説明

塗装金属板

【課題】連続ラインで安定的に製造でき、意匠性に優れたハンマートーン調の外観を有する塗装金属板を提供する。
【解決手段】本発明は、金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層が形成された塗装金属板であって、該クリヤー層がハンマートーン調の凹凸を有し、JIS B 0601で規定される表面粗さRaが5μm以上であり、かつ下地の金属板がクリヤー層上から透けて見えることを特徴とする意匠性に優れた塗装金属板である。ここで、前記クリヤー層は、少なくともベース樹脂、架橋剤、熱溶融性樹脂微粒子からなり、熱溶融性樹脂微粒子の表面張力がその他の塗料組成物の表面張力と異なることを利用して、塗装焼き付け工程でハンマートーン外観を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装金属板に関し、特に、壁等の屋外建材分野、AV機器や洗濯機等のOA・家電分野で、高意匠性の必要な部位に好適な塗装金属板に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき鋼板に塗装を施し、意匠性や機能を付与した塗装鋼板は、屋根や壁等の建材分野やOA・家電分野で幅広く使用されている。これら塗装鋼板は直接消費者の目に触れるため、優れた意匠性を有することが必要とされている。意匠性を有する塗装金属板の一つとしてハンマートーン外観を有する塗装金属板がある。
【0003】
ハンマートーン外観を有する塗装金属板とは、塗膜厚によって濃淡が生じるような塗料を使用し、金属面をハンマーで叩いたかのような凹凸感のある模様を塗膜表面に形成したもので、従来は小物の塗装品に使用されていたのみであった。しかし、近年、その高級感が見直され、ハンマートーン調塗装金属板への関心が高まりつつある。
【0004】
このような背景の下、ハンマートーン調塗装金属板の製造方法として、例えば特許文献1では、下塗り塗料の上に無機顔料粉末入りの中塗り塗料を塗装し、中塗り塗料が乾燥しない内に、中塗り塗料と相溶可能で、中塗り塗料より表面張力の小さい上塗り塗料を粒状にスプレーすることにより、ハンマートーン模様を表面に形成する技術が開示されている。確かにこの技術により、ハンマートーン外観を形成することは可能であるが、2つの問題点があった。第1の問題点は連続塗装ラインで製造した場合、上塗り塗料を再現良くスプレーすることが極めて難しく、綺麗な外観を安定して作り出すことが困難であること、第2の問題点は、下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の何れもが着色された塗料であり、下地の金属板が透けて見えることはなく、得られた外観はハンマートーン類似の凹凸はあるものの金属感に乏しく、本来の金属面をハンマーで叩きだした雰囲気を出すことが困難な点である。
【0005】
また、例えば特許文献2では、ハンマートーン模様を有する装飾用シートが提案されている。これは基材シートの上にプライマー層を処理し、その上にハンマートーン外観を有する装飾層を設けるものである。この装飾用シートを金属板に貼り付けることによりハンマートーン調金属板を作製することが可能なものである。確かに、この技術によりハンマートーン外観を付与することは可能であるが、ハンマートーン外観を有する装飾層の下にプライマー層と基材シートがあり、下地金属板が透けてみえる状態にはなく、意匠性の面で不十分なものであった。
【0006】
このような背景の下、連続ラインで安定的に製造でき、さらに、より意匠性に優れた金属的な外観をもつハンマートーン調の塗装金属板が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開平8−216331号公報
【特許文献2】特開平7−265785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続ラインで安定的に製造でき、意匠性に優れたハンマートーン調の外観を有する塗装金属板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、塗料としてクリヤー塗料を用い、このクリヤー塗料を1層塗装し、下地金属板が塗装の上から透けて見えるようにし、併せて表面に一定以上の凹凸を付与すると、ハンマートーン外観の金属感が高まり、より、意匠性に優れることを見いだした。また、塗料に表面張力の異なる熱溶融性樹脂を混入しておけば、塗装焼き付け工程において塗料がはじかれ、複数の塗料を重ね塗りしなくてもハンマートーン調の凹凸外観を付与できることを見いだし、本発明に至った。
【0010】
本発明の趣旨とするところは以下のとおりである。
(1) 金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層が形成された塗装金属板であって、前記クリヤー層は、ハンマートーン調の凹凸を有し、JIS B 0601で規定される表面粗さRaが5μm以上であり、前記金属板が前記クリヤー層から透けて見えることを特徴とする、塗装金属板。
