説明

塗布膜の乾燥方法と乾燥装置

【課題】環境や材料の変化やばらつきに対しても、一定の乾燥状態を得ることができる塗布膜の乾燥方法を提供することを目的する。
【解決手段】乾燥炉の内部の圧力が設定値になるように乾燥炉の通気量を制御し、乾燥炉への供給気体の温度を調整し、供給する気体と乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差から塗布膜からの蒸発量を求め、乾燥炉に供給する気体に含まれる蒸発性材料の量を制御して塗布膜の乾燥状態を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布膜の乾燥方法に関するものであり、走行する基材の表面に塗布された塗布膜を少ないエネルギーで乾燥するに適した乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行する基材の表面に塗布液を塗布することで形成された塗布膜を乾燥炉で乾燥する工程は、電池の電極材、磁気記録媒体、写真用フィルム等の塗布製品を製造する分野でよく用いられている。また、プラズマディスプレイに代表される大型ディスプレイに用いられる大型の基材でも、印刷工法などで成膜された電極材料等の塗布膜を乾燥する工程で用いられている。これらの乾燥工程では、乾燥状態が製品の品質を左右するため重要な工程である。
【0003】
ここでは、電池に使用する電極材の場合の塗布膜の乾燥方法を例として説明する。
電池に使用する電極材の製造工程は、送り出し部から引き出した帯状の基材を巻き取り部によって巻き取る過程において、先ず、この走行中の帯状の基材の表面に、活物質およびバインダー(結着材)を溶媒に混合分散した塗布液を塗布する。次いで、前記巻き取り装置によって巻き取られる迄に前記塗布された塗布液が熱風環境下の乾燥工程を通過して乾燥して塗布膜が連続に形成されている。
【0004】
前記乾燥工程では、適正に乾燥することが要求されている。具体的には、乾燥後の塗布膜中に蒸発成分が許容量以上に残存している未乾燥状態や、逆に過剰に乾燥させることに起因する塗布膜の割れが発生するような乾燥状態が不適正の場合には、後工程での基材から塗布膜の脱落が発生し、電池の安全性や製造歩留まりに大きな影響を及ぼすので、多大な製品ロスの要因となる。
【0005】
前記塗布膜の乾燥挙動は、乾燥炉内の熱風の温度や風速だけでなく、種々の環境変化にも影響を受ける。例えば、熱風の供給源である乾燥炉周囲雰囲気の露点の季節または天候による変化や、乾燥炉の運転開始直後と連続運転中との乾燥炉内の露点の差によっても、塗布膜の乾燥状態は異なる。
【0006】
そのため、電池の電極材の製造においては、未乾燥な状態で乾燥を終えることや塗布膜の割れを防ぐために乾燥炉を出た後の蒸発成分の残存量を許容範囲内に制御することが重要であり、製品ロスを低減し生産効率を向上させる上で極めて重要である。しかし、塗布膜が形成される基材が熱風環境下で走行しているので、乾燥過程の途中における塗布膜の重量や膜厚を精度良く測定することは難しく、乾燥速度を実測することは困難である。
【0007】
適正な乾燥状態を得る方法として、特許文献1には乾燥速度に与える影響が大きい温度を制御する方法が記載されている。これは、乾燥炉内の温度と塗布膜の膜面温度との差を一定に維持するように熱風の温度を制御している。具体的には、図4に示すように、送り出し部1から引き出した帯状の基材2を巻き取り部5によって巻き取る過程において、塗布液が塗布コータ3によって塗布を受けた走行中の基材2は、乾燥炉4を通過して熱風によって乾燥されている。乾燥炉4の内部に送られる熱風の温度は、ヒータ16の電力制御をコントローラ24が行っている。14は給気ダンパー、15は給気ファン、18は給気エアー、19は排気ダンパー、21は排気ファンである。
【0008】
つまり、基材2の表面に形成された塗布膜の膜面温度T1を非接触型の温度計22によって測定し、乾燥炉4の内部に送られる熱風の温度T2を温度計25で測定し、コントローラ24は、T1とT2との差(ΔT=T2−T1)が常に一定に維持されるようにヒータ16への通電を制御して熱風の温度制御を行っている。また別の方式としては、排気側露点計26aで排気の露点を測定し、この露点の変化に基づいてコントローラ24が熱風の温度制御を行う方法が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−275998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、乾燥状態を制御する方法が乾燥炉に供給する熱風の温度と湿度であるため、環境変化や材料や工程など他の様々な影響を受けて、所望の乾燥状態を保つことが十分にできない。詳しく述べると、環境変化には様々なものがあり、気圧の変化は天気、天候によって発生し、水分の蒸発に影響する。また塗布材料は、塗布工程により厚さがばらつき、さらには塗布膜中の蒸発成分も塗布段階で既にばらつきが存在する。
【0011】
