基板処理装置及び基板処理方法
【課題】装置稼働率を向上することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る基板処理装置は、基板の表面に向かってマイクロ波を供給する
マイクロ波供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少な
くとも備える処理室と、前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備
える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくと
も備える搬送室とより少なくとも構成される。
【解決手段】本発明に係る基板処理装置は、基板の表面に向かってマイクロ波を供給する
マイクロ波供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少な
くとも備える処理室と、前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備
える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくと
も備える搬送室とより少なくとも構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置において、基板を処理する際の基板を冷却する方式に関するも
のである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一種である半導体製造装置は、少なくとも、基板を収納した基板収容器
としてのキャリアが載置されるキャリア載置台と、基板を処理する処理室と、キャリア載
置台にあるキャリア内の基板を処理室までに搬送する搬送手段を備えた搬送室とで構成さ
れている。
【0003】
このような半導体製造装置では、従来から、搬送手段が処理済みの基板(以下「ウェーハ」と記載)を処理室から搬出してキャリアに戻す際に、搬送手段及びキャリアに熱ダメージを与えないよう、処理済みのウェーハが冷却されることがある。例えば、特許文献1には、キャリアに戻す前に冷却処理を行うことが記載されている。また、特許文献2や特許文献3に記載されているように、従来から、搬送室にウェーハを冷却する室が設けられている。例えば、特許文献2には、処理室及び搬送室の間に設けられた予備室内に基板冷却用の載置台(冷却ステージ)を設けることが記載されている。特許文献3には、搬送室にウェーハを冷却する為に退避させておく為の予備室を設けることが記載されている。しかしながら、上記2つの特許文献で開示されている装置は、キャリア内の基板が搬送室を介して処理室へ搬送されるまでにいくつかの室を渡って搬送される構成となっており、ウェーハの冷却機構は、必要に応じて装置内に設けるだけでよいという程度であった。
【0004】
一方、処理済みのウェーハは処理室内において冷却されることがある。例えば、処理室
内にN2ガスを流すことにより、処理室内の温度を低下させることによって行われる。
具体的には、図6に示すように、T1〜T2において、ウェーハ1が処理室1に搬入さ
れ、T2〜T3において、ウェーハ1に基板処理が施された後、T3〜T4において、後
処理として処理室での冷却処理を施す。T3〜T4において、処理室1はウェーハ1によって占有されており、未処理のウェーハ4を処理することはできないので、T4において、処理室1での冷却処理が終了した後、ウェーハ1とウェーハ4とを入れ替えて搬送する。ウェーハ2,3についても、ウェーハ1と同様、処理室2,3での冷却処理が施されて
いる間、未処理のウェーハ5,6を処理室2,3で処理することはできないので、処理室
2,3での冷却処理が終了した後、ウェーハ2,3とウェーハ5,6とを入れ替えて搬送
する。
ただし、この場合、処理済みのウェーハの冷却が完了するまで、処理室は処理済みのウ
ェーハによって占有されるので、未処理のウェーハを搬入することはできない。したがって、処理室内における冷却にかかる時間が長くなるほど、スループットが下がり、装置全
体の稼働率が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4199324号
【特許文献2】特開2005−322762号公報
【特許文献3】特許第4568231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、処理室内での基板滞留に起因する装置稼働率の低下を抑制す
る基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板処理装置は、基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波
供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備え
る処理室と、前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室とにより少なくとも構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理室内における基板処理にかかる時間を短縮するので、装置稼働率
を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る基板処理装置において、振分方式を用いる場合を説明するための図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る基板処理装置において、並列方式を用いる場合を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る基板処理装置のプロセスモジュールを例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板処理装置のコントローラ構成を示す図である。
【図5】本発明における冷却方式の運用を示す図である。
【図6】従来の冷却方式の運用を示す図である。
【図7】PM内で第一の冷却処理工程時に基板の温度変化を示す図である。
【図8】第一の冷却処理工程終了時から第二の冷却処理工程までの基板の温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1を説明する。図1は、
基板処理装置1を上から見たときの構成概略図である。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置1は、半導体を製造するために予め定められた
(以下、「所定の」)処理を実行する半導体製造装置として構成されている。以下、本発
明の一実施形態に係る基板処理装置1は、可変のマイクロ波(VFM;Variable
Frequency Microwave)を利用する装置であるとして説明する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る基板処理装置1は、少なくとも、ウェーハに所定の処理を施
す処理室としてのプロセスモジュール(PM;Process Module)10と、
ウェーハが搬送される搬送室としてのフロントエンドモジュール(EFEM;Equip
ment Front End Module)20と、ウェーハが収納された基板収容
器(例えば、FOUP(Front−Opening Unifiled Pod)。以下
「ポッド」と記載)を装置外部の搬送装置と受渡しする容器載置台としてのロードポート
(LP;Load Port)30によって構成される。
プロセスモジュール10及びロードポート30は、少なくとも1つずつ設けられる。こ
こでは、プロセスモジュール10及びロードポート30が3つずつ設けられているが、この構成は一例であって、本発明の構成はこの構成に限定されない。
また、後述する制御手段としてのコントローラは、所定のファイルを実行することにより、後述する搬送手段としての搬送ロボット202を制御し、プロセスモジュール10、
フロントエンドモジュール20及びロードポート30間においてウェーハを搬送する。
また、コントローラは、所定のファイルを実行することにより、プロセスモジュール1
0を構成する各種機構を制御し、プロセスモジュール10内においてウェーハを処理する。
【0012】
[プロセスモジュール10]
プロセスモジュール10は、CVD(Chemical Vapor Deposit
ion;化学気相成長)及びALD(Atomic Layer Deposition
;原子層堆積)などによる成膜、アッシング、エッチング及び膜質改善などの処理をウェーハに実施する。また、プロセスモジュール10は、ウェーハの処理方式に合わせて、後
述するように、マイクロ波発生機構、冷媒供給機構、冷媒排出管、ガス供給機構、ガス排
気機構及び温度制御機構などの機構を備える。
プロセスモジュール10は、ゲートバルブ(GV;Gate Valve)100を介
して、フロントエンドモジュール20と連通可能となっている。
[フロントエンドモジュール20]
フロントエンドモジュール20は、冷却機構としてのクーリングステージ200(CS
;Cooling Stage)を備える。クーリングステージ200は、ウェーハを保
持可能な棚及び台などとして構成され、本発明の実施形態では、内部で冷却水が循環する
ことによって、保持したウェーハの裏面を接触冷却するよう構成されている。後述するよ
うに、プロセスモジュール10において所定の温度まで冷却された基板は、クーリングス
テージ200において所定の温度から目標温度まで冷却される。
また、フロントエンドモジュール20は、ウェーハを搬送する搬送機構としての搬送ロボット202を備える。搬送ロボット202は、ウェーハを保持する基板保持部としての
アームを上下に1つずつ備える。搬送ロボット202は、例えば、上アームの先に未処理
ウェーハを載せ、各プロセスモジュール10に対して搬入するとともに、下アームの先に
処理済みウェーハを載せ、各プロセスモジュール10から搬出すること(ウェーハを入れ
替えて搬送すること)ができるよう構成されている。なお、プロセスモジュール10及び
クーリングステージ200は同じ数だけ設けられているが、本発明はこのような構成に限
らず、プロセスモジュール10の個数は、ウェーハが搬送される時間に応じて適宜変更さ
れ、クーリングステージ200の個数は、ウェーハが冷却される時間に応じて適宜変更さ
れ得る。また、フロントエンドモジュール20は、シャッタを介して、ロードポート30
と連通可能となっている。
[ロードポート30]
ロードポート30は、基板収容器としてのポッドが載置される複数の載置台が設けられ
ている。図1に示すように、ロードポート30は、クーリングステージ200と同様、プ
ロセスモジュール10と同じ数だけ設けられているが、ロードポート30をいくつ設ける
かは、後述するウェーハ搬送方式によって異なる。具体的には、振分方式によってウェーハを搬送する場合には、ロードポート30は少なくとも1つ設けられればよく、並列方式
によってウェーハを搬送する場合には、搬送先を記述した搬送レシピなどに応じて所定の
数のロードポート30が少なくとも設けられる。
【0013】
以下、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1がウェーハを搬送する
方法を説明する。図2Aは、一つのポッドに収納されているウェーハを各プロセスモジュール10に1枚ずつ搬送する振分方式を説明するための図である。図2Bは、異なる条件
で処理を実施する目的で、複数のポッドに収納されているウェーハを各プロセスモジュー
ル10に搬送する並列方式を説明するための図である。以下、本発明の一実施形態に係る
基板処理装置1は、振分方式によってウェーハを搬送するものとする。
【0014】
[振分方式]
図2Aを参照して、振分方式によるウェーハの搬送について説明する。ここでは、ロー
ドポート30−1〜30−3とプロセスモジュール10−1〜10−3との間でウェーハ
を搬送するものとする。
まず、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから(一枚目の)
ウェーハを取り出し、矢印Bに示すように、プロセスモジュール10−1に搬入する。
次に、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから次の(二枚
目の)ウェーハを取り出し、矢印Cに示すように、プロセスモジュール10−2に搬入する。
さらに、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから次の(三
枚目の)ウェーハを取り出し、矢印Dに示すように、プロセスモジュール10−3に搬入
する。
プロセスモジュール101〜3において処理されたウェーハは、順次取り出され、ロー
ドポート30−1のポッドに搬送される。
【0015】
[並列方式]
図2Bを参照して、並列方式によるウェーハの搬送について説明する。ここでは、ロー
ドポート30−1〜30−3それぞれとプロセスモジュール10−1〜10−3それぞれ
との間でウェーハを搬送するものとする。
矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−1に搬入する。プロセスモジュール10−1において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−1のポッドに搬送される。
矢印Bに示すように、ロードポート30−2に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−2に搬入する。プロセスモジュール10−2において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−2のポッドに搬送される。
