外周を固定したボールト付防振材と防振工法
【課題】本発明は、床の衝撃音や生活音が問題視されている、それらを解消し耐荷重性や歩行感を良好に保つ、外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供。
【解決手段】60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に調整が可能な防振床が構築できる。
【解決手段】60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に調整が可能な防振床が構築できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周を固定したボールト付防振材と防振工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、木造住宅の直上階の生活音の遮断は、階下の天井を支える吊木に防振吊木を用いた防音対策や遮音シートなどが用いられた防音対策が取られている。また、集合住宅等においても床下配管ができ、施工性がよいことから急速に二重床が普及している。この二重床は、例えば、床基材が板状材料や根太材などの下面の複数個所から支持脚を突設して構成され、この支持脚をコンクリートスラブ等の床基盤に載置することで複数隣合うようにして敷設されることで構成してある。そして、このような構造の二重床においては、支持脚の下端に防振ゴムなどを設けて床衝撃に対する防音性を確保するようにしている。
【0003】
しかしながら、上記、木造住宅における防音対策も集合住宅等における防振ゴム等の遮音対策も十分なものではない、しかも、作業性も悪くコンクリートスラブ等の床基盤への完全な固定が困難であった。
【0004】
他方、板状材料や根太材あるいは支持脚などからなる床基材とコンクリートスラブのような床基盤との間に介在される弾性体の内部に筒状の密閉空間を形成した床防振装置(特許公開2000−160819)があるが、これらにしてもコンクリートスラブ等の床基盤への完全な固定は困難である。
【0005】
なお、本願発明に関連する公知技術として、床防振装置及び床防振装置を備えた防音二重床(特許文献1参照)を挙げることができる。
【0006】
【特許文献1】特許公開2000−160819
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術に係る直上階の生活音の遮断や防音対策には次の問題があった。
木造住宅などの梁と床組み間の防振接続は困難である。
木造住宅などの梁と床組み間の防振装置にはコストが掛かる。
直上階の生活音の遮断や防音対策にはコストが掛かる。
束石ブロックと束の完全な防振接続は困難である。
【0008】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、床衝撃音や直上階の生活音を安価且つ容易に解消し、書棚やピアノ等の重量物に対する耐荷重性や歩行感が良好に保てる外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の、外周を固定したボールト付防振材と防振工法であって、梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0010】
請求項2記載の、前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定した、複数のボールト付防振材をもって成る床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする請求項1記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0011】
請求項3記載の、前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の微調整を可能にしたことを特徴とする請求項1、2記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0012】
請求項4記載の、前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の調整を可能にしたことを特徴とする請求項1〜3記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0013】
請求項5記載の、溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることを特徴とする請求項1〜4記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特筆すべき最大の効果は、今日、産業廃棄物として排出され続けられている自動車社会の負の遺産である廃タイヤが、本発明のボールト付防振材に有効利用できることにあり、今後も造り続けられる耐用年数の長い長期優良住宅に有効利用できる効果は大きい。他方、産業廃棄物の廃タイヤを有効利用することで地球温暖化防止に多大に貢献する効果もある。
【0015】
請求項1に係る発明によれば、梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定することで、ボールトに掛かる荷重は全て防振材が受け止めることになり、安価且つ容易に床の防振・防音効果を高める効果がある。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、複数のボールト付防振材に荷重を分散させることで、床の防振・防音効果をより高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いることで、固定基材と床受け材間の微調整を可能にする効果がある。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いることで、固定基材と床受け材間の調整を可能にする効果がある。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることにより、コンクリート又はモルタルは現場で充填できる効果と束石成型型枠は容易に切断して使用することもできる。
【0020】
また、本発明のボールト付防振材の防振材は、今日の自動車社会の負の遺産である廃タイヤが耐用年数や強度等から見ても最適であることから、地球温暖化時代にふさわしい地球環境に優しい廃タイヤの再利用が可能であり、産業廃棄物の有効利用で社会貢献ができる効果もある。
【0021】