また、省エネルギーという観点から乾燥温度の低温化を行なった場合や、基材の走行速度を上げて生産効率を上げた場合には、プロセスウィンドウ(良品を生産できるプロセス条件の範囲)が狭くなるため、前述の温度や湿度、気圧、膜圧などのばらつきの影響が顕著になるという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、環境や材料の変化やばらつきに対しても、一定の乾燥状態を得ることができる塗布膜の乾燥方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の塗布膜の乾燥方法は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整して前記乾燥炉に供給する第二の工程と、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する第三の工程と、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程とを順に行うことを特徴とする。前記第四の工程は、前記計測蒸発量が、前記目標設定蒸発量に前記予め測定した塗布膜の厚さが所定の値より増減した比率を乗じた蒸発量に近づくように前記搬送速度を制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の塗布膜の乾燥方法は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整する第二の工程と、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御する第三の工程と、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程とを順に行うことを特徴とする。前記第四の工程は、前記予め測定した塗布膜の厚さが所定の値より増減した比率を前記目標設定蒸発量に乗じた蒸発量に前記計測蒸発量が近づくように前記搬送速度を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の塗布膜の乾燥装置は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥する塗布膜の乾燥装置であって、前記乾燥炉の内部の圧力を測定する圧力計と、前記乾燥炉へ通気する通気手段と、前記乾燥炉に供給する気体の温度を測定する温度計と、前記乾燥炉へ給気する前記気体の温度を調整するヒータと、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する給気露点計と、前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する排気側露点計と、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する湿度調整器と、前記基材に形成された乾燥前の塗布膜の膜厚を測定する膜厚計と、前記乾燥炉の内部を通過するよう前記基材を搬送する走行駆動手段と、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御し、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整し、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御し、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御するコントローラとを設けたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の塗布膜の乾燥装置は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥する塗布膜の乾燥装置であって、前記乾燥炉の内部の圧力を測定する圧力計と、前記乾燥炉へ通気する通気手段と、前記乾燥炉に供給する気体の温度を測定する温度計と、前記乾燥炉へ給気する前記気体の温度を調整するヒータと、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する給気露点計と、前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する排気側露点計と、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する湿度調整器と、前記基材に形成された乾燥前の塗布膜の膜厚を測定する膜厚計と、前記乾燥炉の内部を通過するよう前記基材を搬送する走行駆動手段と、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御し、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整し、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御し、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御