基板処理装置
【課題】基板の周囲を整流部材で囲んだ状態でプラズマ処理を行う基板処理装置において、基板の搬入出の際にパーティクル等による基板の汚染を生じ難くすること。
【解決手段】チャンバ2の載置台3上に基板Gを載置し、その基板Gを整流部材9で囲繞した状態で、チャンバ2内に処理ガスのプラズマを形成して基板Gにプラズマ処理を行う基板処理装置1において、整流部材9は、角筒状をなす4つの側板9a、9bからなり、少なくとも基板搬入出口31に対応する位置に存在する可動部材としての側板9aが、載置台3に対する基板Gの搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられ、側板9aは、回転軸47を回転させることにより、処理の際の処理位置と退避位置との間で回動するように構成され、回転軸47と側板9aとが連結部材45で結合され、連結部材45の回転により側板9aを回動させる。
【解決手段】チャンバ2の載置台3上に基板Gを載置し、その基板Gを整流部材9で囲繞した状態で、チャンバ2内に処理ガスのプラズマを形成して基板Gにプラズマ処理を行う基板処理装置1において、整流部材9は、角筒状をなす4つの側板9a、9bからなり、少なくとも基板搬入出口31に対応する位置に存在する可動部材としての側板9aが、載置台3に対する基板Gの搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられ、側板9aは、回転軸47を回転させることにより、処理の際の処理位置と退避位置との間で回動するように構成され、回転軸47と側板9aとが連結部材45で結合され、連結部材45の回転により側板9aを回動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)製造用のガラス基板等の基板に対してドライエッチング等の処理を施す基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造過程においては、真空下でガラス基板に形成された所定の膜をプラズマエッチング処理が存在する。
【0003】
このようなガラス基板に対してプラズマエッチング処理を行う基板処理装置としては、真空に保持可能なチャンバ内に、下部電極として機能する基板載置台、およびこの載置台に対向して上部電極として機能するガス導入用のシャワーヘッドを配置し、下部電極に高周波電力を印加する高周波電源を接続し、チャンバ内を真空排気し、チャンバ内にシャワーヘッドを介して処理ガスを導入するとともに、載置台に高周波電力を印加し、それによって形成された処理ガスのプラズマによりガラス基板上の所定の膜をエッチングするものが知られている。
【0004】
ところで、LCDにおいてはアルミニウム(Al)膜をエッチングする工程が存在し、このようなAl膜のエッチングにおいては、処理ガスとして塩素(Cl2)を含有するものが用いられるが、処理ガスの供給量とエッチング量とが比例するため、ローディング効果により基板の外周部のエッチングレートが中央部のエッチングレートよりも極端に速くなってしまうという現象が発生する。つまり、プラズマ中のエッチング種であるClラジカルからみると、基板の最外周領域では単位量のClラジカルがエッチングすべき基板面積は、中央領域の約半分であり、中央領域に供給される流量と同じ流量で最外周領域に処理ガスが供給されると、最外周領域のエッチングレートは中央領域のエッチングレートの約2倍となってしまう。
【0005】
このため、載置台上の基板の周囲を囲繞するように整流部材を設け、それによりガラス基板の外周領域近傍から基板外周に向かう処理ガスの流れを遮ることにより、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量を減らし、基板面内におけるエッチングレートの均一性を高める技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
この技術を実施するに際しては、整流部材がガラス基板の搬入出の妨げとなるため、ガラス基板の搬入出の際に整流部材を搬入出の妨げにならない位置まで退避させる必要がある。そして、スペース等の関係から、整流部材を上方に退避させることが行われていた。
【0007】
しかしながら、整流部材を基板よりも上方に退避させた状態で基板の搬入出を行うと、整流部材に付着したパーティクル等がガラス基板に落下してガラス基板を汚染させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−315676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板の周囲を整流部材で囲んだ状態でプラズマ処理を行う基板処理装置において、基板の搬入出の際にパーティクル等による基板の汚染が生じ難い基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器の側壁に形成された基板を搬入出する基板搬入出部と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給機構と、前記処理容器内で処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成機構と、前記処理容器内を排気する排気機構と、前記載置台上に前記載置台上の基板を囲繞するように設けられた整流部材とを具備し、前記載置台上の基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置であって、前記整流部材は、少なくとも前記基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有し、前記整流部材は、4つの側板からなる角筒状をなし、これら側板のうち前記基板搬入出部に対応する位置にある側板が前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能な可動部材として機能し、前記可動部材として機能する側板は、回転軸を回転させることにより、処理の際の処理位置と前記退避位置との間で回動するように構成され、前記回転軸と前記可動部材として機能する側板とが連結部材で結合され、前記連結部材の回転により前記可動部材として機能する側板を回動させることを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0011】
本発明において、前記基板搬入出部に対応する位置にある側板と対向する側板も退避可能な可動部材として機能するように構成することができる。
【0012】
前記可動部材として機能する側板は、水平方向に延びる回転軸を回転させることにより、垂直方向に回動可能である構成とすることができる。
【0013】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板に密着するように構成することができる。また、前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板との間に隙間が形成され、処理ガスが前記隙間を通過する経路は屈曲したラビリンス構造をとるように構成することができる。
【0014】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台と密着している構成とすることができる。また、前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台との間に隙間が形成され、前記載置台における前記可動部材として機能する側板の近傍位置に、その側板の幅方向に沿って基板の搬入出を妨げない高さの抵抗部材が設けられている構成とすることができる。
【0015】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらが折りたたみ可能に連結され、退避位置に回動される際に折りたたまれるように構成することができる。また、前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらがスライド可能に連結され、退避位置に回動される際に分割片がスライドして重ねられるように構成することができる。
【0016】
前記可動部材として機能する側板は、前記退避位置から前記処理位置に回動される際に、隣接する側板との間に隙間が形成された状態まで駆動機構により駆動させ、その後自重により前記隣接する側板との間が密着されるように構成することができる。
【0017】
前記回転軸は、シール部材を介して前記処理容器の外側に延び、前記処理容器の外側に設けられた回転モータにより回転されるものとすることができる。この場合に、前記シール部材としては、Oリングシールまたはスプリング荷重式シールを用いることができる。また、前記回転軸は、前記処理容器の外側にベローズを介して設けられたシリンダ機構の駆動により、ラックアンドピニオン機構を介して回転されるものとすることができる。
【0018】
本発明において、前記基板搬入出部は、前記処理容器に設けられた基板搬入出口と、該基板搬入口を開閉するゲートバルブとを有するものとし、前記ゲートバルブの開放と、前記可動部材の退避位置への移動とを同期して実行させる制御部をさらに具備するように構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、整流部材は、少なくとも基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有するので、基板を搬入出する際に可動部材を退避位置に移動させることにより、整流部材を基板の高さよりも高い位置に上昇させずに基板の搬入出が可能になる。このため、整流部材から基板にパーティクルが落下することを回避することができ、基板の汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す垂直断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の水平断面図。
