説明

変位検出装置

【課題】変位検出装置において、全長を短縮する。
【解決手段】変位検出装置1は、検出コイル2と、検出コイル2に対して変位可能に設けられた変形可能な変位体3と、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる変位取り出し部5と、変位体3が変位取り出し部5により変位させられるときに、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる巻取り部4a、4bとを備える。巻取り部4a、4bは、変位体3が変位取り出し部5により変位させられるときに、変位体3の少なくとも一部を巻取ることによって、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる。変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、巻取り部4aに巻取られると共に巻取り部4bから繰り出され、又は、巻取り部4bに巻取られると共に巻取り部4aから繰り出される。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位を検出する変位検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、検出コイルのインピーダンスの変化に基いて、検出対象の変位を検出する変位検出装置がある。この種の変位検出装置にとしては、図11に示す構成のものがある。この変位検出装置100は、剛性を有する導電性のパイプブロック101が直線軌道で変位することにより、検出コイル102のインピーダンスを変化させるようになっている。パイプブロック101及び検出コイル102は、本体ケース103に収納されている。パイプブロック101の挿通孔104には、シフトレバーのような検出対象(不図示)が、カバー105の開口窓106を通して取付けられる。
【0003】
また、図12(a)(b)に示す構成の変位検出装置もある。この変位検出装置110は、剛性を有する導電性の被検出部111が直線軌道で変位することにより、検出部112のコイルボビン113に巻かれた検出コイルのインピーダンスを変化させるようになっている。被検出部111及び検出部112は、筐体114に収納されている。被検出部111は、リンク(ピストンロッド)115を介して、車軸(不図示)に取付けられ、検出部112は、車体(不図示)に取付けられる。
【0004】
また、図13に示す構成の変位検出装置もある。この変位検出装置120は、剛性を有する導電性の回転子121のコア122が回転変位(円弧軌道で変位)することにより、検出コイル123のインピーダンスを変化させるようになっている。
【0005】
さらに、ワイヤが巻取り軸に巻取られる又は巻取り軸から繰り出されることに連動して、磁性体コアを直線軌道で変位させて、検出コイルのインピーダンスを変化させるようにしたもの(例えば特許文献1参照)や、ワイヤ線又はピアノ線等から成るロッドの周囲に金属片を所定のピッチで複数繰り返して配置して可変磁気結合部を構成し、この可変磁気結合部を直線軌道で変位させて、検出コイルのインピーダンスを変化させるようにしたもの(例えば特許文献2参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−329403号公報
【特許文献2】特開平10−153402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の図11に示す構成の変位検出装置100においては、パイプブロック101が検出コイル102と最も重なりが少ない状態を実現するために、パイプブロック101の約2倍に匹敵する全長を有することになる。従って、このような構成の変位検出装置100では、小型化が困難である。
【0008】
また、従来の図12に示す構成の変位検出装置110においては、例えば車高センサとしての用途のように、変位検出装置110と検出対象(車体又は車軸)との相対位置がずれやすく、かつ振動も激しい用途においては、リンク115を使って変位検出装置110を取付けざるを得ず、コスト高となる。
【0009】
また、従来の図13に示す構成の変位検出装置120においては、コア122の変位可能な角度範囲が制限される。すなわち、コア122は、180°以上回転させることができない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、全長を短縮することができる変位検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の変位検出装置は、検出コイルと、検出コイルに対して変位可能に設けられた変形可能な変位体と、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体を変位させる変位取り出し部と、変位体が変位取り出し部により変位させられるときに、変位体の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構とを備え、変位体は、変位取り出し部により変位させられるとき、変位に伴って検出コイルのインピーダンスを変化させ、変位機構によって少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位するものである。
【0012】
本発明の変位検出装置において、変位体は、少なくとも一部に、磁性体の存在する部分を有するものが好ましい。
【0013】
また、本発明の変位検出装置において、磁性体の存在する部分は、変位体の変位方向において、磁性体の存在する量が次第に増加又は減少しているものが好ましい。
【0014】
また、本発明の変位検出装置において、変位体は、少なくとも一部に、導体の存在する部分を有するものが好ましい。
【0015】
また、本発明の変位検出装置において、導体の存在する部分は、変位体の変位方向において、導体の存在する量が次第に増加又は減少しているものが好ましい。
【0016】
また、本発明の変位検出装置において、変位体は、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属が該変位体の変位方向に繋ぎ合せられたものが好ましい。
【0017】
また、本発明の変位検出装置において、変位機構は、変位体が変位取り出し部により変位させられるときに、変位体の少なくとも一部を巻取る巻取り機構であり、変位体は、変位取り出し部により変位させられるとき、巻取り機構により少なくとも一部が巻取られることによって、少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位するものが好ましい。
【0018】
また、本発明の変位検出装置において、変位機構は、変位体が変位取り出し部により変位させられるときに、変位体を循環させる循環機構であり、変位体は、変位取り出し部により変位させられるとき、循環機構により循環させられることによって、少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位するものが好ましい。
【0019】
また、本発明の変位検出装置において、変位体の変位を潤滑にする機構、又は、変位体の引っかかりを防止する機構をさらに備えるものが好ましい。
【0020】
また、本発明の変位検出装置において、変位体にテンションを与える機構をさらに備えるものが好ましい。
【0021】
また、本発明の変位検出装置において、変位取り出し部が変位体とは別体に構成されており、変位体の変位取り出し部に対する滑り止めの機構をさらに備えるものが好ましい。
【0022】
また、本発明の変位検出装置において、変位体の振動を防止する機構をさらに備えるものが好ましい。
【0023】
また、本発明の変位検出装置において、検出コイルは、中央に中空部を有するように巻かれて形成されたものであり、変位体は、少なくとも一部が、中空部内を、検出コイルの中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位するものが好ましい。
【0024】
本発明の変位検出装置において、変位体は、少なくとも一部が、検出コイルの中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位するものが好ましい。
【0025】
また、本発明の変位検出装置において、検出コイルは、2つのコイルが直列又は並列に接続されたものであり、変位体は、少なくとも一部が、2つのコイルの間を変位するものが好ましい。
【0026】
また、本発明の変位検出装置において、検出コイルを付勢する付勢回路と、検出コイルの出力波形を検波する検波回路と、検波回路の出力を変位取り出し部の変位に対応する出力に変換する信号処理回路とをさらに備えるものが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、変位体の少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位することにより、変位検出装置の全長を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す斜視図。
【図2】同変位検出装置の検出処理部の構成を示す電気的ブロック構成図。
【図3】同変位検出装置の検出処理部の別の構成を示す電気的ブロック構成図。
【図4】同変位検出装置の検出処理部のさらに別の構成を示す電気的ブロック構成図。
【図5】同変位検出装置の検出処理部のさらに別の構成を示す電気的ブロック構成図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す断面図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す断面図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す断面図。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る変位検出装置の構成を示す断面図。
【図11】従来の変位検出装置の構成を示す分解斜視図。
【図12】(a)は別の従来の変位検出装置の構成を示す分解斜視図、(b)は同断面図。
【図13】さらに別の従来の変位検出装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態による変位検出装置について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態による変位検出装置の構成を示す。変位検出装置1は、検出コイル2と、変位体3と、巻取り部4a、4bと、変位取り出し部5とを備えている。この変位検出装置1は、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)の変化に基いて、変位を検出するようになっている。
【0030】
検出コイル2は、パターンコイルであり、絶縁基板6上に平面状に形成されている。すなわち、検出コイル2は、絶縁基板6の表面に、渦巻状に形成されている。絶縁基板6は、不図示の支持体に固定的に支持されている。従って、検出コイル2も、不図示の支持体に固定的に支持されている。
【0031】
検出コイル2は、後述するように、付勢回路により付勢されて、磁場を発生する。検出コイル2の中心を通り、検出コイル2の中心で発生する磁場の向きと平行な直線を検出コイル2の中心軸(図中一点鎖線Zで示す)とする。検出コイル2は、検出コイル2の中心軸Zが絶縁基板6の表面と垂直となるように形成されている。
【0032】
変位体3は、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)を変化させるものであり、ゴムシート7の一部の表面に銅箔8を貼り付けて構成されている。ゴムシート7は、絶縁体であって、弾性体である。銅箔8は、導体である。銅箔8は、ゴムシート7の表面の一部に貼り付けられている。すなわち、変位体3は、その少なくとも一部に、銅箔8の存在する部分(導体の存在する部分)を有するものとなっている。また、変位体3は、ベルト状に形成されており、変形可能になっている。
【0033】
巻取り部4a、4bは、変位体3を所定の軌道で変位させるためのものである。巻取り部4a、4bによって、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構であって、変位体3の少なくとも一部を巻取る巻取り機構が構成されている。
【0034】
巻取り部4a、4bは、各々、不図示の支持体に回転自在に支持されている。巻取り部4aは、その中心軸を回転軸(図中一点差線Pで示す)として、第1の回転方向(図中矢印U1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印U2で示す回転方向)に回転自在になっている。巻取り部4bは、その中心軸を回転軸(図中一点鎖線Qで示す)として、第1の回転方向(図中矢印V1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印V2で示す回転方向)に回転自在になっている。巻取り部4aの回転軸Pと巻取り部4bの回転軸Qは、互いに平行になっている。巻取り部4a、4bは、各々、回転角度に制限がなく、多回転可能(360°以上、何周でも回転可能)になっている。
【0035】
変位体3は、一端側が巻取り部4aに巻かれて、その端部(一端側の端部)が巻取り部4aに固定的に連結されていると共に、他端側が巻取り部4bに巻かれて、その端部(他端側の端部)が巻取り部4bに固定的に連結されている。
【0036】
従って、巻取り部4aをU1方向に回転させると、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られ、別の一部が巻取り部4bから巻取り部4aに向かって移動する。また、巻取り部4bがV1方向に回転して、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4bから繰り出される。
【0037】
つまり、巻取り部4aをU1方向に回転させたとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を巻き取ることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状から変形させて巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4a、4bは、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4bは、変位体3の一部を繰り出すことにより、変位体3の一部を巻取り部4bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0038】
