説明

増幅回路、その起動方法、およびそれらを用いたオーディオ再生装置ならびに電子機器

【課題】ミュート解除時のノイズを抑制する。
【解決手段】増幅部10は、カップリングキャパシタC1を介して入力されたオーディオ信号S1を増幅する。充電回路20は、増幅部10の入力端子102に接続されるカップリングキャパシタC1の一端を充電する。電流検出部40は、充電回路20からカップリングキャパシタC1に対する充電電流Icをモニタする。バイパススイッチSW1は、増幅部10の出力端子側の第1ノードN1と、増幅部10の入力端子102側の第2ノードN2との間に設けられる。バイパススイッチSW1は、電流検出部40により充電電流Icが所定のしきい値より小さくなったことが検出されると、オンからオフに切りかえられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号を増幅する増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器においては、微弱な電気信号であるオーディオ信号を増幅してスピーカやイヤホンなどの電気音響変換素子に対して出力する。こうしたオーディオ機器では、数Hz〜数十kHzの可聴帯域の交流成分を含むアナログオーディオ信号(以下、単にオーディオ信号という)に対して、増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどの所望の信号処理を行う信号処理回路が搭載される。
【0003】
オーディオ信号が信号処理回路に対して入力される経路上には、直流防止用のカップリングキャパシタが設けられる。このカップリングキャパシタは、オーディオ信号の低周波成分を十分に通過させるためにサブμF以上という大容量が必要とされる。
【0004】
一方、信号処理回路の初段には、入力インピーダンスを高くするために、増幅回路(増幅装置)が設けられる。この増幅回路は、所定のバイアス電位を基準として、オーディオ信号を増幅する。したがって、増幅回路の入力端子は所定のバイアス電位にバイアスされ、処理の対象となるオーディオ信号は、カップリングキャパシタを介して入力端子にカップリングされ、オーディオ信号がバイアス電位と重畳される。
【0005】
特許文献2の図2には、入力抵抗および帰還抵抗(RI1、RF1)、演算増幅器(116)、抵抗(RF1)に対して並列に設けられたスイッチ(122)を備えた増幅回路(102)が開示される。この増幅回路(102)は、立ち上げ直後においては、スイッチ(122)がオンされてボルテージフォロア(バッファ)として機能するためミュート状態となる。その後スイッチ(122)をオフすることで反転増幅器として機能する。この回路には、演算増幅器(116)の非反転入力端子に印加されるバイアス電圧をしきい値電圧と比較するコンパレータ(130)が設けられ、バイアス電圧が所定値に達したことを契機として、スイッチ(122)をオン状態からオフ状態へと切りかえ、アクティブ状態とする。特許文献3の技術では、コンパレータ(130)の後段に遅延回路(147)を設け、バイアス電圧がしきい値電圧に達してから、所定の時間経過した後に、スイッチ(122)をオン状態からオフ状態へと切りかえる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−258559号公報
【特許文献2】米国特許第5939938号明細書
【特許文献3】米国特許第6346854号明細書
【特許文献4】特開2008−148147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイッチ(122)をオンした状態で、バイアス電圧を立ち上げると、演算増幅器(116)の出力端子(117)および入力端子(119)の電位は、バイアス電圧に追従して増加するが、出力端子(117)の電位は、入力端子(119)の電位よりも遅れて上昇する。したがって、バイアス電圧が所定値に達したタイミングにおいては、出力端子(117)の電位は所定値には達していない。このタイミングでスイッチ(122)をオフしてミュート状態を解除すると、スピーカからノイズが出力されてしまう。
【0008】
特許文献3の技術は、コンパレータ(130)の出力を遅延させることにより、出力端子(117)の電位が所定値に達するのを待って、スイッチ(122)をオフするものである。特許文献3の技術によればノイズの発生は抑制されるが、非常に長い遅延時間を要するため、規模の大きな遅延回路が必要となる。
【0009】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その包括的な目的のひとつは、ミュート解除時のノイズを抑制した増幅回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1. 本発明のある態様は増幅回路に関する。増幅回路は、反転増幅器と、電圧監視部と、バイパススイッチを備える。反転増幅器は、カップリングキャパシタを介して入力された入力電圧を反転増幅する。この反転増幅器は、非反転入力端子にバイアス電圧が印加された演算増幅器と、演算増幅器の反転入力端子とカップリングキャパシタの間に設けられた入力抵抗と、演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に設けられた帰還抵抗と、を含む。電圧検出部は、入力抵抗の演算増幅器側の一端の電圧を監視する。バイパススイッチは反転増幅器の出力端子側の第1ノードと、反転増幅器の入力端子側の第2ノードとの間に設けられる。バイパススイッチは、電圧検出部により監視対象の電圧が所定のしきい値電圧より高くなったことが検出されると、オンからオフに切りかえられる。
【0011】
