説明

外部スリーブ

【解決手段】本発明は、外部スリーブ、外部スリーブの製造方法、及び2本以上のケーブルの端部を接続する方法に関する。外部スリーブは、スリーブ本体と、スリーブ本体の外側に沿って配置された導電性のシールド層と、シールド層の外側に沿って配置された外壁とを具備する。バリア層が、外壁の内側に沿って配置されている。バリア層は、液体の浸透が小さい浸透性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部スリーブ、外部スリーブの製造方法、及び2本以上のケーブルの端部を接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アース線は、地中に敷設される電力ケーブルすなわち電気通信ケーブルであり、水、地中に棲む小動物(齧歯動物)及び菌類により地中の化学的及び機械的な影響でケーブルが破壊されることを防止する特に堅牢な外部保護物(外被)を有する。
【0003】
機械的保護を与えるために、アース線は、(例えば、付近の鉄道又は道路交通の振動により)地面に応力が加わる際に鋭利な縁を有する石がケーブルを損傷しないように、地中で砂の層の中に敷設されることがある。100kV未満の電圧用のアース線は多極構造で製造されるのに対し、高電圧用には単極構造(単一導体のケーブル)が使用される。
【0004】
今日、プラスチック材料製の外被を有するケーブルは主に200kVまでの電圧に使用されるのに対し、油含浸紙製の絶縁物を有するケーブルは200kV以上の電圧に使用される。ドイツでは現在、100kV未満の電圧を有する線は、新たに建設された住居又は産業地域では基本的にアース線として構成される。古い住宅地域の住宅に供給する電力線もまた、アース線として構成される。一般に、アース線は、60cm(道路では80cm)の深さに敷設される。プラスチック材料製のシートは、掘削によりケーブルが穿孔され、露出しないように、警告テープを付加して使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アース線は、架空電線と比べていくつかの利点を有する。アース線は、嵐、雹及び雷光等のとりわけ悪い気象条件により生ずる損傷から最も効果的に保護される。さらに、アース線の電磁的両立性はより良好である。しかし、不利な点はコストが高いことである。
【0006】
スリーブは、障害無く2本のケーブルを接続するため、又は例えば電力ケーブルの分岐部を住宅に案内しなければならない等のケーブルを分岐するための構造物である。
【0007】
使用目的により、結合スリーブすなわち直接貫通接続部と、構造が異なることがある分岐スリーブとは区別される。外部スリーブとして使用されるのは、とりわけ注型樹脂スリーブ、収縮取付け(shrunk-on)スリーブ(熱間及び冷間収縮スリーブ)及び摺動取付け(slide-on)法のスリーブであり、さまざまなタイプのスリーブが、低電圧及び中間の電圧等のさまざまな電圧面における電力工学で使用することが可能である。低電圧の範囲(1000V未満)では熱間及び冷間収縮スリーブが使用されるのに対し、中間の電圧範囲では熱間及び冷間収縮スリーブと同様に摺動取付け法のスリーブが使用される。
【0008】
異なるタイプの内部スリーブが、図16、図17及び図18に縦断面で示される。図16は熱収縮内部スリーブを示すのに対し、図17は摺動取付け法用の内部スリーブを示す。図18は、螺旋状の冷間収縮内部スリーブを示す。
【0009】
図19ないし図22は、さまざまな外部スリーブを縦断面で示す。図19は熱収縮外部スリーブを示すのに対し、図20は、組立体の停留(parking)長さがより短くなるようにチューブが折り返された冷間収縮外部スリーブを示す。図21は注型外部スリーブのハウジングを示し、図22は、外部スリーブがテープすなわち接着テープを使用した巻回法にも適用できることを示す。
【0010】
最大電圧ケーブルには、完全に乾燥した、すなわちガス状物質や液状物質を含まず且つ保守を要しない、製作済みのスリーブが使用される。このため、最も重要な電気部品は、工場で予め検査することができる。これは、現場での組立を容易にし、現場組立に関連するリスクを低減する。
【0011】
