説明

変速機のブリーザ構造

【課題】変速機が設置されるエンジンルーム内のレイアウト自由度を確保できると共に、ブリーザパイプからケース内のオイルが噴出することを防止できる変速機のブリーザ構造を提供する。
【解決手段】変速機1のケース5に取り付けたチェンジカバー2を貫通するブリーザパイプ71と、チェンジカバー2の内部とケース5の内部とを連通する連通部76と、チェンジカバー2内からケース5の外部に通じる排出口78と、チェンジカバー2の内部を、リバースロック機構42及び連通部76が配置されたリバースロック室75と、ブリーザパイプ71の吸気端71a及び排出口78が配置されたブリーザ室77との二室に区画する中間壁73とを備え、リバースロック室75とブリーザ室77は、中間壁73以外の部分のみで連通している。これにより、ケース5内のオイルが直接的にブリーザパイプ70に到達し難い構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機のケース内の通気を行うブリーザ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された変速機(トランスミッション)は、ケース内に回転軸や歯車など変速機構の構成部品が収容されている。このような変速機には、ケース内の温度や圧力を調整するためのブリーザ構造が設けられている。このブリーザ構造は、例えば特許文献1に示すように、ケースに貫通孔を設けたり、外部と連通するパイプ(ブリーザパイプ)を設置したりすることで、ケース内の通気を行うように構成されている。
【0003】
変速機のケース内には、変速機構と共にオイル(潤滑油)が収容されている。そして、自然循環式の潤滑構造を有する変速機では、このオイルがギヤなどの回転体によって掻き上げられてケース内の各部に供給される。このため、特に、車両の高速走行時には掻き上げられるオイルの量が増える。この場合、上記のブリーザ構造では、貫通孔やパイプを設置する位置や向きなどの条件によっては、貫通孔やパイプから高温・高圧のオイルがケースの外部に噴出するおそれがある。そのため、ブリーザ構造の貫通孔やパイプは、ケース内で掻き上げられたオイルを噴出させることのない位置に設置することが必要である。
【0004】
従来の手動変速機(マニュアルトランスミッション)では、上記のようなブリーザ構造として、入力軸及び出力軸などの回転軸や、各変速段を設定するためのギヤ列などが収容されたトランスミッションケースにブリーザパイプを直接設置する構造が用いられている。この場合、トランスミッションケース内で攪拌されたオイルがブリーザパイプの吸気端から吸入され難くするために、ブリーザパイプをトランスミッションケースの上端部又はその近傍に配置し、かつ、ブリーザパイプの軸方向を上下方向(縦方向)に向けて設置している。しかしながら、ブリーザパイプをトランスミッションケースの上端部又はその近傍で縦向きに設置すると、ブリーザパイプの排気端がトランスミッションケースの上端よりも更に上方まで延伸した状態となる。そのため、エンジンルーム内の高い位置にブリーザパイプ用のスペースを確保することが必要となる。ところが、エンジンルーム内は、特に高さ方向にスペースの制限があるため、ブリーザパイプが他の部品と干渉し易い。そのため、エンジンルーム内のレイアウト自由度の低下につながるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−346181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、変速機のケースに設けるブリーザパイプの配置構成の最適化を図ることで、エンジンルーム内などのレイアウト自由度を確保できると共に、ブリーザパイプからケース内のオイルが噴出することを防止できる変速機のブリーザ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、変速機(1)のケース(5)と、ケース(5)内に設置された入力軸(10)及び出力軸(12)と、入力軸(10)と出力軸(12)との間に設けた複数の駆動ギヤ及び従動ギヤ(20〜25,26〜31)からなるギヤ列と、入力軸(10)又は出力軸(12)に対して駆動ギヤ又は従動ギヤ(20〜25,26〜31)を同期させるための同期装置(32〜34)と、ケース(5)の外部から内部に延伸して設置され、軸周りに回動することで同期装置(32〜34)に対する操作を伝達する軸部材(44)と、軸部材(44)側の係合部(45,45a)に対して係脱自在に設置された規制部材(46)と、該規制部材(46)を作動するためのアクチュエータ(47)とを含み、所定の条件下で軸部材(46)の回動範囲を規制するロック機構(42)と、ケース(5)の外側に取り付けられて、ロック機構(42)の係合部(45a)及び規制部材(46)が収容されたカバー部材(2)と、を備える変速機(1)において、カバー部材(2)を貫通して、一方の開口端(71a)がカバー部材(2)の内部に配置され、他方の開口端(71b)がカバー部材(2)及びケース(5)の外部に配置されたブリーザパイプ(71)と、カバー部材(2)の内部とケース(5)の内部とを連通する連通部(76)と、カバー部材(2)内の底部(77a)に設けたケース(5)の外部に通じる排出部(78)と、カバー部材(2)の内部において、係合部(45a)及び連通部(76)が配置された第1空間(75)と、ブリーザパイプ(71)の一方の開口端(71a)が配置された第2空間(77)との間を仕切る中間壁(73)と、を備え、第1空間(75)と第2空間(77)は、中間壁(73)以外の部分で連通していることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる変速機のブリーザ構造は、変速機のケースに取り付けた変速操作機構の構成部品等を収容してなるカバー部材にブリーザパイプを設置して、カバー部材の内部を介して変速機のケース内の通気を行う構造である。