説明

基板支持装置、基板測定装置、熱伝導シート取り付け具及び熱伝導シート取り付け方法

【課題】常温より高い温度の基板を支持する際、基板を搭載するテーブルを効果的に冷却し、テーブルの歪を小さくして、基板の表面の高さの変動を抑制する。
【解決手段】上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブル(100,500)と、テーブルの下面に設けられた冷却手段(112,122)と、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔(101,102)と、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、複数の孔の内部に設けられて、テーブルの熱を冷却手段へ伝える複数の熱伝導手段とを備える。テーブルの厚み方向の熱伝導性が向上し、テーブルの上面付近が効果的に冷却されて、テーブルの上面付近の歪が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ装置等のパネル基板の処理、検査又は測定において、基板を支持する基板支持装置、及びそれを用いた基板測定装置に係り、特に常温より高い温度の基板を支持するのに好適な基板支持装置、及びそれを用いた基板測定装置に関する。さらに、本発明は、本発明の基板支持装置において、テーブルの熱を冷却手段へ伝える熱伝導シートを、テーブルに設けた孔に取り付ける熱伝導シート取り付け具及び熱伝導シート取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス駆動方式の液晶ディスプレイ装置は、TFT(Thin Film Transistor)基板とカラーフィルタ基板との間に液晶を封入して製造される。製造工程において、TFT基板又はカラーフィルタ基板の表面には、両基板の間隔を保つためのスペーサ(フォトスペーサ)が形成される。そして、形成されたフォトスペーサは、両基板の間隔を一定にして液晶層の厚さを均一にするため、高さ測定が行われる。
【0003】
フォトスペーサ等の微小突起物の高さを簡単な構成で測定する方法として、ピンホールを用いた共焦点方式がある。共焦点方式は、光学系の焦点位置を移動しながら、白色光を基板の表面へ垂直に照射し、基板の表面からの反射光を集光し、集光した反射光をピンホールを通して受光し、受光した反射光の強度の変化から、基板の表面の微小突起物の高さを検出するものである。ピンホールを通して受光される反射光の強度は、光学系の焦点位置が基板の表面又は微小突起物の上面に合っているときにそれぞれ大きくなるので、反射光の強度が大きくなる光学系の焦点位置から、微小突起物の高さを測定することができる。なお、この様な共焦点方式を用いた高さ測定装置及び高さ測定方法として、特許文献1に記載のものがある。
【特許文献1】特開2007−85809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトスペーサが形成されたTFT基板又はカラーフィルタ基板は、フォトスペーサの高さ測定を行う前に、フォトスペーサを固着させるためのベーキングが行われる。従来、フォトスペーサの高さ測定では、ベーキングにより加熱された基板を基板とほぼ同じ大きさの基板支持用のテーブルに搭載し、タクトタイムを短縮するため、基板をテーブルで冷却しながら測定を行っていた。その際、基板の熱がテーブルへ伝わるに従って、テーブルが熱膨張し、テーブルの歪が大きくなっていく。そのため、共焦点方式で光学系の焦点位置を移動しながらフォトスペーサの高さ測定を行うと、測定中に基板の表面の高さが変動し、正確な測定が行えないという問題があった。一方、基板の表面の高さが変動しなくなるのを待って測定を行うと、タクトタイムが長くなるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、常温より高い温度の基板を支持する際、基板を搭載するテーブルを効果的に冷却し、テーブルの歪を小さくして、基板の表面の高さの変動を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板支持装置は、上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルと、テーブルの下面に設けられた冷却手段と、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔と、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、複数の孔の内部に設けられて、テーブルの熱を冷却手段へ伝える複数の熱伝導手段とを備えたものである。