説明

基板処理装置

【課題】累積膜厚値等の累積項目について閾値を超えた場合の運用形態を選択可能にすることにより、予めトラブル発生時の動作を指定することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】本願発明の基板処理装置は、少なくともパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する表示部と、該表示部等を介して入力された指示データや各種レシピや各種パラメータをファイルとして格納する記憶部と、各種レシピ作成時における各種パラメータの設定値を入力する入力部とを少なくとも備え、更に、前記表示部は、所定の構成部品毎に、各部品が実行される回数又は時間と、これら回数又は時間に対応した閾値と、及び該閾値に到達した後に実行される所定の動作を設定する設定画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理の一種である半導体製造装置の累積膜厚等の累積値の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の累積膜厚監視機能は、累積膜厚値が閾値を超えた場合にアラームを表示するだけだったため、オペレータがアラームに気づかない場合があった。このため、プロセスに影響がある累積項目の場合に生産(基板処理)を続けてしまうと、不良製品を作り歩留まりが低下する場合があった。
【0003】
従来から装置を構成する部品毎に累積値を管理することは行われている。例えば、特許文献1参照。この特許文献1によれば、ボートや反応管の動作回数や動作時間と予め設定した回数及び時間とを比較した画面を表示して、部品の保守管理を行うことが記載されている。
【0004】
従来から処理室に累積した膜厚を管理することは行われている。例えば、特許文献2参照。この特許文献1によれば、複数の処理室のうち1つの処理室でも累積膜厚が、閾値に到達した場合にクリーニングレシピを実行することにより、累積膜厚の管理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3300816号公報
【特許文献2】特許第3854157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板処理装置の一種である半導体製造装置で、アラーム又はインターロックなどのトラブルが発生した際に、アラーム又はインターロックなどを表示するだけでは、オペレータが気付かず又は装置故障ではないため、誤って継続して運用しまうことがあった。そして、基板処理装置での処理が終了し、基板処理の品質チェックの際に、不良製品となってしまうおそれがあった。
【0007】
本発明では、累積膜厚値等の累積項目について閾値を超えた場合の運用形態を選択可能にすることにより、予めトラブル発生時の動作を指定することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、少なくともパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する表示部と、該表示部等を介して入力された指示データや各種レシピや各種パラメータをファイルとして格納する記憶部と、各種レシピ作成時における各種パラメータの設定値を入力する入力部とを少なくとも備え、前記表示部は、所定の構成部品毎に、各部品が実行される回数又は時間と、これら回数又は時間に対応した閾値と、及び該閾値に到達した後に実行される所定の動作を設定する設定画面を表示する基板処理装置にある。
【発明の効果】
【0009】
プロセスに影響がある累積値が閾値を超えた際の運用形態を選択できるようになったことにより、基板処理装置の故障がないことで判断を誤らずに処理を継続することなく不良製品を作りこまないようになり、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の横断図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の縦断図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる半導体製造装置におけるコントローラ構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる累積閾値設定画面を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、基板処理装置10の概略横断図であり、図2は、基板処理装置10の概略横断図である。
【0012】
基板処理装置10は、第一の搬送機構(大気搬送機構)としてのEFEM(Equipment Front End Module)20と、少なくとも圧力制御される予備室としてのロードロック室42a、42bを備えるロードロック機構22と、第二の搬送機構(真空搬送機構)24と、例えば、ウェハ18などの基板をアッシング処理するプラズマ処理室68a、68bを備えるプロセス機構26とを備えている。
