説明

基板搬送装置

【課題】タッチパネル電極層を下面にしてカラーフィルタ層を形成する基板を搬送し、複数の装置間での基板の受渡しをロボットハンドによって行う場合に、基板搬送面であるタッチパネル電極層の最表面である有機膜面の傷や汚れの発生を抑制するとともに、基板の受け渡しの位置ずれがなく安定して受け渡すことを可能とするリフトピンを備えた基板搬送装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、載置された基板を搬送するコロと、基板を前記コロの上方に持ち上げるリフトピンと、前記リフトピンが設けられた支持台を昇降する手段と、前記リフトピンの先端部に設けられ流体吹き出し孔と流体吸い込み孔を有する基板支持部と、前記流体吹き出し孔に流体を送り込む手段と、前記流体吸い込み孔から流体を吸い込む手段と、を備え、基板をリフトピン先端部に接することなく持ち上げることを特徴とする基板搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置や半導体関連装置に使用されるガラス基板(以下、基板)の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の例として、図1(a)に液晶表示装置に用いられるタッチパネル電極と液晶表示用カラーフィルタとを同一基板で作成したタッチパネル基板の断面を示す。タッチパネル基板100は、基板2の片面にカラーフィルタ層1とタッチパネル電極層10を備えた基板である。
【0003】
図1(b)はカラーフィルタ層1の断面を示す図で、基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成される。
【0004】
図1(c)はタッチパネル電極層10の断面を示す図で、基板2上に透明電極(ITO膜)11、絶縁膜12、透明電極(ジャンパーと呼ばれる金属電極:ITO膜)13、金属電極14、そして最表面には保護膜15が有機膜として形成される。
【0005】
上記タッチパネル基板100を作成する場合には、例えばタッチパネル電極層10を作製した後、カラーフィルタ層1を形成する。
【0006】
静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一基板の表裏に形成する場合には、タッチパネル電極層10を形成した後、タッチパネル面を下面にして以下に示すカラーフィルタ層1を形成する。
【0007】
カラーフィルタ層1の製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法を用いることが知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、基板上にBMを形成処理する工程(C1)、基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0008】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程間(C7)ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色フォトレジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0009】
上記カラーフィルタ層の製造工程では、処理工程内の各処理装置内や処理装置間で搬送装置が用いられている。搬送装置による基板の搬送方法としては図3(a)に示される搬送コロ21上に基板100を乗せ、回転させることにより矢印22の方向に搬送するコロ方式や、図3(b)に示されるエアー23により基板100を浮かせガイド等で基板を支持しながら矢印22の方向に搬送するエアー浮上方式が多く用いられている。特に、処理
装置間で用いる搬送方法としては、安価で制御しやすいことから図3(a)に示されるコロ方式が多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−330383号公報
【特許文献2】特開平9−278179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一基板の表裏に形成する場合には、タッチパネル電極層10を形成した後、タッチパネル電極層10を下面にしてカラーフィルタ層1を形成する。その際、上記コロ搬送された基板を次の処理工程に受け渡す際には、一般的にはロボットハンドで受け取って行われる。
【0012】
図4は基板を受け渡す状況を説明するための断面で示す図で、搬送コロ32によって搬送される基板100(図4(a))は、昇降台34に設けられリフトピン33によって持ち上げられ(図4(b))、基板100と搬送コロ間にロボットハンド35が入るクリアランスを確保し、その間にロボットハンド35が基板100を受け取りに入り(図4(c))、ロボットハンド35に基板100を載せて抜き取り(図4(d))、基板100を受け渡す機構が採用されている。しかしながら、リフトピン33は搬送コロ32間をリフトアップされ、更にロボットハンド35と干渉しないようにその断面積を小さくする必要があることから、基板100がリフトピン33と接触する面積は小さいため、リフトピン33にかかる基板100の荷重や摩擦及び突き上げ時の衝撃によって、裏面の最表面であるタッチパネル上の保護膜(有機膜)15上に傷、汚れが発生してしまい基板の品質が低下してしまう問題がある。