常温より高い温度の基板をテーブルに搭載すると、基板の熱がテーブルに伝わり、基板と接触するテーブルの上面付近の温度が、テーブルの下面付近の温度より高くなる。従来は、テーブルの上面付近の熱が、テーブルの内部でテーブル自身の熱伝導により、テーブルの下面方向へ徐々に伝わっていった。本発明では、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導手段が、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内部に設けられ、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝えるので、テーブルの厚み方向の熱伝導性が向上する。従って、テーブルの上面付近が効果的に冷却されて、テーブルの上面付近の歪が小さくなる。
【0007】
本発明の一実施の形態において、熱伝導手段は、薄板状の熱伝導シートであり、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内壁に取り付けられる。また、他の実施の形態において、熱伝導手段は、円柱状の熱伝導部材であり、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔に埋め込まれる。一般に、基板支持装置の基板を搭載するテーブルには、基板を昇降するリフトピンが通るリフトピン孔が設けられている。熱伝導手段を薄板状の熱伝導シートとし、熱伝導シートをリフトピン孔の内壁に取り付けると、リフトピン孔を利用してテーブルの冷却が行われる。テーブルにリフトピン孔とは別に複数の貫通孔を設ける場合、熱伝導手段は、熱伝導シートに限らず、円柱状の熱伝導部材であってもよい。テーブルにリフトピン孔とは別に複数の貫通孔を設け、熱伝導手段を円柱状の熱伝導部材として貫通孔に埋め込むと、熱伝導手段をテーブルの孔に取り付ける作業が容易になる。
【0008】
薄板状の熱伝導シート又は円柱状の熱伝導部材は、一例として、グラファイトで構成され、薄板状の熱伝導シートの場合は内面に、また円柱状の熱伝導部材の場合は上面に、樹脂性の保護層を有する。グラファイトは熱伝導率が高く、テーブルの熱がテーブルの下面に設けられた冷却手段へ効率良く伝えられる。そして、樹脂性の保護層により、グラファイトから出る炭素の粉が基板に付着するのが防止される。
【0009】
冷却手段は、一例として、内部に冷却水を流し、熱伝導手段から伝えられた熱を冷却水に伝える。冷却水を用いて簡単な構成でテーブルの冷却が行われる。
【0010】
本発明の基板測定装置は、上記の基板支持装置を有するものである。常温より高い温度の基板を上記の基板支持装置により支持するので、基板の表面の高さの変動が抑制され、基板の測定が高精度に行われる。
【0011】
本発明の熱伝導シート取り付け具は、上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内壁に、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝える熱伝導シートを取り付ける熱伝導シート取り付け具であって、半径がテーブルの孔の半径より小さい円柱の側面の一部を有する複数のアームと、複数のアームをそれぞれ円柱の半径方向へ移動させる移動機構とを備え、移動機構により複数のアームの間隔を狭めて、熱伝導シートを複数のアームの側面に装着し、移動機構により複数のアームの間隔を広げて、装着した熱伝導シートを広げるものである。
【0012】
また、本発明の熱伝導シート取り付け方法は、上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内壁に、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝える熱伝導シートを取り付ける熱伝導シート取り付け方法であって、熱伝導シートをテーブルの孔の直径より小さく丸めて上記熱伝導シート取り付け具の複数のアームの側面に装着し、熱伝導シートを装着した複数のアームをテーブルの孔へ挿入し、熱伝導シートを複数のアームにより広げてテーブルの孔の内壁に貼り付けるものである。上記熱伝導シート取り付け具を用いることにより、熱伝導シートをテーブルの孔の内壁に取り付ける作業が容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の基板支持装置によれば、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導手段が、テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内部に設けられ、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝えることにより、テーブルの厚み方向の熱伝導性を向上することができる。従って、テーブルの上面付近を効果的に冷却することができるので、テーブルの上面付近の歪を小さくして、基板の表面の高さの変動を抑制することができる。