【図3】図1の基板処理装置の整流部材の要部を示す側面図。
【図4】図1の基板処理装置の整流部材の要部を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の動作を説明するための概略図。
【図6】整流部材の変形例を説明するための模式図。
【図7】整流部材の他の変形例を示す模式図。
【図8】整流部材のさらに他の変形例を示す模式図。
【図9】整流部材のさらに他の変形例の動きを示す模式図。
【図10】整流部材の側板を回動させるための駆動系の他の例を示す図。
【図11】整流部材の側板を回動させるための駆動系のさらに他の例を示す図。
【図12】整流部材のさらに他の変形例を説明するための模式図。
【図13】整流部材のさらにまた他の変形例を説明するための模式図。
【図14】整流部材の別の変形例を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す垂直断面図、図2はその水平断面図である。このプラズマ処理装置1は、FPD用ガラス基板Gの所定の処理を行う装置の断面図であり、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0022】
このプラズマ処理装置1は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状に成形されたチャンバ2を有している。このチャンバ2内の底部には被処理基板であるガラス基板Gを載置するための載置台3が設けられている。
【0023】
載置台3は、絶縁部材4を介して処理チャンバ2の底部に支持されており、金属製の凸型の基材5と基材5の凸部5aの上に設けられたガラス基板Gを静電吸着する静電チャック6と、静電チャック6および基材5の凸部5aの周囲に設けられた、絶縁性セラミックス、例えばアルミナからなる額縁状のシールドリング7と、シールドリング7の下に基材5を囲繞するように設けられた絶縁性セラミックス、例えばアルミナからなるリング状の絶縁リング8とを有している。また、シールドリング7の上には、ガラス基板Gを囲繞するように、角筒状の整流部材9が設けられている。
【0024】
チャンバ2の底壁、絶縁部材4および載置台3を貫通するように、その上へのガラス基板Gのローディングおよびアンローディングを行うための昇降ピン10が昇降可能に挿通されている。この昇降ピン10はガラス基板Gを搬送する際には、載置台3の上方の搬送位置まで上昇され、それ以外のときには載置台3内に没した状態となる。
【0025】
載置台3の基材5には、高周波電力を供給するための給電線12が接続されており、この給電線12には整合器13および高周波電源14が接続されている。高周波電源14からは例えば13.56MHzの高周波電力が載置台3の基材5に供給される。したがって、載置台3は下部電極として機能する。
【0026】
前記載置台3の上方には、この載置台3と平行に対向して上部電極として機能する処理ガス導入用のシャワーヘッド20が設けられている。シャワーヘッド20は処理チャンバ2の上部に支持されており、内部に空間21を有するとともに、載置台3との対向面に処理ガスを吐出する複数の吐出孔22が形成されている。このシャワーヘッド20は接地されており、下部電極として機能する載置台3とともに一対の平行平板電極を構成している。
【0027】
シャワーヘッド20の上面にはガス導入口24が設けられ、このガス導入口24には、処理ガス供給管25が接続されており、この処理ガス供給管25は処理ガス供給源28に接続されている。また、処理ガス供給管25には、開閉バルブ26およびマスフローコントローラ27が介在されている。処理ガス供給源28からは、プラズマ処理、例えばプラズマエッチングのための処理ガスが供給される。処理ガスとしては、Cl2ガス等のハロゲン系のガス、O2ガス、Arガス等、通常この分野で用いられるガスを用いることができる。
【0028】
処理チャンバ2の底部の四隅には排気管29が形成されており、この排気管29には排気装置30が接続されている。排気装置30はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これにより処理チャンバ2内を所定の真空雰囲気まで真空引き可能なように構成されている。また、処理チャンバ2の側壁には基板搬入出口31が設けられており、この基板搬入出口31がゲートバルブ32により開閉可能となっている。そして、このゲートバルブ32を開にした状態で搬送装置(図示せず)によりガラス基板Gが搬入出されるようになっている。一方、チャンバ2の基板搬入出口31と対向する側の側壁には、チャンバ2の内部を覗く覗き窓33が形成されている。覗き窓33は耐熱性の高い透明材料、例えば石英やサファイアからなる。
【0029】
上記静電チャック6は、表面にセラミックス溶射皮膜41を有し、内部に電極42が埋設されている。電極42は、ガラス基板Gよりも若干小さい矩形状をなしており、例えば溶射で形成されている。電極42には給電線43が接続されており、給電線43には直流電源44が接続されていて、電極42に直流電源44からの直流電圧が印加されることにより、クーロン力等の静電吸着力によりガラス基板Gが吸着される。
【0030】
上記整流部材9は、アルミナ等のセラミックスで形成され、ガラス基板Gの周囲を囲繞してガラス基板Gの外周領域近傍から基板の外周に向かう処理ガスの流れを遮ることにより、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量を減らし、ガラス基板Gの面内におけるエッチングレートの均一性を高めるためのものであり、その機能を発揮する観点から例えば100〜150mm程度の高さが必要である。この整流部材9は基板搬入出口31側およびそれと対向する側の一対の側板9aが水平方向に延びる回転軸に対して外側へ回動可能な可動部材として機能し、ガラス基板Gの搬入出の際に側板9aが外側へ退避するようになっている。残りの側壁9bは、固定ブラケット(図示せず)により載置台3に固定されている。
【0031】
基板搬入出口31側の側板9aが外側へ回動して退避することにより、ガラス基板Gの搬入出の際に整流部材9が妨げとなることが回避される。また、このとき基板搬入出口31と対向する側の側板9aをも外側へ回動させることにより、上記覗き窓33からガラス基板Gの搬送状態および載置状態を見ることができる。
【0032】
図3の側面図および図4の斜視図に示すように、この側板9aの外側には、水平方向に延びるセラミックス製の当て板46を介して一対の連結部材45がその両端部にボルト45aにより固定されている。なお、側板9aは、図4に示すように縦に2分割されており、当て板46により補強されている。
【0033】
一対の連結部材45の下部には、側板9aの長手方向に沿って水平に延びる回転軸47が取り付けられている。回転軸47はチャンバ2の外部まで延びて回転モータ48に連結されている。そして、回転モータ48により回転軸47を回転させることにより、連結部材45および当て板46を介して側板9aが、図3の実線で示すガラス基板Gを囲繞する処理位置と、破線で示すガラス基板Gの搬入出が可能となる退避位置との間で垂直方向に回動可能となっている。回転軸47のチャンバ2の壁部に挿通する部分には、シール部材49が取り付けられている。シール部材49としては、Oリングシールやスプリング荷重式シール、典型的にはスプリング荷重式テフロン(登録商標)シール(オムニシール(商品名))を用いることができる。
【0034】
制御部50は、基板処理装置1の各構成要素の制御を行うようになっている。例えばバルブ26の制御、ゲートバルブ32の制御、高周波電源14の制御、直流電源44の制御、排気装置30の制御、側板9aの制御、昇降ピン10の昇降制御等を行う。制御部50はプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたレシピに従って基板処理装置1を制御するようになっている。
【0035】
次に、このように構成される基板処理装置1における処理動作について、図5を参照しながら説明する。
【0036】
まず、ゲートバルブ32を開き、モータ48(図4)により整流部材9の側板9aを外側に回動させて退避位置まで移動させ、エッチング対象膜として例えばAl膜が形成されたガラス基板Gを搬送アーム81により基板搬入出口31を介してチャンバ2内へと搬入する(図5の(a))。
【0037】
次いで、昇降ピン10を上方に突出させて支持位置に位置させ、搬送アーム上のガラス基板Gを昇降ピン10の上に受け渡し、昇降ピン10を下降させてガラス基板Gを載置台3の静電チャック6(図1参照)の上に載置する(図5の(b))。
【0038】
その後、ゲートバルブ32を閉じ、整流部材9の側板9aをガラス基板Gを囲繞する処理位置まで回動させる(図5の(c))。
【0039】
