説明

基板処理装置

【課題】装置が大型化および複雑化せず、処理液から発生する気泡を効果的に消泡することのできるエッチング処理装置を提供する。
【解決手段】エッチング処理装置1Aは、ガラス基板200が搬送される搬送路を内部に含む処理槽10と、搬送路の上方に位置し、搬送路上を搬送されるガラス基板200に対してエッチング液100を供給する吐出管21と、搬送路よりも下方に位置する処理槽10の底部および側部にて構成され、エッチング液100を一時的に貯留するとともに、貯留されたエッチング液100を処理槽10の外部に排出する排出部13と、搬送路よりも下方でかつ排出部13の上方に位置し、排出部13に一時的に貯留されたエッチング液100の液面に生じた気泡102を加熱することで当該気泡102を破泡するヒータ30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物としての基板に対して処理液を供給して現像、剥離または洗浄等の処理を行なう基板処理装置に関し、より特定的には、処理槽の内部を連続的に基板が通過するように基板を搬送しつつ上述した処理を行なう基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶パネルや半導体集積回路の製造過程においては、フォトリソグラフィ工程が多用される。このフォトリソグラフィ工程においては、パターニングを行なうべき被覆膜の現像や剥離およびレジスト膜の剥離を行なうためにエッチング処理が行なわれるとともに、基板の洗浄を行なうためにリンス処理が行なわれる。これら現像、剥離または洗浄等の処理には、処理槽の内部を連続的に基板が通過するように基板を搬送しつつ当該基板に処理液を供給することで上述した処理を行なう基板処理装置が利用される。また、近年の基板処理装置においては、環境への配慮および経済性の観点から、処理槽に循環路を付設し、当該循環路を用いて処理液を循環させることで再利用することが一般化している。
【0003】
上述した現像、剥離または洗浄等の処理に用いられる処理液には、界面活性剤が含まれる場合が多く、そのため気泡が発生し易い問題がある。発生した気泡は、処理時間の経過とともに処理槽内に充満し、現像や剥離、洗浄といった処理の仕上がり品質を低下させるばかりでなく、処理槽から溢れ出して処理液の損失や作業環境の悪化を招いてしまう。特に、処理後の処理液には、レジスト膜等の成分が多く溶け込んでおり、表面張力が増大することによって気泡が発生し易くなるとともに、発生した気泡が直ぐには消泡し難くなる傾向にある。したがって、基板処理装置においては、気泡の発生を抑制するか、あるいは発生した気泡を効率よく消泡する対策を採ることが必要である。また、上述した如く処理液を再利用するように構成された基板処理装置においては、特にこの問題が顕著となり、上述したいずれかの対策を採ることが非常に重要となっている。
【0004】
気泡の発生を抑制する手法としては、処理液に消泡剤を添加して化学的に表面張力を低下させる方法がある。また、発生した気泡を効率よく消泡する手法としては、発生した気泡を処理液ごと処理槽の外部に導出し、これを回転させることで遠心力によって脱泡する方法(たとえば特開平5−125572号公報(特許文献1)、特開2000−254408号公報(特許文献2)等参照)や、発生した気泡を処理液ごと処理槽の外部に導出し、これに向けて熱風を吹き付けることで気泡の表面張力を弱化させながら気泡中の気体を膨張させて破泡させる方法(特開平5−253410号公報(特許文献3)等参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−125572号公報
【特許文献2】特開2000−254408号公報
【特許文献3】特開平5−253410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、消泡剤を用いることで気泡の発生を抑制させることとした場合には、製造コストが増大するという問題が生じるばかりでなく、消泡剤が基板表面に一部残留した場合にその後に行なわれる薄膜形成工程において薄膜にピンホールが生じてしまい、成膜される薄膜の品質が低下するという問題も生じる。加えて、消泡剤を含む処理液を廃液として処理する際に、環境に悪影響を与える問題も生じてしまう。
【0007】
一方、上記特許文献1および2に開示の如く、遠心力によって脱泡することで発生した気泡を消泡させることとした場合には、処理槽とは別に遠心分離を行なうための回転槽が必要となり、装置の大型化および複雑化が避けられず、製造コストを圧迫してしまう問題が生じる。また、上記特許文献3に開示の如く、熱風を吹き付けることによって発生した気泡を破泡させることとした場合にも、処理槽とは別に熱風を処理液に向けて吹き付けるための槽が必要となり、装置の大型化および複雑化が避けられず、製造コストを圧迫してしまう問題が生じる。
【0008】