スリーブは、2個の摺動取付けシリコーンフィールド制御部材、充填帯、厚壁の絶縁チューブ、導電性外部組合せチューブ、銅網シールド、及び外部保護物としての厚壁の摺動取付けチューブからなる。
【0012】
中間電圧ケーブル、延いては単一導体ケーブルは、その大部分について後述される。この場合、折り畳み式の外部チューブは、スリーブ本体に付けるのが好適である。
【0013】
プラスチック材料で絶縁された中間電圧のケーブル及び線用には、冷間収縮法、摺動取付け法及び熱収縮方法において外部スリーブがある。ケーブルが地中にある際に、ケーブル軸内且つ外気条件下で結合スリーブが使用される。ケーブルは、しっかりと溶接すなわち黒鉛化された外部導体層、又は剥ぎ取り可能な外部導体層を有する。
【0014】
浸透に対する保護は、地下に敷設されるケーブルにとって重要である。銅網、アース線及びシールド線接続部は腐食から保護されるべきであり、保護されないと接触性を損なうので、本明細書では水蒸気に対する実質的な非浸透性に関心がある。また、シートから製造されると共にかなりの量の水を吸収するスリーブ本体の水の吸収は、低減すべきである。
【0015】
今日、スリーブの組立は、敷設される中間電圧ケーブルの定型作業の一部である。最大の用途信頼性及び短い組立時間を提供する方法が要求されている。
【0016】
主導体及びシールド線の接続は、ねじ接続及び圧着コネクタを使用して形成される。限定トルクを有する剪断ねじは、この工程を簡単にし、異なる導体断面の過度の引きちぎりがないことを保証する。コネクタを介するとの同様にケーブルシールドの端部でのフィールド制御は、例えば中間電圧法の領域で一体スリーブに統合された幾何学的フィールド制御部材を用いて実行される。絶縁及び外部フィールド境界は、高品質シリコーンゴム又はEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・コポリマ)からなるスリーブ本体が引き受ける。熱収縮チューブ、エラストマの保護チューブ、巻回法におけるチューブ、又は注型樹脂におけるチューブの選択は、スリーブの外部保護を確保する。
【0017】
導体接続部は、ねじコネクタを用いて形成される。次に、スリーブ本体を最終位置に押圧することができる。スリーブ本体は、ケーブルの外被上に容易に停留することができる。接着剤がコーティングされた熱収縮チューブ又はエラストマのチューブは、例えばスリーブの外部保護用に設けてもよい。
【0018】
一体の冷間収縮スリーブは、次のように構成される。すなわち、例えば螺旋状ホールドアウト(spiral hold-out)等の支持部材すなわち支持螺旋は、拡大したスリーブ本体の直径を維持する。取付け工程を容易にすると共に高信頼性にするために、銅網のチューブすなわちストッキングが、シールド線を接続するのに使用される。チューブすなわちストッキングは、拡大した本体に予め取り付けられる。好適には、錫めっきされた銅線は最小断面を有する。
【0019】
保護チューブのEPDMは、地下敷設ケーブルの場合には金属への腐食及びスリーブ本体の水吸収という結果となり得る有限の水蒸気浸透性を有する。水は、外部チューブのゴム材料、又はケーブルの外被及びゴムチューブ間の漏れやすい接続部を通って浸透することができる。マスチック樹脂(封止ゴム/封止コンパウンド)は、殆どいつも外被上に使用される。マスチック樹脂は、極めて粘着性があり、接圧によりケーブルの径を増大させる。
【0020】
地下ケーブル及びスリーブは、かなりの量の圧力にさらされる。この圧力は、石、冷間収縮スリーブの柔らかいゴムで形成された外皮上の鋭利な縁及び振動の形態で及ぼされる。冷間収縮スリーブの壁厚は、この圧力により減少する。微生物は別のリスク源である。多くのスリーブは、日々の使用では気付かれない欠陥のある外部チューブを有して敷設される。これは、例えば金属線ではスリーブの腐食及びコンタクトの機能低下という結果になり得る。しかし、一体スリーブの使用は、上述した一体スリーブの利点が維持されるので、依然として望ましい。
【0021】
