説明

基板処理装置

【課題】メンテナンスを実行するか否かを適切に判断することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、基板を処理する手順を記述したレシピを実行することにより、基板に処理を施す基板処理部と、前記基板処理部が基板に処理を施すことにより累積される、前記基板処理部を構成する部品に関する情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された情報を複製する複製部と、前記記憶部に記憶された情報又は前記複製部によって複製された情報に基づいて、メンテナンスを実行するか否かを判断する判断部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板やガラス基板等の基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス処理(成膜処理)などの基板処理が繰り返し実行されることにより、構成部品への不純物の付着及び構成部品の劣化が起こり、基板処理に悪影響を及ぼすことがある。構成部品への不純物の付着及び構成部品の劣化の程度によっては、構成部品が破損することもあるので、安全を考慮して、メンテナンスを実行する必要がある。
例えば、メンテナンス対象に関する情報(メンテナンス情報)の累積であるメンテナンス累積情報が、メンテナンスを実行するために予め定められた条件(メンテナンス条件)を満たす場合、メンテナンスを実行する。メンテナンス条件は、特許文献1に示されるように、オペレータが入力画面を介して条件値を入力することによって設定される。特許文献1には、オペレータによって入力された保守予定(メンテナンス予定)の使用時間及び使用回数を保守予定値として設定し、使用時間又は使用回数の積算値が保守予定値に達した構成部品の保守情報を出力することが記載されている。
また、メンテナンス累積情報は、揮発性のメモリに記憶され、特許文献2に示されるように、予め定められた条件(例えば、オペレータから電源オフの指示を受け付けた場合)のもと、RAMなどのメモリに記憶される。特許文献2には、予め設定されたバックアップ条件のもと、基板処理の履歴情報がファイルに書き込まれることが記載されている。
オペレータから電源オフの指示を受け付けた後、再度電源オンの指示を受け付けた場合には、メモリからメンテナンス累積情報が読み出され、読み出されたメンテナンス累積情報は、メンテナンスを実行するか否かの判断に用いられる。しかしながら、停電などにより電源がオフになった場合には、メモリに記憶されていたメンテナンス累積情報が消去されることがある。このようにメンテナンス累積情報が消去されてしまうと、メンテナンスを実行するか否かが適切に判断されず、基板の品質が保持されなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3300816号
【特許文献2】特許第4131578号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、メンテナンスを実行するか否かを適切に判断することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板処理装置は、基板を処理する手順を記述したレシピを実行することにより、基板に処理を施す基板処理部と、前記基板処理部が基板に処理を施すことにより累積される、前記基板処理部を構成する部品に関する情報を記憶する記憶部(RAMなどのメモリ)と、前記記憶部に記憶された情報を複製(バックアップ)する複製部(HDDなどのディスク)と、前記記憶部に記憶された情報又は前記複製部によって複製された情報に基づいて、メンテナンスを実行するか否かを判断する判断部とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る基板処理装置によれば、本発明の構成を有さない場合に比べ、メンテナンスを実行するか否かを適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置の主コントローラを中心とした構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置の電源が正常にオフされる場合に、メンテナンス累積情報をバックアップするタイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る基板処理装置10が斜視図を用いて示されている。また、図2には、基板処理装置10が側面透視図を用いて示されている。
基板処理装置10は、例えば、半導体装置(IC)の製造方法を実施する半導体製造装置として構成され、基板として用いられるシリコン等からなるウエハ200に対して酸化処理、拡散処理及びCVD処理を施す。
【0009】
図1及び図2に示されているように、基板処理装置10では、ウエハ200を収納したウエハキャリアとして用いられるフープ(基板収容器。以下ポッドという)110が使用されている。また、上述したように、基板処理装置10は、基板処理装置本体111を備えている。
【0010】
基板処理装置本体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部として用いられる正面メンテナンス口103が開設され、正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104がそれぞれ建て付けられている。
基板処理装置本体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が基板処理装置本体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(不図示)によって搬入され、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0011】
基板処理装置本体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0012】
基板処理装置本体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0013】
基板処理装置本体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0014】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125a及びウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図1に模式的に示されているようにウエハ移載装置エレベータ125bは耐圧基板処理装置本体111右側端部とサブ筐体119の移載室124前方領域右端部との間に設置されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0015】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0016】