(2) 前記クリヤー層は、ベース樹脂としてガラス転移温度が50℃〜80℃で数平均分子量が5000〜20000のポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてアミノ樹脂又はイソシアネート化合物を含む樹脂組成物Aと、前記樹脂組成物Aと溶融状態の表面張力が異なり、かつ、塗料の焼き付け過程で溶融する熱溶融性樹脂微粒子と、からなり、前記熱溶融性樹脂微粒子は、前記樹脂組成物Aの乾燥質量に対して0.1〜2.0質量%含まれることを特徴とする、(1)に記載の塗装金属板。
(3) 前記金属板は、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板又はめっき鋼板であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の塗装金属板。
(4) 金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層を形成する塗装金属板の製造方法であって、ベース樹脂としてガラス転移温度が50℃〜80℃で数平均分子量が5000〜20000のポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてアミノ樹脂又はイソシアネート化合物を含む樹脂組成物Aに、前記樹脂組成物Aの乾燥質量に対して0.1〜2.0質量%の熱溶融性樹脂微粒子を含有させ、クリヤー塗料を調製し、前記クリヤー塗料を、前記金属板の少なくとも片面に塗布後、乾燥焼き付けすることを特徴とする、塗装金属板の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続ラインで安定的に製造でき、下地の金属板が透けて見える状態にある意匠性に優れたハンマートーン調の外観を有する塗装金属板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の塗装金属板は、金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層を塗装したものである。本発明のクリヤー塗装を少なくとも1層のクリヤー層からなる塗装とするのは、少なくとも1層のクリヤー塗装(すなわち、塗装をクリヤー層のみ)とすることにより、下地金属板が良好に透けて見えるので、塗装金属板表面のハンマートーン調の凹凸との相乗効果により、塗装金属板に優れた意匠性を付与することができるからである。従来の2層以上の構成の塗装鋼板、即ち、着色された下塗り層や中塗り層を有するハンマートーン調の塗装鋼板と比較すると、本発明の方が金属外観に優れ、またクリヤー塗料による深み感も付与され、優れたハンマートーン調塗装金属板となる。
【0014】
従来のハンマートーン調塗装金属板は、耐食性を付与する目的から防錆顔料入りのプライマー層が必須であった。防錆顔料としてはCr系の防錆顔料が使用されることが多く、黄色味を帯びた色をしており、それを隠蔽しつつ、ハンマートーン調の凹凸と金属外観を有するトップコートを付与するというものであった。本発明は防錆顔料入りのプライマー層を設けず、ハンマートーン調の凹凸を有するクリヤー塗装を1層のみ設けて下地の金属外観を活かした新たなハンマートーン外観を付与するものである。
【0015】
本発明のハンマートーン調の凹凸は、JIS B 0601で規定される表面粗さRaが5μm以上である。5μm未満では凹凸が不十分で、ハンマートーン調の外観が得られない場合がある。より好ましくは10μm以上である。
【0016】
本発明に用いるクリヤー塗料は、主成分の樹脂組成物Aに、樹脂組成物Aと溶融状態の表面張力が異なり、塗料の焼き付け過程で溶融する熱溶融性樹脂微粒子を含んでいる。本発明の塗装金属板では、焼き付け過程で熱溶融性樹脂微粒子が溶融し、樹脂組成物Aをはじくことによって、クリヤー塗装の表面に凹部を生じさせ、優れたハンマートーン調の外観を得ることができる。
【0017】
したがって、本発明において熱溶融性樹脂微粒子の含有量は本質的に重要で、クリヤー塗料の樹脂組成物Aの乾燥質量に対して0.1〜2.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では凹部がほとんど現れず、ハンマートーン調外観に乏しい。逆に、含有量が2.0質量%を超えると樹脂組成物Aがはじかれ過ぎるため、凹部ばかりで凹凸感が小さくなり、ハンマートーン調外観に乏しい。
【0018】
本発明のクリヤー塗料に添加する熱溶融性樹脂微粒子として用いる樹脂は、溶融状態の表面張力が塗料組成物と異なり、かつ塗料の焼き付け過程で溶融する樹脂であればよい。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。また、上記熱溶融性微粒子の原料としてはワックスでもよい。
【0019】
熱溶融性樹脂微粒子の粒径は特に限定するものではないが、一般には5〜60μmの範囲が好ましい。5μm未満では凹凸感が乏しくハンマートーン調の外観が得られにくく、一方、60μm超では表面がなだらかになり、これもまた凹凸感が乏しく、ハンマートーン調の外観が得られにくい。
【0020】
本発明における熱溶融性樹脂微粒子の表面張力は、クリヤー塗料の焼き付け温度で溶融した樹脂微粒子を鋼板上に平坦にのばした後、固まった平坦な樹脂上に純水を滴下した時の樹脂と純水との接触角、即ち、純水に対する濡れ性を測定することにより、比較した。熱溶融性樹脂微粒子は、この方法で測定した表面張力が樹脂組成物Aと異なっており、熱溶融性樹脂微粒子の材質についてこれ以上に限定するものはではない。
【0021】
