説明

増殖性障害の処置に有用な2,4−ジ(フェニルアミノ)ピリミジン

式I
【化1】


〔式中、X、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは請求項1で定義の通り。〕の化合物でALK活性を阻害ことによる、腫瘍疾患のような増殖性障害を予防または処置する方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、増殖性障害、例えば癌の処置のためのピリミジン誘導体の使用、および、このような増殖性障害の処置のためのそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
より特に本発明は、ある種のピリミジン誘導体が価値のある、薬理学的に有用な特性を有するとの発見に基づく。特に本発明で使用するピリミジン誘導体は、薬理学的に興味深い特異的阻害活性を示す。それらは、とりわけタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤として有効である;それらは、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびNPM−ALKの融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性の強力な阻害を示す。このタンパク質チロシンキナーゼは、ヌクレオホスミン(NPM)と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子融合に由来し、ALKリガンド非依存的なタンパク質チロシンキナーゼを与える。NPM−ALKは、血液学的疾患および新生物疾患に至る多くの造血および他のヒト細胞、例えば未分化大細胞リンパ腫(ALCL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、特異的にALK+NHLまたはAlkomas、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)および神経芽腫におけるシグナル伝達の重要な役割を担う。NPM−ALKに加えて、他の遺伝子融合体がヒト血液学的疾患および新生物疾患で同定されている;主にTPM3−ALK(非筋肉トロポミオシンとALKの融合体)。本ピリミジン誘導体は、全てのこのようなALK含有遺伝子融合体の阻害に有用である。
【0003】
ALKまたはALK含有遺伝子融合体の阻害剤として有用な化合物は、とりわけ遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
Xは=CR−または=N−であり;
、R、R、RおよびRの各々は独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキルであるか;
またはRおよびRは、それらが結合している窒素および炭素原子と一体となって、5から10員ヘテロ環式環を形成し、そしてN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子をさらに含むか;
またはR、RおよびRの各々は、独立してハロゲン;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ハロ−C−Cアルコキシ;ヒドロキシC−Cアルコキシ;C−CアルコキシC−Cアルコキシ;アリール;アリールC−Cアルコキシ;ヘテロアリール;ヘテロアリール−C−Cアルキル;5から10員ヘテロ環式環;ニトロ;カルボキシ;C−Cアルコキシカルボニル;C−Cアルキルカルボニル;−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル;−N(R10)R11;−CON(R10)R11;−SON(R10)R11;または−C−C−アルキレン−SON(R10)R11であり;ここで、R10およびR11の各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;(C−Cアルキル)−カルボニル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキル;または5から10員ヘテロ環式環であるか;
またはRおよびRは、それらが結合しているC原子と一体となってアリールまたはN、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5から10員ヘテロアリール残基を形成するか;または
およびRの各々は、独立して水素;ハロゲン;シアノ;C−Cアルキル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−C10アリールC−Cアルキルであり;
、RおよびRの各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;アリールC−Cアルキル;−Y−R12(ここで、Yは直接結合であるかまたはOとR12は置換または非置換のN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5、6または7員ヘテロ環式環を形成する);カルボキシ;(C−Cアルコキシ)−カルボニル;−N(C1−8アルキル)−CO−NR1011;−CONR1011;−N(R10)(R11);−SON(R10)R11であるか;またはRとRまたはRとRの各々は、それらが結合している炭素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5または6員ヘテロアリール;または5または6員炭素環式環を形成する。〕
の化合物である。
【0004】
全てのアリールはフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、好ましくはフェニルであり得る。ヘテロアリールは芳香族性ヘテロ環式環、例えば、所望により1個または2個のベンゼン環および/またはさらなるヘテロ環式環に縮合していてよい5または6員芳香族性ヘテロ環式環である。
【0005】
全てのヘテロ環式環は、飽和または不飽和であってよく、所望により1個または2個のベンゼン環および/またはさらなるヘテロ環式環に縮合していてよい。
【0006】
ヘテロ環式環またはヘテロアリールの例は、例えばモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、ピリジル、プリニル、ピリミジニル、N−メチル−アザ−シクロヘプタン−4−イル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダニル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリルを含む。好ましいヘテロ環式環またはヘテロアリールは、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、ピリジル、N−メチル−アザ−シクロヘプタン−4−イル、チアゾリル、イミダゾリルおよびテトラゾリルである。