【0014】
さらに、熱伝導手段を薄板状の熱伝導シートとし、熱伝導シートをリフトピン孔の内壁に取り付けることにより、リフトピン孔を利用してテーブルの冷却を行うことができる。あるいは、テーブルにリフトピン孔とは別に複数の貫通孔を設け、熱伝導手段を円柱状の熱伝導部材として貫通孔に埋め込むことにより、熱伝導手段をテーブルの孔に容易に取り付けることができる。
【0015】
さらに、熱伝導手段をグラファイトで構成することにより、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ効率良く伝えることができる。そして、樹脂性の保護層を設けることにより、グラファイトから出る炭素の粉が基板に付着するのを防止することができる。
【0016】
さらに、冷却手段の内部に冷却水を流し、熱伝導手段から伝えられた熱を冷却水に伝えることにより、冷却水を用いて簡単な構成でテーブルの冷却を行うことができる。
【0017】
本発明の基板測定装置によれば、常温より高い温度の基板を測定する際、基板の表面の高さの変動を抑制することができるので、基板の測定を高精度に行うことができる。
【0018】
本発明の熱伝導シート取り付け具及び熱伝導シート取り付け方法によれば、熱伝導シートをテーブルの孔の内壁に容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態による基板支持装置を用いた高さ測定装置の上面図である。また、図2は、本発明の一実施の形態による基板支持装置を用いた高さ測定装置の側面図である。図1及び図2は、基板の表面に形成されたフォトスペーサの高さを測定する高さ測定装置の例を示している。高さ測定装置は、基板支持装置10、ベース11、Xガイド12、X移動ベース13、Yガイド14、Y移動ベース15、脚部16、リフトピン17、昇降ベース、及び光学ユニットを含んで構成されている。
【0020】
図1及び図2において、表面に測定対象のフォトスペーサが形成され、ベーキングされて常温より高い温度の基板1が、基板支持装置10に搭載されている。図2において、基板支持装置10は、脚部16によりベース11の上方に固定されている。基板支持装置10は、基板1を搭載するテーブルを備え、基板1の熱が基板支持装置10のテーブルへ伝わることにより、基板1の冷却が行われる。
【0021】
白色光源21及びCCDカメラ28を含む光学ユニットが、Y移動ベース15にZ方向へ移動可能に搭載されている。Y移動ベース15は、図示しないボールねじ等の移動機構により、X移動ベース13上に設置されたYガイド14に沿ってY方向へ移動する。X移動ベース13は、図示しないボールねじ等の移動機構により、ベース11上に設置されたXガイド12に沿ってX方向へ移動する。X移動ベース13のX方向への移動及びY移動ベース15のY方向への移動によって、光学ユニットが基板支持装置10に搭載された基板1の各測定点の上方へ移動する。
【0022】
図3は、光学ユニットの概略構成を示す図である。光学ユニットは、白色光源21、集光レンズ22、ハーフミラー23、対物レンズ24、収束レンズ25、ピンホール26、結像レンズ27、及びCCDカメラ28を含んで構成されている。
【0023】
白色光源21は、例えばメタルハラルドランプから成り、白色光を発生する。集光レンズ22は、白色光源21からの白色光を集光し、ハーフミラー23は、集光レンズ22で集光された白色光を反射する。対物レンズ24は、ハーフミラー23で反射された白色光を収束させ、基板1の表面へ垂直に照射する。
【0024】
対物レンズ24は、基板1の表面からの反射光を集光し、収束レンズ25は、対物レンズ24で集光されハーフミラー23を透過した反射光を収束させる。このとき、対物レンズ24の焦点と収束レンズ25の焦点とは共役の位置にあり、ピンホール26は、収束レンズ25の焦点に位置している。結像レンズ27は、ピンホール26を通過した反射光をCCDカメラ28の受光面に結像させる。
【0025】
対物レンズ24にはピエゾ素子50が取り付けられており、対物レンズ24は、ピエゾ素子50によって、Z方向へ上下に移動する。対物レンズ24のZ方向への移動によって、光学ユニットの焦点位置がZ方向に移動する。光学ユニットの焦点位置をZ方向へ移動しながら、基板1の表面からの反射光をピンホール26を通して受光すると、ピンホール26を通して受光される反射光の強度は、光学ユニットの焦点位置が基板1の表面又はフォトスペーサ2の上面に合っているときにそれぞれ大きくなる。高さ測定装置は、CCDカメラ28の検出信号をディジタル信号に変換して処理し、反射光の強度が大きくなる光学ユニットの焦点位置から、フォトスペーサ2の高さを測定する。この高さ測定装置の動作は、特許文献1(特開2007−85809号公報)に記載のものと同様である。