したがって、変速機のケース内とは別室のカバー部材内に開口するブリーザパイプを備えたことで、ブリーザパイプを変速機の最上端又はその近傍に配置したり、ケース内に複雑なラビリンス構造を設けたりすることなく、ケース内のオイル(潤滑油)が直接的にブリーザパイプに到達し難い構造をとることができる。
【0009】
そのうえで、本発明にかかるブリーザ構造では、カバー部材の内部に、規制部材が軸部材側に係合する係合部とケース内に連通する連通部とが配置された第1空間と、ブリーザパイプの開口端とケースの外部に連通する排出部とが配置された第2空間との間に介在する中間壁を設けて、第1空間と第2空間がこの中間壁以外の部分で連通するように構成している。これにより、ロック機構を設けた空間とブリーザ構造を設けた空間とが中間壁で隔てられているので、ブリーザパイプによってロック機構の構成部品のレイアウトが制限を受けずに済む。そのうえ、ケース内で飛散したオイルが連通部からカバー部材内に入った場合でも、中間壁で当該オイルが受け止められることで、オイルがブリーザパイプに達することを抑止できる。したがって、ブリーザパイプからオイルが噴出することを防止できる。
【0010】
また、上記のブリーザ構造では、中間壁(73)は、連通部(76)とブリーザパイプ(71)の開口端(71a)との間に立設されて上下方向に延びており、ブリーザパイプ(71)の開口端(71a)は、中間壁(73)に向かって横向き又は斜め横向きに開口しているとよい。
【0011】
この構成によれば、上下方向に延びる中間壁によって、連通部からカバー部材内に入ったオイルがブリーザパイプに吸入されることを防止できるので、ブリーザパイプを横向き又は斜め横向きに設置することが可能となる。これにより、ブリーザパイプの高さ位置を低く抑えることができるので、ブリーザパイプがカバー部材の周囲に設置した他の部品と干渉することを防止できる。また、変速機を設置したエンジンルーム内などのレイアウト自由度を高めることができる。
【0012】
また、上記のブリーザ構造では、中間壁(73)の端部(73a)と規制部材(46)との間には、第1空間(75)と第2空間(75)を連通する隙間(79)が形成されており、規制部材(46)には、突起状のリブ(46a)が設けられており、規制部材(46)が係合部(45a)に対して非係合のときは、リブ(46a)が隙間(79)から退避した位置にある一方、規制部材(46)が係合部(45a)に係合したときは、リブ(46a)が隙間(79)に配置されるように構成してよい。
【0013】
この構成によれば、中間壁の端部と規制部材との間に隙間を設けたことで、当該隙間を介してケース内の空気をブリーザパイプが配置された第2空間側へ逃がすことができる。そのうえで、規制部材が係合部に係合したときに、規制部材のリブが中間壁の端部と規制部材との隙間に配置されるように構成したことで、当該隙間を通ってケース内から入ったオイルが第2空間側へ流れることを抑止できる。したがって、ブリーザパイプにオイルが吸入されることをより効果的に防止できる。
【0014】
また、上記のブリーザ構造では、連通部(76)は、第1空間(75)内における軸部材(44)の近傍に設けられており、排出部(78)は、第2空間(77)内の底部(77a)におけるブリーザパイプ(71)の開口端(71a)の近傍に設けられているとよい。
【0015】
この構成によれば、ケース内に連通する連通部が軸部材の近傍に設けられていることで、連通部からカバー部材内に入ったケース内のオイルで軸部材や規制部材の潤滑を行うことができる。また、ブリーザパイプの開口端の近傍に排出部を設けたことで、万一、連通部からカバー部材内に入ったオイルがカバー部材内の底部を流れてブリーザパイプの開口端の近傍に達した場合でも、当該オイルを排出部から外部に排出できるので、ブリーザパイプにオイルが吸入されることを防止できる。
【0016】
また、上記のブリーザ構造では、カバー部材(2)は、ケース(5)における変速機(1)の最上端よりも下側の位置に取り付けられているとよい。この構成によれば、カバー部材に設けたブリーザパイプを変速機の最上端よりも低い位置に収めることができるので、当該ブリーザパイプによってエンジンルーム内の高い位置に設置する他の部品の配置が制限されずに済む。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる変速機のブリーザ構造によれば、変速機のケースに対するブリーザパイプの配置構成の最適化を図ることで、エンジンルーム内などのレイアウト自由度を確保できると共に、ブリーザパイプからケース内のオイルが噴出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態にかかるブリーザ構造を備えた変速機(マニュアルトランスミッション)の縦断面図である。