【0007】
とRまたはRとRが、それらが結合している炭素原子と一体となって5または6員炭素環式環を形成するとき、これは、好ましくはシクロペンチルまたはシクロヘキシルであり得る。
ハロ−アルキルは、1個またはそれ以上のHがハロゲンで置換されているアルキル、例えばCFである。
【0008】
全てのアルキルまたはアルキル部分は直鎖または分枝鎖であり得る。C1−8アルキルは、好ましくはC1−4アルキルである。C1−8アルコキシは、好ましくはC1−4アルコキシである。全てのアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールは、特記されない限り、非置換であるか、またはハロゲン;OH;C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ニトロ;シアノ;COOH;カルバモイル;C(NH)=NOH;−N(R10)R11;C−Cシクロアルキル;3から7員ヘテロ環式環;フェニル;フェニル−C1−4アルキル;5または6員ヘテロアリールから選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてよい。アルキル、アルコキシまたはアルケニルが置換されているとき、置換基は好ましくは末端C原子上にある。ヘテロ環式環またはヘテロアリールが、例えば、上記の通り置換されているとき、これは、1個またはそれ以上の環炭素原子上および/または存在するとき環窒素原子上であり得る。環窒素原子上の置換基の例は、例えばC1−8アルキル、カルバモイル、−C(NH)=NOH、−NR1011、C3−6シクロアルキルまたはフェニル−C1−4アルキル、好ましくはC1−8アルキル、C3−6シクロアルキルまたはフェニル−C1−4アルキルである。
【0009】
好ましくはRとしてのアルキルまたはアルコキシは、末端C原子をOH、C1−4アルコキシまたはヘテロ環式環で置換されているアルキルまたはアルコキシである。R10またはR11が5から10員ヘテロ環式環であるとき、それは例えばチアゾリルであり得る。
【0010】
ハロゲンはF、Cl、BrまたはIであり得る。
好ましくは最大1個のR、RまたはRがCONR1011またはSONR1011、より好ましくはSONR1011である。
【0011】
本発明の化合物は、遊離形または塩形として、例えば有機または無機酸との、例えば付加塩として、例えばトリフルオロ酢酸または塩酸、またはそれがカルボキシ基を含むとき、例えば、塩基と得られる塩、例えばナトリウム、カリウムまたは置換もしくは非置換アンモニウム塩のようなアルカリ塩として存在し得る。
【0012】
式Iにおいて、下記の意味が独立して、集合してまたは任意の組み合わせまたは下位の組み合わせで好ましい:
(a)Xが=CRである;
(b)Rが水素;ハロゲン、例えばCl;C−Cアルキル、例えばメチルまたはエチル;C1−4アルコキシ、例えばメトキシ;好ましくは水素である;
(c)Rが水素;ハロゲン、例えばClまたはF;OH;C−Cアルキル、例えばメチルまたはエチル;置換C1−8アルキル、例えば末端をOH置換されているC1−8アルキル;−SON(R10)R11;−N(C1−4アルキル)C(O)C1−4アルキル;所望により環N原子を置換されていてよい(可能であれば)5または6員ヘテロ環式環;C−Cアルコキシ、例えばメトキシ;アリール、例えばフェニルであるか;またはRと、かつRおよびRが結合しているC原子と一体となって、5から10員アリールまたはヘテロアリールを形成し、後者は1個または2個の窒素原子を含む;
(d)Rが水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル、例えばメチルまたはエチル;置換C1−8アルキル、例えば末端をOH−またはC1−4−アルコキシで置換されているC1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C−CアルコキシC−Cアルコキシ;−CON(R10)R11;−SON(R10)R11であるか;またはRと、かつRおよびRが結合しているC原子と一体となって、5から10員アリールまたはヘテロアリールを形成し、後者は1個または2個の窒素原子を含む;
(e)Rが水素;ハロゲン、例えばCl、Br;ヒドロキシ;C−Cアルキル、例えばメチルまたはエチル;置換C1−8アルキル、例えば末端をOH置換されているC1−8アルキル;カルボキシ;CONR1011;−SON(R10)R11;所望により環窒素原子を置換されていてよい(可能であれば)5または6員ヘテロ環式環であるか;またはRと、かつRおよびRが結合しているNおよびC原子と一体となって、6員ヘテロ環式環を形成する;
(f)Rが水素であるか;またはRと、かつRおよびRが結合しているNおよびC原子と一体となって、6員ヘテロ環式環を形成する;好ましくは水素である;
(g)Rが水素;ハロゲン;C1−4アルキル;またはCFである;
(h)Rが水素である;
(i)Rが水素;ヒドロキシ;C1−4アルキル;置換C1−4アルキル、例えば末端をOH置換されているC1−4アルキル;C1−8アルコキシ;例えば末端をOH、C1−4アルコキシまたはヘテロ環式環で置換されている、置換C1−8アルコキシ;NR1011;−SON(R10)R11;−Y−R12;CFであるか;またはRはRと、かつRおよびRが結合しているC原子と一体となって、例えば−NH−CH=CH−、−CH=CH−NH−、−NH−N=CH−、−CH=N−NH−、−NH−N=N−または−N=N−NH−で架橋されている、5員ヘテロアリール残基を形成する;
(k)Rが水素;ヒドロキシ;C1−4アルコキシ;カルボキシ;所望により環CまたはN原子が置換されていてよい、5または6員ヘテロ環式環;N(C1−4アルキル)−CO−NR1011であるか;またはRまたはRと、かつRとRまたはRとRの各々が結合しているC原子と一体となって、例えば−NH−CH=CH−、−CH=CH−NH−、−NH−N=CH−、−CH=N−NH−、−NH−N=N−または−N=N−NH−で架橋されている、5員ヘテロアリール残基を形成する;
(l)Rが水素;C1−4アルコキシ;NR1011であるか;またはRと、かつRおよびRが結合しているC原子と一体となって、例えば−NH−CH=CH−、−CH=CH−NH−、−NH−N=CH−、−CH=N−NH−、−NH−N=N−または−N=N−NH−で架橋されている、5員ヘテロアリールを形成する;
(m)R10およびR11の一方が、独立して水素またはC1−4アルキルであり、他方が水素;OH;C1−8アルキル、例えば末端をOH、C3−6シクロアルキルまたはヘテロ環式環で置換されている置換C1−8アルキル;C2−8アルケニル;C3−8シクロアルキル;ヒドロキシC1−8アルコキシC1−8アルキル;または5員ヘテロ環式環である。
【0013】
は好ましくはSONR1011である。
本発明はまた、血液学的疾患および新生物疾患の処置用医薬の製造のための、式Iの化合物の使用も提供する。
【0014】
本発明はまた式Iの化合物の製造法であり、式II
【化2】

