説明

増幅回路及び信号強度検出回路並びにオフセット電圧調整方法

【課題】縦続に直流結合された複数の増幅段においてそれぞれ発生するオフセット電圧を適切に調整できる増幅回路及び信号強度検出回路と、そのオフセット電圧調整方法を提供する。
【解決手段】縦続に直流結合された差動アンプ10−1〜10−6のオフセット電圧が終段から初段に向かって順に調整される。第i段目の差動アンプ10−iが調整される場合、その差動アンプ10−iの入力電圧がゼロに設定された状態で、終段の差動アンプ10−6の出力電圧がゼロ付近にあるか否かをモニターしながら、差動アンプ10−iのオフセット電圧が可変される。そして、差動アンプ10−6の出力電圧がゼロ付近にあることが検出されると、そのときの差動アンプ10−iのオフセット電圧が保持されるとともに、差動アンプ10−iの入力電圧のゼロ設定が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦続に結合された複数の増幅段を有する増幅回路及び信号検出回路とそのオフセット電圧調整方法に係り、特に、オフセット電圧を適切に調整できる増幅回路及び信号検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に無線通信を行う通信装置においては、受信アンプのゲインや送信電力を適正な範囲に調整するための指標としてRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度表示信号)が用いられる。下記の非特許文献1には、中間周波信号の増幅とRSSIの検出を行う回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Po−Chiun Huang,他2名、「A 2−V 10.7−MHz CMOS Limiting Amplifier/RSSI」、IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS、(米国)、2000年10月、VOL.35、NO.10、p.1474−1480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、非特許文献1に記載される中間周波信号の増幅回路及びRSSIの検出回路の構成を示す図である。
図12に示す回路は、縦続接続された7段のゲインセル回路102−1〜102−7によって中間周波数信号IF_inを増幅する振幅制限アンプ100と、振幅制限アンプ100の出力信号を増幅する差動アンプ104と、中間周波数信号IF_inを整流する整流器103−1と、ゲインセル回路102−1〜102−7の出力信号を整流する整流器103−2〜103−8と、ローパスフィルタを構成する抵抗R103及びキャパシタC102の並列回路とを有する。
【0005】
ゲインセル回路102−1〜102−6は、それぞれ一定のゲインを有する差動アンプであり、中間周波信号IF_inの振幅が増大すると後段のゲインセル回路から順に出力信号が飽和する。
【0006】
整流器103−1は、中間周波信号IF_inを整流する。整流器103−2〜103−8は、ゲインセル回路102−1〜102−7の各出力信号を整流する。整流器103−1〜103−8は、整流結果を電流として出力する。
【0007】
整流器103−1〜103−8の各出力端子は、ノードN101において共通に接続される。これにより、整流器103−1〜103−8の出力電流がノードN101において加算される。抵抗R103及びキャパシタC102の並列回路(ローパスフィルタ)は、ノードN101において加算された電流に含まれる高周波成分(中間周波数成分)を除去する。
【0008】
整流器103−1〜103−8の各出力電流は、中間周波信号IF_inを整流した信号であることから、ノードN101に発生する信号RSSI_outは、中間周波信号IF_inの整流波形に含まれる高周波成分をローパスフィルタ(R103,C102)で除去した信号となる。すなわち、信号RSSI_outは、中間周波信号IF_inの振幅(信号強度)に応じて増減する信号となる。また、中間周波信号IF_inの信号強度の増大に伴って後段のゲインセル回路から順に出力信号が飽和することから、信号RSSI_outは、中間周波信号IF_inの信号強度を区分的線形近似による擬似的な対数値で表した信号となる。
このように、図12に示す回路では、中間周波信号IF_inの信号強度の対数値を示す信号RSSI_outが得られるため、限られた電圧範囲内において信号強度の広範囲な変化を検出できる。
【0009】
一方、図12に示す回路は、直流のオフセット電圧を負帰還制御によって除去するため、抵抗R101,R102及びキャパシタC101よりなるローパスフィルタと、オフセット減算回路101を有する。
ローパスフィルタ(R101,R102,C101)は、終段のゲインセル回路102−6から高周波成分を除去した直流のオフセット電圧成分を抽出してオフセット減算回路101に入力する。オフセット減算回路101は、ローパスフィルタ(R101,R102,C101)により抽出されたオフセット電圧成分を中間周波信号IF_inから減算し、その減算結果を初段のゲインセル回路102−1に入力する。
【0010】
図13は、非特許文献1に記載されるオフセット減算回路101の構成を示す図である。
図13に示すオフセット減算回路101は、NMOS型のトランジスタM101〜M104,M107〜M110と、PMOS型のトランジスタM105,M106を有する。トランジスタM101及びM102は増幅用の差動対を構成し、トランジスタM103及びM104はオフセット減算用の差動対を構成し、トランジスタM109は増幅用差動対に一定電流を流す定電流源を構成し、トランジスタM110はオフセット減算用差動対に一定電流を流す定電流源を構成し、トランジスタM105,M106は差動対の負荷抵抗を構成し、トランジスタM107,108はダイオード接続された負荷抵抗を構成する。
【0011】
トランジスタM101及びM102のソースが共通に接続され、その共通のソースがトランジスタ109を介してグランド電位GNDに接続される。トランジスタM103及びM104のソースが共通に接続され、その共通のソースがトランジスタ110を介してグランド電位GNDに接続される。
トランジスタM101及びM104のドレインが共通に接続され、その共通のドレインがトランジスタM105を介して電源電圧VDDに接続されるとともに、トランジスタM107を介してグランド電位GNDに接続される。トランジスタM102及びM103のドレインが共通に接続され、その共通のドレインがトランジスタM106を介して電源電圧VDDに接続されるとともに、トランジスタM108を介してグランド電位GNDに接続される。
トランジスタM109及びM110のゲートに一定のバイアス電圧Vbias2が入力され、トランジスタM105及びM106のゲートに一定のバイアス電圧Vbias1が入力される。
【0012】
中間周波信号IF_inは、差動電圧として正相電圧Vin+と逆相電圧Vin−を含んでおり、正相電圧Vin+がトランジスタM101のゲートに入力され、逆相電圧Vin−がトランジスタM102のゲートに入力される。
ローパスフィルタ(R101,R102,C101)より出力されるオフセット電圧成分は、差動電圧として正相電圧Vos+と逆相電圧Vos−を含んでおり、正相電圧Vos+がトランジスタM103のゲートに入力され、逆相電圧Vos−がトランジスタM104のゲートに入力される。
オフセット減算回路101から出力される差動電圧は、正相電圧Vout+と逆相電圧Vout−を含んでおり、トランジスタM102及びM103の共通接続されたドレインから正相電圧Vout+が出力され、トランジスタM101及びM104の共通接続されたドレインから逆相電圧Vout−が出力される。
【0013】