【図2】変速機に設けた変速操作機構を示す図である。
【図3】トランスミッションケースの外観構成を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態にかかるブリーザ構造を示す図で、チェンジカバーの内部を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態にかかるブリーザ構造を示す図で、チェンジカバーの内部を示す平面図(一部断面図)である。
【図6】リバースロック機構の動作を説明するための図で、(a)は、ロックアームがセレクトカムに対して非係合の状態を示す図、(b)は、ロックアームがセレクトカムに係合した状態を示す図である。
【図7】第2実施形態にかかるブリーザ構造を示す図で、チェンジカバーの内部を示す平面図(一部断面図)である。
【図8】ロックアームに設けたリブの動作を説明するための図で、(a)は、ロックアームがセレクトカムに対して非係合の状態を示す図、(b)は、ロックアームがセレクトカムに係合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明にかかるブリーザ構造を適用可能なマニュアルトランスミッション(手動変速機)の主断面図である。同図に示すマニュアルトランスミッション(以下、「変速機」と記す)1は、車両に搭載される変速機であって、エンジン(図示せず)からの駆動力を変速して駆動輪(図示せず)に伝達するように構成されている。この変速機1は、トランスミッションケース5内で回転自在に支持された入力軸(メインシャフト)10及び出力軸(カウンターシャフト)12と、トランスミッションケース5に固定されたリバース軸(アイドル軸)14とを備えている。入力軸10と出力軸12及びリバース軸14は、所定間隔で互いに平行に配置されている。また、クランクシャフト11と入力軸10との間には、クラッチケース7に収容されたクラッチ機構8が設けられている。クラッチ機構8は、公知の機構であるため、ここでは、その詳細な説明は割愛する。なお、以下の説明で軸方向というときは、入力軸10及び出力軸12の軸方向を示すものとする。
【0020】
トランスミッションケース5内の入力軸10には、1速ドライブギヤ20及び2速ドライブギヤ21が固設されていると共に、3速ドライブギヤ22、4速ドライブギヤ23、5速ドライブギヤ24及び6速ドライブギヤ25が相対回転自在に支持されている。一方、出力軸12には、1速ドライブギヤ20及び2速ドライブギヤ21にそれぞれ噛合する1速ドリブンギヤ26及び2速ドリブンギヤ27が相対回転自在に支持されていると共に、3速ドライブギヤ22、4速ドライブギヤ23、5速ドライブギヤ24及び6速ドライブギヤ25にそれぞれ噛合する3速ドリブンギヤ28、4速ドリブンギヤ29、5速ドリブンギヤ30及び6速ドリブンギヤ31が固設されている。
【0021】
また、各変速ギヤ段の切り替えを行うための1−2速同期装置32,3−4速同期装置33,5−6速同期装置34が設けられている。1−2速同期装置32は、出力軸12上の1速ドリブンギヤ26と2速ドリブンギヤ27との間に設けられている。3−4速同期装置33は、入力軸10上の3速ドライブギヤ22と4速ドライブギヤ23との間に設けられている。5−6速同期装置34は、入力軸10上の5速ドライブギヤ24と6速ドライブギヤ25との間に設けられている。
【0022】
また、後進段設定機構は、出力軸12上に固設された後進用出力歯車17と、リバース軸14上に設置されて1速ドライブギヤ20に常時噛合する第1アイドル歯車18と、リバース軸14上に設置されて後進用出力歯車17に常時噛合する第2アイドル歯車19と、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19との間に配設された後進段確立用の同期装置15とを備えて構成されている。
【0023】
入力軸10の動力は、各同期装置(シンクロメッシュ機構)32,33,34の操作によって、選択された変速ギヤ段を介して出力軸12に伝達される。そして、ファイナルドライブギヤ35及びファイナルドリブンギヤ36で構成される終減速機構で減速された後、デファレンシャル装置37に伝達される。これにより、左右の車軸に繋がるドライブシャフト38,39が前進方向に回転する。
【0024】
また、後進段の設定時には、後進段確立用の同期装置15でリバース軸14上の第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19とが同期結合される。これにより、入力軸10の動力が1速ドライブギヤ20及び第1アイドル歯車18を介してリバース軸14に伝達され、さらに、第2アイドル歯車19及び後進用出力歯車17を介して出力軸12に伝達される。これにより、出力軸12が前進段の設定時とは逆向きに回転する。したがって、出力軸12からデファレンシャル装置37に伝達された駆動力によって、ドライブシャフト38,39が後進方向に回転する。
【0025】