また、巻取り部4bをV2方向に回転させると、変位体3は、その一部が巻取り部4bに巻取られ、別の一部が巻取り部4aから巻取り部4bに向かって移動する。また、巻取り部4aがU2方向に回転して、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0039】
つまり、巻取り部4bをV2方向に回転させたとき、巻取り部4bは、変位体3の一部を巻き取ることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状から変形させて巻取り部4bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4a、4bは、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4aから巻取り部4bに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を繰り出すことにより、変位体3の一部を巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0040】
巻取り部4a、4bは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、巻取り部4a、4bによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2に対して変位可能に設けられている。
【0041】
変位体3は、銅箔8の貼り付けられている部分が、少なくとも巻取り部4aと巻取り部4bの間の領域で変位するように設けられている。また、変位体3に貼り付けられている銅箔8は、変位体3の変位方向において、銅の存在量が次第に変化(増加又は減少)するように、変位体3に貼り付けられている。すなわち、銅箔8の貼り付けられている部分(導体の存在する部分)は、変位体3の変位方向において、銅の存在する量(導体の存在する量)が次第に変化(増加又は減少)している。銅箔8の貼り付けられている部分における銅の存在する量は、変位体3の一端側(巻取り部4aに連結されている側)から他端側(巻取り部4bに連結されている側)に向かって次第に減少している。
【0042】
巻取り部4a、4bは、変位体3が巻取り部4aと巻取り部4bの間において直線軌道で変位する領域が、検出コイル2に隣接(絶縁基板6に隣接)するように配置されている。また、巻取り部4a、4bは、変位体3が巻取り部4aと巻取り部4bの間において直線軌道で変位する変位方向が、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差(直交)する(絶縁基板6と平行となる)ように配置されている。従って、変位体3は、巻取り部4aと巻取り部4bの間において直線軌道で変位する領域において、検出コイル2に隣接する場所を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位する。
【0043】
従って、変位体3が変位すると、銅箔8の貼り付けられている部分が巻取り部4aと巻取り部4bの間で変位し、検出コイル2に隣接する場所における銅の存在量が変化する。これにより、銅箔8で発生する渦電流の大きさが変わって、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。すなわち、銅箔8の貼り付けられている部分が巻取り部4aから巻取り部4bに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが増加する。また、銅箔8の貼り付けられている部分が巻取り部4bから巻取り部4aに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが減少する。従って、変位体3は、変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスを変化させる。
【0044】
変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位体3を変位させるものである。変位取り出し部5は、巻取り部4bに固定的に連結されている。従って、変位取り出し部5は、巻取り部4bと一体となって、巻取り部4bと一緒にV1方向及びV2方向に回転するように(多回転可能に)なっている。変位取り出し部5は、レバー形状になっており、中心からずれた箇所が巻取り部4bに連結されている。また、変位体3の他端側の端部が巻取り部4bに固定的に連結されていることから、変位取り出し部5は、巻取り部4bを介して、変位体3の他端側の端部に固定的に連結されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0045】
また、変位検出装置1は、不図示の回転バネを備えており、回転バネが巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢している。すなわち、巻取り部4aは、回転バネによる付勢によって、U1方向に回転しようとしており、変位体3を巻取ろうとしている。これにより、変位体3には、所定以上の張力(テンション)が与えられている。回転バネは、変位体3に所定以上の張力(テンション)を与えるように、巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢していればよい。回転バネによって、変位体3にテンションを与える機構が構成されている。
【0046】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けてV2方向に回転変位すると、巻取り部4bが変位取り出し部5と一緒にV2方向に回転して、変位体3が変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けてV1方向に回転変位すると、巻取り部4aが不図示の回転バネによる付勢によってU1方向に回転して、変位体3が変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0047】
このとき、変位取り出し部5のV2方向の回転変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、4bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部が巻取り部4bに巻取られる(真っ直ぐに延びた形状から変形して巻取り部4bの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、別の一部が真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4aから巻取り部4bに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0048】
また、変位取り出し部5のV1方向の回転変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、4bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られる(真っ直ぐに延びた形状から変形して巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、別の一部が真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4bから繰り出される。
【0049】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、巻取り部4aと巻取り部4bの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、検出コイル2に隣接する場所を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位する。そして、変位体3は、銅箔8の貼り付けられている部分が、検出コイル2に隣接する場所を巻取り部4a側又は巻取り部4b側に変位する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。銅箔8の貼り付けられている部分が巻取り部4a側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5がV1方向に回転変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、銅箔8の貼り付けられている部分が巻取り部4b側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5がV2方向に回転変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが増加する。
【0050】
図2は、変位検出装置1の電気的ブロック構成を示す。変位検出装置1は、上述の構成に加え、検出処理部10を備えている。検出処理部10は、検出コイル2のインピーダンスに基いて、変位取り出し部5の変位(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象の変位)を検出するものであり、発振回路11と、コンデンサ12と、検波回路13と、信号処理回路14とを備えている。
【0051】
検出コイル2は、一端側が発振回路11に接続され、他端側がグランドに接続されている。発振回路11は、検出コイル2を付勢する。すなわち、発振回路11は、所定の発振周波数で発振し、その発振出力(所定の発振周波数で変化する交流電圧)を検出コイル2に与える。発振回路11によって、付勢回路が構成されている。コンデンサ12は、一端側が検出コイル2の一端側に接続され、他端側が検出コイル2の他端側に接続されており、検出コイル2に並列に接続されている。すなわち、検出コイル2とコンデンサ12とによって、LC共振回路が構成されている。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波する。信号処理回路14は、検波回路13の出力を変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。
【0052】
このような構成において、変位体3が変位して(変位取り出し部5が不図示の検出対象からの作用を受けて変位して)、検出コイル2のインピーダンスが変化すると、検出コイル2とコンデンサ12とにより構成されるLC共振回路の共振周波数が変化する。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波して、検出コイル2とコンデンサ12とにより構成されるLC共振回路の共振周波数の変化(すなわち、検出コイル2のインピーダンスの変化)を検出する。信号処理回路14は、検波回路13の出力、すなわち、検出コイル2とコンデンサ12とにより構成されるLC共振回路の共振周波数の変化を、変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。
【0053】
図3は、検出処理部10の別の構成を示す。図3に示す検出処理部10は、上記図2に示した発振回路11及びコンデンサ12に代えて、交流電圧源15と、抵抗16とを備えている。
【0054】
検出コイル2は、一端側が交流電圧源15に接続され、他端側が抵抗16を介してグランドに接続されている。交流電圧源15は、検出コイル2を付勢する。すなわち、交流電圧源15は、所定の電圧値の交流電圧を生成し、その交流電圧を検出コイル2に印加する。交流電圧源15によって、付勢回路が構成されている。抵抗16は、一端側が検出コイル2に接続され、他端側がグランドに接続されている。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波する。信号処理回路14は、検波回路13の出力を変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。
【0055】
このような構成において、変位体3が変位して、検出コイル2のインピーダンスが変化すると、検出コイル2にかかる電圧が変化する。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波して、検出コイル2にかかる電圧の変化(すなわち、検出コイル2のインピーダンスの変化)を検出する。信号処理回路14は、検波回路13の出力、すなわち、検出コイル2にかかる電圧の変化を、変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。検出処理部10は、このような構成であってもよい。
【0056】
図4は、検出処理部10のさらに別の構成を示す。図4に示す検出処理部10は、上記図2に示した発振回路11及びコンデンサ12に代えて、交流電流源17を備えている。
【0057】
検出コイル2は、一端側が交流電流源17に接続され、他端側がグランドに接続されている。交流電流源17は、検出コイル2を付勢する。すなわち、交流電流源17は、所定の電流値の交流電流を生成し、その交流電流を検出コイル2に流す。交流電流源17によって、付勢回路が構成されている。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波する。信号処理回路14は、検波回路13の出力を変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。
【0058】
このような構成において、変位体3が変位して、検出コイル2のインピーダンスが変化すると、検出コイル2にかかる電圧が変化する。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波して、検出コイル2にかかる電圧の変化(すなわち、検出コイル2のインピーダンスの変化)を検出する。信号処理回路14は、検波回路13の出力、すなわち、検出コイル2にかかる電圧の変化を、変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。検出処理部10は、このような構成であってもよい。
【0059】
図5は、検出処理部10のさらに別の構成を示す。図5に示す検出処理部10は、上記図2に示した発振回路11及びコンデンサ12に代えて、交流電圧源18と、付勢コイル19とを備えている。
【0060】
