説明

堆積量検出装置、および検出システム

【課題】検出誤差が生じる可能性を低減できる堆積量検出装置、および検出システムを提供する。
【解決手段】堆積量検出装置は、内燃機関の排気ガス中に含まれる粒子状物質PMが堆積される第1主面31a、および第1主面31aとは反対側に設けられた第2主面31bを有する絶縁体31と、発熱体32と、第1主面31aとの間の温度を検出する第1温度センサ33と、第2主面31bとの間の温度を検出する第2温度センサ34と、複数段階設けられた温度、および温度に対応付けられた堆積量が予め記録された対応関係記録部41と、第1温度センサ33が検出した温度から第2温度センサ34が検出した温度の差分を取ることにより、当該差分が示す温度に基づいて、対応関係記録部41から堆積量を読み出し、読み出した堆積量を、第1主面31aに粒子状物質PMが堆積された堆積量として算出する堆積量算出部42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中に含まれる粒子状物質の堆積量を検出する堆積量検出装置、および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)の堆積量を検出する堆積量検出装置としては、例えば、静電容量の変化を利用して堆積量を検出する、いわゆる静電容量型の堆積量検出装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の堆積量検出装置は、ゼオライトに吸着した粒子状物質の吸着量(堆積量)を、静電容量の変化を利用して検出している。具体的には、このゼオライトを2つの電極で担持し、ゼオライトに粒子状物質が吸着すると、この吸着量に応じて、電極間の容量が変化する。そのため、特許文献1に記載の堆積量検出装置は、電極間の容量の変化量に基づいて、吸着量を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−33412号公報
【特許文献2】特表2000−517426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の堆積量検出装置では、電極間にゼオライトが担持されているため、粒子状物質に含まれている水や油等もゼオライトに吸着されてしまう。このため、特許文献1に記載の堆積量検出装置では、粒子状物質に含まれている水や油等により、電極間の容量が不測に変化し、検出誤差が生じる可能性があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出誤差が生じる可能性を低減できる堆積量検出装置、および検出システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明における堆積量検出装置は、内燃機関の排気ガス中に含まれる粒子状物質が堆積される第1主面、および前記第1主面とは反対側に設けられた第2主面を有し、前記排気ガスが移動する排気通路に設けられた絶縁体と、前記絶縁体に設けられており、かつ発熱する発熱体と、前記絶縁体に設けられており、かつ前記発熱体が発熱することにより得られる前記第1主面との間の温度を検出する第1温度センサと、前記絶縁体に設けられており、かつ前記発熱体が発熱することにより得られる前記第2主面との間の温度を検出する第2温度センサと、複数段階設けられた温度、および前記温度に対応付けられた堆積量が予め記録された対応関係記録部と、前記第1温度センサが検出した温度から前記第2温度センサが検出した温度の差分を取ることにより、当該差分が示す温度に基づいて、前記対応関係記録部から堆積量を読み出し、読み出した堆積量を、前記第1主面に前記粒子状物質が堆積された堆積量として算出する堆積量算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の堆積量検出装置、および検出システムは、検出誤差が生じる可能性を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態に係る検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る堆積量検知センサの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る対応関係記録部に記録されたデータの一例を示す図である。
【図5】図5は、変更例1に係る堆積量検知センサの概略構成を示す断面図である。
【図6】図6は、変更例2に係る堆積量検知センサの概略構成の一例を示す断面図である。
【図7】図7は、変更例2に係る堆積量検知センサの概略構成の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る検出システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、例えば、図示しない車両(自動車等)等の石油系燃料を使用する燃焼装置に設けられるものであって、フィルタ装置2、堆積量検知センサ3、堆積量算出装置4、流量センサ5、流量算出装置6、ECU(Electronic Control Unit)7、および制御装置8を備えている。ここで、堆積量検知センサ3および堆積量算出装置4が、本発明に係る堆積量検出装置の一実施形態となる。