次に、変速機1が備える変速操作機構について説明する。図2は、トランスミッションケース5の内外に設けた変速操作機構40を説明するための図で、トランスミッションケース5の一部を切断してその内外を軸方向から見た一部断面図である。図3は、トランスミッションケース5の外観構成を示す斜視図である。図4は、チェンジカバー(カバー部材)2の内部を示す斜視図であり、図5は、チェンジカバー2の内部を示す平面図(一部断面図)である。なお、図4は、チェンジカバー2から後述する蓋体4及びソレノイド47を取り外した状態を図3の矢印X方向から見た図であり、図5は、チェンジカバー2の上端側の一部を切り取った状態の平面図である。
【0026】
変速操作機構40は、図2などに示すように、トランスミッションケース5内に設置したシフトセレクトシャフト41と、シフトセレクトシャフト41を軸周りの回転方向へ操作するためのセレクト機構40aと、軸方向へ操作するためのシフト機構40bとを備えている。セレクト機構40aは、セレクトレバー43で操作されるセレクトロッド44と、セレクトロッド44の回動をシフトセレクトシャフト41の回動に変換して伝達する動力伝達部48とを備えて構成されている。また、セレクト機構40aは、リバース位置への誤変速操作を防止するためのリバースロック機構42(図5参照)を兼ねており、リバースロック機構42は、チェンジカバー2の内部でセレクトロッド44に固着されたセレクトカム45と、セレクトカム45に係合するロックアーム(規制部材)46と、ロックアーム46を作動するアクチュエータ(ソレノイド)47などを備えて構成されている。一方、シフト機構40bは、図2に示すように、シフトレバー51で操作されるシフトロッド52と、シフトロッド52の回動をシフトセレクトシャフト41の軸方向への移動に変換して伝達する動力伝達部53とで構成されている。
【0027】
シフトセレクトシャフト41は、トランスミッションケース5内に回転可能且つ軸方向移動可能に取り付けられている。シフトセレクトシャフト41には、シフト部材54が回転可能且つ軸方向に移動可能に取り付けられており、インターロック部材55が回転可能且つ軸方向に移動不能に取り付けられている。シフト部材54は、インターロック部材55と共にシフトセレクトシャフト41の回りを回転するようになっている。
【0028】
1−2速シフトフォークシャフト58には、1−2速シフトフォーク56及び1−2速シフトピース57が固定されている。同様に、3−4速シフトフォークシャフト59には、3−4速シフトフォーク60及び3−4速シフトピース61が固定されており、5−6速シフトフォークシャフト62には、5−6速シフトフォーク63及び5−6速シフトピース64が固定されている。5−6速シフトフォークシャフト62には、リバースシフトピース65が軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。
【0029】
図2に示すように、1−2速シフトピース57、3−4速シフトピース61、5−6速シフトピース64及びリバースシフトピース65は、シフトセレクトシャフト41に回転可能に取り付けられたシフト部材54の回りに整列している。
【0030】
リバースシフトレバー66は、その一端がリバースシフトピース65に係合し、他端がリバースシフトフォーク67に係合している。リバースシフトフォーク67は、リバースシフトフォークシャフト68に固定されている。リバースシフトフォークシャフト68は、軸方向に移動可能にトランスミッションケース5に取り付けられている。
【0031】
セレクトレバー43の先端部は、変速ケーブルを介して変速レバー(いずれも図示せず)に接続されており、これにより、セレクトレバー43及びセレクトロッド44は、変速レバーのセレクト操作に応じて複数の位置の間で回動する。また、シフトレバー51の先端部は、他の変速ケーブルを介して変速レバーに接続されており、これにより、シフトレバー51及びシフトロッド52は、変速レバーのシフト操作に応じて複数の位置の間で回動する。
【0032】
したがって、変速レバーをセレクト方向に移動すると、セレクトロッド44が回動することで、インターロック部材55がシフトセレクトシャフト41の回りを回転する。これに応じて、シフト部材54もインターロック部材55と連れ回りをする。シフト部材54が回転すると、シフト部材54が選択されたいずれかのシフトピース57,61,64又は65に係合する。
【0033】
その状態で、変速レバーをシフト方向に移動すると、シフトロッド52が回動することで、シフトセレクトシャフト41及びシフト部材54がシフトセレクトシャフト41の軸方向に移動する。これにより、選択されているシフトピース57,61,64又は65のいずれかが軸方向に移動する。そうすると、対応するいずれかのシフトフォークシャフト58,59,62,68及びシフトフォーク56,60,63,67が同方向に移動して、シフトフォーク56,60,63,67に係合している同期装置32,33,34,15のスリーブ(図示せず)を移動させる。これにより、所定の変速段が設定される。
【0034】