オフセット電圧成分の正相電圧Vos+が逆相電圧Vos−より高くなると、トランジスタM103の電流がトランジスタM104の電流に対して相対的に増大し、正相電圧Vout+が逆相電圧Vout−に対して相対的に低下する。その結果、初段のゲインセル回路102−1に入力される直流電圧成分が負側に変化し、これに応じて、終段のゲインセル回路102−7から出力される直流のオフセット電圧成分も負側に変化する。逆に、オフセット電圧成分の正相電圧Vos+が逆相電圧Vos−に対して相対的に低くなると、初段のゲインセル回路102−1に入力される直流電圧成分が正側に変化し、これに応じて、終段のゲインセル回路102−7から出力される直流のオフセット電圧成分も正側に変化する。このように、図12に示す回路では、終段のゲインセル回路102−7から出力される直流のオフセット電圧成分が減少するように負帰還制御が働く。
【0014】
ところで、図12に示す回路には次のような問題がある。
【0015】
図12に示す回路では、最終段のゲインセル回路102−7において出力される信号の直流オフセット電圧がゼロに近づくように、初段のゲインセル回路102−1に入力される直流電圧が調整される。この方法では、個々のゲインセル回路(102−1〜102−7)において生じる直流オフセット電圧が調整されていないため、途中の段で発生した直流オフセット電圧がそのまま増幅されてしまう。その結果、最終段のゲインセル回路102−7のオフセット電圧がゼロに調整されていても、途中の段において入力される直流オフセット電圧が許容範囲を超えてしまう場合がある。
ゲインセル回路に許容範囲を超える直流オフセット電圧が入力されると、動作点のバランスが崩れてしまい、出力信号の歪みが増大し、結果として所望のゲインが得られなくなるという問題が生じる。
【0016】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、縦続に結合された複数の増幅段においてそれぞれ発生するオフセット電圧を適切に調整できる増幅回路及び信号強度検出回路と、そのオフセット電圧調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点は、縦続に結合された複数の増幅段を有する増幅回路に関するものであり、上記増幅回路は、上記複数の増幅段の入力電圧をそれぞれゼロに設定する入力電圧設定回路と、上記複数の増幅段のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整するオフセット調整回路と、終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する検出回路とを備える。上記増幅段は、上記オフセット調整回路の制御に応じてオフセット電圧が変化し、上記オフセット調整回路は、一の増幅段の上記オフセット電圧を調整する場合、当該調整対象の増幅段の入力電圧をゼロに設定するように上記入力電圧設定回路を制御した状態で当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を変化させ、当該変化の過程で終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることを上記検出回路が検出すると、当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持するとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定を解除するように上記入力電圧設定回路を制御する。
【0018】
上記第1の観点に係る増幅回路によれば、縦続に結合された複数の増幅段の終段から初段に向かって順にオフセット電圧の調整が行われる。一の増幅段の上記オフセット電圧が調整される場合、当該調整対象の増幅段の入力電圧がゼロに設定された状態で、当該調整対象の増幅段のオフセット電圧が可変される。オフセット電圧の変化の過程で終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることが検出されると、当該調整対象の増幅段のオフセット電圧が保持されるとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定が解除される。
【0019】
好適に、上記入力電圧設定回路は、上記増幅段に信号電圧を入力する入力端子対を上記オフセット調整回路の制御に従って短絡するスイッチ回路を含み、上記オフセット調整回路は、上記調整対象の増幅段の上記入力端子対を短絡するように上記スイッチ回路を制御した状態で上記オフセット電圧調整を行い、上記オフセット電圧調整が完了すると、当該調整対象の増幅段の入力短絡状態を解除するように上記スイッチ回路を制御する。
【0020】
好適に、上記オフセット調整回路は、上記複数の増幅段のオフセット電圧調整を開始するとき、全ての上記増幅段の上記入力端子対を短絡するように上記スイッチ回路を制御し、一の増幅段の上記オフセット電圧調整が完了すると、当該一の増幅段の入力短絡状態を解除するように上記スイッチ回路を制御する。
【0021】
好適に、上記増幅段は、入力される差動電圧を増幅し、当該増幅結果を差動電圧として出力する差動増幅回路を含む。
【0022】
好適に、上記差動増幅回路は、共通の電流源に接続され、上記入力差動電圧に応じた差動電流を出力するトランジスタ対と、上記差動電流の一方の電流経路に設けられた第1負荷抵抗及び上記差動電流の他方の電流経路に設けられた第2負荷抵抗を含み、上記差動電流に応じて上記第1負荷抵抗に生じる電圧と上記第2負荷抵抗に生じる電圧との差に応じた差動電圧を出力する負荷回路とを有し、上記第1負荷抵抗及び上記第2負荷抵抗の少なくとも一方が、上記オフセット調整回路の制御に応じてその抵抗値が変化する可変抵抗である。
あるいは、上記差動増幅回路は、共通の電流源に接続され、上記入力差動電圧に応じた差動電流を出力するトランジスタ対と、上記差動電流に応じた差動電圧を出力する負荷回路と、上記トランジスタ対の2つのトランジスタと上記電流源との間の電流経路の少なくとも一方に設けられた抵抗を含む抵抗回路とを有してよい。また、上記抵抗回路の上記抵抗が、上記オフセット調整回路の制御に応じてその抵抗値が変化する可変抵抗であってもよい。
【0023】
好適に、上記可変抵抗は、並列接続された複数のトランジスタを含むトランジスタ回路と、上記トランジスタ回路に含まれる上記複数のトランジスタのうち、上記オフセット調整回路の制御に応じて選択した一部のトランジスタの電流経路を遮断する遮断回路とを含む。
【0024】
好適に、上記検出回路は、終段の上記増幅段から出力される差動電圧の一方の電圧が他方の電圧より高い場合に第1信号を出力し、当該一方の電圧が当該他方の電圧より低い場合に第2信号を出力し、上記オフセット調整回路は、上記検出回路の出力信号が上記第1信号から上記第2信号へ若しくは上記第2信号から上記第1信号へ変化したとき、上記調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持するとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定を解除するように上記入力電圧設定回路を制御する。
【0025】
本発明の第2の観点に係る信号強度検出回路は、縦続に結合された複数の上記増幅段と、上記複数の増幅段からそれぞれ出力される信号に基づいて、初段の上記増幅段に入力される信号の強度を示す信号強度表示信号を生成する信号生成回路と、上記入力電圧設定回路と、上記オフセット調整回路と、上記検出回路とを備える。
【0026】
好適に、上記信号生成回路は、上記複数の増幅段からそれぞれ出力される信号の振幅に応じた振幅信号を生成する複数の振幅検出回路と、上記複数の振幅検出回路において生成される複数の上記振幅信号を合成し、当該合成結果に応じた上記信号強度表示信号を出力する信号合成回路とを有する。