【0013】
EFEM20は、ロードポート32a、32b及び第一の搬送部である大気搬送ロボット34を備える。FOUP(Front Opening Unified Pod)(以下、ポッドと称する)19が載置される。
大気搬送ロボット34は、それぞれのロードポート32a、32bに載置されたポッド19から、ロードロックチャンバ22へウェハ18を搬送する。例えば、ポッド19それぞれに25枚のウェハ18が搭載され、大気搬送ロボット34のツィーザ38がポッド19内から5枚のウェハ18を抜き出し、大気搬送ロボット34は、Θ軸36方向に回転してからロードロックチャンバ22へこの5枚のウェハ18を搬送するよう構成されている。
【0014】
図1に示されているように、ロードロックチャンバ22は、ロードロック室42a、42bと、ポッド19から搬送されたウェハ18をロードロック室42a、42b内でそれぞれ保持するバッファ支持台44a、44bを備えている。バッファ支持台44a、44bは、その下部にインデックスアセンブリ48a、48bを備え、このインデックスアセンブリ48a、48bにより、Θ軸50a、50b方向に回転し、Z軸52方向へ上下動する。よって、バッファ支持台44a、44bにZ軸(縦)方向に一定間隔を隔てて収容された25枚のウェハは、それぞれ第二の搬送機構24へ搬送される。バッファ支持台44a、44bは、例えば、炭化珪素やアルミで構成しており、上部板と下部板とを接続する例えば3つの支柱を有する。支柱の長手方向内側には例えば25個の載置部が平行に形成されている。
【0015】
第二の搬送機構24は、第二の搬送室(真空搬送室)として用いられるトランスファーチャンバ54を備えており、このトランスファーチャンバ54に、ゲートバルブ56a、56bを介して、ロードロック室42a、42bが取り付けられている。また、ゲートバルブ74a、74bを介して、プラズマ処理室68a、68bが取り付けられている。トランスファーチャンバ54には第二の搬送部としての真空アームロボット58が設けられている。真空アームロボット58はフィンガー60を備えている。真空アームロボット58は、Θ軸62方向に回転し、フィンガー60をY軸64方向に延伸するように構成されている。
【0016】
したがって、トランスファーチャンバ54に設置された真空アームロボット58はロードロック室42a、42bにストックされた未処理ウェハをプラズマ処理室68a、68bへ移載することができるとともに、処理済ウェハをプラズマ処理室68a、68bからロードロック室42a、42bに移載することができる。
【0017】
プロセス機構26は、プラズマ処理室68a、68bを備える。プラズマ処理室68a、68bにはそれぞれウェハ18を処理する処理室70a、70bと、この処理室70a、70bの上方に配置されプラズマを発生するプラズマ発生室72a、72bが設けられている。
【0018】
処理室70a、70bにはウェハ18を載置するサセプタ76a、76bを備え、このサセプタ76a、76bには、これらそれぞれを貫通するリフターピン78a、78bが設けられている。リフターピン78a、78bはそれぞれ、Z軸80方向に上下する。
【0019】
プラズマ発生室72a、72bはそれぞれ、反応容器82a、82bを備え、反応容器82a、82bの外部には、高周波コイル84a、84bが設けられている。
【0020】
このようにプラズマ処理室68a、68bは、高周波コイル84a、84bに高周波電力を印加して、ガス導入口86a、86bから導入されたアッシング処理用の反応ガスをプラズマ化し、そのプラズマを利用してサセプタ76a、76bに載置されたウェハ18上をアッシング(プラズマ処理)する構成となっている。
【0021】
図3は、本発明に於けるコントローラ構成を示す図である。本発明に於ける装置コントローラとしてのコントローラシステム700は、操作部701と、メインコントローラとしての統括制御部702と、第二搬送装置としての大気ロボットコントローラ704と、第一搬送装置としての外側移載装置(真空ロボット)30を制御する真空ロボットコントローラ705とを制御する搬送制御部としてのメカコントローラ706がそれぞれLAN等の通信回線を介して接続されている。
【0022】