次に、チェンジカバー2内に設けたリバースロック機構42について説明する。図4に示すように、チェンジカバー2内には、セレクトロッド44に固着したセレクトカム45と、セレクトカム45に近接して設けられたロックアーム46とが設置されている。そして、チェンジカバー2の側面には、開口部2aが形成されており、該開口部2aには、略平板状の蓋体4が取り付けられている。蓋体4は、ボルト4aの締結で開口部2aに被せて固定されている。ロックアーム46は、蓋体4の内面4bの上下に突出形成された一対のリブ(図示せず)の間に設置した上下方向に延びる回転軸49の周りで回動自在に設置されている。これにより、ロックアーム46は、蓋体4の内面4bに沿う位置からチェンジカバー2の内部に向かって横方向に回動するようになっている。
【0035】
ロックアーム46は、回転軸49と同心上に設置したねじりコイルばね(付勢手段)50によって回転軸49の周りで蓋体4側に向けて(図5の反時計回りに)付勢されている。蓋体4には、ロックアーム46を作動するためのソレノイド(アクチュエータ)47が取り付けられている。ソレノイド47は、蓋体4の外面に取り付けた電磁コイルを内蔵してなる本体部47aと、蓋体4の外面側から内面側に貫通する軸状のプランジャ47bとを有している。プランジャ47bは、本体部47aに対して進退自在になっている。そして、ねじりコイルばね50の弾性力で付勢されているロックアーム46の蓋体4側の側面が、プランジャ47bの先端に当接している。
【0036】
セレクトカム45とロックアーム46は、互いが同一平面内(同一の高さ位置)で回動するように配置されている。そして、セレクトカム45の側面には、ロックアーム46に係合する係合部45aが形成されている。係合部45aは、セレクトロッド44の軸方向から見た断面形状がロックアーム46の先端部と一致する段状に形成されている。これにより、ロックアーム46が蓋体4から離間する方へ回動した際に、ロックアーム46の先端がセレクトカム45の係合部45aに係合することで、セレクトカム45及びセレクトロッド44がその位置から一方(図5の反時計周り)に回動することが規制される。
【0037】
図6は、リバースロック機構42の動作を説明するための図で、(a)は、ロックアーム46がセレクトカム45に対して非係合の状態を示す図、(b)は、ロックアーム46がセレクトカム45に係合した状態を示す図である。ソレノイド47は、ECU(図示せず)に電気的に接続されており、ECUの指令でソレノイド47がOFF状態(非励磁状態)のときには、ねじりコイルばね50の付勢力によって、プランジャ47bが本体部47a側へ押し戻されている。これにより、ロックアーム46は、図6(a)に示す許容位置(非係合位置)に保持される。この状態では、セレクトロッド44及びセレクトカム45は、ロックアーム46に邪魔されることなく、前述した複数の位置に回動可能である。すなわちリバースロックを解除した状態に保持される。
【0038】
その一方で、ソレノイド47がECUの駆動信号によりONされたとき(励磁されたとき)、プランジャ47bがロックアーム46側に突出する。これにより、プランジャ47bの先端で押されたロックアーム46がチェンジカバー2の内側に向かって回動し、図6(b)に示す禁止位置(係合位置)に保持される。この状態で、ロックアーム46がセレクトカム45の係合部45aに係合する。これにより、セレクトロッド44のリバース位置への回動が阻止される。したがって、リバース位置への誤変速操作が防止された状態、すなわちリバースロック状態となる。
【0039】
ECUには、車速センサ(図示せず)が接続されており、この車速センサは、車両の速度(以下「車速」という)を検出し、その検出信号をECUに出力する。ECUは、車速センサの検出信号に基づき、ソレノイド47のON/OFF状態を制御する。具体的には、車速が上側の所定速度(例えば20km/h)以上のときには、ソレノイド47をONすることにより、リバース位置へのセレクト操作を禁止する。一方、車速が下側の所定速度(例えば15km/h)以下のとき、またはイグニッションキーがOFF状態のときには、ソレノイド47をOFF状態にすることにより、リバース位置へのセレクト操作を許容する。以上のように、ECUにより、車速に応じて、リバース位置への誤変速操作の防止およびその解除が制御される。
【0040】
次に、本実施形態の変速機1が備えるブリーザ構造について詳細に説明する。本実施形態の変速機1は、上記のように、変速操作機構40及びリバースロック機構42の構成部品の一部を収容してなるチェンジカバー(カバー部材)2を備えている。チェンジカバー2は、図3に示すように、トランスミッションケース5の外側における変速機1の最上端よりも下側の位置に取り付けられており、その内部には、既述のように、シフトロッド52及びセレクトロッド44の上端近傍の一部や、リバースロック機構42の構成部品などが収容されている。
【0041】
そして、図4及び図5に示すように、チェンジカバー2には、ブリーザパイプ71を取り付けてなるブリーザ構造70が設置されている。ブリーザパイプ71は、チェンジカバー2の側壁2eを横向きに貫通して設置されており、一方の開口端である吸気端71aがチェンジカバー2の内部に配置され、他方の開口端である排気端71bがチェンジカバー2及びトランスミッションケース5の外部に配置されている。ブリーザパイプ71の吸気端71aは、チェンジカバー2の内部に立設された中間壁73を挟んで、セレクトロッド44及びセレクトカム45の側方に配置されている。ブリーザパイプ71の排気端71bには、合成樹脂製のキャップ72が被せられている。キャップ72に設けた排気口72bは、ブリーザパイプ71の軸方向に対する横方向を向いて開口している。また、ブリーザパイプ71は、その軸方向が吸気端71aから排気端71bに向かって若干斜め上方へ傾斜した状態で横向きに配置されている。したがって、ブリーザパイプ71の吸気端71aは、中間壁73に向かって斜め横向きに開口している。