従って、本発明は、スリーブ本体への、又は特に接続点が渦巻きばねにより実現している場合におけるシールド線が互いに接続する点への液体の浸入を低減することを目的とする。さらに、簡単な使用が維持されるべきであり、スリーブの製造のコストは高くなるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述の目的は、独立請求項の主題により達成される。本発明は、2本以上のケーブルの端部を接続するためのスリーブにおいて、ケーブルの端部が挿入される開口を有する管状支持部材と、支持部材の外側に沿って配置されたスリーブ本体と、スリーブ本体の外側に沿って配置された導電性のシールド層と、シールド層の外側に沿って配置された外壁と、外壁の内側に沿って配置されたバリア層とを有し、バリア層は、液体の浸透が大幅に減少する浸透性を有する。
【0023】
本発明の有利な展開形は、従属項の主題である。
【0024】
一体組立体で使用されるスリーブの利点は、比較的簡単で迅速な方法で取付けできることである。
【0025】
冷間収縮法の使用は、道路の掘削において、潜在的なリスクを伴う熱源を必要とせず、必要な工具の数が少ないことである。この場合、最も大きなミスの根源は、取付け作業者の能力及び経験である。取付け作業者の安全及び品質の教育が考慮されねばならない。
【0026】
本発明に係るスリーブは、より大きな柔軟性を可能にする熱収縮法で使用することができるという利点を有する。
【0027】
バリア層にシールド層を一体化することは、スリーブがより少ない部品で構成されるという利点を有する。部品点数が少ないことは、製造及び取付けをより簡単にすると共に信頼性を向上させ、コスト低減となる。
【0028】
バリア層がシールド層の下に配置される場合、シールド層は、スリーブ本体用の物理的な保護層を形成する。これは、例えば掘削具すなわちスコップが外部スリーブに当たる場合、重要である。また、スリーブ本体の緩衝及び表面の保護は、シールド層に関して提供されるという利点がある。シールド層が無ければ、延びた外側チューブを介してスリーブ本体の取付け前の状態に関連した表面に大きな力で押圧される。
【0029】
バリア層は、シールド層上に付けられる場合、保護チューブを、鋭利な縁やシールド層に対する電線の曲げから保護する。不正な取扱い及び製造不良に対する保護も、バリア層により提供される。
【0030】
バリア層がプラスチック材料でコーティングされた金属からなる場合、シールド層の電線の最小断面が増大するので、改善されたシールドが達成できる。この場合、より大きな柔軟性を確保するために、2層のシールド層が使用されるかもしれない。1層のシールド層のみが使用される場合、比較的固くなるであろう。
【0031】
外側チューブの下の柔軟層は、衝撃吸収材として作用することができ、外側チューブの衝撃抵抗性を改善する。柔軟層はまた、鋭利な縁に対する保護の役割も果たす。
【0032】
金属が省略される場合、シールド層は、外部スリーブの柔軟性及び水密性を確保するために多層プラスチック材料から構成されると有利である。
【0033】
シールド層が銅網から構成されると有利である。というのは、銅網は200%以上まで容易に拡大し、柔軟性を有するからである。
【0034】
シールド層が少なくとも2枚の金属箔から構成される場合、シールド層がより柔軟性を有するという利点を有する。これは、比較的小さな半径のケーブル曲げ部を許容し、破損を回避することが可能であることを意味する。
【0035】
シールド層をうねった輪郭として形成することは、シールド層の半径方向の拡大を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る外部スリーブの断面図である。
【図2】本発明に係る外部スリーブの縦断面図である。
【図3】縮径された水浸透層を有する、本発明に係る外部スリーブを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る外部スリーブの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る外部スリーブの別の実施形態を示す斜視図である。
【図12】箔厚の機能としての水蒸気浸透性を示すグラフである。
【図13】現在のプラスチック材料の酸素及び水蒸気のバリア値を示すグラフである。