するコントローラとを設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の塗布膜の乾燥方法は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整して前記乾燥炉に供給する第二の工程と、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する第三の工程と、予め測定された前記塗布膜の厚さと密度に応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程とを順に行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の塗布膜の乾燥方法は、蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整する第二の工程と、前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御する第三の工程と、予め測定された前記塗布膜の厚さと密度に応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程とを順に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この構成によれば、環境変化や材料や工程など他の様々な影響や材料の変化やばらつきに対しても、所望の乾燥状態を得ることができ、省エネルギー効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1の塗布膜の乾燥方法を実行する乾燥装置の構成図
【図2】同実施の形態におけるコントローラの要部のフローチャート図
【図3】本発明の実施の形態2の塗布膜の乾燥方法を実行する乾燥装置におけるコントローラの要部のフローチャート図
【図4】従来例の乾燥装置の構成図
【図5】電池の電極材の拡大斜視図
【図6】プラズマディスプレイ用のパネルの焼成工程の説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の塗布膜の乾燥方法を図1〜図3に示す具体例に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1と図2は本発明の実施の形態1を示す。
【0022】
図1は乾燥炉を含む塗布膜の乾燥装置を示す。
送り出し部1から引き出された帯状の基材2は、乾燥炉4の内部を通過して巻き取り部5に巻き取られる。乾燥炉4の手前位置では、塗布コータ3によって基材2の表面に、図5に示すように種々電極材料を水に混合分散した塗布液30が塗布されている。
【0023】
乾燥炉4は、複数の乾燥ゾーンに分割されている。ここでは、各乾燥ゾーンを基材2の走行方向の上流側から第一乾燥ゾーン6、第二乾燥ゾーン6a、途中の乾燥ゾーンは説明を省略して、最も下流側にある乾燥ゾーンを最終乾燥ゾーン6bとする。各乾燥ゾーンは個々に異なる熱処理条件を設定できる構造となっている。ここでは第一乾燥ゾーン6を例に挙げて説明する。
【0024】
乾燥炉4の第一乾燥ゾーン6では、入口から出口にかけて基材2の走行を支持する複数のローラ9が設置されている。乾燥ゾーンの上部には、乾燥炉4に給気される熱風の吹出し圧力を均等にする圧力室10があり、この圧力室10に複数の吹出しノズル11が基材2の側を向いて取り付けられている。隣接する吹出しノズル11の間には、赤外線ヒータ12が吹出しノズル11と交互に並ぶように設置されている。乾燥ゾーンの下部には、乾燥ゾーン内の熱風を排気する排気口13が設置されている。
【0025】
圧力室10には、乾燥炉の外部に通じる給気ダクト17が接続され、給気ダクト17には給気ダンパー14、給気ファン15、ヒータ16が設置されており、圧力室10を介して給気エアー18が供給される。
【0026】
排気口13には、排気ダンパー19を介して、乾燥炉4の外部に通じる排気ダクト20が接続され、排気ダクト17の先端に設置された排気ファン21を通じて熱風が乾燥炉4の外部へと排気されている。ここでは乾燥炉4へ通気する通気手段が、給気ダンパー14、給気ファン15,排気ダンパー19,排気ファン21によって構成されている。
【0027】
この構成により、乾燥炉4の外部から給気ダクト17に取り込まれた空気は、ヒータ16で所定温度の熱風に加熱された後に給気ファン15を通じて圧力室10に給気され、吹出しノズル11から第1乾燥ゾーン6内に吹出される。吹出された熱風は、基材2に塗布された塗布膜から蒸発する水分を伴って排気口13から排気ダクト20を介して乾燥炉4の外部に排気される。
【0028】
23は第1乾燥ゾーン6の圧力を測定する圧力計で、吹出しノズル11から噴出されるエアーの勢い強い流れに影響されないように乾燥ゾーン内の端部に設置されている。25は第1乾燥ゾーン6の内部に送られる熱風の温度を測定する温度計で、圧力室10の少し上流側に設置されている。
【0029】