コントローラシステム700の構成について詳述する。操作部701は、モニタ表示、ロギングデータやアラームなどの解析、及びパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する図示しない表示部と、該表示部等を介して入力された指示データや各種レシピや各種パラメータをファイルとして格納する図示しない記憶部と、システム制御コマンドなどのコマンドや各種レシピ作成時における各種パラメータの設定値を入力する図示しない入力部とを少なくとも備えている。統括制御部702は、コントローラシステム700全体の運用制御を行う。また、メカコントローラ706は、真空ロボットコントローラ705、大気ロボットコントローラ704等を制御し、真空排気系制御、搬送系制御をそれぞれ行う。サブコントローラ703は、各プロセスチャンバPCとしてのプロセス制御(温度、カ゛ス、圧力、RF等)を行う。また、サブコントローラ703は、統括制御部702の直下の通信回線であるセンサバスを介してウェハ検知センサからの信号を取り込みウェハ情報を確認しながら各ロボット(真空ロボットや大気ロボット)と連動して、搬送制御を実施する。サブコントローラ703は、前記統括制御部702の命令(指示)に対して、MFCやAPC(オートプレッシャーコントローラ)やRF発信機や温調(温度調節器)などに数値データを出力したり、反対に、数値を受信し、前記統括制御コントローラ702に送信する。また、サブコントローラ703は、命令(指示)されたバルブパターンに対してバルブインターロックを実行し、また、前記バルブパターンに対してハードインターロックを検出し適切な処理を実施する。尚、上記表示部、記憶部、入力部は、操作部701と別体であってもよいし、また、メインコントローラ701に対して別体であってもよい。尚、図示しないGEMコントローラと、該GEMコントローラを介して図示しないユーザ(顧客)側のHostコンピュータと接続され、工場内の自動化システムを実現するよう構成される。
【0023】
コントローラシステム700の動作について詳述する。操作部701は、図示しない前記入力部または図示しない前記ホストコンピュータからの指示により、基板を処理する旨の指示を受け付けると、操作部701は、基板を搬送するための搬送レシピや基板を処理するためのプロセスレシピを統括制御部702にダウンロードして、該統括制御部702は、これらのレシピに基づいてサブコントローラ703やメカコントローラ706に対して制御を行う。そして、サブコントローラ703は、前記プロセスレシピに基づいて基板に所定の処理を施し、真空ロボットコントローラ705、大気ロボットコントローラ704は、搬送レシピや上記ウェハ情報に基づいて真空ロボットや大気ロボットを動作させて基板の搬送を行う。
【0024】
図4は、本願の実施の形態における設定画面が表示される操作画面の一例を示す図である。図4に示すように、本願の実施形態における設定画面(累積閾値設定画面)は、該当部位、累積項目、閾値、運用形態の設定項目を有する。また、No.1からNo.5まで表示されているが、設定される数については、特に表示されていないが5つに限定されないのは言うまでもない。設定項目についても同様に適宜設定項目数を増減できるように構成される。保存ボタンを押下すると確定され、図4で設定した内容が図示しない記憶部に格納されるように構成される。
【0025】
ここで、該当部位は、例えば図1の装置構成の場合の選択肢は、装置全体、成膜室1、成膜室2、ロードロック室1、ロードロック室2、真空搬送ロボット、大気搬送ロボット、ゲートバルブ(GV)から選択される。また、ゲートバルブ(GV)は、更に、ゲートバルブ1(GV1)、ゲートバルブ2(GV2)・・・という設定が可能であることはいうまでもない。累積項目は、例えば、ウェハ処理枚数、RF印加時間、運転時間、GV開閉回数、搬送回数から選択される。閾値は、所定の数値が入力できるようになっている。運用形態は、例えば、アラーム表示、レシピ実行、ロット投入拒否、チャンバ切り離しから選択される。これらは、それぞれチェック欄が設けられ、チェックの有無により容易に設定が可能である。更に、選択方式として運用形態についても入力手段により入力するように構成することも本願発明の範囲に含まれるのはいうまでもない。つまり、運用形態が多数例えば10以上になった場合など操作画面上に予め運用形態を表示しておくことが困難な場合でも本願発明は適用できる。尚、レシピ実行の場合は、閾値を超えた場合に実行するレシピを指定する欄(レシピ指定欄)が設けられている。保存ボタンが押下されると、図3の操作部に設定したデータが保存され、同様に図3の統括制御部に設定したデータが転送される。
【0026】
更に、運用形態について詳述する。例えば、アラーム表示が選択されると、閾値を超えた場合にアラーム表示が装置画面に表示される。ロット投入拒否が選択された場合、閾値を超えた際に、新規ロットの投入が拒否される(不可能になる)。チャンバ切離しが選択された場合、閾値を超えたチャンバ(装置全体時をのぞく)が自動運転から切離され、ウェハ処理を行わないようになる。レシピ実行が選択された場合、閾値を超えた場合に指定されたレシピが実行される。
【0027】
自動運転が開始されると、統括制御部は累積値を更新し、累積値が閾値を超えると、累積閾値設定画面で選択した運用形態を実行するよう構成されている。これにより、誤って基板を処理するレシピが実行された後になって、基板処理結果のチェック(品質チェック等)での異常の発生が抑えられる。
【実施例1】
【0028】