この状態で、排気装置30によって、チャンバ2内を所定の真空度まで真空引きし、直流電源44から静電チャック6の電極42に電圧を印加することにより、ガラス基板Gを静電吸着し、バルブ26を開放して、処理ガス供給源28から例えばCl2ガス等の処理ガスを、マスフローコントローラ27によってその流量を調整しつつ処理ガス供給管25、ガス導入口24を通ってシャワーヘッド20の内部空間21へ導入し、さらに吐出孔22を通って基板Gに対して均一に吐出し、排気量を調節しつつチャンバ2内を所定圧力に制御する。そして、この状態で高周波電源14から整合器13を介してプラズマ生成用の高周波電力を載置台3の基材5に供給し、下部電極としての載置台3と上部電極としてのシャワーヘッド20との間に高周波電界を生じさせて、処理ガスのプラズマを生成し、このプラズマによりガラス基板Gの被エッチング対象膜であるAl膜にプラズマエッチング処理を施す(図5の(d))。
【0040】
この場合に、整流部材9によりガラス基板Gの外周領域近傍から基板の外周に向かう処理ガスの流れが遮られ、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量が減るため、ガラス基板の外周領域のエッチングレートは低下して、ガラス基板GのAl膜に対し均一の高いプラズマエッチングを施すことができる。
【0041】
このようにしてプラズマエッチング処理を行った後、処理ガスの供給を停止して、ガラス基板Gの搬出に備えてチャンバ2内の圧力を調整し、ゲートバルブ32を開くとともに、整流部材9の側板9aを外側に回動させて退避位置まで移動させ昇降ピン10によりガラス基板Gを持ち上げる(図5の(e))。
【0042】
次いで、チャンバ2内に搬送アーム81を挿入し、搬送アーム81がエッチング処理後のガラス基板Gを受け取ってチャンバ2から搬出する(図5の(f))。
【0043】
以上の処理動作において、ガラス基板Gの搬入出の際には、ゲートバルブ32の開放と整流部材9の側板9aの退避位置への回動が同時期に行われ、ゲートバルブ32の閉塞と側板9aの処理位置への回動が同時期に行われるため、制御部50から、ゲートバルブ32を開放する信号と側板9aが退避位置へ回動する信号を同期して出力し、ゲートバルブ32を閉塞する信号と側板9aが処理位置へ回動する信号を同期して出力することが好ましい。これにより、これらの動作をシリアルに行うよりも動作時間を短縮することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態では、整流部材9の搬入出口31側の側板9aが回動して外側へ回動可能となっており、ガラス基板Gの搬入出の際に側板9aが外側へ退避することができるので、整流部材9をガラス基板Gの高さよりも高い位置に上昇させずにガラス基板Gの搬入出が可能になる。このため、整流部材9からガラス基板Gにパーティクルが落下することを回避することができ、ガラス基板Gの汚染を抑制することができる。
【0045】
また、基板搬入出口31側の側板9aが外側へ回動して退避すると同時に、それと対向する側板9aも外側へ回動して退避するので、ガラス基板Gの搬送状態およびガラス基板Gの載置状態をチャンバ2側壁の覗き窓33から見ることができ、ガラス基板Gの搬入出時に異常があった場合に迅速に対応することができる。もちろん、整流部材9を上昇させずにガラス基板Gの搬入出を可能にする観点からは、基板搬入出31側の側板9aのみが回動できるようになっていればよい。
【0046】
ところで、整流部材9は、ガラス基板の外周領域近傍から基板外周に向かう処理ガスの流れを遮ると同時に、ガラス基板外周領域における処理ガスの流れを抑制する構造であることが望ましい。そのような観点から、側板9aと側板9bの間は密着されていることが好ましい。しかしながら、側板9aと側板9bの間を密着させる場合には、側板9aを外側に回動させて退避させた後、密着状態の処理位置に戻す際に、側板9aが側板9bに当たってパーティクルが発生するおそれがある。
【0047】
整流部材9の機能を極力維持したまま、このようなパーティクルを防止する観点からは、図6に示すように、側板9aが処理位置にある場合に、側板9aと側板9bとの間に0.5mm程度の微小隙間が形成されるようにし、側板9aから側板9bを挟むように突出するように板材9cを側板9aに取り付け、処理ガスが通過する側板9aと側板9b間の経路を屈曲したラビリンス構造とすることが好ましい。このようにすることにより、処理ガスが通過する側板9aと側板9b間の経路のコンダクタンスを十分に小さくすることができ、処理ガスが側板9aと側板9b間を抜けていくことが抑えられ、整流部材9の機能を維持することができる。この場合に、板材9cと側板9bとのオーバーラップ長さ(図6においてDで示す部分の長さ)は20〜30mm程度とすることができる。
【0048】
また、同様に、側板9aとシールドリング7との間も密着していることが好ましいが、側板9aを退避位置から処理位置に戻す際に密着状態にしようとすると、側板9aとシールドリング7との間に擦れが生じてやはりパーティクルが発生するおそれがある。
【0049】
このため、図7に示すように、側板9aが処理位置にある場合に、側板9aとシールドリング7との間に0.5mm程度の微小隙間が形成されるようにし、側板9aに近接した位置に側板9aの幅方向に沿って、ガラス基板Gの搬入出を妨げない高さの抵抗部材61を設けて、処理ガスが側板9aの下を通過する経路を屈曲したラビリンス構造となるようにし、この経路のコンダクタンスを十分に小さくすることが好ましい。この場合に、抵抗部材61の高さは10mm以上とすることができる。
【0050】
図8は、整流部材のさらに他の変形例を示す模式図、図9は、図8に示す整流部材の動きを示す模式図である。
【0051】
図7に示した他の変形例に係る整流部材9aは、シールドリング7上に抵抗部材61を設け、側板9aの下を通過する処理ガスの経路を屈曲したラビリンス構造となるようにした。
【0052】
これに対して、図8に示すさらに他の変形例に係る整流部材9aは、シールドリング7上にガラス基板Gの搬入出を妨げない高さの抵抗部材62を設け、図9に示すように、側板9aがシールドリング7側に回動してきた際、側板9aの下部が抵抗部材62の上部に載るようにしている。
【0053】
このように、側板9aが回動した際に、側板9aの下部を抵抗部材62の上部に載せるようにすることで、側板9aの下を処理ガスが通過しないようにすることもできる。
【0054】
また、図8に示す変形例においては、側板9aの下部に、抵抗部材62に合致するような切り欠き部63を設け、この切り欠き部63の上面64が、抵抗部材62の上面に載るように構成されている。また、切り欠き部63の側面65、及び側板9aの最下面66については、抵抗部材62の側面、及びシールドリング7の上面の間にクリアランス67が設定されるような寸法に設定され、側面65及び最下面66が、抵抗部材62の側面、及びシールドリング7の上面と接触しないように構成されている。これにより、側板9aと抵抗部材62との接触を最小限度に抑制し、無用なパーティクルが発生しないようにしている。
【0055】
さらに、回転軸47を回転させる回転モータ48(図4参照)にはバックラッシがあるのが通常である。側板9aの下部を抵抗部材62の上部に接触させる際に、このバックラッシを利用して接触させるようにすると、ダイレクトに接触させる場合に比較して、側板9aの下部を抵抗部材62の上部にゆっくりとソフトに接触させることができる。
【0056】
このように、側板9aの下部と抵抗部材62とが接触することで発生するパーティクルについては、側板9aの下部を抵抗部材62の上部に接触させる際に、回転モータ48のバックラッシを利用することで、処理に影響のない量まで減らすことが可能である。
【0057】
また、整流部材9の側板9aを回動する際の駆動系側の真空シールをより確実にする観点からは、図10に示すように、チャンバ2の回転軸47に対応する部分にボックス70を設け、そこにラックアンドピニオン機構71を設け、シリンダ73のピストン74をベローズ72を介してボックス70に挿入し、シリンダ73によりピストン74を直進させることにより、ラックアンドピニオン機構71を介して回転軸47を回転させるようにすることが好ましい。ラックアンドピニオン機構71は、ピストン74の先端に取り付けられたラック75と、回転軸47に取り付けられ、ラック75に噛合するピニオン76と、ラック75の背面側を押さえる受けベアリング77とを有する。なお、参照符号78はカップリング、79はベアリングである。このように、ラックアンドピニオン機構71を用いることにより、駆動系側の真空シールをベローズ72で行うことができるので、より確実に真空シールを行うことができる。
【0058】
図11は、整流部材の側板を回動させるための駆動系の他の例を示す図である。
【0059】
側板9aを回動する際の駆動系側の真空シールをより確実にする観点からは、図11に示すように、回転ベローズ機構80を利用することもできる。
【0060】
回転ベローズ機構80においては、回転軸47が、例えば、チャンバ2の外側(大気側)において、所定の角度θに曲げられている。回転軸47のチャンバ2の内側(真空側)から外側(大気側)へと外壁を介して通過する直線部は、チャンバ2の外側(大気側)に設けられ、回転軸47をベアリング81により回転可能に保持するフランジ部材82によって保持されている。
【0061】
さらに、回転軸47のチャンバの外側(大気側)の先端は、ベアリング83により回転可能に保持する回転軸保持部材84によって保持されている。また、回転軸47の角度θに曲げられた屈曲部85は、フランジ部材82と回転軸保持部材84とにそれぞれ接続されたベローズ86により囲まれている。ベローズ86は、回転軸47の曲りに合わせて撓む。