本明細書において「増幅」とは、利得が1より大きい場合のほか、1より小さい場合、すなわち「減衰」も含み、あるいは利得が1の場合(単なるインピーダンス変換)も含む。バイパススイッチがオンのとき、演算増幅器およびバイパススイッチがボルテージフォロア回路を形成するため、増幅部の出力電位が直流的に固定されてミュート状態が実現される。バイパススイッチがオフすると、増幅部は反転増幅器として機能し、入力されたオーディオ信号を増幅するアクティブ状態となる。この態様において、カップリングキャパシタに対する充電にともない、第2抵抗の演算増幅器側の一端の電圧は徐々に高くなる。そこでこの電圧が十分に高くなったことを契機として、バイパススイッチをオンからオフに切りかえることにより、ノイズの発生を抑制しつつ、ミュート状態を解除することができる。
【0012】
ある態様の増幅回路は、入力抵抗と帰還抵抗との接続ノードと演算増幅器の反転入力端子の間に設けられた入力スイッチをさらに備えてもよい。入力スイッチは、バイパススイッチと相補的にオン、オフが制御されてもよい。
この場合、カップリングキャパシタの一端の電位が急激に変動しても、その変動が入力スイッチで遮断されるため、増幅回路からノイズが出力されるのを防止できる。
【0013】
2. 本発明のある態様も、増幅回路に関する。増幅回路は、カップリングキャパシタを介して入力された信号を増幅する増幅部と、増幅部の入力端子に接続されるカップリングキャパシタの一端を充電する充電回路と、充電回路からカップリングキャパシタに対する充電電流をモニタする電流検出部と、増幅部の出力端子側の第1ノードと、増幅部の入力端子側の第2ノードとの間に設けられたバイパススイッチと、を備える。バイパススイッチは、電流検出部により充電電流が所定のしきい値より小さくなったことが検出されると、オンからオフに切りかえられる。
この態様において、カップリングキャパシタに対する充電が完了すると、充電回路からの充電電流が実質的にゼロとなる。そこで、充電電流がゼロ付近まで低下したことを契機として、バイパススイッチをオンからオフに切りかえることにより、ノイズの発生を抑制しつつ、ミュート状態を解除することができる。
【0014】
増幅部は、非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加された演算増幅器と、演算増幅器の反転入力端子とカップリングキャパシタの間に設けられた入力抵抗と、演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に設けられた帰還抵抗と、を含む反転増幅器であってもよい。バイパススイッチは、演算増幅器の反転入力端子と出力端子の間に設けられてもよい。充電回路は、入力抵抗と帰還抵抗との接続ノードに充電電流を供給するよう構成されてもよい。
この態様では、バイパススイッチがオンのとき、演算増幅器およびバイパススイッチがボルテージフォロア回路を形成するため、増幅部の出力電位が直流的に固定されてミュート状態が実現される。バイパススイッチがオフすると、増幅部は反転増幅器として機能し、入力されたオーディオ信号を増幅するアクティブ状態となる。
【0015】
ある態様の増幅回路は、入力抵抗と帰還抵抗との接続ノードと演算増幅器の反転入力端子の間に設けられた入力スイッチをさらに備えてもよい。入力スイッチのオン、オフ状態は、バイパススイッチと相補的に制御されてもよい。
この場合、カップリングキャパシタの一端の電位が急激に変動しても、その変動が入力スイッチで遮断されるため、増幅部からノイズが出力されるを防止できる。
【0016】
充電回路は、出力端子がカップリングキャパシタの一端に直接的もしくは間接的に接続されたボルテージフォロア回路を含んでもよい。
【0017】
充電回路は、出力端子がカップリングキャパシタの一端もしくは入力抵抗の一端に接続されたボルテージフォロア回路を含んでもよい。ボルテージフォロア回路の入力電圧は、バイアス電圧であってもよい。
この場合、ミュート状態において、増幅部の出力電圧をバイアス電圧に設定すると同時に、カップリングキャパシタの一端をバイアス電圧にて充電することができるため、回路内の各ノードの電位を、共通のバイアス電圧を用いて制御することができる。
【0018】
増幅部は、演算増幅器を含んでもよい。バイパススイッチは、演算増幅器の出力端子とカップリングキャパシタの一端の間に設けられてもよい。充電回路は、演算増幅器およびバイパススイッチを用いて構成されており、バイパススイッチがオンした状態において、演算増幅器の出力電流を利用してカップリングキャパシタを充電するように構成されてもよい。
この態様では、増幅部の演算増幅器のソース・シンク電流によってカップリングキャパシタを充電することができる。また増幅部の演算増幅器およびミュート用のバイパススイッチを利用して充電回路を構成できるため、回路面積を削減できる。
【0019】
充電回路は、2つの固定電圧端子の間に直列に設けられた第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むプッシュプル形式の出力段を含んでもよい。電流検出部は、第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタそれぞれに対してカレントミラー回路を形成するよう接続された第2ハイサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタを含んでもよい。バイパススイッチのオン、オフは、第2ハイサイドトランジスタと第2ローサイドトランジスタの接続点からはき出される電流に応じた電圧を、しきい値に応じたしきい値電圧と比較した結果に応じて制御されてもよい。
【0020】
増幅部の前記演算増幅器は、2つの固定電圧端子の間に直列に設けられた第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むプッシュプル形式の出力段を含んでもよい。電流検出部は、第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタそれぞれに対してカレントミラー回路を形成するよう接続された第2ハイサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタを含んでもよい。バイパススイッチのオン、オフは、第2ハイサイドトランジスタと第2ローサイドトランジスタの接続点からはき出される電流に応じた電圧を、しきい値に応じたしきい値電圧と比較した結果に応じて制御されてもよい。