【0013】
上記問題点を解決するために、リフトピンの先端からエアー等の流体を吹き出し基板を浮上させる方法が提案されているが、基板に外力が加わると、容易に基板が位置ずれしてしまい、その結果、ロボットハンドの所定の位置に基板が載置されなかったり、受け渡し位置がずれてしまうといった問題があった。
【0014】
そこで本発明は、タッチパネル電極層を下面にしてカラーフィルタ層を形成する基板を搬送し、複数の装置間での基板の受渡しをロボットハンドによって行う場合に、基板搬送面であるタッチパネル電極層の最表面である有機膜面の傷や汚れの発生を抑制するとともに、基板の受け渡しの位置ずれがなく安定して受け渡すことを可能とするリフトピンを備えた基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に係る発明は、搬送された基板をロボットハンドによって複数の装置間で受渡しする場合に、水平姿勢の基板を持ち上げて搬送用コロと基板の間にクリアランスを設けて、そのクリアランスにロボットハンドを差し込めるようにするリフトピンを有する基板搬送装置であって、少なくとも、
載置された基板を搬送するコロと、
基板を前記コロの上方に持ち上げるリフトピンと、
前記リフトピンが設けられた支持台を昇降する手段と、
前記リフトピンの先端部に設けられ流体吹き出し孔と流体吸い込み孔を有する基板支持部と、
前記流体吹き出し孔に流体を送り込む手段と、
前記流体吸い込み孔から流体を吸い込む手段と、を備え、
基板をリフトピン先端部に接することなく持ち上げることを特徴とする基板搬送装置である。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明は、前記流体はエアーであることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、カラーフィルタ層とタッチパネル電極層を同じ基板の表裏に形成する場合に前記基板を搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る基板搬送装置によればカラーフィルタ層の製造時における基板の受け渡しの際に発生するタッチパネル電極面の傷や汚れを抑制し、更に基板の受け渡し位置のずれがなく安定して受け渡すことを可能とする基板搬送装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】タッチパネル基板の一例を断面で示す図。(a)はタッチパネル基板の断面を示す図。(b)はカラーフィルタ層の断面を示す図。(c)はタッチパネル電極層の断面を示す図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ層の製造工程を示すフロー図。
【図3】基板の搬送方法を示す図。(a)はコロ方式を示す図。(b)はエアー浮上方式を示す図。
【図4】基板を受け渡す状況を説明するための図で断面で示す図。(a)は搬送コロによって基板が搬送される状態を示す図。(b)は基板がリフトピンによって持ち上げられることを示す図。(c)は基板と搬送コロ間のクリアランスにロボットハンドが挿入されることを示す図。(d)はロボットハンドに基板が載せられ受け渡されることを示す図。
【図5】本発明に係る基板搬送装置の概略を示す図。
【図6】本発明に係る基板搬送装置によって基板を装置間で受渡しする場合の基板搬送装置の動作を説明するための図。(a)は搬送コロによって基板が搬送される状態を示す図。(b)は基板がリフトピンによって持ち上げられことを示す図。(c)は基板と搬送コロ間のクリアランスにロボットハンドが受け取りに入ることを示す図。(d)はロボットハンドに基板が載せられ受け渡されることを示す図。
【図7】本発明に係る基板搬送装置の基板支持部を示す図。(a)は基板支持部の斜視図。(b)は、図7(a)で示される線分A−Bの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る基板搬送装置を実施するための形態を説明する。
【0021】
図5は本発明に係る基板搬送装置の概略を示す図である。基板搬送装置は基板100を矢印36の方向に搬送する搬送コロ42と、コロ搬送された基板を図示しないロボットハンドによって複数の装置間で受渡しする場合に、水平姿勢の基板を持ち上げるリフトピン43と、リフトピン43が設けられた支持台44を昇降する手段である昇降装置45と、リフトピン43の先端部に設けられ流体吹き出し孔と流体吸い込み孔を有する基板支持部
43aと、流体吹き出し孔に流体を送り込む手段である流体吹き出し装置50と、流体吸い込み孔から流体を吸い込む手段である流体吸い込み装置60と、を備えている。
【0022】