検出コイル2は、付勢コイル19と電気的に絶縁されて、付勢コイル19に隣接する位置に配置されている。付勢コイル19は、一端側が交流電圧源18に接続され、他端側がグランドに接続されている。交流電圧源18及び付勢コイル19は、検出コイル2を付勢する。すなわち、交流電圧源18は、所定の電圧値の交流電圧を生成し、その交流電圧を付勢コイル19に印加する。付勢コイル19は、交流電圧源18から交流電圧が印加されることにより、検出コイル2に誘導起電力による電圧を発生させる。交流電圧源18及び付勢回路19によって、付勢回路が構成されている。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波する。信号処理回路14は、検波回路13の出力を変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。
【0061】
このような構成において、変位体3が変位して、検出コイル2のインピーダンスが変化すると、検出コイル2に誘導起電力により発生する電圧が変化する。検波回路13は、検出コイル2の出力波形を検波して、検出コイル2に誘導起電力により発生する電圧の変化(すなわち、検出コイル2のインピーダンスの変化)を検出する。信号処理回路14は、検波回路13の出力、すなわち、検出コイル2に誘導起電力により発生する電圧の変化を、変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換する。検出処理部10は、このような構成であってもよい。
【0062】
本実施形態の変位検出装置1によれば、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、巻取り部4aに巻取られると共に巻取り部4bから繰り出され、又は、巻取り部4bに巻取られると共に巻取り部4aから繰り出される。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0063】
しかも、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれても、変位取り出し部5がレバー形状になっていることにより、変位取り出し部5と検出対象との接触状態を保ち易く、検出動作が可能である確率を高めることができる。従って、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれやすい用途や、振動が激しい用途にも、適用できる。また、変位取り出し部5が多回転可能(360°以上、何周でも回転可能)になっているので、変位取り出し部5の変位可能な角度範囲が制限されない。
【0064】
また、変位体3の銅箔8の貼り付けられている部分(導体の存在する部分)は、変位体3の変位方向において、銅の存在する量(導体の存在する量)が次第に変化(増加又は減少)している。これにより、変位体3の変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスが次第に変化することになり、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0065】
また、不図示の回転バネにより、巻取り部4aが変位体3を巻取るように(U1方向に回転するように)付勢されて、変位体3に張力(テンション)が与えられるため、変位体3の弛みを防止することができる。これにより、変位取り出し部5の変位に対する検出コイル2のインピーダンスの変化のばらつきを抑えることができ、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0066】
また、変位体3は、検出コイル2の中心部に通されておらず、検出コイル2に隣接する領域を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位するように設けられている。従って、変位体3を検出コイル2の中心部に通す必要がないため、組み立てが簡単である。
【0067】
なお、本実施形態において、巻取り部4a、4bに限られず、他の変位機構によって、変位体3が変位取り出し部5により変位させられるときに、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させるようになっていてもよい。すなわち、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるときに、少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位するように設けられていれば、どのようにして設けられていてもよい。変位体3の少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位することにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0068】
また、本実施形態において、変位体3は、ゴムシート7の表面に銅箔8を貼り付けたものに限られず、ゴムシート7中に、鉄粉、フェライト粉などの磁性体粉や導体粉を分散、混入させたものであってもよい。また、変位体3は、変形可能であればよく、ベルト状に形成されたものに限られず、線状に形成されたものであってもよい。また、変位体3は、鉄ワイヤと銅ワイヤを変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものなど、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属を変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものであってもよい。
【0069】
また、本実施形態において、検出コイル2は、パターンコイルに限られず、巻線であってもよい。また、検出コイル2は、絶縁基板6上に平面状に形成されたものに限られず、コイルボビンに巻かれて形成されたものであってもよい。また、検出コイル2は、中央に中空部を有するように巻かれて形成されていて、変位体3は、直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を通るようになっていてもよい。つまり、検出コイル2の中空部が変位体3の直線軌道で変位する領域になっていて、変位体3は、直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位するようになっていてもよい。
【0070】
また、本実施形態において、変位体3の変位を潤滑にする機構、変位体3の引っかかりを防止する機構、変位体3の振動を防止する機構を備えていてもよい。また、検出コイル2は、2つのコイルが直列又は並列に接続されたものであって、変位体3は、直線軌道で変位する領域において、これら2つのコイルの間を変位するようになっていてもよい。
【0071】
また、本実施形態において、変位体3が変位して、検出コイル2のインピーダンスが変化すると、検出コイル2の過渡応答が変化する。従って、検出処理部10は、検波回路13により、検出コイル2の過渡応答の変化を検出し、信号処理回路14により、検出コイル2の過渡応答の変化を、変位取り出し部5の変位に対応する出力に変換するようにしてもよい。
【0072】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態による変位検出装置の構成を示す。本実施形態の変位検出装置1は、検出コイル2と、変位体3と、巻取り部4aと、変位取り出し部5と、筐体21と、ガイドローラ22a、22bとを備えている。また、本実施形態の変位検出装置1は、上記第1の実施形態と同様に、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)の変化に基いて、変位を検出するようになっており、上記第1の実施形態と同様の検出処理部を備えている。
【0073】
検出コイル2は、巻線であり、中央に中空部を有する円筒状のコイルボビン23の外周面に巻かれて形成されている。すなわち、検出コイル2は、中央に中空部を有するように円筒状(螺旋状)に巻かれて形成されている。コイルボビン23は、筐体21内に配置されていて、筺体21に固定的に支持されている。従って、検出コイル2も、筐体21内に配置されていて、筐体21に固定的に支持されている。
【0074】
検出コイル2は、上記第1の実施形態と同様に、付勢回路により付勢されて、磁場を発生する。検出コイル2の中心を通り、検出コイル2の中心で発生する磁場の向きと平行な直線を検出コイル2の中心軸(図中一点鎖線Zで示す)とする。検出コイル2は、検出コイル2の中心軸Zがコイルボビン23の中空部を貫通する方向と平行となるように、コイルボビン23に巻かれている。
【0075】
変位体3は、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)を変化させるものであり、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25とを端部同士で繋ぎ合せて構成されている。鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25は、例えば溶接やかしめ等により鉄ワイヤ24の端部と銅ワイヤ25の端部を接合することによって、繋ぎ合せられている。鉄ワイヤ24は、磁性体である(導体でもある)。銅ワイヤ25は、非磁性体である(導体でもある)。すなわち、変位体3は、透磁率の異なる(及び導電率の異なる)2種の金属が繋ぎ合せられたものとなっている。また、鉄ワイヤ24は、線状に形成されており、変形可能になっており、銅ワイヤ25も、線状に形成されており、変形可能になっている。従って、変位体3は、線状に形成されており、変形可能になっている。
【0076】
巻取り部4a、及びガイドローラ22a、22bは、変位体3を所定の軌道で変位させるためのものである。巻取り部4aによって、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構であって、変位体3の少なくとも一部を巻取る巻取り機構が構成されている。ガイドローラ22a、22bによって、変位体3の変位を潤滑にする機構であって、変位体3の引っかかりを防止する機構が構成されている。
【0077】
巻取り部4aは、筐体21内に配置されていて、筺体21に回転自在に支持されている。巻取り部4aは、その中心軸を回転軸(図中点Pで示す)として、第1の回転方向(図中矢印U1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印U2で示す回転方向)に回転自在になっている。
【0078】
ガイドローラ22a、22bは、筐体21の引出し開口21aに配置されていて、筺体21に回転自在に支持されている。
【0079】
変位体3は、ガイドローラ22aとガイドローラ22bとの間(引出し開口21a)に通されており、一端側(鉄ワイヤ24側)が筐体21内に配置されていて、他端側(銅ワイヤ25側)の一部が筐体21外に配置されている。そして、変位体3は、一端側が巻取り部4aに巻かれて、その端部(一端側の端部)が巻取り部4aに固定的に連結されていると共に、他端側が自由端とされている。
【0080】
従って、巻取り部4aをU1方向に回転させると、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られ、別の一部がガイドローラ22a、22bから巻取り部4aに向かって移動する。また、変位体3は、さらに別の一部が筐体21外からガイドローラ22aとガイドローラ22bとの間(引出し開口21a)を通って筐体21内に取込まれる。
【0081】
つまり、巻取り部4aをU1方向に回転させたとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を巻き取ることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状から変形させて巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、ガイドローラ22a、22bは、変位体3の変位をガイドすることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状でガイドローラ22a、22bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位させる。
【0082】
また、筐体21の外部で変位体3を引っ張ると、変位体3は、その一部が筐体21内からガイドローラ22aとガイドローラ22bとの間を通って筐体21外に引出され、別の一部が巻取り部4aからガイドローラ22a、22bに向かって移動する。また、巻取り部4aがU2方向に回転して、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0083】
つまり、筐体21の外部で変位体3を引っ張ったとき、ガイドローラ22a、22bは、変位体3の変位をガイドすることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4aからガイドローラ22a、22bに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を繰り出すことにより、変位体3の一部を巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0084】
巻取り部4a、及びガイドローラ22a、22bは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、巻取り部4a、及びガイドローラ22a、22bによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2に対して変位可能に設けられている。
【0085】
変位体3は、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分(繋ぎ合せ部分)が、少なくとも巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間で変位するように設けられている。
【0086】
巻取り部4a、及びガイドローラ22a、22bは、変位体3が巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間において直線軌道で変位する領域が、検出コイル2の中空部内(コイルボビン23の中空部内)となるように配置されている。従って、変位体3は、巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間において直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を通って変位する。つまり、変位体3は、巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間において直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。