矢印Cに示すように、ロードポート30−3に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−3に搬入する。プロセスモジュール10−3において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−3のポッドに搬送される。
【0016】
以下、図3を用いて、図1のプロセスモジュール10についてさらに説明する。
図3は、図1のプロセスモジュール10の垂直断面図である。図3に示すように、プロ
セスモジュール10は、処理室12に、冷媒供給機構14、マイクロ波発生機構16、ガ
ス供給機構18、ガス排出機構22及びウェーハ搬送機構24が備えられた構成となって
いる。
【0017】
[処理室]
処理室12を形成する処理容器120は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(
SUS)など金属材料により構成されており、処理室12と外部とによってマイクロ波を
遮蔽する構造となっている。処理室12内には、ウェーハを支持する基板支持部としての
基板支持ピン122が設けられている。基板支持ピン122は、例えば石英又はテフロン
(登録商標)等からなる複数(本実施形態においては2本)で構成され、その上端でウェーハを支持する。ウェーハの下方であって基板支持ピン122の下部には、基板冷却部と
しての導電性の基板支持台124が設けられている。基板支持台124は、例えばアルミ
ニウムなどの導体である金属材料により構成されている。基板支持台124は、上面から
見た形がウェーハの外径よりも大きい円形で、円盤状又は円柱状に形成されている。
【0018】
基板支持台124は金属製であるため、基板支持台124においてはマイクロ波の電位
がゼロとなる。したがって、ウェーハを基板支持台124に直接置いた場合、マイクロ波
の電界強度が弱い状態となる。そこで、本実施形態では、基板支持台124の表面からマ
イクロ波の1/4波長(λ/4)の位置、もしくはλ/4の奇数倍の位置にウェーハを載
置するようにする。ここでいう基板支持台124の表面とは、基板支持台124を構成する面の内、ウェーハの裏面と対向する面を言う。λ/4の奇数倍の位置では電界が強いた
め、ウェーハを効率よくマイクロ波で加熱することができる。例えば、5.8GHzに固
定したマイクロ波を使用し、マイクロ波の波長が51.7mmであるので、基板支持台1
24からウェーハまでの高さを12.9mmとすることができる。マイクロ波の周波数が
時間とともに変化(可変)するようにしてもよい。この場合、基板支持台124の表面か
らウェーハまでの高さは、変化する周波数帯の代表周波数の波長から求めれば良い。例え
ば、5.8GHz〜7.0GHzまで変化する場合、代表周波数を変化する周波数帯のセ
ンタ周波数とし、代表周波数6.4GHzの波長46mmより、基板支持台124の表面
からウェーハまでの高さを11.5mmとすればよい。さらに、固定周波数の電源を複数
設け、それぞれから異なる周波数のマイクロ波を切り替えて供給し、処理するようにして
もよい。
基板支持台124内には、ウェーハを冷却するための冷媒を流す冷媒流路126が設けられている。ここでは、冷媒として水を使用している。冷媒流路126は、処理室12の
外部において、冷媒排出管128及び冷媒供給機構14に接続される。冷媒排出管128
は、冷媒流路126から冷媒を排出する。
【0019】
[冷媒供給機構]
冷媒供給機構14は、冷媒流路126へ冷媒を供給する冷媒供給管140、冷媒供給管
140を開閉する冷媒用バルブ142及び冷媒源144を備える。後述するように、冷媒
用バルブ142は、コントローラ40と電気的に接続されており、コントローラ40によ
り制御される。
【0020】
処理室12内のウェーハの上方には、ウェーハの温度を検出する温度検出器130が設
けられている。温度検出器130には、例えば、赤外線センサを用いることができる。後
述するように、温度検出器130は、コントローラ40と電気的に接続されている。具体
的には、温度検出器130によって検出されたウェーハの温度が、所定の温度よりも高い
場合、コントローラ40は、ウェーハの温度が所定の温度となるように、冷媒用バルブ1
42を制御して、冷媒流路126へ流す冷却水の流量を調節する。また、後述するように、コントローラ40は、ウェーハ表面に対して供給される不活性ガスの流量を調整する。
また、処理室12内には、処理室12内の圧力を検出する圧力センサ132が設けられ
ている。後述するように、圧力センサ132は、コントローラ40と電気的に接続されて
いる。
【0021】
[マイクロ波発生機構]
処理容器120の上部であって処理室12の側壁には、マイクロ波発生機構16が設けられている。
マイクロ波発生機構16は、マイクロ波発生部160、導波路162及び導波口164
を備え、例えば、固定周波数マイクロ波又は可変周波数マイクロ波を発生する。マイクロ
波発生部160としては、マイクロトロンなどの高周波電源が用いられる。マイクロ波発
生部160によって発生したマイクロ波は、導波路162を介して、処理室12と連通す
る導波口164から処理室12内に導入される。処理室12内に導入されたマイクロ波は、処理室12の壁面に対して反射を繰り返す。マイクロ波は処理室12内でいろいろな方
向へ反射し、処理室12内はマイクロ波で満たされる。処理室12内のウェーハに当たったマイクロ波はウェーハに吸収され、ウェーハはマイクロ波により誘電加熱される。なお、ウェーハの温度は、マイクロ波のパワー、処理室12の大きさや形状、導波口164の
位置、及び、ウェーハの処理室12における位置などによって変化する。
後述するように、マイクロ波発生部160は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラにより制御される。
導波口164の近傍には、マイクロ波発生部160によって発生し、導波口164から
処理室12内に導入したマイクロ波の周波数を検出する周波数センサ166及びマイクロ
波のRF(Radio Frequency;高周波)パワーを検出するRFパワーセン
サ168が設けられている。後述するように、周波数センサ166及びRFパワーセンサ
168は、コントローラ40と電気的に接続されている。
【0022】
[ガス供給機構]
処理容器120の上部であって処理室12の上壁には、ガス供給機構18が設けられて
いる。
ガス供給機構18は、窒素(N2)などの不活性ガスを導入するガス供給管180、ガ
ス供給管180を開閉するガス供給用バルブ182及びガス供給源184を備える。ガス
供給機構18は、ガス供給用バルブ182を開けることにより、ガス供給管180からの
ガスを処理室12内に導入し、ガス供給用バルブ182を閉めることにより、ガスの導入
を停止する。ガス供給管180から導入されるガスは、パージガスとして処理室12内の
ガスを押し出すのに用いられる。また、ガス供給管180はガスをウェーハの表面に吹き
つけるよう構成されているので、ガス供給管180から導入されるガスは、ウェーハを冷
却するのにも用いられる。
後述するように、ガス供給用バルブ182は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラ40により制御される。
ガス供給管180の近傍には、ガス供給管180から導入されるガスの流量を検出する
ガス流量センサ186が設けられている。後述するように、ガス流量センサ186は、コ
ントローラ40と電気的に接続されている。
【0023】
[ガス排出機構]
処理容器120の下部であって処理室12の側壁には、ガス排出機構22が設けられて
いる。
ガス排出機構22は、処理室12内のガスを排気するガス排出管220、ガス排出管2
20を開閉するガス排出用バルブ222及び排気装置としての真空ポンプ224を備える。ガス排出機構22は、ガス排出用バルブ222の開度を調整することにより、処理室12内の圧力を所定の値に調整する。
後述するように、ガス排出用バルブ222は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラ40により制御される。
【0024】
[ウェーハ搬送機構]
処理容器120の一側面には、ウェーハ搬送機構24が設けられている。
ウェーハ搬送機構24は、処理室12の内外にウェーハを搬送するためのウェーハ搬送
口240、図1を参照して上述したゲートバルブ100、及び、ゲートバルブ100を駆
動させるゲートバルブ駆動部242を備える。
ウェーハ搬送機構24は、ゲートバルブ100を開けることにより、処理室12がフロ
ントエンドモジュール20(ここでは図示していないが、図1を参照して上述)と連通するように構成されている。フロントエンドモジュール20には、搬送ロボット202(ここでは図示していないが、図1を参照して上述)が設けられている。ウェーハ搬送機構2
4は、ゲートバルブ100を開くことによって、搬送ロボット202が、処理室12及び
フロントエンドモジュール20の間で、ウェーハのスワップ搬送が可能なように構成され
ている。なお、ウェーハ搬送口240の近傍には、ウェーハの有無を検知するウェーハ検
知センサ244が設けられており、ウェーハがゲートバルブ100に巻き込まれないように構成されている。なお、スワップ搬送については、特開2003−289095号公報
に記載されているため、説明は省略する。
後述するように、ウェーハ検知センサ244は、コントローラ40と電気的に接続され
ている。具体的には、ウェーハ検知センサ244によってウェーハがあることが検知され
た場合、コントローラはゲートバルブ100が閉まってウェーハを巻き込まないよう制御
する。
【0025】
以下、図3を用いて、図1のプロセスモジュール10における処理について説明する。
以下に説明する処理は、半導体装置を製造する複数の工程のうち一工程を構成するもので
ある。
[第1の搬送工程]
ウェーハを処理室12に搬入するウェーハ搬入工程において、まず、ゲートバルブ10
0を開き、処理室12とフロントエンドモジュール20とを連通させる。次に、搬送ロボ
ット202により、ロードポート30に載置されたポッドからウェーハを取り出し、フロ
ントエンドモジュール20を経て処理室12内へ搬入する。処理室12内に搬入されたウ
ェーハは、搬送ロボット202により基板支持ピン122の上端に載置され、基板支持ピ
ン122に支持される。次に、搬送ロボット202が処理室12内からフロントエンドモ
ジュール20へ戻ると、ゲートバルブ100が閉じられる。
【0026】
[窒素ガス置換工程]
次に、処理室12内を窒素(N2)雰囲気に置換する。ウェーハを搬入すると処理室1
2の外の大気雰囲気が巻き込まれるので、この大気雰囲気中の水分や酸素がプロセスに影
響しないように処理室12内のN2置換を行う。ガス排出管220から、真空ポンプ22
4により処理室12内のガス(雰囲気)を排出するとともに、ガス供給管180から、N
2ガスを処理室12内に導入する。このとき、ガス供給用バルブ182を開閉することに
よって、処理室12内の圧力を所定の値(例えば大気圧)に調整する。
なお、このガス置換工程は、ウェーハ処理を開始する前の準備工程の一部として行われ
てもよい。また、同時に複数の処理室12内を窒素雰囲気に置換してもよい。
【0027】
[加熱処理工程]
次に、マイクロ波発生部160で発生させたマイクロ波を、導波口164から処理室1
2内に導入し、ウェーハの表面を照射する。このマイクロ波照射により、ウェーハの表面
上のHigh−k膜を100〜600℃(例えば、400℃程度)に加熱してHigh−k膜を改質、つまり、High−k膜からCやH等の不純物を離脱させて、緻密化し安定した絶縁体薄膜に改質することができる(膜質改善)。High−k膜等の誘電体は、誘電率に応じてマイクロ波の吸収率が異なる。誘電率が高いほどマイクロ波を吸収しやすい。ハイパワーのマイクロ波をウェーハに照射し処理することにより、ウェーハ上の誘電体膜が加熱され改質される。また、マイクロ波による加熱の特徴は、誘電率εと誘電正接tanδによる誘電加熱で、この物性値が異なる物質を同時に加熱することにより、加熱されやすい物質、すなわち、誘電率が高い方の物質だけ選択的に加熱できることである。
【0028】
High−k膜のアニールについて説明すると、ウェーハの基板材料であるシリコンに
比べ、High−k膜は誘電率εが高い。例えば、シリコンの誘電率εは9.6であるが、High−k膜であるHfO膜の誘電率εは25、ZrO膜の誘電率εは35である。よって、High−k膜を成膜したウェーハにマイクロ波を照射すると、High−k膜だけ選択的に加熱することができる。また、ハイパワーのマイクロ波を照射する方が膜の改質効果が大きい。よって、ハイパワーのマイクロ波を照射すると、急速にHigh−k膜の温度を上昇させることができる。これに対し、比較的低パワーのマイクロ波を長時間照射した場合は、改質プロセス中にウェーハ全体の温度が高くなってしまう。時間が経過すると、シリコン自身がマイクロ波により誘電加熱されるのと、マイクロ波が照射されるウェーハ表面のHigh−k膜からウェーハ裏面側のシリコンへの熱伝導により、シリコンの温度も上昇してしまうからである。ハイパワーのマイクロ波を照射する場合に膜の改質効果が大きい理由は、ウェーハ全体が温度上昇し、上限温度に達するまでの時間よりも早く、誘電体を誘電加熱により高い温度まで加熱することができるためと考えられる。ここで、本発明の実施形態では、上限温度とは、ウェーハ表面のHigh−k膜からウェーハ裏面側のシリコンに熱伝導する温度をいう。
【0029】
そこで、本発明の実施形態では、マイクロ波を照射中に、冷媒流路126に冷却水を供
給することにより、ウェーハの温度上昇を抑制する。好ましくは、ウェーハの温度が上限
温度以下となるように、バルブを制御して、冷媒流路126へ流す冷却水の流量を調節す
る。このように、ウェーハの処理温度を一定とすることにより、複数のウェーハを処理し
た場合であっても、処理後のウェーハの状態を均一にすることができる。
【0030】
また、加熱処理工程において、ガス供給用バルブ182を開いて、処理室12内にガス
供給管180からN2ガスを導入するとともに、ガス排出用バルブ222により処理室1