【0027】
本発明の第3の観点は、縦続に結合された複数の増幅段を有する増幅回路のオフセット電圧調整方法に関するものであり、上記オフセット電圧調整方法は、上記複数の増幅段の入力電圧をそれぞれゼロに設定するゼロ電圧入力工程と、上記複数の増幅段のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整する複数の調整工程とを有し、上記調整工程は、調整対象の増幅段のオフセット電圧を変化させる第1の工程と、上記第1の工程において、終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する第2の工程と、上記第2の工程において終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることが検出されると、上記調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持し、当該調整対象の増幅段に対する上記入力電圧のゼロ設定を解除する第3の工程とを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、縦続に結合された複数の増幅段においてそれぞれ発生するオフセット電圧を適切に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る信号強度検出回路の構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る差動アンプの構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示す差動アンプにおけるオフセット調整用可変抵抗の第1の構成例を示す図である。
【図4】図2に示す差動アンプにおけるオフセット調整用可変抵抗の第2の構成例を示す図である。
【図5】オフセット電圧調整の全体の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートにおける各差動アンプのオフセット電圧調整工程のフローを例示する図である。
【図7】図2に示す差動アンプにおいて可変抵抗の抵抗値を変化させたときの正相電圧及び逆相電圧の変化、並びに、検出回路の検出信号の変化を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態に係る信号強度検出回路における差動アンプの構成の一例を示す図である。
【図9】図8に示す差動アンプにおいて可変抵抗の抵抗値を変化させたときの正相電圧及び逆相電圧の変化、並びに、検出回路の検出信号の変化を説明するための図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る信号強度検出回路におけるオフセット電圧調整の全体の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図10に示すフローチャートにおける各差動アンプのオフセット電圧調整工程のフローを例示する図である。
【図12】中間周波信号の増幅回路及びRSSIの検出回路の従来例を示す図である。
【図13】図12に示す回路におけるオフセット減算回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号強度検出回路の構成の一例を示す図である。
図1に示す信号強度検出回路は、縦続に結合された6段の差動アンプ10−1〜10−6と、スイッチ回路20−1〜20−6と、オフセット調整回路30と、検出回路40と、信号生成回路50とを有する。信号生成回路50は、振幅検出回路51−1〜51−6と、ローパスフィルタ52とを有する。
差動アンプ10−1〜10−6は、本発明における増幅段の一例である。
スイッチ回路20−1〜20−6は、本発明におけるスイッチ回路の一例である。
オフセット調整回路30は、本発明におけるオフセット調整回路の一例である。
検出回路40は、本発明における検出回路の一例である。
信号生成回路50は、本発明における信号生成回路の一例である。
振幅検出回路51−1〜51−6は、本発明における振幅検出回路の一例である。
【0031】
差動アンプ10−1〜10−6は、入力される差動電圧を所定のゲインで増幅し、その増幅結果を差動電圧として出力する。
初段の差動アンプ10−1は、信号強度の検出対象となる差動信号Sinを入力して増幅し、その増幅結果を後段の差動アンプ10−2に出力する。差動アンプ10−k(「k」は2から5までの整数を示す。以下同じ。)は、前段の差動アンプ10−(k−1)から入力した差動信号を増幅し、その増幅結果を後段の差動アンプ10−(k+1)に出力する。終段の差動アンプ10−6は、前段の差動アンプ10−5から入力した差動信号を増幅し、その増幅結果を差動信号Soutとして出力する。
【0032】
差動アンプ10−1〜10−6は、オフセット調整回路30の制御に応じてそれぞれオフセット電圧が変化するように構成されている。すなわち、差動アンプ10−i(「i」は1から6までの整数を示す。以下同じ。)は、オフセット調整回路30が生成する調整信号Aiに応じてオフセット電圧が変化する。
【0033】
図2は、差動アンプ10−i(i=1〜6)の構成の一例を示す図である。
図2に示す差動アンプ10−iは、定電流源11と、NMOS型のトランジスタM1,M2を含むトランジスタ対12と、調整信号Aiに応じて抵抗値が変化する可変抵抗13,14とを有する。
トランジスタ対12は、本発明におけるトランジスタ対の一例である。
可変抵抗13,14は、本発明における可変抵抗の一例である。
【0034】
トランジスタM1及びM2のソースが共通に接続され、その共通のソースが定電流源11に接続される。定電流源11は、トランジスタM1のソース電流とトランジスタM2のソース電流との和を一定に保つ。トランジスタM1のドレインが可変抵抗13を介して電源電圧VDDに接続され、トランジスタM2のドレインが可変抵抗14を介して電源電圧VDDに接続される。
【0035】
差動アンプ10−iに入力される差動電圧は、正相電圧Vin+と逆相電圧Vin−を含んでおり、正相電圧Vin+がトランジスタM1のゲートに入力され、逆相電圧Vin−がトランジスタM2のゲートに入力される。
差動アンプ10−iから出力される差動電圧は、正相電圧Vout+と逆相電圧Vout−を含んでおり、トランジスタM2のドレインと可変抵抗14との接続ノードから正相電圧Vout+が出力され、トランジスタM1のドレインと可変抵抗13との接続ノードから逆相電圧Vout−が出力される。
【0036】
可変抵抗13,14の詳細な構成について、図3,図4を参照して説明する。
【0037】
図3は、可変抵抗13,14の一構成例を示す図である。
図3の例において、可変抵抗13はPMOS型のトランジスタM3及びM3−1〜M3−jとスイッチ回路SW1−1〜SW1−jを有し、可変抵抗14はPMOS型のトランジスタM4及びM4−1〜M4−jとスイッチ回路SW2−1〜SW2−jを有する。
スイッチ回路SW1−1〜SW1−j並びにSW2−1〜SW2−jは、本発明における遮断回路の一例である。
【0038】
トランジスタM3及びM3−1〜M3−jは、トランジスタM1のドレインと電源電圧VDDとの間に並列に接続される。トランジスタM3のゲートには、バイアス電圧Vb1が入力される。トランジスタM3−n(「n」は1からjまでの整数を示す。以下同じ。)のゲートには、スイッチ回路SW1−nを介してバイアス電圧Vb1が入力される。スイッチ回路SW1−nは、オフセット調整回路30から供給される調整信号Aiに応じて、トランジスタM3−nのゲートにバイアス電圧Vb1を入力するか、又は、トランジスタM3−nのゲートとソースを接続する。