現在、日本の住宅も多世代が居住できる長期優良住宅(200年住宅)の普及促進に関する法律が施行され、耐用年数の長い長期優良住宅を普及する時代が来た。この住宅の床も床を支える防振材も防振工法も耐用年数が長いものが要求される。その耐用年数の長さを考えても廃タイヤの再利用は適材である。
【0022】
以上、本発明の効果を説明したが、説明の中で廃タイヤの再利用を強調したが、今日の人間社会において産業廃棄物の排出は止めることはできない。その産業廃棄物を如何に有効利用できるかが大切であり、本発明のボールト付防振材に廃タイヤが再利用できることは大きな成果であり大きな効果である。しかしながら廃タイヤの再利用は一つの提案に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
図1〜図13は本発明の実施の形態に係り、図1はボールト付防振材の詳細図、図2は木製梁に用いたボールト付防振材の断面図、図3は木製梁に用いたボールト付防振材の側面図、図4は微調整可能な床束防振工法の断面図、図5は微調整可能な床束防振工法の側面図、図6は調整可能な床束防振工法の断面図、図7は調整可能な床束防振工法の側面図、図8は打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の断面図、図9は打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の側面図である。
【0025】
本発明の図面について説明をすれば、図1は、ボールト付防振材1の構成を示したもので、複数の穴20を開けた100mm角程度の防振材9と防振材9にボールト18を取付けたボールト付防振材1を示した詳細図、さらに、梁材4や束石成型型枠13などを基盤に、強固に取付け固定するための固定座金16を示した詳細図で、固定座金16には中央に防振効果を高めるための60mm程度の穴20と複数の穴20を開けてビス17で固定できるように加工している。
【0026】
図2は、図1に示したボールト付防振材1を梁材4の梁上に溝凹部3を設けて、溝凹部3上にボールト付防振材1を固定座金16とビス17を用いて、強固に取付け固定をしてボールト付防振材1のボールト18に床受け材6を差込みナット19で締付け固定してある。その床受け材6の上に根太7組みをして床板8で仕上げた防振工法の断面図である。
【0027】
図3は、図2に示した防振工法の側面図である。
【0028】
図4は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については土間にモルタル15を用いてボールト付防振材束石2を据え置きコンクリート14で土間を仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げた断面図である。
【0029】
図5は、図4に示した防振工法の側面図である。
【0030】
図6は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については土間にモルタル15を用いてボールト付防振材束石2を据え置きコンクリート14で土間を仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げた断面図である。
【0031】
図7は、図6に示した防振工法の側面図である。
【0032】
図8は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については、化粧打ち込み型枠21の上に据え置きコンクリート14を打設してスラブを仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、直接に床板8で仕上げた断面図である。
【0033】
図9は、図8に示した防振工法の側面図である。
【実施例】
【0034】
実施例その1、木造住宅の2階床組みの防振工法について実施例を説明する。図2に示すように、梁材4の梁上に900mm間隔に60mmΦの溝凹部3を設けて、それら溝凹部3の上に、図1に示した、複数の穴20を開けた100mm角の防振材9にボールト18を取付けたボールト付防振材1を固定座金16とビス17を用いて、強固に取付け固定をしてボールト付防振材1のボールト18に床受け材6を差込みナット19で締付け固定して成る床受け材6の上に根太7組みして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に防振床が構築できる。
【0035】
実施例その2、地盤やコンクリートスラブなどを基盤とした床組みの防振工法について実施例を説明する。図4に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に微調整が可能な防振床が構築できる。
【0036】
実施例その3、地盤やコンクリートスラブなどを基盤とした高床組みの防振工法について実施例を説明する。図6に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に調整が可能な防振床が構築できる。
【0037】
実施例その4、鉄筋コンクリート造の打ち込み型枠を基盤とした床組みの防振工法について実施例を説明する。図8に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、打ち込み型枠の基盤上に複数のボールト付防振材束石2を据え置き、コンクリート14の打設凝固で固定したボールト付防振材束石2に、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して床板8で仕上げることにより安価且つ容易に微調整が可能な防振床が構築できる。
【0038】
上記した防振材9は自動車社会の負の遺産であり、電気自動車社会になっても排出され続けられる、産業廃棄物である廃タイヤ22を有効利用し続けられる仕組を構築する意味からも、廃タイヤ22を防振材9に有効利用することが望ましい。例えば一般の普通自動車が排出する4本の廃タイヤ22を100mm角に切断すれば、85枚〜170枚の防振材9が取れることになる。これは一棟から二棟の一般住宅が消費できる防振材9であり、廃タイヤ22を有効利用し続ける仕組が構築できる。しかも住宅の生活音を解消する防振工法に廃タイヤ22が有効利用できれば産業廃棄物処理で社会貢献ができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、防振材について廃タイヤの再利用を強調してきたが、材質や寸法を限定するものではなく使用目的に応じて変更するなど適宜選択されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