したがって、本発明は、上述の問題を解決すべく成されたものであり、装置が大型化および複雑化せず、処理液から発生する気泡を効果的に消泡することのできる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく基板処理装置は、被処理物としての基板が搬送される搬送路を内部に含む処理槽と、上記搬送路の上方に位置し、上記搬送路上を搬送される上記基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、上記搬送路よりも下方に位置する上記処理槽の底部および側部にて構成され、上記処理液を一時的に貯留するとともに、貯留された上記処理液を上記処理槽の外部に排出する排出部と、上記搬送路よりも下方でかつ上記排出部の上方に位置し、上記排出部に一時的に貯留された上記処理液の液面に生じた気泡を加熱することで当該気泡を破泡する加熱破泡手段とを備えている。
【0010】
上記本発明に基づく基板処理装置にあっては、上記加熱破泡手段が上記排出部に一時的に貯留された上記処理液の液面に沿って揺動するように構成されていることが好ましい。
【0011】
上記本発明に基づく基板処理装置にあっては、上記加熱破泡手段が上記搬送路に沿って複数個設けられていることが好ましい。
【0012】
上記本発明に基づく基板処理装置にあっては、上記排出部が上記搬送路よりも下方でかつ上記搬送路よりも側方に位置していてもよく、その場合には、上記処理槽が上記排出部側に向けて傾斜する傾斜面を上記搬送路の下方に有していることが好ましく、また上記加熱破泡手段が上記傾斜面の側方でかつ上記排出部の上方に位置していることが好ましい。
【0013】
上記本発明に基づく基板処理装置にあっては、上記排出部から排出された上記処理液を上記処理液供給手段に戻すことで上記処理液を循環させる循環路が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置が大型化および複雑化せず、処理液から発生する気泡を効果的に消泡することのできる基板処理装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における基板処理装置の模式断面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の模式平面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における基板処理装置の模式断面図である。
【図4】図3に示す基板処理装置のヒータ近傍の模式拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態3における基板処理装置の模式断面図である。
【図6】図5に示す基板処理装置の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、基板処理装置として、レジストの剥離を行うエッチング処理装置を例示して説明を行なう。当該エッチング処理装置は、たとえば液晶パネルの製造時に行なわれるフォトリソグラフィ工程において、被処理物としてのガラス基板上に形成された電極層や配線層、絶縁層等の薄膜のパターニング後に、当該パターニングを行なうために薄膜上に形成されたレジスト膜をガラス基板上から剥離するための装置である。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるエッチング処理装置の模式断面図であり、図2は、図1に示すエッチング処理装置の模式平面図である。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施の形態における基板処理装置としてのエッチング処理装置1Aは、処理槽10と、搬送ローラ14と、戻し管15と、貯留槽16と、送り管18と、循環ポンプ19と、処理液供給管としての吐出管21と、加熱破泡手段としての複数のヒータ30とを主として備えている。このうち、処理槽10、戻し管15、貯留槽16および送り管18は、処理液としてのエッチング液100が循環する循環路を構成する槽および配管に相当する。
【0019】
処理槽10は、エッチング処理前のガラス基板200が搬入される搬入口11と、エッチング処理後のガラス基板200が搬出される搬出口12とを含んでいる。この処理槽10の内部および外部には、複数の搬送ローラ14が設けられており、当該搬送ローラ14によって処理槽10の内部に搬送路40(図2参照)が形成されている。被処理物としてのガラス基板200は、この搬送路40に沿って処理槽10の内部を搬入口11から搬出口12に向けて横断するように連続的に搬送される。
【0020】
処理槽10の内部には、吐出管21と、排出部13とが位置している。吐出管21は、搬送路40上を搬送ローラ14によって搬送されるガラス基板200の被処理面である上面に対してエッチング液100をシャワー状に供給するためのものであり、搬送路40の上方に位置している。一方、排出部13は、搬送路40よりも下方に位置する処理槽10の底部および側部によって構成されており、ガラス基板200の上面から零れ落ちたエッチング液100を受け止め、これを一時的に貯留する。また、排出部13を構成する部分の処理槽10の所定位置には、排出口が設けられており、排出部13は、一時的に貯留したエッチング液100を当該排出口を介して処理槽10の外部へと排出する。