26aは排気ダクト20における露点を検出する排気側露点計、26bは給気ダクト17における露点を検出する給気側露点計である。27は給気ダクト17に設置された湿度調整器で、給気エアー18の加湿もしくは除湿を行って供給されるエアーに含まれる水分量を調整する。28は乾燥炉4の手前に配置された膜厚計である。
【0030】
24Aはコントローラで、圧力計23、温度計25、排気側露点計26a、給気側露点計26b、および膜厚計28の各検出出力を入力信号としてヒータ16と湿度調整器27および巻き取り部5を制御している。
【0031】
コントローラ24Aの構成を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
マイクロコンピュータを主要部として構成されているコントローラ24Aは、先ず、ステップS1aにおいて、圧力計23の測定値Ptを読み込む。
【0032】
ステップS1bでは、圧力計23の測定値Ptと第一乾燥ゾーン6の目標圧力Prとを比較しする。このステップS1bにおいてPt≠Prの場合には、ステップS1cで第一乾燥ゾーン6の圧力調整を実施してステップS1bにおいてPt=Prを検出するまでステップS1a,ステップS1b,ステップS1cのルーチンを繰り返す。ステップS1cでの圧力調節は、具体的には、例えば排気ファン21と給気ファン15の調整を行う。例えば圧力を高くする場合は、給気ファン15の回転周波数を大きくし、排気ファン21の回転周波数を小さくすることで調整が可能である。
【0033】
ステップS1bにおいてPt=Prを検出すると、ステップS2aでヒータ16に通電して乾燥を開始する。給気エアー18は、給気ダクト17の中を通り、圧力室10を介して乾燥炉4の中に流入し塗布膜から水分を取り除き、排気口13から排気ダクト20を介して乾燥炉4の外部に排気される。
【0034】
ステップS2bでは、温度計25の検出温度T2を読み込む。
ステップS2cでは、温度計25の測定値T2tと給気の目標温度T2rとを比較しする。このステップS2cにおいてT2t≠T2rの場合には、ステップS2dでヒータ16への通電を制御してステップS2cにおいてT2t=T2rを検出するまでステップS2b,ステップS2c,ステップS2dのルーチンを繰り返す。
【0035】
ステップS2cにおいてT2t=T2rを検出すると、ステップS3a,S3bを実行する。ステップS3aでは、給気側露点計26bの測定値h1を読み込む。
ステップS3bでは、排気側露点計26aの測定値h2を読み込む。ステップS3cでは水分量の差(h2−h1)を計算する。ステップS3dでは水分量の差(h2−h1)と目標設定蒸発量hrとを比較する。
【0036】
このステップS3dにおいて(h2−h1)≠hrの場合には、ステップS3eで湿度調整器27を制御して加湿もしくは除湿を適切に実施して、ステップS3dにおいて(h2−h1)=hrを検出するまでステップS3a,ステップS3b,ステップS3c,ステップS3d,ステップS3eのルーチンを繰り返して、炉内に供給するエアー(以下、供給エアーと記す)に含まれる水分量の調整を行う。
【0037】
ステップS3dにおいて(h2−h1)=hrを検出すると、最後にステップS4cにおいて搬送速度の調整を行う。最後に搬送速度の調整を行うのは、塗布膜の厚さばらつきに起因する適切な乾燥時間からのずれを補正するものである。
【0038】
塗布膜から出てくる水分Q1と、乾燥ゾーンに入ってくる水分Q2と、排気される水分Q3との間には、Q3 = Q1 + Q2 の関係があり、乾燥前に膜の単位領域中に含まれる水分の量が同じ場合、所望する一定の乾燥状態を得るということは、すなわち塗布膜から出てくる水分の量であるQ1を一定にすることである。
【0039】
塗布膜の厚さが標準の厚さDよりΔDだけ厚い膜となった場合、所望の状態と同じ状態に乾燥させるためには、炉内に滞在する時間tをt+Δtにしなければならない。このため乾燥炉4を通過する基材2の搬送速度を D /(D+ΔD) とすることにより、塗布膜の目標厚さと同じ状態に乾燥させることができる。
【0040】
この搬送速度の調整の際には、膜厚計28で測定された塗布膜の厚さの情報がステップS4aにおいてコントローラ24Aに予め送られており、この目標の膜厚の範囲よりも外れているか否かの判定する。目標の膜厚の範囲よりも外れている場合は、正常状態の厚さとの比αを導出し、1/αを搬送速度に乗じることによって、実際の塗布膜の厚さを目標の膜厚の範囲に近付けるのに必要な基材11の搬送速度をステップS4bにおいて計算して、送り出し部1と巻き取り部5をステップS4cにおいて制御して搬送速度を調整することによって、塗布膜の膜厚の補正が可能となる。
【0041】
このように、コントローラ24Aが図2に示すフローチャートを実行することによって、日常の環境変動(温度や圧力など)が生じても、塗布膜から蒸発する水分を一定とすることができるので、所望の乾燥状態を安定して得ることができる。
【0042】