【0012】
フィルタ装置2は、排気通路Uに設けられており、排気通路Uを移動する排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するための装置である。フィルタ装置2は、例えば、DPF(Diesel Particulate Filter)から構成される。すなわち、排気ガスは、ディーゼルエンジン、ピストンエンジン、ガスタービンエンジン等の内燃機関が燃焼することによって発生するとともに、図1の矢印で示されているように、内燃機関(上流)から消音器(下流)に向かって排気通路Uを移動する。なお、消音器を通過した排気ガスは、外部へ放出される。ここで、排気ガス中に含まれる粒子状物質としては、例えば、単純な固形の炭素の微粒子が房状に連なったもの、SOF(Soluble Organic Fraction)と呼ばれる高分子炭化水素、あるいは硫酸塩等が挙げられる。この粒子状物質は、人の気道や肺に沈着するので、人体へ悪影響を及ぼすとともに、大気汚染の要因ともなり得る。そのため、フィルタ装置2において粒子状物質が捕集される。なお、粒子状物質には、水や油等も含まれている。
【0013】
堆積量検知センサ3は、排気ガス中に含まれる粒子状物質の堆積量を検出するためのセンサであって、フィルタ装置2よりも下流側(消音器側)の排気通路Uに設けられている。
【0014】
図2は、本実施形態に係る堆積量検知センサ3の概略構成を示す斜視図である。図3は、図2中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係る堆積量検知センサ3は、外観視直方体状であって、排気通路Uに設けられた台座Bの上に設けられている。なお、台座Bを設けることなく、直接、堆積量検知センサ3を排気通路Uに設けるようにしてもよい。また、本実施形態に係る堆積量検知センサ3は、外観視直方体状であるが、これに限らず、丸棒状、板状等であってもよく、その形状については特に限定されない。
【0016】
ここで、堆積量検知センサ3は、図3に示すように、絶縁体31、発熱体32、第1温度センサ33、および第2温度センサ34を有している。
【0017】
絶縁体31は、第1主面31a、および第1主面31aとは反対側に設けられた第2主面31bを有している。ここで、本実施形態においては、第1主面31aおよび第2主面31bは、排気通路Uの長手方向(図2の矢印Nの方向)に対して略垂直な面であり、第1主面31aは、第2主面31bよりも排気通路Uの上流側に位置している。このため、第1主面31aは、フィルタ装置2で捕集できなかった粒子状物質PMが堆積される面となり、第2主面31bは、粒子状物質PMが堆積され難い面となる。すなわち、第1主面31aは、排気ガスの風の影響を直接受ける面となり、第2主面31bは、排気ガスの風の影響を受け難い面となるからである。第2主面31bが排気ガスの風の影響を受け難い面となるのは、絶縁体31自体が排気ガスに対する風除けの役割を果たしているからである。絶縁体31としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体、あるいはガラスセラミック焼結体等のセラミックが挙げられる。
【0018】
発熱体32は、絶縁体31に埋設されており、発熱する役割を担う部材である。本実施形態においては、図3に示すように、絶縁体31を断面視した場合において、発熱体32は、絶縁体31の略中央に埋設されている。
【0019】
第1温度センサ33は、絶縁体31に埋設されており、発熱体32が発熱することにより得られる第1主面31aとの間の温度を検出する役割を担う部材である。本実施形態においては、第1温度センサ33は、第1主面31aの近傍の絶縁体31に埋設されている。ここで、第1温度センサ33は、例えば、白金、タングステン等のような温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体から構成される。
【0020】
第2温度センサ34は、絶縁体31に埋設されており、発熱体32が発熱することにより得られる第2主面31bとの間の温度を検出する役割を担う部材である。本実施形態においては、第2温度センサ34は、第2主面31bの近傍の絶縁体31に埋設されている。ここで、第2温度センサ34は、第1温度センサ33と同様、例えば、白金、タングステン等のような温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体から構成される。
【0021】
すなわち、第1主面31aは、フィルタ装置2で捕集できなかった粒子状物質PMが堆積されるため、発熱体31からの熱は、第1主面31aから外部へ放熱され難くなる。つまり、第1主面31aおよび第1主面31a近傍の絶縁体31には熱がこもり易くなる。一方、第2主面31bは、粒子状物質PMが堆積され難いため、発熱体31からの熱は、第2主面31bから外部へ放熱される。つまり、第2主面31bおよび第2主面31b近傍の絶縁体31には熱がこもり難くなる。このように、第1主面31aに粒子状物質PMが堆積された場合、第1温度センサ33が検出する温度(第1主面31aと第1温度センサ33との間の温度)は、第2温度センサ34が検出する温度(第2主面31bと第2温度センサ34との間の温度)よりも高くなる。