【0026】
以下、本発明の一実施の形態による基板支持装置について説明する。図4は、本発明の一実施の形態による基板支持装置の斜視図である。また、図5は、本発明の一実施の形態による基板支持装置の上面図である。本実施の形態による基板支持装置10は、テーブル100、リフトピン孔101、リフトピン孔101の内部に取り付けられた熱伝導シート、冷却ブロック112、及び冷却水通路113を含んで構成されている。
【0027】
テーブル100は、アルミニウム等の熱伝導率の高い物質で構成され、上面に常温より高い温度の基板が搭載される。テーブル100には、その厚み方向に、基板を昇降するリフトピンが通る複数のリフトピン孔101が設けられている。なお、本実施の形態ではテーブル100に20個のリフトピン孔101が設けられているが、リフトピン孔101の数はこれに限らず、搭載する基板の大きさに応じて適宜決定される。また、テーブル100の上面には、基板を真空吸着して固定するための吸着孔が設けられているが、図4及び図5ではこれらを省略している。
【0028】
テーブル100の下面には、リフトピン孔101の下の位置に、破線で示す冷却ブロック112が設けられている。冷却ブロック112の中央には、リフトピン孔101へ通じる孔が設けられており、基板を昇降するリフトピン17が、下方から冷却ブロック112の孔及びリフトピン孔101を通れる様になっている(図7(b)参照)。冷却ブロック112には、その内部に冷却水が流れる空間が設けられ、二本の冷却水通路113が接続されている。冷却水は、一方の冷却水通路113から供給され、冷却ブロック112の内部の空間を通って、他方の冷却水通路113へ排出される。
【0029】
図6は、リフトピンの動作を示す図である。リフトピン17の下端は、共通の昇降ベース18に取り付けられている。基板1の搭載を行わないとき、昇降ベース18は下降した位置にあり、図6(a)に示す様に、リフトピン17の先端はリフトピン孔101の内部に位置している。基板1をテーブル100に搭載する際、まず、昇降ベース18を上昇させて、リフトピン17の先端をリフトピン孔101からテープル100の上面側へ突き出す。そして、ロボットハンド等を用い、図6(b)に示す様に、基板1をリフトピン17の先端に載せる。続いて、昇降ベース18を下降させて、図6(c)に示す様に、リフトピン17の先端をリフトピン孔101の内部に戻す。このとき、基板1は、リフトピン17により下降されて、テーブル100に搭載される。基板1をテーブル100から回収する際は、これらと逆の動作を行う。
【0030】
図7(a)はリフトピン孔の上面図、図7(b)は図7(a)のA−A部の断面図である。図7(a),(b)は、リフトピン17の先端がリフトピン孔101の内部に位置した状態を示している。図7(a),(b)に示す様に、リフトピン孔101の内壁には、熱伝導シート110が取り付けられている。熱伝導シート110は、テーブル100を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブル100の熱を冷却ブロック112へ伝える。
【0031】
常温より高い温度の基板をテーブル搭載すると、基板の熱がテーブルに伝わり、基板と接触するテーブルの上面付近の温度が、テーブルの下面付近の温度より高くなる。従来は、テーブルの上面付近の熱が、テーブルの内部でテーブル自身の熱伝導により、テーブルの下面方向へ徐々に伝わっていった。本実施の形態では、テーブル100を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導シート110が、テーブル100の厚み方向に設けられたリフトピン孔101の内部に設けられ、テーブル100の熱をテーブル100の下面に設けられた冷却ブロック112へ伝えるので、テーブル100の厚み方向の熱伝導性が向上する。従って、テーブル100の上面付近が効果的に冷却されて、テーブル100の上面付近の歪が小さくなる。
【0032】
熱伝導シート110は、一例として、グラファイトで構成され、内面に熱伝導シート110より少し大きい形状の樹脂性の保護層111を有する。グラファイトは熱伝導率が高く、テーブル100の熱がテーブルの下面に設けられた冷却ブロック112へ効率良く伝えられる。そして、熱伝導シート110より少し大きい形状の樹脂性の保護層111により、グラファイトから出る炭素の粉が基板に付着するのが防止される。
【0033】
冷却ブロック112は、熱伝導シート110から伝えられた熱を冷却水に伝える。冷却水を用いて簡単な構成でテーブル100の冷却が行われる。
【0034】