【0062】
フランジ部材82には、保持部材84、及びベローズ86を収容する、例えば、筒状のケーシング部材87が取り付けられている。さらに、ケーシング部材87は、回転モータ48の回転軸88をベアリング89により回転可能に保持する。回転軸88の回転中心は、回転軸47の直線部における回転中心に合致する。回転軸88のケーシング部材87の内部における先端には、ハンドル部材90が設けられている。ハンドル部材90は、回転軸保持部材84を、回転軸88の回転中心から偏心した位置に上記角度θ傾いた状態で、かつ、ベアリング91により回転可能に保持する。
【0063】
回転モータ48は回転軸88を回転させる。回転軸88が回転すると、ハンドル部材90は、回転軸88の回転中心から偏心した位置に保持されている回転軸保持部材84を、首振り回転させる。回転軸47の先端は、回転軸保持部材84に角度θ傾けられて保持されているので、回転軸47は、回転軸保持部材84の首振り回転に合わせて回転する。ベローズ86は、保持部材84の首振り回転に合わせて、撓んでいる部分を回転軸47の直線部における回転中心を中心にして移動させる。
【0064】
このようにして、回転モータ48は回転軸47を回転させる。
【0065】
このような回転ベローズ機構80を用いても、チャンバ2の内側(真空側)と外側(大気側)との真空シールを、ベローズ86を用いて行うことができるので、図10に示したラックアンドピニオン機構71と同様に、より確実に真空シールを行うことができる。
【0066】
さらに、整流部材9の側板9aはチャンバ2の壁部側へ回動するため、整流部材9の高さは整流部材9の側板9aとチャンバ2の壁部との距離により制限される。すなわち、側板9aとチャンバ2の壁部との距離が小さい場合には、整流部材9の高さを十分にとることができない。
【0067】
そのような場合には、図12の(a)に示すように、側板9aを上部材9dおよび下部材9eに上下に2分割し、これらを折りたたみ可能に連結し、側板9aを外側の退避位置に回動される際に、図12の(b)に示すように、上部材9dを下部材9eに対して回動して折りたたむことにより、側板9aの退避位置でのチャンバ壁部方向の長さを小さくすることができる。なお、側板9aを3以上に分割して折りたたみ可能にしてもよい。
【0068】
また、図13の(a)に示すように、側板9aを下側の基部9gと基部9gに対してスライド可能に設けられた上側のスライド部9fとに分割し、側板9aを外側の退避位置に回動する際に、図13の(b)に示すように、スライド部9fを基部9gに対してスライドさせることにより、側板9aの退避位置でのチャンバ壁部方向の長さを小さくすることができる。なお、側板9aを3以上に分割してスライド可能にしてもよい。
【0069】
さらに、図14に示すように、側板9bの側板9aが密着する端面9hを斜面とし、端面9hの下部に誘導斜面9iを形成し、側板9aの内側面9jの下部に誘導斜面9iに対応する切り欠き面9kを設け、側板9aを退避位置から処理位置に戻す際に、図14の(a)に示すように、駆動機構により、側板9aをその切り欠き面9kが誘導斜面9iにかかる位置まで回動させ、側板9bの端面9hと側板9aの内面9jとの間に隙間がある状態で駆動機構の伝達を切り、図14の(b)に示すように、側板9aの切り欠き面9kが誘導斜面9iにガイドされて側板9aが自重で側板9bに密着するようにしてもよい。これにより、パーティクルの発生を抑制しつつ側板9bと側板9aとを密着させることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、整流部材9の側板9aの回動は、ゲートバルブ32の駆動機構と別の駆動機構により行ったが、ゲートバルブ32の駆動機構の動力を機械的伝達機構を介して利用することもできる。また、本発明をエッチング装置に適用したが、エッチング処理に限らず、成膜等の他のプラズマ処理に適用可能である。また、上記実施形態では、整流部材の基板搬入出口側の側板を外側へ退避させる構成としたが、これに限らず、下側に退避させる等、他の退避構造であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では整流部材を4つの側板で構成し、基板搬入出口側の側板を可動部材として機能させたが、これに限るものではない。
【0072】
また、上記実施形態では、基板としてFPD用ガラス基板を用いた例を示したが、これに限定されず半導体ウエハ等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1;基板処理装置
2;チャンバ
3;載置台
5;基材
6;静電チャック
7;シールドリング
9;整流部材
9a;側壁
14;高周波電源
20;シャワーヘッド
28;処理ガス供給源
30;排気装置
33;覗き窓
41;セラミックス溶射皮膜
42;電極
44;直流電源
45;連結部材
47;回転軸
48;回転モータ
50;制御部
G;ガラス基板
62;抵抗部材
63:切り欠き部
67;クリアランス
80;回転ベローズ機構
82;フランジ部材
84;回転軸保持部材
85;回転軸47の屈曲部
86;ベローズ
88;回転軸
90;ハンドル部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)製造用のガラス基板等の基板に対してドライエッチング等の処理を施す基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造過程においては、真空下でガラス基板に形成された所定の膜をプラズマエッチング処理が存在する。
【0003】
このようなガラス基板に対してプラズマエッチング処理を行う基板処理装置としては、真空に保持可能なチャンバ内に、下部電極として機能する基板載置台、およびこの載置台に対向して上部電極として機能するガス導入用のシャワーヘッドを配置し、下部電極に高周波電力を印加する高周波電源を接続し、チャンバ内を真空排気し、チャンバ内にシャワーヘッドを介して処理ガスを導入するとともに、載置台に高周波電力を印加し、それによって形成された処理ガスのプラズマによりガラス基板上の所定の膜をエッチングするものが知られている。
【0004】
ところで、LCDにおいてはアルミニウム(Al)膜をエッチングする工程が存在し、このようなAl膜のエッチングにおいては、処理ガスとして塩素(Cl2)を含有するものが用いられるが、処理ガスの供給量とエッチング量とが比例するため、ローディング効果により基板の外周部のエッチングレートが中央部のエッチングレートよりも極端に速くなってしまうという現象が発生する。つまり、プラズマ中のエッチング種であるClラジカルからみると、基板の最外周領域では単位量のClラジカルがエッチングすべき基板面積は、中央領域の約半分であり、中央領域に供給される流量と同じ流量で最外周領域に処理ガスが供給されると、最外周領域のエッチングレートは中央領域のエッチングレートの約2倍となってしまう。
【0005】
このため、載置台上の基板の周囲を囲繞するように整流部材を設け、それによりガラス基板の外周領域近傍から基板外周に向かう処理ガスの流れを遮ることにより、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量を減らし、基板面内におけるエッチングレートの均一性を高める技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
この技術を実施するに際しては、整流部材がガラス基板の搬入出の妨げとなるため、ガラス基板の搬入出の際に整流部材を搬入出の妨げにならない位置まで退避させる必要がある。そして、スペース等の関係から、整流部材を上方に退避させることが行われていた。
【0007】
しかしながら、整流部材を基板よりも上方に退避させた状態で基板の搬入出を行うと、整流部材に付着したパーティクル等がガラス基板に落下してガラス基板を汚染させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−315676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板の周囲を整流部材で囲んだ状態でプラズマ処理を行う基板処理装置において、基板の搬入出の際にパーティクル等による基板の汚染が生じ難い基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、基板を収容する処理容器と、前記処理容器の側壁に形成された基板を搬入出する基板搬入出部と、前記処理容器内で基板を載置する載置台と、前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給機構と、前記処理容器内で処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成機構と、前記処理容器内を排気する排気機構と、前記載置台上に前記載置台上の基板を囲繞するように設けられた整流部材とを具備し、前記載置台上の基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置であって、前記整流部材は、少なくとも前記基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有し、前記整流部材は、4つの側板からなる角筒状をなし、これら側板のうち前記基板搬入出部に対応する位置にある側板が前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能な可動部材として機能し、前記可動部材として機能する側板は、回転軸を回転させることにより、処理の際の処理位置と前記退避位置との間で回動するように構成され、前記回転軸と前記可動部材として機能する側板とが連結部材で結合され、前記連結部材の回転により前記可動部材として機能する側板を回動させることを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0011】