〔式中、R、R、R、R、R、RおよびXは上記で定義の通りであり、そしてYは脱離基、好ましくはハロゲン、例えばブロマイド、ヨウ素または特にクロライドである。〕
の化合物と、式III
【化3】

〔式中、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、得られた式Iの化合物を遊離形または塩形で回収し、そして、必要であれば、遊離形で得た式Iの化合物を塩形に変換するか、またはその逆を行うことを含む、方法を提供する。
【0015】
該方法は当分野で既知の方法に従って、例えば実施例1から4に記載の通り、行い得る。
【0016】
出発物質として使用する式IIの化合物は、式IV
【化4】

の化合物と、式V
【化5】

〔式中、R、R、R、R、R、R、YおよびXは上記で定義の通りである。〕
の化合物の反応により得ることができる。
【0017】
式IVおよびVの化合物は既知であるか、または既知の方法に従って製造できる。
下記実施例は本発明を限定することなく説明する。
【0018】
下記略語を用いる:APC=アロフィコシアニン、BINAP=2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、cDNA=相補DNA、DCM=ジクロロメタン、DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DMF=ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、DMF=ジメチルホルムアミド;Pmc=2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン;tBu=tert.−ブチル;DIPCDI=N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド;DTT=1,4−ジチオ−D,L−スレイトール(treitol)、DNA=デオキシリボ核酸、EDTA=エチレンジアミンテトラ−酢酸、Lck=リンパ性T細胞タンパク質チロシンキナーゼ、LAT−11=T細胞活性化のためのリンカー、RT=室温;RT−PCR=逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、MS=電子スプレー質量分析により測定した分子イオン(例えばM+H1+);Eu=ユーロピウム。
【0019】
実施例1:2−[2−(1H−インダゾル−6−イルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
【化6】

(a)2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミド:8.52g(49.47mmol)2−アミノベンゼンスルホンアミドの200ml イソプロパノールの懸濁液に、22.1g(148.42mmol、3当量)2,4−ジクロロピリミジンおよび20ml 10M 塩酸(200mmol、4当量)を添加する。懸濁液を60℃で2時間15分撹拌する。反応混合物を2l 酢酸エチルで希釈し、500ml 水を添加する。重炭酸ナトリウムの添加によりpHを8−9に調整する。層を分離し、水性層を500ml 酢酸エチルで再抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、300mlの容量まで蒸発させる。結晶沈殿が生じ、濾過により除去する(副生成物)。濾液を100mlまで蒸発させ、それにより生成物が結晶化して2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミドを得る(HPLCで97%純度)。この結晶化の母液を、さらにカラムクロマトグラフィーおよび結晶化で精製し、さらに2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミドを得る。
【0020】
(b)2−[2−(1H−インダゾル−6−イルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド:7.25g(25.46mmol)2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミドおよび4.07g(30.55mmol、1.2当量)6−アミノインダゾールの400ml イソプロパノールの懸濁液に、13ml 濃HCl(130mmol、5当量)を添加する。懸濁液を4時間30分環流する。反応混合物を1.5l 酢酸エチルで希釈し、1l 水を添加する。重炭酸ナトリウムの添加によりpHを8−9に調整する。層を分離し、水性層を500ml 酢酸エチルで再抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、300mlの容量まで蒸発させる。結晶沈殿(1.01g)が生じ、濾過により除去する(副生成物)。濾液を酢酸エチル/メタノール95/5v/vで溶出する200g シリカゲルクロマトグラフィーで精製する。蒸発により結晶が生じ、それを濾過して表題化合物を得る。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):□ 9.42(s, 1H), 8.34(d, 1h), 8.28(d, 1H), 8.27(s, 1H), 7.93(s, 1H, 7.88(d, 1H), 7.62(m, 2H), 7.32(d, 1H), 7.24(t, 1H), 6.40(d, 1H)。
MS m/z(%):382(M+H, 100);
【0021】
実施例2:2−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
【化7】

表題化合物を2−(2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミドから、実施例1に記載の通りに、工程(b)において3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミンを6−アミノインダゾールの代わりに使用して製造する。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):□ 9.18(s, 1H), 8.22(d, 1H), 8.17(d, 1H), 7.89(d, 1H), 7.55(t, 1H), 7.25(t, 1H), 7.14(s, 2H), 6.40(d, 1H), 3.69(s, 6H), 3.62(s, 3H)。MS m/z(%):432(M+H, 100);
【0022】
実施例3:2−メチル−6−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
【化8】