【0021】
電流検出部は、充電電流の経路上に設けられた検出抵抗と、検出抵抗の電圧降下を、所定のしきい値電圧と比較するコンパレータと、を含んでもよい。バイパススイッチのオン、オフは、コンパレータの出力信号にもとづいて制御されてもよい。
またこの態様において、充電回路は、その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が入力され、その反転入力端子に検出抵抗のカップリングキャパシタ側の電位がフィードバックされた演算増幅器を含んでもよい。この場合、検出抵抗が設けられないときと同様に、カップリングキャパシタを充電できる。
【0022】
電流検出部は、充電電流の経路上に設けられた検出トランジスタに対してカレントミラー回路を形成するよう接続されたレプリカトランジスタを含んでもよい。バイパススイッチのオン、オフは、レプリカトランジスタに流れる電流に応じた電圧を、しきい値に応じたしきい値電圧と比較した結果に応じて制御されてもよい。
【0023】
ある態様の増幅回路は、演算増幅器、充電回路、電流検出部およびバイパススイッチがひとつの半導体基板に一体集積化され、入力抵抗、帰還抵抗は、半導体基板に外付けされてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、オーディオ再生装置である。この装置は、アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行するオーディオ処理回路と、オーディオ信号生成部とオーディオ処理回路との間に設けられたカップリングキャパシタと、オーディオ処理回路の出力信号を出力する音声出力部と、を備える。オーディオ処理回路は、オーディオ信号を増幅する上述のいずれかの態様の増幅回路を含む。
この態様によると、上述した充電回路による充電作用によって、オーディオ処理回路の起動に要する時間が短縮されるため、オーディオ信号を音声出力部から出力するまでの時間を短縮できる。また、バイパススイッチを好適なタイミングでオンからオフへと切りかえることができるためノイズの発生を抑制できる。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、上述のオーディオ再生装置を備える。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、カップリングキャパシタを介して入力されたオーディオ信号を増幅する増幅回路の起動方法に関する。この方法は、増幅回路をミュート状態に設定するステップと、カップリングキャパシタを所定のバイアス電圧に達するまで充電するステップと、カップリングキャパシタに対する充電電流をモニタし、充電電流が所定のしきい値より小さくなったことを検出すると、増幅回路のミュート状態を解除するステップと、を備える。
ある態様において、ミュート状態に設定するステップは、増幅回路の出力端子側の第1ノードと、増幅回路の入力端子側の第2ノードとの間に設けられたバイパススイッチをオンするステップを含んでもよい。ミュート状態を解除するステップは、バイパススイッチをオンからオフに切りかえるステップを含んでもよい。
【0027】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る増幅回路によれば、起動時間を短縮でき、さらにミュート解除時のノイズを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態に係る増幅回路を備えるオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】増幅回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、電流検出部の構成例を示す回路図である。
【図4】第2の実施の形態に係る増幅回路の構成を示す回路図である。
【図5】図4の増幅回路の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0031】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る増幅回路100を備えるオーディオ再生装置300の構成を示すブロック図である。オーディオ再生装置300は、オーディオ信号(音声信号)を出力する機能を有し、携帯電話端末、ポータブルオーディオプレイヤ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子機器に搭載される。オーディオ再生装置300は、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210、音声出力部220を備える。
【0033】
オーディオ信号生成部210は、アナログのオーディオ信号S1を生成し、出力端子202から出力する。オーディオ信号生成部210により生成されるオーディオ信号S1は、電子機器に応じて異なっており、オーディオプレイヤの場合音楽やビープ音であり、携帯電話端末の場合、着信音、通話相手、その他の音声などである。
【0034】
オーディオ管理IC200は、オーディオ信号S1に対して所定の信号処理を実行するオーディオ処理回路として機能する。所定の信号処理は、電子機器に応じて異なっており、たとえば増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどが例示される。オーディオ管理IC200はひとつの半導体基板上に一体集積化されるのが好ましい。
【0035】
カップリングキャパシタC1は、オーディオ信号生成部210とオーディオ管理IC200との間に設けられる。音声出力部220は、スピーカ、ヘッドホン、イヤホンなどの電気音響変換素子であり、オーディオ管理IC200の出力信号S2をカップリングキャパシタC2を介して受け、これを音響信号に変換して出力する。