例えば、図4において、該当部位として成膜室1、累積項目としてRF印加時間、運用形態としてアラーム表示、チャンバ切離し、レシピ実行が選択され、レシピ指定欄には、成膜室をメンテナンス可能(ヒータ降温、大気開放等)な状態に移行させるレシピが指定される。このような設定された場合、累積値(本実施の場合はRF印加時間)が閾値を越えた場合、アラームが操作部701の表示部に表示され、成膜室1が自動運転から切り離され、指定したレシピが実行され、成膜室1をメンテナンス可能な状態にする。従い、このように設定することにより、RF電源を一定時間使用した際にメンテナンスが必要な場合に、自動的にメンテナンスが実行され、不良製品を作りこむことがないので歩留まりを向上することができる。尚、成膜室2は、そのまま自動運転が実行される。
【実施例2】
【0029】
例えば、図4において、該当部位として成膜室1、累積項目として処理枚数、運用形態としてレシピ実行が選択され、レシピ指定欄には、クリーニングレシピが指定される。このような設定された場合、累積値(本実施の場合は処理枚数)が閾値を越えた場合、成膜室1で指定したクリーニングレシピが実行され、実行後に生産(自動運転)が再開される。従い、このように設定することにより、指定した成膜室(成膜室1)にて一定枚数のウェハを処理した後に、クリーニングレシピが実行されるので、成膜室内に累積した累積膜厚に起因した不良製品を作りこむことがないので歩留まりを向上することができる。尚、成膜室1でクリーニングレシピが実行中でも成膜室2は、そのまま生産(自動運転)が実行される。
【実施例3】
【0030】
例えば、図4において、該当部位として真空搬送ロボット、累積項目として搬送回数、運用形態としてアラーム表示、ロット投入拒否が選択される。このように設定された場合、累積値(本実施の場合は搬送回数)が閾値を越えた場合、アラームが操作部701の表示部に表示され、新規に投入されるロットの開始が拒否される。従い、このように設定することにより、真空搬送ロボットを一定搬送回数使用した際にメンテナンスを行うことができるので、ウェハを搬送する際に障害が発生することがないので装置稼働率を実質的に向上することができる。尚、処理中のロットは、そのまま処理が実行される。
【0031】
上記では基板処理装置の一例として半導体製造装置を示しているが、半導体製造装置に限らず、LCD装置のようなガラス基板を処理する装置であってもよい。また、クラスタ型の基板処理装置について示したがインライン型の基板処理装置にも適用できることは言うまでもない。
【0032】
<本発明の好ましい態様>
以下に本発明の好ましい態様について付記する。
【0033】
本発明の第1の態様は、装置を構成する所定の部品毎に、所定の累積項目と、該累積項目に対応した閾値と、及び該閾値に到達した後に実行される所定の動作を設定する設定手段を設けることである。
【0034】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様において、前記所定の部品は、装置全体、成膜室1、成膜室2、ロードロック室1、ロードロック室2、真空搬送ロボット、大気搬送ロボット、ゲートバルブ(GV)等から選択されることにある。
【0035】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様において、前記所定の累積項目は、装置を構成する各部品が実行される回数又は時間である。
【0036】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様において、前記所定の累積項目又は閾値は、数値である。
【0037】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様において、前記所定の動作は、アラーム表示、レシピ実行、ロット投入拒否、チャンバ切り離しから選択される。


【符号の説明】
【0038】
10
基板処理装置(アッシング装置)
700 コントローラシステム(装置コントローラ)
702 上位コントローラ(メインコントローラ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともパラメータ編集などを行うための操作画面を表示する表示部と、該表示部等を介して入力された指示データや各種レシピや各種パラメータをファイルとして格納する記憶部と、各種レシピ作成時における各種パラメータの設定値を入力する入力部とを少なくとも備え、前記表示部は、所定の構成部品毎に、各部品が実行される回数又は時間と、これら回数又は時間に対応した閾値と、及び該閾値に到達した後に実行される所定の動作を設定する設定画面を表示する基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−79922(P2012−79922A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223711(P2010−223711)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】