説明

変調後方散乱を用いてのタグ付き資産の所在地推定方法および所在地推定システム

資産タグと1または複数のマーカータグとから変調後方散乱を用いて、資産の所在地を決定する方法とシステム。システムは、読取機と、所在地決定モジュールと、1または複数のマーカータグとを有する。資産タグのための所在地推定は、マーカータグそれぞれの所在地の事前情報に部分的に基づき決定される。所在地決定モジュールは、1または複数のマーカータグと、資産タグとから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータを用いて、資産タグの所在地推定を決定する。マーカータグの既知の所在地を用いて、資産タグの所在地推定は決定されうる。所在地推定は、相対的所在地や絶対的所在地でありえ、および/または資産タグの所在地推定は、マーカータグを有するゾーンでありうる。マーカータグを用いる可動式読取機は、広い範囲に亘って資産タグ所在地を決定でき、たとえば広い範囲に亘って資産を在庫調査しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、資産追跡に関し、より詳細には、変調後方散乱を用いたタグ付き資産の所在地特定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線周波数識別(RFID)システムでは、タグ中の符号化データが、タグによって読取機に、読取機からの問い合わせに応答して伝達される。タグはバッテリーレス(すなわち、パッシブ・タグ)の場合があり、この場合、読取機からの送信ビームがタグの電気回路を作動させ、その後、タグは、タグ中の符号化データを読取機へと、変調後方散乱を用いて伝達する。タグは通常、資産に取付けられている(たとえば、物品が無線周波数識別システムによって追跡されている)ので、タグ中の符号化データを用いて、資産を一意に識別しうる。
【0003】
セミパッシブ・タグの場合、タグに付属する電池からタグの電気回路にパワー供給される。タグが読取機からの送信ビームを検出すると、タグはタグ中の符号化データを読取機へと、変調後方散乱を用いて伝達する。
【0004】
アクティブ・タグの場合、タグに付属する電池によって読取機への通信がパワー供給されることが、最初に送信ビームを検出することも送信ビームによって作動されることもなく行なわれる場合がある。またセミパッシブ・タグおよびアクティブ・タグは、資産を一意に識別しうるタグ中に符号化データを備えていても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−501515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の無線周波数識別システムでは、タグの所在地を決定する読取機の能力は、限定されてしまうおそれがある。なぜならば、読取機は通常、幅広いパターンを伴うビームを送信するからである。従来の無線周波数識別システムでは、1または複数のアンテナ(各アンテナは固定されたビーム・パターンを有する)を備える読取機を用いる場合がある。これらのアンテナは通常、送信ビームの波長と比較して大きな間隔で分離されていて、多重経路フェージングのためのダイバーシティを与えるとともに、向きが未知のタグからの通信を受信する信頼性を増加させている。
【0007】
加えて、従来の無線周波数識別システムは、単一の固定された読取機とタグとの間の通信範囲が狭すぎて対象領域におけるすべてのタグを読取ることができないときには、限定されてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、読取機を用いて1または複数のマーカータグから変調後方散乱信号を受信し、読取機を用いて資産タグから変調後方散乱信号を受信し、1または複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号のパラメータを推定し、資産タグから受信した変調後方散乱信号のパラメータを推定するための方法を有する。本方法はさらに、資産タグの所在地推定を決定するステップであって、所在地推定は、1または複数のマーカータ
グから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータと、資産タグから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータとに基づくステップを有する。
【0009】
別の実施形態によれば、方法は、読取機が第1位置にあるときに、複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号の第1パラメータを推定するステップと、読取機が第1位置にあるときに、資産タグから受信した変調後方散乱信号の第2パラメータを推定するステップと、読取機を第2位置へ移動するステップと、読取機が第2位置にあるときに、複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号の第3パラメータを推定するステップと、読取機が第2位置にあるときに、資産タグから受信した変調後方散乱信号の第4パラメータを推定するステップとを有する。
【0010】
本方法はさらに、第1パラメータと、第2パラメータと、第3パラメータと、第4パラメータとに基づいて資産タグの所在地を推定するステップを有する。
本発明の実施形態は、1または複数のマーカータグから変調後方散乱信号を受信するための手段と、資産タグから変調後方散乱信号を受信するための手段と、1または複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号のパラメータを推定するための手段と、資産タグから受信した変調後方散乱信号のパラメータを推定するための手段と、資産タグの所在地推定を決定するための手段であって、所在地推定は、1または複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータと、資産タグから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータとに基づく手段とを有する。
【0011】
図中の要素は、簡単および明瞭を目的として例示されており、正しいスケールでは描かれていない。本発明の種々の実施形態の理解の向上に役立つように、一部の要素については、寸法が他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0012】
本発明には、資産タグからの変調後方散乱と、1または複数のマーカータグからの変調後方散乱とを用いて資産を所在地特定する所在地推定方法と所在地推定システムが含まれる。読取機と所在地モジュールは、マーカータグからの変調後方散乱信号を用いることによって、読取機と資産タグとの所在地を推定しても良い。
【0013】
資産は、その所在地が対象となる任意の物品である。資産タグは、資産に付随するタグであり、たとえば資産タグを資産に取付けることによって設ける。資産は、無生物(たとえば本)であっても良く、または資産は、人と、動物と、植物とのうちの少なくとも1つであっても良い。
【0014】
本方法とシステムによって、在庫の所在地特定が可能になり、タグ付き資産の推定所在地が対象領域において決定される。
さらに可動式読取機を有する実施形態においては、本方法とシステムによって、資産タグを広い領域の全体に亘って所在地特定することができ、たとえば広い領域の全体に亘ってタグ付き資産の在庫調査を行なうことができる。
【0015】
本システムは、読取機と、所在地モジュールと、1または複数のマーカータグとを備え、これらを用いることによって、資産タグの所在地推定を、1または複数のマーカータグのそれぞれの所在地の事前情報に部分的に基づき与える。マーカータグそれぞれの所在地を、データベース内に記憶していても良い。資産タグの所在地推定を、マーカータグに基づき決定しても良い。いったん資産タグの所在地が推定されると、資産タグは、マーカータグとして働く場合があり、本明細書では模擬マーカータグとして説明している。