【0036】
オーディオ管理IC200は、増幅回路100を含む。図1ではオーディオ管理IC200が増幅回路100そのものであるが、実際にはオーディオ管理IC200は増幅回路100以外の図示しない回路ブロックを含んでも良い。
【0037】
増幅回路100は、オーディオ管理IC200の初段に設けられており、オーディオ管理IC200の入力バッファとしても機能する。また増幅回路100は、オーディオ信号S1をバイアス電位Vbiasに重畳する。つまり、オーディオ管理IC200の内部において、オーディオ信号S1は、バイアス電圧Vbiasを中心として振動する。バイアス電圧Vbiasは、オーディオ管理IC200に供給される電源電圧Vddと接地電位の中点Vdd/2に設定される。
【0038】
図1では、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210は別個のICとして構成されるが、同一のICとして構成されてもよい。同一のICとして構成される場合であっても、カップリングキャパシタC1は容量値が大きいため、外付けのチップ部品が利用されるため、出力端子202および入力端子102に対応する端子を設ける必要がある。
【0039】
以上がオーディオ再生装置300の全体構成である。続いて増幅回路100の構成を説明する。
【0040】
増幅回路100は、増幅部10、充電回路20、制御部30、電流検出部40、バイパススイッチSW1を備える。
【0041】
増幅部10は、カップリングキャパシタC1を介して入力されたオーディオ信号S1を増幅する。たとえば増幅部10は、後述するように反転増幅器であるが、本発明はこれに限定されず、非反転増幅器であってもよいし、単なるボルテージフォロア(バッファ)であってもよい。
【0042】
バイパススイッチSW1は、増幅部10の出力端子側の第1ノードN1と、増幅部10の入力端子側の第2ノードN2との間に設けられる。制御部30は、バイパススイッチSW1のオン、オフ状態を制御する。
【0043】
本実施の形態に係る増幅回路100は、充電回路20が設けられる点を一つの特徴とする。充電回路20は、充電電流Icを供給することにより、増幅部10の入力端子に接続されるカップリングキャパシタC1の一端102を充電する。充電回路20は、入力端子102の電位がバイアス電圧Vbiasに達するまで、充電電流Icを供給する。
【0044】
さらに図1の増幅回路100は、電流検出部40が設けられていることを特徴のひとつとしている。電流検出部40は、充電回路20からカップリングキャパシタC1に対する充電電流Icをモニタする。制御部30は、電流検出部40により充電電流Icが所定のしきい値より小さくなったことが検出されると、バイパススイッチSW1をオンからオフに切りかえる。
【0045】
以上が増幅回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0046】
オーディオ再生装置300の電源投入時、あるいはスタンバイ状態からの復帰時(以下、単に起動時という)において、入力端子102の電位は接地電位(0V)となっている。オーディオ再生装置300が起動すると、制御部30は、バイパススイッチSW1をオンする。さらに充電回路20がアクティブとなり、充電電流IcによってカップリングキャパシタC1の一端102が充電される。
【0047】
図1の増幅回路100によれば、カップリングキャパシタC1を、バイパススイッチSW1を介した増幅部10の出力電流(ソース電流)に加えて、充電回路20からの充電電流Icを利用して充電する。
【0048】
起動時にバイパススイッチSW1がオンしたミュート状態では、増幅部10の出力ノードN1の電位は、バイアス電圧Vbiasに固定されるが、バイパススイッチSW1がオフした後はミュート解除状態(アクティブ状態)となり、増幅部10は、オーディオ信号S1を増幅して音声出力部220へと出力可能となる。
【0049】
図1の増幅回路100において、カップリングキャパシタC1に対する充電が完了すると、充電回路20からの充電電流Icが実質的にゼロとなる。充電電流Icがゼロの状態では、カップリングキャパシタC1の両端の電位および増幅部10の出力端子N1の電位は実質的に等しいため、充電電流Icが十分に低下した状態でバイパススイッチSW1をオンからオフに切りかえても、ノイズは発生せず、あるいは発生したとしても極めて微弱なレベルとなる。
増幅回路100によれば、電流検出部40を用いて充電電流Icがゼロ付近まで低下したことを検出し、検出を契機としてバイパススイッチSW1をオンからオフに切りかえることにより、ノイズの発生を抑制しつつ、ミュート状態を解除することができる。
【0050】
以上が増幅回路100の動作である。本発明は図1から把握されるあらゆる態様に及ぶものであるが、以下では、具体的な増幅回路100の構成例を説明する。
【0051】
図2は、増幅回路100の具体的な構成例を示す回路図である。
【0052】
バイアス回路50は、キャパシタC3、抵抗R3、R4を含む。抵抗R3およびR4は、電源端子Vddと接地端子の間に直列に設けられる。抵抗R3とR4の接続点には、キャパシタC3が接続されている。バイアス回路50は、抵抗R3とR4の接続点の電位を、バイアス電圧Vbiasとして出力する。ここでバイアス電圧Vbiasは、
Vbias=R4/(R3+R4)×Vdd
で与えられる。R3=R4のとき、Vbias=Vdd/2が成立する。
【0053】
増幅部10は、演算増幅器12、帰還抵抗R1、入力抵抗R2を含む反転増幅器である。演算増幅器12の非反転入力端子(+)には、バイアス電圧Vbiasが印加される。入力抵抗R2は、演算増幅器12の反転入力端子(−)とカップリングキャパシタC1の間に設けられる。帰還抵抗R1は、演算増幅器12の出力端子と反転入力端子(−)との間に設けられる。
【0054】
増幅部10の出力信号S2の電圧をV2、入力オーディオ信号S1の電圧振幅をV1とすると、
V2=Vbias+(Vbias−V1)×R1/R2 …(1)