【0021】
貯留槽16は、処理槽10から排出されたエッチング液100を一時的に貯留するための槽であり、好適には、処理槽10よりも下方に設置される。貯留槽16は、エッチング液100を一時的に貯留するための大容量の貯留部17を有している。この貯留槽16には、エッチング液100を補給するためのエッチング液補給管22が接続されており、必要に応じて当該エッチング液補給管22を介して不足分のエッチング液100が貯留槽16に供給される。
【0022】
戻し管15は、処理槽10の排出部13に設けられた排出口にその一端が接続されており、他端が貯留槽16に接続されている。戻し管15は、処理槽10の排出部13から排出されたエッチング液100を貯留槽16に送るための配管である。ここで、戻し管15の処理槽10側の開口端は、処理槽10の排出部13に貯留されたエッチング液100の液面よりも下方に位置する部分の処理槽10に接続され、戻し管15の貯留槽16側の開口端は、貯留槽16の貯留部17に貯留されたエッチング液100の液面よりも上方に位置する部分の貯留槽16に接続されている。
【0023】
送り管18は、貯留槽16にその一端が接続されており、他端が上述した吐出管21に接続されている。送り管18は、貯留槽16の貯留部17に一時的に貯留されたエッチング液100を吐出管21を介して処理槽10に送るための配管である。送り管18の貯留槽16側の開口端は、貯留槽16の貯留部17に貯留されたエッチング液100の液面よりも下方に位置する部分の貯留槽16に接続されている。
【0024】
送り管18の途中位置には、循環ポンプ19およびフィルタ20が設けられている。循環ポンプ19は、送り管18を介してエッチング液100を貯留槽16から吐出管21に送るための手段であり、フィルタ20は、送り管18を通過するエッチング液100から残渣や気泡等を除去するための手段である。
【0025】
複数のヒータ30のそれぞれは、搬送路40よりも下方でかつ排出部13の上方に配置されている。より詳細には、図2に示すように、搬送路40の延在方向と直交する方向に位置する部分の処理槽10の両側壁にヒータ支持部32が一対設けられ、当該一対のヒータ支持部32を橋渡すように複数のヒータ30がそれぞれ搬送路40の延在方向に沿って所定の間隔をもって取付けられることにより、複数のヒータ30が処理槽10の内部の上述した位置に配設されている。
【0026】
以上において説明した本実施の形態におけるエッチング処理装置1Aにおいては、処理槽10の内部を連続的にガラス基板200が通過するように当該ガラス基板200を搬送しつつ、通過する当該ガラス基板200にエッチング液100を供給することでガラス基板200に対するエッチング処理が行なわれる。
【0027】
より詳細には、図1を参照して、貯留槽16の貯留部17に貯留されたエッチング液100は、循環ポンプ19によって送り管18を経由して吐出管21へと送られ、当該吐出管21からシャワー状に処理槽10の内部へと吐出される。ガラス基板200は、搬送路40上を搬入口11から搬出口12へと搬送ローラ14によって処理槽10の内部を横断するように搬送され、その際に上述したシャワー状に吐出されたエッチング液100がガラス基板200の上面へと供給される。
【0028】
ガラス基板200の上面へと供給されたエッチング液100は、ガラス基板200の上面上に形成されているレジスト膜を溶解して剥離し、その後、処理槽10の排出部13へと落下する。処理槽10の排出部13へと落下したエッチング液100は、排出部13において一時的に貯留され、その後戻し管15を経由して貯留槽16へと送られ、貯留槽16の貯留部17に貯留される。これにより、処理槽10の内部へと連続的に投入されたガラス基板200が順次エッチング処理されることになる。
【0029】
ここで、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Aは、上述したように処理槽10の内部に複数のヒータ30を備えている。複数のヒータ30は、排出部13に一時的に貯留されたエッチング液100の液面に生じた気泡102を加熱することで当該気泡102を破泡するための加熱破泡手段に相当する。個々のヒータ30は、具体的にはたとえば電熱線が埋設された金属ブロック等にて構成され、エッチング液100の液面から所定の距離だけ上方に離れた位置に配置されている。これにより、エッチング液100の液面に生じた気泡は、ヒータ30からの熱を受けることで加熱されてその表面張力が弱化されるとともに、内部の空気が加熱されることで破泡して消滅することになる。
【0030】