【0016】
所在地モジュールは、資産タグの所在地推定を、1または複数のマーカータグから受信した変調後方散乱信号の推定されたパラメータと、資産タグから受信した変調後方散乱信
号の推定されたパラメータとを用いることによって決定する。
【0017】
パラメータをスカラまたはベクトル値によって示しても良く、またパラメータには、たとえば変調後方散乱信号の読取機の軸線に対する到来角度と;マーカータグから読取機までのレンジ(すなわち、距離)と;資産タグから読取機までのレンジ(すなわち、距離)とのうちの少なくとも1つが含まれていても良い。
【0018】
マーカータグの既知の所在地および推定されたパラメータを用いることによって、資産タグの所在地推定を決定することができる。
所在地推定は、相対的所在地と;絶対的所在地と;マーカータグを有するゾーンとのうちの少なくとも1つであっても良い。
【0019】
一例では、資産タグを有するゾーンを、本棚の各端部にあるマーカータグによって決定しても良い。資産タグを本棚上の物品(たとえば本)に取付けた場合、それによって本を、本棚上にあると同様にゾーン内にあると判定しても良い。
【0020】
この構成では、読取機の相対的所在地も、資産タグから受信した変調後方散乱信号と、マーカータグから受信した変調後方散乱信号とを処理することによって決定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】マーカータグおよび資産タグを用いた所在地特定システムを例示する図。
【図2】棚応用例における所在地特定システムを例示する図。
【図3】ドックドア応用例における所在地特定システムを例示する図。
【図4】典型的な送信機ビーム形成システムのブロック図。
【図5】典型的な受信機ビーム形成システムのブロック図。
【図6】多重経路環境における所在地特定システムを例示する図。
【図7】2次元の可動式読取機構成における所在地特定システムを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、マーカータグと資産タグを用いた所在地特定システムを例示する。所在地特定システムは、読取機110と所在地モジュール170とを備えている。読取機110は、ビーム150によって示される送信電磁信号を発生させても良い。視野(FOV)160は、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つから受信する変調後方散乱信号の受信に対する視野を表わしても良い。視野160は、簡単にするために図1では2次元で示しているが、3次元の視野であっても良い。ゾーン130は、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bとの間の領域であっても良い。これは、簡単にするために図1では2次元で示している。図1に例示するように、第2資産タグ140Bは、ゾーン130に含まれている。種々の実施形態において、ゾーン130は、3次元領域であっても良い(図示せず)。こうして1または複数のマーカータグ120を用いることによって、2次元と3次元とのうちの少なくとも1つの幾何学的形状を有するゾーンを画定しても良い。
【0023】
種々の実施形態において、読取機110は、電磁信号をマーカータグ120と資産タグ140とに送信するための1または複数の送信アンテナ(図示せず)と、変調後方散乱信号を資産タグ140とマーカータグ120とから受信するための1または複数の受信アンテナとを備えている。読取機110は、以下のモードのうちの1または複数で動作しても良い。(i)単一アンテナ送信、多重アンテナ受信、(ii)多重アンテナ送信、多重アンテナ受信、および/または(iii)多重アンテナ送信、単一アンテナ受信。
【0024】
マーカータグ120と資産タグ140は、変調後方散乱信号を用いて読取機110との
通信を行なう。読取機110は、変調後方散乱信号をマーカータグ120と資産タグ140とから受信することによって、変調後方散乱信号のパラメータを推定する。
【0025】
本明細書で用いる場合、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つから受信する変調後方散乱信号の推定されたパラメータには、変調後方散乱信号から決定および/または推定される任意の測定可能な数量、特性、または情報が含まれる。
【0026】
推定されたパラメータには以下のものが含まれていても良い(しかし、これらに限定されない)。無線周波数識別プリアンブル、無線周波数識別ペイロード・データおよび/または付加情報、マーカータグ120および/または資産タグ140から受信した変調後方散乱信号の信号強度、マーカータグ120および/または資産タグ140から受信した変調後方散乱信号の到来角度、マーカータグ120および/または資産タグ140から受信した変調後方散乱信号に対するアンテナ・アレイ応答、マーカータグ120および/または資産タグ140から読取機110までのレンジ、マーカータグ120および/または資産タグ140から読取機110までの変調後方散乱信号の飛行時間。
【0027】
読取機110が変調後方散乱信号のパラメータを時間に亘って推定すると、所在地モジュール170は、資産タグ140の移動の方向と資産タグ140の速度とのうちの少なくとも1つを決定しても良い。
【0028】
マーカータグ120の所在地は、所在地モジュール170にとってアクセス可能なデータベース(図示せず)内に記憶しても良い。マーカータグ120の所在地には、2次元(x,y)座標空間での絶対的所在地もしくは相対的所在地、または3次元(x,y,z)座標空間での絶対的所在地もしくは相対的所在地が含まれていても良い。
【0029】
所在地モジュール170は、読取機110の視野160内にあるマーカータグ120と資産タグ140とのうちの1または複数から読取らせる(たとえば、変調後方散乱信号を受信させる)ことによって、資産タグ140の所在地推定180を読取機110に与えても良い。所在地推定180は、資産タグ140の絶対的所在地推定または相対的所在地推定であっても良く、資産タグ140がゾーン130内に含まれているという決定を与えても良く、資産タグ140の絶対的所在地または相対的所在地の確率的推定を与えても良く、および/または資産タグ140がゾーン130内に含まれているかどうかという確率的推定を与えても良い。
【0030】
たとえば読取機110が第2資産タグ140Bを読取ると、所在地モジュール170は、第2資産タグ140Bの所在地を、第1マーカータグ120Aの所在地と第2マーカータグ120Bの所在地と比較することによって、ゾーン130に第2資産タグ140Bが含まれていると判定する所在地推定180を与えても良い。
【0031】
種々の実施形態において、所在地モジュール170は、所在地推定180を、複数の時間インスタンスにおいておよび/または複数の時間帯に亘って与えても良い。こうして所在地推定180を用いて、資産タグ140の移動の方向を決定しても良い。この結果、たとえば戸口に配置された読取機110は、資産タグ140が特定の対象領域に入っている場合があるかまたは出ている場合があるかを判定することができる。
【0032】
種々の実施形態においては、マーカータグ120と資産タグ140のうちの少なくとも1つは、パッシブ、セミパッシブ、アクティブ、またはこれらの種類のタグの組み合わせであっても良い。たとえば幾つかのマーカータグ120をセミパッシブにすることによって、ゾーン130の高空間分解能識別を実現しても良く、一方で、資産タグ140をパッシブ・タグにしてコストを下げても良い。読取機110とマーカータグ120および資産
タグ140との間のレンジが、パッシブ・タグに適したものよりも大きい場合、マーカータグ120と資産タグ140の両方をセミパッシブにしても良い。
【0033】
いったん資産タグ140の所在地が推定されると、資産タグ140は、マーカータグ120の役割を担うことができるため、マーカータグ120の密度を下げることができる。このように用いられる資産タグ140を、模擬マーカータグと言う場合がある。このようにして、ゾーンを1または複数の模擬マーカータグに基づいて決定しても良い。
