説明

報知装置

【課題】母国語が異なる2人の作業者が母国語のように理解し得る報知装置を得る。
【解決手段】報知装置は、作業中札は、裏面が相対する2枚の報知板と、2枚の報知板により挟まれるとともに電波を遮蔽する電波不干渉素材と、を有し、一方の報知板は、表面に第1の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に第1の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第1のFelicaトークンを含み、他方の報知板は、表面に第1の言語と異なる第2の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に第2の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第2のFelicaトークンを含み、電波が伝搬する方向の電波不干渉素材の手前に位置する第1のFelicaトークンまたは第2のFelicaトークンに記憶されたアナウンス内容を読み出すとともに読み出したアナウンス内容を音声で伝えるリーダーを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、報知装置に関し、特に、エレベータの作業中に用いる報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの報知装置は、エレベータの点検時に乗場三方枠に点検中である旨のメッセージを表示した点検中札を取り付けて利用者に点検作業中であることを報知させ、その点検中札に、音声情報のメッセージを鳴らす音声発生装置を内蔵させた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−26612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高齢化、少子化による保守員不足の対応で、今後外国人作業者と日本人作業者が共同して作業を行う機会が増加する。そのとき、日本語の音声情報のメッセージを鳴らすだけでは外国人作業者が母国語の音声情報ほどは理解できずに事故につながる恐れがある。
【0005】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、母国語が異なる2人の作業者が母国語のように理解し得る報知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る報知装置は、作業している現場の近くに配備されるとともに報知する内容が板面に記載された作業中札を備える報知装置において、上記作業中札は、裏面が相対する2枚の報知板と、上記2枚の報知板により挟まれるとともに電波を遮蔽する電波不干渉素材と、を有し、上記一方の報知板は、表面に第1の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に上記第1の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第1のFelicaトークンを含み、上記他方の報知板は、表面に第1の言語と異なる第2の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に上記第2の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第2のFelicaトークンを含み、電波が伝搬する方向の上記電波不干渉素材の手前に位置する第1のFelicaトークンまたは第2のFelicaトークンに記憶されたアナウンス内容を読み出すとともに読み出したアナウンス内容を音声で伝えるリーダーを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る報知装置は、普段使用している言語が異なる2人の作業者が一所に同じ作業を行うときに、普段使用している言語の語彙が印刷されている板面を表にしてリーダーで読み取れば普段使用している言語のアナウンス内容が音声で伝えられるので、言語の違いにより理解が不十分のために起こりうる事故を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る報知装置をエレベータの付近に配備した様子を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る作業中札の一部断面の正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る作業中札の断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る作業中札の一部断面の平面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る作業中札を乗場三方枠に取り付けた様子である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の報知装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る報知装置をエレベータの付近に配備した様子を示す図である。図2は、この発明の実施の形態1に係る作業中札の一部断面の正面図である。図2(a)、図2(b)は、作業中札をそれぞれ片面から見た正面図で一部断面にして中の様子が分かるように示してある。図3は、この発明の実施の形態1に係る作業中札の断面図である。
この発明に係る報知装置の一例として、エレベータの点検保守作業中での注意事項の内容を報知して事故の発生を防止する報知装置1を取り上げる。
この発明に係る実施の形態1に係る報知装置1は、図1に示すように、現場の壁3に取り付けられる作業中札5と、作業中札5から作業中の注意喚起を促すアナウンス内容を読み出すリーダー7と、を備える。そして、作業中札5は、作業する現場の目立つ場所に取り付けられる。
作業中札5は、図2、図3に示すように、電波不干渉素材9と、電波不干渉素材9を中間に挟んで裏面が相対する2枚の報知板11a、11bと、を備える。電波不干渉素材9および2枚の報知板11a、11bの上部には、作業中札5を壁3に取り付ける取付穴13が設けられている。
【0010】
一方の報知板11aは、報知すべき内容を簡略化した第1の言語としての日本語の語彙、例えば、保守点検作業を行うときには「作業中」という語彙が板面に印刷されている。また、板内にはRFIDタグであり第1のFelicaトークンとしての日本語Felicaトークン15が実装されている。日本語Felicaトークン15のメモリには、日本語で「保守点検作業中です。」というアナウンス内容が記憶されている。
【0011】
他方の報知板11bは、一方の報知板11aで報知しようとする内容を日本語と異なる第2の言語としての英語で報知するために、板面には「Its Working」という語彙が印刷されている。また、板内には第2のFelicaトークンとしての英語Felicaトークン17が実装されている。英語Felicaトークン17のメモリには、英語で「It's Working.」というアナウンス内容が記憶されている。