トランジスタM4及びM4−1〜M4−jは、トランジスタM2のドレインと電源電圧VDDとの間に並列に接続される。トランジスタM4のゲートには、バイアス電圧Vb1が入力される。トランジスタM4−nのゲートには、スイッチ回路SW2−nを介してバイアス電圧Vb1が入力される。スイッチ回路SW2−nは、オフセット調整回路3から供給される調整信号Aiに応じて、トランジスタM4−nのゲートにバイアス電圧Vb1を入力するか、又は、トランジスタM4−nのゲートとソースを接続する。
【0039】
トランジスタM3−nのゲートにバイアス電圧Vb1が入力されるようにスイッチ回路SW1−nが設定されると、トランジスタM3−nにはバイアス電圧Vb1に応じた電流が流れる。他方、トランジスタM3−nのゲートとソースが接続されるようにスイッチ回路SW1−nが設定されると、トランジスタM3−nはオフ状態となってその電流経路が遮断される。従って、調整信号Aiに応じてスイッチ回路SW1−1〜SW1−jの接続が切り替えられることにより、トランジスタM3−1〜M3−jに流れる電流が変化し、これに応じて可変抵抗13の抵抗値が変化することになる。
可変抵抗14についても同様であり、調整信号Aiに応じてスイッチ回路SW2−1〜SW2−jの設定が切り替えられることによりその抵抗値が変化することになる。
【0040】
図4は、可変抵抗13,14の他の構成例を示す図である。
図4の例において、可変抵抗13はPMOS型のトランジスタM3及びM3−1〜M3−jとスイッチ回路SW3−1〜SW3−jを有し、可変抵抗14はPMOS型のトランジスタM4及びM4−1〜M4−jとスイッチ回路SW4−1〜SW4−jを有する。
スイッチ回路SW3−1〜SW1−j並びにSW4−1〜SW4−jは、本発明における遮断回路の一例である。
【0041】
トランジスタM3及びM3−1〜M3−jは、トランジスタM1のドレインと電源電圧VDDとの間に並列に接続されており、その各ゲートにはバイアス電圧Vb1が入力される。スイッチ回路SW3−nは、トランジスタM3−nのドレインとトランジスタM1のドレインとの間の電流経路に設けられており、調整信号Aiに応じてオン又はオフする。スイッチ回路SW4−nは、トランジスタM4−nのドレインとトランジスタM2のドレインとの間の電流経路に設けられており、調整信号Aiに応じてオン又はオフする。
【0042】
スイッチ回路SW3−nがオンするように設定されると、トランジスタM3−nにはバイアス電圧Vb1に応じた電流が流れる。他方、スイッチ回路SW3−nがオフするように設定されると、トランジスタM3−nの電流が遮断される。従って、調整信号Aiに応じてスイッチ回路SW3−1〜SW3−jのオンオフが切り替えられることにより、トランジスタM3−1〜M3−jに流れる電流が変化し、これに応じて可変抵抗13の抵抗値が変化することになる。
可変抵抗14についても同様であり、調整信号Aiに応じてスイッチ回路SW4−1〜SW4−jの設定が切り替えられることによりその抵抗値が変化することになる。
【0043】
なお、図4の例ではトランジスタM3−n(M4−n)のドレイン側に直列にスイッチ回路SW3−n(SW4−n)を設けているが、このスイッチ回路SW3−n(SW4−n)はトランジスタM3−n(M4−n)のソース側に直列に設けてもよい。
以上が、可変抵抗13,14についての説明である。
【0044】
図1に戻る。
信号生成回路50は、差動アンプ10−1〜10−6の各段から出力される信号に基づいて、差動信号Sinの強度を示す信号強度表示信号SIを生成する。例えば、信号生成回路50は、差動アンプ10−1〜10−6の各段から出力される信号の振幅を加算した結果に応じた信号強度表示信号SIを生成する。
【0045】
振幅検出回路51−i(i=1〜6)は、差動アンプ10−iから出力される差動信号の振幅に応じた振幅信号を生成する。例えば振幅検出回路51−iは、差動アンプ10−iの出力差動信号を全波整流若しくは半波整流し、その整流波形を持った電流を振幅信号として出力する。
【0046】
振幅検出回路51−1〜51−6の振幅信号の出力端子は、ノードN1において共通に接続される。これにより、振幅検出回路51−1〜51−6から電流として出力される振幅信号がノードN1において合成(加算)される。
なお、振幅検出回路51−1〜51−6の出力端子が共通接続されたノードN1を含む回路は、本発明における信号合成回路の一例である。
【0047】
ローパスフィルタ52は、ノードN1において合成された振幅検出回路51−1〜51−6の振幅信号に含まれる高周波成分(脈動成分)を除去する。図1の例において、ローパスフィルタ52は、ノードN1と電源電圧VDDとの間に並列接続された抵抗R1とキャパシタC1を含む。
ローパスフィルタ52によって高周波成分を除去された振幅信号の合成結果が、ノードN1において信号強度表示信号SIとして出力される。
【0048】
スイッチ回路20−i(i=1〜6)は、差動アンプ10−iの差動電圧の入力端子対に接続される。スイッチ回路20−iは、オフセット調整回路30の制御に従って差動アンプ10−iの入力端子対を短絡することにより、差動アンプ10−iの入力電圧をゼロに設定する。
【0049】
検出回路40は、終段の差動アンプ10−6から出力される差動信号Soutの電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する。例えば検出回路40は、差動信号Soutにおける正相電圧Vaと逆相電圧Vbの大小関係を比較するコンパレータとして動作する。具体的には、検出回路40は、正相電圧Vaが逆相電圧Vbより高い場合に「0」(ローレベル)、正相電圧Vaが逆相電圧Vbより低い場合に「1」(ハイレベル)となる検出信号Zdetを出力する。
【0050】
オフセット調整回路30は、差動アンプ10−1〜10−6のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整する。すなわち、オフセット調整回路30は、差動アンプ10−6,10−5,…,10−2,10−1の順番でオフセット電圧調整を行う。
【0051】
オフセット調整回路30は、第i段の差動アンプ10−i(i=1〜6)のオフセット電圧を調整する場合、差動アンプ10−iの入力電圧がゼロになるようにスイッチ回路20−iを短絡させた状態で、差動アンプ10−iのオフセット電圧を変化させる。すなわちオフセット調整回路30は、スイッチ回路20−iをオンに設定した状態で、調整信号Aiにより差動アンプ10−iのオフセット電圧を変化させる。また、オフセット調整回路30は、このオフセット電圧の変化の過程において、検出回路40の検出結果(検出信号Zdet)を監視する。そして、差動信号Soutの電圧がゼロ付近にあることを検出回路40が検出すると(検出信号Zdetの値が「1」から「0」若しくは「0」から「1」へ変化すると)、オフセット調整回路30は、差動アンプ10−iのオフセット電圧を保持するとともに、スイッチ回路20−iをオンからオフに切り替えて差動アンプ10−iの入力電圧のゼロ設定を解除する。
【0052】
オフセット調整回路30は、例えば、調整信号A1〜A6を記憶するレジスタを有する。オフセット調整回路30は、差動アンプ10−iのオフセット電圧調整において、差動信号Soutの電圧がゼロ付近にあることを検出回路40が検出したとき、調整信号Aiを上記のレジスタに記憶する。その後、オフセット調整回路30は、レジスタに記憶した一定の調整信号Aiを差動アンプ10−iに入力する。
【0053】
ここで、図1に示す信号強度検出回路における入力信号強度の検出動作について説明する。
【0054】
振幅検出回路51−1〜51−6において生成される各振幅信号は、差動アンプ10−1〜10−6において増幅された差動信号Sinの振幅を検出した信号であるため、これらの振幅信号を合成(加算)して高周波成分(脈動成分)を除去することにより得られる信号強度表示信号SIは、差動信号Sinの振幅(信号強度)に応じて増減する信号となる。