【0034】
図2に、棚応用例における所在地特定システムを例示する。第1マーカータグ120Aを棚210の一方の棚端に位置させても良く、第2マーカータグ120Bを棚210の他端に位置させても良い。そしてゾーン220を、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bとの間の棚上の領域として画定しても良い。本出願では、所在地モジュール170は、資産タグ140がゾーン220内にあるか否かを示す所在地推定180を与えても良い。
【0035】
図3に、ドックドア応用例における所在地特定システムを例示する。本出願では、第1ドックドア310を有するゾーンを、第1マーカータグ120Aからの半径によって画定しても良く、第2ドックドア320を有する別のゾーンを、第2マーカータグ120Bからの半径によって画定しても良い。
【0036】
図3には、2つのドックドア(第1ドックドア310および第2ドックドア320)を有するドックドア応用例を例示しているが、所在地特定システムは、単一のドックドア(図示せず)または2つを超える数のドックドア(図示せず)とともに用いても良い。
【0037】
読取機110は、第1ドックドア310を通過している資産タグ140から、変調後方散乱信号を受信しても良い。資産タグ140が第1ドックドア310を通過したという決定は、所在地推定180が第1マーカータグ120Aからの半径内に存在するということに基づいても良い。
【0038】
図4は、典型的な送信機ビーム形成システムのブロック図である。
送信機ビーム形成システムは、送信フェーズ・ロックド・ループ(PLL)410と、送信位相シフタ420と、送信変調器430と、送信アンテナ440と、送信クロック450と、送信ビーム形成モジュール460と、送信データ470と、マーカータグ・フィードバック480とを備える。送信アンテナ440はそれぞれ、別個のアンテナ、またはアンテナ素子であっても良い。送信機ビーム形成は、2つ以上の送信アンテナ440を用いることによって、送信ビームを空間内の特定の領域に送る。種々の実施形態においては、読取機110(図1)は、読取機110がビーム150のエネルギーをどこに送るべきかを選択することができる送信機ビーム形成能力を備える。
【0039】
通過帯域信号のための標準的な複素ベースバンド表現に関して、送信機ビーム形成システムがN個のアンテナ素子を有する場合、i番目のアンテナからの送信信号u(t)(i=1,…,N)は、ws(t)によって与えられる。ここでwは、i番目のビーム形成係数と呼ばれる複素利得であり、s(t)は送信すべき信号(一般的に複素数値)である。ベクトル形式では、次のようになる。
【0040】
u(t)=(u(t),…,u(t))
w=(w,…,w;および
u(t)=ws(t) 。
【0041】
信号s(t)が狭帯域である(すなわち帯域幅がチャネルのコヒーレンス帯域幅と比べ
て狭い)場合、i番目の送信要素からこのようなシステムにおけるマーカータグ120および/または資産タグ140までのチャネル利得は、複素スカラhとしてモデリングすることができる。チャネル・ベクトルを次のように規定する。
【0042】
h=(h,…,h)T 。
この場合、マーカータグ120における受信信号と、資産タグ140における受信信号とのうちの少なくとも1つを、次のようにモデリングすることができる。
【0043】
y(t)=hws(t)+n(t) 。
ここでn(t)は、ノイズを示す。
したがって、マーカータグ120からの変調後方散乱信号と資産タグ140からの変調後方散乱信号とのうちの少なくとも1つの電力は、(hw)に比例している。チャネル・ベクトルhは、送信アンテナ440に対するマーカータグ120の所在地と、送信アンテナ440に対する資産タグ140の所在地とのうちの少なくとも1つに依存する。たとえば送信アンテナ440が、要素がdだけ離間して配置された線状アレイである場合、ブロードサイドに対して角度θで配置されるマーカータグ120および/または資産タグ140に対するチャネル・ベクトルは、次式で与えられる。
【0044】
a(θ)=(l,α,α,…,αN−1
ここで、α=exp(j2πd×sinθ/λ)であり、λはキャリア波長を示す。こうしてマーカータグ120および/または資産タグ140からの変調後方散乱信号の強度は、マーカータグ120および/または資産タグ140の読取機110に対する所在地に関係づけられる。
【0045】
送信機ビーム形成を用いて、所在地モジュール170は、変調後方散乱信号から所在地推定180を以下のように与えても良い。
送信ビーム(たとえばビーム150)のメイン・ローブを、領域を通して走査しても良い。ビーム150を、送信アンテナ440から送信される無線周波数(RF)信号の相対位相と振幅を制御することによって、送信アンテナ440のアレイを用いて電子的に制御する。マーカータグ120から受信した変調後方散乱信号の走査角度の関数としての強度を、マーカータグ・フィードバック280と所在地モジュール170に与えても良い。
【0046】
この情報を用いて、マーカータグ120から受信した変調後方散乱信号の到来角度を有する所在地推定180を推定することができる。
たとえば走査角度の関数としての変調後方散乱信号強度におけるピークを用いることによって、受信した変調後方散乱信号の到来角度を有するパラメータを推定することができる。
【0047】
高い空間分解能の推定の場合、wは、k番目(ここでk=1,…,K)の走査に対応する送信ビーム形成係数のベクトルであること、ならびにh(x)は、読取機110から、読取機110に対して所在地xにあるマーカータグ120および/または資産タグ140までのチャネル・ベクトルであると仮定する。ここでxは、読取機110の送信ビーム形成アレイに対する3次元位置、2次元位置、または到来角度と離脱角度とのうちの少なくとも1つを示していても良い。そして、K個の走査に亘る受信電力のベクトルは、次式に比例している。
【0048】
Q(x)=((h(x),…,(h(x))) 。
したがって受信電力の実際のベクトルP=(P,…,P)をQ(x)と比較することを用いて、xに対する実現可能値の組の中からxを推定することができる。たとえば、アレイ応答a(θ)を伴うアレイについて考える。k番目の走査上で角度θに向けてビ
ームを形成するために、ビーム形成係数をw=a(θ)に設定し、(hのピークがh=a(θ)において生じるようにする。したがって、角度θにおいてマーカータグ120および/または資産タグ140から得られる予想される受信電力のベクトルは、次式で与えられる。
【0049】
Q(θ)=((a(θ)a(θ)),…,(a(θ)a(θ))) 。
次に、受信電力の実際のベクトルP=(P,…,P)をQ(θ)と比較することを用いて、θを推定することができる。
【0050】
この技術を2次元アレイに一般化することによって、2つの角度を推定することができる。角度推定が、Pの形状をQ(θ)と比較することに基づいても良い一方で、Pの強度(受信信号強度)を用いることによって、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つの読取機110に対するレンジを推定しうる。こうして、2次元の送信ビーム形成アレイを用いることによって、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つの読取機110に対する3次元所在地を推定することが、2つの角度の推定とレンジの推定とを組み合わせることによって可能になる。
【0051】
マーカータグ120から、既知のデータシーケンスを有する変調後方散乱信号が送信された場合には、シーケンスに対する相関を用いることによって、受信した変調後方散乱信号のパラメータの推定を得ることができる。
【0052】