2内の圧力を所定の値(例えば大気圧)に調整しつつ、ガス排出管220から処理室12
内のN2ガスを排出する。このようにして、加熱処理工程において、処理室12内を予め
定められた圧力値に維持する。本実施形態では、周波数5.8〜7.0GHzのマイクロ
波をパワー1600W、処理室12内の圧力を大気圧として5分間、加熱処理を行った。
このようにして、所定時間、マイクロ波を導入して基板加熱処理を行った後、マイクロ波
の導入を停止する。ここでは、ウェーハを水平方向に回転させることなく加熱処理を行っ
ているが、ウェーハを回転させながら加熱処理を行ってもよい。
【0031】
[第1の冷却処理工程]
加熱処理工程が終了すると、処理室12内に導入するN2ガスの流量を制御するとともに、冷媒流路126に供給する冷却水の流量を制御することによって、所定の温度になるまでウェーハを冷却する。具体的には、ウェーハ及び基板支持台124の間にガスが流れるようにしつつ、ウェーハ近傍のガスの流量を制御するとともに、冷媒用バルブ142を開き、冷媒流路126に冷却水を供給することにより、ウェーハを冷却する。このとき、ウェーハの表面はN2ガスによって冷却され、ウェーハの裏面は冷却水によって冷却され、ウェーハの表面及び裏面の両面が冷却されることになるので、効率よくウェーハを冷却することができる。なお、冷却水の流量は、加熱処理工程及び第1の冷却処理工程それぞれにおいて設定されるようにしてもよい。
しかしながら、従来のように、ウェーハを収納するポッドが耐えうる80℃程度になるまでウェーハを冷却しては、時間がかかってしまう。そこで、ウェーハを搬送する搬送ロボット202のアームが耐えうる200℃程度になるまで、ウェーハを冷却する。
なお、本発明の実施形態では、N2ガスを使用しているが、プロセス的、安全性に問題
がなければ、熱伝達率の高い他のガス(例えば希釈Heガス)をN2ガスに追加し、ウェーハの冷却効果を向上させてもよい。
また、処理室12内における圧力調整用のガスと、ウェーハ冷却用のガスとが異なる種
類であってもよい。例えば、処理室12内における圧力調整にN2ガスを使用し、ウェー
ハ冷却に希釈Heガスを使用してもよい。
【0032】
[第2の搬送工程]
第1の冷却処理工程が終了すると、上述した第1の搬送工程に示した手順とは逆の手順
により、処理済みのウェーハを処理室12から搬出し、フロントエンドモジュール20に
搬入する。次に処理すべき未処理のウェーハがある場合には、処理済みのウェーハ及び未
処理のウェーハを入れ替えて搬送する。次に、搬送ロボット202は、処理済みのウェー
ハをクーリングステージ200に搬送する。
このように所定の温度(例えば200℃)になったウェーハを処理室12から搬出する
ことにより、処理済みのウェーハが処理室を占有する時間を短縮することができる。よって、未処理のウェーハが待機する時間を短縮することができ、その結果、スループットが
向上する。
[第2の冷却処理工程]
クーリングステージ200に載置された処理済みのウェーハを冷却する。本工程では、
ウェーハの温度が目標温度(ウェーハを収納するポッドが耐えうる温度。例えば80℃程
度)になるように冷却する。例えば、クーリングステージ200内部において冷却水が循
環するようにしてもよい。なお、冷却水の温度及び冷却水が循環する速さなどは、プロセ
スモジュール10における処理時間(つまり、加熱処理工程にかかる時間、第1の冷却処
理工程にかかる時間及び第2の冷却処理工程にかかる時間の合計)に応じて、適宜決定さ
れる。
[第3の搬送工程]
第2の冷却処理工程が終了すると、上述した第1の搬送工程に示した手順とは逆の手順
により、処理済みのウェーハをフロントエンドモジュール20から搬出し、ロードポート
30に載置されたポッドに収納する。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1におけるコントローラ構成を示す図
である。
制御部としてのコントローラ40は、操作者からの操作を受け付ける操作部400と、
メインコントローラとしての統括制御コントローラ402と、プロセス系を制御するプロ
セス制御部としてのサブコントローラ404と、搬送系を制御する搬送制御部としてのメ
カコントローラ406とがそれぞれLANなどの通信回線408を介して接続されて構成
される。
【0034】
操作部400は、少なくとも、モニタ表示、ログ及びアラームなどの解析並びにパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する表示部(不図示)と、該表示部などを介し
て入力された指示データ、各種レシピ及び各種パラメータをファイルとして格納する記憶
部(不図示)と、システム制御コマンドなどのコマンド及び各種レシピ作成時における各
種パラメータの設定値を入力する入力部(不図示)とを備える。
【0035】
操作部400は、上述した入力部又はホストコンピュータからの指示により、ウェーハ
を処理する旨の指示を受け付けると、ウェーハを搬送するための搬送レシピ及びウェーハ
を処理するためのプロセスレシピを統括制御コントローラ402にダウンロードする。統
括制御コントローラ402は、これらのレシピに基づいてサブコントローラ404及びメ
カコントローラ406を制御する。そして、サブコントローラ404は、プロセスレシピ
に基づいてウェーハに所定の処理を施し、メカコントローラ406は、搬送レシピ及びウ
ェーハ情報に基づいて搬送ロボット202を制御することによりウェーハを搬送する。
【0036】
統括制御コントローラ402は、コントローラ40全体の運用制御を行う。また、メカ
コントローラ406は、図1の搬送ロボット202を制御し、搬送系を制御する。サブコ
ントローラ404は、各プロセスモジュール10における温度、ガス流量、ガスの圧力、
RFパワーなどを制御する。また、サブコントローラ404は、統括制御コントローラ4
02の直下の通信回線408であるセンサバスを介して取り込んだウェーハ検知センサ2
44からの信号及びウェーハ情報に基づいて、搬送ロボット202と連動する。サブコン
トローラ404は、統括制御コントローラ402の命令(指示)に基づいて、図3を参照
して説明した冷媒用バルブ142、マイクロ波発生部160、ガス供給用バルブ182、
ガス排出用バルブ222及びゲートバルブ100などを制御するとともに、図3を参照し
て説明した温度検出器130、圧力センサ132、周波数センサ166、RFパワーセン
サ168及びガス流量センサ186それぞれによって検出した情報を、冷媒用バルブ14
2、マイクロ波発生部160、ガス供給用バルブ182、ガス排出用バルブ222及びゲートバルブ100の状態を示す情報として、統括制御コントローラ402に送信する。さ
らに、サブコントローラ404は、命令(指示)されたバルブパターンに基づいて、冷媒
用バルブ142をインターロックし、また、バルブパターンからハードインターロックが
検出された場合には、その旨を統括制御コントローラ402に送信する。
なお、上述した表示部、記憶部及び入力部は、操作部400と別体であってもよいし、
コントローラ40と別体であってもよい。表示部、記憶部及び入力部(又は操作部400
)は、例えば、図示しないユーザ(顧客)側のホストコンピュータと接続され、工場内の自
動化システムを実現するよう構成されてもよい。
【0037】
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1における運用方式について説
明する。
ここでは、上述した加熱処理工程及び第1の冷却処理工程が少なくとも記述されたプロ
セスレシピが実行されるものとする。また、振分方式を採用し、ロードポート30−1に
載置されたポッドに収納されたウェーハ1、4、7・・・をプロセスモジュール10−1
に振り分け、同じポッドに収納されたウェーハ2、5、8・・・をプロセスモジュール1
0−2に振り分け、同じポッドに収納されたウェーハ3、6、9・・・をプロセスモジュール10−3に振り分けるものとする。
なお、プロセスレシピに窒素ガス置換工程を記述してもよいことはいうまでもない。
【0038】
図5に示すように、T1(時間軸における時刻を意味する。T2,T3,・・・T13
についても同様)からT2までの時間において、上述した第1の搬送工程が実行され、ウ
ェーハ1が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出され、フロントエンド
モジュール20を経てプロセスモジュール10−1へ搬入される。
T2からT8までの時間において、上述した窒素ガス置換工程が実行された後、プロセ
スレシピが実行されることにより、上述した加熱処理工程及び第1の冷却処理工程が実行
される。特に、T7からT8までの時間において、第1の冷却処理工程が実行される。
具体的には、プロセスモジュール10−1内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ1にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ1がプロセスモジュー
ル10−1内で冷却される(第1の冷却処理)。
なお、窒素ガス置換工程は、T2前から実行されていてもよい。
【0039】
T3からT4までの時間において、T1からT2までの時間と同様、上述した第1の搬
送工程が実行され、ウェーハ2が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出
され、フロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10−2へ搬入される。
T4からT10までの時間において、T2からT8までの時間と同様、上述した窒素ガ
ス置換工程が実行された後、プロセスレシピが実行されることにより、上述した加熱処理
工程及び第1の冷却処理工程が実行される。特に、T9からT10までの時間において、
第1の冷却処理工程が実行される。なお、窒素ガス置換工程は、T4前から実行されていてもよい。
具体的には、プロセスモジュール10−2内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ2にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ2がプロセスモジュー
ル10−2内で冷却される(第1の冷却処理)。
【0040】
T5からT6までの時間において、T1からT2までの時間と同様、上述した第1の搬
送工程が実行され、ウェーハ3が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出
され、フロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10−3へ搬入される。
T6からT12までの時間において、T2からT8までの時間と同様、上述した窒素ガ
ス置換工程が実行された後、プロセスレシピが実行されることにより、上述した加熱処理
工程及び第1の冷却処理工程が実行される。特に、T11からT12までの時間において、第1の冷却処理工程が実行される。なお、窒素ガス置換工程は、T6前から実行されて
いてもよい。
具体的には、プロセスモジュール10−3内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ3にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ3がプロセスモジュー
ル10−3内で冷却される(第1の冷却処理)。
【0041】
T8からT9までの時間において、上述した第2の搬送工程が実行され、ウェーハ1が、プロセスモジュール10−1から搬出され、フロントエンドモジュール20に搬入され
る。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ4があるので、ウェーハ1及びウェーハ
4を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済みのウェーハ1はクーリングステージ
200に搬送される。
T9からT11までの時間において、上述した第2の冷却処理工程が実行され、処理済
みのウェーハ1がクーリングステージ200で冷却されている間、未処理のウェーハ4が
ロードポート30−1に載置されたポッドからプロセスモジュール10に搬入される。な
お、第2の冷却処理工程にかかる時間によっては、図5に示すように、第3の搬送工程が
実行されるまでの待ち時間が生じることがある。
【0042】
T10からT11までの時間において、T8からT9までの時間と同様、上述した第2
の搬送工程が実行され、ウェーハ2が、プロセスモジュール10−2から搬出され、フロ
ントエンドモジュール20に搬入される。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ5
があるので、ウェーハ2及びウェーハ5を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済
みのウェーハ2はクーリングステージ200に搬送される。
T11からT13までの時間において、T9からT11までの時間と同様、上述した第
2の冷却処理工程が実行され、処理済みのウェーハ2がクーリングステージ200で冷却
されている間、未処理のウェーハ5がロードポート30−1に載置されたポッドからプロ
セスモジュール10に搬入される。なお、第2の冷却処理工程にかかる時間によっては、
図5に示すように、第3の搬送工程が実行されるまでの待ち時間が生じることがある。
【0043】
T11からT12までの時間において、上述した第3の搬送工程が実行され、ウェーハ
1が、クーリングステージ200から搬出され、ロードポート30−1に載置されたポッ
ドに戻される。
T12からT13までの時間において、T8からT9までの時間と同様、上述した第2
の搬送工程が実行され、ウェーハ3が、プロセスモジュール10−3から搬出され、フロ