【0087】
従って、変位体3が変位すると、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分が巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間で変位し、検出コイル2の中空部における鉄(磁性体)の存在量が変化する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。すなわち、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分が巻取り部4aからガイドローラ22a、22bに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが増加する。また、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分がガイドローラ22a、22bから巻取り部4aに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが減少する。従って、変位体3は、変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスを変化させる。
【0088】
変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位体3を変位させるものである。変位取り出し部5は、筐体21外において、変位体3の他端側の端部に直接に固定的に連結されている。変位取り出し部5は、円環形状になっており、その一部の箇所が変位体3の他端側の端部に連結されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0089】
また、変位検出装置1は、不図示の回転バネを備えており、回転バネが巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢している。すなわち、巻取り部4aは、回転バネによる付勢によって、U1方向に回転しようとしており、変位体3を巻取ろうとしている。これにより、変位体3には、所定以上の張力(テンション)が与えられている。回転バネは、変位体3に所定以上の張力(テンション)を与えるように、巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢していればよい。回転バネによって、変位体3にテンションを与える機構が構成されている。
【0090】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けて筐体21から離れる方向に変位すると、変位体3が変位取り出し部5により引っ張られて、変位体3が変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けて筐体21に近づく方向に変位すると、巻取り部4aが不図示の回転バネによる付勢によってU1方向に回転して、変位体3が変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0091】
このとき、変位取り出し部5の筐体21から離れる方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイドローラ22a、22bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部がガイドローラ22a、22bにガイドされて筐体21内から筐体21外に引出される。また、変位体3は、別の一部が真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4aからガイドローラ22a、22bに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、さらに別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0092】
また、変位取り出し部5の筐体21に近づく方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイドローラ22a、22bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られる(真っ直ぐに延びた形状から変形して巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、別の一部が真っ直ぐに延びた形状でガイドローラ22a、22bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、さらに別の一部がガイドローラ22a、22bにガイドされて筐体21外から筐体21内に取込まれる。
【0093】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、巻取り部4aとガイドローラ22a、22bの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。そして、変位体3は、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分が、検出コイル2の中空部内を巻取り部4a側又はガイドローラ22a、22b側に変位する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分が巻取り部4a側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が筐体21に近づく方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25との境界部分がガイドローラ22a、22b側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が筐体21から離れる方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが増加する。
【0094】
本実施形態の変位検出装置1によれば、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、巻取り部4aに巻取られ、又は、巻取り部4aから繰り出される。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0095】
しかも、変位体3は、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25とを繋ぎ合せて構成されており、金属により構成されている。従って、変位体3を検出コイル2の中空部内を変位させる場合など、変位体3を線状に構成した場合に、変位体3をゴムなどの非金属により構成したものと比較して、変位体3の引っ張り強度や耐久性を得ることができる。
【0096】
また、筐体21の引出し開口21aにガイドローラ22a、22bが設けられているので、変位体3の引出し開口21での変位(筐体21内からの引出し、筐体21内への引込み)を潤滑にすることができる。また、変位体3の引出し開口21での引っかかり(筐体21に対する引っかかり)を防止することができる。また、変位体3の引出し開口21aでの過度の屈曲(筺体21に接触することによる屈曲)を防止することができる。これにより、変位体3が損傷することや、変位体3が変位し難くなるのを防止することができる。
【0097】
また、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれても、変位体3がガイドローラ22a、22bの部分で変形することにより、変位取り出し部5と検出対象との連結状態を保ち易く、検出動作が可能である確率を高めることができる。従って、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれやすい用途や、振動が激しい用途にも、適用できる。
【0098】
また、不図示の回転バネにより、巻取り部4aが変位体3を巻取るように(U1方向に回転するように)付勢されて、変位体3に張力(テンション)が与えられるため、変位体3の弛みを防止することができる。これにより、変位取り出し部5の変位に対する検出コイル2のインピーダンスの変化のばらつきを抑えることができ、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0099】
また、変位体3が検出コイル2の中空部内を変位することにより、変位体3の変位軌道が変位体3の変位方向と垂直な方向にずれたとしても、検出コイル2のインピーダンスが殆ど変化しない。これにより、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0100】
なお、本実施形態において、ガイドローラ22a、22bは、2つに限られず、3つ以上設けられていてもよい。また、ガイドローラ22a、22bは、筐体21の引出し開口21aに加え、巻取り部4aとコイルボビン23の間に設けられていてもよい。また、ガイドローラ22a、22bに代えて、筐体21の一部によって、表面を曲面状に形成したガイド部を形成してもよい。
【0101】
また、本実施形態において、変位体3は、鉄ワイヤ24と銅ワイヤ25とを繋ぎ合せたものに限られず、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属を変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものであれば、どのようなものであってもよい。また、変位体3は、変形可能であればよく、線状に形成されたものに限られず、ベルト状に形成されたものであってもよい。また、変位体3は、ゴムシートの表面に銅箔を貼り付けたものや、ゴムシート中に、鉄粉、フェライト粉などの磁性体粉や導体粉を分散、混入させたものなど、少なくとも一部に、磁性体又は導体の存在する部分を有するものであってもよい。
【0102】
また、本実施形態において、変位体3は、検出コイル2の中空部内を通らずに、検出コイル2に隣接する領域を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位するようになっていてもよい。また、検出コイル2は、コイルボビン23に巻かれて形成されたものに限られず、絶縁基板上に平面状に形成されたものであってもよい。
【0103】
また、本実施形態において、変位体3の振動を防止する機構を備えていてもよい。また、検出コイル2は、2つのコイルが直列又は並列に接続されたものであって、変位体3は、直線軌道で変位する領域において、これら2つのコイルの間を変位するようになっていてもよい。
【0104】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態による変位検出装置の構成を示す。本実施形態の変位検出装置1は、変位体3及び変位取り出し部5の構成が上記第2の実施形態と異なっている。また、本実施形態の変位検出装置1は、上記第2の実施形態におけるガイドローラ22a、22bに代えて、ガイド部41a、41bを備えている。本実施形態における他の構成については、上記第2の実施形態と同様である。
【0105】
本実施形態では、変位体3は、変形可能部42と剛体部43とを繋ぎ合せて構成されている。変形可能部42は、非磁性体(例えば銅)により形成されており、剛体部43は、磁性体(例えば鉄)により形成されている。変形可能部42は、多数の球状体42a(非磁性体(例えば銅)により形成されている)が連鎖体42b(非磁性体(例えば銅)により形成されている)により鎖状に1列に連結されたものであり、変形可能になっている。剛体部43は、真っ直ぐな棒状に形成されており、剛性を有している。
【0106】
ガイド部41a、41bは、変位体3を所定の軌道で変位させるためのものである。ガイド部41a、41bは、筐体21の引出し開口21aに設けられており、筐体21の一部により形成されている。ガイド部41a、41bの表面は、曲面状に形成されている。ガイド部41a、41bによって、変位体3の変位を潤滑にする機構であって、変位体3の引っかかりを防止する機構が構成されている。
【0107】
変位体3は、ガイド部41aとガイド部41bの間(引出し開口21a)に通されており、一端側(変形可能部42側)が筐体21内に配置されていて、他端側(剛体部43側)の一部が筐体21外に配置されている。そして、変位体3は、一端側が巻取り部4aに巻かれて、その端部(一端側の端部)が巻取り部4aに固定的に連結されていると共に、他端側が自由端とされている。また、変位体3は、剛体部43がガイド部41aとガイド部41bの間にある。
【0108】
従って、巻取り部4aをU1方向に回転させると、変位体3は、その一部(変形可能部42の一部)が巻取り部4aに巻取られる。また、変位体3は、別の一部(変形可能部42の一部及び剛体部43の一部)がガイド部41a、41bから巻取り部4aに向かって移動する。また、変位体3は、さらに別の一部(剛体部43の一部)が筐体21外からガイド部41aとガイド部41bとの間(引出し開口21a)を通って筐体21内に取込まれる。
【0109】
つまり、巻取り部4aをU1方向に回転させたとき、巻取り部4aは、変形可能部42の一部を巻き取ることにより、変形可能部42の一部を真っ直ぐに延びた形状から変形させて巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、ガイド部41a、41bは、剛体部43の変位をガイドすることにより、変形可能部42の一部及び剛体部43の一部を真っ直ぐに延びた形状でガイド部41a、41bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位させる。
【0110】
また、筐体21の外部で変位体3を引っ張ると、変位体3は、その一部(剛体部43)が筐体21内からガイド部41aとガイド部41bとの間を通って筐体21外に引出される。また、変位体3は、別の一部(変形可能部42の一部及び剛体部43の一部)が巻取り部4aからガイド部41a、41bに向かって移動する。また、巻取り部4aがU2方向に回転して、変位体3は、さらに別の一部(変形可能部42の一部)が巻取り部4aから繰り出される。
【0111】