マーカータグ120からの変調後方散乱信号と、資産タグ140からの変調後方散乱信号とのうちの少なくとも1つは、アップリンクとしても知られている。相関によって、複素ベースバンド・チャネル利得(hwに比例している)の推定を得ることができるとともに、相関を用いることによって、送信ビーム形成係数wを適応させることができる。たとえばサンプルy[l](lはLの小文字)を、アップリンク上で送信されるl番目の記号b[l](lはLの小文字)に対応させることができる。そして、
y[l]=b[l]βhw+N[l] 。
【0053】
ここで、N[l](lはLの小文字)はノイズを示し、βは、マーカータグ120からの変調後方散乱と資産タグ140からの変調後方散乱とのうちの少なくとも1つと、読取機110への伝搬とによって、アップリンク上で見られる全体的な複素利得である。
【0054】
そして、次の相関
【0055】
【数1】

によって、ゲイン(hw)が最大になるようにwを適応させるために用いることができるβhwの推定が得られる。
【0056】
この技術は、暗黙的フィードバック・メカニズムである。なぜならば読取機110は、アップリンク信号から抽出される情報に基づきダウンリンクについての情報を取出している(おそらく読取機110はダウンリンクに適応している)からである。あるいはアップリンク上でのデータ復調が十分に信頼性の高いものである場合には、これを、読取機110による判定指向パラメータ推定に対して用いることによって、マーカータグ120が既知のデータ・セグメントを送る必要を減らすことができる。こうして記号b[l]の代わ
りにその推定を、このような判定指向の適応において用いることができる。また読取機110は、アップリンク上での平均受信電力の推定を、たとえば、|y[l]|の平均値を算出することによって行なうことができる。推定されるパラメータには、マーカータグ120から読取機110に送られる明示的フィードバックが含まれていても良い。明示的フィードバックの例は、マーカータグ120が変調後方散乱信号中で送り返しているデータ中にあるマーカータグ120の受信信号に関する特定の情報をマーカータグ120がいつ符号化するかである。
【0057】
また読取機110は、送信機ビーム形成を用いることによって、従来の無線周波数識別システム間の干渉と、同じ領域内にあっても良い他の送信機ビーム形成システム間の干渉とのうちの少なくとも1つを減らしても良い。マーカータグ120を用いて、読取機110は、送信機ビーム形成を用いることによって、送信RFエネルギー(たとえばビーム150)を望ましい領域に送り、またマーカータグ・フィードバック480を用いて望ましくない領域から離すように、送信ビーム形成モジュール460を制御しても良い。マーカータグ120からのフィードバックは、暗黙的または明示的とすることができる。これは、本明細書において前述したとおりである。こうして、本明細書で説明したような送信機ビーム形成と電力制御とのうちの少なくとも1つによって、干渉を減らすことができ、その結果、極めて接近している複数の無線周波数識別システムと、複数の読取機110とのうちの少なくとも1つに適応することができる。
【0058】
図5は、典型的な受信機ビーム形成システムのブロック図である。
受信機ビーム形成システムは、受信フェーズ・ロックド・ループ(PLL)510と、受信ベースバンド位相シフタ520と、受信復調器530と、受信アンテナ540と、受信クロック550と、受信ビーム形成モジュール560と、受信データ570とを備える。受信アンテナ540はそれぞれ、別個のアンテナ、またはアンテナ素子であっても良い。受信機ビーム形成は、2つ以上の受信アンテナ540を用いて、空間内の領域に対する読取機110の感度(たとえば視野160)を調整しても良い。種々の実施形態において、受信アンテナ540は、図4を参照して説明した送信アンテナ440と同じであっても良い。種々の実施形態においては、読取機110は、マーカータグ120と資産タグ140から受信した変調後方散乱信号の到来角度を有する所在地特定情報を、読取機110が決定することができる受信ビーム形成能力を備えている。
【0059】
読取機110は、図5に示すように、ベースバンドにおいて実行される受信ビーム形成を備えていても良い。受信機ビーム形成を用いて、資産タグ140の所在地特定は、受信アンテナ540において1または複数のマーカータグ120および資産タグ140から受信した変調後方散乱信号の間の関係に基づいている。
【0060】
受信ビーム形成モジュール360は、マーカータグ120からの変調後方散乱信号と、資産タグ140からの変調後方散乱信号とのうちの少なくとも1つに対応する受信アレイ応答を、受信アンテナ540における受信信号を既知または推定のデータ信号に対して関連づけることによって推定しうる。
【0061】
たとえば狭帯域信号送信(信号帯域幅がチャネル・コヒーレンス帯域幅よりも狭い)と、M個の受信アンテナを伴う読取機110とについて考える。
M個の受信アンテナにおける通過帯域受信信号に対する複素ベースバンド表現を用いて、j番目のアンテナ(ここで、j=1,…,M)に対する受信信号を、y(t)=hν(t)+n(t)と書くことができる。ここでν(t)は、タグによって後方散乱される信号であり、hは、タグからj番目のアンテナ素子への複素チャネル利得であり、およびn(t)は、j番目のアンテナ素子が受けるノイズである。ベクトル表記法を用いて、以下のようになる。
【0062】
y(t)=(y(t),…,y(t))
h=(h,…,h
n(t)=(n(t),…、n(t));そして
y(t)=hν(t)+n(t) 。
【0063】
ベクトルhは、受信アレイ応答と呼んでも良いし、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つから読取機110への空間チャネルと呼んでも良い。
前述の表現の離散時間モード(おそらく連続時間ベクトル信号y(t)をフィルタリングおよびサンプリングすることによって得られる)について考えることも有用である。これは次のようになる。
【0064】
y[l]=hb[l]+n[l] 。
ここでb[l]は、アップリンク上で送信されるl番目の記号を示しても良い。受信機ビーム形成システムは、ベクトル受信信号の複素数値受信ビーム形成係数との空間相関を形成しても良い。
【0065】
こうして、w=(w,…,wは、複素数値ビーム形成係数またはビーム形成重みのベクトルを示すことができる。そして受信機ビーム形成システムは、次の内積を形成しても良い。
【0066】
r(t)=wy(t)=(wh)ν(t)+wn(t) 。
離散時間モデルの場合、対応する内積は、次のモデルに従っても良い。
r[l]=wy[l]=(wh)b[l]+wn[l] 。
【0067】
このようなビーム形成動作を具体化することは、位相シフト(図5に示すようにベースバンドにおいて実行される)とともに振幅スケーリング(図示せず)に対応する。
種々の実施形態においては、受信ビーム形成をRFバンド内に、受信アンテナ540の個々の要素が受信した変調後方散乱信号の位相調整を用いることによって、当該技術分野で知られるビーム形成技術によって導入しても良い。
【0068】
ビーム形成係数wを受信ビーム形成モジュールによって適応させることによって、対象とする所望の信号(たとえば、タグによってアップリンク上で送られる既知の記号であっても良い)を追跡するようにしても良い。
【0069】
適応した重みの値によって、受信アレイ応答hに関する情報が得られる。
あるいは受信ビーム形成モジュールは、受信アレイ応答hの推定を、y(t)から直接、たとえば、それを既知または推定の記号の組に対して関連づけることによって行なっても良い。対象とする別の数量は、空間共分散行列Cである。
【0070】
C=E[y(t)y(t)] 。
これの推定は、たとえば外積y[l]y[l]を加算または平均化することによって行なうことができる。
【0071】
そしてマーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つに対応する受信アレイ応答を所在地モジュール170が用いて、当該技術分野で知られる技術によって、資産タグ140の所在地推定180を得ることができる。また所在地モジュール170は、二次統計量、たとえば空間共分散行列Cを用いても良い。典型的な無線周波数識別プロトコルでは、従来の無線周波数識別タグによって変調されるデータは、既知のプリアンブル、その後にペイロード(タグ身元および/または付加情報が含まれていても良い)を有