【図14】選択されたポリマの酸素及び水蒸気の浸透性を示すグラフである。
【図15】拡散係数の温度依存性を示すグラフである。
【図16】熱収縮内部スリーブを示す断面図である。
【図17】摺動取付け法の内部スリーブを示す断面図である。
【図18】螺旋上の冷間収縮法の内部スリーブを示す断面図である。
【図19】熱収縮外部スリーブを示す断面図である。
【図20】折り返されたチューブを有する冷間収縮外部スリーブを示す断面図である。
【図21】ハウジングを有する注型樹脂法の外部スリーブを示す図である。
【図22】テープを有する巻回法の外部スリーブを示す斜視図である。
【図23】全てのタイプの外部スリーブと使用するための箔チューブを示す図である。
【図24】螺旋状ホールドアウト上で予め拡大された薄壁箔を有する厚壁チューブを示す断面図である。
【図25】螺旋状ホールドアウト上で予め拡大された一体銅網を有する低浸透性の厚壁チューブを示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面に示された実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。図面において、同様又は対応する詳細には同一の参照番号が付与される。
【0038】
中間電圧ケーブル用の冷間収縮一体スリーブに関して本発明を説明するが、用途はこの例に限定されない。本発明は、低電圧範囲又は高電圧範囲におけるのと同様に、熱収縮法及び摺動取付け法にも使用可能である。外部スリーブは、電気通信ケーブルと同様に電力ケーブルの接続部であってもよい。
【0039】
図1は、スリーブの構造を明瞭にする結合スリーブ10の断面を示す。中央にあるのは、スリーブ本体14に囲まれた支持部材12である。スリーブ本体14上に配置されているのは、浸透保護箔18等のバリア層に囲まれた銅網16等の電気シールドである。外側チューブ20は、この構造物を取り囲む。
【0040】
支持部材12は、拡大した状態のスリーブ10の別の層、すなわち、スリーブ本体14、電気シールド16、バリア層18及び外側チューブ20を支持する。この支持部材12は、螺旋状ホールドアウトすなわち支持螺旋として構成されるのが好ましいが、他の原理、特に別々に引っ張ることができる2部品の支持チューブからなってもよい。支持部材12は出荷状態のスリーブを支持するのみである。なぜなら、ケーブルの端部が接続されると直ぐに支持部材が除去されるからである。
【0041】
単一導体ケーブルの導体を絶縁するエラストマ(例えばシリコーン又はEPDM)からなるスリーブ本体14もまた、作成済みのスリーブ10の一部である。スリーブ本体14はまた、フィールド制御を提供すると共に外側導体層を支持する。スリーブ本体14の厚さ及び構成は、接続されるケーブルの仕様に依存する。
【0042】
ケーブル端部のシールド電線を接続するために、スリーブの構造物内に銅網チューブすなわちストッキング16等の電気シールドが設けられている。この電気シールドは、スリーブ本体14の周囲に密着する。好適には錫めっきされた銅線は、全体として最小断面積を有する。これは、全断面積の合計がこの目的のために使用されるので、大きな断面積を有する1本の銅線か、或いは、小さな断面積を有する例えば40本の銅線かの問題である。シールド線を接続するために、3mmの最大直径、好適には0.5〜1.5mmの直径の錫めっきされた銅線が使用され、或いは、(数の増加に従って直径が小さくなった)市販されている編組線が使用される。
【0043】
外部スリーブとも称される外側チューブ20は大抵、冷間収縮法で使用するためのEPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)から生産される。EPDMゴムは三元重合体エラストマ(ゴム)である。飽和した骨格構造は、高い耐熱性と共に、高い耐候性、耐湿性及び耐オゾン性等の古典的特性をもたらす。EPDMゴムは、その高弾性及び良好な耐薬品性のため使用される。EPDMゴムは高い引裂強度を有する。大きく拡大した状態(約200%拡大、すなわち直径の3倍)で貯蔵される結果、ゴムチューブは元の直径の約30〜50%を失う。このゴムチューブはまた、比較的高い水浸透性及び比較的低い引裂強度を有するシリコーンから製造してもよい。