本発明において、前記基板搬入出部に対応する位置にある側板と対向する側板も退避可能な可動部材として機能するように構成することができる。
【0012】
前記可動部材として機能する側板は、水平方向に延びる回転軸を回転させることにより、垂直方向に回動可能である構成とすることができる。
【0013】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板に密着するように構成することができる。また、前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板との間に隙間が形成され、処理ガスが前記隙間を通過する経路は屈曲したラビリンス構造をとるように構成することができる。
【0014】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台と密着している構成とすることができる。また、前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台との間に隙間が形成され、前記載置台における前記可動部材として機能する側板の近傍位置に、その側板の幅方向に沿って基板の搬入出を妨げない高さの抵抗部材が設けられている構成とすることができる。
【0015】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらが折りたたみ可能に連結され、退避位置に回動される際に折りたたまれるように構成することができる。また、前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらがスライド可能に連結され、退避位置に回動される際に分割片がスライドして重ねられるように構成することができる。
【0016】
前記可動部材として機能する側板は、前記退避位置から前記処理位置に回動される際に、隣接する側板との間に隙間が形成された状態まで駆動機構により駆動させ、その後自重により前記隣接する側板との間が密着されるように構成することができる。
【0017】
前記回転軸は、シール部材を介して前記処理容器の外側に延び、前記処理容器の外側に設けられた回転モータにより回転されるものとすることができる。この場合に、前記シール部材としては、Oリングシールまたはスプリング荷重式シールを用いることができる。また、前記回転軸は、前記処理容器の外側にベローズを介して設けられたシリンダ機構の駆動により、ラックアンドピニオン機構を介して回転されるものとすることができる。
【0018】
本発明において、前記基板搬入出部は、前記処理容器に設けられた基板搬入出口と、該基板搬入口を開閉するゲートバルブとを有するものとし、前記ゲートバルブの開放と、前記可動部材の退避位置への移動とを同期して実行させる制御部をさらに具備するように構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、整流部材は、少なくとも基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有するので、基板を搬入出する際に可動部材を退避位置に移動させることにより、整流部材を基板の高さよりも高い位置に上昇させずに基板の搬入出が可能になる。このため、整流部材から基板にパーティクルが落下することを回避することができ、基板の汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す垂直断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の水平断面図。
【図3】図1の基板処理装置の整流部材の要部を示す側面図。
【図4】図1の基板処理装置の整流部材の要部を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の動作を説明するための概略図。
【図6】整流部材の変形例を説明するための模式図。
【図7】整流部材の他の変形例を示す模式図。
【図8】整流部材のさらに他の変形例を示す模式図。
【図9】整流部材のさらに他の変形例の動きを示す模式図。
【図10】整流部材の側板を回動させるための駆動系の他の例を示す図。
【図11】整流部材の側板を回動させるための駆動系のさらに他の例を示す図。
【図12】整流部材のさらに他の変形例を説明するための模式図。
【図13】整流部材のさらにまた他の変形例を説明するための模式図。
【図14】整流部材の別の変形例を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す垂直断面図、図2はその水平断面図である。このプラズマ処理装置1は、FPD用ガラス基板Gの所定の処理を行う装置の断面図であり、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0022】
このプラズマ処理装置1は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状に成形されたチャンバ2を有している。このチャンバ2内の底部には被処理基板であるガラス基板Gを載置するための載置台3が設けられている。
【0023】
載置台3は、絶縁部材4を介して処理チャンバ2の底部に支持されており、金属製の凸型の基材5と基材5の凸部5aの上に設けられたガラス基板Gを静電吸着する静電チャック6と、静電チャック6および基材5の凸部5aの周囲に設けられた、絶縁性セラミックス、例えばアルミナからなる額縁状のシールドリング7と、シールドリング7の下に基材5を囲繞するように設けられた絶縁性セラミックス、例えばアルミナからなるリング状の絶縁リング8とを有している。また、シールドリング7の上には、ガラス基板Gを囲繞するように、角筒状の整流部材9が設けられている。
【0024】
チャンバ2の底壁、絶縁部材4および載置台3を貫通するように、その上へのガラス基板Gのローディングおよびアンローディングを行うための昇降ピン10が昇降可能に挿通されている。この昇降ピン10はガラス基板Gを搬送する際には、載置台3の上方の搬送位置まで上昇され、それ以外のときには載置台3内に没した状態となる。
【0025】
載置台3の基材5には、高周波電力を供給するための給電線12が接続されており、この給電線12には整合器13および高周波電源14が接続されている。高周波電源14からは例えば13.56MHzの高周波電力が載置台3の基材5に供給される。したがって、載置台3は下部電極として機能する。
【0026】
前記載置台3の上方には、この載置台3と平行に対向して上部電極として機能する処理ガス導入用のシャワーヘッド20が設けられている。シャワーヘッド20は処理チャンバ2の上部に支持されており、内部に空間21を有するとともに、載置台3との対向面に処理ガスを吐出する複数の吐出孔22が形成されている。このシャワーヘッド20は接地されており、下部電極として機能する載置台3とともに一対の平行平板電極を構成している。
【0027】
シャワーヘッド20の上面にはガス導入口24が設けられ、このガス導入口24には、処理ガス供給管25が接続されており、この処理ガス供給管25は処理ガス供給源28に接続されている。また、処理ガス供給管25には、開閉バルブ26およびマスフローコントローラ27が介在されている。処理ガス供給源28からは、プラズマ処理、例えばプラズマエッチングのための処理ガスが供給される。処理ガスとしては、Cl2ガス等のハロゲン系のガス、O2ガス、Arガス等、通常この分野で用いられるガスを用いることができる。
【0028】
処理チャンバ2の底部の四隅には排気管29が形成されており、この排気管29には排気装置30が接続されている。排気装置30はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これにより処理チャンバ2内を所定の真空雰囲気まで真空引き可能なように構成されている。また、処理チャンバ2の側壁には基板搬入出口31が設けられており、この基板搬入出口31がゲートバルブ32により開閉可能となっている。そして、このゲートバルブ32を開にした状態で搬送装置(図示せず)によりガラス基板Gが搬入出されるようになっている。一方、チャンバ2の基板搬入出口31と対向する側の側壁には、チャンバ2の内部を覗く覗き窓33が形成されている。覗き窓33は耐熱性の高い透明材料、例えば石英やサファイアからなる。
【0029】
上記静電チャック6は、表面にセラミックス溶射皮膜41を有し、内部に電極42が埋設されている。電極42は、ガラス基板Gよりも若干小さい矩形状をなしており、例えば溶射で形成されている。電極42には給電線43が接続されており、給電線43には直流電源44が接続されていて、電極42に直流電源44からの直流電圧が印加されることにより、クーロン力等の静電吸着力によりガラス基板Gが吸着される。
【0030】