【0042】
チェンジカバー2の内部は、セレクトロッド44及びセレクトカム45(係合部45a)が配置されたリバースロック室(第1空間)75と、ブリーザパイプ71の吸気端71aが配置されたブリーザ室(第2空間)77との二室に区画されており、これらリバースロック室75とブリーザ室77との間に中間壁73が介在している。リバースロック室75の底部(下端部)75aには、トランスミッションケース5内に連通する連通部76が設けられている。連通部76は、リバースロック室75の底部75aの一部を抜いてトランスミッションケース5内の上部に連通させた構造である。この連通部76は、セレクトロッド44の周囲の底部75aに設けられている。なお、図5では、連通部76を明確に示すために、網掛けを付して図示している。また、ブリーザ室77の底部77aには、トランスミッションケース5の外部に連通する排出口(排出部)78が形成されている。排出口78は、ブリーザ室77の底部77aにおいて、ブリーザパイプ71の吸気端71aの近傍に配置された小径の貫通孔からなる。
【0043】
図5に示すように、中間壁73は、チェンジカバー2の側壁(ロックアーム46と反対側の側壁)2dからロックアーム46側に向かって延伸する板状で、セレクトロッド44及び連通部76とブリーザパイプ71の吸気端71aとの間に立設された上下方向に延びる縦壁である。中間壁73の先端部73aは、ロックアーム46の側部に達している。ロックアーム46は、中間壁73の先端部73aに対向する位置で、リバースロック室75とブリーザ室77に跨って配置されている。そして、中間壁73の先端部73aとロックアーム46との間には、リバースロック室75とブリーザ室77を連通する隙間79が形成されている。リバースロック室75とブリーザ室77は、この隙間79を介して連通している。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の変速機1では、トランスミッションケース5に取り付けたチェンジカバー2にブリーザ構造70を設けており、このブリーザ構造70は、チェンジカバー2の側壁2eを貫通するブリーザパイプ71と、チェンジカバー2の内部とトランスミッションケース5の内部とを連通する連通部76と、チェンジカバー2内の底部77aに設けたトランスミッションケース5の外部に開口する排出口78と、チェンジカバー2の内部を上記のリバースロック室75とブリーザ室77の二室に区画してなる中間壁73とを備えており、リバースロック室75とブリーザ室77は、当該中間壁73以外の部分のみで連通している。
【0045】
このように、本実施形態のブリーザ構造70は、チェンジカバー2にブリーザパイプ71を取り付けて、チェンジカバー2の内部を介してトランスミッションケース5内の通気を行う構造である。このように、トランスミッションケース5内とは別室のチェンジカバー2内に開口するブリーザパイプ71を備えたことで、ブリーザパイプ71を変速機1の最上端又はその近傍に配置したり、トランスミッションケース5内に複雑なラビリンス構造を設けたりすることなく、トランスミッションケース5内のオイル(潤滑油)が直接的にブリーザパイプ71に達しない構造をとることができる。
【0046】
そのうえで、チェンジカバー2の内部に、リバースロック機構42の係合部45a及びトランスミッションケース5内に連通する連通部76が配置されたリバースロック室75と、ブリーザパイプ71の吸気端71a及びトランスミッションケース5の外部に連通する排出口78が配置されたブリーザ室77との間に介在する中間壁73を設け、リバースロック室75とブリーザ室77がこの中間壁73以外の部分のみで連通するように構成している。これにより、チェンジカバー2内でリバースロック機構42を設けた空間がブリーザ構造70を設けた空間と隔てられているので、ブリーザ構造70によってリバースロック機構42の構成部品のレイアウトが制限を受けずに済む。そのうえ、トランスミッションケース5内でギヤの掻き上げによって飛散したオイルが連通部76からチェンジカバー2内に入った場合でも、当該オイルが中間壁73で受け止められることで、ブリーザパイプ71の吸気端71aにオイルが達することを抑止できる。したがって、ブリーザパイプ71からオイルが噴出することを防止できる。
【0047】
また、本実施形態のブリーザ構造70では、上下方向に延びる中間壁73によって、連通部76からチェンジカバー2内に入ったオイルがブリーザパイプ71に吸入されることを防止できる。したがって、ブリーザパイプ71を横向きあるいは斜め横向きに設置可能である。これにより、ブリーザパイプ71がチェンジカバー2の周囲に設置した他の部品と干渉することを防止できる。また、ブリーザパイプ71の高さ位置を低く抑えることができるので、変速機1を設置したエンジンルーム内のレイアウト自由度を高めることができる。
【0048】