本発明に用いるクリヤー塗料の主成分である樹脂組成物Aは、主成分となるベース樹脂と、架橋剤とを含む。
【0022】
ベース樹脂としては、例えば、ガラス転移温度が50〜80℃で数平均分子量が5000〜20000のポリエステル樹脂を適用することができる。ベース樹脂のガラス転移温度を50〜80℃としたのは、ガラス転移温度が50℃未満又は80℃超では良好なハンマートーン外観が得られないおそれがあるからである。また、ベース樹脂の数平均分子量を5000〜20000としたのは、数平均分子量が5000未満又は20000超でも同様に良好なハンマートーン外観が得られないおそれがあるからである。
【0023】
架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂又はイソシアネート化合物を適用することができる。ここで、ポリエステル樹脂100質量部に対して架橋剤としてアミノ樹脂又はイソシアネート化合物を10〜40質量部添加すると、塗膜の硬度と加工性のバランスが良くなるため好適である。架橋剤としてのアミノ樹脂又はイソシアネート化合物は一般に公知のものを使用でき、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ブロックイソシアネート等を使用することができる。
【0024】
本発明のクリヤー塗料は、染料や顔料等で着色することができる。但し、染料や顔料の添加量は下地金属板が透けて見える程度の量に抑える必要がある。染料や顔料としては、一般に使用されているものを用いることができる。例えば、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ等である。
【0025】
本発明のクリヤー塗料に使用する溶剤は、一般に公知の溶剤を使用することができ、例えば、ソルベッソ150、キシレン、シクロヘキサノン等を用いることができる。
【0026】
本発明のクリヤー塗料には、必要に応じて透明性を損なわない範囲で公知の添加剤を使用してもよい。例えば、体質顔料、表面平滑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、粘度調整剤、硬化触媒、顔料分散剤、顔料沈降防止剤、色別れ防止剤、可塑剤、ワックス、シランカップリング剤、シリカゾル等を用いることができる。
【0027】
本発明の下地金属板としては、特に限定するものではないが、ハンマートーン調の凹凸外観を有するクリヤー層を通して観たときに意匠性に優れるものが好適である。このようなものとしては、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板、めっき鋼板を挙げることができる。ステンレス鋼板は、特に限定するものではなく、フェライト系ステンレス鋼板、マルテンサイト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板等が挙げられる。ステンレス鋼板の表面状態も、特に限定するものではなく、様々な処理のものを使用することができる。例えば、ヘアーライン処理、2B処理、BA処理等である。
【0028】
アルミニウム合金板は、特に限定するものではなく、JIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Al−Zn系)等が挙げられる。
【0029】
めっき鋼板は、特に限定するものではなく、公知のめっき鋼板を使用できる。例えば、Znめっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Si合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg−Si合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板等を挙げることができる。
【0030】
本発明の下地金属板にクリヤー塗装を処理する前に、必要に応じて化成処理を施してもよい。化成処理はクリヤー塗装と下地金属板の密着性をより強固なものとすることと、耐食性を向上させることを目的として処理される。化成処理としては公知の技術が使用でき、例えば、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、シランカップリング処理、複合酸化被膜処理、タンニン酸系処理、チタニア系処理、ジルコニア系処理、これらの混合処理等が挙げられる。
【0031】
本発明のクリヤー塗装の膜厚は特に限定するものではないが、好ましくは1μm以上、25μm以下である。1μm未満では凹凸感が乏しく、ハンマートーン調の外観が不十分である。一方、25μm超では、焼き付け時に塗料が揮発し難くなるため、ワキと呼ばれる現象が起こり外観が劣るようになるので好ましくない。より好ましくは5〜15μmである。
【0032】
本発明のハンマートーン調の外観を有するクリヤー層の塗装方法は、特に限定するものではなく、例えば、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ブレードコーター、多層コーター等を挙げることができる。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外、等の加熱によって乾燥・硬化される。加熱時に溶融した熱溶融性樹脂微粒子と周囲の塗料とのはじき現象により、ハンマートーン調の外観が付与される。