【0055】
また、差動信号Sinの振幅が増大するにつれて、縦続接続された差動アンプ10−1〜10−6の出力信号が後段側から順に飽和する。すなわち、過大な振幅を持つ差動信号が差動アンプに入力された場合、トランジスタM1及びM2の一方が導通状態になるとともに他方が遮断状態になるため、正相電圧Vout+と逆相電圧Vout−のレベルが定電流源11の電流値と可変抵抗13,14の抵抗値に応じた一定のレベルに制限される(図2)。振幅検出回路51−1〜51−6の振幅信号が高ゲイン側から順に飽和していくと、振幅信号の加算結果として得られる信号強度表示信号SIは、差動信号Sinの信号強度の擬似的な対数値を表す信号となる。
【0056】
このように、図1に示す信号強度検出回路では、差動信号Sinの信号強度の対数値を示す信号強度表示信号SIが得られるため、限られた電圧範囲内において信号強度の広範囲な変化を検出できる。
【0057】
次に、図1に示す信号強度検出回路のオフセット電圧調整動作について、図5〜図7を参照して説明する。
【0058】
図5は、図1に示す信号強度検出回路におけるオフセット電圧調整の全体の流れを例示するフローチャートである。
図6は、図5に示すフローチャートにおける各差動アンプのオフセット電圧調整工程(ST103〜ST108)のフローを例示する図である。
図7は、図2に示す差動アンプ(10−1〜10−6)において可変抵抗13,14の抵抗値r13,r14を変化させたときの正相電圧Va及び逆相電圧Vbの変化、並びに、検出信号Zdetの変化を説明するための図である。図7(A),(B)の横軸は可変抵抗13の抵抗値r13及び可変抵抗14の抵抗値r14の変化を表し、図7(A)の縦軸は正相電圧Va及び逆相電圧Vbを表し、図7(B)の縦軸は検出信号Zdetのレベルを表す。
【0059】
まずステップST101において、オフセット調整回路30は、差動アンプ10−1〜10−6の入力電圧が全てゼロになるように、スイッチ回路20−1〜20−6を全てオン状態に設定する。これにより、差動信号Soutの電圧は、終段の差動アンプ10−6のオフセット電圧と等しくなる。
【0060】
またステップST102において、オフセット調整回路30は、差動アンプ10−1〜10−6の可変抵抗13,14(図2)を所定の初期値に設定する。例えば、オフセット調整回路30は、各差動アンプにおける可変抵抗13の抵抗値r13が最大値、可変抵抗14の抵抗値r14が最小値となるように調整信号A1〜A6を初期設定する。これにより、終段の差動アンプ10−6において抵抗値r14が抵抗値r13より十分小さくなるため、可変抵抗14の電圧降下が可変抵抗13の電圧降下に比べて相対的に小さくなり、差動アンプ10−6から出力される正相電圧Vaが逆相電圧Vbより相対的に高くなる(図7(A))。差動アンプ10−6のオフセット電圧は、正側(Va>Vb)の極性の最大値となる。また、このとき、検出信号Zdetは「0」(ローレベル)になる(図7(B))。
【0061】
ステップST101,ST102において初期設定を行った後、オフセット調整回路30は、まず終段の差動アンプ10−6についてオフセット電圧調整を行う(ステップST103)
【0062】
ステップST201において、オフセット調整回路30は、検出回路40の検出信号Zdetが「1」か否かを判定する。初期状態において検出信号Zdetは「0」になっているので、オフセット調整回路30はステップST202に移行し、可変抵抗13,14の調整が可能か否かを判定する。初期状態の抵抗値r13,r14は調整可能なので、オフセット調整回路30はステップST203に移行する。ステップST203において、オフセット調整回路30は、抵抗値r13が最大値から1段階小さくなり、抵抗値r14が最小値から1段階大きくなるように差動アンプ10−6の調整信号A6を変更する。抵抗値r13が小さくなるとともに抵抗値r14が大きくなると、図7(A)に示すように、正相電圧Vaが低下するとともに逆相電圧Vbが上昇するため、差動アンプ10−6のオフセット電圧(Va−Vb)が低下する。
【0063】
そしてオフセット調整回路30は、再びステップST201に戻り、検出回路40の検出信号Zdetが「1」か否かを判定する。検出信号Zdetが「0」の場合、オフセット調整回路30は、上記と同様にステップST202,ST203を実行する。ステップST203が実行されることにより、抵抗値r13が更に1段階小さくなるとともに抵抗値r14が更に1段階大きくなり、差動アンプ10−6のオフセット電圧(Va−Vb)が更に低下する。オフセット調整回路30は、検出信号Zdetが「0」から「1」に変化するまでステップST201〜ST203を繰り返す。
【0064】
差動アンプのオフセット電圧には、抵抗値r13と抵抗値r14の違いに起因するオフセット成分のほか、トランジスタM1,M2の特性(スレッショルド電圧、直流ゲイン等)のばらつきに起因するオフセット成分が含まれている。検出回路40の検出信号Zdetが「0」から「1」に変化するとき、このような種々の要因により生じるオフセット電圧がほぼゼロになっている。
【0065】
オフセット調整回路30は、検出信号Zdetが「0」から「1」に変化すると、ステップST201からステップST205へ移行し、そのときの抵抗値r13及びr14を保持する。具体的には、オフセット調整回路30は、検出信号Zdetが「0」から「1」に変化したときの調整信号A6を不図示のレジスタに記憶する。以降、オフセット調整回路30は、レジスタに記憶した調整信号A6を差動アンプ10−6に入力する。すなわち、オフセット調整回路30は、オフセット電圧がゼロ付近になるように調整された差動アンプ10−6の抵抗値r13及びr14を維持する。
このようにして差動アンプ10−6のオフセット電圧調整が完了すると、オフセット調整回路30は、スイッチ回路20−6をオン状態からオフ状態に切り替え、差動アンプ10−6の入力電圧のゼロ設定を解除する(ステップST206)。
【0066】
なお、抵抗値r13を最大値から最小値へ変化させるとともに抵抗値r14を最少値から最大値へ変化させたにも関わらず検出信号Zdetが「1」へ変化しない場合、オフセット調整回路30はステップST202からステップST204へ移行する。ステップST204において、オフセット調整回路30は、オフセット電圧の調整に不具合が生じたことを示すエラー信号を図示しない上位装置等に出力する。
【0067】
差動アンプ10−6のオフセット電圧調整が完了すると、次にオフセット調整回路30は、その前段の差動アンプ10−5についてオフセット電圧調整を行う(ステップST104)。
【0068】
差動アンプ10−6のオフセット電圧調整が完了したとき、スイッチ回路20−6がオフ状態に設定されるため、差動アンプ10−5の出力電圧が差動アンプ10−6を介して差動信号Soutとして出力される。このとき、差動アンプ10−6のオフセット電圧がほぼゼロに調整されているため、差動信号Soutは差動アンプ10−6のオフセット電圧成分をほとんど含んでおらず、前段の差動アンプ10−5の出力電圧にほぼ比例する。また、このとき、差動アンプ10−5の入力電圧がスイッチ回路20−5によりゼロに設定されているため、差動アンプ10−5の出力電圧はそのオフセット電圧と等しくなっている。従って、差動信号Soutの電圧は、差動アンプ10−5のオフセット電圧にほぼ比例した電圧となっている。
【0069】
上記のように、差動信号Soutの電圧が差動アンプ10−5のオフセット電圧にほぼ比例しているため、そのオフセット電圧の調整は、終段の差動アンプ10−6と同様に、差動信号Soutの電圧をゼロへ近づけるように行われる。