以上説明した実施の形態の基板支持装置によれば、テーブル100を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導シート110が、テーブル100の厚み方向に設けられたリフトピン孔101の内部に設けられ、テーブル100の熱をテーブル100の下面に設けられた冷却ブロック112へ伝えることにより、テーブル100の厚み方向の熱伝導性を向上することができる。従って、テーブル100の上面付近を効果的に冷却することができるので、テーブル100の上面付近の歪を小さくして、基板1の表面の高さの変動を抑制することができる。
【0035】
さらに、薄板状の熱伝導シート110を用い、熱伝導シート110をリフトピン孔101の内壁に取り付けることにより、リフトピン孔101を利用してテーブル100の冷却を行うことができる。
【0036】
さらに、熱伝導シート110をグラファイトで構成することにより、テーブル100の熱をテーブルの下面に設けられた冷却ブロック112へ効率良く伝えることができる。そして、樹脂性の保護層111を設けることにより、グラファイトから出る炭素の粉が基板1に付着するのを防止することができる。
【0037】
さらに、冷却ブロック112の内部に冷却水を流し、熱伝導シート110から伝えられた熱を冷却水に伝えることにより、冷却水を用いて簡単な構成でテーブル100の冷却を行うことができる。
【0038】
以下、本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具及び熱伝導シート取り付け方法について説明する。図8(a)は取り付け前の熱伝導シートの形状を示す図、図8(b)は取り付け後の熱伝導シートの形状を示す図である。本実施の形態では、熱伝導シート110をリフトピン孔の内壁に取り付ける前、図8(a)に示す様に、熱伝導シート110を、保護層111を内側にして、リフトピン孔の直径より小さい直径D1に丸める。次に、丸めた熱伝導シート110を、リフトピン孔へ挿入する。そして、リフトピン孔の内部で、図8(b)に示す様に、熱伝導シート110をリフトピン孔の直径と同じ直径D2に広げて、リフトピン孔の内壁に貼り付ける。この様な作業を行うために、本実施の形態では、以下に説明する熱伝導シート取り付け具を使用する。
【0039】
図9は、本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の外観図である。また、 図10(a)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の上面図、図10(b)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の側面図である。熱伝導シート取り付け具30は、具台31、アーム32、スライドガイド33、ガイド受け34、スプリング35、カム36、及びカムフォロアを含んで構成されている。
【0040】
図9及び図10(a),(b)において、具台31の上に、2つのアーム32が搭載されている。アーム32は、図9に示す様に、半径R1がリフトピン孔の半径より小さい円柱の側面の一部を有する。半径R1は、図8(a)に示した熱伝導シート110の丸めた直径D1と、熱伝導シート110及び保護層111の厚さとを考慮して決められる。図9において、アーム32の底部32aにはスライドガイド33が通されており、アーム32は、スライドガイド33に沿って円柱の半径方向へ移動可能と成っている。スライドガイド33の両端は、ガイド受け34によって具台31に取り付けられている。
【0041】
図11(a)は図10(a)のB−B部の断面図、図11(b)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の下面図である。図11(a)に示す様に、アーム32の底部32aの間にはスプリング35が設置されており、アーム32は、スプリング35によって互いの間隔が開く方向へ付勢されている。具台31の下方には、カム36が回転可能に取り付けられている。図11(b)に示す様に、カム36にはカム溝37が設けられており、アーム32の底部32aに取り付けられたカムフォロア38がカム溝37内に挿入されている。
【0042】
図11(b)において、カム36を時計周りに回転すると、カムフォロア38がカム溝37に沿って移動し、アーム32がスプリング35の付勢力に抗して互いの間隔が狭まる方向へ移動する。一方、カム36を反時計周りに回転すると、スプリング35の付勢力により、カムフォロア38がカム溝37に沿って移動して、アーム32が互いの間隔が広がる方向へ移動する。この様に、カム36を回転することによって、アーム32の開閉が行われる。熱伝導シート取り付け具は、アーム32の間隔を狭めて、図8(a)に示した熱伝導シート110をアーム32の側面に装着し、アーム32の間隔を広げて、装着した熱伝導シート110を広げる。