する。種々の実施形態においては、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つは、既知のプリアンブルを用いることによって、受信アレイ応答を推定しても良い。無線周波数識別プロトコルが与えるプリアンブルに加えて、受信アレイ応答の推定を改善するさらに大きいトレーニング・シーケンスを、既知のデータ・セグメントを有する付加情報を有するようにペイロードを明示的に構成することによって、与えることができる。
【0072】
たとえば離散時間モデルの場合、
y[l]=hb[l]+n[l] 。
受信アレイ応答hを次の相関を用いて推定しても良い。
【0073】
【数2】

ここで記号b[l]のシーケンスは、既知のプリアンブルまたはトレーニング・シーケンスの一部であるために演繹的に分かる。これは、本明細書において説明した通りである。
【0074】
受信ビーム形成モジュール560では、受信アンテナ540から受信した信号を、当該技術分野で知られる技術によってトレーニングおよび判定指向適応の組み合わせを用いることによって、組み合わせても良い。
【0075】
たとえば受信ビーム形成モジュール560は、線形最小平均2乗誤差(MMSE)基準に基づいて当該技術分野で知られる適応性のあるアルゴリズムを備えていても良い。たとえば、離散時間モデルの場合、
r[l]=wy[l]=(wh)b[l]+wn[l] 。
【0076】
受信ビーム形成係数wを、平均2乗誤差E[|wy[l]−b[l]|]を最小限にするように適応させても良い。このことは、当該技術分野で知られるアルゴリズムによって導入することができる。たとえば最小2乗平均法(LMS)、再帰的最小2乗法(RLS)、もしくはブロック最小2乗法(BLS)、および/またはそれらの変形である。マーカータグ120および/または資産タグ140が読取機と通信し、ノイズが白色である場合、最小平均2乗誤差ビーム形成係数はhのスカラ倍である。そのため、wの適応によって、受信アレイ応答hについての情報が得られる。このように決定されたビーム形成係数を、所在地モジュール170に与えても良い。また所在地モジュール170に、付加情報たとえば空間共分散行列Cを与えても良い。
【0077】
種々の実施形態においては、読取機110は、データ復調を、受信機ビーム形成システムたとえば図5に例示したものを用いることなく行なっても良い。これらの実施形態においては、復調を、アンテナ・アレイにおける各受信アンテナ(図示せず)に対して別個に行なうことができる。最初にデータ復調を1または複数の受信アンテナを用いて行なうことができ、次に決定を、受信信号に対して種々のアンテナ素子において相関させることによって、受信アレイ応答を推定することができる。
【0078】
たとえば離散時間モデルの場合、
y[l]=hb[l]+n[l] 。
hを判定指向推定することによって、次の相関を用いて受信アレイ応答hを推定しても
良い。
【0079】
【数3】

ここで記号b[l]の推定は、復調器から得られる。
【0080】
本明細書で説明したように、受信機アレイ応答hを、種々の方法によって推定しても良い。たとえばベクトル受信変調後方散乱信号を既知または推定の信号に対して相関させることによる直接推定と、受信ビーム形成重みwを適応させることによる間接推定とである。
【0081】
受信アレイ応答の推定は、所在地モジュール170によって用いられることによって、読取機110に対するマーカータグ120と、読取機110に対する資産タグ140とのうちの少なくとも1つのための所在地推定180を与えても良い。なぜならば受信アレイ応答hは、受信アンテナ・アレイ内の受信アンテナ540に対するマーカータグ120および/または資産タグ140の所在地に依存するからである。
【0082】
たとえば受信アンテナ540が、要素がdだけ離間に配置された線状アレイである場合、ブロードサイドに対して角度θにあるマーカータグ120と、ブロードサイドに対して角度θにある資産タグ140とのうちの少なくとも1つのチャネル・ベクトルは、次式で与えられる。
【0083】
a(θ)=(1,α,α,…,αN−1
ここでα=exp(j2πd×sinθ/λ)であり、λはキャリア波長を示す。受信アンテナ540と、マーカータグ120および/または資産タグ140との間の見通し線(Line of Sight)リンクに対しては、受信アンテナ540の現在位置に対してマーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つが配置される方向を、|a(θ)h|をその許容し得るレンジに亘るθの関数として最大にすることによって、推定することができる。受信アンテナ540が2次元アンテナ・アレイである実施形態の場合、2つの角度を推定しても良い。さらに受信信号強度を用いてレンジを推定することができ、これによって3次元の所在地特定が可能になる。レンジを推定するための当該技術分野で知られる他の技術も用いることができる。たとえば周波数変調された連続波(FMCW)波形を用いることである。
【0084】
いったんマーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つの読取機110に対する所在地が、所在地モジュール170によって決定されると、これらの所在地を比較することを用いて、マーカータグ120に対する資産タグ140の所在地推定180を決定することができる。
【0085】
こうして、マーカータグ120の絶対的所在地が既知である場合には、資産タグ140の絶対的所在地を決定することができる。あるいは所在地モジュール170は、所在地関連のパラメータたとえば送信もしくは受信ビーム形成係数、または受信アレイ応答の推定を比較することによって、資産タグ140に対する所在地推定180を、マーカータグ120に対して与えても良い。
【0086】
このような所在地推定180を、本明細書で説明したように、ゾーンに量子化すること
を、2次元または3次元座標系での明示的推定の代わりに行なっても良い。図1と、図2と、図3とを参照して前述したように、ゾーン130,220を、1または複数のマーカータグ120の周りの領域として、マーカータグの絶対座標が分かっているということを必要とせずに画定しうる。
【0087】
図4を参照して説明した送信アンテナ440と、図5を参照して説明した受信アンテナ540とが同じアンテナ・アレイである場合、受信ビーム形成モジュール560によって決定されるビーム形成係数を用いることによって、送信ビーム形成モジュール460による送信を図っても良い。その結果、ビーム150は、より正確にマーカータグ120の領域と資産タグ140の領域とのうちの少なくとも1つに送られる。あるいは特定の領域におけるマーカータグ120間の干渉を減らすために、送信ビーム形成モジュール460は、特定のマーカータグ120の方向にゼロを合成することを、送信ビーム形成係数を受信ビーム形成係数に準直交となるように適応させることによって行なっても良い。
【0088】
読取機110が送信機および/または受信機ビーム形成を備える場合、当該技術分野で知られる空間分割多元接続(SDMA)方法を用いることによって性能の向上が得られる場合がある。たとえば読取機110は、ビーム150中のその送信エネルギーを小さい領域に送ることによって、ビーム150によって照明されるマーカータグ120の数を少なくすることができる。種々の実施形態においては、空間分割多元接続を用いることによって、シンギュレーション(singulation)の作業を単純にしても良い。読取機110が受信ビーム形成を備える場合、マルチユーザ検出技術およびアルゴリズムたとえば多重信号分類(MUSIC)を用いることによって、複数のマーカータグ120からの同時応答の復号化に、それらの受信アレイ応答における差に基づいて成功することができる。
【0089】