表題化合物を、工程(a)において2−アミノ−6−メチル−ベンゼンスルホンアミドを2−アミノベンゼンスルホンアミドの代わりに使用する以外、実施例1に記載の通り製造する。2−アミノ−6−メチル−ベンゼンスルホンアミドは、Girard, Y el al.;J. J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 1979, 4, 1043-1047に記載の通り製造できる:窒素雰囲気下、m−トルイジン(32.1g、32.5ml、0.30mmol)をクロロスルホニルイソシアネート(51.3ml、83.6g、0.59mmol)のニトロエタン(400ml)溶液に、−55〜−49℃で滴下する。冷却浴を除去し、混合物を−8℃に温め、その後塩化アルミニウム(51g、0.38mmol)を添加する。混合物の100℃で20分の加熱により透明褐色溶液が生じ、それをRTに冷却し、氷に注ぐ。濾過後、氷水で洗浄し、ジエチルエーテル沈殿を回収し、ジオキサン(300ml)に溶解する。水(1000ml)および濃HCl(1500ml)を添加して懸濁液を形成し、それを120℃で18時間加熱する。RTに冷却後、透明褐色溶液をジエチルエーテル/ヘキサン(1400ml、1/1v/v)で洗浄し、炭酸ナトリウムの添加によりpH=8に調整する。酢酸エチル(2×1000ml)での抽出、有機相の水(500ml)および塩水(500ml)での洗浄、乾燥(硫酸マグネシウム)および濃縮により褐色固体を得て、それを塩化メチレン/エタノール(100/1v/v)を使用したシリカクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を白色固体として得る。
【0023】
融点:72−75℃(プロパン−2−オール);
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):□ 2.64(s, 3H, Me), 3.63(s, 3H, OMe), 3.68(s, 6H, OMe), 6.31(d, J=5Hz, 1H, ピリミジンCH), 7.07(d, J=8Hz, 1H, arom. CH), 7.15(s, 2H, arom. CH), 7.40(t, J=8Hz, 1H, arom. CH), 7.65(s, 2H, SO2NH2), 8.04(d, J=8Hz, 1H, arom. CH), 8.12(d, J=5Hz, 1H, ピリミジンCH), 9.14(s, 1H, NH), 9.40(s, 1H, NH)。
MS(ES+)m/z:446(MH+), 468(MNa+)
MS(ES-):444(M-H)-
【0024】
実施例4:2−メトキシ−6−[2−(3,4,5−トリメトキシ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
【化9】

表題化合物を、工程(a)において2−アミノ−6−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドを2−アミノ−6−メチル−ベンゼンスルホンアミドの代わりに使用する以外、実施例1に記載の通りに製造する。2−アミノ−6−メトキシ−ベンゼンスルホンアミドは、実施例1aに記載の方法に準じて、12.3gのメタ−アニシジンから製造し得る。NMR(400 MHz, DMSO-d6):□ 3.62(s, 3H, OMe), 3.69(s, 6H, OMe), 3.91(s, 3H, OMe), 6.31(d, J=5Hz, 1H, ピリミジンCH), 6.86(d, J=8Hz, 1H, arom. CH), 7.12(s, 2H, arom. CH), 7.43(t, J=8Hz, 1H, arom. CH), 8.01(d, J=8Hz, 1H, arom. CH), 8.11(d, J=5Hz, 1H, ピリミジンCH), 9.18(s, 1H, NH), 9.79(br, 1H, NH)。
MS(ES+):462.2(MH+), 484.2(MNa+)
MS(ES-):460.3(M-H)-
【0025】
式X
【化10】

〔式中、R、RおよびRは表1に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0026】
【表1】

【表2】

【表3】

【0027】
式X
【化11】

〔RおよびRは表2に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0028】
【表4】

【0029】
式X
【化12】

〔R、RおよびRは表3に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0030】
【表5】

【0031】
式X
【化13】

〔式中、R、R、R、RおよびRは表4に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0032】
【表6】

【表7】

【表8】

【0033】
式X
【化14】

〔式中、R、R、R、RおよびRは表5に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0034】
【表9】

【0035】
式X
【化15】

〔式中、R、R、RおよびRは表6に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0036】
【表10】

【0037】
式X
【化16】

〔式中、R、R、R、RおよびRは表7に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0038】
【表11】

【表12】

【表13】

【0039】
式X
【化17】

〔式中、R、R、RおよびRは表8に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0040】
【表14】

【0041】
式X
【化18】

〔式中、R、RおよびRは表9に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0042】
【表15】

【0043】
式X10
【化19】

〔式中、R、RおよびRは表10に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0044】
【表16】

【0045】
式X11
【化20】

〔式中、Rは−OCH(実施例185)または−OH(実施例186)である。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0046】
式X12
【化21】

〔式中、R、R、R、RおよびRは表12に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0047】
【表17】