産業廃棄物処理が問題視されているなかで、自動車社会の負の遺産である廃タイヤ22は防振材9として住宅産業に利用できる。その住宅産業の市場は巨大であり、安価な防振材9の需要は多大である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ボールト付防振材の詳細図
【図2】木製梁に用いたボールト付防振材の断面図
【図3】木製梁に用いたボールト付防振材の側面図
【図4】微調整可能な床束防振工法の断面図
【図5】微調整可能な床束防振工法の側面図
【図6】調整可能な床束防振工法の断面図
【図7】調整可能な床束防振工法の側面図
【図8】打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の断面図
【図9】打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の側面図
【符号の説明】
【0042】
ボールト付防振材
ボールト付防振材束石
溝凹部
梁材
大引き材
床受け材
根太
床板
防振材
ロングナット
ターンバックル
床受け材固定金物
束石成型型枠
コンクリート
モルタル
固定座金
ビス
ボールト
ナット
穴
化粧打ち込み型枠
廃タイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周を固定したボールト付防振材と防振工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、木造住宅の直上階の生活音の遮断は、階下の天井を支える吊木に防振吊木を用いた防音対策や遮音シートなどが用いられた防音対策が取られている。また、集合住宅等においても床下配管ができ、施工性がよいことから急速に二重床が普及している。この二重床は、例えば、床基材が板状材料や根太材などの下面の複数個所から支持脚を突設して構成され、この支持脚をコンクリートスラブ等の床基盤に載置することで複数隣合うようにして敷設されることで構成してある。そして、このような構造の二重床においては、支持脚の下端に防振ゴムなどを設けて床衝撃に対する防音性を確保するようにしている。
【0003】
しかしながら、上記、木造住宅における防音対策も集合住宅等における防振ゴム等の遮音対策も十分なものではない、しかも、作業性も悪くコンクリートスラブ等の床基盤への完全な固定が困難であった。
【0004】
他方、板状材料や根太材あるいは支持脚などからなる床基材とコンクリートスラブのような床基盤との間に介在される弾性体の内部に筒状の密閉空間を形成した床防振装置(特許公開2000−160819)があるが、これらにしてもコンクリートスラブ等の床基盤への完全な固定は困難である。
【0005】
なお、本願発明に関連する公知技術として、床防振装置及び床防振装置を備えた防音二重床(特許文献1参照)を挙げることができる。
【0006】
【特許文献1】特許公開2000−160819
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術に係る直上階の生活音の遮断や防音対策には次の問題があった。
木造住宅などの梁と床組み間の防振接続は困難である。
木造住宅などの梁と床組み間の防振装置にはコストが掛かる。
直上階の生活音の遮断や防音対策にはコストが掛かる。
束石ブロックと束の完全な防振接続は困難である。
【0008】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、床衝撃音や直上階の生活音を安価且つ容易に解消し、書棚やピアノ等の重量物に対する耐荷重性や歩行感が良好に保てる外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の、外周を固定したボールト付防振材と防振工法であって、梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0010】
請求項2記載の、前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定した、複数のボールト付防振材をもって成る床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする請求項1記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0011】
請求項3記載の、前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の微調整を可能にしたことを特徴とする請求項1、2記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0012】
請求項4記載の、前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の調整を可能にしたことを特徴とする請求項1〜3記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【0013】
請求項5記載の、溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることを特徴とする請求項1〜4記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特筆すべき最大の効果は、今日、産業廃棄物として排出され続けられている自動車社会の負の遺産である廃タイヤが、本発明のボールト付防振材に有効利用できることにあり、今後も造り続けられる耐用年数の長い長期優良住宅に有効利用できる効果は大きい。他方、産業廃棄物の廃タイヤを有効利用することで地球温暖化防止に多大に貢献する効果もある。
【0015】
請求項1に係る発明によれば、梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定することで、ボールトに掛かる荷重は全て防振材が受け止めることになり、安価且つ容易に床の防振・防音効果を高める効果がある。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、複数のボールト付防振材に荷重を分散させることで、床の防振・防音効果をより高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いることで、固定基材と床受け材間の微調整を可能にする効果がある。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いることで、固定基材と床受け材間の調整を可能にする効果がある。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることにより、コンクリート又はモルタルは現場で充填できる効果と束石成型型枠は容易に切断して使用することもできる。