つまり、筐体21の外部で変位体3を引っ張ったとき、ガイド部41a、41bは、剛体部43の変位をガイドすることにより、変形可能部42の一部及び剛体部43の一部をガイド部41a、41bから巻取り部4aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4aは、変形可能部42の一部を繰り出すことにより、変形可能部42の一部を巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0112】
巻取り部4a、及びガイド部41a、41bは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、巻取り部4a、及びガイド部41a、41bによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2に対して変位可能に設けられている。
【0113】
変位体3は、変形可能部42と剛体部43との境界部分が、少なくとも巻取り部4aとガイド部41a、41bの間で変位するように設けられている。
【0114】
巻取り部4a、及びガイド部41a、41bは、変位体3が巻取り部4aとガイド部41a、41bの間において直線軌道で変位する領域が、検出コイル2の中空部内(コイルボビン23の中空部内)となるように配置されている。従って、変位体3は、巻取り部4aとガイド部41a、41bの間において直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を通って変位する。つまり、変位体3は、巻取り部4aとガイド部41a、41bの間において直線軌道で変位する領域において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。
【0115】
従って、変位体3が変位すると、変形可能部42と剛体部43との境界部分が巻取り部4aとガイド部41a、41bの間で変位し、検出コイル2の中空部における磁性体の存在量が変化する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。すなわち、変形可能部42と剛体部43との境界部分が巻取り部4aからガイド部41a、41bに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、変形可能部42と剛体部43との境界部分がガイド部41a、41bから巻取り部4aに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが増加する。従って、変位体3は、変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスを変化させる。
【0116】
変位取り出し部5は、筐体21外において、変位体3の他端側の端部と繋がっている。変位取り出し部5は、変位体3の剛体部43と一体的に形成されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0117】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けて筐体21から離れる方向に変位すると、変位体3(剛体部43)が変位取り出し部5により引っ張られて、変位体3が変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けて筐体21に近づく方向に変位すると、巻取り部4aが不図示の回転バネによる付勢によってU1方向に回転して、変位体3が変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0118】
このとき、変位取り出し部5の筐体21から離れる方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイド部41a、41bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、剛体部43の一部がガイド部41a、41bにガイドされて筐体21内から筐体21外に引出される。また、変位体3は、変形可能部42及び剛体部43の一部が真っ直ぐに延びた形状で巻取り部4aからガイド部41a、41bに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、変形可能部42の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0119】
また、変位取り出し部5の筐体21に近づく方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイド部41a、41bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、変形可能部42の一部が巻取り部4aにより巻取られる(真っ直ぐに延びた形状から変形して巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、変形可能部42及び剛体部43の一部が真っ直ぐに延びた形状でガイド部41a、41bから巻取り部4aに向う直線軌道で変位する。また、変位体3は、剛体部43の一部がガイド部41a、41bにガイドされて筐体21外から筐体21内に取込まれる。
【0120】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、巻取り部4aとガイド部41a、41bの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。そして、変位体3は、変形可能部42と剛体部43との境界部分が、検出コイル2の中空部内を巻取り部4a側又はガイド部41a、41b側に変位する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。変形可能部42と剛体部43との境界部分が巻取り部4a側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が筐体21に近づく方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが増加する。また、変形可能部42と剛体部43との境界部分がガイド部41a、41b側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が筐体21から離れる方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが減少する。
【0121】
本実施形態の変位検出装置1によれば、上記第2の実施形態と同様に、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、巻取り部4aに巻取られ、又は、巻取り部4aから繰り出される。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0122】
しかも、筐体21の引出し開口21aにガイド部41a、41bが設けられているので、変位体3の引出し開口21aでの変位(筐体21内からの引出し、筐体21内への引込み)を潤滑にすることができる。また、変位体3の引出し開口21aでの引っかかり(筐体21に対する引っかかり)を防止することができる。これにより、変位体3が損傷することや、変位体3が変位し難くなるのを防止することができる。
【0123】
なお、本実施形態において、変位体3は、変形可能部42を樹脂により形成したものであってもよい。また、変位体3は、変形可能部42を磁性体により形成して、剛体部43を非磁性体により形成したものであってもよい。また、変形可能部42は、多数の球状体42aが連鎖体42bにより鎖状に1列に連結されたものに限られず、変形可能であれば、どのような構成のものであってもよい。また、ガイド部41a、41bに代えて、回転自在に支持されたガイドローラを設けてもよい。
【0124】
<第4の実施形態>
図8は、第4の実施形態による変位検出装置の構成を示す。本実施形態の変位検出装置1は、検出コイル2と、変位体3と、循環ローラ51a、51bと、変位取り出し部5と、筐体21とを備えている。また、本実施形態の変位検出装置1は、上記第1の実施形態と同様に、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)の変化に基いて、変位を検出するようになっており、上記第1の実施形態と同様の検出処理部を備えている。
【0125】
検出コイル2は、巻線であり、中央に中空部を有する円筒状のコイルボビン23の外周面に巻かれて形成されている。すなわち、検出コイル2は、中央に中空部を有するように円筒状(螺旋状)に巻かれて形成されている。コイルボビン23は、筐体21内に配置されていて、筺体21に固定的に支持されている。従って、検出コイル2も、筐体21内に配置されていて、筐体21に固定的に支持されている。
【0126】
検出コイル2は、上記第1の実施形態と同様に、付勢回路により付勢されて、磁場を発生する。検出コイル2の中心を通り、検出コイル2の中心で発生する磁場の向きと平行な直線を検出コイル2の中心軸(図中一点鎖線Zで示す)とする。検出コイル2は、検出コイル2の中心軸Zがコイルボビン23の中空部を貫通する方向と平行となるように、コイルボビン23に巻かれている。
【0127】
変位体3は、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)を変化させるものであり、ゴム体の一部にフェライト粉が分散されて構成されている。すなわち、変位体3は、ゴム体にフェライト粉が分散されていない非フェライト分散部61と、ゴム体にフェライト粉が分散されているフェライト分散部62とを有している。フェライト分散部62において、フェライト粉は、均等に分散されている。フェライト粉は、変位体3を作製する際に、ゴムの中にフィラーとして混練される。ゴムは、絶縁体であって、弾性体である。フェライト粉は、磁性体であって、導体である。従って、非フェライト分散部61は、磁性体の存在しない部分(導体の存在しない部分)であり、フェライト分散部62は、磁性体の存在する部分(導体の存在する部分)である。すなわち、変位体3は、その少なくとも一部に、磁性体の存在する部分(導体の存在する部分)を有するものとなっている。また、変位体3は、ベルト状に形成されており、変形可能になっている。また、変位体3は、輪状に形成されている。
【0128】
循環ローラ51a、51bは、変位体3を所定の軌道で変位させるためのものである。循環ローラ51a、51bによって、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構であって、変位体3を循環させる循環機構が構成されている。
【0129】
循環ローラ51a、51bは、各々、筐体21内に配置されていて、筺体21に回転自在に支持されている。循環ローラ51aは、その中心軸を回転軸(図中点Pで示す)として、第1の回転方向(図中矢印U1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印U2で示す回転方向)に回転自在になっている。循環ローラ51bは、その中心軸を回転軸(図中点Qで示す)として、第1の回転方向(図中矢印V1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印V2で示す回転方向)に回転自在になっている。循環ローラ51aの回転軸Pと循環ローラ51bの回転軸Qは、互いに平行になっている。循環ローラ51a、51bは、各々、回転角度に制限がなく、多回転可能(360°以上、何周でも回転可能)になっている。
【0130】
変位体3は、その内周面が循環ローラ51a、51bの外周面に接触するように、また、弛みを生じないように、循環ローラ51a、51bに取付けられている。
【0131】
従って、変位体3の一部(図中Wで示す部分)を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向けて引っ張ると、変位体3は、引っ張られた部分が循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かって移動し、全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環する。
【0132】
つまり、変位体3の一部(図中Wで示す部分)を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向けて引っ張ったとき、循環ローラ51a、51bは、引っ張られた部分を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51aは、U1方向に回転し、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分をU1方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の引っ張られた部分と対向する部分(変位体3の循環ローラ51aに接触している部分に続く後続部分)を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51bは、V1方向に回転し、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分をV1方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0133】
また、変位体3の一部(図中Wで示す部分)を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向けて引っ張ると、変位体3は、引っ張られた部分が循環ローラ51bから循環ローラ51に向かって移動し、全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環する。
【0134】
つまり、変位体3の一部(図中Wで示す部分)を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向けて引っ張ったとき、循環ローラ51a、51bは、引っ張られた部分を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51bは、V2方向に回転し、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分をV2方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の引っ張られた部分と対向する部分(変位体3の循環ローラ51bに接触している部分に続く後続部分)を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51aは、U2方向に回転し、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分をU2方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0135】