【0048】
式X13
【化22】

〔R、R、RおよびRは表13に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0049】
【表18】

【0050】
式X14
【化23】

〔式中、R、R、R、RおよびRは表14に定義の通りである。〕の化合物を、実施例1に従うが、適当な出発物質を使用して製造できる。
【0051】
【表19】

【表20】

ES+は電子スプレーMS正モードを意味する;ES−は電子スプレーMS負モードを意味する;そしてELは電子衝撃MSを意味する。
【0052】
式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は、インビトロアッセイで試験したとき、価値のある薬理学的特性を示し、したがって、有用な医薬である。それらは、とりわけタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤として有用である;それらは、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびNPM−ALKの融合タンパク質のチロシンキナーゼの強力な阻害を示す。このタンパク質チロシンキナーゼはヌクレオホスミン(NPM)と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子融合に由来し、ALKリガンド非依存的なタンパク質チロシンキナーゼを与える。NPM−ALKは、血液学的疾患および新生物疾患に至る多くの造血および他のヒト細胞、例えば未分化大細胞リンパ腫(ALCL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、特異的にALK+NHLまたはAlkomas、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)および神経芽腫におけるシグナル伝達の重要な役割を担う(Duyster J et al. 2001 Oncogene 20, 5623-5637)。NPM−ALKに加えて、他の遺伝子融合体がヒト血液学的疾患および新生物疾患で同定されている;主にTPM3−ALK(非筋肉トロポミオシンとALKの融合体)。
【0053】
本明細書に記載の化合物のALK阻害活性およびALK含有遺伝子融合体に対する阻害活性により、それらは増殖性疾患の処置用の医薬として有用である。増殖性疾患は主に腫瘍疾患(または癌)(および/または何らかの転移巣)である。本発明の化合物は、特に腫瘍、例えば乳癌、尿生殖器癌、肺癌、消化器癌、類表皮癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌または膀胱癌、または広い意味で腎臓、脳もしくは胃の癌;特に(i)乳房腫瘍;類表皮腫瘍、例えば類表皮頭頚部腫瘍または口腔腫瘍;肺腫瘍、例えば小細胞または非小細胞肺腫瘍;消化器腫瘍、例えば、結腸直腸腫瘍;または尿生殖器腫瘍、例えば、前立腺腫瘍(とりわけホルモン難治性前立腺腫瘍);または(ii)他の化学療法剤での処置に難治性の増殖性疾患;または(iii)多剤耐性のために他の化学療法剤での処置に難治性の腫瘍の処置にも有効である。
【0054】
本発明の広い意味では、増殖性疾患はさらに、白血病、過形成、線維症(とりわけ肺であるが、また他のタイプの線維症例えば腎線維症)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管の平滑筋増殖、例えば狭窄または血管形成術後の再狭窄のような過増殖性状態であり得る。本発明で処置する増殖性疾患は、血液およびリンパ系の腫瘍(例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫、悪性免疫増殖性疾患、多発性骨髄腫および悪性血漿細胞新生物、リンパ性白血病、急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病、単球性白血病、特異的細胞系の他の白血病、非特異的細胞系の白血病、リンパ、造血および関連組織の他のおよび非特異的悪性新生物、例えば例えばびまん性大細胞型リンパ腫、T細胞リンパ腫または皮膚T細胞リンパ腫)を含む。骨髄の癌は例えば急性または慢性骨髄性白血病を含む。
【0055】
腫瘍、腫瘍疾患、癌腫または癌を記載しているとき、また、原発臓器または組織および/または他の場所における転移も、腫瘍および/または転移の位置がどこであれ、それらに代えて、またはそれらに加えて、包含される。
【0056】
本化合物は、正常細胞よりも急速に増殖している細胞、特に庇護眼細胞、例えば、癌腫に選択的に毒性であるかより毒性であり、本化合物は著しい抗増殖効果を有し、分化、例えば細胞サイクル停止およびアポトーシスを促進する。
【0057】
本発明の化合物は、単独でまたは他の抗癌剤、例えば腫瘍血管形成を阻害する化合物、例えば、プロテアーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害剤など;細胞毒性剤、例えばプリンおよびピリミジン類似体代謝拮抗剤のような代謝拮抗剤;微小管安定化剤および抗有糸分裂アルカロイドのような細胞分裂抑制剤;白金配位錯体;抗腫瘍抗生物質;アルキル化剤、例えば窒素マスタードおよびニトロソウレア;内分泌剤、例えばアドレノコルチコステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン遊離ホルモンアゴニストおよびソマトスタチン類似体および腫瘍細胞で過剰発現されているおよび/または上方制御されている特異的代謝経路に他の方法で関係している酵素または受容体を標的とする化合物、例えばATPおよびGTPホスホジエステラーゼ阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、例えばセリン、スレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、Abelsonタンパク質チロシンキナーゼおよび種々の増殖因子、それらの受容体およびそれに対するキナーゼ阻害剤、例えば、上皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、繊維芽細胞増殖因子阻害剤、インシュリン様増殖因子受容体阻害剤および血小板由来増殖因子受容体キナーゼ阻害剤など;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、シクロオキシゲナーゼ−1または−2阻害剤と組み合わせてとよしてよい。このような抗増殖剤は、さらに、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性化剤、アルキル化剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、MMP阻害剤、mTOR阻害剤、抗新生物代謝拮抗剤、白金化合物、タンパク質キナーゼ活性を低下させる化合物およびさらに抗血管形成化合物、ゴナドレリンアゴニスト、抗アンドロゲン、ベンガミド、ビスホスホネート、抗増殖性抗体およびテモゾロミド(TEMODAL(登録商標))を含む。
【0058】
本明細書で使用する“アロマターゼ阻害剤”は、エストロゲン産生、すなわち各々基質アンドロステネジオンおよびテストステロンからエステロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。本用語は、ステロイド、とりわけエキセメスタンおよびフォルメスタンそして、特に、非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよび、非常にとりわけ、レトロゾールを含むが、これらに限定されない。アロマターゼ阻害剤である抗新生物剤を含む本発明の組み合わせは、ホルモン受容体陽性乳房腫瘍の処置に有用であり得る。
【0059】
本明細書で使用する“抗エストロゲン”は、エストロゲンとエストロゲン受容体レベルで拮抗する化合物に関する。本用語は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェンヒドロクロライドを含むが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用する“トポイソメラーゼI阻害剤”は、トポテカン、イリノテカン、9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシン接合体PNU−166148(WO99/17804の化合物A1)を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用する“トポイソメラーゼII阻害剤”は、アントラサイクリン類ドキソルビシン(リポソーム製剤を含む、例えばCAELYX(登録商標))、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノン類ミトキサントロンおよびロソキサントロン、およびポドフィロトキシン類エトポシドおよびテニポシドを含むが、これらに限定されない。
【0062】
“微小管活性化剤”なる用語は、微小管安定化および微小管脱安定化剤に関し、タキサン類パクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、とりわけビンブラスチンスルフェート、ビンクリスチン、とりわけビンクリスチンスルフェート、およびビノレルビン、ディスコデルモライドおよびエポチロン、例えばエポチロンBおよびDを含むが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用する“アルキル化剤”なる用語は、シクロホスファミド、イフォスファミドおよびメルファランを含むが、これらに限定されない。
【0064】
“ヒストンデアセチラーゼ阻害剤”なる用語は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0065】
“ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤”なる用語は、ファルネシルトランスフェラーゼを阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0066】
“COX−2阻害剤”なる用語は、シクロオキシゲナーゼタイプ2酵素(COX−2)を阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物、例えばセレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))およびルミラコキシブ(COX189)に関する。
【0067】
“MMP阻害剤”なる用語は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0068】
“抗新生物代謝拮抗剤”なる用語は、5−フルオロウラシル、テガフール、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビンホスフェート、フルオロウリジン、ゲムシタビン、6−メルカプトプリン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、エダトレキサートおよびこのような化合物の塩、およびさらにZD1694(RALTITREXEDTM)、LY231514(ALIMTATM)、LY264618(LOMOTREXOLTM)およびOGT719を含むが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書で使用する“白金化合物”なる用語は、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンを含むが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用する“タンパク質キナーゼを低下させる化合物およびさらなる抗血管形成化合物”なる用語は、例えば血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、c−Src、タンパク質キナーゼC、血小板由来増殖因子(PDGF)、Bcr−Ablチロシンキナーゼ、c−kit、Flt−3およびインシュリン様増殖因子I受容体(IGF−IR)およびサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を低下させる化合物、およびタンパク質キナーゼの活性低下以外の作用機構を有する抗血管形成化合物を含むが、これらに限定されない。
【0071】
VEGFの活性を低下させる化合物は、とりわけVEGF受容体、とりわけVEGF受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害する化合物、およびVEGFに結合する化合物であり、特にWO98/35958(記載の式Iの化合物)、WO00/09495、WO00/27820、WO00/59509、WO98/11223、WO00/27819、WO01/55114、WO01/58899およびEP0769947に一般的におよび具体的に記載されている;M. Prewett et al in Cancer Research 59(1999)5209-5218により、F. Yuan et al in Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 93, pp. 14765-14770, December 1996により、Z. Zhu et al in Cancer Res. 58, 1998, 3209-3214, およびJ. Mordenti et al in Toxicologic Pathology, vol. 27, no. 1, pp 14-21, 1999により記載されている;WO00/37502およびWO94/10202に記載されている化合物、タンパク質およびモノクローナル抗体;M. S. O'Reilly et al, Cell 79, 1994, 315-328により記載されているAngiostatinTM;およびM. S. O'Reilly et al, Cell 88, 1997, 277-285により記載されているEndostatinTMであり;
【0072】
EGFの活性を低下させる化合物は、とりわけEGF受容体、とりわけEGF受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害する化合物、およびEGFに結合する化合物、および特にWO97/02266(記載の式IVの化合物)、EP0564409、WO99/03854、EP0520722、EP0566226、EP0787722、EP0837063、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983および、とりわけ、WO96/33980に一般的におよび具体的に記載されている化合物であり;
【0073】
c−Src化合物は、下記で定義の通りc−Srcタンパク質チロシンキナーゼ活性を阻害する化合物およびWO97/07131およびWO97/08193に記載のようなSH2相互作用阻害剤を含むが、これらに限定されない;
c−Srcタンパク質チロシンキナーゼ活性を阻害する化合物は、ピロロピリミジンの構造群に属する化合物、とりわけピロロ[2,3−d]ピリミジン、プリン、ピラゾピリミジン、とりわけピラゾ[3,4−d]ピリミジン、ピラゾピリミジン、とりわけピラゾ[3,4−d]ピリミジンおよびピリドピリミジン、とりわけピリド[2,3−d]ピリミジンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、本用語は、WO96/10028、WO97/28161、WO97/32879およびWO97/49706に記載の化合物に関する;
【0074】
タンパク質キナーゼCの活性を低下させる化合物は、とりわけタンパク質キナーゼC阻害剤である化合物である、EP0296110に記載のスタウロスポリン誘導体(WO00/48571に記載の医薬製剤)である;
タンパク質キナーゼ活性を低下させ、また本発明の化合物と組み合わせで使用し得るさらなる具体的化合物は、イマチニブ(Gleevec(登録商標)/Glivec(登録商標))、PKC412、IressaTM(ZD1839)、PKI166、PTK787、ZD6474、GW2016、CHIR−200131、CEP−7055/CEP−5214、CP−547632およびKRN−633である;
【0075】
タンパク質キナーゼ活性の低下以外の他の作用機構を有する抗血管形成化合物は、例えばサリドマイド(THALOMID)、セレコキシブ(Celebrex)、SU5416およびZD6126を含むが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用する“ゴナドレリンアゴニスト”なる用語は、アバレリクス、ゴセレリンおよびゴセレリンアセテートを含むが、これらに限定されない。ゴセレリンはUS4,100,274に記載されている。
【0077】
本明細書で使用する“抗アンドロゲン”は、例えばUS4,636,505に記載の通り製剤できる、ビカルタミド(CASODEXTM)を含むが、これに限定されない。
【0078】
“ベンガミド”なる用語は、ベンガミドおよび抗増殖特性を有するその誘導体に関する。
【0079】
本明細書で使用する“ビスホスホネート”なる用語は、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含むが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用する“抗増殖性抗体”は、トラスツマブ(HerceptinTM)、トラスツマブ−DM1、エルロチニブ(TarcevaTM)、ベバシズマブ(AvastinTM)、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体を含むが、これらに限定されない。
【0081】
コード番号、一般名または商品名により同定した活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版から、またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。
【0082】
本発明の組成物は、任意の慣用の経路で、特に非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液の形で、経腸的に、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、局所的、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームまたは経鼻または坐薬形で投与できる。本発明の薬剤を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用法で、薬学的に許容される担体または希釈剤との混合により製造し得る。経口投与用の単位投与形は、例えば、約0.1mgから約500mgの活性物質を含む。局所投与は、例えば皮膚にである。局所投与の別の形は、眼にである。
【0083】
式Iの化合物は、例えば上記の通り、遊離形または薬学的に許容される塩形で投与し得る。このような塩は慣用法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0084】
ALKチロシンキナーゼ活性の阻害は既知の方法を使用して、例えばJ. Wood et al. Cancer Res. 60, 2178-2189(2000)に記載のVEGF−Rキナーゼアッセイに準じたALKの組み換えキナーゼドメインを使用して、測定する。下記表は、いくつかの本発明の化合物のIC50を示す。各化合物を2回、それぞれ2種の異なるALK調製物で試験する。
【表21】