【0043】
図12は、本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け方法を示す図である。まず、図8(a)に示した熱伝導シート110の外面に、熱伝導率の高い粘着剤を塗布する。なお、熱伝導シート110の外面に粘着剤を塗布する代わりに、リフトピン孔101の内壁に粘着剤を塗布してもよい。続いて、図12(a)に示す様に、熱伝導シート取り付け具30のアーム32を閉じて、熱伝導シート110をアーム32の側面に装着する。次に、図12(b)に示す様に、熱伝導シート110を装着したアーム32を、テーブル100のリフトピン孔101へ挿入する。続いて、図12(c)に示す様に、アーム32を開いて熱伝導シート110を広げ、熱伝導シート110をリフトピン孔101の内壁に密着させる。そして、熱伝導シート取り付け具30全体を回転させて、熱伝導シート110の外面の全周を、アーム32によりリフトピン孔101の内壁に押し付ける。熱伝導シート110の外面又はリフトピン孔101の内壁に塗布された粘着剤により、熱伝導シート110がリフトピン孔101の内壁に貼り付けられる。熱伝導シート110の貼り付け後、図12(d)に示す様に、アーム32を閉じて、アーム32をリフトピン孔101から抜く。
【0044】
なお、図9乃至図12に示した実施の形態では、熱伝導シート取り付け具30のアーム32が2本であったが、アームを3本以上にしてもよい。図13は、本発明の他の実施の形態による熱伝導シート取り付け具の外観図である。本実施の形態は、アームを4本にした例である。熱伝導シート取り付け具40は、具台41、アーム42、スライドガイド43、ガイド受け44、スプリング、カム46、及びカムフォロアを含んで構成されている。各構成要素の動作は、図9乃至図12に示した実施の形態と同様である。
【0045】
図9乃至図13に示した熱伝導シート取り付け具及び熱伝導シート取り付け方法によれば、熱伝導シート110をテーブル100のリフトピン孔101の内壁に容易に取り付けることができる。
【0046】
図14は、本発明の他の実施の形態による基板支持装置の斜視図である。また、図15は、本発明の他の実施の形態による基板支持装置の上面図である。本実施の形態による基板支持装置50は、テーブル500、リフトピン孔101、貫通孔102、貫通孔102の内部に取り付けられた熱伝導部材、冷却ブロック122、及び冷却水通路113を含んで構成されている。
【0047】
テーブル500は、アルミニウム等の熱伝導率の高い物質で構成され、上面に常温より高い温度の基板が搭載される。テーブル500には、その厚み方向に、基板を昇降するリフトピンが通る複数のリフトピン孔101が設けられている。さらに、テーブル500には、その厚み方向に、リフトピン孔101とは別に複数の貫通孔102が設けられている。なお、本実施の形態ではテーブル500に16個の貫通孔102が設けられているが、貫通孔102の数はこれに限らず、搭載する基板の大きさに応じて適宜決定される。また、テーブル500の上面には、基板を真空吸着して固定するための吸着孔が設けられているが、図14及び図15ではこれらを省略している。
【0048】
テーブル500の下面には、貫通孔102の下の位置に、破線で示す冷却ブロック122が設けられている。冷却ブロック122には、その内部に冷却水が流れる空間が設けられ、二本の冷却水通路113が接続されている。冷却水は、一方の冷却水通路113から供給され、冷却ブロック122の内部の空間を通って、他方の冷却水通路113へ排出される。
【0049】
図16(a)は貫通孔の上面図、図16(b)は図16(a)のC−C部の断面図である。図16(b)に示す様に、貫通孔102の内部には、熱伝導部材120が埋め込まれている。熱伝導部材120は、テーブル500を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブル500の熱を冷却ブロック122へ伝える。
【0050】
常温より高い温度の基板をテーブル搭載すると、基板の熱がテーブルに伝わり、基板と接触するテーブルの上面付近の温度が、テーブルの下面付近の温度より高くなる。従来は、テーブルの上面付近の熱が、テーブルの内部でテーブル自身の熱伝導により、テーブルの下面方向へ徐々に伝わっていった。本実施の形態では、テーブル500を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導部材120が、テーブル500の厚み方向に設けられた貫通孔102の内部に設けられ、テーブル500の熱をテーブル500の下面に設けられた冷却ブロック122へ伝えるので、テーブル500の厚み方向の熱伝導性が向上する。従って、テーブル500の上面付近が効果的に冷却されて、テーブル500の上面付近の歪が小さくなる。