図6は本発明に係る基板搬送装置によって基板100を装置間で受渡しする場合の基板搬送装置の動作を説明するための図である。搬送コロ42によって搬送される基板100は(図6(a))、装置間で受渡しされる場合、リフトピン43によって持ち上げられる。リフトピン43は、図示しない支持台昇降手段によって昇降する支持台44に設けられており、支持台44の上昇によってリフトピン43は基板100を持ち上げる。基板100が持ち上げられることによって搬送コロ42と基板100との間にクリアランスが確保される(図6(b))。確保されたクリアランスには、ロボットハンド35が挿入され基板100が受け取られる(図6(c))。基板100はロボットハンド35に載置され、抜き取られ、次の処理装置に渡される(図6(d))。
【0023】
図6(b)の符号48で示されるように基板100はリフトピン43の先端部に備えられている基板支持部43aと接触せずに持ち上げられる。
【0024】
図7に基板支持部43aを詳細に示す。図7(a)は基板支持部43aの斜視図で、流体吹き出し孔46aと流体吸い込み孔47aが設けられている。図7(b)は、図7(a)で示される線分A−Bの断面を示す図である。流体吹き出し孔46aは図6に示す流路46を介して流体吹き出し装置50と繋がっており、また流体吸い込み孔47aは図6に示す流路47を介して流体吸い込み装置60に繋がっている。この場合の流体としてはエアーが望ましく、更には、クリーンドライ処理されたクリーンドライエアーが望ましい。
【0025】
基板100を持ち上げる際には、流体吹き出し孔46aから流体を吹き出しことによって基板100を浮上させることが出来る。この時、同時に流体吸い込み孔47aから流体を吸い込むことによって基板100を位置ずれを起こすことなく浮上させることが出来る。この時、エアーの吸い込み流量と吹き出し流量のバランスをとる必要がある。
【0026】
上記本発明の実施形態としてカラーフィルタ基板を例示したが、本発明による基板搬送装置は基板の装置間での受け渡しが行われる半導体製造工程などの搬送に広く適用することが出来る。
【0027】
以上のように本発明による基板搬送装置によれば、カラーフィルタ層の製造時における基板の受け渡しの際に発生するタッチパネル電極面の傷や汚れを抑制し、更に基板の受け渡し位置のずれがなく安定して受け渡すことが出来る。
【符号の説明】
【0028】
100・・・タッチパネル基板
1・・・カラーフィルタ層
2・・・ガラス基板
3・・・ブラックマトリックス
4−1・・・レッドRの着色画素
4−2・・・グリーンGの着色画素
4−3・・・ブルーBの着色画素
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー
7・・・バーテイカルアライメント
10・・・タッチパネル電極層
11・・・透明電極(ITO膜)
12・・・絶縁膜
13・・・透明電極(ジャンパーと呼ばれる金属電極:ITO膜)
14・・・金属電極
15・・・保護膜
21・・・搬送コロ
22・・・基板の搬送方向を示す矢印
23・・・エアー
32・・・搬送コロ
33・・・リフトピン
34・・・昇降台
35・・・ロボットハンド
36・・・基板を搬送する方向を示す矢印
42・・・搬送コロ
43・・・リフトピン
43a・・・基板支持部
44・・・支持台
45・・・昇降装置
46・・・流路
46a・・・流体吹き出し孔
47・・・流路
47a・・・流体吸い込み孔
48・・・リフトピンと基板とが接触していない破線部で囲まれた部分
50・・・流体吹き出し装置
60・・・流体吸い込み装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された基板をロボットハンドによって複数の装置間で受渡しする場合に、水平姿勢の基板を持ち上げて搬送用コロと基板の間にクリアランスを設けて、そのクリアランスにロボットハンドを差し込めるようにするリフトピンを有する基板搬送装置であって、少なくとも、
載置された基板を搬送するコロと、
基板を前記コロの上方に持ち上げるリフトピンと、
前記リフトピンが設けられた支持台を昇降する手段と、
前記リフトピンの先端部に設けられ流体吹き出し孔と流体吸い込み孔を有する基板支持部と、
前記流体吹き出し孔に流体を送り込む手段と、
前記流体吸い込み孔から流体を吸い込む手段と、を備え、
基板をリフトピン先端部に接することなく持ち上げることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記流体はエアーであることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
カラーフィルタ層とタッチパネル電極層を同じ基板の表裏に形成する場合に前記基板を搬送することを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−94581(P2012−94581A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238459(P2010−238459)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】