【0085】
式Iの化合物は、ヒトNPM−ALK過剰発現マウスBaF3細胞の増殖を強力に阻害する。NPM−ALKの発現は、BaF3細胞系を、NPM−ALKをコードする発現ベクターpCIneoTM(Promega Corp., Madison WI, USA)でトランスフェクトし、続いてG418耐性細胞を選択することにより達成する。トランスフェクトされていないBaF3細胞は、細胞生存をIL−3に依存する。対照的に、NPM−ALK発現BaF3細胞(BaF3−NPM−ALKと命名)は、それらが増殖性シグナルをNPM−ALKキナーゼを介して得るため、IL−3非存在下で増殖できる。NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤は、故に、増殖シグナルを無くし、抗殖活性をもたらす。NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤の抗増殖活性は、しかしながら、NPM−ALK非依存的機構で増殖シグナルを提供するIL−3の提供により断たれる。[FLT3キナーゼを使用した類似の系について、E Weisberg et al. Cancer Cell;1, 433-443(2002)参照]。式Iの化合物の阻害活性は、簡単には、下記の通り測定する:BaF3−NPM−ALK細胞(15000/マイクロタイタープレートウェル)を、96ウェルマイクロタイタープレートに移す。試験化合物[ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解]を、DMSOの最終濃度が1%(v/v)を超えない方法で一連の濃度(希釈シリーズ)で添加する。添加後、プレートを2日間インキュベートし、その間に試験化合物なしのコントロール培養は2回の細胞分割サイクルを起こすことができる。BaF3−NPM−ALK細胞の増殖は、YoproTM染色の手段で測定する(T Idziorek et al. J. Immunol. Methods;185: 249-258 [1995]):20mM クエン酸ナトリウム、pH4.0、26.8mM 塩化ナトリウム、0.4%NP40、20mM EDTAおよび20mMから成る25μlの融解緩衝液を各ウェルに添加する。細胞融解は室温で60分以内に完了し、DNAに結合したYoproの総量をCytofluor II 96ウェルリーター(PerSeptive Biosystems)で、下記の設定で測定することにより決定する:励起(nm)485/20および放出(nm)530/25。
【0086】
IC50値を、下記の式を使用したコンピュータ利用システムにより決定する:
IC50=[(ABS試験−ABS開始)/(ABSコントロール−ABS開始)]×100。
これらの実験におけるIC50値は、当該試験化合物が、阻害剤なしのコントロールを使用して得られたものより50%低い細胞計数をもたらす試験化合物の濃度として記載する。式Iの化合物は、約0.01から1μMの範囲のIC50で阻害活性を示す。
【0087】
式Iの化合物の抗増殖性作用は、ヒトKARPAS−299リンパ腫細胞系(DSMZ Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)[WG Dirks et al. Int. J. Cancer 100, 49-56 (2002)に記載]において、上記でBaF3−NPM−ALK細胞系について記載したのと同じ方法を使用してまた測定できる。式Iの化合物は、約0.01から1μMの範囲のIC50で阻害活性を示す。
【0088】
下記化合物を、上記の通りBaF3細胞系およびKARPAS−299細胞系で試験する:
【表22】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ALK阻害剤の処置に感受性の状態を処置または予防する方法であって、ALKまたはその遺伝子融合体を、遊離形または塩形の式I
【化1】