が成り立つ。
【0055】
演算増幅器12の出力端子は、出力パッド104と接続されている。出力パッド104は、カップリングキャパシタC2を介して音声出力部220と接続される。
【0056】
図2の増幅回路100において、バイパススイッチSW1は、演算増幅器12の反転入力端子(−)と出力端子の間に設けられる。つまり、図1の第1ノードN1および第2ノードN2はそれぞれ、図2の演算増幅器12の出力端子および反転入力端子に対応する。
【0057】
図2の構成において、充電回路20は入力抵抗R2と帰還抵抗R1との接続ノードN3(つまりオーディオ管理IC200の入力端子102)に充電電流Icを供給するように構成される。たとえば充電回路20は、ボルテージフォロア回路である。充電回路20は、その出力端子とその反転入力端子が結線され、その非反転入力端子にバイアス電圧Vbiasが印加された演算増幅器22を含む。なお充電回路20の構成は図2のそれには限定されず、ノードN3に電流を供給する電流源や抵抗で構成してもよい。
【0058】
入力スイッチSW2は、入力抵抗R2と帰還抵抗R1との接続ノードN3と、演算増幅器12の反転入力端子N2の間に設けられる。制御部30は入力スイッチSW2のオン、オフ状態を、実質的にバイパススイッチSW1と相補的に切りかえる。
【0059】
増幅回路100の構成要素のうち、演算増幅器12、バイパススイッチSW1、充電回路20、制御部30、電流検出部40、入力スイッチSW2はオーディオ管理IC200としてひとつの半導体基板上に集積化されており、帰還抵抗R1および入力抵抗R2はオーディオ管理IC200に外付けされる。帰還抵抗R1、入力抵抗R2を外付けすることにより、演算増幅器12の増幅率を好適に調節できる。
【0060】
電流検出部40は充電電流Icを検出する。電流検出部40は、充電電流Icが所定のしきい値Ith以下に低下すると、検出信号S3をアサートする。遅延回路42は、検出信号S3を所定時間だけ遅延させる。制御部30は遅延された検出信号S4を監視し、検出信号S4がアサートされると、バイパススイッチSW1をオン状態からオフ状態へ、入力スイッチSW2をオフ状態からオン状態へ切りかえる。
【0061】
なお、充電電流Icと比較されるしきい値Ithを十分にゼロに近づけることが可能な場合、検出信号S3がアサートされるタイミングと、カップリングキャパシタC1の充電が完了するタイミングは一致するため、遅延回路42は省略してもよい。
【0062】
もし、あまりゼロに近くないしきい値Ithを充電電流Icと比較する場合、検出信号S3がアサートされてからある期間τの経過後に、カップリングキャパシタC1の充電が完了することになろう。したがって遅延回路42を設け、その遅延時間をτより長く設定することにより、充電電流Icと比較されるしきい値Ithを有る程度大きくすることができるため、アナログ信号処理の設計の難易度を緩和することができる。
【0063】
以上が図2の増幅回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0064】
起動時に制御部30はバイパススイッチSW1をオン、入力スイッチSW2をオフする。このとき、充電回路20の演算増幅器22において、反転入力端子と非反転入力端子間のイマジナリショートが成り立つから、ノードN3の電位がバイアス電圧Vbiasと一致するように、充電電流IcがカップリングキャパシタC1に供給される。
【0065】
このとき演算増幅器12はボルテージフォロア回路として機能するため、演算増幅器12の出力端子および反転入力端子、非反転入力端子も、バイアス電圧Vbiasに安定化される。
【0066】
オーディオ管理IC200の電源が投入されると、電源電圧Vddが上昇する。その結果、バイアス回路50により生成されるバイアス電圧Vbiasが、初期値の0Vからその目標値であるVdd/2に向かって上昇し始める。バイアス電圧Vbiasの上昇にともない、充電回路20の出力端子の電位、つまり接続ノードN3の電位が上昇し、カップリングキャパシタC1が充電される。
【0067】
カップリングキャパシタC1に対する充電電流Icは、ノードN3の電位がVdd/2に近くなるほど小さくなり、ノードN3の電位がVdd/2に達すると、充電が停止するため、充電電流Icは実質的に0となる。電流検出部40は、充電電流Icをしきい値Ithと比較し、Ic<Ithを検出すると検出信号S3をアサートする。その結果、バイパススイッチSW1を適切なタイミングでオンからオフに切りかえることができ、増幅部10が反転増幅器として機能するように回路形式が変更される。またこのとき、入力スイッチSW2がオンすることにより、演算増幅器12にオーディオ信号S1が提供される。
【0068】
図2の増幅回路100は、演算増幅器12に対するバイアス電圧Vbiasと演算増幅器22に対するバイアス電圧Vbiasを共通化することにより、増幅回路100内の実質的にすべてのノードの電位がバイアス電圧Vbias(=Vdd/2)に設定される。したがって、バイパススイッチSW1、入力スイッチSW2のオンオフを切りかえても電位の急峻な変動が発生しないため、ノイズを好適に抑制することができる。
【0069】
さらに、入力スイッチSW2を設け、カップリングキャパシタC1の充電中にオフ状態としておくことにより、カップリングキャパシタC1の一端の電位が急激に変動しても、その変動を入力スイッチSW2により遮断できるため、増幅部10からノイズが出力されるを防止できる。なお、入力スイッチSW2を設けない構成としても、ノイズが十分に小さい場合には、それを省略して回路面積を縮小してもよい。
【0070】
図3(a)〜(c)は、電流検出部40の構成例を示す回路図である。
図3(a)を参照する。図2のように充電回路20を演算増幅器22を用いて構成した場合には、充電回路20の出力段は、2つの固定電圧端子VddおよびGNDの間に直列に設けられた第1ハイサイドトランジスタMH1および第1ローサイドトランジスタML1を含むプッシュプル形式となる。
【0071】