すなわち、オフセット調整回路30は、検出回路40の検出信号Zdetに基づいて、差動信号Soutの電圧がほぼゼロになるように差動アンプ10−5の調整信号A5を調整する。差動アンプ10−5のオフセット電圧調整は、例えば既に説明した図6に示すフローに沿って行われる。ステップST102の初期設定によって抵抗値r14が抵抗値r13より十分小さくなっているため、フローの初期において検出信号Zdetは「0」になっている。オフセット調整回路30は、検出信号Zdetが「0」から「1」に変化するまで、抵抗値r14を増大させるとともに抵抗値r13を減少させる(ステップST201〜ST203)。検出信号Zdetが「0」から「1」に変化すると、オフセット調整回路30は、そのときの調整信号A5をレジスタに記憶し(ステップST205)、スイッチ回路20−5をオン状態からオフ状態へ切り替える(ステップST206)。
【0070】
オフセット調整回路30は、上記と同様なオフセット電圧調整を、更に前段の差動アンプについても行う(ステップST105〜ST108)。
各ステップにおいてオフセット電圧が調整されるとき、調整対象の差動アンプから出力されるオフセット電圧は、後段の差動アンプを介して検出回路40に入力される。このとき、後段の差動アンプは既にオフセット電圧調整が完了しているため、検出回路40に入力される電圧は、後段の差動アンプのオフセット電圧による誤差をほとんど含んでいない。従って、オフセット調整回路30は、検出回路40の検出信号Zdetに基づいて、調整対象の差動アンプのオフセット電圧を調整できる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、縦続に直流結合された差動アンプ10−1〜10−6のオフセット電圧が終段から初段に向かって順に調整される。第i段目の差動アンプ10−iが調整される場合、その差動アンプ10−iの入力電圧がゼロに設定された状態で、終段の差動アンプ10−6の出力電圧がゼロ付近にあるか否かをモニターしながら、差動アンプ10−iのオフセット電圧が可変される。そして、差動アンプ10−6の出力電圧がゼロ付近にあることが検出されると、そのときの差動アンプ10−iのオフセット電圧が保持されるとともに、差動アンプ10−iの入力電圧のゼロ設定が解除される。
従って、本実施形態によれば、縦続接続された複数段の差動アンプのオフセット電圧をそれぞれゼロ付近に調整することができる。各段のオフセット電圧を調整することにより、前段のオフセット電圧が増幅されて後段に伝搬されることによる過大なオフセット電圧の発生を防止できる。従って、許容範囲を超えるオフセット電圧が差動アンプに入力されることによる信号の歪みの増大を効果的に抑制して、所望のゲインを得ることができる。
【0072】
また、図12に示す従来の回路では、過大なオフセット電圧に起因する信号の歪みによって所望のゲインが得られないため、微小信号を十分に増幅できず、最小受信感度が劣化するという問題がある。本実施形態によれば、各段のオフセット電圧をゼロ付近に調整することによって所望のゲインが得られるため、最少受信感度の劣化を有効に防止できる。
【0073】
更に、図12に示す従来の回路では、オフセット電圧を除去するためにオフセット減算回路を設けているが、このオフセット減算回路は信号系に挿入されたアンプであり、図13に示すように定常的な電流が流れる回路構成になっているため、消費電力が大きいという問題がある。本実施形態によれば、図2に示すように可変抵抗の抵抗値を可変させることによってオフセット電圧の調整を行うため、信号系にアンプを設ける従来の回路に比べて消費電力を低減できる。
【0074】
また、図12に示す従来の回路では、オフセット電圧を除去するためにローパスフィルタ(C101,R101,R102)を帰還回路として設けているが、帰還系を安定させるためにはローパスフィルタのカットオフ周波数を十分低くする必要があり、そのため、キャパシタC101の容量値や抵抗R101,R102の抵抗値がかなり大きくなる。ICの内部にローパスフィルタを形成する場合、ポリシリコン抵抗や拡散抵抗などの抵抗素子、ポリシリコンや金属等の電極を形成したキャパシタ、MOS構造のキャパシタなどが一般に用いられる。抵抗値や容量値が大きくなると、これらの抵抗素子やキャパシタを形成するために広いチップ面積が必要になるという問題が生じる。本実施形態によれば、そのようなローパスフィルタの帰還回路を用いることなくオフセット電圧を調整できるため、従来の回路に比べてチップ面積を小さくすることができ、コストを削減できる。
【0075】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0076】
第2の実施形態に係る信号強度検出回路は、差動アンプ10−1〜10−6の回路構成に関して第1の実施形態に係る信号強度検出回路と異なっており、他の構成要素については第1の実施形態に係る信号強度検出回路と同様である。
【0077】
図8は、第2の実施形態に係る信号強度検出回路における差動アンプ10−i(i=1〜6)の構成の一例を示す図である。
図8に示す差動アンプ10−iは、定電流源11と、NPN型のバイポーラトランジスタM1A,M2Aを含むトランジスタ対12Aと、抵抗13A,14Aと、調整信号Aiに応じて抵抗値が変化する可変抵抗15,16とを有する。
トランジスタ対12Aは、本発明におけるトランジスタ対の一例である。
抵抗13A及び14Aを含む回路は、本発明における負荷回路の一例である。
可変抵抗15,16は、本発明における可変抵抗の一例である。
【0078】
トランジスタM1Aのエミッタが、可変抵抗15を介して定電流源11に接続される。また、トランジスタM2Aのエミッタが、可変抵抗16を介して定電流源11に接続される。定電流源11は、トランジスタM1Aのエミッタ電流とトランジスタM2Aのエミッタ電流との和を一定に保つ。トランジスタM1Aのコレクタが抵抗13Aを介して電源電圧VDDに接続され、トランジスタM2Aのコレクタが抵抗14Aを介して電源電圧VDDに接続される。
【0079】
差動アンプ10−iに入力される差動電圧のうち、正相電圧Vin+がトランジスタM1Aのベースに入力され、逆相電圧Vin−がトランジスタM2Aのベースに入力される。
差動アンプ10−iから出力される差動電圧のうち、正相電圧Vout+がトランジスタM2Aのコレクタと抵抗14Aとの接続ノードから出力され、逆相電圧Vout−がトランジスタM1Aのドレインと抵抗13Aとの接続ノードから出力される。
【0080】
可変抵抗15,16は、例えば図3,図4に示すように複数の並列接続されたトランジスタ(バイポーラトランジスタ,MOSFET等)を含んでおり、調整信号Aiに応じて各トランジスタの電流を制御する。
【0081】
本実施形態に係る信号強度検出回路におけるオフセット電圧の調整動作は、基本的に第1の実施形態に係る信号強度検出回路と同様であり、例えば図5,図6のフローチャートに沿って行われる。
【0082】
図9は、図8に示す差動アンプにおいて可変抵抗15,16の抵抗値r15,r16を変化させたときの正相電圧Va及び逆相電圧Vbの変化、並びに、検出信号Zdetの変化を説明するための図である。図9(A),(B)の横軸は可変抵抗15の抵抗値r15及び可変抵抗16の抵抗値r16の変化を表し、図9(A)の縦軸は正相電圧Va及び逆相電圧Vbを表し、図9(B)の縦軸は検出信号Zdetのレベルを表す。
【0083】
本実施形態では、各差動アンプの可変抵抗15,16の抵抗値を初期設定するステップST102(図5)において、抵抗値r15を最小値に設定するとともに抵抗値r16を最大値に設定する。すなわち、抵抗値r16を抵抗値r15に比べて十分に大きくする。これにより、各差動アンプのオフセット電圧調整の初期状態において、可変抵抗16に流れる電流が可変抵抗15に流れる電流に比べて小さくなり、正相電圧Vin+が逆相電圧Vin−に比べて高くなる。調整対象の差動アンプにおいて正相電圧Vin+が逆相電圧Vin−より高くなると、最終段の差動アンプ10−6においても正相電圧Vaが逆相電圧Vbより高くなる(図9(A))。その結果、オフセット電圧調整の初期状態において、検出信号Zdetは「0」(ローレベル)になる(図9(B))。