上記整流部材9は、アルミナ等のセラミックスで形成され、ガラス基板Gの周囲を囲繞してガラス基板Gの外周領域近傍から基板の外周に向かう処理ガスの流れを遮ることにより、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量を減らし、ガラス基板Gの面内におけるエッチングレートの均一性を高めるためのものであり、その機能を発揮する観点から例えば100〜150mm程度の高さが必要である。この整流部材9は基板搬入出口31側およびそれと対向する側の一対の側板9aが水平方向に延びる回転軸に対して外側へ回動可能な可動部材として機能し、ガラス基板Gの搬入出の際に側板9aが外側へ退避するようになっている。残りの側壁9bは、固定ブラケット(図示せず)により載置台3に固定されている。
【0031】
基板搬入出口31側の側板9aが外側へ回動して退避することにより、ガラス基板Gの搬入出の際に整流部材9が妨げとなることが回避される。また、このとき基板搬入出口31と対向する側の側板9aをも外側へ回動させることにより、上記覗き窓33からガラス基板Gの搬送状態および載置状態を見ることができる。
【0032】
図3の側面図および図4の斜視図に示すように、この側板9aの外側には、水平方向に延びるセラミックス製の当て板46を介して一対の連結部材45がその両端部にボルト45aにより固定されている。なお、側板9aは、図4に示すように縦に2分割されており、当て板46により補強されている。
【0033】
一対の連結部材45の下部には、側板9aの長手方向に沿って水平に延びる回転軸47が取り付けられている。回転軸47はチャンバ2の外部まで延びて回転モータ48に連結されている。そして、回転モータ48により回転軸47を回転させることにより、連結部材45および当て板46を介して側板9aが、図3の実線で示すガラス基板Gを囲繞する処理位置と、破線で示すガラス基板Gの搬入出が可能となる退避位置との間で垂直方向に回動可能となっている。回転軸47のチャンバ2の壁部に挿通する部分には、シール部材49が取り付けられている。シール部材49としては、Oリングシールやスプリング荷重式シール、典型的にはスプリング荷重式テフロン(登録商標)シール(オムニシール(商品名))を用いることができる。
【0034】
制御部50は、基板処理装置1の各構成要素の制御を行うようになっている。例えばバルブ26の制御、ゲートバルブ32の制御、高周波電源14の制御、直流電源44の制御、排気装置30の制御、側板9aの制御、昇降ピン10の昇降制御等を行う。制御部50はプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたレシピに従って基板処理装置1を制御するようになっている。
【0035】
次に、このように構成される基板処理装置1における処理動作について、図5を参照しながら説明する。
【0036】
まず、ゲートバルブ32を開き、モータ48(図4)により整流部材9の側板9aを外側に回動させて退避位置まで移動させ、エッチング対象膜として例えばAl膜が形成されたガラス基板Gを搬送アーム81により基板搬入出口31を介してチャンバ2内へと搬入する(図5の(a))。
【0037】
次いで、昇降ピン10を上方に突出させて支持位置に位置させ、搬送アーム上のガラス基板Gを昇降ピン10の上に受け渡し、昇降ピン10を下降させてガラス基板Gを載置台3の静電チャック6(図1参照)の上に載置する(図5の(b))。
【0038】
その後、ゲートバルブ32を閉じ、整流部材9の側板9aをガラス基板Gを囲繞する処理位置まで回動させる(図5の(c))。
【0039】
この状態で、排気装置30によって、チャンバ2内を所定の真空度まで真空引きし、直流電源44から静電チャック6の電極42に電圧を印加することにより、ガラス基板Gを静電吸着し、バルブ26を開放して、処理ガス供給源28から例えばCl2ガス等の処理ガスを、マスフローコントローラ27によってその流量を調整しつつ処理ガス供給管25、ガス導入口24を通ってシャワーヘッド20の内部空間21へ導入し、さらに吐出孔22を通って基板Gに対して均一に吐出し、排気量を調節しつつチャンバ2内を所定圧力に制御する。そして、この状態で高周波電源14から整合器13を介してプラズマ生成用の高周波電力を載置台3の基材5に供給し、下部電極としての載置台3と上部電極としてのシャワーヘッド20との間に高周波電界を生じさせて、処理ガスのプラズマを生成し、このプラズマによりガラス基板Gの被エッチング対象膜であるAl膜にプラズマエッチング処理を施す(図5の(d))。
【0040】
この場合に、整流部材9によりガラス基板Gの外周領域近傍から基板の外周に向かう処理ガスの流れが遮られ、基板の最外周領域に供給されるClラジカル量が減るため、ガラス基板の外周領域のエッチングレートは低下して、ガラス基板GのAl膜に対し均一の高いプラズマエッチングを施すことができる。
【0041】
このようにしてプラズマエッチング処理を行った後、処理ガスの供給を停止して、ガラス基板Gの搬出に備えてチャンバ2内の圧力を調整し、ゲートバルブ32を開くとともに、整流部材9の側板9aを外側に回動させて退避位置まで移動させ昇降ピン10によりガラス基板Gを持ち上げる(図5の(e))。
【0042】
次いで、チャンバ2内に搬送アーム81を挿入し、搬送アーム81がエッチング処理後のガラス基板Gを受け取ってチャンバ2から搬出する(図5の(f))。
【0043】
以上の処理動作において、ガラス基板Gの搬入出の際には、ゲートバルブ32の開放と整流部材9の側板9aの退避位置への回動が同時期に行われ、ゲートバルブ32の閉塞と側板9aの処理位置への回動が同時期に行われるため、制御部50から、ゲートバルブ32を開放する信号と側板9aが退避位置へ回動する信号を同期して出力し、ゲートバルブ32を閉塞する信号と側板9aが処理位置へ回動する信号を同期して出力することが好ましい。これにより、これらの動作をシリアルに行うよりも動作時間を短縮することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態では、整流部材9の搬入出口31側の側板9aが回動して外側へ回動可能となっており、ガラス基板Gの搬入出の際に側板9aが外側へ退避することができるので、整流部材9をガラス基板Gの高さよりも高い位置に上昇させずにガラス基板Gの搬入出が可能になる。このため、整流部材9からガラス基板Gにパーティクルが落下することを回避することができ、ガラス基板Gの汚染を抑制することができる。
【0045】
また、基板搬入出口31側の側板9aが外側へ回動して退避すると同時に、それと対向する側板9aも外側へ回動して退避するので、ガラス基板Gの搬送状態およびガラス基板Gの載置状態をチャンバ2側壁の覗き窓33から見ることができ、ガラス基板Gの搬入出時に異常があった場合に迅速に対応することができる。もちろん、整流部材9を上昇させずにガラス基板Gの搬入出を可能にする観点からは、基板搬入出31側の側板9aのみが回動できるようになっていればよい。
【0046】
ところで、整流部材9は、ガラス基板の外周領域近傍から基板外周に向かう処理ガスの流れを遮ると同時に、ガラス基板外周領域における処理ガスの流れを抑制する構造であることが望ましい。そのような観点から、側板9aと側板9bの間は密着されていることが好ましい。しかしながら、側板9aと側板9bの間を密着させる場合には、側板9aを外側に回動させて退避させた後、密着状態の処理位置に戻す際に、側板9aが側板9bに当たってパーティクルが発生するおそれがある。
【0047】
整流部材9の機能を極力維持したまま、このようなパーティクルを防止する観点からは、図6に示すように、側板9aが処理位置にある場合に、側板9aと側板9bとの間に0.5mm程度の微小隙間が形成されるようにし、側板9aから側板9bを挟むように突出するように板材9cを側板9aに取り付け、処理ガスが通過する側板9aと側板9b間の経路を屈曲したラビリンス構造とすることが好ましい。このようにすることにより、処理ガスが通過する側板9aと側板9b間の経路のコンダクタンスを十分に小さくすることができ、処理ガスが側板9aと側板9b間を抜けていくことが抑えられ、整流部材9の機能を維持することができる。この場合に、板材9cと側板9bとのオーバーラップ長さ(図6においてDで示す部分の長さ)は20〜30mm程度とすることができる。
【0048】
また、同様に、側板9aとシールドリング7との間も密着していることが好ましいが、側板9aを退避位置から処理位置に戻す際に密着状態にしようとすると、側板9aとシールドリング7との間に擦れが生じてやはりパーティクルが発生するおそれがある。
【0049】
このため、図7に示すように、側板9aが処理位置にある場合に、側板9aとシールドリング7との間に0.5mm程度の微小隙間が形成されるようにし、側板9aに近接した位置に側板9aの幅方向に沿って、ガラス基板Gの搬入出を妨げない高さの抵抗部材61を設けて、処理ガスが側板9aの下を通過する経路を屈曲したラビリンス構造となるようにし、この経路のコンダクタンスを十分に小さくすることが好ましい。この場合に、抵抗部材61の高さは10mm以上とすることができる。
【0050】
図8は、整流部材のさらに他の変形例を示す模式図、図9は、図8に示す整流部材の動きを示す模式図である。
【0051】
図7に示した他の変形例に係る整流部材9aは、シールドリング7上に抵抗部材61を設け、側板9aの下を通過する処理ガスの経路を屈曲したラビリンス構造となるようにした。
【0052】
これに対して、図8に示すさらに他の変形例に係る整流部材9aは、シールドリング7上にガラス基板Gの搬入出を妨げない高さの抵抗部材62を設け、図9に示すように、側板9aがシールドリング7側に回動してきた際、側板9aの下部が抵抗部材62の上部に載るようにしている。