電流検出部40は、第2ハイサイドトランジスタMH2、第2ローサイドトランジスタML2、電流電圧変換回路44、コンパレータ48を含む。
【0072】
第2ハイサイドトランジスタMH2および第2ローサイドトランジスタML2はそれぞれ、第1ハイサイドトランジスタMH1および第1ローサイドトランジスタML1に対してカレントミラー回路を形成するように接続されている。ミラー比を1:nとすれば、第2ハイサイドトランジスタMH2と第2ローサイドトランジスタML2との接続ノードN4からは、充電回路20の出力電流Io(つまり充電電流Ic)の1/n倍の検出電流(レプリカ電流)Isが出力される。
【0073】
電流電圧変換回路44は、検出電流Isを検出電圧Vsに変換する。たとえば電流電圧変換回路44は、検出電流Isの経路上に設けられた第3トランジスタM3と、第3トランジスタM3に対してカレントミラー回路を形成するように接続された第4トランジスタM4と、第4トランジスタM4に流れる電流を電圧に変換するインピーダンス回路46を含む。インピーダンス回路46としては、電流源や抵抗が好適に利用できる。
【0074】
コンパレータ48は、検出電圧Vsをしきい値Ithに対応するしきい値電圧Vthと比較する。もっとも簡易にはコンパレータ48は、インバータを用いて構成することができ、あるいは差動アンプを利用して構成してもよい。
【0075】
図3(b)を参照する。図3(b)の回路では、充電回路20の出力端子からカップリングキャパシタC1の一端に至る経路上(つまり充電電流Icの経路上)に、検出抵抗Rsが設けられる。コンパレータ49は、検出抵抗Rsに生ずる電圧降下ΔV(=Rs×Ic)を、所定のしきい値電圧Vth(=Rs×Ith)と比較する。コンパレータ49は、入力オフセットを有するコンパレータを利用してもよい。
【0076】
図3(c)は、図3(b)の変形例である。図3(b)と(c)とでは、演算増幅器22に対する帰還点の位置が異なっている。すなわち、図3(b)では、演算増幅器22の出力電圧そのものがフィードバックされているのに対して、図3(c)では、入力抵抗R2が接続される入力端子102の電位がフィードバックされている。
【0077】
図3(b)の構成では、検出抵抗Rsに生ずる電圧降下ΔVが、カップリングキャパシタC1に対する充電プロセスに影響を及ぼす。これに対して、図3(c)の構成では、充電回路20は入力端子102の電位がバイアス電位Vbiasと一致するようにカップリングキャパシタC1を充電するため、検出抵抗Rsが充電プロセスに与える影響を排除しつつ、充電電流Icの値を検出できる。
【0078】
図3(a)、(b)の回路によれば、充電電流Icをしきい値Ithと好適に比較することができる。
【0079】
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0080】
図1、図2の構成では、増幅部10とは別に充電回路20を設ける場合を説明したが、増幅部10を充電回路20として利用する構成としてもよい。この場合の構成としては、以下の実施の形態が例示される。
【0081】
図2の回路において、充電回路20および入力スイッチSW2を省略する。この構成では、バイパススイッチSW1がオンした状態で、演算増幅器12およびバイパススイッチSW1がボルテージフォロア回路として機能し、ノードN3をバイアス電圧Vbiasによって充電することができる。
【0082】
この実施の形態において、電流検出部40は、図3(a)の構成としてもよい。この場合、第2ハイサイドトランジスタMH2および第2ハイサイドトランジスタMH2は、演算増幅器12の出力段に設けられた第1ハイサイドトランジスタMH1および第1ローサイドトランジスタML1に対して、カレントミラー回路を構成するように接続される。
【0083】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、充電回路からカップリングキャパシタに対する充電電流に応じて、バイパススイッチのオンオフを制御した。これに対して第2の実施の形態では、入力抵抗R2の増幅部10側の一端(N3)つまり入力端子102の電位Viにもとづいてバイパススイッチのオンオフを制御する。
【0084】
図4は、第2の実施の形態に係る増幅回路100aの構成を示す回路図である。図4の増幅回路100aは、図1の増幅回路100の電流検出部40に代えて、電圧検出部60を備える。また充電回路20が省略されている。
【0085】
電圧検出部60は、入力端子102に生ずる電圧Viを監視する。そして電圧Viが所定のしきい値電圧に達すると、検出信号S3をアサートする。その他の構成は図2と同様である。しきい値電圧Vthは、バイアス電圧Vbiasの目標電圧(Vdd/2)よりわずかに低い値に設定される。
【0086】
図5は、図4の増幅回路100aの動作を示すタイムチャートである。時刻t0にオーディオ管理IC200の電源が投入されると、電源電圧Vddが上昇する。その結果、バイアス回路50により生成されるバイアス電圧Vbiasが、初期値の0Vからその目標値であるVdd/2に向かって上昇し始める。
【0087】
このとき、バイパススイッチSW1はオン、入力スイッチSW2はオフしている。バイパススイッチSW1がオンしているため、演算増幅器12はボルテージフォロアとして機能し、その出力信号S2の電圧は、バイアス電圧Vbiasとほぼ等しくなる。ボルテージフォロアの出力は、帰還抵抗R1、入力抵抗R2を介してカップリングキャパシタC1とカップリングされているため、カップリングキャパシタC1はボルテージフォロア(12)によって充電される。入力端子102に生ずる入力電圧Viは、帰還抵抗R1と入力抵抗R2の合成抵抗(R1+R2)とカップリングキャパシタC1の時定数に従い、バイアス電圧Vbiasに遅れて上昇する。
【0088】
時刻t1に入力電圧Viがしきい値電圧Vthに達すると、検出信号S3がアサートされる。そして時刻t1から遅延回路42の遅延時間τ経過後の時刻t2に、検出信号S4がアサートされる。検出信号S4がアサートされると、バイパススイッチSW1がオフ、入力スイッチSW2がオンに切りかえられる。