以上において説明した如くのエッチング処理装置1Aとすることにより、処理槽10に加熱破泡手段としてのヒータ30を設けることで、装置を複雑化および大型化することなく、効率的に排出部13に一時的に貯留されたエッチング液100の液面に生じる気泡102を消泡することが可能になる。特に、従来のエッチング処理装置において気泡を減じるために必要であった気泡排出用の排出経路や気泡を当該排出経路に向けて排出させるためのシャワー吐出手段、処理槽とは別に設けられる気泡除去用の処理槽等をエッチング処理装置に設ける必要もなく、その構成を大幅に簡素化することができる。したがって、低コストにエッチング処理が行なえるようになるのみならず、ガラス基板に形成される各種薄膜の品質をも向上させることが可能になる。
【0031】
特に、上述した本実施の形態の如く、エッチング液100を再利用するために循環路が付設されたエッチング処理装置1Aにあっては、エッチング液100が循環路内を循環することによって気泡102が徐々に処理槽10の内部に蓄積されていく傾向が顕著であるが、上述した如くの構成を採用することにより、処理効率を低下させることなく連続的にガラス基板200のエッチング処理が行なえることになり、製造コストを大幅に抑制することが可能になる。
【0032】
また、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Aにあっては、加熱破泡手段としてのヒータ30を搬送路40に沿って離間して複数個配置する構成としているため、ガラス基板200から零れ落ちたエッチング液100が、これら複数のヒータ30の間の隙間を通過して排出部13へと落下することになり、エッチング液100の流れが阻害されるおそれもない。
【0033】
なお、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Aにおいては、より好ましくは、ヒータ30にて生じる熱が搬送路40側に向けて達し難い構成とすることが好ましい。たとえば、ヒータ30の上部に断熱材を設置すること等によりヒータ30にて生じた熱がエッチング液100の液面側に向けてのみ放射されるようにするとよい。このように構成すれば、ヒータ30を設けることによる熱的な影響がガラス基板200のエッチング処理に大して与える影響を最小限に抑制することが可能になる。
【0034】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるエッチング処理装置の模式断面図であり、図4は、図3に示すエッチング処理装置のヒータ近傍の模式拡大図である。なお、上述の実施の形態1におけるエッチング処理装置1Aと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0035】
図3および図4に示すように、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Bにおいては、搬送路40よりも下方でかつ排出部13よりも上方に位置する複数のヒータ30のそれぞれが、搬送路40に沿って(換言すれば、排出部13に一時的に貯留されたエッチング液100の液面に沿って)揺動するように構成されている。より詳細には、複数のヒータ30のそれぞれは、ヒータ支持部32に駆動アーム31を介して取付けられており、当該駆動アーム31が回動することで複数のヒータ30のそれぞれが図4中に示す矢印A方向に沿って揺動する。ここで、駆動アーム31は、たとえばモータ等の駆動手段によって駆動される。
【0036】
図4に示すように、駆動アーム31が回動することで揺動するヒータ30は、排出部13に一時的に貯留されたエッチング液100の液面に生じた気泡102に熱を与えることによってその表面張力を弱化させつつ気泡102の内部の空気を加熱することで気泡102を破泡するのみならず、ヒータ30の表面が気泡102に物理的に接触することで気泡102を消泡する。ここで、より効率的に気泡102を消泡するためには、図4に示す如くヒータ30の表面を下方に向けて(すなわち、エッチング液100の液面に向けて)突出させた形状とすることが好ましい。
【0037】
以上において説明した如くのエッチング処理装置1Bとすることにより、上述した実施の形態1におけるエッチング処理装置1Aとした場合の効果に加え、より効率的に気泡102を消泡することができる効果が得られる。また、このように構成することにより、エッチング液100の液面を満遍なく均一にヒータ30によって加熱することが可能になり、エッチング液100の液面に生じた気泡102をより効率的に消泡することが可能になる。
【0038】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるエッチング処理装置の模式断面図であり、図6は、図5に示すエッチング処理装置の模式平面図である。なお、上述の実施の形態1におけるエッチング処理装置1Aと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0039】