【0051】
図17は、熱伝導部材の形状を示す図である。熱伝導部材120は、円柱の形状をしている。テーブル500にリフトピン孔101とは別に複数の貫通孔102を設け、円柱状の熱伝導部材120を貫通孔102に埋め込むので、熱伝導部材120を貫通孔102に取り付ける作業が容易になる。
【0052】
熱伝導部材120は、一例として、グラファイトで構成され、上面に樹脂性の保護層121を有する。グラファイトは熱伝導率が高く、テーブル500の熱が効率良くテーブルの下面に設けられた冷却ブロック122へ伝えられる。そして、樹脂性の保護層121により、グラファイトから出る炭素の粉が基板に付着するのが防止される。
【0053】
冷却ブロック122は、熱伝導部材120から伝えられた熱を冷却水に伝える。冷却水を用いて簡単な構成でテーブル500の冷却が行われる。
【0054】
図14乃至図17に示した実施の形態の基板支持装置によれば、テーブル500を構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成された熱伝導部材120が、テーブル500の厚み方向に設けられた貫通孔102の内部に設けられ、テーブル500の熱をテーブル500の下面に設けられた冷却ブロック122へ伝えることにより、テーブル500の厚み方向の熱伝導性を向上することができる。従って、テーブル500の上面付近を効果的に冷却することができるので、テーブル500の上面付近の歪を小さくして、基板1の表面の高さの変動を抑制することができる。
【0055】
さらに、テーブル500にリフトピン孔101とは別に複数の貫通孔102を設け、円柱状の熱伝導部材120を貫通孔102に埋め込むことにより、熱伝導部材120を貫通孔102に容易に取り付けることができる。
【0056】
さらに、熱伝導部材120をグラファイトで構成することにより、テーブル500の熱をテーブルの下面に設けられた冷却ブロック122へ効率良く伝えることができる。そして、樹脂性の保護層121を設けることにより、グラファイトから出る炭素の粉が基板1に付着するのを防止することができる。
【0057】
さらに、冷却ブロック122の内部に冷却水を流し、熱伝導部材120から伝えられた熱を冷却水に伝えることにより、冷却水を用いて簡単な構成でテーブル500の冷却を行うことができる。
【0058】
以上説明した高さ測定装置によれば、常温より高い温度の基板の表面のフォトスペーサの高さを測定する際、基板の表面の高さの変動を抑制することができるので、フォトスペーサの高さ測定を高精度に行うことができる。
【0059】
本発明は、フォトスペーサの高さ測定に限らず、基板の表面の高さの変動が問題となる常温より高い温度の基板の処理、検査又は測定に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態による基板支持装置を用いた高さ測定装置の上面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による基板支持装置を用いた高さ測定装置の側面図である。
【図3】光学ユニットの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態による基板支持装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態による基板支持装置の上面図である。
【図6】リフトピンの動作を示す図である。
【図7】図7(a)はリフトピン孔の上面図、図7(b)は図7(a)のA−A部の断面図である。
【図8】図8(a)は取り付け前の熱伝導シートの形状を示す図、図8(b)は取り付け後の熱伝導シートの形状を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の外観図である。
【図10】図10(a)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の上面図、図10(b)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の側面図である。
【図11】図11(a)は図10(a)のB−B部の断面図、図11(b)は本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け具の下面図である。
【図12】本発明の一実施の形態による熱伝導シート取り付け方法を示す図ある。
【図13】本発明の他の実施の形態による熱伝導シート取り付け具の外観図である。
【図14】本発明の他の実施の形態による基板支持装置の斜視図である。
【図15】本発明の他の実施の形態による基板支持装置の上面図である。
【図16】図16(a)は貫通孔の上面図、図16(b)は図16(a)のC−C部の断面図である。