【0089】
このように図4の増幅回路100aによれば、バイパススイッチSW1が適切なタイミングでオンからオフに切りかえられ、増幅部10が反転増幅器として機能するように回路形式が変更される。またこのとき、入力スイッチSW2がオンすることにより、演算増幅器12にオーディオ信号S1が提供される。
【0090】
入力スイッチSW2を設け、カップリングキャパシタC1の充電中にオフ状態としておくことにより、カップリングキャパシタC1の一端の電位が急激に変動しても、その変動を入力スイッチSW2により遮断できるため、増幅部10からノイズが出力されるを防止できる。なお、入力スイッチSW2を設けない構成としても、ノイズが十分に小さい場合には、それを省略して回路面積を縮小してもよい。
【0091】
図4の増幅回路100aにおいても遅延回路42を省略してもよい。
【0092】
上述の実施の形態では、増幅回路の処理対象がオーディオ信号である場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。オーディオ信号に限らず、交流信号をバイアス電圧と重畳する際に、広くカップリングキャパシタが利用される。したがって、本発明は、その前段にカップリングキャパシタが配置される増幅回路に広く適用できる。
【符号の説明】
【0093】
10…増幅部、12…演算増幅器、C1…カップリングキャパシタ、R1…帰還抵抗、R2…入力抵抗、20…充電回路、22…演算増幅器、SW1…バイパススイッチ、SW2…入力スイッチ、30…制御部、100…増幅回路、102…入力端子、200…オーディオ管理IC、210…オーディオ信号生成部、220…音声出力部、300…オーディオ再生装置、40…電流検出部、50…バイアス回路、42…遅延回路、60…電圧検出部、MH1…第1ハイサイドトランジスタ、MH2…第2ハイサイドトランジスタ、ML1…第1ローサイドトランジスタ、ML2…第2ローサイドトランジスタ、44…電流電圧変換回路、48…コンパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップリングキャパシタを介して入力された入力電圧を反転増幅する反転増幅器であって、非反転入力端子にバイアス電圧が印加された演算増幅器と、前記演算増幅器の反転入力端子と前記カップリングキャパシタの間に設けられた入力抵抗と、前記演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に設けられた帰還抵抗と、を含む反転増幅器と、
前記入力抵抗の前記演算増幅器側の一端の電圧を監視する電圧検出部と、
前記反転増幅器の出力端子側の第1ノードと、前記反転増幅器の入力端子側の第2ノードとの間に設けられたバイパススイッチと、
を備え、
前記バイパススイッチは、前記電圧検出部により監視対象の電圧が所定のしきい値電圧より高くなったことが検出されると、オンからオフに切りかえられることを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記入力抵抗と前記帰還抵抗との接続ノードと前記演算増幅器の反転入力端子の間に設けられた入力スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記入力スイッチは、前記バイパススイッチと相補的にオン、オフが制御されることを特徴とする請求項2に記載の増幅回路。
【請求項4】
カップリングキャパシタを介して入力された信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部の入力端子に接続される前記カップリングキャパシタを充電する充電回路と、
前記充電回路から前記カップリングキャパシタに対する充電電流をモニタする電流検出部と、
前記増幅部の出力端子側の第1ノードと、前記増幅部の入力端子側の第2ノードとの間に設けられたバイパススイッチと、
を備え、
前記バイパススイッチは、前記電流検出部により前記充電電流が所定のしきい値より小さくなったことが検出されると、オンからオフに切りかえられることを特徴とする増幅回路。
【請求項5】
前記増幅部は、
非反転入力端子に所定のバイアス電圧が印加された演算増幅器と、
前記演算増幅器の反転入力端子と前記カップリングキャパシタの間に設けられた入力抵抗と、
前記演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に設けられた帰還抵抗と、
を含む反転増幅器であり、
前記バイパススイッチは、前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子の間に設けられ、
前記充電回路は、前記入力抵抗と前記帰還抵抗との接続ノードに充電電流を供給するよう構成されることを特徴とする請求項4に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記入力抵抗と前記帰還抵抗との接続ノードと前記演算増幅器の反転入力端子の間に設けられた入力スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記充電回路は、その出力端子が前記カップリングキャパシタの一端に直接的、もしくは間接的に接続されたボルテージフォロア回路を含むことを特徴とする請求項4に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記充電回路は、その出力端子が前記カップリングキャパシタの一端もしくは前記入力抵抗の一端に接続されたボルテージフォロア回路を含み、前記ボルテージフォロア回路の入力電圧は、前記バイアス電圧であることを特徴とする請求項5に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記増幅部は、演算増幅器を含み、
前記バイパススイッチは、前記演算増幅器の出力端子と前記カップリングキャパシタの一端の間に設けられており、