循環ローラ51a、51bは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、循環ローラ51a、51bによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2に対して変位可能に設けられている。
【0136】
循環ローラ51a、51bは、変位体3が循環ローラ51aと循環ローラ51bの間において直線軌道で変位する2つの領域のうちの一方の領域が、検出コイル2の中空部内(コイルボビン23の中空部内)となるように配置されている。従って、変位体3は、変位体3が循環ローラ51aと循環ローラ51bの間において直線軌道で変位する2つの領域のうちの一方の領域において、検出コイル2の中空部内を通って変位する。つまり、変位体3は、変位体3が循環ローラ51aと循環ローラ51bの間において直線軌道で変位する2つの領域のうちの一方の領域において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。
【0137】
変位体3が変位して、変位体3の非フェライト分散部61とフェライト分散部62との境界部分が検出コイル2の中空部内を変位すると、検出コイル2の中空部におけるフェライト(磁性体)の存在量が変化する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。従って、変位体3は、変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスを変化させる。
【0138】
変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位体3を変位させるものである。変位取り出し部5は、変位体3に連結されている。変位取り出し部5は、レバー形状になっており、その一端が変位体3の一部に直接に固定的に連結されており、その他端が筐体21の取出し開口21bから筐体21の外部に出されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0139】
変位取り出し部5は、循環ローラ51aと循環ローラ51bの間を変位するように設けられている。また、変位取り出し部5は、変位取り出し部5が循環ローラ51aと循環ローラ51bの間を変位したときに、変位体3の非フェライト分散部61とフェライト分散部62との境界部分が少なくとも検出コイル2の中空部内を変位するように設けられている。
【0140】
また、変位検出装置1は、不図示の離反バネを備えており、離反バネが循環ローラ51aを循環ローラ51bから離反させる方向に付勢している。すなわち、循環ローラ51aは、離反バネによる付勢によって、循環ローラ51bから離れようとしている。これにより、変位体3には、所定以上の張力(テンション)が与えられている。離反バネは、変位体3に所定以上の張力(テンション)を与えるように、循環ローラ51aを循環ローラ51bから離反させる方向に付勢していればよい。離反バネによって、変位体3にテンションを与える機構が構成されている。
【0141】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けて循環ローラ51aから離れる方向に変位すると、変位体3が変位取り出し部5により引っ張られて変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けて循環ローラ51bから離れる方向に変位すると、変位体3が変位取り出し部5により引っ張られて変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0142】
このとき、変位取り出し部5の循環ローラ51aから離れる方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、循環ローラ51a、51bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、変位取り出し部5の連結されている部分が循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、その全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する(循環ローラ51a、51bに接触している部分が真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51a、51の外周に沿う曲線軌道で変位する)。
【0143】
また、変位取り出し部5の循環ローラ51bから離れる方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、循環ローラ51a、51bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、変位取り出し部5の連結されている部分が循環ローラ51bから循環ローラ51aに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、その全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する(循環ローラ51a、51bに接触している部分が真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51a、51の外周に沿う曲線軌道で変位する)。
【0144】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、循環ローラ51aと循環ローラ51bの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。そして、変位体3は、非フェライト分散部61とフェライト分散部62との境界部分が、検出コイル2の中空部内を循環ローラ51a側又は循環ローラ51b側に変位する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。非フェライト分散部61とフェライト分散部62との境界部分が循環ローラ51a側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が循環ローラ51aから離れる方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、非フェライト分散部61とフェライト分散部62との境界部分が循環ローラ51b側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5が循環ローラ51bから離れる方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが増加する。
【0145】
本実施形態の変位検出装置1によれば、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0146】
しかも、変位体3は、ゴム体の一部にフェライト粉が分散されて構成されており、変位体3の機械的性質は、場所によって変わらない。すなわち、変位体3は、非フェライト分散部61とフェライト分散部62の境界部分で切れ易いということがない。従って、ゴム体と金属ワイヤ(磁性体又は導体)とを繋ぎ合せて構成したものと比較して、境界部分での引っ張り強度を得ることができる。
【0147】
また、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれても、変位取り出し部5がレバー形状になっていることにより、変位取り出し部5と検出対象との接触状態を保ち易く、検出動作が可能である確率を高めることができる。従って、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれやすい用途や、振動が激しい用途にも、適用できる。
【0148】
また、不図示の離反バネにより、循環ローラ51aが循環ローラ51bから離反する方向に付勢されて、変位体3に張力(テンション)が与えられるため、変位体3の弛みを防止することができる。これにより、変位取り出し部5の変位に対する検出コイル2のインピーダンスの変化のばらつきを抑えることができ、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0149】
また、変位体3が検出コイル2の中空部内を変位することにより、変位体3の変位軌道が変位体3の変位方向と垂直な方向にずれたとしても、検出コイル2のインピーダンスが殆ど変化しない。これにより、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0150】
なお、本実施形態において、循環ローラ51a、51bは、2つに限られず、3つ以上設けられていてもよい。また、変位取り出し部5は、循環ローラ51a、又は循環ローラ51bに固定的に連結されていてもよい。
【0151】
また、本実施形態において、変位体3は、ゴム体の一部にフェライト粉を分散させたものに限られず、ゴム体の一部にフェライト粉以外の磁性体粉や導体粉(例えば鉄粉)を分散、混入させたものであってもよい。また、変位体3は、ゴム体の一部の表面に銅箔を貼り付けたものであってもよい。また、変位体3は、変形可能であればよく、ベルト状に形成されたものに限られず、線状に形成されたものであってもよい。また、変位体3は、鉄ワイヤと銅ワイヤを変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものなど、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属を変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものであってもよい。
【0152】
また、本実施形態において、変位体3は、検出コイル2の中空部内を通らずに、検出コイル2に隣接する領域を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位するようになっていてもよい。また、検出コイル2は、コイルボビン23に巻かれて形成されたものに限られず、絶縁基板上に平面状に形成されたものであってもよい。
【0153】
また、本実施形態において、変位体3の変位を潤滑にする機構、変位体3の引っかかりを防止する機構、変位体3の振動を防止する機構を備えていてもよい。また、検出コイル2は、2つのコイルが直列又は並列に接続されたものであって、変位体3は、直線軌道で変位する領域において、これら2つのコイルの間を変位するようになっていてもよい。
【0154】
<第5の実施形態>
図9は、第5の実施形態による変位検出装置の構成を示す。本実施形態の変位検出装置1は、変位体3の構成、循環ローラ51a、51bの構成、及び変位取り出し部5の取付け位置が上記第4の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第4の実施形態と同様である。
【0155】
本実施形態では、変位体3は、その内周に多数の歯を有する歯付きベルトとなっている。変位体3における他の構成については、上記第4の実施形態と同様である。
【0156】
循環ローラ51a、51bは、各々、その外周に多数の歯を有する歯車となっている。循環ローラ51a、51bにおける他の構成については、上記第4の実施形態と同様である。
【0157】
変位体3は、その内周の歯が循環ローラ51a、51bの外周の歯に噛み合うように、また、弛みを生じないように、循環ローラ51a、51bに取付けられている。
【0158】
従って、循環ローラ51aをU1方向に回転させると、変位体3は、循環ローラ51aに接触している部分がU1方向に回転する回転軌道で変位し、全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環する。
【0159】
つまり、循環ローラ51aをU1方向に回転させたとき、循環ローラ51aは、その回転を変位体3に伝達することにより、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分をU1方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分に続く後続部分を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51bは、V1方向に回転し、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分をV1方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分に続く後続部分を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かう直線軌道で変位させる。
【0160】
また、循環ローラ51aをU2方向に回転させると、変位体3は、循環ローラ51aに接触している部分がU2方向に回転する回転軌道で変位し、全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環する。
【0161】
つまり、循環ローラ51aをU2方向に回転させたとき、循環ローラ51aは、その回転を変位体3に伝達することにより、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分をU2方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の循環ローラ51aに接触している部分に続く後続部分を循環ローラ51bから循環ローラ51aに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51bは、V2方向に回転し、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分をV2方向に回転する回転軌道で変位させる。すなわち、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分を真っ直ぐに延びた形状から変形させて循環ローラ51bの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、循環ローラ51a、51bは、変位体3の循環ローラ51bに接触している部分に続く後続部分を循環ローラ51aから循環ローラ51bに向かう直線軌道で変位させる。