【0084】
検出信号Zdetが「0」の場合、本実施形態では、可変抵抗15,16の抵抗値を変更するステップST203(図6)において、抵抗値r15が1段階大きくなるとともに抵抗値r16が1段階小さくなるように調整信号Aiが変更される。抵抗値r15が大きくなるとともに抵抗値r16が小さくなると、図9(A)に示すように、正相電圧Vaが低下するとともに逆相電圧Vbが上昇するため、差動アンプ10−6のオフセット電圧(Va−Vb)が低下する。差動アンプ10−6のオフセット電圧がゼロに近づいて、検出信号Zdetが「0」から「1」に立ち上がるまで、抵抗値r15,r16の変更が繰り返される。
【0085】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、各差動アンプにおいて発生するオフセット電圧を調整できるため、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0087】
上述の実施形態では、オフセット電圧調整を開始する際、全差動アンプの入力電圧をゼロに設定するとともに全差動アンプの可変抵抗を所定の初期値に設定しているが(図5,ステップST101,ST102)、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、例えば図10,図11に示すように、各差動アンプの調整を行う際に入力電圧のゼロ設定と可変抵抗の初期設定を行うようにしてもよい。
【0088】
図10は、本発明の他の実施形態に係る信号強度検出回路におけるオフセット電圧調整の全体の流れを例示するフローチャートであり、終段(10−6)から初段(10−1)に向かって順にオフセット電圧調整(ST121〜ST126)を行うことを示している。
図11は、図10に示すフローチャートにおける各差動アンプのオフセット電圧調整工程(ST221、ST222、ST201〜ST206)のフローを例示する図である。各差動アンプのオフセット電圧調整を開始するとき、その差動アンプの入力電圧がゼロに設定され(ステップST221)、可変抵抗が所定の初期値に設定される(ステップST222)。後に続くフローは図6に示すフローチャートと同じである。
【0089】
更に本発明の他の実施形態では、差動アンプの入力電圧のゼロ設定及び可変抵抗の初期設定のうち、一方の設定をオフセット電圧調整前の全ての差動アンプについて一律に行い、他方の設定を各差動アンプのオフセット電圧調整開始時に行うようにしてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、差動アンプの入力電圧をゼロに設定するため、差動アンプの入力端子対を短絡するスイッチ回路(20−1〜20−6)を設けているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、例えば、差動アンプの入力端子対に共通のバイアス電圧を入力してもよい。この場合、前段の差動アンプと後段の差動アンプとの接続ラインを遮断するようにスイッチ回路を設けてもよい。
【0091】
また、図2に例示する差動アンプでは、トランジスタ対の2つのトランジスタ(M1,M2)に接続される負荷抵抗が何れも可変抵抗(13,14)になっているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、トランジスタ対の2つのトランジスタに接続される負荷抵抗の一方を可変抵抗、他方を固定値の抵抗にしてもよい。
【0092】
また、図8に例示する差動アンプでは、トランジスタ対の2つのトランジスタ(M1A,M2A)と電流源(11)との間の2つの電流経路にそれぞれ可変抵抗(15,16)が設けられているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、トランジスタ対の2つのトランジスタと電流源との間の2つの電流経路のうち、一方の電流経路にのみ可変抵抗を設け、他方の電流経路には固定値の抵抗を設けるようにしてもよい。
【0093】
また、図2に示す差動アンプにおいて可変抵抗(13,14)を構成するトランジスタ(SW1−1〜SW1−j,SW2−1〜SW2−j)は、全て同一のサイズに形成されていてもよいし、一部若しくは全部のトランジスタが異なるサイズに形成されていてもよい。後者の場合、例えば、一連のトランジスタのサイズ(MOSトランジスタの場合、例えばチャネル幅Wとチャネル長Lの比「W/L」)に規則的な重み付けを与えてもよい。また、この場合、抵抗値の粗調整を行う場合は比較的サイズの大きい(電流値の大きい)トランジスタを制御し、抵抗値の微調整を行う場合は比較的サイズの小さい(電流値の小さい)トランジスタを制御するようにしてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、オフセット電圧調整の初期において差動アンプのオフセット電圧を正相側の最大値に設定しているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、オフセット電圧調整の初期における差動アンプのオフセット電圧を逆相側の最大値に設定してもよいし、正相電圧と逆相電圧の中間付近に設定してもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、各差動アンプのオフセット電圧を正相側の最大値から逆相側の最小値へ一方向に変化させているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、調整の初期段階においてオフセット電圧を一方向へ粗く変化させ、最終段のオフセット電圧の極性が反転する度に、オフセット電圧の変化方向を反転させるとともにオフセット電圧の変化量を段階的に細かくするようにしてもよい。これにより、オフセット電圧がゼロ付近になる最適な調整点を効率的に探索することができる。
【0096】
また、上述した実施形態では、並列接続した複数のトランジスタによって可変抵抗を構成しているが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の実施形態では、ポリシリコン抵抗等の複数の抵抗素子を有した抵抗回路により可変抵抗を構成し、各抵抗素子と直列若しくは並列に設けられたスイッチ回路をオン又はオフさせることにより、抵抗回路の全体の抵抗値を変化させるようにしてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では差動入力差動出力型のアンプが縦続接続された構成を例を挙げているが、本発明の増幅段はこのような差動アンプに限定されない。例えば、シングル入力シングル出力型のアンプが縦続接続された構成や、差動入力シングル出力型のアンプとシングル入力差動出力型のアンプが交互に縦続接続された構成についても本発明は適用可能である。
【0098】
また、本発明においてアンプや可変抵抗に用いられるトランジスタの種類は任意であり、MOSトランジスタでもバイポーラトランジスタでもよい。
【0099】
また、本発明において縦続接続される増幅段の段数は任意であり、5段以下でも7段以上でもよい。
【符号の説明】
【0100】
10−1〜10−6…差動アンプ、11…電流源、12,12A…トランジスタ対、20−1〜20−6…スイッチ回路、30…オフセット調整回路、40…検出回路、50…信号生成回路、51−1〜51−6…振幅検出回路、52…ローパスフィルタ、R1,13A,14A…抵抗、13,14,15,16…可変抵抗、M1,M2,M3,M4,M3−1〜M3−j,M4−1〜M4−j…MOSトランジスタ、M1A,M2A…バイポーラトランジスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦続に結合された複数の増幅段を有する増幅回路であって、