【図17】熱伝導部材の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 基板
10,50 基板支持装置
11 ベース
12 Xガイド
13 X移動ベース
14 Yガイド
15 Y移動ベース
16 脚部
17 リフトピン
18 昇降ベース
21 白色光源
22 集光レンズ
23 ハーフミラー
24 対物レンズ
25 収束レンズ
26 ピンホール
27 結像レンズ
28 CCDカメラ
30,40 熱伝導シート取り付け具
31,41 具台
32,42 アーム
33,43 スライドガイド
34,44 ガイド受け
35 スプリング
36,46 カム
37 カム溝
38 カムフォロア
100,500 テーブル
101 リフトピン孔
102 貫通孔
110 熱伝導シート
111,121 保護層
112,122 冷却ブロック
113 冷却水通路
120 熱伝導部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルと、
前記テーブルの下面に設けられた冷却手段と、
前記テーブルの厚み方向に設けられた複数の孔と、
前記テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、前記複数の孔の内部に設けられて、前記テーブルの熱を前記冷却手段へ伝える複数の熱伝導手段とを備えたことを特徴とする基板支持装置。
【請求項2】
前記複数の熱伝導手段は、薄板状の熱伝導シートであり、前記複数の孔の内壁に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項3】
前記熱伝導シートは、グラファイトで構成され、内面に樹脂性の保護層を有することを特徴とする請求項2に記載の基板支持装置。
【請求項4】
前記複数の孔は、基板を昇降するリフトピンが通るリフトピン孔であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の基板支持装置。
【請求項5】
前記複数の孔は、基板を昇降するリフトピンが通るリフトピン孔とは別に設けられた貫通孔であり、
前記複数の熱伝導手段は、円柱状の熱伝導部材であり、前記貫通孔に埋め込まれたことを特徴とする請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項6】
前記円柱状の熱伝導部材は、グラファイトで構成され、上面に樹脂性の保護層を有することを特徴とする請求項5に記載の基板支持装置。
【請求項7】
前記冷却手段は、内部に冷却水を流し、前記熱伝導手段から伝えられた熱を冷却水に伝えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の基板支持装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の基板支持装置を有することを特徴とする基板測定装置。
【請求項9】
上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内壁に、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝える熱伝導シートを取り付ける熱伝導シート取り付け具であって、
半径がテーブルの孔の半径より小さい円柱の側面の一部を有する複数のアームと、
前記複数のアームをそれぞれ円柱の半径方向へ移動させる移動機構とを備え、
前記移動機構により前記複数のアームの間隔を狭めて、熱伝導シートを前記複数のアームの側面に装着し、前記移動機構により前記複数のアームの間隔を広げて、装着した熱伝導シートを広げることを特徴とする熱伝導シート取り付け具。
【請求項10】
上面に常温より高い温度の基板を搭載するテーブルの厚み方向に設けられた複数の孔の内壁に、テーブルを構成する物質より熱伝導率の高い物質で構成され、テーブルの熱をテーブルの下面に設けられた冷却手段へ伝える熱伝導シートを取り付ける熱伝導シート取り付け方法であって、
熱伝導シートをテーブルの孔の直径より小さく丸めて請求項8に記載の熱伝導シート取り付け具の複数のアームの側面に装着し、熱伝導シートを装着した複数のアームをテーブルの孔へ挿入し、熱伝導シートを複数のアームにより広げてテーブルの孔の内壁に貼り付けることを特徴とする熱伝導シート取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−200176(P2009−200176A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39250(P2008−39250)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】