【0022】
なお、本実施形態のように、絶縁体31を断面視した場合において、発熱体32は、第1温度センサ33と第2温度センサ34との間に位置しており、かつ第1温度センサ33からの距離Lと第2温度センサ34からの距離Lとが略同じ距離となるように、絶縁体31に埋設されていることが好ましい。このようにすると、第1主面31aに粒子状物質PMが堆積されていない場合には、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度とは略同じ温度となる。このため、発熱体32からの距離に起因する温度差を考慮する必要がない。そのため、後述する対応関係記録部41に記録すべきデータを容易に決定することができる。
【0023】
但し、第1主面31aは、排気ガスの風の影響を直接的に受けるため、排気ガスの温度が低い場合には、第1主面31aは冷やされることになる。また、第2主面31bは、排気ガスの風の影響を受け難いため、排気ガスの温度が低い場合であっても、第1主面31aと比べて、排気ガスによって冷やされることはない。そのため、実際には、このような事情も考慮して、発熱体32と第1温度センサ33との間の距離L、および発熱体32と第2温度センサ34との間の距離Lを決定することが好ましい。
【0024】
堆積量算出装置4は、対応関係記録部41、および堆積量算出部42を有している。
【0025】
対応関係記録部41は、複数段階設けられた温度、および温度に対応付けられた堆積量が予め記録される。図4は、本実施形態に係る対応関係記録部41に記録されたデータの一例を示す図である。すなわち、本実施形態に係る対応関係記録部41は、温度および堆積量を示すデータをテーブル41aとして記録する。なお、テーブル41aに記録されたデータは、堆積量検知センサ3を排気通路Uに設ける前の当該堆積量検知センサ3の実機による評価試験の実測値あるいはシミュレーションの結果に基づいて予め設定されている。
【0026】
堆積量算出部42は、まず、第1温度センサ33が検出した温度を取得するとともに、第2温度センサ34が検出した温度を取得する。そして、堆積量算出部42は、第1温度センサ33が検出した温度から第2温度センサ34が検出した温度の差分を取る。そして、堆積量算出部42は、当該差分が示す温度に基づいて、対応関係記録部41から堆積量を読み出す。例えば、差分が示す温度が「50」℃である場合、堆積量算出部42は、図4に示すように、対応関係記録部41のテーブル41aから堆積量「40」を読み出す。堆積量算出部42は、読み出した堆積量を、第1主面31aに粒子状物質が堆積された堆積量として算出する。堆積量算出部42は、算出した堆積量を、制御装置8へ出力する。
【0027】
このように、本実施形態に係る堆積量検出装置によれば、堆積量算出部42は、第1温度センサ33が検出した温度から第2温度センサ34が検出した温度の差分を取ることにより、当該差分が示す温度に基づいて、第1主面31aに粒子状物質PMが堆積された堆積量を算出する。このため、本実施形態に係る堆積量検出装置は、上記従来の静電容量型の堆積量検出装置のように、粒子状物質PMに含まれている水や油等がゼオライトに吸着されることにより、電極間の容量が不測に変化し、検出誤差が生じることはない。そのため、本実施形態に係る堆積量検出装置は、上記従来の静電容量型の堆積量検出装置と比較して、検出誤差が生じる可能性を低減できる。
【0028】
流量センサ5は、排気通路Uを移動する排気ガスの流量を検出するためのセンサであって、フィルタ装置2よりも上流側(内燃機関側)の排気通路Uに設けられている。流量センサ5としては、例えば、熱式流量方式を用いた流量センサが挙げられる。なお、排気ガスの流量を検出できれば、流量センサ5の方式については、特に限定されない。
【0029】
流量算出装置6は、流量センサ5により検出された情報に基づいて、排気通路Uを移動する排気ガスの流量を算出する。流量算出装置6は、算出した排気ガスの流量を、制御装置8へ出力する。
【0030】
なお、流量センサ5および流量算出装置6が、本発明に係る流量検出装置の一実施形態となる。
【0031】
ECU7は、内燃機関における点火系と燃焼系とを制御するコントローラである。例えば、ECU7は、後述する制御装置8からの指示によって、内燃機関の回転数を低下あるいは上昇させ、または内燃機関の点火時期等を制御する。すなわち、ECU7は、内燃機関における点火系と燃焼系とを制御することにより、排気ガス中に含まれる粒子状物質の数を制御することができる。
【0032】
制御装置8は、流量算出装置6により算出された排気ガスの流量と、堆積量算出装置4により算出された粒子状物質の堆積量とに基づいて、単位時間当たりに移動した排気ガス中に、フィルタ装置2で捕集できなかった粒子状物質がどのくらい含まれていたかを示す捕集不可量を算出する。制御装置8は、算出した捕集不可量に基づいて、ECU7に対して指示する。例えば、制御装置8は、算出した捕集不可量が閾値以上であれば、排気ガス中に含まれる粒子状物質の数が減少するように、ECU7に対して指示する。なお、制御装置8は、ECU7に対して指示することなく、算出した捕集不可量を、単にディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0033】