【0020】
また、本発明のボールト付防振材の防振材は、今日の自動車社会の負の遺産である廃タイヤが耐用年数や強度等から見ても最適であることから、地球温暖化時代にふさわしい地球環境に優しい廃タイヤの再利用が可能であり、産業廃棄物の有効利用で社会貢献ができる効果もある。
【0021】
現在、日本の住宅も多世代が居住できる長期優良住宅(200年住宅)の普及促進に関する法律が施行され、耐用年数の長い長期優良住宅を普及する時代が来た。この住宅の床も床を支える防振材も防振工法も耐用年数が長いものが要求される。その耐用年数の長さを考えても廃タイヤの再利用は適材である。
【0022】
以上、本発明の効果を説明したが、説明の中で廃タイヤの再利用を強調したが、今日の人間社会において産業廃棄物の排出は止めることはできない。その産業廃棄物を如何に有効利用できるかが大切であり、本発明のボールト付防振材に廃タイヤが再利用できることは大きな成果であり大きな効果である。しかしながら廃タイヤの再利用は一つの提案に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
図1〜図13は本発明の実施の形態に係り、図1はボールト付防振材の詳細図、図2は木製梁に用いたボールト付防振材の断面図、図3は木製梁に用いたボールト付防振材の側面図、図4は微調整可能な床束防振工法の断面図、図5は微調整可能な床束防振工法の側面図、図6は調整可能な床束防振工法の断面図、図7は調整可能な床束防振工法の側面図、図8は打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の断面図、図9は打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の側面図である。
【0025】
本発明の図面について説明をすれば、図1は、ボールト付防振材1の構成を示したもので、複数の穴20を開けた100mm角程度の防振材9と防振材9にボールト18を取付けたボールト付防振材1を示した詳細図、さらに、梁材4や束石成型型枠13などを基盤に、強固に取付け固定するための固定座金16を示した詳細図で、固定座金16には中央に防振効果を高めるための60mm程度の穴20と複数の穴20を開けてビス17で固定できるように加工している。
【0026】
図2は、図1に示したボールト付防振材1を梁材4の梁上に溝凹部3を設けて、溝凹部3上にボールト付防振材1を固定座金16とビス17を用いて、強固に取付け固定をしてボールト付防振材1のボールト18に床受け材6を差込みナット19で締付け固定してある。その床受け材6の上に根太7組みをして床板8で仕上げた防振工法の断面図である。
【0027】
図3は、図2に示した防振工法の側面図である。
【0028】
図4は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については土間にモルタル15を用いてボールト付防振材束石2を据え置きコンクリート14で土間を仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げた断面図である。
【0029】
図5は、図4に示した防振工法の側面図である。
【0030】
図6は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については土間にモルタル15を用いてボールト付防振材束石2を据え置きコンクリート14で土間を仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げた断面図である。
【0031】
図7は、図6に示した防振工法の側面図である。
【0032】
図8は、溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材としてボールト付防振材1を載せてボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2を構成し、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とした、また、ボールト付防振材束石2については、化粧打ち込み型枠21の上に据え置きコンクリート14を打設してスラブを仕上げている。床組みの構成については床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、直接に床板8で仕上げた断面図である。
【0033】
図9は、図8に示した防振工法の側面図である。
【実施例】
【0034】
実施例その1、木造住宅の2階床組みの防振工法について実施例を説明する。図2に示すように、梁材4の梁上に900mm間隔に60mmΦの溝凹部3を設けて、それら溝凹部3の上に、図1に示した、複数の穴20を開けた100mm角の防振材9にボールト18を取付けたボールト付防振材1を固定座金16とビス17を用いて、強固に取付け固定をしてボールト付防振材1のボールト18に床受け材6を差込みナット19で締付け固定して成る床受け材6の上に根太7組みして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に防振床が構築できる。
【0035】
実施例その2、地盤やコンクリートスラブなどを基盤とした床組みの防振工法について実施例を説明する。図4に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に微調整が可能な防振床が構築できる。
【0036】
実施例その3、地盤やコンクリートスラブなどを基盤とした高床組みの防振工法について実施例を説明する。図6に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、地盤やコンクリートスラブなどの基盤上にモルタル15を用いて複数のボールト付防振材束石2を据え置き固定する。そのボールト付防振材束石2にターンバックル11と床受け材固定金物12を用いて調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して、根太7をもって根太組みをして床板8で仕上げることにより安価且つ容易に調整が可能な防振床が構築できる。
【0037】
実施例その4、鉄筋コンクリート造の打ち込み型枠を基盤とした床組みの防振工法について実施例を説明する。図8に示すように、60mmΦの溝凹部3を設けた束石成型型枠13を固定基材として、ボールト付防振材1を載せボールト付防振材1の外周を束石成型型枠13に固定座金16を用いてビス17で固定し、束石成型型枠13内にモルタル15を充填凝固させてボールト付防振材束石2となし、打ち込み型枠の基盤上に複数のボールト付防振材束石2を据え置き、コンクリート14の打設凝固で固定したボールト付防振材束石2に、ロングナット10と床受け材固定金物12を用いて微調整が可能な床束とし、床受け材固定金物12に床受け材6をビス17で固定して床板8で仕上げることにより安価且つ容易に微調整が可能な防振床が構築できる。
