説明

外熱式ロータリーキルン

【課題】熱風と共に運び込まれたダストを掻き集めて堆積しないようにし、熱効率の低下と炭化のバラツキを抑えて、炭化物の品位を高め、効率的運転をはかる。
【解決手段】可燃性廃棄物を乾留して炭化物を生成し、乾留時に発生した乾留ガスを熱源とする外熱式ロータリーキルン10において、内筒11の外周面にスパイラルリフタ16を配設するか、内筒の外周面上に複数のスパイラルリフタを間欠的に配設することにより、加熱ゾーン18に堆積するダストを排出口21に向けて掻き集め、随時排出できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可燃性廃棄物を乾留して炭化物を生成し、乾留時に発生した乾留ガスを熱源とする外熱式ロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性廃棄物を乾留し、ここで発生する乾留ガスを、直接または間接に熱源とする外熱式ロータリーキルンを設置した廃棄物処理システムの一例を図4に示す。この図において、破砕・細断して圧縮減容した(以下、「減容処理した」という)可燃性廃棄物を図示しない定量供給手段により外熱式ロータリーキルン50の内筒51に投入し、この外熱式ロータリーキルン50で乾留され、炭化された可燃性廃棄物は図示しない炭化物冷却手段に送り出され、乾留域で発生した乾留ガスは、脱臭炉Xで燃焼・脱臭され、外熱式ロータリーキルンの加熱ゾーン58に熱風として供給される。
【0003】
ここで、これまで一般的に採用されてきた外熱式ロータリーキルンとして特許文献1を挙げることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−131556号公報(課題解決のための手段および図1)
【0005】
上記外熱式ロータリーキルンにおいて、発生した乾留ガスを熱源とするときは、熱風中にダストが混在し、外熱式ロータリーキルンの加熱ゾーンに上記ダストが堆積し、その結果、熱効率が低下し、ダストが偏って堆積したときに乾留ムラが生じて炭化状態にバラツキが生じ、炭化物の品位が低下することになる。
【0006】
また、上記状態にならないようにするためには、定期的にダストを除去する必要があり、そのためには外熱式ロータリーキルンを停止しなければならず生産性の低下と熱効率の低下に繋がる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術の問題に鑑みこの発明は、外熱式ロータリーキルンの加熱ゾーンに、熱風と共に運び込まれたダストを、ロータリーキルンの回転とともに掻き集めるようにして熱効率の低下を抑え、かつ、可燃性廃棄物の炭化状態のバラツキを防止するとともに、装置を停止することなく掻き集められたダストを随時装置外に排出できる外熱式ロータリーキルンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明は、可燃性廃棄物を乾留して炭化物を生成し、乾留時に発生した乾留ガスを熱源とする外熱式ロータリーキルンにおいて、内筒の外周面にスパイラルリフタを配設し、外筒の要所に、加熱ゾーン内に堆積するダストの排出口を設けたものであり、具体的には、上記スパイラルリフタは、連続した螺旋翼、または内筒表面の螺旋軌道上に多数の分断翼を複数個配設したものであり、加熱ゾーン内に堆積するダストを上記スパイラルリフタの推力により、上記ダスト排出口に向けて掻き集められるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記の如く構成するこの発明によれば、外熱式ロータリーキルンの加熱ゾーンに熱風と共に送り込まれたダストは、絶えずダスト排出口に向けて掻き集められ、随時装置外に排出されるので熱効率の低下を来すことなく、また、熱伝導が均一になってバラツキのない乾留・炭化が進み、品位の高い炭化物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1で、外熱式ロータリーキルン10の内筒11には、その両端に支持環12が一体的に設けられ、この支持環12を介して支持ローラー13に支持され、内筒11にはギヤー14が一体的に嵌められ、このギヤー14にピニオン15が噛み合って所定の速度で回転するようになっている。
【0012】
上記内筒11の外周面には、中央から外側に向けて反対巻きのスパイラルリフタ16を一体的に設け、その外側に外筒17が全体を覆うように配置され、上記内筒11と外筒17との間に熱風が通過する加熱ゾーン18を形成している。
【0013】
上記加熱ゾーン18には、熱風供給管19が接続され、各熱風供給管19は主管20に繋がり熱風供給源である脱臭炉X(図4参照)に繋がっている。また、外筒17の中央にダスト排出口21が設けられている。なお、上記排出口21は装置の片端に設けてもよく、片端に設ける場合はスパイラルリフタの螺旋方向は一方向となる。
【0014】
外熱式ロータリーキルン10の内筒11に向けて、減容処理された可燃性廃棄物が、図示しない定量供給装置によってコンスタントに供給され、乾燥・乾留されて炭化が進み、炭化が完了したものは排出口22から排出され、乾留によって発生した乾留ガスは図4に示す脱臭炉Xに送られる。
【0015】
図2は、図1のA−A矢視図であって、外熱式ロータリーキルン10の内筒11、外筒17、スパイラルリフタ16、熱風排出管23、熱風供給管19、ダスト排出口21が示されている。
【実施例2】
【0016】
図3は、実施例2の内筒を示し、内筒11の外周面に、中央から両端に向けて反対向きの複数条の仮想螺旋軌道上に多数の分断翼、即ちスパイラルリフタ16aを間欠的に配設されている。この他は、実施例1と同様であるから説明を省略する。
【0017】
このように構成した実施例2では、加熱ゾーンに堆積したダストは上記スパイラルリフタ16aにより掻き集められ、推力が働いてダスト排出口21(図1,図2参照)に送られるので、随時装置の外へ取り出すことができる。なお、この実施例の場合も排出口を装置の片端に設けることができ、この場合スパイラルリフタ16aは同一方向の螺旋軌道上に配設される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明した通りこの発明によれば、外熱式ロータリーキルンの加熱ゾーンに熱風と共に送り込まれたダストは、連続的、間欠的に設けたスパイラルリフタによって、絶えずダスト排出口に向けて掻き集められ、随時装置の外に排出することができるので、熱効率の低下を来すことなく、また、熱伝導が均一になってバラツキのない乾留・炭化が進み、品位の高い炭化物を得ることができる。また、装置を休止することなく掻き集められたダストを随時排出することができるので生産性が向上し、熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る外熱式ロータリーキルンの正面図
【図2】図1のA−A矢視図
【図3】実施例2に係る外熱式ロータリーキルンの内筒の正面図
【図4】廃棄物処理システムの外熱式ロータリーキルン周辺概略図
【符号の説明】
【0020】
10 外熱式ロータリーキルン
11 内筒
12 支持環
13 支持ローラー
14 ギヤー
15 ピニオン
16 スパイラルリフタ
17 外筒
18 加熱ゾーン
19 熱風供給管
20 主管
21 ダスト排出口
22 排出口(炭化物の)
23 熱風排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性廃棄物を乾留して炭化物を生成し、乾留時に発生した乾留ガスを熱源とする外熱式ロータリーキルンにおいて、内筒の外周面にスパイラルリフタを配設し、外筒の要所に、加熱ゾーン内に堆積するダストの排出口を設けたことを特徴とする外熱式ロータリーキルン。
【請求項2】
上記スパイラルリフタは、連続した螺旋翼、または内筒表面の螺旋軌道上に多数の分断翼を複数個配設したものであり、加熱ゾーン内に堆積するダストを上記スパイラルリフタの推力により、上記ダスト排出口に向けて掻き集められるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の外熱式ロータリーキルン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−299010(P2006−299010A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119879(P2005−119879)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】