なお、上述した実施形態は、本発明の実施形態の一具体例を示すものであり、種々の変更が可能である。以下、いくつかの主な変更例を示す。
【0034】
[変更例1]
図5は、変更例1に係る堆積量検知センサ10の概略構成を示す断面図である。なお、図5は、図3と同じ箇所を表す断面図である。また、図5において、図3と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、変更例1に係る堆積量検知センサ10は、第1発熱体321、および第2発熱体322を備えている。
【0036】
第1発熱体321は、第1温度センサ33よりも第1主面31a側の絶縁体31に埋設されている。また、第2発熱体322は、第2温度センサ34よりも第2主面31b側の絶縁体31に埋設されている。ここで、変更例2に係る第1発熱体321および第2発熱体322は、図示しない発熱体制御部により、一定時間毎に発熱するように制御される。
【0037】
すなわち、第1発熱体321からの熱によって、第1主面31aに堆積された粒子状物質PMが燃焼される。一方、第2発熱体322からの熱は、第2主面31bから外部へ放熱される。このように、第1主面31aに粒子状物質PMが堆積された場合、第1温度センサ33が検出する温度は、粒子状物質PMが燃焼する燃焼熱によって、第2温度センサ34が検出する温度よりも高くなる。そのため、変更例1に係る堆積量検出装置においても、第1温度センサ33が検出した温度から第2温度センサ34が検出した温度の差分を取ることにより、当該差分が示す温度に基づいて、第1主面31aに粒子状物質が堆積された堆積量を算出することができる。
【0038】
[変更例2]
ところで、堆積量検出装置の検出感度を向上するためには、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分が大きいことが好ましい。すなわち、第1主面31aには粒子状物質PMがより堆積されるように、第2主面31bには粒子状物質PMがより堆積され難くなるようにすることが好ましい。そのため、変更例2では、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分が大きくなる方法について説明する。
【0039】
図6は、変更例2に係る堆積量検知センサ11の概略構成を示す断面図である。なお、図6は、図3と同じ箇所を表す断面図である。また、図6において、図3と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図6に示すように、絶縁体31の第1主面31aには、複数の凹部311aが設けられている。第1主面31aに複数の凹部311aが設けられているので、当該凹部311aに粒子状物質PMが堆積され易くなる。複数の凹部311aに粒子状物質PMが堆積され易いので、変更例2に係る堆積量検知センサ11は、上述の実施形態に係る堆積量検知センサ3と比較して、第1主面31aに堆積される粒子状物質PMの堆積量は多くなる。このため、変更例2に係る堆積量検知センサ11は、堆積量検知センサ3と比較して、第1温度センサ33が検出する温度が高くなる。そのため、変更例2に係る堆積量検知センサ11は、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分が大きくなる。この結果、変更例2に係る堆積量検出装置は、上述の実施形態に係る堆積量検出装置と比較して、検出感度を向上することができる。
【0041】
なお、図6に示すように、第2主面31bには、第1主面31aに設けられた複数の凹部311aと対向する位置に、第1主面31aに設けられた複数の凹部311aと略同じ大きさの複数の凹部311bが設けられていることが好ましい。このようにすると、絶縁体31の形状に起因する温度差を考慮する必要がない。そのため、対応関係記録部41に記録すべきデータを容易に決定することができる。
【0042】
また、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分を大きくするために、上記の構成に代えてまたは加えて、以下のような構成を採用してもよい。
【0043】
すなわち、第1主面31aの表面粗さを、第2主面31bの表面粗さよりも大きくしてもよいし、第1主面31aに、ポーラス層(例えば、気孔の径が0.1〜10μm)を設けてもよい。このようにしても、第1主面31aに堆積される粒子状物質PMの堆積量は多くなる。この結果、上述の実施形態と比較して、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分は大きくなる。
【0044】
また、第2主面31bを研磨することにより、第2主面31bの表面粗さをより小さくしてもよいし、絶縁体31を断面視した場合において、第2主面31bの中央部が、第1主面31aの方向に窪んでいるようにしてもよい。このようにすると、第2主面31bには粒子状物質PMがより堆積され難くなる。この結果、上述の実施形態と比較して、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分は大きくなる。
【0045】