【0162】
循環ローラ51a、51bは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、循環ローラ51a、51bによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2に対して変位可能に設けられている。
【0163】
変位取り出し部5は、循環ローラ51aに固定的に連結されている。従って、変位取り出し部5は、循環ローラ51aと一体となって、循環ローラ51aと一緒にU1方向及びU2方向に回転するように(多回転可能に)なっている。変位取り出し部5は、レバー形状になっており、中心からずれた箇所が循環ローラ51aに連結されている。また、変位体3と循環ローラ51a、51bが別体に構成されていることから、変位取り出し部5は、変位体3とは別体に構成されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0164】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けてU1方向に回転変位すると、循環ローラ51aが変位取り出し部5と一緒にU1方向に回転して、変位体3が変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けてU2方向に回転変位すると、循環ローラ51aが変位取り出し部5と一緒にU2方向に回転して、変位体3が変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0165】
このとき、変位取り出し部5のU1方向の回転変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、循環ローラ51a、51bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、循環ローラ51aに接触している部分がU1方向に回転する回転軌道で変位する(真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、その全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する(循環ローラ51a、51bに接触している部分が真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51a、51の外周に沿う曲線軌道で変位する)。
【0166】
また、変位取り出し部5のU2方向の回転変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、循環ローラ51a、51bの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、循環ローラ51aに接触している部分がU2方向に回転する回転軌道で変位する(真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、その全体が循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する(循環ローラ51a、51bに接触している部分が真っ直ぐに延びた形状から変形して循環ローラ51a、51の外周に沿う曲線軌道で変位する)。
【0167】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、循環ローラ51aと循環ローラ51bの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、検出コイル2の中空部内を、検出コイル2の中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する。そして、変位体3の非フェライト分散部81とフェライト分散部82との境界部分が、検出コイル2の中空部内を循環ローラ51a側又は循環ローラ51b側に変位すると、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。
【0168】
また、このように変位体3が変位するとき、変位体3の内周の歯と循環ローラ51a、51bの外周の歯が噛み合うことにより、変位体3の循環ローラ51a、51bに対する滑り(すなわち、変位体3の変位取り出し部5に対する滑り)が防止される。これにより、循環ローラ51aの回転(すなわち変位体3の回転)が変位体3に確実に伝達される。変位体3の内周の多数の歯、及び循環ローラ51a、51bの外周の多数の歯によって、変位体3の変位取り出し部5に対する滑り止めの機構が構成されている。
【0169】
本実施形態の変位検出装置1によれば、上記第4の実施形態と同様に、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、循環ローラ51a、51bの周囲を循環するように変位する。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0170】
しかも、変位体3は、その内周に歯を有する歯付きベルトであり、循環ローラ51aは、その外周に歯を有する歯車であるので、変位体3の変位取り出し部5に対する滑りが防止される。これにより、変位体3の回転が変位体3に確実に伝達することができ、変位体3の伸びや滑りによる誤った変位伝達を防止することができる。
【0171】
なお、本実施形態において、変位体3は、歯付きベルトに限られず、チェーンであってもよい。循環ローラ51a、51は、歯車に限られず、タイミングベルトや、プーリなどのような形状のものでもよい。また、循環ローラ51bは、歯を有さないローラであってもよい。また、循環ローラ51a、51bは、2つに限られず、3つ以上設けられていてもよい。また、変位取り出し部5は、変位体3に直接に固定的に連結されていてもよい。
【0172】
<第6の実施形態>
図10は、第6の実施形態による変位検出装置の構成を示す。本実施形態の変位検出装置1は、検出コイル2と、変位体3と、巻取り部4aと、ガイド部91a、91b、91c、91d、91e、91fと、変位取り出し部5とを備えている。また、本実施形態の変位検出装置1は、上記第1の実施形態と同様に、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)の変化に基いて、変位を検出するようになっており、上記第1の実施形態と同様の検出処理部を備えている。
【0173】
検出コイル2は、2つのコイル2a、2bが直列又は並列に接続されたものである。コイル2a、2bは、巻線である。コイル2aは、コイルボビン23aに巻かれて形成されており、コイル2bは、コイルボビン23aに巻かれて形成されている。コイルボビン23a、23bは、不図示の支持体に固定的に支持されている。従って、コイル2a、2b(検出コイル2)は、不図示の支持体に固定的に支持されている。
【0174】
検出コイル2は、上記第1の実施形態と同様に、付勢回路により付勢されて、磁場を発生する。コイル2aの中心を通り、コイル2aの中心で発生する磁場の向きと平行な直線をコイル2aの中心軸(図中一点鎖線Zaで示す)とする。また、コイル2bの中心を通り、コイル2bの中心で発生する磁場の向きと平行な直線をコイル2bの中心軸(図中一点鎖線Zbで示す)とする。コイル2a、2bは、コイル2aの中心軸Zaとコイル2bの中心軸Zbが同軸上に一致するように、コイルボビン23a、23bに巻かれている。コイルボビン23aとコイルボビン23bとの間には、空間が設けられている。
【0175】
変位体3は、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)を変化させるものであり、ゴム体の一部にフェライト粉が分散されて構成されている。すなわち、変位体3は、ゴム体にフェライト粉が分散されていない非フェライト分散部92と、ゴム体にフェライト粉が分散されているフェライト分散部93とを有している。フェライト分散部93において、フェライト粉は、均等に分散されている。フェライト粉は、ゴム体を作製する際に、ゴムの一部にフィラーとして混練される。ゴムは、絶縁体であって、弾性体である。フェライト粉は、磁性体であって、導体である。すなわち、変位体3は、その少なくとも一部に、磁性体の存在する部分(導体の存在する部分)を有するものとなっている。また、変位体3は、ベルト状に形成されており、変形可能になっている。
【0176】
巻取り部4a、及びガイド部91a〜91fは、変位体3を所定の軌道で変位させるためのものである。巻取り部4aによって、変位体3の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構であって、変位体3の少なくとも一部を巻取る巻取り機構が構成されている。ガイド部91a〜91fによって、変位体3の変位を潤滑にする機構であって、変位体3の引っかかりを防止する機構が構成されている。また、ガイド部91a〜91fによって、変位体3の振動を防止する機構が構成されている。
【0177】
巻取り部4aは、不図示の支持体に回転自在に支持されている。巻取り部4aは、その中心軸を回転軸(図中点Pで示す)として、第1の回転方向(図中矢印U1で示す回転方向)及び第1の回転方向とは逆回転方向の第2の回転方向(図中矢印U2で示す回転方向)に回転自在になっている。
【0178】
ガイド部91a〜91cは、コイルボビン23aと一体的に形成されており、コイルボビン23aからコイルボビン23bに向かって突出している。ガイド部91a〜91cは、コイル2aの中心軸Zaと垂直な直線上にあり、ガイド部91a〜91cの表面は、曲面状に形成されている。ガイド部91d〜91fは、コイルボビン23bと一体的に形成されており、コイルボビン23bからコイルボビン23aに向かって突出している。ガイド部91d〜91fは、コイル2bの中心軸Zbと垂直な直線上にあり、ガイド部91d〜91fの表面は、曲面状に形成されている。ガイド部91a〜91cとガイド部91d〜91fは、互いに対向する位置に設けられており、ガイド部91a〜91cとガイド部91d〜91fの間には、空間が設けられている。
【0179】
変位体3は、ガイド部91a〜91cとガイド部91d〜91fの間(コイルボビン23aとコイルボビン23bの間であって、コイル2aとコイル2bの間)に通されている。そして、変位体3は、一端側(非フェライト分散部92側)が巻取り部4aに巻かれて、その端部(一端側の端部)が巻取り部4aに固定的に連結されていると共に、他端側(フェライト分散部93側)が自由端とされている。
【0180】
従って、巻取り部4aをU1方向に回転させると、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られ、別の一部がガイド部91c、91fからガイド部91a、91dに向かって移動する。
【0181】
つまり、巻取り部4aをU1方向に回転させたとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を巻き取ることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状から変形させて巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。また、このとき、ガイド部91a〜91fは、変位体3の変位をガイドすることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状でガイド部91c、91fからガイド部91a、91dに向かう直線軌道で変位させる。
【0182】
また、変位体3の自由端側を引っ張ると、変位体3は、その一部がガイド部91a、91dからガイド部91c、91fに向かって移動する。また、巻取り部4aがU2方向に回転して、変位体3は、別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0183】
つまり、変位体3の自由端側を引っ張ったとき、ガイド部91a〜91fは、変位体3の変位をガイドすることにより、変位体3の一部を真っ直ぐに延びた形状でガイド部91a、91dからガイド部91c、91fに向かう直線軌道で変位させる。また、このとき、巻取り部4aは、変位体3の一部を繰り出すことにより、変位体3の一部を巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位させる。
【0184】
巻取り部4a、及びガイド部91a〜91fは、このように変位体3を変位させる。すなわち、変位体3は、巻取り部4a、及びガイド部91a〜91fによって、変位可能に設けられている。また、変位体3は、このように変位可能に設けられていることにより、検出コイル2(コイル2a、コイル2b)に対して変位可能に設けられている。
【0185】
変位体3は、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分が、少なくともガイド部91a、91dとガイド部91c、91fの間で変位するように設けられている。
【0186】
変位体3は、ガイド部91a、91dとガイド部91c、91fの間において直線軌道で変位する領域において、コイル2aとコイル2bの間を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位する。
【0187】
従って、変位体3が変位すると、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分がガイド部91a、91dとガイド部91c、91fの間で変位し、検出コイル2の中空部におけるフェライト(磁性体)の存在量が変化する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。すなわち、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分がガイド部91a、91dからガイド部91c、91fに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分がガイド部91c、91fからガイド部91a、91dに向かって変位すると、検出コイル2のインピーダンスが増加する。従って、変位体3は、変位に伴って、検出コイル2のインピーダンスを変化させる。
【0188】
変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位体3を変位させるものである。変位取り出し部5は、変位体3の他端側の端部に固定的に連結されている。変位取り出し部5には、不図示の検出対象が連結される。
【0189】