なお、コントローラ24Aの各ステップの順番は、図2に示したようにステップS1a〜S1cにおいて圧力の調整を実行し、ステップS2a〜S2dにおいて給気の温度調整を実施し、ステップS3a〜S3dにおいて水分量の調整を実施し、ステップS4cにおいて搬送速度を調整して塗布膜の厚さの調整を実施する順番が適している。つまり、水分量の調整のS3a〜S3dを、圧力の調整のステップS1a〜ステップS1cより先に行うと、供給エアーを加湿もしくは除湿することにより炉内の圧力に影響を与えるため、ステップS1a〜ステップS1cの圧力の調整をステップS3a〜ステップS3dの水分量の調整よりも先に行わなければならない。ステップS2a〜ステップS2dの給気温度の調整も同様に、温度を変えることにより体積がわずかに変化して圧力にも影響を与えるため圧力の調整、すなわち排気ファン21と給気ファン15の調整を第一に行う必要がある。給気温度の調整と水分量の調整については、給気温度を変えると、塗布膜からの水分の蒸発に大きく影響を与えて蒸発する水分の量が変わるため温度の調整を先に行い、次に水分量の調整を行うのが少ないエネルギーで乾燥でき、しかも最も安定した制御の順序である。
【0043】
(実施の形態2)
図3はコントローラ24Aの別の構成を示す。
実施の形態1のコントローラ24Aでは、ステップS3dにおいて所望の水分量でないと判定した場合には、ステップS3eを実行して湿度調整器27を制御して水分量を調節したが、この実施の形態2では湿度調整器27を必要としていない。
【0044】
実施の形態2のコントローラ24Aでは、ステップS3dにおいて所望の水分量でないと判定した場合には、ステップS3fとステップS3gを実行する。
ステップS3fでは、ステップS3a〜ステップS3cの結果に基づいて所定の水分量に近付けるために必要な基材2の搬送速度を計算する。ステップS3gでは、基材2の搬送速度がステップS3fの搬送速度補正計算になるように巻き取り部5を制御して、湿度調整器27を調節することは実施しない。そして、次の工程では実施の形態1の場合と同じように、ステップS4a〜ステップS4cを実行して塗布膜の厚さに基づいて搬送速度の再調整を行うことにより、所望の状態で乾燥された塗布膜を得ることができる。
【0045】
具体的には、ステップS3dにおいて水分量の制御が必要な場合は、所定の水分量W1と測定した水分量W2の比がW1/W2=Kであった場合、ステップS3fとステップS3gでは搬送速度をK倍する。これにより、乾燥炉4の滞在時間がK倍となり、塗布膜から蒸発する水分もK倍となるため、所望の乾燥状態を得ることができる。すなわち、塗布膜から蒸発する材料の蒸発量と熱処理時間の関係が比例しない場合は、あらかじめ実験などにより所定の条件における乾燥と時間の関係式を求め、その関係式により求めた補正係数を搬送速度に乗じることにより所望の乾燥状態を得ることができる。ステップS4a〜ステップS4cの最後に行う搬送速度の調整は、実施の形態1と同じであり、予め膜厚計28で測定された塗布膜の厚さが定常の範囲よりも外れているか否かの判定の結果に基づき、定常値でない場合は正常状態の厚さとの比αを導出し、1/αを搬送速度にさらに乗じることによって、膜厚の補正が可能となる。
【0046】
この構成によると、本実施の形態により、日常の環境変動(温度や圧力など)が生じても、塗布膜から蒸発する水分Q1を一定とすることができるので、所望の乾燥状態を安定して得ることができる。
【0047】
ここでは膜厚計28で測定された塗布膜の厚さのみに基づいて搬送速度を制御したが、塗布コータ3に供給している塗布材料の密度を測定して、この塗布材料の密度と膜厚計28で測定された塗布膜の厚さに基づいて基材2の搬送速度を制御することもできる。具体的には、塗布膜の密度と塗布膜中に含まれる蒸発性材料の量の間には密接な相関がある。蒸発性材料の種類により、密度と蒸発性材料の量の相関はほぼ決まっている。活物質とバインダーの混合比は大きく変わることがないが、これらと溶媒の比率は混合の仕方によって微妙に変わってしまう。塗布液は前の工程で十分な量をまとめて混合しているため、その塗布前の塗布液の密度を予め測定しておくことにより密度を知ることができる。この密度と、前もって相関を求めておいた蒸発性材料の量と密度の相関から、塗布膜の密度の変化を補正することができる。
【0048】
上記の各実施の形態においては、リチウムイオン電池の帯状の基材に塗布された電極材の乾燥に用いる乾燥炉について説明したが、図6に示すようにプラズマディスプレイ用の基材としてのパネル31の上に形成された電極パターンとなる塗布膜32の焼成工程のように、連続しない個々の基材に形成された塗布膜の乾燥の場合でも同様である。33はパネル31が載置されるセッターである。
【0049】
また、上記の各実施の形態においては、蒸発性材料が水である場合を示したが、有機性溶剤の場合でも同様である。
また、上記の各実施の形態では乾燥炉として、熱風と赤外線ヒータを併用する場合の例を示したが、熱風によって塗布膜から蒸発した成分を運び去る方式であればよく、熱風だけで乾燥するだけでも構わない。
【0050】
また、上記の各実施の形態では乾燥炉として、排気された熱風は乾燥炉の外部に全て排気される構造としたが、一部もしくは何らかの処理を加えた全部を給気に用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0051】