ントエンドモジュール20に搬入される。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ6
があるので、ウェーハ3及びウェーハ6を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済
みのウェーハ6はクーリングステージ200に搬送される。
T13以降の時間において、上述した第3の搬送工程が実行され、ウェーハ2が、クー
リングステージ200から搬出され、ロードポート30−1に載置されたポッドに戻され
る処理や、上述した第2の冷却処理工程が実行され、処理済みのウェーハ3がクーリング
ステージ200で冷却されている間、未処理のウェーハ6がロードポート30−1に載置
されたポッドからプロセスモジュール10に搬入される処理などがなされる。
【0044】
本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程において、ウェーハが所定の温度(200
℃)まで冷却されたことをトリガとして、第1の冷却処理工程が記述されたプロセスレシ
ピが終了するように構成する。通常、プロセスレシピの各ステップにおける処理時間は余
裕をもって設定されるので、所定の処理時間が過ぎたことをトリガとして第1の冷却処理
工程が終了することは、スループットの向上という観点からは好ましくない。そこで、ウ
ェーハが所定の温度まで冷却されたことをトリガとして第1の冷却処理工程が記述された
プロセスレシピを終了し、処理済みのウェーハをできるだけ早く処理室から取り出すこと
が望ましい。
【0045】
上述したように、本発明の実施形態では、マイクロ波を照射する間、ウェーハを冷却し
てウェーハの温度上昇を抑制するように構成されているので、ウェーハの温度を一定にすることができ、複数のウェーハを処理する場合であっても、処理後のウェーハの状態を均
一にすることができる。
【0046】
上述したように、本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程において、ウェーハの表
面及び裏面の両面を冷却するように構成されているので、ウェーハを効率よく冷却することができ、第1の冷却処理にかかる時間を短縮することができる。
また、ガス供給管から処理室に導入されるガスは、ウェーハの表面に直接吹きつけられ
るので、ウェーハを効率よく冷却することができ、第1の冷却処理にかかる時間を短縮することができる。
【0047】
上述したように、第1の冷却処理工程において、ウェーハが所定の温度(200℃)まで冷却された場合、処理済みのウェーハを処理室から取り出すように構成されているので、熱によるダメージを搬送機構の基板保持部に与えることなく、次に処理すべき未処理のウェーハを効率よく投入することができる。
特に、本発明の実施形態に係る基板処理装置1のように、処理室としてのプロセスモジ
ュール10と、一つの搬送機構を備えた搬送室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって構成され、未処理のウェーハをロードポート30からプロセスモジュール10へと直接搬送する場合に有効である。
【0048】
上述したように、本発明の実施形態では、搬送室内にウェーハを載置するクーリングス
テージ200を設け、処理室から取り出された処理済みのウェーハをポッドが耐えうる目
標温度まで冷却する間、未処理のウェーハを搬送できる構成にしたので、スループットを
低下させることなく、ウェーハを目標温度まで冷却することができる。
つまり、上述したように、処理室としてのプロセスモジュール10と、一つの搬送機構
を備えた搬送室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって
構成されるシンプルな基板処理装置において、未処理のウェーハをロードポート30から
プロセスモジュール10に効率よく搬送することができる。また、処理済みのウェーハを
プロセスモジュール10からロードポート30に効率よく搬送することができる。
なお、クーリングステージ200の個数は、ウェーハを効率よく搬送することができる
ように設定される。例えば、ロードポート30とプロセスモジュール10との間でウェー
ハを効率よく搬送する条件に基づいて、クーリングステージ200の個数が設定される。
【0049】
上述したように、本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程及び第2の冷却処理工程
という2つの冷却処理工程を設けているので、特に、本発明の実施形態に係る基板処理装
置1のように、処理室としてのプロセスモジュール10と、一つの搬送機構を備えた搬送
室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって構成され、未
処理のウェーハをロードポート30からプロセスモジュール10へと直接搬送する場合、
ウェーハを効率よく冷却することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、ウェーハに対する冷却処理を、プロセスモジュール10及びクーリングステージ200の両方において実行することにより、図6を参照して説明した従
来技術のように、プロセスモジュール10においてのみ実行する場合に比べ、熱によるダ
メージを搬送機構の基板保持部に与えることなく、プロセスモジュール10においてウェーハが効率よく入れ替えられる。その結果、装置全体の稼働率を高くすることができる。
【0051】
図7、図8は、それぞれ本発明の実施形態における第1の冷却処理及び第2の冷却処理でのウェーハの温度変化を実測してグラフにしたものである。次に、図7、図8を用いてウェーハに対する冷却処理について詳述する。
【0052】
図7は、プロセスモジュール10内における第1の冷却処理時のウェーハの温度変化をグラフ化したものであり、横軸がステップ時間、縦軸がウェーハ温度である。尚、ウェーハ温度は非接触式の放射温度計による実測値である。図7に示すように、ウェーハの温度が予め定められた温度(例えば、400℃)から搬送機構の耐圧温度である第1の温度(例えば、150℃程度)に冷却されるまでに凡そ80秒かかることが分かる。また、100秒後で140℃程度であり、80秒以降は、ほとんど変化が無く、第1の冷却処理としてプロセスレシピで冷却処理を行うステップ(クーリングステップ)時間の設定は、80秒が最適であるのが分かる。
【0053】
図8は、第1の冷却処理(クーリングステップ) が終了してからクーリングステージ200に搬送されて第2の冷却処理(クーリングステージ200による冷却)により目標温度になるまでのウェーハの温度変化を示すための線グラフである。横軸が時間、縦軸がウェーハ温度である。また、図8において、図7と同様に放射温度計により測定されたウェーハ温度は点線で示している。一方、実線で示されるウェーハ温度は、熱電対を使用して測定した実測値である。図8に示すように、放射温度計による測定と熱電対による測定では、誤差が生じており、具体的には、時間が0秒(第1の冷却処理終了時) のウェーハ温度は約220℃と図7の80秒後のウェーハ温度(150℃)とはズレが生じている。この場合、熱電対を直接ウェーハに取り付けているので熱電対による測定が正確な温度を示しているといえる。但し、10秒後にはウェーハ温度が約200℃となっており、ウェーハを搬送する際に支障が無い程度である。つまり、放射温度計による測定で150℃になるとプロセスレシピが終了し、ウェーハディスチャージが開始されるが、搬送機構の基板保持部にウェーハが載置されるまでに11秒程度かかるためである。
【0054】
以後、図8について、熱電対で測定されたウェーハ温度に基づいて説明する。図8に示すように、第1の温度(例えば、200℃)から目標温度である第2の温度(例えば、80℃)にかかる時間は、約90秒かかることが分かる。よって、第2の冷却処理(クーリングステージ200による冷却)の時間設定は、90秒以上ということになる。これは、スループットを考慮すると、未処理ウェーハをプロセスモジュール10に搬入することが優先されるためである。
【0055】
以上のように、図7、図8により本発明の実施形態においては、予め定められた処理温度である400℃から目標温度である80℃までにかかる時間は、80秒+10秒+90秒で180秒(3分)である。一方、従来のように、プロセスモジュール10内における冷却処理だけでウェーハの温度を400℃から80℃まで冷却する場合を検討する。例えば、図7において、80秒から100秒までに150℃から140℃になっていることを利用して、この割合でウェーハが冷却されると仮定すると、150℃から80℃まで冷却されるのにかかる時間は、140秒である。よって、ウェーハ温度が、処理温度である400℃から80℃になるまでにかかる時間は、80秒+140秒で220秒である。比較した結果、従来の冷却方式と比較して本実施形態における冷却方式は、400℃から80℃までにかかる時間が50秒も早いことが分かる。このように、本発明の実施形態において、プロセスモジュール10内での第1の冷却処理とクーリングステージ200での第2の冷却処理の2段階でウェーハを冷却する方式が有効であるのが分かる。
【0056】
上述したように本発明の実施形態における2段階クリーニングにより明らかに冷却処理にかかる時間が短縮されるのでスループット向上が図れる。また、クーリングステージは、ロードポート30に載置されたポッドからフロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10へ搬入されるまでのウェーハの搬送経路から外れた位置にあるので、第2の冷却処理と未処理ウェーハの搬入は、並行して行うことが可能である。よって、処理済ウェーハを冷却しながら未処理ウェーハが、効率よくプロセスモジュール10へ搬送されるので、スループット向上の妨げにならない。更に、プロセスモジュール10内での第1の冷却処理と上記第2の冷却処理を組合せることにより、第1の冷却処理の時間を短縮できるので、ウェーハ搬送の妨げとなるウェーハ滞留が抑えられる。従って、装置の生産効率が向上する。
【0057】
なお、本発明の実施形態では、半導体製造装置として枚葉式の基板処理装置1を説明し
たが縦型の基板処理装置1や横型の基板処理装置1にも適用できる。また、ウェーハを処
理する半導体製造装置だけでなく、LCD装置のようなガラス基板を処理する処理装置に
も適用することができる。
このように、本発明は種々の改変が可能であり、本発明はこのように改変された発明に
及ぶことは当然である。
【0058】
次に、本発明の好ましい他の実施形態を付記するが、本発明が以下の記載に限定されな
いことはいうまでもない。
【0059】
[実施形態1]
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、及び、前記基板の表面
に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備える処理室と、前記処理室に
おいて処理が施された基板を冷却する冷却機構、及び、前記基板を搬送する搬送機構を少
なくとも備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置。
【0060】
[実施形態2]
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、前記基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部、及び、前記基板の裏面を冷却する基板冷却部を少
なくとも備える処理室と、前記処理室において処理が施された基板を冷却する冷却機構、
及び、前記基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置。
【0061】
[実施形態3]
基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部、及び、前記基板の裏面を冷却
する基板冷却部を少なくとも備える処理室と、前記処理室において処理が施された基板を
搬送する搬送機構を備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置における基
板冷却方法であって、前記処理室において、前記ガス供給部は基板の表面に向かって不活
性ガスを供給して、前期基板の表面側から冷却し、前記基板冷却部は前記基板の裏面を冷
却する基板冷却方法。
【0062】
[実施の態様4]
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プを少なくとも含むレシピを実行する工程と、前記第1の温度まで冷却された基板を第
2の温度まで冷却する冷却工程を少なくとも有する半導体装置の製造方法。
【0063】
[実施の態様5]
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プとで少なくとも含むレシピを実行する工程とを少なくとも有する半導体装置の製造方法
であって、前記レシピを実行する工程は、予め定められた処理を施された基板が前記第1
の温度まで冷却された場合に終了することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0064】
1 基板処理装置
10 プロセスモジュール
100 ゲートバルブ
20 フロントエンドモジュール
200 クーリングステージ
202 搬送ロボット
30 ロードポート
40 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置において、基板を処理する際の基板を冷却する方式に関するも
のである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一種である半導体製造装置は、少なくとも、基板を収納した基板収容器
としてのキャリアが載置されるキャリア載置台と、基板を処理する処理室と、キャリア載