【0038】
上記した防振材9は自動車社会の負の遺産であり、電気自動車社会になっても排出され続けられる、産業廃棄物である廃タイヤ22を有効利用し続けられる仕組を構築する意味からも、廃タイヤ22を防振材9に有効利用することが望ましい。例えば一般の普通自動車が排出する4本の廃タイヤ22を100mm角に切断すれば、85枚〜170枚の防振材9が取れることになる。これは一棟から二棟の一般住宅が消費できる防振材9であり、廃タイヤ22を有効利用し続ける仕組が構築できる。しかも住宅の生活音を解消する防振工法に廃タイヤ22が有効利用できれば産業廃棄物処理で社会貢献ができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、防振材について廃タイヤの再利用を強調してきたが、材質や寸法を限定するものではなく使用目的に応じて変更するなど適宜選択されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
産業廃棄物処理が問題視されているなかで、自動車社会の負の遺産である廃タイヤ22は防振材9として住宅産業に利用できる。その住宅産業の市場は巨大であり、安価な防振材9の需要は多大である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ボールト付防振材の詳細図
【図2】木製梁に用いたボールト付防振材の断面図
【図3】木製梁に用いたボールト付防振材の側面図
【図4】微調整可能な床束防振工法の断面図
【図5】微調整可能な床束防振工法の側面図
【図6】調整可能な床束防振工法の断面図
【図7】調整可能な床束防振工法の側面図
【図8】打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の断面図
【図9】打ち込み型枠に用いた微調整が可能な床束防振工法の側面図
【符号の説明】
【0042】
ボールト付防振材
ボールト付防振材束石
溝凹部
梁材
大引き材
床受け材
根太
床板
防振材
ロングナット
ターンバックル
床受け材固定金物
束石成型型枠
コンクリート
モルタル
固定座金
ビス
ボールト
ナット
穴
化粧打ち込み型枠
廃タイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周を固定したボールト付防振材と防振工法であって、
梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項2】
前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定した、複数のボールト付防振材をもって成る床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする請求項1記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項3】
前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の微調整を可能にしたことを特徴とする請求項1、2記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項4】
前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の調整を可能にしたことを特徴とする請求項1〜3記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項5】
溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることを特徴とする請求項1〜4記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項1】
外周を固定したボールト付防振材と防振工法であって、
梁材や大引き材あるいは束石などからなる固定基材に溝凹部を設け、溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定し、床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項2】
前記梁材や大引き材などからなる固定基材に複数の溝凹部を設け、複数の溝凹部の上にボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を固定基材に固定した、複数のボールト付防振材をもって成る床受け材を介在した床の防振・防音効果を高めることを特徴とする請求項1記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項3】
前記ボールト付防振材にロングナットと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の微調整を可能にしたことを特徴とする請求項1、2記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項4】
前記ボールト付防振材にターンバックルと床受け材固定金物を用いて、請求項1、2記載の固定基材と床受け材間の調整を可能にしたことを特徴とする請求項1〜3記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【請求項5】
溝凹部を設けた束石成型型枠を固定基材としてボールト付防振材を載せてボールト付防振材の外周を束石成型型枠に固定し、束石成型型枠内にコンクリート又はモルタルを充填凝固させてボールト付防振材束石とすることを特徴とする請求項1〜4記載の外周を固定したボールト付防振材と防振工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−106088(P2011−106088A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258805(P2009−258805)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(502145830)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(502145830)
【Fターム(参考)】
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