また、上記の各実施の形態では、基材の搬送については、連続搬送または一時的に搬送を停止した静置した状態で乾燥を行う場合においても、環境や材料の変化やばらつきを低減する方法として広範に適用できる。
【0052】
また、上記の各実施の形態では、ステップS1a〜ステップS1cにおける乾燥炉4の通気量の制御による圧力調節は、排気ファン21と給気ファン15の調整によって実施したが、給気ダンパー4と排気ダンパー19のうちの一方または両方の制御、あるいは排気ファン21と給気ファン15のうちの一方または両方の制御とこのダンパー制御との組み合わせ調整によってもステップS1cでの圧力調節を実現できる。
【0053】
また、上記の各実施の形態では、ステップS1bにおいて一致を検出するまでステップS1a〜ステップS1cを繰り返し実施するものとして説明したが、ステップS1a〜ステップS1cを規定回数だけ実施してもステップS1bにおいて一致を検出できない場合には、ステップS1bにおいて比較した両者間の差が規定範囲内であるのかを判定し、両者間の差が規定範囲内の場合には、ステップS1bにおいて一致を検出できない場合であってもステップS2aを実行し、両者間の差が規定範囲を越えている場合には警告を発して生産を一時停止するように構成することもできる。
【0054】
同様に、ステップS2cにおいて一致を検出するまでステップS2b〜ステップS2dを繰り返し実施するものとして説明したが、ステップS2b〜ステップS2dを規定回数だけ実施してもステップS2cにおいて一致を検出できない場合には、ステップS2cにおいて比較した両者間の差が規定範囲内であるのかを判定し、両者間の差が規定範囲内の場合には、ステップS2cにおいて一致を検出できない場合であってもステップS3a,S3bを実行し、両者間の差が規定範囲を越えている場合には警告を発して生産を一時停止するように構成することもできる。
【0055】
同様に、ステップS3dにおいて一致を検出するまでステップS3a,S3b〜ステップS2eを繰り返し実施するものとして説明したが、ステップS3a,S3b〜ステップS2eを規定回数だけ実施してもステップS3dにおいて一致を検出できない場合には、ステップS3dにおいて比較した両者間の差が規定範囲内であるのかを判定し、両者間の差が規定範囲内の場合には、ステップS3dにおいて一致を検出できない場合であってもステップS4a〜S4cを実行し、両者間の差が規定範囲を越えている場合には警告を発して生産を一時停止するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、電池の電極材の様な帯状の基材に塗布された材料の乾燥のみならず、プラズマディスプレイパネルなどの塗布膜の乾燥にも適用でき、各種製品の品質の向上に寄与できる。
【符号の説明】
【0057】
1 送り出し部
2 基材
3 塗布コータ
4 乾燥炉
5 巻き取り部
6 第1乾燥ゾーン
6a 第2乾燥ゾーン
6b 最終乾燥ゾーン
9 ローラ
10 圧力室
11 吹出しノズル
12 赤外線ヒータ
13 排気口
14 給気ダンパー
15 給気ファン
16 ヒータ
17 給気ダクト
18 給気エアー
19 排気ダンパー
20 排気ダクト
21 排気ファン
23 圧力計
24A コントローラ
25 温度計
26a 排気側露点計
26b 給気側露点計
27 湿度調整器
28 膜厚計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整して前記乾燥炉に供給する第二の工程と、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する第三の工程と、
予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程と
を順に行うことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項2】
前記第四の工程は、前記計測蒸発量が、前記目標設定蒸発量に前記予め測定した塗布膜の厚さが所定の値より増減した比率を乗じた蒸発量に近づくように前記搬送速度を制御する
請求項1記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項3】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整する第二の工程と、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御する第三の工程と、
予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程と
を順に行うことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項4】
前記予め測定した塗布膜の厚さが所定の値より増減した比率を前記目標設定蒸発量に乗じた蒸発量に前記計測蒸発量が近づくように前記搬送速度を制御する
請求項3記載の塗布膜の乾燥方法。