さらにマーカータグ120ペイロードが、直接シーケンス・スペクトラム拡散フォーマットで符号化されたデータを有する場合、複数のタグの同時読取りを、当該技術分野で知られる符号分割多元接続(CDMA)技術を用いて、読取機110が受信した複数の応答の復号化に成功することによって行なっても良い。受信機ビーム形成能力を伴う読取機110においては、このようなCDMA技術を、空間分割多元接続とともに用いることができる。
【0090】
また読取機110を用いることによって、レンジ推定を決定しても良い。読取機110に対する幾何学的形状は、レーダとソーナとのうちの少なくとも1つに類似している。なぜならば、マーカータグ120からの変調後方散乱信号と、資産タグ140からの変調後方散乱信号とは、電子的に反射されて、読取機110へと戻るからである。したがって、当該技術分野で知られる方法によれば、レーダ技術とソーナ技術とのうちの少なくとも1つを用いることによってレンジ情報を推定することができる。たとえば読取機110は、連続波(CW)トーンの代わりに周波数変調連続波(FMCW)波形を有するビーム150を送信することができ、またマーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つからの戻りを処理することによって、送信周波数変調連続波波形と受信周波数変調連続波波形との間の周波数差を検出することによって、周波数変調連続波レーダにおいて行なわれる場合があるレンジを推定することができる。
【0091】
読取機110を用いてのレンジ情報の決定を、マーカータグ120から受信した変調後方散乱信号と、資産タグ140から受信した変調後方散乱信号とのうちの少なくとも1つの強度を用いることによって、行なっても良い。
【0092】
図6に、多重経路環境における所在地推定システムを例示する。読取機110および所在地モジュール170は、反射または散乱物体からの多重経路成分の存在下で、マーカー
タグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つを所在地特定しても良い。このような反射または散乱物体の1つは、地表(地面630)である。図6に例示するように、多重経路環境には、所在地(x,y,z)における読取機110、地面630、所在地(x,y,z)におけるマーカータグ120が含まれていても良い。読取機110は、マーカータグ120からの直接後方散乱610と、地面反射620とを受信する。
【0093】
地面反射620のない単純な見通し線(Line of Sight)環境では、マーカータグ120および/または資産タグ140の所在地の最尤(Maximum Likelihood)推定が、受信済みアレイ応答のアレイ・マニフォールドに対する相関を最大にすることに対応する。
【0094】
しかし多重経路環境の場合、最尤推定は幾何学的形状に依存する。
一例では、支配的な多重経路成分は、地面630から反射される地面反射620であっても良い。読取機110と、マーカータグ120および/または資産タグ140との間の他の反射または散乱物体によって、多重経路成分が形成されても良い。
【0095】
図6に例示した多重経路環境に対応する複素ベースバンド受信済みアレイ応答は、次式によってモデリングしても良い。
h=α(x,y,z)+α(x,y,z)+N 。
【0096】
ここでaは、直接後方散乱610(見通し線経路)に対応するアレイ応答であり、aは、地面反射620からの経路に対応するアレイ応答である。αおよびαは、これらの経路に対応し、伝搬環境に依存し、未知の場合もある複素利得であり、Nはノイズである。前述の受信アレイ応答hは、本明細書で説明した技術の1つを用いて得られる受信アレイ応答の推定を示しても良く、ノイズNは、推定ノイズ(通常は、白色およびガウシアンとして良好に近似される)であると解釈しても良い。
【0097】
これらの複素利得をモデリングする1つのアプローチは、複素利得とマーカータグ120の所在地(x,y,z)との結合最尤推定を、以下の最小化を行なうことによって得ることである。
【0098】
minα1,α2min(xt,yt,zt)(y−α(x,y,z)+α(x,y,z))(y−α(x,y,z)+α(x,y,z)) 。
【0099】
ここでHは共役転置であり、最小化は、ノイズNが加法性白色ガウシアンであるときに最適である。
当該技術分野で知られる1つの解決方法は、マーカータグ120の所在地(x,y,z)を選択することである。ここでマーカータグ120の所在地(x,y,z)は、a(x,y,z)とa(x,y,z)とによって張られる(spanned)部分空間に直交するyの投影を最小化する。所在地(x,y,z)の最良の推定を検索することは、付加情報(たとえば、レンジ推定、または読取機110のマーカータグ120の所在地推定からの距離の事前情報)に基づき、さらに制約されうる。
【0100】
当該技術分野で知られる他の解決方法には、支配的な多重経路成分を空間相関行列に基づき見つけるためのアルゴリズム、たとえば多重信号分類(MUSIC)または回転不変法信号パラメータ推定(ESPRIT)を用いることが含まれる。一般的に、特定の受信アレイ応答に対するマーカータグ120のベスト・フィット所在地を見つけることが、多重経路環境のモデルを考慮した標準的な最尤技術またはベイジアン(Bayesian)
技術を用いて実現することができる。
【0101】
散乱に富んだ環境、すなわち多重経路が本明細書で説明したようなモデリングをするほどには十分には少なくない場合には、マーカータグ120の所在地に対する受信アレイ応答の依存性は、本明細書で説明したようには正しくモデリングされない場合がある。しかし、受信済みアレイ応答はそれでもやはり、マーカータグ120の所在地とともに滑らかに変化する。こうして1または複数のマーカータグ120が十分に高密度に配置されている場合には、資産タグ140(図1)に対するアレイ応答を、マーカータグ120のアレイ応答と比較すること(たとえば、推定されたパラメータ間の正規化相関を算出することにより)を用いることによって、資産タグ140の所在地を推定することができる。hがタグaに対する推定した受信アレイ応答であり、且つhがタグbに対する推定した受信アレイ応答である場合、正規化相関を次のように規定しても良い。
【0102】
【数4】

たとえば受信済みアレイ応答が、棚210(図2)上のマーカータグ120に対するアレイ応答と高度に相関している場合、クラスタリング・アルゴリズムが決定するように、資産タグ140が棚210上にあると推定されるであろう。
【0103】
図7に、2次元の可動式読取機構成における所在地推定システムを例示する。種々の実施形態においては、第1読取機701は可動式であっても良く、すなわち、第1読取機701は、第1位置から第2位置(第2読取機702として示す)へ移動しても良い。可動式読取機の構成を用いることによって、店舗全体に亘って資産タグ140の在庫調査を行なっても良い。
【0104】
可動式構成では、読取機110は、複数のマーカータグ120および資産タグ140からの変調後方散乱信号を、第1読取機701を用いることによって受信しても良く、この場合、第1読取機701は、第1位置における読取機110の実施形態である。そして第2読取機702は、複数のマーカータグ120および資産タグ140からの変調後方散乱信号を受信しても良く、この場合、第2読取機702は、第2位置における読取機110の実施形態である。
【0105】
図7に例示するように、第1角度710を、第1マーカータグ120Aと第1読取機701の軸線との間の角度として定義しても良い。同様に、第2角度720を、資産タグ140と第1読取機701の軸線との間で定義しても良く、第3角度730を、第2マーカータグ120Bと読取機701の軸線との間の角度として定義しても良い。第1レンジ715が、第1マーカータグ120Aと第1読取機701との間の距離として定義される。同様に、第2レンジ725が、資産タグ140と第1読取機701との間の距離として定義され、第3レンジ735が、第2マーカータグ120Bと第1読取機701の間の距離として定義される。
【0106】