【0033】
また、本発明において、ハンマートーン調の凹凸を形成する方法としては、上述した熱溶融性樹脂微粒子を用いる方法の他に以下の方法もある。すなわち、例えば、金属板の上にクリヤー塗料を塗布し、クリヤー塗料が未乾燥の状態である間に、該クリヤー塗料の上に密度が0.8g/cm以上の溶剤をスプレーして、溶剤とクリヤー塗料との間のハジキ現象を利用して、ハンマートーン調の凹凸を形成する。その後、乾燥・焼き付けすると、ハンマートーン外観を有するクリヤー塗装金属板を作製することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0035】
下地金属板としては、ステンレス鋼板(SUS430 BA処理材)、アルミニウム合金板(JIS A3005)、55%Al−Znめっき鋼板を用いた。
【0036】
クリヤー塗料としては、ベース樹脂に種々のガラス転移温度(40℃、51℃、55℃、78℃、85℃)と数平均分子量(4000、5000、19000、23000)のポリエステル樹脂を使用し、ポリエステル樹脂100質量部に対して架橋剤としてメラミン樹脂を20質量部配合し、これらに各種熱溶融性樹脂微粒子(ポリエステル、ポリエチレン、アクリル、ふっ素、ポリプロピレン、ポリアミド、ナイロン)を添加したものを使用した。
【0037】
クリヤー塗料は、下地金属板の上にバーコーターで塗装し、230℃に1分間で到達する条件で焼き付けることにより、塗装金属板を作製した。なお、塗装膜厚は10μmとした。
【0038】
プライマー塗料として、酸化チタンを50質量%添加して白に着色して、下地金属板が透けて見えないように2コート塗装したものも作製した。即ち、プライマー塗料を5μm塗装し、その上に、上記と同様にクリヤー塗料を塗装して、2コート塗装金属板を作製した。
【0039】
ベース樹脂と熱溶融性樹脂微粒子の表面張力差としての接触角は、協和界面科学(株)製CA−A型接触角計で測定した。なお、熱溶融性樹脂微粒子の接触角の測定は、予め平坦な金属板上で熱溶融させ、平滑な表面を作製してから測定した。
【0040】
クリヤー塗装金属板の表面粗さRaは、東京精密(株)製サーフコム750A−3D型表面粗さ・輪郭形状測定機で測定した。
【0041】
作製した塗装金属板のハンマートーン外観は、表1に示す意匠性の評価基準で評価し、○以上を合格とした。
【0042】
【表1】

【0043】
意匠性の評価結果を表2〜表4に示す。表2〜表4より、本発明の範囲の、Raが5μm以上で、ハンマートーン調の凹凸を有し、さらに下地の塗装金属板が透けて見える1層のクリヤー塗装を有する塗装金属板が、優れた意匠性を有することが判る。一方、プライマー層を設けた2コート仕様の塗装金属板は、ハンマートーン外観に劣る結果となった。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】


【0046】
【表4】

【0047】
このように、本発明の塗装金属板は意匠性に優れ、壁等の建材用、オーディオや洗濯機等のOA・家電機器用として好適なものである。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層が形成された塗装金属板であって、
前記クリヤー層は、ハンマートーン調の凹凸を有し、JIS B 0601で規定される表面粗さRaが5μm以上であり、
前記金属板が前記クリヤー層上から透けて見えることを特徴とする、塗装金属板。
【請求項2】
前記クリヤー層は、
ベース樹脂としてガラス転移温度が50℃〜80℃で数平均分子量が5000〜20000のポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてアミノ樹脂又はイソシアネート化合物を含む樹脂組成物Aと、
前記樹脂組成物Aと溶融状態の表面張力が異なり、かつ、塗料の焼き付け過程で溶融する熱溶融性樹脂微粒子と、
からなり、
前記熱溶融性樹脂微粒子は、前記樹脂組成物Aの乾燥質量に対して0.1〜2.0質量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載の塗装金属板。
【請求項3】
前記金属板は、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板又はめっき鋼板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗装金属板。
【請求項4】
金属板の少なくとも片面に、少なくとも1層のクリヤー層を形成する塗装金属板の製造方法であって、
ベース樹脂としてガラス転移温度が50℃〜80℃で数平均分子量が5000〜20000のポリエステル樹脂、及び、架橋剤としてアミノ樹脂又はイソシアネート化合物を含む樹脂組成物Aに、前記樹脂組成物Aの乾燥質量に対して0.1〜2.0質量%の熱溶融性樹脂微粒子を含有させ、クリヤー塗料を調製し、
前記クリヤー塗料を、前記金属板の少なくとも片面に塗布後、乾燥焼き付けすることを特徴とする、塗装金属板の製造方法。

【公開番号】特開2008−62480(P2008−62480A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242010(P2006−242010)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】