【0053】
このように、側板9aが回動した際に、側板9aの下部を抵抗部材62の上部に載せるようにすることで、側板9aの下を処理ガスが通過しないようにすることもできる。
【0054】
また、図8に示す変形例においては、側板9aの下部に、抵抗部材62に合致するような切り欠き部63を設け、この切り欠き部63の上面64が、抵抗部材62の上面に載るように構成されている。また、切り欠き部63の側面65、及び側板9aの最下面66については、抵抗部材62の側面、及びシールドリング7の上面の間にクリアランス67が設定されるような寸法に設定され、側面65及び最下面66が、抵抗部材62の側面、及びシールドリング7の上面と接触しないように構成されている。これにより、側板9aと抵抗部材62との接触を最小限度に抑制し、無用なパーティクルが発生しないようにしている。
【0055】
さらに、回転軸47を回転させる回転モータ48(図4参照)にはバックラッシがあるのが通常である。側板9aの下部を抵抗部材62の上部に接触させる際に、このバックラッシを利用して接触させるようにすると、ダイレクトに接触させる場合に比較して、側板9aの下部を抵抗部材62の上部にゆっくりとソフトに接触させることができる。
【0056】
このように、側板9aの下部と抵抗部材62とが接触することで発生するパーティクルについては、側板9aの下部を抵抗部材62の上部に接触させる際に、回転モータ48のバックラッシを利用することで、処理に影響のない量まで減らすことが可能である。
【0057】
また、整流部材9の側板9aを回動する際の駆動系側の真空シールをより確実にする観点からは、図10に示すように、チャンバ2の回転軸47に対応する部分にボックス70を設け、そこにラックアンドピニオン機構71を設け、シリンダ73のピストン74をベローズ72を介してボックス70に挿入し、シリンダ73によりピストン74を直進させることにより、ラックアンドピニオン機構71を介して回転軸47を回転させるようにすることが好ましい。ラックアンドピニオン機構71は、ピストン74の先端に取り付けられたラック75と、回転軸47に取り付けられ、ラック75に噛合するピニオン76と、ラック75の背面側を押さえる受けベアリング77とを有する。なお、参照符号78はカップリング、79はベアリングである。このように、ラックアンドピニオン機構71を用いることにより、駆動系側の真空シールをベローズ72で行うことができるので、より確実に真空シールを行うことができる。
【0058】
図11は、整流部材の側板を回動させるための駆動系の他の例を示す図である。
【0059】
側板9aを回動する際の駆動系側の真空シールをより確実にする観点からは、図11に示すように、回転ベローズ機構80を利用することもできる。
【0060】
回転ベローズ機構80においては、回転軸47が、例えば、チャンバ2の外側(大気側)において、所定の角度θに曲げられている。回転軸47のチャンバ2の内側(真空側)から外側(大気側)へと外壁を介して通過する直線部は、チャンバ2の外側(大気側)に設けられ、回転軸47をベアリング81により回転可能に保持するフランジ部材82によって保持されている。
【0061】
さらに、回転軸47のチャンバの外側(大気側)の先端は、ベアリング83により回転可能に保持する回転軸保持部材84によって保持されている。また、回転軸47の角度θに曲げられた屈曲部85は、フランジ部材82と回転軸保持部材84とにそれぞれ接続されたベローズ86により囲まれている。ベローズ86は、回転軸47の曲りに合わせて撓む。
【0062】
フランジ部材82には、保持部材84、及びベローズ86を収容する、例えば、筒状のケーシング部材87が取り付けられている。さらに、ケーシング部材87は、回転モータ48の回転軸88をベアリング89により回転可能に保持する。回転軸88の回転中心は、回転軸47の直線部における回転中心に合致する。回転軸88のケーシング部材87の内部における先端には、ハンドル部材90が設けられている。ハンドル部材90は、回転軸保持部材84を、回転軸88の回転中心から偏心した位置に上記角度θ傾いた状態で、かつ、ベアリング91により回転可能に保持する。
【0063】
回転モータ48は回転軸88を回転させる。回転軸88が回転すると、ハンドル部材90は、回転軸88の回転中心から偏心した位置に保持されている回転軸保持部材84を、首振り回転させる。回転軸47の先端は、回転軸保持部材84に角度θ傾けられて保持されているので、回転軸47は、回転軸保持部材84の首振り回転に合わせて回転する。ベローズ86は、保持部材84の首振り回転に合わせて、撓んでいる部分を回転軸47の直線部における回転中心を中心にして移動させる。
【0064】
このようにして、回転モータ48は回転軸47を回転させる。
【0065】
このような回転ベローズ機構80を用いても、チャンバ2の内側(真空側)と外側(大気側)との真空シールを、ベローズ86を用いて行うことができるので、図10に示したラックアンドピニオン機構71と同様に、より確実に真空シールを行うことができる。
【0066】
さらに、整流部材9の側板9aはチャンバ2の壁部側へ回動するため、整流部材9の高さは整流部材9の側板9aとチャンバ2の壁部との距離により制限される。すなわち、側板9aとチャンバ2の壁部との距離が小さい場合には、整流部材9の高さを十分にとることができない。
【0067】
そのような場合には、図12の(a)に示すように、側板9aを上部材9dおよび下部材9eに上下に2分割し、これらを折りたたみ可能に連結し、側板9aを外側の退避位置に回動される際に、図12の(b)に示すように、上部材9dを下部材9eに対して回動して折りたたむことにより、側板9aの退避位置でのチャンバ壁部方向の長さを小さくすることができる。なお、側板9aを3以上に分割して折りたたみ可能にしてもよい。
【0068】
また、図13の(a)に示すように、側板9aを下側の基部9gと基部9gに対してスライド可能に設けられた上側のスライド部9fとに分割し、側板9aを外側の退避位置に回動する際に、図13の(b)に示すように、スライド部9fを基部9gに対してスライドさせることにより、側板9aの退避位置でのチャンバ壁部方向の長さを小さくすることができる。なお、側板9aを3以上に分割してスライド可能にしてもよい。
【0069】
さらに、図14に示すように、側板9bの側板9aが密着する端面9hを斜面とし、端面9hの下部に誘導斜面9iを形成し、側板9aの内側面9jの下部に誘導斜面9iに対応する切り欠き面9kを設け、側板9aを退避位置から処理位置に戻す際に、図14の(a)に示すように、駆動機構により、側板9aをその切り欠き面9kが誘導斜面9iにかかる位置まで回動させ、側板9bの端面9hと側板9aの内面9jとの間に隙間がある状態で駆動機構の伝達を切り、図14の(b)に示すように、側板9aの切り欠き面9kが誘導斜面9iにガイドされて側板9aが自重で側板9bに密着するようにしてもよい。これにより、パーティクルの発生を抑制しつつ側板9bと側板9aとを密着させることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、整流部材9の側板9aの回動は、ゲートバルブ32の駆動機構と別の駆動機構により行ったが、ゲートバルブ32の駆動機構の動力を機械的伝達機構を介して利用することもできる。また、本発明をエッチング装置に適用したが、エッチング処理に限らず、成膜等の他のプラズマ処理に適用可能である。また、上記実施形態では、整流部材の基板搬入出口側の側板を外側へ退避させる構成としたが、これに限らず、下側に退避させる等、他の退避構造であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では整流部材を4つの側板で構成し、基板搬入出口側の側板を可動部材として機能させたが、これに限るものではない。
【0072】
また、上記実施形態では、基板としてFPD用ガラス基板を用いた例を示したが、これに限定されず半導体ウエハ等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1;基板処理装置
2;チャンバ
3;載置台
5;基材
6;静電チャック
7;シールドリング
9;整流部材
9a;側壁
14;高周波電源
20;シャワーヘッド
28;処理ガス供給源
30;排気装置
33;覗き窓
41;セラミックス溶射皮膜
42;電極
44;直流電源
45;連結部材
47;回転軸
48;回転モータ
50;制御部
G;ガラス基板
62;抵抗部材
63:切り欠き部
67;クリアランス
80;回転ベローズ機構
82;フランジ部材
84;回転軸保持部材
85;回転軸47の屈曲部
86;ベローズ
88;回転軸
90;ハンドル部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器の側壁に形成された基板を搬入出する基板搬入出部と、
前記処理容器内で基板を載置する載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給機構と、
前記処理容器内で処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成機構と、
前記処理容器内を排気する排気機構と、
前記載置台上に前記載置台上の基板を囲繞するように設けられた整流部材と
を具備し、
前記載置台上の基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置であって、