置台にあるキャリア内の基板を処理室までに搬送する搬送手段を備えた搬送室とで構成さ
れている。
【0003】
このような半導体製造装置では、従来から、搬送手段が処理済みの基板(以下「ウェーハ」と記載)を処理室から搬出してキャリアに戻す際に、搬送手段及びキャリアに熱ダメージを与えないよう、処理済みのウェーハが冷却されることがある。例えば、特許文献1には、キャリアに戻す前に冷却処理を行うことが記載されている。また、特許文献2や特許文献3に記載されているように、従来から、搬送室にウェーハを冷却する室が設けられている。例えば、特許文献2には、処理室及び搬送室の間に設けられた予備室内に基板冷却用の載置台(冷却ステージ)を設けることが記載されている。特許文献3には、搬送室にウェーハを冷却する為に退避させておく為の予備室を設けることが記載されている。しかしながら、上記2つの特許文献で開示されている装置は、キャリア内の基板が搬送室を介して処理室へ搬送されるまでにいくつかの室を渡って搬送される構成となっており、ウェーハの冷却機構は、必要に応じて装置内に設けるだけでよいという程度であった。
【0004】
一方、処理済みのウェーハは処理室内において冷却されることがある。例えば、処理室
内にN2ガスを流すことにより、処理室内の温度を低下させることによって行われる。
具体的には、図6に示すように、T1〜T2において、ウェーハ1が処理室1に搬入さ
れ、T2〜T3において、ウェーハ1に基板処理が施された後、T3〜T4において、後
処理として処理室での冷却処理を施す。T3〜T4において、処理室1はウェーハ1によって占有されており、未処理のウェーハ4を処理することはできないので、T4において、処理室1での冷却処理が終了した後、ウェーハ1とウェーハ4とを入れ替えて搬送する。ウェーハ2,3についても、ウェーハ1と同様、処理室2,3での冷却処理が施されて
いる間、未処理のウェーハ5,6を処理室2,3で処理することはできないので、処理室
2,3での冷却処理が終了した後、ウェーハ2,3とウェーハ5,6とを入れ替えて搬送
する。
ただし、この場合、処理済みのウェーハの冷却が完了するまで、処理室は処理済みのウ
ェーハによって占有されるので、未処理のウェーハを搬入することはできない。したがって、処理室内における冷却にかかる時間が長くなるほど、スループットが下がり、装置全
体の稼働率が低下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4199324号
【特許文献2】特開2005−322762号公報
【特許文献3】特許第4568231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、処理室内での基板滞留に起因する装置稼働率の低下を抑制す
る基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板処理装置は、基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波
供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備え
る処理室と、前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室とにより少なくとも構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理室内における基板処理にかかる時間を短縮するので、装置稼働率
を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る基板処理装置において、振分方式を用いる場合を説明するための図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る基板処理装置において、並列方式を用いる場合を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る基板処理装置のプロセスモジュールを例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基板処理装置のコントローラ構成を示す図である。
【図5】本発明における冷却方式の運用を示す図である。
【図6】従来の冷却方式の運用を示す図である。
【図7】PM内で第一の冷却処理工程時に基板の温度変化を示す図である。
【図8】第一の冷却処理工程終了時から第二の冷却処理工程までの基板の温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1を説明する。図1は、
基板処理装置1を上から見たときの構成概略図である。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置1は、半導体を製造するために予め定められた
(以下、「所定の」)処理を実行する半導体製造装置として構成されている。以下、本発
明の一実施形態に係る基板処理装置1は、可変のマイクロ波(VFM;Variable
Frequency Microwave)を利用する装置であるとして説明する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る基板処理装置1は、少なくとも、ウェーハに所定の処理を施
す処理室としてのプロセスモジュール(PM;Process Module)10と、
ウェーハが搬送される搬送室としてのフロントエンドモジュール(EFEM;Equip
ment Front End Module)20と、ウェーハが収納された基板収容
器(例えば、FOUP(Front−Opening Unifiled Pod)。以下
「ポッド」と記載)を装置外部の搬送装置と受渡しする容器載置台としてのロードポート
(LP;Load Port)30によって構成される。
プロセスモジュール10及びロードポート30は、少なくとも1つずつ設けられる。こ
こでは、プロセスモジュール10及びロードポート30が3つずつ設けられているが、この構成は一例であって、本発明の構成はこの構成に限定されない。
また、後述する制御手段としてのコントローラは、所定のファイルを実行することにより、後述する搬送手段としての搬送ロボット202を制御し、プロセスモジュール10、
フロントエンドモジュール20及びロードポート30間においてウェーハを搬送する。
また、コントローラは、所定のファイルを実行することにより、プロセスモジュール1
0を構成する各種機構を制御し、プロセスモジュール10内においてウェーハを処理する。
【0012】
[プロセスモジュール10]
プロセスモジュール10は、CVD(Chemical Vapor Deposit
ion;化学気相成長)及びALD(Atomic Layer Deposition
;原子層堆積)などによる成膜、アッシング、エッチング及び膜質改善などの処理をウェーハに実施する。また、プロセスモジュール10は、ウェーハの処理方式に合わせて、後
述するように、マイクロ波発生機構、冷媒供給機構、冷媒排出管、ガス供給機構、ガス排
気機構及び温度制御機構などの機構を備える。
プロセスモジュール10は、ゲートバルブ(GV;Gate Valve)100を介
して、フロントエンドモジュール20と連通可能となっている。
[フロントエンドモジュール20]
フロントエンドモジュール20は、冷却機構としてのクーリングステージ200(CS
;Cooling Stage)を備える。クーリングステージ200は、ウェーハを保
持可能な棚及び台などとして構成され、本発明の実施形態では、内部で冷却水が循環する
ことによって、保持したウェーハの裏面を接触冷却するよう構成されている。後述するよ
うに、プロセスモジュール10において所定の温度まで冷却された基板は、クーリングス
テージ200において所定の温度から目標温度まで冷却される。
また、フロントエンドモジュール20は、ウェーハを搬送する搬送機構としての搬送ロボット202を備える。搬送ロボット202は、ウェーハを保持する基板保持部としての
アームを上下に1つずつ備える。搬送ロボット202は、例えば、上アームの先に未処理
ウェーハを載せ、各プロセスモジュール10に対して搬入するとともに、下アームの先に
処理済みウェーハを載せ、各プロセスモジュール10から搬出すること(ウェーハを入れ
替えて搬送すること)ができるよう構成されている。なお、プロセスモジュール10及び
クーリングステージ200は同じ数だけ設けられているが、本発明はこのような構成に限
らず、プロセスモジュール10の個数は、ウェーハが搬送される時間に応じて適宜変更さ
れ、クーリングステージ200の個数は、ウェーハが冷却される時間に応じて適宜変更さ
れ得る。また、フロントエンドモジュール20は、シャッタを介して、ロードポート30
と連通可能となっている。
[ロードポート30]
ロードポート30は、基板収容器としてのポッドが載置される複数の載置台が設けられ
ている。図1に示すように、ロードポート30は、クーリングステージ200と同様、プ
ロセスモジュール10と同じ数だけ設けられているが、ロードポート30をいくつ設ける
かは、後述するウェーハ搬送方式によって異なる。具体的には、振分方式によってウェーハを搬送する場合には、ロードポート30は少なくとも1つ設けられればよく、並列方式
によってウェーハを搬送する場合には、搬送先を記述した搬送レシピなどに応じて所定の
数のロードポート30が少なくとも設けられる。
【0013】
以下、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1がウェーハを搬送する
方法を説明する。図2Aは、一つのポッドに収納されているウェーハを各プロセスモジュール10に1枚ずつ搬送する振分方式を説明するための図である。図2Bは、異なる条件
で処理を実施する目的で、複数のポッドに収納されているウェーハを各プロセスモジュー
ル10に搬送する並列方式を説明するための図である。以下、本発明の一実施形態に係る
基板処理装置1は、振分方式によってウェーハを搬送するものとする。
【0014】
[振分方式]
図2Aを参照して、振分方式によるウェーハの搬送について説明する。ここでは、ロー
ドポート30−1〜30−3とプロセスモジュール10−1〜10−3との間でウェーハ
を搬送するものとする。
まず、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから(一枚目の)
ウェーハを取り出し、矢印Bに示すように、プロセスモジュール10−1に搬入する。
次に、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから次の(二枚
目の)ウェーハを取り出し、矢印Cに示すように、プロセスモジュール10−2に搬入する。
さらに、矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドから次の(三
枚目の)ウェーハを取り出し、矢印Dに示すように、プロセスモジュール10−3に搬入
する。
プロセスモジュール101〜3において処理されたウェーハは、順次取り出され、ロー
ドポート30−1のポッドに搬送される。
【0015】
[並列方式]
図2Bを参照して、並列方式によるウェーハの搬送について説明する。ここでは、ロー
ドポート30−1〜30−3それぞれとプロセスモジュール10−1〜10−3それぞれ
との間でウェーハを搬送するものとする。
矢印Aに示すように、ロードポート30−1に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−1に搬入する。プロセスモジュール10−1において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−1のポッドに搬送される。
矢印Bに示すように、ロードポート30−2に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−2に搬入する。プロセスモジュール10−2において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−2のポッドに搬送される。
矢印Cに示すように、ロードポート30−3に載置されたポッドからウェーハを取り出
し、プロセスモジュール10−3に搬入する。プロセスモジュール10−3において処理
されたウェーハは取り出され、ロードポート30−3のポッドに搬送される。
【0016】
以下、図3を用いて、図1のプロセスモジュール10についてさらに説明する。
図3は、図1のプロセスモジュール10の垂直断面図である。図3に示すように、プロ
セスモジュール10は、処理室12に、冷媒供給機構14、マイクロ波発生機構16、ガ
ス供給機構18、ガス排出機構22及びウェーハ搬送機構24が備えられた構成となって
いる。
【0017】
[処理室]
処理室12を形成する処理容器120は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(
SUS)など金属材料により構成されており、処理室12と外部とによってマイクロ波を
遮蔽する構造となっている。処理室12内には、ウェーハを支持する基板支持部としての
基板支持ピン122が設けられている。基板支持ピン122は、例えば石英又はテフロン
(登録商標)等からなる複数(本実施形態においては2本)で構成され、その上端でウェーハを支持する。ウェーハの下方であって基板支持ピン122の下部には、基板冷却部と
しての導電性の基板支持台124が設けられている。基板支持台124は、例えばアルミ
ニウムなどの導体である金属材料により構成されている。基板支持台124は、上面から
見た形がウェーハの外径よりも大きい円形で、円盤状又は円柱状に形成されている。
【0018】
基板支持台124は金属製であるため、基板支持台124においてはマイクロ波の電位
がゼロとなる。したがって、ウェーハを基板支持台124に直接置いた場合、マイクロ波
の電界強度が弱い状態となる。そこで、本実施形態では、基板支持台124の表面からマ
