、当該ウェハ10が基板サポート板1に貼り付けられているなら、ウェハ10は基板サポート板1上に、重ね合わせ量が許容できる範囲以上に貼り付けられていることとなる(重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される)。
【0039】
なお、図10は、重ね合わせ量確認の結果「成」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である(つまり、環状の重ね合わせ限界域マーク2の内側にウェハ10が収まっている場合の平面図である)。また、図11は、重ね合わせ量確認の結果「否」と判断される、基板サポート板1とウェハ10との仮固定態様の一例を示す平面図である(つまり、環状の重ね合わせ限界域マーク2の内側にウェハ10が収まっていない場合の平面図である)。図10,図11において、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5は、図面簡略化のため、図示を省略している。
【0040】
ここで、重ね合わせ限界域マーク2が、基板サポート板1上に、平面的に形成されるマークであっても、上記重ね合わせ量確認の成否は判断できる。しかし、上記した仮接着剤の回り込み発生の防止の効果をも奏するためには、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1上に、立体的に(凹部として)形成されることを要する。
【0041】
さて、重ね合わせ量確認の結果「成」と判断されたとき、当該判断された基板サポート板1に固着されているウェハ10に対して、所望の処理を施す。当該所望の処理の後、ウェハ10を基板サポート板1から剥離する。具体的に、基板サポート板1を回転させながら、所定の溶剤(有機溶剤等)を用いて仮接着剤5を溶解し、これにより、基板サポート板1からウェハ10を剥離する。なお、所定の溶剤を用いず、基板サポート板1に熱を印加し、仮接着剤5を溶解させることにより、基板サポート板1からウェハ10を剥離しても良い。
【0042】
ここで、図6に示すように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状は、矩形(または、上記逆テーパの断面形状)であっても良い。しかしながら、図5に示すように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状をテーパ形状とすることにより、上記剥離のために基板サポート板1を回転させたときには、当該回転起因した遠心力により、仮接着剤5の溶解性が向上し、用いた溶剤および仮接着剤5を重ね合わせ限界域マーク2の内部から完全に除去できる。
【0043】
以上のように、本発明に係る基板サポート板1には、ウェハ10が固着される主面に重ね合わせ限界域マーク2が形成されている。したがって、簡易(簡易的に)かつ低コストにて、重ね合わせ量が所望の範囲内(つまり、ウェハ10が基板サポート板1上の所望の範囲内)であるか否かを確認できる。
【0044】
また、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面に掘られた凹部(溝)である。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは、当該凹部に入り込み、基板サポート板1の端縁にまで到達することを抑制できる。
【0045】
また、図1に示したように、重ね合わせ限界域マーク2は、基板サポート板1の主面において、連続して環状に掘られた凹部(溝)である。したがって、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aは全て、当該凹部に入り込み、基板サポート板1の端縁にまで到達することを防止できる。つまり、ウェハ10の端縁からはみ出した仮接着剤5aが、環状の重ね合わせ限界域マーク2の外側に漏れだすことを防止でき、結果として、仮接着剤の回り込みの発生を防止できる。
【0046】
また、図5に示したように、重ね合わせ限界域マーク2の断面形状は、テーパ形状である。したがって、ウェハ10の剥離のために、基板サポート板1を回転させ、溶剤を使用したときには、当該回転起因した遠心力により、仮接着剤5の溶解性が向上し、用いた溶剤および仮接着剤5を重ね合わせ限界域マーク2の内部から完全に除去できる。
【0047】
なお、本発明は、たとえば、パワー半導体デバイスで使用されるウェハの製造工程において適用できる。また、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)で使用されるウェハの製造工程において適用できる。
【0048】
なお、本発明を採用すると、上記仮接着剤の回り込みの発生を防止等の効果が奏され、歩留まりが向上する。したがって、ウェハ10として、シリコンウェハより高価な炭化シリコン(SiC)ウェハを採用する場合には、本発明は、コスト削減の観点からより効果的に働く。
【符号の説明】
【0049】
1 基板サポート板、2 重ね合わせ限界域マーク、5 仮接着剤、5a はみ出した仮接着剤、10 ウェハ、θ (テーパ)角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハが固着される主面と、
前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える
ことを特徴とする基板サポート板。
【請求項2】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面に掘られた凹部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板サポート板。
【請求項3】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面において、環状に掘られた前記凹部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の基板サポート板。
【請求項4】
前記凹部の両側面のうち、少なくとも前記基板サポート板の端縁に近い側の側面は、
前記凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板サポート板。
【請求項5】
(A)ウェハが固着される主面に形成された重ね合わせ限界域マークを有する基板サポート板を用意する工程と、
(B)仮接着剤を介して、前記主面に、前記ウェハを仮固着する工程と、
(C)前記重ね合わせ限界域マークと重ならないように、前記ウェハが、前記基板サポート板に固着されているかの成否を観測する工程とを、備える、
ことを特徴とする基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項6】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面に掘られた凹部である、
ことを特徴とする請求項5に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項7】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面において、環状に掘られた前記凹部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項8】
前記凹部の両側面のうち、少なくとも前記基板サポート板の端縁に近い側の側面は、
前記凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されており、
(D)前記工程(C)における前記観測の結果、「成」と判断された、前記基板サポート板に固着されている前記ウェハに対して、所望の処理を施す工程と、
(E)前記工程(D)の後、前記基板サポート板を回転させながら、所定の溶剤を用いて、前記仮接着剤を溶解する工程とを、さらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項9】
前記ウェハは、
SiCウェハである、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項8の何れかに記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項1】
ウェハが固着される主面と、
前記主面上における前記ウェハの配置位置限界を示す、前記主面に形成される、重ね合わせ限界域マークとを、備える
ことを特徴とする基板サポート板。
【請求項2】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面に掘られた凹部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板サポート板。
【請求項3】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面において、環状に掘られた前記凹部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の基板サポート板。
【請求項4】
前記凹部の両側面のうち、少なくとも前記基板サポート板の端縁に近い側の側面は、
前記凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の基板サポート板。
【請求項5】
(A)ウェハが固着される主面に形成された重ね合わせ限界域マークを有する基板サポート板を用意する工程と、
(B)仮接着剤を介して、前記主面に、前記ウェハを仮固着する工程と、
(C)前記重ね合わせ限界域マークと重ならないように、前記ウェハが、前記基板サポート板に固着されているかの成否を観測する工程とを、備える、
ことを特徴とする基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項6】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面に掘られた凹部である、
ことを特徴とする請求項5に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項7】
前記重ね合わせ限界域マークは、
前記主面において、環状に掘られた前記凹部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項8】
前記凹部の両側面のうち、少なくとも前記基板サポート板の端縁に近い側の側面は、
前記凹部が立広がりとなるように、傾斜して形成されており、
(D)前記工程(C)における前記観測の結果、「成」と判断された、前記基板サポート板に固着されている前記ウェハに対して、所望の処理を施す工程と、
(E)前記工程(D)の後、前記基板サポート板を回転させながら、所定の溶剤を用いて、前記仮接着剤を溶解する工程とを、さらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【請求項9】
前記ウェハは、
SiCウェハである、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項8の何れかに記載の基板サポート板へのウェハ仮固着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−49274(P2012−49274A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188977(P2010−188977)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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