前記整流部材は、少なくとも前記基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有し、
前記整流部材は、4つの側板からなる角筒状をなし、これら側板のうち前記基板搬入出部に対応する位置にある側板が前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能な可動部材として機能し、
前記可動部材として機能する側板は、回転軸を回転させることにより、処理の際の処理位置と前記退避位置との間で回動するように構成され、
前記回転軸と前記可動部材として機能する側板とが連結部材で結合され、前記連結部材の回転により前記可動部材として機能する側板を回動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板搬入出部に対応する位置にある側板と対向する側板も退避可能な可動部材として機能することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記可動部材として機能する側板は、水平方向に延びる回転軸を回転させることにより、垂直方向に回動可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板に密着することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板との間に隙間が形成され、処理ガスが前記隙間を通過する経路は屈曲したラビリンス構造をとるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台と密着していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台との間に隙間が形成され、前記載置台における前記可動部材として機能する側板の近傍位置に、その側板の幅方向に沿って基板の搬入出を妨げない高さの抵抗部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらが折りたたみ可能に連結され、退避位置に回動される際に折りたたまれることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらがスライド可能に連結され、退避位置に回動される際に分割片がスライドして重ねられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記可動部材として機能する側板は、前記退避位置から前記処理位置に回動される際に、隣接する側板との間に隙間が形成された状態まで駆動機構により駆動させ、その後自重により前記隣接する側板との間が密着されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、および請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記回転軸は、シール部材を介して前記処理容器の外側に延び、前記処理容器の外側に設けられた回転モータにより回転されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記シール部材は、Oリングシールまたはスプリング荷重式シールであることを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記回転軸は、前記処理容器の外側にベローズを介して設けられたシリンダ機構の駆動により、ラックアンドピニオン機構を介して回転されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板搬入出部は、前記処理容器に設けられた基板搬入出口と、該基板搬入口を開閉するゲートバルブとを有し、
前記ゲートバルブの開放と、前記可動部材の退避位置への移動とを同期して実行させる制御部をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器の側壁に形成された基板を搬入出する基板搬入出部と、
前記処理容器内で基板を載置する載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給機構と、
前記処理容器内で処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成機構と、
前記処理容器内を排気する排気機構と、
前記載置台上に前記載置台上の基板を囲繞するように設けられた整流部材と
を具備し、
前記載置台上の基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置であって、
前記整流部材は、少なくとも前記基板搬入出部に対応する位置に、前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能に設けられた可動部材を有し、
前記整流部材は、4つの側板からなる角筒状をなし、これら側板のうち前記基板搬入出部に対応する位置にある側板が前記載置台に対する基板の搬入出が可能なように退避位置に移動可能な可動部材として機能し、
前記可動部材として機能する側板は、回転軸を回転させることにより、処理の際の処理位置と前記退避位置との間で回動するように構成され、
前記回転軸と前記可動部材として機能する側板とが連結部材で結合され、前記連結部材の回転により前記可動部材として機能する側板を回動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板搬入出部に対応する位置にある側板と対向する側板も退避可能な可動部材として機能することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記可動部材として機能する側板は、水平方向に延びる回転軸を回転させることにより、垂直方向に回動可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板に密着することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において隣接する側板との間に隙間が形成され、処理ガスが前記隙間を通過する経路は屈曲したラビリンス構造をとるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台と密着していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記可動部材として機能する側板は、前記処理位置において前記載置台との間に隙間が形成され、前記載置台における前記可動部材として機能する側板の近傍位置に、その側板の幅方向に沿って基板の搬入出を妨げない高さの抵抗部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらが折りたたみ可能に連結され、退避位置に回動される際に折りたたまれることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記可動部材として機能する側板は、上下方向に複数に分割され、これらがスライド可能に連結され、退避位置に回動される際に分割片がスライドして重ねられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記可動部材として機能する側板は、前記退避位置から前記処理位置に回動される際に、隣接する側板との間に隙間が形成された状態まで駆動機構により駆動させ、その後自重により前記隣接する側板との間が密着されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、および請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記回転軸は、シール部材を介して前記処理容器の外側に延び、前記処理容器の外側に設けられた回転モータにより回転されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記シール部材は、Oリングシールまたはスプリング荷重式シールであることを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記回転軸は、前記処理容器の外側にベローズを介して設けられたシリンダ機構の駆動により、ラックアンドピニオン機構を介して回転されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板搬入出部は、前記処理容器に設けられた基板搬入出口と、該基板搬入口を開閉するゲートバルブとを有し、
前記ゲートバルブの開放と、前記可動部材の退避位置への移動とを同期して実行させる制御部をさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−238911(P2012−238911A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190890(P2012−190890)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2008−275491(P2008−275491)の分割
【原出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【分割の表示】特願2008−275491(P2008−275491)の分割
【原出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]