同様に、第4角度740を、第1マーカータグ120Aと第2読取機702の軸線とによって定義し、第6角度760を、第2マーカータグ120Bと第2読取機702の軸線
とによって定義しても良い。第5角度750を、資産タグ140と第2読取機702の軸線とによって定義しても良い。同様に、第4レンジ745を、第1マーカータグ120Aと第2読取機702とによって定義し、第6レンジ765を、第2マーカータグ120Bと第2読取機702とによって定義しても良い。第5レンジ755を、資産タグ140から第2読取機702への距離として定義しても良い。
【0107】
一実施形態においては、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bから受信する変調後方散乱信号の推定されたパラメータは、第1角度710と第3角度730(第1読取機701の軸線に対する)と、第4角度740と第6角度760(第2読取機702の軸線に対する)とを有する。
【0108】
この実施形態においては、資産タグ140から受信する変調後方散乱信号の推定されたパラメータは、第2角度720と第5角度750を有する。
第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bの位置が既知であるので、所在地モジュール170は、資産タグ140に対する所在地推定180を、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bの所在地、第1角度710〜第6角度760、および幾何学的形状を用いて、且つ最初に第1読取機701の所在地と第2読取機702の所在地を推定することによって、与えても良い。第1読取機701の所在地は、第1マーカータグ120Aの所在地と第2マーカータグ120Bの所在地、第1角度710と第3角度730、および単純な幾何学的計算を用いて推定することができる。第2読取機702の所在地も同様に推定することができる。
【0109】
所在地モジュール170は、資産タグ140の所在地推定180を以下のように与えても良い。(x,y)によって第1マーカータグ120Aの所在地、(x,y)によって第2マーカータグ120Bの所在地、θによって第3角度730、およびθによって第1角度710を示す。そして第1読取機701の所在地(a,b)を、以下の等式を解くことによって推定することができる。
【0110】
【数5】

所在地モジュール170は、第2読取機702の所在地を、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bの所在地、第4角度740と第6角度760、および同様の幾何学的計算を用いて推定しても良い。
【0111】
その後、資産タグ140の所在地を、第1読取機701の所在地と第2読取機702の所在地の推定、第2角度720と第5角度750、および同様の幾何学的計算を用いて、推定しても良い。図7は、簡単にするために2次元で示しているが、資産タグ140の所在地と、第1読取機701の所在地と、第2読取機702との所在地を、3次元に一般化した同様の幾何学的計算を用いて3次元で推定しても良い。
【0112】
種々の実施形態においては、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bから受信する変調後方散乱信号の推定されたパラメータには、第1レンジ715と第3レンジ735(第1読取機701に対する)と、第4レンジ745と第6レンジ765(第2読取機702に対する)とが含まれる。これらの実施形態においては、資産タグ140から受信する変調後方散乱信号の推定されたパラメータは、第2レンジ725と第5レンジ
755を有する。
【0113】
第1マーカータグ120Aの位置と第2マーカータグ120Bの位置とが既知であるため、所在地モジュール170は、資産タグ140の所在地推定180を、たとえば第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bの所在地、第1レンジ715〜第6レンジ765、および幾何学的形状を用いて与えることができる。最初に第1読取機701の所在地と第2読取機702の所在地とを推定することによって、資産タグ140の所在地を推定しても良い。第1読取機701の所在地は、第1マーカータグ120Aの所在地と第2マーカータグ120Bの所在地、第1レンジ715と第3レンジ735、および幾何学的計算を用いて、推定することができる。第1読取機701の所在地を同様に推定しても良い。
【0114】
所在地モジュール170は、資産タグ140の所在地を以下のように推定しても良い。(x,y)によって第1マーカータグ120Aの所在地、(x,y)によって第2マーカータグ120Bの所在地、第1半径rによって第1レンジ715、および第2半径rによって第3レンジ735を示す。そして、第1読取機701の所在地(a,b)を、以下の等式を解くことによって推定することができる。
【0115】
(α−x+(b−y=r,(α−x+(b−y=r
2つの可能な解決方法が存在し、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bのそれぞれの中心に置いた第1半径rと第2半径rの円の2つの交差部に対応する(円が交差しない場合、前述した等式に対する解決方法は存在しない)。第1読取機701の所在地に対応する解決方法を、たとえば、第1マーカータグ120Aと第2マーカータグ120Bのどちらの側に読取機110が位置するのかを知ることに基づいて、決定することができる。
【0116】
所在地モジュールは、第2読取機702の所在地を、第1マーカータグ120Aの所在地と第2マーカータグ120Bの所在地、第4レンジ745と第6レンジ765、および同様の幾何学的計算を用いて、推定しても良い。その後、資産タグ140の所在地推定180を、第1読取機701の所在地と第2読取機702の所在地との推定、第2レンジ725と第5レンジ755、および同様の幾何学的計算を用いて推定しても良い。
【0117】
また資産タグ140の所在地と、第1読取機701の所在地と、第2読取機702の所在地とを、幾何学的形状を用いて3次元で推定しても良い。
種々の実施形態においては、マーカータグ120から受信した変調後方散乱信号と、資産タグ140から受信した変調後方散乱信号とのうちの少なくとも1つの推定されたパラメータは、受信済みアレイ応答である。多重経路伝搬を伴う環境では、所在地モジュール170は、マーカータグ120と資産タグ140とのうちの少なくとも1つの所在地推定180を、受信済みアレイ応答を用いて与えても良いとともに、多重経路環境の事前情報またはモデルを用いても良い。たとえば、多重経路環境が、図6に例示するように、主に見通し線経路および地面反射からなる場合、最尤アプローチまたはベイジアンアプローチを、読取機110(たとえば、第1読取機701と第2読取機702)と、マーカータグ120と、資産タグ140との所在地の推定を各経路に付随する複素利得を考慮することによって行なうために、用いても良い。
【0118】
本明細書において説明した実施形態は、本発明の例示である。
これらの実施形態は、説明図を参照して説明しているため、説明した特定の要素または方法の種々の変更または適応が当業者には明らかとなる場合がある。
【0119】
変更、適応、または変形として、本発明の教示に基づくとともに、これらの教示が当該技術分野を進歩させた際に基づくものはすべて、本発明の趣旨および範囲にあると考えられる。
【0120】
したがって、これらの説明および図面は、限定的な意味で考えてはならず、本発明は例示した実施形態のみに決して限定されるわけではないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資産タグの所在地である資産タグ所在地を推定する所在地推定方法であって、前記所在地推定方法は、
読取機を用いて、1または複数のマーカータグそれぞれから、変調後方散乱信号であるマーカータグ変調後方散乱信号を受信するステップと;