イクロ波の1/4波長(λ/4)の位置、もしくはλ/4の奇数倍の位置にウェーハを載
置するようにする。ここでいう基板支持台124の表面とは、基板支持台124を構成する面の内、ウェーハの裏面と対向する面を言う。λ/4の奇数倍の位置では電界が強いた
め、ウェーハを効率よくマイクロ波で加熱することができる。例えば、5.8GHzに固
定したマイクロ波を使用し、マイクロ波の波長が51.7mmであるので、基板支持台1
24からウェーハまでの高さを12.9mmとすることができる。マイクロ波の周波数が
時間とともに変化(可変)するようにしてもよい。この場合、基板支持台124の表面か
らウェーハまでの高さは、変化する周波数帯の代表周波数の波長から求めれば良い。例え
ば、5.8GHz〜7.0GHzまで変化する場合、代表周波数を変化する周波数帯のセ
ンタ周波数とし、代表周波数6.4GHzの波長46mmより、基板支持台124の表面
からウェーハまでの高さを11.5mmとすればよい。さらに、固定周波数の電源を複数
設け、それぞれから異なる周波数のマイクロ波を切り替えて供給し、処理するようにして
もよい。
基板支持台124内には、ウェーハを冷却するための冷媒を流す冷媒流路126が設けられている。ここでは、冷媒として水を使用している。冷媒流路126は、処理室12の
外部において、冷媒排出管128及び冷媒供給機構14に接続される。冷媒排出管128
は、冷媒流路126から冷媒を排出する。
【0019】
[冷媒供給機構]
冷媒供給機構14は、冷媒流路126へ冷媒を供給する冷媒供給管140、冷媒供給管
140を開閉する冷媒用バルブ142及び冷媒源144を備える。後述するように、冷媒
用バルブ142は、コントローラ40と電気的に接続されており、コントローラ40によ
り制御される。
【0020】
処理室12内のウェーハの上方には、ウェーハの温度を検出する温度検出器130が設
けられている。温度検出器130には、例えば、赤外線センサを用いることができる。後
述するように、温度検出器130は、コントローラ40と電気的に接続されている。具体
的には、温度検出器130によって検出されたウェーハの温度が、所定の温度よりも高い
場合、コントローラ40は、ウェーハの温度が所定の温度となるように、冷媒用バルブ1
42を制御して、冷媒流路126へ流す冷却水の流量を調節する。また、後述するように、コントローラ40は、ウェーハ表面に対して供給される不活性ガスの流量を調整する。
また、処理室12内には、処理室12内の圧力を検出する圧力センサ132が設けられ
ている。後述するように、圧力センサ132は、コントローラ40と電気的に接続されて
いる。
【0021】
[マイクロ波発生機構]
処理容器120の上部であって処理室12の側壁には、マイクロ波発生機構16が設けられている。
マイクロ波発生機構16は、マイクロ波発生部160、導波路162及び導波口164
を備え、例えば、固定周波数マイクロ波又は可変周波数マイクロ波を発生する。マイクロ
波発生部160としては、マイクロトロンなどの高周波電源が用いられる。マイクロ波発
生部160によって発生したマイクロ波は、導波路162を介して、処理室12と連通す
る導波口164から処理室12内に導入される。処理室12内に導入されたマイクロ波は、処理室12の壁面に対して反射を繰り返す。マイクロ波は処理室12内でいろいろな方
向へ反射し、処理室12内はマイクロ波で満たされる。処理室12内のウェーハに当たったマイクロ波はウェーハに吸収され、ウェーハはマイクロ波により誘電加熱される。なお、ウェーハの温度は、マイクロ波のパワー、処理室12の大きさや形状、導波口164の
位置、及び、ウェーハの処理室12における位置などによって変化する。
後述するように、マイクロ波発生部160は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラにより制御される。
導波口164の近傍には、マイクロ波発生部160によって発生し、導波口164から
処理室12内に導入したマイクロ波の周波数を検出する周波数センサ166及びマイクロ
波のRF(Radio Frequency;高周波)パワーを検出するRFパワーセン
サ168が設けられている。後述するように、周波数センサ166及びRFパワーセンサ
168は、コントローラ40と電気的に接続されている。
【0022】
[ガス供給機構]
処理容器120の上部であって処理室12の上壁には、ガス供給機構18が設けられて
いる。
ガス供給機構18は、窒素(N2)などの不活性ガスを導入するガス供給管180、ガ
ス供給管180を開閉するガス供給用バルブ182及びガス供給源184を備える。ガス
供給機構18は、ガス供給用バルブ182を開けることにより、ガス供給管180からの
ガスを処理室12内に導入し、ガス供給用バルブ182を閉めることにより、ガスの導入
を停止する。ガス供給管180から導入されるガスは、パージガスとして処理室12内の
ガスを押し出すのに用いられる。また、ガス供給管180はガスをウェーハの表面に吹き
つけるよう構成されているので、ガス供給管180から導入されるガスは、ウェーハを冷
却するのにも用いられる。
後述するように、ガス供給用バルブ182は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラ40により制御される。
ガス供給管180の近傍には、ガス供給管180から導入されるガスの流量を検出する
ガス流量センサ186が設けられている。後述するように、ガス流量センサ186は、コ
ントローラ40と電気的に接続されている。
【0023】
[ガス排出機構]
処理容器120の下部であって処理室12の側壁には、ガス排出機構22が設けられて
いる。
ガス排出機構22は、処理室12内のガスを排気するガス排出管220、ガス排出管2
20を開閉するガス排出用バルブ222及び排気装置としての真空ポンプ224を備える。ガス排出機構22は、ガス排出用バルブ222の開度を調整することにより、処理室12内の圧力を所定の値に調整する。
後述するように、ガス排出用バルブ222は、コントローラ40と電気的に接続されて
おり、コントローラ40により制御される。
【0024】
[ウェーハ搬送機構]
処理容器120の一側面には、ウェーハ搬送機構24が設けられている。
ウェーハ搬送機構24は、処理室12の内外にウェーハを搬送するためのウェーハ搬送
口240、図1を参照して上述したゲートバルブ100、及び、ゲートバルブ100を駆
動させるゲートバルブ駆動部242を備える。
ウェーハ搬送機構24は、ゲートバルブ100を開けることにより、処理室12がフロ
ントエンドモジュール20(ここでは図示していないが、図1を参照して上述)と連通するように構成されている。フロントエンドモジュール20には、搬送ロボット202(ここでは図示していないが、図1を参照して上述)が設けられている。ウェーハ搬送機構2
4は、ゲートバルブ100を開くことによって、搬送ロボット202が、処理室12及び
フロントエンドモジュール20の間で、ウェーハのスワップ搬送が可能なように構成され
ている。なお、ウェーハ搬送口240の近傍には、ウェーハの有無を検知するウェーハ検
知センサ244が設けられており、ウェーハがゲートバルブ100に巻き込まれないように構成されている。なお、スワップ搬送については、特開2003−289095号公報
に記載されているため、説明は省略する。
後述するように、ウェーハ検知センサ244は、コントローラ40と電気的に接続され
ている。具体的には、ウェーハ検知センサ244によってウェーハがあることが検知され
た場合、コントローラはゲートバルブ100が閉まってウェーハを巻き込まないよう制御
する。
【0025】
以下、図3を用いて、図1のプロセスモジュール10における処理について説明する。
以下に説明する処理は、半導体装置を製造する複数の工程のうち一工程を構成するもので
ある。
[第1の搬送工程]
ウェーハを処理室12に搬入するウェーハ搬入工程において、まず、ゲートバルブ10
0を開き、処理室12とフロントエンドモジュール20とを連通させる。次に、搬送ロボ
ット202により、ロードポート30に載置されたポッドからウェーハを取り出し、フロ
ントエンドモジュール20を経て処理室12内へ搬入する。処理室12内に搬入されたウ
ェーハは、搬送ロボット202により基板支持ピン122の上端に載置され、基板支持ピ
ン122に支持される。次に、搬送ロボット202が処理室12内からフロントエンドモ
ジュール20へ戻ると、ゲートバルブ100が閉じられる。
【0026】
[窒素ガス置換工程]
次に、処理室12内を窒素(N2)雰囲気に置換する。ウェーハを搬入すると処理室1
2の外の大気雰囲気が巻き込まれるので、この大気雰囲気中の水分や酸素がプロセスに影
響しないように処理室12内のN2置換を行う。ガス排出管220から、真空ポンプ22
4により処理室12内のガス(雰囲気)を排出するとともに、ガス供給管180から、N
2ガスを処理室12内に導入する。このとき、ガス供給用バルブ182を開閉することに
よって、処理室12内の圧力を所定の値(例えば大気圧)に調整する。
なお、このガス置換工程は、ウェーハ処理を開始する前の準備工程の一部として行われ
てもよい。また、同時に複数の処理室12内を窒素雰囲気に置換してもよい。
【0027】
[加熱処理工程]
次に、マイクロ波発生部160で発生させたマイクロ波を、導波口164から処理室1
2内に導入し、ウェーハの表面を照射する。このマイクロ波照射により、ウェーハの表面
上のHigh−k膜を100〜600℃(例えば、400℃程度)に加熱してHigh−k膜を改質、つまり、High−k膜からCやH等の不純物を離脱させて、緻密化し安定した絶縁体薄膜に改質することができる(膜質改善)。High−k膜等の誘電体は、誘電率に応じてマイクロ波の吸収率が異なる。誘電率が高いほどマイクロ波を吸収しやすい。ハイパワーのマイクロ波をウェーハに照射し処理することにより、ウェーハ上の誘電体膜が加熱され改質される。また、マイクロ波による加熱の特徴は、誘電率εと誘電正接tanδによる誘電加熱で、この物性値が異なる物質を同時に加熱することにより、加熱されやすい物質、すなわち、誘電率が高い方の物質だけ選択的に加熱できることである。
【0028】
High−k膜のアニールについて説明すると、ウェーハの基板材料であるシリコンに
比べ、High−k膜は誘電率εが高い。例えば、シリコンの誘電率εは9.6であるが、High−k膜であるHfO膜の誘電率εは25、ZrO膜の誘電率εは35である。よって、High−k膜を成膜したウェーハにマイクロ波を照射すると、High−k膜だけ選択的に加熱することができる。また、ハイパワーのマイクロ波を照射する方が膜の改質効果が大きい。よって、ハイパワーのマイクロ波を照射すると、急速にHigh−k膜の温度を上昇させることができる。これに対し、比較的低パワーのマイクロ波を長時間照射した場合は、改質プロセス中にウェーハ全体の温度が高くなってしまう。時間が経過すると、シリコン自身がマイクロ波により誘電加熱されるのと、マイクロ波が照射されるウェーハ表面のHigh−k膜からウェーハ裏面側のシリコンへの熱伝導により、シリコンの温度も上昇してしまうからである。ハイパワーのマイクロ波を照射する場合に膜の改質効果が大きい理由は、ウェーハ全体が温度上昇し、上限温度に達するまでの時間よりも早く、誘電体を誘電加熱により高い温度まで加熱することができるためと考えられる。ここで、本発明の実施形態では、上限温度とは、ウェーハ表面のHigh−k膜からウェーハ裏面側のシリコンに熱伝導する温度をいう。
【0029】
そこで、本発明の実施形態では、マイクロ波を照射中に、冷媒流路126に冷却水を供
給することにより、ウェーハの温度上昇を抑制する。好ましくは、ウェーハの温度が上限
温度以下となるように、バルブを制御して、冷媒流路126へ流す冷却水の流量を調節す
る。このように、ウェーハの処理温度を一定とすることにより、複数のウェーハを処理し
た場合であっても、処理後のウェーハの状態を均一にすることができる。
【0030】
また、加熱処理工程において、ガス供給用バルブ182を開いて、処理室12内にガス
供給管180からN2ガスを導入するとともに、ガス排出用バルブ222により処理室1
2内の圧力を所定の値(例えば大気圧)に調整しつつ、ガス排出管220から処理室12
内のN2ガスを排出する。このようにして、加熱処理工程において、処理室12内を予め
定められた圧力値に維持する。本実施形態では、周波数5.8〜7.0GHzのマイクロ
波をパワー1600W、処理室12内の圧力を大気圧として5分間、加熱処理を行った。
このようにして、所定時間、マイクロ波を導入して基板加熱処理を行った後、マイクロ波
の導入を停止する。ここでは、ウェーハを水平方向に回転させることなく加熱処理を行っ
ているが、ウェーハを回転させながら加熱処理を行ってもよい。
【0031】
[第1の冷却処理工程]
加熱処理工程が終了すると、処理室12内に導入するN2ガスの流量を制御するとともに、冷媒流路126に供給する冷却水の流量を制御することによって、所定の温度になるまでウェーハを冷却する。具体的には、ウェーハ及び基板支持台124の間にガスが流れるようにしつつ、ウェーハ近傍のガスの流量を制御するとともに、冷媒用バルブ142を開き、冷媒流路126に冷却水を供給することにより、ウェーハを冷却する。このとき、ウェーハの表面はN2ガスによって冷却され、ウェーハの裏面は冷却水によって冷却され、ウェーハの表面及び裏面の両面が冷却されることになるので、効率よくウェーハを冷却することができる。なお、冷却水の流量は、加熱処理工程及び第1の冷却処理工程それぞれにおいて設定されるようにしてもよい。
しかしながら、従来のように、ウェーハを収納するポッドが耐えうる80℃程度になるまでウェーハを冷却しては、時間がかかってしまう。そこで、ウェーハを搬送する搬送ロボット202のアームが耐えうる200℃程度になるまで、ウェーハを冷却する。
なお、本発明の実施形態では、N2ガスを使用しているが、プロセス的、安全性に問題
がなければ、熱伝達率の高い他のガス(例えば希釈Heガス)をN2ガスに追加し、ウェーハの冷却効果を向上させてもよい。