また、変位検出装置1は、不図示の回転バネを備えており、回転バネが巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢している。すなわち、巻取り部4aは、回転バネによる付勢によって、U1方向に回転しようとしており、変位体3を巻取ろうとしている。これにより、変位体3には、所定以上の張力(テンション)が与えられている。回転バネは、変位体3に所定以上の張力(テンション)を与えるように、巻取り部4aをU1方向に回転させる方向に付勢していればよい。回転バネによって、変位体3にテンションを与える機構が構成されている。
【0190】
このような構成において、変位取り出し部5が外部からの(変位取り出し部5に連結される不図示の検出対象からの)作用を受けてガイド部91c、91fから離れる方向に変位すると、変位体3が変位取り出し部5により引っ張られて変位する。また、変位取り出し部5が外部からの作用を受けてガイド部91c、91fに近づく方向に変位すると、巻取り部4aが不図示の回転バネによる付勢によってU1方向に回転して、変位体3が変位する。すなわち、変位取り出し部5は、外部からの作用を受けて変位することにより、変位体3を変位させる。
【0191】
このとき、変位取り出し部5のガイド部91c、91fから離れる方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイド部91a〜91fの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部がガイド部91a〜91fにガイドされて、コイル2aとコイル2bの間を、真っ直ぐに延びた形状でガイド部91a、91dからガイド部91c、91fに向かう直線軌道で変位する。また、変位体3は、別の一部が巻取り部4aから繰り出される。
【0192】
また、変位取り出し部5のガイド部91c、91fに近づく方向の変位によって変位体3が変位させられるときには、変位体3は、巻取り部4a、ガイド部91a〜91fの働きによって、以下のように変位する。すなわち、変位体3は、その一部が巻取り部4aに巻取られる(真っ直ぐに延びた形状から変形して巻取り部4aの外周に沿う曲線軌道で変位する)。また、変位体3は、別の一部がガイド部91a〜91fにガイドされて、コイル2aとコイル2bの間を、真っ直ぐに延びた形状でガイド部91c、91fからガイド部91a、91dに向かう直線軌道で変位する。
【0193】
このように変位体3が変位するとき、変位体3は、ガイド部91a、91dとガイド部91c、91fの間の領域(直線軌道で変位する領域)において、コイル2aとコイル2bの間を、検出コイル2の中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位する。そして、変位体3は、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分が、コイル2aとコイル2bの間をガイド部91a、91d側又はガイド部91c、91f側に変位する。これにより、検出コイル2のインピーダンス(インダクタンス)が変化する。非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分がガイド部91c、91f側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5がガイド部91c、91fから離れる方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが減少する。また、非フェライト分散部92とフェライト分散部93との境界部分がガイド部91a、91d側に変位することにより、すなわち、変位取り出し部5がガイド部91c、91fに近づく方向に変位することにより、検出コイル2のインピーダンスが増加する。
【0194】
本実施形態の変位検出装置1によれば、変位体3は、変位取り出し部5により変位させられるとき、巻取り部4aに巻取られ、又は、巻取り部4aから繰り出される。これにより、変位検出装置1の全長を短縮することができ、変位検出装置1をコンパクトにすることができる。
【0195】
しかも、変位体3がコイル2aとコイル2bの間を変位することにより、変位体3の変位軌道が変位体3の変位方向と垂直な方向にずれたとしても、検出コイル2のインピーダンスが殆ど変化しない。従って、コイル2a、2bと変位体3の変位軌道との相対的な位置ずれに対する特性変動を緩和することができる。これにより、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。また、2つのコイル2a、2bを使用しているので、コイル2a又はコイル2bの1つだけも使用した構成と比較して検出感度が上がる。
【0196】
また、ガイド部91a〜91fが設けられているので、コイルボビン23a、23b(コイル2a、2b)と巻取り部4a(変位体3の変位軌道)とが相対的に位置ずれしていても、変位体3とコイル2a、2bとのギャップ(距離)が一定に保たれる。従って、コイルボビン23a、23bと巻取り部4aとの相対的な位置ずれに対する特性変動を低減することができる。これにより、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0197】
また、ガイド部91a〜91fが設けられているので、変位体3の変位(コイル2aとコイル2bの間での変位)を潤滑にすることができる。また、変位体3の引っかかり(コイル2aとコイル2bの間でのコイルボビン23a、23bに対する引っかかり)を防止することができる。また、変位体3の過度の屈曲(コイルボビン23a、23の端縁に接触することによる屈曲)を防止することができる。これにより、変位体3が損傷することや、変位体3が変位し難くなるのを防止することができる。
【0198】
また、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれても、変位体3がガイド部91c、91fの部分で変形することにより、変位取り出し部5と検出対象との連結状態を保ち易く、検出動作が可能である確率を高めることができる。従って、変位検出装置1と不図示の検出対象との相対位置がずれやすい用途や、振動が激しい用途にも、適用できる。
【0199】
また、不図示の回転バネにより、巻取り部4aが変位体3を巻取るように(U1方向に回転するように)付勢されて、変位体3に張力(テンション)が与えられるため、変位体3の弛みを防止することができる。これにより、変位取り出し部5の変位に対する検出コイル2のインピーダンスの変化のばらつきを抑えることができ、変位取り出し部5の変位をより精度良く検出することができる。
【0200】
しかも、変位体3は、ゴム体の一部にフェライト粉が分散されて構成されており、変位体3の機械的性質は、場所によって変わらない。すなわち、変位体3は、非フェライト分散部92とフェライト分散部93の境界部分で切れ易いということがない。従って、ゴム体と金属ワイヤ(磁性体又は導体)とを繋ぎ合せて構成したものと比較して、境界部分での引っ張り強度を得ることができる。
【0201】
なお、本実施形態において、検出コイル2の2つのコイル2a、2bは、コイル2aの中心軸Zaとコイル2bの中心軸Zbが一致していなくてもよく、対称に配置されていれば、どのような向きに配置されていてもよい。すなわち、変位体3は、対称に配置された2つのコイル2a、2bの間を変位するようになっていればよい。また、コイル2a、2bは、コイルボビン23a、23bに巻かれて形成されたものに限られず、絶縁基板上に平面状に形成されたものであってもよい。
【0202】
また、本実施形態において、変位体3は、ゴム体の一部にフェライト粉を分散させたものに限られず、ゴム体の一部にフェライト粉以外の磁性体粉や導体粉(例えば鉄粉)を分散、混入させたものであってもよい。また、変位体3は、ゴム体の一部の表面に銅箔を貼り付けたものであってもよい。また、変位体3は、変形可能であればよく、ベルト状に形成されたものに限られず、線状に形成されたものであってもよい。また、変位体3は、鉄ワイヤと銅ワイヤを変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものなど、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属を変位体3の変位方向に繋ぎ合せたものであってもよい。
【符号の説明】
【0203】
1 変位検出装置
2 検出コイル
2a、2b コイル
3 変位体
4a、4b 巻取り部(変位機構、巻取り機構)
5 変位取り出し部
6 絶縁基板
7 ゴムシート
8 銅箔
10 検出処理部
11 発振回路(付勢回路)
12 コンデンサ
13 検波回路
14 信号処理回路
15 交流電圧源(付勢回路)
16 抵抗
17 交流電流源(付勢回路)
18 交流電圧源(付勢回路)
19 付勢コイル(付勢回路)
21 筐体21
22a、22b ガイドローラ(変位体の変位を潤滑にする機構、変位体の引っかかりを防止する機構)
23、23a、23b コイルボビン
24 鉄ワイヤ
25 銅ワイヤ
21a 引出し開口
21b 取出し開口
41a、41b ガイド部(変位体の変位を潤滑にする機構、変位体の引っかかりを防止する機構)
42 変形可能部
43 剛体部
51a、51b 循環ローラ(変位機構、循環機構)
61 非フェライト分散部
62 フェライト分散部
91a、91b、91c、91d、91e、91f ガイド部(変位体の変位を潤滑にする機構、変位体の引っかかりを防止する機構、変位体の振動を防止する機構)
92 非フェライト分散部
93 フェライト分散部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出コイルと、
前記検出コイルに対して変位可能に設けられた変形可能な変位体と、
外部からの作用を受けて変位することにより、前記変位体を変位させる変位取り出し部と、
前記変位体が前記変位取り出し部により変位させられるときに、前記変位体の少なくとも一部を変形させて曲線軌道で変位させる変位機構とを備え、
前記変位体は、前記変位取り出し部により変位させられるとき、変位に伴って前記検出コイルのインピーダンスを変化させ、前記変位機構によって少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位する、ことを特徴とする変位検出装置。
【請求項2】
前記変位体は、少なくとも一部に、磁性体の存在する部分を有するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記磁性体の存在する部分は、前記変位体の変位方向において、磁性体の存在する量が次第に増加又は減少している、ことを特徴とする請求項2に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記変位体は、少なくとも一部に、導体の存在する部分を有するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記導体の存在する部分は、前記変位体の変位方向において、導体の存在する量が次第に増加又は減少している、ことを特徴とする請求項4に記載の変位検出装置。
【請求項6】
前記変位体は、透磁率又は導電率の異なる複数種の金属が該変位体の変位方向に繋ぎ合せられたものである、ことを特徴とする請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項7】
前記変位機構は、前記変位体が前記変位取り出し部により変位させられるときに、前記変位体の少なくとも一部を巻取る巻取り機構であり、
前記変位体は、前記変位取り出し部により変位させられるとき、前記巻取り機構により少なくとも一部が巻取られることによって、少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項8】
前記変位機構は、前記変位体が前記変位取り出し部により変位させられるときに、前記変位体を循環させる循環機構であり、
前記変位体は、前記変位取り出し部により変位させられるとき、前記循環機構により循環させられることによって、少なくとも一部が変形して曲線軌道で変位する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項9】
前記変位体の変位を潤滑にする機構、又は、前記変位体の引っかかりを防止する機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項10】
前記変位体にテンションを与える機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項11】
前記変位取り出し部が前記変位体とは別体に構成されており、
前記変位体の前記変位取り出し部に対する滑り止めの機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項12】
前記変位体の振動を防止する機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項13】
前記検出コイルは、中央に中空部を有するように巻かれて形成されたものであり、
前記変位体は、少なくとも一部が、前記中空部内を、前記検出コイルの中空部で発生する磁場の向きと平行な方向に変位する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項14】
前記変位体は、少なくとも一部が、前記検出コイルの中心部で発生する磁場の向きと交差する方向に変位する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項15】
前記検出コイルは、2つのコイルが直列又は並列に接続されたものであり、
前記変位体は、少なくとも一部が、前記2つのコイルの間を変位する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の変位検出装置。
【請求項16】
前記検出コイルを付勢する付勢回路と、
前記検出コイルの出力波形を検波する検波回路と、
前記検波回路の出力を前記変位取り出し部の変位に対応する出力に変換する信号処理回路とをさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の変位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−194075(P2012−194075A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58578(P2011−58578)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】