【0044】
図23は、箔チューブとして構成されたバリア層18の原理を示す。この箔チューブは、別体として設けられ、外部スリーブが取り付けられる前に内部スリーブ及びシールド線結合部の一方又は双方上に覆われている。この箔チューブは、全てのタイプの外部スリーブと共に使用可能である。
【0045】
小さな液体浸透性を有するバリア層18は、スリーブ本体14及び外側チューブ20間に配置される。このバリア層18は、単一層又は複数層のプラスチック材料であってもよいし、プラスチック材料でコーティングされた金属箔であってもよい。
【0046】
図24は、螺旋状ホールドアウト上で予め拡大された薄壁箔すなわち薄壁コーティングを有する厚壁チューブを示す縦断面図である。
【0047】
外側チューブ20は、バリア層18及び電気シールド16と共に、図2を参照してさらに示されるように好適には折り畳むように構成されてもよい。折り畳み可能な変形例において、ホールドアウトは、折り畳むことができない変形例の半分の長さであり、スリーブの取付けに要する時間はより短い。
【0048】
図2は、結合スリーブ10を通る縦断面図であり、管状支持部材12を見ることができる。支持部材12の周囲に配置されているのは、電気シールド16により囲まれるスリーブ本体14である。銅網の周囲のバリア層18は、外壁すなわち外側チューブ20により囲まれる。
【0049】
ここで、電気シールド16、バリア層18及び外側チューブ20は、ケーブル端部の接続を容易にするよう折り返されていることが明確に見ることができる。この接続部が形成されると直ぐに、電気シールド16、バリア層18及び外側チューブ20はスリーブ本体14上に再度折り畳まれ、次にスリーブ10を閉じる。一体型のスリーブの場合、水蒸気が入り込む縦の継目はない。
【0050】
図3において、例えばケーブル結束具、粘着テープ又はゴム封止リング等により、バリア層18が両端で管状に閉じられることを見ることができる。
【0051】
図4は、管状のバリア層が設けられていないが、スリーブを包むためにバリア層が使用されている本発明の一実施形態を示す。水密性を確保するために、封止テープ(接着ストリップ)すなわちマスチック樹脂42を縁部に設けることができる。
【0052】
図5は、電気シールド16が例えば銅網の層からなることを示す。しかし、電気シールドもまた、スリーブの柔軟性を増大させる、複数層の周囲に巻回された金属箔からなってもよい。
【0053】
金属層はまた、通電することができるよう構成されてもよい。この場合、定められた最小断面積が必要である。この場合、単一層では変形の振舞いが不利になるので、薄い箔又は銅網が複数層に巻回されるか、2つのチューブが重ねられて使用されてもよい。
【0054】
図6に図示された実施形態は、バリア層を電気シールドの片側又は両側に配置できることを示す。バリア層は、スリーブ本体を保護すると共に、銅編組からなる電気シールドの鋭利部分から外側チューブをも保護する。このため、バリア層は、衝撃吸収材として作用し、地中に敷設される際、及び地中に鋭利な石がある場合に、外側チューブが裂けるのを防止する。
【0055】
スリーブの構造物に追加層として銅編組を有する代わりに、図7の実施形態では、水浸透性が小さいプラスチック材料製のバリア層が金属化される。図7において、この金属化は内側から実行される。これは、水浸透性が小さいプラスチック材料製のバリア層が、金属の内側コーティング又は金属網を有するか、或いはスリーブ本体上に配置された、内面に金属コーティングを有する。
【0056】
図8の実施形態において、発泡材料84又は柔軟エラストマの外周に水密性プラスチック材料層のバリア層82を付けるか、或いは内面に水密性プラスチック材料層のバリア層88を付ける可能性がある。これら両方の場合において、発泡材料内に埋設されるのは、内方と共に外方を保護する銅網の電気シールドである。この電気層は、外側チューブの裂け効果を低減すると共に、比較的大きな地中圧力がある場合にスリーブ本体の変形を低減する。
【0057】
図25は、厚壁低浸透性チューブ20もまた一体の銅網を有することを示す縦断面である。本例では、一体の銅網を有するチューブは、螺旋状ホールドアウト上に予め拡大されている。