【0012】
リーダー7の一例として、携帯電話にリーダー7が内臓された携帯電話内臓リーダーとして説明する。携帯電話内蔵リーダーにはスピーカー19が内蔵されている。そして、携帯電話のキーを利用してFelicaトークン15、17にアナウンス内容を送信するようにリクエストする。そして、Felicaトークン15、17から送信されたアナウンス内容を受信し、スピーカー19から音声で伝える。
【0013】
日本語Felicaトークン15および英語Felicaトークン17は、リーダー7から送信される高周波電波を受信したとき、高周波電波を電力に変換し、変換した電力をメモリおよび送信器に電源として供給する。そして、送信器に電源が入力されると、メモリに記憶されているアナウンス内容を読み出し、読み出したアナウンス内容をリーダー7に返信する。
【0014】
なお、リーダー7に印刷面が面した報知板11a、11bに実装されたFelicaトークン15、17は、リーダー7から高周波電波を受信することができる。一方、リーダー7に印刷面が面していない報知板11a、11bに実装されたFelicaトークン15、17は、リーダー7から発せられる高周波電波が電波不干渉素材9により遮られるので、リーダー7から高周波電波を受信することができない。従って、表に向いている報知板11a、11bに係る言語、例では日本語または英語のいずれか一方の言語のアナウンス内容がリーダー7により読み取られる。そして、読み取られたアナウンス内容がリーダー7に内臓されているスピーカー19からアナウンスされる。
【0015】
次に、この発明に係る報知装置の使用手順を説明する。
作業の代表者は、作業中札5を作業する現場に携行し、作業を開始する前に作業中札5を壁3に取り付ける。
作業者は、自身が読める語彙が印刷された報知板11a、11bを表に向くように掛ける。例えば、英語を日本語以上に良く聞くことが出来る作業者は、報知板11bを表に向くように作業中札5を掛ける。
次に、リーダー7を報知板11a、11bに近づけてFelicaトークン15、17からアナウンス内容を読み取ると、スピーカー19からアナウンス内容が音声で伝わる。上述のように報知板11bが表に向いていると、スピーカー19から「Its Working」という音声が伝わってくる。
また、日本語を英語以上に良く聞くことが出来る作業者は、報知板11aを表に向くように作業中札5を掛ける。このときはスピーカー19から「作業中です。」という音声が伝わってくる。
【0016】
このように、普段使用している言語が異なる2人の作業者が一所に同じ作業を行うときに、普段使用している言語の語彙が印刷されている板面を表にして携帯電話で読み取れば普段使用している言語のアナウンス内容がアナウンスされるので、言語の違いにより理解が不十分のために起こりうる事故を防止することができる。
【0017】
なお、上述の実施の形態においては、札として作業中札を例にして説明したが、これに限るわけではなく、作業中であることを知らせるサインボードなどに適用しても同様な効果を奏する。
【0018】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係る作業中札の一部断面の平面図である。図4(a)、図4(b)は、作業中札をそれぞれ片面から見た正面図で一部断面にして中の様子が分かるように示してある。図5は、この発明の実施の形態2に係る作業中札を乗場三方枠に取り付けた様子である。
この発明の実施の形態2に係る報知装置は、この発明の実施の形態1に係る報知装置1と作業中札5Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
作業中札5Bは、図4に示すように、本体21と、台板23と、本体21と台板23とを連結する連結金具25と、を備える。
本体21は、電波不干渉素材9と、電波不干渉素材9を中間に挟んで裏面が相対する2枚の報知板11と、を備える。
【0019】
一方の報知板11aは、報知すべき内容を簡略化した日本語の語彙、例えば、保守点検作業を行うときには「作業中」という語彙が板面に印刷されている。また、板内にはRFIDタグとしての日本語Felicaトークン15が実装されている。日本語Felicaトークン15のメモリには、日本語で「保守点検作業中です。」というアナウンス内容が記憶されている。
【0020】
他方の報知板11bは、一方の報知板11aで報知しようとする内容を英語で報知するために、板面には「Its Working」という語彙が印刷されている。また、板内には英語Felicaトークン17が実装されている。英語Felicaトークン17のメモリには、英語で「It's Working.」というアナウンス内容が記憶されている。
【0021】
台板23は、両面に磁石27が固定されている。そして、報知板11aを乗場側に向くように作業中札5Bを乗場三方枠29に取り付けるときは、図5のように、台板23の磁石27を乗場三方枠29の上枠31に吸い付ける。
【符号の説明】
【0022】
1 報知装置、3 壁、5、5B 作業中札、7 リーダー、9 電波不干渉素材、11a、11b 報知板、13 取付穴、15、17 Felicaトークン、19 スピーカー、21 本体、23 台板、25 連結金具、27 磁石、29 乗場三方枠、31 上枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業している現場の近くに配備されるとともに報知する内容が板面に記載された作業中札を備える報知装置において、
上記作業中札は、裏面が相対する2枚の報知板と、上記2枚の報知板により挟まれるとともに電波を遮蔽する電波不干渉素材と、を有し、
上記一方の報知板は、表面に第1の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に上記第1の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第1のFelicaトークンを含み、
上記他方の報知板は、表面に第1の言語と異なる第2の言語で報知する内容が記載されるとともに内部に上記第2の言語で表現されるアナウンス内容が記憶された第2のFelicaトークンを含み、
電波が伝搬する方向の上記電波不干渉素材の手前に位置する第1のFelicaトークンまたは第2のFelicaトークンに記憶されたアナウンス内容を読み出すとともに読み出したアナウンス内容を音声で伝えるリーダーを備えることを特徴とする報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−280492(P2010−280492A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137175(P2009−137175)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Felica
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】