〔式中、
Xは=CR−または=N−であり;
、R、R、RおよびRの各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキルであるか;
またはRおよびRは、それらが結合している窒素および炭素原子と一体となって、5から10員ヘテロ環式環を形成し、そしてN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子をさらに含むか;
またはR、RおよびRの各々は、独立してハロゲン;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ハロ−C−Cアルコキシ;ヒドロキシC−Cアルコキシ;C−CアルコキシC−Cアルコキシ;アリール;アリールC−Cアルコキシ;ヘテロアリール;ヘテロアリール−C−Cアルキル;5から10員ヘテロ環式環;ニトロ;カルボキシ;C−Cアルコキシカルボニル;C−Cアルキルカルボニル;−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル;−N(R10)R11;−CON(R10)R11;−SON(R10)R11;または−C−C−アルキレン−SON(R10)R11であり;ここで、R10およびR11の各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;(C−Cアルキル)−カルボニル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキル;または5から10員ヘテロ環式環であるか;
またはRおよびRは、それらが結合しているC原子と一体となって、アリールまたはN、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5から10員ヘテロアリール残基を形成するか;または
およびRの各々は、独立して水素;ハロゲン;シアノ;C−Cアルキル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−C10アリールC−Cアルキルであり;
、RおよびRの各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;アリールC−Cアルキル;−Y−R12(ここで、Yは直接結合であるかまたはOとR12は置換または非置換のN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5、6または7員ヘテロ環式環を形成する);カルボキシ;(C−Cアルコキシ)−カルボニル;−N(C1−8アルキル)−CO−NR1011;−CONR1011;−N(R10)(R11);−SON(R10)R11であるか;またはRとRまたはRとRの各々は、それらが結合している炭素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む、5または6員ヘテロアリール;または5または6員炭素環式環を形成する。〕
の化合物で阻害することを含む、方法。
【請求項2】
最大でR、RまたはRの1個が−CON(R10)R11;または−SON(R10)R11である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
状態が増殖性疾患である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ALK含有遺伝子融合体が阻害される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
血液学的疾患および新生物疾患の処置用医薬の製造のための、遊離形または塩形の式I
【化2】

〔式中、
Xは=CR−または=N−であり;
、R、R、RおよびRの各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキルであるか;
またはRおよびRは、それらが結合している窒素および炭素原子と一体となって、5から10員ヘテロ環式環を形成し、そしてN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子をさらに含むか;
またはR、RおよびRの各々は、独立してハロゲン;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ハロ−C−Cアルコキシ;ヒドロキシC−Cアルコキシ;C−CアルコキシC−Cアルコキシ;アリール;アリールC−Cアルコキシ;ヘテロアリール;ヘテロアリール−C−Cアルキル;5から10員ヘテロ環式環;ニトロ;カルボキシ;C−Cアルコキシカルボニル;C−Cアルキルカルボニル;−N(C−Cアルキル)C(O)C−Cアルキル;−N(R10)R11;−CON(R10)R11;−SON(R10)R11;または−C−C−アルキレン−SON(R10)R11であり;ここで、R10およびR11の各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cシクロアルキル;C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル;C−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−CアルコキシC−Cアルキル;ヒドロキシC−Cアルキル;(C−Cアルキル)−カルボニル;所望により環をヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシまたはC−Cアルコキシカルボニルで置換されていてよいアリールC−Cアルキル;または5から10員ヘテロ環式環であるか;
またはRおよびRは、それらが結合しているC原子と一体となって、アリールまたはN、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5から10員ヘテロアリール残基を形成するか;または
およびRの各々は、独立して水素;ハロゲン;シアノ;C−Cアルキル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;C−C10アリールC−Cアルキルであり;
、RおよびRの各々は、独立して水素;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;ハロ−C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;C−Cシクロアルキル;C−CシクロアルキルC−Cアルキル;アリールC−Cアルキル;−Y−R12(ここで、Yは直接結合であるかまたはOとR12は置換または非置換のN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5、6または7員ヘテロ環式環を形成する);カルボキシ;(C−Cアルコキシ)−カルボニル;−N(C1−8アルキル)−CO−NR1011;−CONR1011;−N(R10)(R11);−SON(R10)R11であり;RとRまたはRとRの各々は、それらが結合している炭素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む、5または6員ヘテロアリール;または5または6員炭素環式環を形成する。〕
の化合物の使用。
【請求項6】
最大でR、RまたはRの1個が−CON(R10)R11;または−SON(R10)R11である、請求項5記載の使用。
(請求項3)
状態が増殖性疾患である、請求項5記載の使用。
(請求項4)
ALK含有遺伝子融合体が阻害される、請求項5記載の使用。


【公表番号】特表2007−505858(P2007−505858A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526595(P2006−526595)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010466
【国際公開番号】WO2005/026130
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】