図1に模式的に示されているように、耐圧基板処理装置本体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0017】
また、図1に模式的に示されているように移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されており、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置(不図示)が設置されている。
【0018】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置及びウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、基板処理装置本体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0019】
次に、本発明の基板処理装置10の動作について説明する。
図1及び図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって基板処理装置本体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
【0020】
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、基板処理装置本体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0021】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、図示しないノッチ合わせ装置135にてウエハを整合した後、移載室124の後方にある待機部126へ搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハをボート217に装填する。
【0022】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0023】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されていく。
【0024】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に予め定められた処理が実施される。
処理後は、図示しないノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、該上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ払出される。
【0025】
図3には、基板処理システム1の主コントローラ14を中心としたハードウエアの概略構成が示されている。
図3に示されるように、基板処理装置10の基板処理装置本体111内には、主コントローラ14、スイッチングハブ15、搬送制御部230及びプロセス制御部232が設けられている。搬送制御部230及びプロセス制御部232は、基板処理装置本体111内に設けるのではなく、基板処理装置本体111外に設けてもよい。
【0026】
基板処理装置本体111の外壁には、例えば基板処理装置10の背面側に、基板処理装置10を操作するための主操作装置16が装着されている。また、基板処理装置10には、スイッチングハブ15を介して主コントローラ14に接続されるようにして、主操作装置16とは別に、基板処理装置10を操作するための副操作装置50が取り付けられるとともに、スイッチングハブ42を有するLAN等の通信ネットワーク40を介して主コントローラ14に接続されるようにして、主操作装置16及び副操作装置50とは別に、基板処理装置10を操作するための外部操作装置30が取り付けられる。
【0027】
主操作装置16内には、主表示装置18の表示を制御するための主表示制御部240が設けられている。主表示制御部240は、例えば、ビデオケーブル20を介して、主コントローラ14に接続されている。
また、副操作装置50内には、副表示装置52の表示を制御するための副表示制御部242が設けられている。副表示制御部242は、スイッチングハブ15を介して、主コントローラ14に接続されている。
外部操作装置30内には、外部表示装置32の表示を制御するための外部表示制御部244が設けられている。外部表示制御部244は、スイッチングハブ42を有する通信ネットワーク40を介して、主コントローラ14に接続されている。
このような構成により、主コントローラ14が主操作装置16などから基板処理装置10への操作を受け付けた場合、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236には、スイッチングハブ15を介して、受け付けた操作の内容が送信される。
【0028】
ここで、基板処理装置10への操作とは、基板処理装置10に対して、基板を処理する手順を記述したファイルであるレシピを作成すること、レシピの実行を命令すること、及び、基板処理装置10におけるメンテナンスを実行するための条件(以下、「メンテナンス条件」)を設定することなどを含む。
メンテナンスとは、基板処理装置10における適切な基板処理に必要な作業であり、例えば、成膜処理中に付着した膜を除去することや、部品の交換を操作者に通知することである。メンテナンスの内容は、主操作装置16などで予め設定され、主コントローラ14内のRAMなどのメモリやHDDなどのディスクに記憶されている。
主操作装置16などで作成されたレシピは、主コントローラ14などを介して、搬送制御部230及びプロセス制御部232に送信される。また、主操作装置16などで設定されたメンテナンス条件は、主コントローラ14内のRAMなどのメモリやHDDなどのディスクに記憶される。
【0029】
搬送制御部230は、例えばCPUからなる搬送系コントローラ234を有し、プロセス制御部232は、例えばCPUからなるプロセス系コントローラ236を有する。
搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、スイッチングハブ15を介して、主コントローラ14に接続されている。
主操作装置16などで作成されたレシピが主コントローラ14及びスイッチングハブ15を介して送信されると、送信されたレシピに基づいて、搬送系コントローラ234は、基板処理装置10の各部のうち、基板の搬送に関わる部品(例えば、図1のボート217や、基板を搬送する駆動源として用いられるモータ)を制御し、プロセス系コントローラ236は、基板処理装置10の各部のうち、基板の生成に関わる部品(例えば、図1の処理炉202の外周部に設けられたヒータや、処理炉202の配管のバルブ)を制御する。