図5および図6に示すように、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Cにおいては、処理槽10の内部を搬送されるガラス基板200がその搬送方向と直交する方向に僅かに傾斜した状態で搬送されることとなるように構成されている。より詳細には、処理槽10は、搬送路40の下方に傾斜面10aを有しており、当該傾斜面10aに略平行となるように搬送ローラ14が設置されている。ここで、搬送路40よりも下方でかつ搬送路40よりも側方に位置する部分の処理槽10には、排出部13が設けられている。排出部13は、搬送路40の延在方向に沿って延びており、上述した傾斜面10aは、この排出部13側に向けて傾斜している。
【0040】
本実施の形態におけるエッチング処理装置1Cにおいては、加熱破泡手段としてのヒータ30が、上述した傾斜面10aの側方でかつ排出部13の上方に配置されている。より詳細には、図6に示すように、搬送路40の延在方向に位置する部分の処理槽10の両側壁にヒータ支持部32が一対設けられ、当該一対のヒータ支持部32を橋渡すようにヒータ30が搬送路40の延在方向に沿って延びるように取付けられることにより、ヒータ30が処理槽10の内部の上述した位置に配設されている。
【0041】
また、本実施の形態におけるエッチング処理装置1Cとすることにより、上述した実施の形態1におけるエッチング処理装置1Aとした場合の効果に加え、ヒータ30をより小型化することができる効果が得られる。これは、処理槽10に傾斜面10aを設けることによって排出部13を小型化したことで得られる効果であり、エッチング処理装置1Cのランニングコストを大幅に抑制することが可能になる。したがって、より低コストにガラス基板200を処理することが可能になる。
【0042】
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし3においては、基板処理装置としてガラス基板に対してエッチング処理を行なうエッチング処理装置に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、各種基板に対して現像や剥離、洗浄等の処理を行なう基板処理装置であれば、本発明はどのような装置に対しても適用が可能である。
【0043】
また、上述した本発明の実施の形態1ないし3において説明した特徴的な構成は、相互に組み合わせることが可能である。たとえば、実施の形態2において説明したヒータを揺動させるための構成を実施の形態3のエッチング処理装置に適用することも可能である。
【0044】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0045】
1A〜1C エッチング処理装置、10 処理槽、10a 傾斜面、11 搬入口、12 搬出口、13 排出部、14 搬送ローラ、15 戻し管、16 貯留槽、17 貯留部、18 送り管、19 循環ポンプ、20 フィルタ、21 吐出管、22 エッチング液補給管、30 ヒータ、31 駆動アーム、32 ヒータ支持部、40 搬送路、100 エッチング液、102 気泡、200 ガラス基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物としての基板が搬送される搬送路を内部に含む処理槽と、
前記搬送路の上方に位置し、前記搬送路上を搬送される前記基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、
前記搬送路よりも下方に位置する前記処理槽の底部および側部にて構成され、前記処理液を一時的に貯留するとともに、貯留された前記処理液を前記処理槽の外部に排出する排出部と、
前記搬送路よりも下方でかつ前記排出部の上方に位置し、前記排出部に一時的に貯留された前記処理液の液面に生じた気泡を加熱することで当該気泡を破泡する加熱破泡手段とを備えた、基板処理装置。
【請求項2】
前記加熱破泡手段が、前記排出部に一時的に貯留された前記処理液の液面に沿って揺動するように構成された、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記加熱破泡手段が、前記搬送路に沿って複数個設けられている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排出部は、前記搬送路よりも下方でかつ前記搬送路よりも側方に位置し、
前記処理槽は、前記排出部側に向けて傾斜する傾斜面を前記搬送路の下方に有し、
前記加熱破泡手段は、前記傾斜面の側方でかつ前記排出部の上方に位置している、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排出部から排出された前記処理液を前記処理液供給手段に戻すことで前記処理液を循環させる循環路が形成されてなる、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−29328(P2011−29328A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172244(P2009−172244)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】