【0058】
柔軟なゴム材料、すなわちA5〜A30のショア硬度、好適にはA10〜A20のショア硬度のシリコーン又はEPDMの使用は、発泡材以上に有利である。というのは、発泡材は、外側チューブの大きな半径方向の圧力の下で圧縮されるからである。これに対して、柔軟なゴム材料は圧縮されない。
【0059】
図9は、外面に水密性プラスチック材料層のバリア層92を有し、その中に、発泡材料94又は柔軟性エラストマが内面に銅網の電気シールド96を有する可能性を示す。これにより、スリーブ本体の導電層への金属接触が確保される。
【0060】
図10は、外部スリーブ領域の両端110に配置され、電気接触の改良を確保するためにプラスチック材料コーティングが除去された別の実施形態を示す。このプラスチック材料コーティングは、任意であるが、クッション又は衝撃吸収材として作用することができるよう厚壁にされる。本例では、同様に、水浸透性が小さい箔のバリア層104が金属層102上に付けられる。例えば銅線等の金属部材108を、厚壁プラスチック材料コーティング106内に埋設することも可能である。この金属部材108は、電流を伝送するために特定の断面積を必要とする。
【0061】
図11は、クッションすなわち衝撃吸収材として作用できる任意の厚壁プラスチック材料コーティング116を再度示す。このプラスチック材料コーティング116の内側に配置されているのは、本例ではうねった輪郭として構成された金属層112である。この構造は、半径方向の拡大を簡単にし、或いは許容さえするので、半径方向の拡大には有利である。オプションとして、この金属層の内側に、うねった輪郭で構成され追加の緩衝材として作用する追加のプラスチック材料層を配置することも可能であろう。
【0062】
上述した層及び衝撃吸収材層の壁厚は、1〜8mm、好適には3〜4mmとなるべきである。
【0063】
外部スリーブの新たな実施形態の全図面は、編集したものとしてこれらを総括して示す。当業者であれば、複数の層は大部分が個別に形成され、次に敷設、結合、溶接、或いは部分的に接続できることを理解するであろう。
【0064】
再度の外被は、別の業者が任意で製造するスリーブと組み合わせる顧客に別体部材として供給できる。しかし、再度の外被膜はまた、例えばホールドアウト上の冷間収縮チューブ等の供給されたスリーブに一体化できる。
【0065】
上述の解決法は、少なくとも10の要素により浸透性を小さくすることを可能にする。水蒸気の浸透性について特定の数を説明するために、箔厚に対する水蒸気浸透性は、図12に示される。水蒸気浸透性の別の値は、図13、図14及び図15に与えられる。
【0066】
詳細には、図12は、23℃での膜厚の機能として種々の材料の水蒸気浸透性を示す。例えばCTA及びPVC−PがPP−O及びPVDCよりも水蒸気に対してより浸透性を有することが図12から読み取れる。このため、バリア層に適する材料を選択するために、図12を参考にすることができる。
【0067】
図13は、現在のプラスチック材料の酸素及び水蒸気のバリア値を示す。データは、標準的条件の下で25μmの厚さの箔に70%の相対湿度で決定された。例えばPE−HD及びPP6.6が他のプラスチック材料よりも酸素に対する浸透性を有し、PP6.6及びPANが図示の他のプラスチック材料よりも水蒸気に対する浸透性を有することが、図13から理解できる。図13は、バリア層に適するプラスチック材料を選択する際に役立つ。
【0068】
提示したものとは若干異なる形態において、図14は、選択されたポリマの酸素及び水蒸気の浸透性を示す。図14は、例えば、硬いPVCは柔らかいPVCよりも水蒸気に対する浸透性が低く、酸素をあまり透過しないことを示す。繰り返すが、図14は、バリア層に適するプラスチック材料を選択する際に役立つ。
【0069】
図15は、PA6、PA12及びPA66の拡散係数の温度依存性を対数グラフで示す。拡散係数は温度に対して指数関数的に増大することが図15から明確に理解できる。図15は、拡散係数の原理の説明に役立つ。
【符号の説明】
【0070】
10 結合スリーブ
12 支持本体
14 スリーブ本体
16 電気シールド
18 バリア層
20 外側チューブ