また、トランスミッションケース5内に連通する連通部76がセレクトロッド44の近傍に設けられていることで、連通部76からチェンジカバー2内に入ったオイルでセレクトロッド44やセレクトカム45などの潤滑を効果的に行うことができる。また、ブリーザパイプ71の吸気端71aの近傍に排出口78を設けたことで、万一、連通部76からチェンジカバー2内に入ったオイルがブリーザ室77の底部77aを流れてブリーザパイプ71の吸気端71aの近傍に達した場合でも、当該オイルを排出口78から外部に排出できるので、ブリーザパイプ71にオイルが吸入されることを防止できる。
【0049】
また、チェンジカバー2は、トランスミッションケース5における変速機1の最上端よりも下側の位置に取り付けられているので、チェンジカバー2に設けたブリーザパイプ71が変速機1の最上端よりも下側に位置するようになる。これにより、チェンジカバー2に取り付けたブリーザパイプ71によってエンジンルーム内の高い位置のレイアウトが制限を受けずに済むようになる。
【0050】
また、本実施形態にかかる変速機1のブリーザ構造70を従来の変速機のブリーザ構造と比較すると、下記の点で優れている。すなわち、トランスミッションケース自体にブリーザパイプを取り付ける従来構造に対しては、トランスミッションケース5内とは別室であるチェンジカバー2内にブリーザパイプ71を設置したことで、変速機1内で攪拌された潤滑油を遮断することができる。したがって、ブリーザパイプをオイルの攪拌が来ないような高い場所に配置したり、トランスミッションケース5内にラビリンス構造を設けたりする必要が無い。そのため、変速機1の構成の簡素化を図ることができると共に、エンジンルーム内のレイアウトに有利となる。
【0051】
また、チェンジカバー2にブリーザパイプ71を設ける構造であっても、上記のような中間壁73を設けずに、変速操作機構40の構成部品の近傍にブリーザパイプ71を設置することも考えられる。しかしながら、そのような構造では、ブリーザパイプがシフトレバーなど変速操作機構の構成部品と干渉することを回避することで、チェンジ構造のレイアウトに制限が生じるおそれがある。これに対して、本実施形態のブリーザ構造70では、チェンジカバー2内に中間壁73を設けて、リバースロック室75とブリーザ室77とを区画していることで、ブリーザパイプ71が変速操作機構40の構成部品に干渉しないレイアウトを取ることが容易となる。したがって、変速操作機構40の構成部品のレイアウト自由度を低下させることなく、ブリーザ構造70を設けることができる。また、中間壁73を設けたことで、変速操作機構40やリバースロック機構42の潤滑を確保しつつ、チェンジカバー2にブリーザ構造70を設置することを可能としている。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。図7は、本発明の第2実施形態にかかるブリーザ構造70−2を示す図で、チェンジカバー2の内部を示す平面図(一部断面図)である。
【0053】
同図に示すように、本実施形態のブリーザ構造70−2では、ロックアーム46の中間壁73側の側面に、突起状のリブ46aが形成されている。このリブ46aは、ロックアーム46の側面から回転軸49に対して径方向の外側に向かって横向きに突出している。
【0054】
図8は、ロックアーム46に設けたリブ46aの作用を説明するための図で、(a)は、ロックアーム46がセレクトカム45に対して非係合の状態を示す図、(b)は、ロックアーム46がセレクトカム45に係合した状態を示す図である。図8(a)に示すように、ロックアーム46がセレクトカム45に対して非係合の状態では、リブ46aが中間壁73とロックアーム46との隙間79からリバースロック室75側へ退避した位置にある。したがってこの状態では、隙間79が開かれている。一方、図8(b)に示すように、ロックアーム46がセレクトカム45に係合した状態では、リブ46aが中間壁73の先端部73aに対向する位置に配置され、隙間79がリブ46aで略閉じられた状態となる。
【0055】
この構成によれば、ロックアーム46がセレクトカム45に係合しているリバースロック状態において、ロックアーム46のリブ46aが中間壁73の先端部73aとロックアーム46との隙間79に配置されることで、リバースロック状態のときに、トランスミッションケース5内からリバースロック室75内に入ったオイルが隙間79を通ってブリーザ室77側に流出することを抑止できる。したがって、ブリーザパイプ71にオイルが吸入されることをより効果的に防止できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係るロック機構を設けた軸部材として、変速レバーのセレクト操作に伴い回動するセレクトロッド44を示したが、本発明にかかるロック機構を設けた軸部材は、上記のセレクトロッド44には限らず、それ以外にも、変速レバーのシフト操作に伴い回動するシフトロッドでもよいし、その他の種類の軸部材とすることも可能である。
【0057】
また、上記の第2実施形態では、ロックアーム46に設けた突起状のリブ46aが中間壁73の先端部73aに対して非接触である(すなわち、リブ46aが隙間79に配置されたときにリブ46aが中間壁73の先端部73aに接触しない)場合を示したが、これ以外にも、リブ46aが隙間79に配置されたときに中間壁73の先端部73aに接触するように構成してもよい。その場合は、リブ46aによって隙間79が完全に閉じられた状態となる。