また、処理室12内における圧力調整用のガスと、ウェーハ冷却用のガスとが異なる種
類であってもよい。例えば、処理室12内における圧力調整にN2ガスを使用し、ウェー
ハ冷却に希釈Heガスを使用してもよい。
【0032】
[第2の搬送工程]
第1の冷却処理工程が終了すると、上述した第1の搬送工程に示した手順とは逆の手順
により、処理済みのウェーハを処理室12から搬出し、フロントエンドモジュール20に
搬入する。次に処理すべき未処理のウェーハがある場合には、処理済みのウェーハ及び未
処理のウェーハを入れ替えて搬送する。次に、搬送ロボット202は、処理済みのウェー
ハをクーリングステージ200に搬送する。
このように所定の温度(例えば200℃)になったウェーハを処理室12から搬出する
ことにより、処理済みのウェーハが処理室を占有する時間を短縮することができる。よって、未処理のウェーハが待機する時間を短縮することができ、その結果、スループットが
向上する。
[第2の冷却処理工程]
クーリングステージ200に載置された処理済みのウェーハを冷却する。本工程では、
ウェーハの温度が目標温度(ウェーハを収納するポッドが耐えうる温度。例えば80℃程
度)になるように冷却する。例えば、クーリングステージ200内部において冷却水が循
環するようにしてもよい。なお、冷却水の温度及び冷却水が循環する速さなどは、プロセ
スモジュール10における処理時間(つまり、加熱処理工程にかかる時間、第1の冷却処
理工程にかかる時間及び第2の冷却処理工程にかかる時間の合計)に応じて、適宜決定さ
れる。
[第3の搬送工程]
第2の冷却処理工程が終了すると、上述した第1の搬送工程に示した手順とは逆の手順
により、処理済みのウェーハをフロントエンドモジュール20から搬出し、ロードポート
30に載置されたポッドに収納する。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1におけるコントローラ構成を示す図
である。
制御部としてのコントローラ40は、操作者からの操作を受け付ける操作部400と、
メインコントローラとしての統括制御コントローラ402と、プロセス系を制御するプロ
セス制御部としてのサブコントローラ404と、搬送系を制御する搬送制御部としてのメ
カコントローラ406とがそれぞれLANなどの通信回線408を介して接続されて構成
される。
【0034】
操作部400は、少なくとも、モニタ表示、ログ及びアラームなどの解析並びにパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する表示部(不図示)と、該表示部などを介し
て入力された指示データ、各種レシピ及び各種パラメータをファイルとして格納する記憶
部(不図示)と、システム制御コマンドなどのコマンド及び各種レシピ作成時における各
種パラメータの設定値を入力する入力部(不図示)とを備える。
【0035】
操作部400は、上述した入力部又はホストコンピュータからの指示により、ウェーハ
を処理する旨の指示を受け付けると、ウェーハを搬送するための搬送レシピ及びウェーハ
を処理するためのプロセスレシピを統括制御コントローラ402にダウンロードする。統
括制御コントローラ402は、これらのレシピに基づいてサブコントローラ404及びメ
カコントローラ406を制御する。そして、サブコントローラ404は、プロセスレシピ
に基づいてウェーハに所定の処理を施し、メカコントローラ406は、搬送レシピ及びウ
ェーハ情報に基づいて搬送ロボット202を制御することによりウェーハを搬送する。
【0036】
統括制御コントローラ402は、コントローラ40全体の運用制御を行う。また、メカ
コントローラ406は、図1の搬送ロボット202を制御し、搬送系を制御する。サブコ
ントローラ404は、各プロセスモジュール10における温度、ガス流量、ガスの圧力、
RFパワーなどを制御する。また、サブコントローラ404は、統括制御コントローラ4
02の直下の通信回線408であるセンサバスを介して取り込んだウェーハ検知センサ2
44からの信号及びウェーハ情報に基づいて、搬送ロボット202と連動する。サブコン
トローラ404は、統括制御コントローラ402の命令(指示)に基づいて、図3を参照
して説明した冷媒用バルブ142、マイクロ波発生部160、ガス供給用バルブ182、
ガス排出用バルブ222及びゲートバルブ100などを制御するとともに、図3を参照し
て説明した温度検出器130、圧力センサ132、周波数センサ166、RFパワーセン
サ168及びガス流量センサ186それぞれによって検出した情報を、冷媒用バルブ14
2、マイクロ波発生部160、ガス供給用バルブ182、ガス排出用バルブ222及びゲートバルブ100の状態を示す情報として、統括制御コントローラ402に送信する。さ
らに、サブコントローラ404は、命令(指示)されたバルブパターンに基づいて、冷媒
用バルブ142をインターロックし、また、バルブパターンからハードインターロックが
検出された場合には、その旨を統括制御コントローラ402に送信する。
なお、上述した表示部、記憶部及び入力部は、操作部400と別体であってもよいし、
コントローラ40と別体であってもよい。表示部、記憶部及び入力部(又は操作部400
)は、例えば、図示しないユーザ(顧客)側のホストコンピュータと接続され、工場内の自
動化システムを実現するよう構成されてもよい。
【0037】
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1における運用方式について説
明する。
ここでは、上述した加熱処理工程及び第1の冷却処理工程が少なくとも記述されたプロ
セスレシピが実行されるものとする。また、振分方式を採用し、ロードポート30−1に
載置されたポッドに収納されたウェーハ1、4、7・・・をプロセスモジュール10−1
に振り分け、同じポッドに収納されたウェーハ2、5、8・・・をプロセスモジュール1
0−2に振り分け、同じポッドに収納されたウェーハ3、6、9・・・をプロセスモジュール10−3に振り分けるものとする。
なお、プロセスレシピに窒素ガス置換工程を記述してもよいことはいうまでもない。
【0038】
図5に示すように、T1(時間軸における時刻を意味する。T2,T3,・・・T13
についても同様)からT2までの時間において、上述した第1の搬送工程が実行され、ウ
ェーハ1が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出され、フロントエンド
モジュール20を経てプロセスモジュール10−1へ搬入される。
T2からT8までの時間において、上述した窒素ガス置換工程が実行された後、プロセ
スレシピが実行されることにより、上述した加熱処理工程及び第1の冷却処理工程が実行
される。特に、T7からT8までの時間において、第1の冷却処理工程が実行される。
具体的には、プロセスモジュール10−1内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ1にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ1がプロセスモジュー
ル10−1内で冷却される(第1の冷却処理)。
なお、窒素ガス置換工程は、T2前から実行されていてもよい。
【0039】
T3からT4までの時間において、T1からT2までの時間と同様、上述した第1の搬
送工程が実行され、ウェーハ2が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出
され、フロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10−2へ搬入される。
T4からT10までの時間において、T2からT8までの時間と同様、上述した窒素ガ
ス置換工程が実行された後、プロセスレシピが実行されることにより、上述した加熱処理
工程及び第1の冷却処理工程が実行される。特に、T9からT10までの時間において、
第1の冷却処理工程が実行される。なお、窒素ガス置換工程は、T4前から実行されていてもよい。
具体的には、プロセスモジュール10−2内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ2にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ2がプロセスモジュー
ル10−2内で冷却される(第1の冷却処理)。
【0040】
T5からT6までの時間において、T1からT2までの時間と同様、上述した第1の搬
送工程が実行され、ウェーハ3が、ロードポート30−1に載置されたポッドから取り出
され、フロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10−3へ搬入される。
T6からT12までの時間において、T2からT8までの時間と同様、上述した窒素ガ
ス置換工程が実行された後、プロセスレシピが実行されることにより、上述した加熱処理
工程及び第1の冷却処理工程が実行される。特に、T11からT12までの時間において、第1の冷却処理工程が実行される。なお、窒素ガス置換工程は、T6前から実行されて
いてもよい。
具体的には、プロセスモジュール10−3内が窒素雰囲気に置換された後(窒素ガス置
換)、ウェーハ3にマイクロ波が照射され(加熱処理)、ウェーハ3がプロセスモジュー
ル10−3内で冷却される(第1の冷却処理)。
【0041】
T8からT9までの時間において、上述した第2の搬送工程が実行され、ウェーハ1が、プロセスモジュール10−1から搬出され、フロントエンドモジュール20に搬入され
る。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ4があるので、ウェーハ1及びウェーハ
4を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済みのウェーハ1はクーリングステージ
200に搬送される。
T9からT11までの時間において、上述した第2の冷却処理工程が実行され、処理済
みのウェーハ1がクーリングステージ200で冷却されている間、未処理のウェーハ4が
ロードポート30−1に載置されたポッドからプロセスモジュール10に搬入される。な
お、第2の冷却処理工程にかかる時間によっては、図5に示すように、第3の搬送工程が
実行されるまでの待ち時間が生じることがある。
【0042】
T10からT11までの時間において、T8からT9までの時間と同様、上述した第2
の搬送工程が実行され、ウェーハ2が、プロセスモジュール10−2から搬出され、フロ
ントエンドモジュール20に搬入される。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ5
があるので、ウェーハ2及びウェーハ5を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済
みのウェーハ2はクーリングステージ200に搬送される。
T11からT13までの時間において、T9からT11までの時間と同様、上述した第
2の冷却処理工程が実行され、処理済みのウェーハ2がクーリングステージ200で冷却
されている間、未処理のウェーハ5がロードポート30−1に載置されたポッドからプロ
セスモジュール10に搬入される。なお、第2の冷却処理工程にかかる時間によっては、
図5に示すように、第3の搬送工程が実行されるまでの待ち時間が生じることがある。
【0043】
T11からT12までの時間において、上述した第3の搬送工程が実行され、ウェーハ
1が、クーリングステージ200から搬出され、ロードポート30−1に載置されたポッ
ドに戻される。
T12からT13までの時間において、T8からT9までの時間と同様、上述した第2
の搬送工程が実行され、ウェーハ3が、プロセスモジュール10−3から搬出され、フロ
ントエンドモジュール20に搬入される。ここでは、次に処理すべき未処理のウェーハ6
があるので、ウェーハ3及びウェーハ6を入れ替えて搬送する(スワップ搬送)。処理済
みのウェーハ6はクーリングステージ200に搬送される。
T13以降の時間において、上述した第3の搬送工程が実行され、ウェーハ2が、クー
リングステージ200から搬出され、ロードポート30−1に載置されたポッドに戻され
る処理や、上述した第2の冷却処理工程が実行され、処理済みのウェーハ3がクーリング
ステージ200で冷却されている間、未処理のウェーハ6がロードポート30−1に載置
されたポッドからプロセスモジュール10に搬入される処理などがなされる。
【0044】
本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程において、ウェーハが所定の温度(200
℃)まで冷却されたことをトリガとして、第1の冷却処理工程が記述されたプロセスレシ
ピが終了するように構成する。通常、プロセスレシピの各ステップにおける処理時間は余
裕をもって設定されるので、所定の処理時間が過ぎたことをトリガとして第1の冷却処理
工程が終了することは、スループットの向上という観点からは好ましくない。そこで、ウ
ェーハが所定の温度まで冷却されたことをトリガとして第1の冷却処理工程が記述された
プロセスレシピを終了し、処理済みのウェーハをできるだけ早く処理室から取り出すこと
が望ましい。
【0045】
上述したように、本発明の実施形態では、マイクロ波を照射する間、ウェーハを冷却し
てウェーハの温度上昇を抑制するように構成されているので、ウェーハの温度を一定にすることができ、複数のウェーハを処理する場合であっても、処理後のウェーハの状態を均
一にすることができる。
【0046】
上述したように、本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程において、ウェーハの表
面及び裏面の両面を冷却するように構成されているので、ウェーハを効率よく冷却することができ、第1の冷却処理にかかる時間を短縮することができる。