【請求項5】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥する塗布膜の乾燥装置であって、
前記乾燥炉の内部の圧力を測定する圧力計と、
前記乾燥炉へ通気する通気手段と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度を測定する温度計と、
前記乾燥炉へ給気する前記気体の温度を調整するヒータと、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する給気露点計と、
前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する排気側露点計と、
前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する湿度調整器と、
前記基材に形成された乾燥前の塗布膜の膜厚を測定する膜厚計と、
前記乾燥炉の内部を通過するよう前記基材を搬送する走行駆動手段と、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御し、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整し、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御し、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御するコントローラと
を設けた塗布膜の乾燥装置。
【請求項6】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥する塗布膜の乾燥装置であって、
前記乾燥炉の内部の圧力を測定する圧力計と、
前記乾燥炉へ通気する通気手段と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度を測定する温度計と、
前記乾燥炉へ給気する前記気体の温度を調整するヒータと、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する給気露点計と、
前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量を測定する排気側露点計と、
前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する湿度調整器と、
前記基材に形成された乾燥前の塗布膜の膜厚を測定する膜厚計と、
前記乾燥炉の内部を通過するよう前記基材を搬送する走行駆動手段と、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御し、前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整し、前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御し、予め測定された前記塗布膜の厚さに応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御するコントローラと
を設けた塗布膜の乾燥装置。
【請求項7】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整して前記乾燥炉に供給する第二の工程と、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記乾燥炉に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量を制御する第三の工程と、
予め測定された前記塗布膜の厚さと密度に応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程と
を順に行うことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
【請求項8】
蒸発性材料を含む塗布膜を有する基材を乾燥炉を通過させて乾燥するに際し、
前記乾燥炉の内部の圧力が目標設定圧力に近づくように前記乾燥炉の通気量を制御する第一の工程と、
前記乾燥炉に供給する気体の温度が目標設定温度に近づくように前記気体の温度を調整する第二の工程と、
前記乾燥炉の内部に供給する気体に含まれる前記蒸発性材料の量と前記乾燥炉から排気される気体に含まれる前記蒸発性材料の量の差である計測蒸発量が目標設定蒸発量に近づくように前記基材の搬送速度を制御する第三の工程と、
予め測定された前記塗布膜の厚さと密度に応じて前記乾燥炉を通過する前記基材の搬送速度を制御する第四の工程と
を順に行うことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−80718(P2011−80718A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234676(P2009−234676)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】