このように、基板処理装置10の各部において、主操作装置16などで作成されたレシピが実行されると、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、基板処理装置10の各部に関する情報(例えば、基板処理装置10の各部の状態を示す情報や、基板処理装置10の各部でなされた処理後の実測値を示す情報)を予め定められた時間間隔で収集し、スイッチングハブ15を介して主コントローラ14に送信する。
【0030】
主コントローラ14は、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236から、基板処理装置10の各部に関する情報が送信されるたびに、送信された情報のうち、メンテナンス対象となる部品に関する情報(以下、「メンテナンス情報」。例えば、ボート217の使用回数、処理炉202における成膜処理後に計測された膜厚値、及び、図1の移載室202において計測された危険ガスの流出量を示す情報)を、RAMなどのメモリに記憶する。
主コントローラ14内のメモリでは、既存のメンテナンス情報に新たなメンテナンス情報が累積されて記憶される。このように累積されて記憶されたメンテナンス情報を、以下、「メンテナンス累積情報」という。例えば、既存のメンテナンス情報として、処理Aが1回なされたことを示す情報が記憶されている場合、このメンテナンス情報に、処理Aがさらに1回なされたことを示す新たなメンテナンス情報が累積されると、処理Aは2回なされたことを示すメンテナンス累積情報が記憶されることになる。また、例えば、既存のメンテナンス情報として、累積膜厚が100nm(ナノメートル)であることを示す情報が記憶されている場合、このメンテナンス情報に、累積膜厚が300nmであることを示す新たなメンテナンス情報が累積されると、累積膜厚は300nmであることを示すメンテナンス累積情報が記憶されることになる。
【0031】
主コントローラ14は、新たなメンテナンス情報が累積され、メンテナンス累積情報が更新されるたびに、更新されたメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。メンテナンス条件を満たすと判定する場合、主コントローラ14は、メンテナンスの内容を読み出し、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236に送信する。
主コントローラ14において読み出されたメンテナンスの内容が、主コントローラ14及びスイッチングハブ15を介して送信されると、送信されたメンテナンスの内容に基づいて、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、基板処理装置10の各部を制御する。
主コントローラ14は、予め定められた処理が終了した後、メモリに記憶されているメンテナンス累積情報を、HDDなどのディスクにも記憶する(バックアップする)。主コントローラ14は、例えば、基板処理を構成する複数の処理のうち特定の処理が終了した後や、電源がオフされた後、メンテナンス累積情報をバックアップする。
【0032】
図4は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10において、累積情報がバックアップされるタイミングを説明するための図である。
以下、基板処理装置10において、予め作成されたレシピに基づき、処理A、処理B、処理C、・・・からなる基板処理が実行されるものとする。
【0033】
図4において、(1)に示すように、処理Aの実行が開始される。
(2)において、図3の搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、予め定められた時間間隔で、基板処理装置10の各部に関する情報を収集し、図3の主コントローラ14に送信する。主コントローラ14は、送信された情報のうちメンテナンス情報を、RAMなどのメモリに記憶する。
ここでは、これより前に記憶されたメンテナンス情報はないので、ここで新たに記憶されたメンテナンス情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
【0034】
(3)において、(2)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
【0035】
(4)において、(2)と同様に、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、予め定められた時間間隔で、基板処理装置10の各部に関する情報を収集し、主コントローラ14に送信する。
主コントローラ14は、これより前に記憶されたメンテナンス情報(つまり、(2)において記憶されたメンテナンス情報)に、新たに送信されたメンテナンス情報を累積したメンテナンス累積情報をメモリに記憶し、このメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
【0036】
(5)において、(4)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
(6)において、処理Aが終了すると、主コントローラ14は、直近に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(4)において記憶されたメンテナンス累積情報)を、HDDなどのディスクにバックアップする。
ここでは、処理A中にメンテナンスが実行されるものとしたが、基板処理装置10の各部に関する情報を収集する時間間隔を長くして、処理A後にメンテナンスが実行されるようにしてもよい(以下、他の処理についても同様)。
【0037】
(7)において、(2)と同様に、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、予め定められた時間間隔で、基板処理装置10の各部に関する情報を収集し、主コントローラ14に送信する。
主コントローラ14は、これより前に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(4)において記憶されたメンテナンス累積情報)に、新たに送信されたメンテナンス情報をさらに累積したメンテナンス累積情報をメモリに記憶し、このメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
【0038】
(8)において、(7)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
【0039】
(9)において、(2)と同様に、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、予め定められた時間間隔で、基板処理装置10の各部に関する情報を収集し、主コントローラ14に送信する。
主コントローラ14は、これより前に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(7)において記憶されたメンテナンス累積情報)に、新たに送信されたメンテナンス情報をさらに累積したメンテナンス累積情報をメモリに記憶し、このメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