また、ガス供給管から処理室に導入されるガスは、ウェーハの表面に直接吹きつけられ
るので、ウェーハを効率よく冷却することができ、第1の冷却処理にかかる時間を短縮することができる。
【0047】
上述したように、第1の冷却処理工程において、ウェーハが所定の温度(200℃)まで冷却された場合、処理済みのウェーハを処理室から取り出すように構成されているので、熱によるダメージを搬送機構の基板保持部に与えることなく、次に処理すべき未処理のウェーハを効率よく投入することができる。
特に、本発明の実施形態に係る基板処理装置1のように、処理室としてのプロセスモジ
ュール10と、一つの搬送機構を備えた搬送室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって構成され、未処理のウェーハをロードポート30からプロセスモジュール10へと直接搬送する場合に有効である。
【0048】
上述したように、本発明の実施形態では、搬送室内にウェーハを載置するクーリングス
テージ200を設け、処理室から取り出された処理済みのウェーハをポッドが耐えうる目
標温度まで冷却する間、未処理のウェーハを搬送できる構成にしたので、スループットを
低下させることなく、ウェーハを目標温度まで冷却することができる。
つまり、上述したように、処理室としてのプロセスモジュール10と、一つの搬送機構
を備えた搬送室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって
構成されるシンプルな基板処理装置において、未処理のウェーハをロードポート30から
プロセスモジュール10に効率よく搬送することができる。また、処理済みのウェーハを
プロセスモジュール10からロードポート30に効率よく搬送することができる。
なお、クーリングステージ200の個数は、ウェーハを効率よく搬送することができる
ように設定される。例えば、ロードポート30とプロセスモジュール10との間でウェー
ハを効率よく搬送する条件に基づいて、クーリングステージ200の個数が設定される。
【0049】
上述したように、本発明の実施形態では、第1の冷却処理工程及び第2の冷却処理工程
という2つの冷却処理工程を設けているので、特に、本発明の実施形態に係る基板処理装
置1のように、処理室としてのプロセスモジュール10と、一つの搬送機構を備えた搬送
室としてのフロントエンドモジュール20と、ロードポート30とによって構成され、未
処理のウェーハをロードポート30からプロセスモジュール10へと直接搬送する場合、
ウェーハを効率よく冷却することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、ウェーハに対する冷却処理を、プロセスモジュール10及びクーリングステージ200の両方において実行することにより、図6を参照して説明した従
来技術のように、プロセスモジュール10においてのみ実行する場合に比べ、熱によるダ
メージを搬送機構の基板保持部に与えることなく、プロセスモジュール10においてウェーハが効率よく入れ替えられる。その結果、装置全体の稼働率を高くすることができる。
【0051】
図7、図8は、それぞれ本発明の実施形態における第1の冷却処理及び第2の冷却処理でのウェーハの温度変化を実測してグラフにしたものである。次に、図7、図8を用いてウェーハに対する冷却処理について詳述する。
【0052】
図7は、プロセスモジュール10内における第1の冷却処理時のウェーハの温度変化をグラフ化したものであり、横軸がステップ時間、縦軸がウェーハ温度である。尚、ウェーハ温度は非接触式の放射温度計による実測値である。図7に示すように、ウェーハの温度が予め定められた温度(例えば、400℃)から搬送機構の耐圧温度である第1の温度(例えば、150℃程度)に冷却されるまでに凡そ80秒かかることが分かる。また、100秒後で140℃程度であり、80秒以降は、ほとんど変化が無く、第1の冷却処理としてプロセスレシピで冷却処理を行うステップ(クーリングステップ)時間の設定は、80秒が最適であるのが分かる。
【0053】
図8は、第1の冷却処理(クーリングステップ) が終了してからクーリングステージ200に搬送されて第2の冷却処理(クーリングステージ200による冷却)により目標温度になるまでのウェーハの温度変化を示すための線グラフである。横軸が時間、縦軸がウェーハ温度である。また、図8において、図7と同様に放射温度計により測定されたウェーハ温度は点線で示している。一方、実線で示されるウェーハ温度は、熱電対を使用して測定した実測値である。図8に示すように、放射温度計による測定と熱電対による測定では、誤差が生じており、具体的には、時間が0秒(第1の冷却処理終了時) のウェーハ温度は約220℃と図7の80秒後のウェーハ温度(150℃)とはズレが生じている。この場合、熱電対を直接ウェーハに取り付けているので熱電対による測定が正確な温度を示しているといえる。但し、10秒後にはウェーハ温度が約200℃となっており、ウェーハを搬送する際に支障が無い程度である。つまり、放射温度計による測定で150℃になるとプロセスレシピが終了し、ウェーハディスチャージが開始されるが、搬送機構の基板保持部にウェーハが載置されるまでに11秒程度かかるためである。
【0054】
以後、図8について、熱電対で測定されたウェーハ温度に基づいて説明する。図8に示すように、第1の温度(例えば、200℃)から目標温度である第2の温度(例えば、80℃)にかかる時間は、約90秒かかることが分かる。よって、第2の冷却処理(クーリングステージ200による冷却)の時間設定は、90秒以上ということになる。これは、スループットを考慮すると、未処理ウェーハをプロセスモジュール10に搬入することが優先されるためである。
【0055】
以上のように、図7、図8により本発明の実施形態においては、予め定められた処理温度である400℃から目標温度である80℃までにかかる時間は、80秒+10秒+90秒で180秒(3分)である。一方、従来のように、プロセスモジュール10内における冷却処理だけでウェーハの温度を400℃から80℃まで冷却する場合を検討する。例えば、図7において、80秒から100秒までに150℃から140℃になっていることを利用して、この割合でウェーハが冷却されると仮定すると、150℃から80℃まで冷却されるのにかかる時間は、140秒である。よって、ウェーハ温度が、処理温度である400℃から80℃になるまでにかかる時間は、80秒+140秒で220秒である。比較した結果、従来の冷却方式と比較して本実施形態における冷却方式は、400℃から80℃までにかかる時間が50秒も早いことが分かる。このように、本発明の実施形態において、プロセスモジュール10内での第1の冷却処理とクーリングステージ200での第2の冷却処理の2段階でウェーハを冷却する方式が有効であるのが分かる。
【0056】
上述したように本発明の実施形態における2段階クリーニングにより明らかに冷却処理にかかる時間が短縮されるのでスループット向上が図れる。また、クーリングステージは、ロードポート30に載置されたポッドからフロントエンドモジュール20を経てプロセスモジュール10へ搬入されるまでのウェーハの搬送経路から外れた位置にあるので、第2の冷却処理と未処理ウェーハの搬入は、並行して行うことが可能である。よって、処理済ウェーハを冷却しながら未処理ウェーハが、効率よくプロセスモジュール10へ搬送されるので、スループット向上の妨げにならない。更に、プロセスモジュール10内での第1の冷却処理と上記第2の冷却処理を組合せることにより、第1の冷却処理の時間を短縮できるので、ウェーハ搬送の妨げとなるウェーハ滞留が抑えられる。従って、装置の生産効率が向上する。
【0057】
なお、本発明の実施形態では、半導体製造装置として枚葉式の基板処理装置1を説明し
たが縦型の基板処理装置1や横型の基板処理装置1にも適用できる。また、ウェーハを処
理する半導体製造装置だけでなく、LCD装置のようなガラス基板を処理する処理装置に
も適用することができる。
このように、本発明は種々の改変が可能であり、本発明はこのように改変された発明に
及ぶことは当然である。
【0058】
次に、本発明の好ましい他の実施形態を付記するが、本発明が以下の記載に限定されな
いことはいうまでもない。
【0059】
[実施形態1]
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、及び、前記基板の表面
に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備える処理室と、前記処理室に
おいて処理が施された基板を冷却する冷却機構、及び、前記基板を搬送する搬送機構を少
なくとも備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置。
【0060】
[実施形態2]
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、前記基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部、及び、前記基板の裏面を冷却する基板冷却部を少
なくとも備える処理室と、前記処理室において処理が施された基板を冷却する冷却機構、
及び、前記基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置。
【0061】
[実施形態3]
基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部、及び、前記基板の裏面を冷却
する基板冷却部を少なくとも備える処理室と、前記処理室において処理が施された基板を
搬送する搬送機構を備える搬送室により少なくとも構成される基板処理装置における基
板冷却方法であって、前記処理室において、前記ガス供給部は基板の表面に向かって不活
性ガスを供給して、前期基板の表面側から冷却し、前記基板冷却部は前記基板の裏面を冷
却する基板冷却方法。
【0062】
[実施の態様4]
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プを少なくとも含むレシピを実行する工程と、前記第1の温度まで冷却された基板を第
2の温度まで冷却する冷却工程を少なくとも有する半導体装置の製造方法。
【0063】
[実施の態様5]
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プとで少なくとも含むレシピを実行する工程とを少なくとも有する半導体装置の製造方法
であって、前記レシピを実行する工程は、予め定められた処理を施された基板が前記第1
の温度まで冷却された場合に終了することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0064】
1 基板処理装置
10 プロセスモジュール
100 ゲートバルブ
20 フロントエンドモジュール
200 クーリングステージ
202 搬送ロボット
30 ロードポート
40 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備える処理室と、
前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室とより少なくとも構成される基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理室に搬入する工程と、
前記基板の表面に向かってマイクロ波を供給する工程と、
前記基板の表面に不活性ガスを供給する工程と、
前記処理室において処理が施された基板を前記処理室から搬出する工程と、
前記搬出された基板を冷却機構により冷却する工程と
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項3】
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プとで少なくとも構成されるレシピを実行する工程と、
前記第1の温度まで冷却された基板を第2の温度まで冷却する冷却工程と
を少なくとも含む半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板の表面に向かってマイクロ波を供給するマイクロ波供給部、及び、基板の表面に向かって不活性ガスを供給するガス供給部を少なくとも備える処理室と、
前記処理室において処理がなされた基板を冷却する冷却機構を備える搬送室、及び、前記冷却機構によって冷却された基板を搬送する搬送機構を少なくとも備える搬送室とより少なくとも構成される基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理室に搬入する工程と、
前記基板の表面に向かってマイクロ波を供給する工程と、
前記基板の表面に不活性ガスを供給する工程と、
前記処理室において処理が施された基板を前記処理室から搬出する工程と、
前記搬出された基板を冷却機構により冷却する工程と
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項3】
予め定められた温度で基板に予め定められた処理を施す処理ステップと、予め定められ
た処理を施された基板を前記予め定められた温度から第1の温度まで冷却する冷却ステッ
プとで少なくとも構成されるレシピを実行する工程と、
前記第1の温度まで冷却された基板を第2の温度まで冷却する冷却工程と
を少なくとも含む半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−195570(P2012−195570A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36043(P2012−36043)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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