上記複数の増幅段の入力電圧をそれぞれゼロに設定する入力電圧設定回路と、
上記複数の増幅段のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整するオフセット調整回路と、
終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する検出回路と、
を備え、
上記増幅段は、上記オフセット調整回路の制御に応じてオフセット電圧が変化し、
上記オフセット調整回路は、一の増幅段の上記オフセット電圧を調整する場合、当該調整対象の増幅段の入力電圧をゼロに設定するように上記入力電圧設定回路を制御した状態で当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を変化させ、当該変化の過程で終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることを上記検出回路が検出すると、当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持するとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定を解除するように上記入力電圧設定回路を制御する、
増幅回路。
【請求項2】
上記入力電圧設定回路は、上記増幅段に信号電圧を入力する入力端子対を上記オフセット調整回路の制御に従って短絡するスイッチ回路を含み、
上記オフセット調整回路は、上記調整対象の増幅段の上記入力端子対を短絡するように上記スイッチ回路を制御した状態で上記オフセット電圧調整を行い、上記オフセット電圧調整が完了すると、当該調整対象の増幅段の入力短絡状態を解除するように上記スイッチ回路を制御する、
請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
上記オフセット調整回路は、上記複数の増幅段のオフセット電圧調整を開始するとき、全ての上記増幅段の上記入力端子対を短絡するように上記スイッチ回路を制御し、一の増幅段の上記オフセット電圧調整が完了すると、当該一の増幅段の入力短絡状態を解除するように上記スイッチ回路を制御する、
請求項2に記載の増幅回路。
【請求項4】
上記増幅段は、入力される差動電圧を増幅し、当該増幅結果を差動電圧として出力する差動増幅回路を含む、
請求項2又は3に記載の増幅回路。
【請求項5】
上記差動増幅回路は、
共通の電流源に接続され、上記入力差動電圧に応じた差動電流を出力するトランジスタ対と、
上記差動電流の一方の電流経路に設けられた第1負荷抵抗及び上記差動電流の他方の電流経路に設けられた第2負荷抵抗を含み、上記差動電流に応じて上記第1負荷抵抗に生じる電圧と上記第2負荷抵抗に生じる電圧との差に応じた差動電圧を出力する負荷回路と、
を有し、
上記第1負荷抵抗及び上記第2負荷抵抗の少なくとも一方は、上記オフセット調整回路の制御に応じてその抵抗値が変化する可変抵抗である、
請求項4に記載の増幅回路。
【請求項6】
上記差動増幅回路は、
共通の電流源に接続され、上記入力差動電圧に応じた差動電流を出力するトランジスタ対と、
上記差動電流に応じた差動電圧を出力する負荷回路と、
上記トランジスタ対の2つのトランジスタと上記電流源との間の電流経路の少なくとも一方に設けられた抵抗を含む抵抗回路と、
を有し、
上記抵抗回路の上記抵抗は、上記オフセット調整回路の制御に応じてその抵抗値が変化する可変抵抗である、
請求項4に記載の増幅回路。
【請求項7】
上記可変抵抗は、
並列接続された複数のトランジスタを含むトランジスタ回路と、
上記トランジスタ回路に含まれる上記複数のトランジスタのうち、上記オフセット調整回路の制御に応じて選択した一部のトランジスタの電流経路を遮断する遮断回路と、
を含む、
請求項5又は6に記載の増幅回路。
【請求項8】
上記検出回路は、終段の上記増幅段から出力される差動電圧の一方の電圧が他方の電圧より高い場合に第1信号を出力し、当該一方の電圧が当該他方の電圧より低い場合に第2信号を出力し、
上記オフセット調整回路は、上記検出回路の出力信号が上記第1信号から上記第2信号へ若しくは上記第2信号から上記第1信号へ変化したとき、上記調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持するとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定を解除するように上記入力電圧設定回路を制御する、
請求項4乃至7の何れか一項に記載の増幅回路。
【請求項9】
縦続に結合された複数の増幅段と、
上記複数の増幅段からそれぞれ出力される信号に基づいて、初段の上記増幅段に入力される信号の強度を示す信号強度表示信号を生成する信号生成回路と、
上記複数の増幅段の入力電圧をそれぞれゼロに設定する入力電圧設定回路と、
上記複数の増幅段のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整するオフセット調整回路と、
終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する検出回路と、
を備え、
上記増幅段は、上記オフセット調整回路の制御に応じてオフセット電圧が変化し、
上記オフセット調整回路は、一の増幅段の上記オフセット電圧を調整する場合、当該調整対象の増幅段の入力電圧をゼロに設定するように上記入力電圧設定回路を制御した状態で当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を変化させ、当該変化の過程で終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることを上記検出回路が検出すると、当該調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持するとともに、当該調整対象の増幅段の入力電圧の上記ゼロ設定を解除するように上記入力電圧設定回路を制御する、
信号強度検出回路。
【請求項10】
上記信号生成回路は、
上記複数の増幅段からそれぞれ出力される信号の振幅に応じた振幅信号を生成する複数の振幅検出回路と、
上記複数の振幅検出回路において生成される複数の上記振幅信号を合成し、当該合成結果に応じた上記信号強度表示信号を出力する信号合成回路と、
を有する、
請求項9に記載の信号強度検出回路。
【請求項11】
縦続に結合された複数の増幅段を有する増幅回路のオフセット電圧調整方法であって、
上記複数の増幅段の入力電圧をそれぞれゼロに設定するゼロ電圧入力工程と、
上記複数の増幅段のオフセット電圧を終段から初段に向かって順に調整する複数の調整工程とを有し、
上記調整工程は、
調整対象の増幅段のオフセット電圧を変化させる第1の工程と、
上記第1の工程において、終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあるか否かを検出する第2の工程と、
上記第2の工程において終段の上記増幅段の出力電圧がゼロ付近にあることが検出されると、上記調整対象の増幅段のオフセット電圧を保持し、当該調整対象の増幅段に対する上記入力電圧のゼロ設定を解除する第3の工程と、
を含む、
オフセット電圧調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−55055(P2011−55055A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199535(P2009−199535)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】