前記充電回路は、前記演算増幅器および前記バイパススイッチを用いて構成されており、前記バイパススイッチがオンした状態において、前記演算増幅器の出力電流を利用して前記カップリングキャパシタを充電することを特徴とする請求項4に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記充電回路は、2つの固定電圧端子の間に直列に設けられた第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むプッシュプル形式の出力段を含み、
前記電流検出部は、前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第1ローサイドトランジスタそれぞれに対してカレントミラー回路を形成するよう接続された第2ハイサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタを含み、
前記バイパススイッチのオン、オフは、前記第2ハイサイドトランジスタと前記第2ローサイドトランジスタの接続点からはき出される電流に応じた電圧を、前記しきい値に応じたしきい値電圧と比較した結果に応じて制御されることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載の増幅回路。
【請求項11】
前記増幅部の前記演算増幅器は、2つの固定電圧端子の間に直列に設けられた第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むプッシュプル形式の出力段を含み、
前記電流検出部は、前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第1ローサイドトランジスタそれぞれに対してカレントミラー回路を形成するよう接続された第2ハイサイドトランジスタおよび第2ローサイドトランジスタを含み、
前記バイパススイッチのオン、オフは、前記第2ハイサイドトランジスタと前記第2ローサイドトランジスタの接続点からはき出される電流に応じた電圧を、前記しきい値に応じたしきい値電圧と比較した結果に応じて制御されることを特徴とする請求項5に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記電流検出部は、
前記充電電流の経路上に設けられた検出抵抗と、
前記検出抵抗の電圧降下を、所定のしきい値電圧と比較するコンパレータと、
を含み、
前記バイパススイッチのオン、オフは、前記コンパレータの出力信号にもとづいて制御されることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載の増幅回路。
【請求項13】
前記電流検出部は、
前記充電電流の経路上に設けられた検出抵抗と、
前記検出抵抗の電圧降下を、所定のしきい値電圧と比較するコンパレータと、
を含み、前記バイパススイッチのオン、オフは、前記コンパレータの出力信号にもとづいて制御されるとともに、
前記充電回路は、
その非反転入力端子に所定のバイアス電圧が入力され、その反転入力端子に前記検出抵抗の前記カップリングキャパシタ側の電位がフィードバックされた演算増幅器を含むことを特徴とする請求項4に記載の増幅回路。
【請求項14】
前記演算増幅器、前記電圧検出部および前記バイパススイッチがひとつの半導体基板に一体集積化され、前記入力抵抗、前記帰還抵抗は、前記半導体基板に外付けされることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項15】
前記演算増幅器、前記充電回路、前記電流検出部および前記バイパススイッチがひとつの半導体基板に一体集積化され、前記入力抵抗、前記帰還抵抗は、前記半導体基板に外付けされることを特徴とする請求項5に記載の増幅回路。
【請求項16】
アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、
前記オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行するオーディオ処理回路と、
前記オーディオ信号生成部と前記オーディオ処理回路との間に設けられたカップリングキャパシタと、
前記オーディオ処理回路の出力信号を出力する音声出力部と、
を備え、
前記オーディオ処理回路は、前記オーディオ信号を増幅する請求項1から15のいずれかに記載の増幅回路を含むことを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項17】
請求項16に記載のオーディオ再生装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項18】
カップリングキャパシタを介して入力されたオーディオ信号を増幅する増幅回路の起動方法であって、
前記増幅回路をミュート状態に設定するステップと、
前記カップリングキャパシタを所定のバイアス電圧に達するまで充電するステップと、
前記カップリングキャパシタに対する充電電流をモニタし、前記充電電流が所定のしきい値より小さくなったことを検出すると、前記増幅回路のミュート状態を解除するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記ミュート状態に設定するステップは、前記増幅回路の出力端子側の第1ノードと、前記増幅回路の入力端子側の第2ノードとの間に設けられたバイパススイッチをオンするステップを含み、
前記ミュート状態を解除するステップは、前記バイパススイッチをオンからオフに切りかえるステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−166553(P2010−166553A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275359(P2009−275359)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】