【0040】
(10)において、(9)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
(11)において、処理Bが終了すると、主コントローラ14は、直近に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(9)において記憶されたメンテナンス累積情報)を、HDDなどのディスクにバックアップする。
【0041】
(12)において、(2)と同様に、搬送系コントローラ234及びプロセス系コントローラ236は、予め定められた時間間隔で、基板処理装置10の各部に関する情報を収集し、主コントローラ14に送信する。
主コントローラ14は、これより前に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(9)において記憶されたメンテナンス累積情報)に、新たに送信されたメンテナンス情報をさらに累積したメンテナンス累積情報をメモリに記憶し、このメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
【0042】
(13)において、(11)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
(14)において、オペレータによりシャットダウンが指示されると、主コントローラ14は、直近に記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(12)において記憶されたメンテナンス累積情報)をディスクにバックアップする。
【0043】
(15)において、電源がオフされる。
(16)において、オペレータにより起動が指示されると、基板処理が再開される。
【0044】
(17)において、主コントローラ14は、直近にバックアップされたメンテナンス累積情報(つまり、(14)においてバックアップされたメンテナンス累積情報)を読み出し、このメンテナンス累積情報がメンテナンス条件を満たすか否かを判定する。
(18)において、(17)における判定結果に応じて、基板処理装置10の各部においてメンテナンスが実行される。
【0045】
なお、(14)において、オペレータからシャットダウンが指示された後、電源がオフされるという正常な電源オフがなされるものとして説明した。
しかし、(14)において、オペレータからシャットダウンが指示されず、停電やコンセントの抜けなどにより、電源がオフされるという正常でない電源オフがなされた場合であっても、ROMなどの揮発性メモリに記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(12)において記憶されたメンテナンス累積情報)は消去されてしまうが、直近にHDDなどのディスクにバックアップされたメンテナンス累積情報(つまり、(11)においてバックアップされたメンテナンス累積情報)が再開後に読み出し可能となるので、このメンテナンス累積情報を用いてメンテナンスを実行するか否かを判断することができる。
【0046】
これに対して、(6)及び(11)においてメンテナンス累積情報がバックアップされず、(14)において正常でない電源オフがなされた場合には、RAMなどのメモリに記憶されたメンテナンス累積情報(つまり、(12)などにおいて記憶されたメンテナンス累積情報)が消去されてしまうことがある。このような場合には、基板処理の再開後、新たに記憶されるメンテナンス情報のみを用いて、メンテナンスを実行するか否かを判断することになる。つまり、基板処理の履歴を示すメンテナンス累積情報ではなく、情報収集時の状態を示すメンテナンス情報を用いることにより、メンテナンスを実行するか否かが適切に判断されないおそれがある。例えば、あと少しでメンテナンスが実行されるはずであった部品について、メンテナンス情報によっては、メンテナンスを実行しないという判断がなされる。そして、メンテナンスが必要であるにもかかわらずメンテナンスが実行されていない部品を稼働させることは、基板の品質が保持されなくなるという問題につながる。
このように、本発明は、処理が終了するたびにメンテナンス累積情報をバックアップすることにより、正常でない電源オフがなされた場合であっても、メンテナンスを実行するか否かを適切に判断することができる。
【0047】
なお、本発明は、基板処理装置10として、例えば、半導体装置(IC)の製造方法を実施する半導体製造装置として構成されているが、半導体製造装置だけでなくLCD装置のようなガラス基板を処理する装置にも適用することができる。
基板処理装置10で行われる成膜処理には、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理がある。
また、本実施形態では、基板処理装置が縦型処理装置10であるとして記載したが、枚葉装置についても同様に適用することができ、さらに、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置等にも同様に適用することができる。
【0048】
本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を特徴とするが、さらに次に付記した事項も含まれる。
[付記1]
本発明に係る基板処理方法は、基板を処理する手順を記述したレシピを実行することにより、基板に処理を施し、基板に処理を施すことにより累積される、部品に関する情報を記憶し、記憶された情報を複製し、記憶された情報又は複製された情報に基づいて、メンテナンスを実行するか否かを判断する。
【符号の説明】
【0049】
1 基板処理システム
10 基板処理装置
14 主コントローラ
16 主操作装置
18 主表示装置
30 外部操作装置
32 外部表示装置
50 副操作装置
52 副表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する手順を記述したレシピを実行することにより、基板に処理を施す基板処理部と、
前記基板処理部が基板に処理を施すことにより累積される、前記基板処理部を構成する部品に関する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報を複製する複製部と、
前記記憶部に記憶された情報又は前記複製部によって複製された情報に基づいて、メンテナンスを実行するか否かを判断する判断部と
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−124315(P2012−124315A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273667(P2010−273667)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】