前記読取機を用いて、前記資産タグから、変調後方散乱信号である資産タグ変調後方散乱信号を受信するステップと;
前記マーカータグ変調後方散乱信号それぞれが有するパラメータであるマーカータグパラメータと、前記資産タグ変調後方散乱信号が有するパラメータである資産タグパラメータとを推定するステップと;
前記マーカータグパラメータと前記資産タグパラメータとに基づき、前記資産タグ所在地の推定である所在地推定を決定するステップと
を有することを特徴とする、所在地推定方法。
【請求項2】
それぞれ前記マーカータグパラメータは、前記マーカータグ変調後方散乱信号の到来角度を有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項3】
前記資産タグパラメータは、前記資産タグ変調後方散乱信号の到来角度を有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項4】
前記マーカータグパラメータはそれぞれ、前記読取機から前記マーカータグそれぞれへの距離であるマーカータグレンジを有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項5】
前記資産タグパラメータは、前記読取機から前記資産タグへの距離である資産タグレンジを有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項6】
前記所在地推定方法は更に、前記資産タグ変調後方散乱信号の信号強度を用いることによって、前記資産タグレンジを推定するステップを有する、
請求項5記載の所在地推定方法。
【請求項7】
前記所在地推定方法は更に、前記資産タグの移動方向を決定するステップを有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項8】
前記所在地推定方法は更に、
前記読取機から前記資産タグへの距離である資産タグレンジを推定するステップと;
所在地データベースから、前記マーカータグそれぞれの所在地であるマーカータグ所在地を読出すステップと;
前記資産タグレンジと、前記マーカータグ所在地それぞれと、前記マーカータグパラメータと、前記資産タグパラメータとに基づき、前記所在地推定を決定するステップと
を有する、請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項9】
前記所在地推定は、ゾーンを有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項10】
前記所在地推定方法は更に、
送信ビーム形成アレイを用いて、前記ゾーンに亘って電磁信号を走査するステップを有
する、
請求項9記載の所在地推定方法。
【請求項11】
前記マーカータグパラメータは、走査された前記電磁信号の走査角度の関数としての、受信した信号強度を用いることに基づく、
請求項10記載の所在地推定方法。
【請求項12】
前記読取機は、複数のアンテナを有する受信ビーム形成アレイを有し、
前記受信ビーム形成アレイは、前記マーカータグ変調後方散乱信号それぞれと、前記資産タグ変調後方散乱信号とを受信するように構成される、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項13】
前記マーカータグパラメータは、受信済みアレイ応答である、
請求項12記載の所在地推定方法。
【請求項14】
前記所在地推定を決定するステップは、クラスタリングアルゴリズムにおいて前記受信済みアレイ応答を使用するステップを有する、
請求項13記載の所在地推定方法。
【請求項15】
前記マーカータグパラメータを推定するステップは、前記マーカータグ変調後方散乱信号それぞれの強度を推定するステップを有する、
請求項12記載の所在地推定方法。
【請求項16】
前記マーカータグパラメータを推定するステップは、多重信号分類アルゴリズムを用いる、
請求項12記載の所在地推定方法。
【請求項17】
前記マーカータグパラメータを推定するステップは、回転不変法信号パラメータ推定アルゴリズムを用いる、
請求項12記載の所在地推定方法。
【請求項18】
前記所在地推定方法は更に、
前記所在地推定と、前記資産タグパラメータとを用いることによって、模擬マーカータグを提供するステップを有する、
請求項1記載の所在地推定方法。
【請求項19】
資産タグの所在地である資産タグ所在地を推定する所在地推定方法であって、前記所在地推定方法は、
読取機が第1位置に位置するときに、複数のマーカータグそれぞれから受信したマーカータグ変調後方散乱信号それぞれのパラメータである第1パラメータを推定するステップと;
前記読取機が前記第1位置に位置するときに、前記資産タグから受信した資産タグ変調後方散乱信号のパラメータである第2パラメータを推定するステップと;
前記読取機を第2位置に動かすステップと;
前記読取機が前記第2位置に位置するときに、前記マーカータグそれぞれから受信した前記マーカータグ変調後方散乱信号それぞれのパラメータである第3パラメータを推定するステップと;
前記読取機が前記第2位置に位置するときに、前記資産タグから受信した前記資産タグ変調後方散乱信号のパラメータである第4パラメータを推定するステップと;
前記資産タグ所在地を、前記第1パラメータと、前記第2パラメータと、前記第3パラ
メータと、前記第4パラメータとに基づき、推定するステップと
を有する、所在地推定方法。
【請求項20】
前記所在地推定方法は更に、前記第1パラメータと前記第3パラメータとを用いて、前記第1位置を推定するステップを有する、
請求項19記載の所在地推定方法。
【請求項21】
前記第1パラメータと前記第3パラメータはそれぞれ、前記マーカータグ変調後方散乱信号の到来角度を示し、
前記第2パラメータと前記第4パラメータはそれぞれ、前記資産タグ変調後方散乱信号の到来角度を示す、
請求項19記載の所在地推定方法。
【請求項22】
前記第1パラメータと前記第3パラメータはそれぞれ、前記マーカータグ変調後方散乱信号の距離を示し、
前記第2パラメータと前記第4パラメータはそれぞれ、前記資産タグ変調後方散乱信号の距離を示す、
請求項19記載の所在地推定方法。
【請求項23】
前記読取機は、複数のアンテナを有する受信ビーム形成アレイを備え、
前記受信ビーム形成アレイは、前記マーカータグ変調後方散乱信号と前記資産タグ変調後方散乱信号を受信するように構成され、
前記第1パラメータと前記第2パラメータは、受信済みアレイ応答である、
請求項19記載の所在地推定方法。
【請求項24】
前記資産タグ所在地を推定するステップは、多重波伝送環境モデルを用いる、
請求項23記載の所在地推定方法。
【請求項25】
資産タグの所在地である資産タグ所在地を推定する所在地推定システムであって、前記所在地推定システムは、
1または複数のマーカータグそれぞれから後方散乱信号としてのマーカータグ後方散乱信号を受信する手段と;
資産タグから後方散乱信号としての資産タグ後方散乱信号を受信する手段と;
前記マーカータグ後方散乱信号のパラメータであるマーカータグパラメータを推定する手段と;
前記資産タグ後方散乱信号のパラメータである資産タグパラメータを推定する手段と;
前記マーカータグパラメータと前記資産タグパラメータに基づき、前記資産タグの所在地推定を決定する手段と
を備えることを特徴とする、所在地推定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518315(P2011−518315A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547599(P2010−547599)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/003438
【国際公開番号】WO2009/108157
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(396026846)チエツクポイント システムズ, インコーポレーテツド (47)
【Fターム(参考)】