さらに、図7に示すように、第2主面31bには、当該第2主面31bの端部から排気通路Uの下流側に向かって突出した突起部Tが設けられていてもよい。このようにすると、突起部Tによって排気ガスの風が遮られるので、第2主面31bには粒子状物質PMがより堆積され難くなる。この結果、上述の実施形態と比較して、第1温度センサ33が検出する温度と第2温度センサ34が検出する温度との差分は大きくなる。
【0046】
[変更例3]
上述の実施形態では、第1主面31aおよび第2主面31bは、排気通路Uの長手方向に対して略垂直な面である例について説明したが、これに限定されない。すなわち、第1主面31aおよび第2主面31bは、排気通路Uの長手方向に対して略平行な面であってもよい。なおこの場合、第1主面31aおよび第2主面31b共に同じように粒子状物質PMが堆積されてしまうので、変更例3に係る堆積量検知センサは、変更例2に係る構成を採用する必要がある。
【符号の説明】
【0047】
1 検出システム
2 フィルタ装置
3,11 堆積量検知センサ
31 絶縁体
31a 第1主面
311a 凹部
31b 第2主面
311b 凹部
32 発熱体
321 第1発熱体
322 第2発熱体
33 第1温度センサ
34 第2温度センサ
4 堆積量算出装置
41 対応関係記録部
42 堆積量算出部
5 流量センサ
6 流量算出装置
8 制御装置
T 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス中に含まれる粒子状物質が堆積される第1主面、および前記第1主面とは反対側に設けられた第2主面を有し、前記排気ガスが移動する排気通路に設けられた絶縁体と、
前記絶縁体に設けられており、かつ発熱する発熱体と、
前記絶縁体に設けられており、かつ前記発熱体が発熱することにより得られる前記第1主面との間の温度を検出する第1温度センサと、
前記絶縁体に設けられており、かつ前記発熱体が発熱することにより得られる前記第2主面との間の温度を検出する第2温度センサと、
複数段階設けられた温度、および前記温度に対応付けられた堆積量が予め記録された対応関係記録部と、
前記第1温度センサが検出した温度から前記第2温度センサが検出した温度の差分を取ることにより、当該差分が示す温度に基づいて、前記対応関係記録部から堆積量を読み出し、読み出した堆積量を、前記第1主面に前記粒子状物質が堆積された堆積量として算出する堆積量算出部と、を備えた堆積量検出装置。
【請求項2】
前記第1主面および前記第2主面は、前記排気通路の長手方向に対して略垂直な面であり、
前記第1主面は、前記第2主面よりも前記排気通路の上流側に位置している、請求項1に記載の堆積量検出装置。
【請求項3】
前記絶縁体を断面視した場合において、前記発熱体は、前記第1温度センサと前記第2温度センサとの間に位置しており、かつ前記第1温度センサからの距離と前記第2温度センサからの距離とが略同じ距離となるように、前記絶縁体に埋設されている、請求項1または2に記載の堆積量検出装置。
【請求項4】
前記発熱体は、第1発熱体と、第2発熱体とを含み、
前記第1発熱体は、前記第1温度センサよりも前記第1主面側の前記絶縁体に埋設されており、
前記第2発熱体は、前記第2温度センサよりも前記第2主面側の前記絶縁体に埋設されている、請求項1または2に記載の堆積量検出装置。
【請求項5】
前記第1主面には、複数の凹部が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の堆積量検出装置。
【請求項6】
前記第2主面には、前記第1主面に設けられた複数の凹部と対向する位置に、前記第1主面に設けられた複数の凹部と略同じ大きさの複数の凹部が設けられている、請求項5に記載の堆積量検出装置。
【請求項7】
前記第2主面には、当該第2主面の端部から前記排気通路の下流側に向かって突出した突起部が設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の堆積量検出装置。
【請求項8】
前記排気通路に設けられており、かつ前記排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタ装置と、
前記フィルタ装置で捕集できなかった粒子状物質の堆積量を検出する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の堆積量検出装置と、を備えた検出システム。
【請求項9】
前記排気通路を移動する排気ガスの流量を検出する流量検出装置と、
前記流量検出装置により検出された排気ガスの流量と、前記堆積量検出装置により検出された粒子状物質の堆積量とに基づいて、単位時間当たりに移動した前記排気ガス中に、前記フィルタ装置で捕集できなかった粒子状物質がどのくらい含まれていたかを示す捕集不可量を算出する制御装置と、をさらに備えた請求項8に記載の検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−69692(P2011−69692A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220261(P2009−220261)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】