【符号の説明】
【0058】
1 変速機
2 チェンジカバー(カバー部材)
4 蓋体
5 トランスミッションケース
7 クラッチケース
10 入力軸
12 出力軸
14 リバース軸
15 後進段確立用の同期装置
32 1−2速同期装置
33 3−4速同期装置
34 5−6速同期装置
37 デファレンシャル装置
38,39 ドライブシャフト
40 変速操作機構
40a セレクト機構
40b シフト機構
41 シフトセレクトシャフト
42 リバースロック機構(ロック機構)
43 セレクトレバー
44 セレクトロッド(軸部材)
45 セレクトカム
45a 係合部
46 ロックアーム(規制部材)
46a リブ
47 ソレノイド(アクチュエータ)
47a 本体部
47b プランジャ
48 動力伝達部
49 回転軸
51 シフトレバー
52 シフトロッド
53 動力伝達部
54 シフト部材
55 インターロック部材
56 1−2速シフトフォーク
57 1−2速シフトピース
58 1−2速シフトフォークシャフト
59 3−4速シフトフォークシャフト
60 3−4速シフトフォーク
61 3−4速シフトピース
62 5−6速シフトフォークシャフト
63 5−6速シフトフォーク
64 5−6速シフトピース
65 リバースシフトピース
66 リバースシフトレバー
67 リバースシフトフォーク
68 リバースシフトフォークシャフト
70 ブリーザ構造
71 ブリーザパイプ
71a 吸気端(一方の開口端)
71b 排気端(他方の開口端)
72 キャップ
72b 排気口
73 中間壁
73a 先端部
75 リバースロック室(第1空間)
76 連通部
77 ブリーザ室(第2空間)
77a 底部
78 排出口(排出部)
79 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機のケースと、
前記ケース内に設置された入力軸及び出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けた複数の駆動ギヤ及び従動ギヤからなるギヤ列と、
前記入力軸又は前記出力軸に対して前記駆動ギヤ又は前記従動ギヤを同期させるための同期装置と、
前記ケースの外部から内部に延伸して設置され、軸周りに回動することで前記同期装置に対する操作を伝達する軸部材と、
前記軸部材側の係合部に対して係脱自在に設置された規制部材と、該規制部材を作動するためのアクチュエータとを含み、所定の条件下で前記軸部材の回動範囲を規制するロック機構と、
前記ケースの外側に取り付けられて、前記ロック機構の前記係合部及び前記規制部材が収容されたカバー部材と、を備える変速機において、
前記カバー部材を貫通して、一方の開口端が前記カバー部材の内部に配置され、他方の開口端が前記カバー部材及び前記ケースの外部に配置されたブリーザパイプと、
前記カバー部材の内部と前記ケースの内部とを連通する連通部と、
前記カバー部材内の底部に設けた前記ケースの外部に通じる排出部と、
前記カバー部材の内部において、前記係合部及び前記連通部が配置された第1空間と、前記ブリーザパイプの前記一方の開口端が配置された第2空間との間を仕切る中間壁と、を備え、
前記第1空間と前記第2空間は、前記中間壁以外の部分で連通している
ことを特徴とする変速機のブリーザ構造。
【請求項2】
前記中間壁は、前記連通部と前記ブリーザパイプの前記開口端との間に立設されて上下方向に延びており、
前記ブリーザパイプの前記開口端は、前記中間壁に向かって横向き又は斜め横向きに開口している
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機のブリーザ構造。
【請求項3】
前記中間壁の端部と前記規制部材との間には、前記第1空間と前記第2空間を連通する隙間が形成されており、
前記規制部材には、突起状のリブが設けられており、
前記規制部材が前記係合部に対して非係合のときは、前記リブが前記隙間から退避した位置にある一方、前記規制部材が前記係合部に係合したときは、前記リブが前記隙間に配置されるように構成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機のブリーザ構造。
【請求項4】
前記連通部は、前記第1空間内における前記軸部材の近傍に設けられており、
前記排出部は、前記第2空間内の底部における前記ブリーザパイプの前記開口端の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機のブリーザ構造。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記ケースにおける前記変速機の最上端よりも下側の位置に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変速機のブリーザ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108596(P2013−108596A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255599(P2011−255599)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】