42 接着ストリップ
62 バリア層
64 電気シールド
66 バリア層
72 電気シールド
74 バリア層
82 バリア層
84 発泡材料
86 電気シールド
88 バリア層
92 バリア層
94 発泡材料
96 電気シールド
102 金属層
104 バリア層
106 厚壁プラスチック材料コーティング
108 金属部材
110 スリーブの端部領域
112 金属層
116 厚壁プラスチック材料コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本以上のケーブルの端部を接続すると共にケーブルシールドを形成するための外部スリーブであって、スリーブ本体(14)と、該スリーブ本体の外側に沿って配置された導電性のシールド層(16)と、該シールド層の外側に沿って配置された外壁(20)とを具備する外部スリーブにおいて、
液体の浸透が小さい浸透性を有するバリア層(18)をさらに具備し、
該バリア層は、前記外壁の内側に沿って配置されていることを特徴とする外部スリーブ。
【請求項2】
前記スリーブ本体の内側に沿って、前記ケーブルの端部が挿入される開口を有する管状指示部材(12)が配置されていることを特徴とする請求項1記載の外部スリーブ。
【請求項3】
前記外部スリーブは一体品の組立体であることを特徴とする請求項1記載の外部スリーブ。
【請求項4】
前記外部スリーブは冷間収縮チューブに付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項5】
前記外部スリーブは、巻回法、水収縮法又は摺動取付け法で設けられた外側チューブに付けられていることを特徴とする請求項1記載の外部スリーブ。
【請求項6】
前記外部スリーブは地下での使用に適合していることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項7】
前記シールド層は、前記バリア層に一体化されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項8】
前記バリア層は、前記シールド層の半径方向の上又は下に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項9】
前記バリア層は、前記シールド層の半径方向の上又は下に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項10】
前記バリア層は複数層のプラスチック材料から構成されることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項11】
前記バリア層は金属層から構成されることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項12】
前記バリア層は金属コーティングを有することを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項13】
前記金属コーティングは前記バリア層に蒸着されていることを特徴とする請求項12記載の外部スリーブ。
【請求項14】
前記バリア層は、液体に対する浸透性を低減するよう少なくとも1層のフッ化処理されたプラスチック材料層を具備することを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項15】
前記バリア層は巻回されるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項16】
前記シールド層は、銅網、全表面金属箔又は少なくとも1本の電線から構成されていることを特徴とする請求項1ないし15のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項17】
前記シールド層は、変形柔軟性を増大するよう少なくとも2つの金属箔から構成されていることを特徴とする請求項1ないし16のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項18】
前記シールド層は、半径方向の拡大を容易にするようにうねった輪郭として形成されていることを特徴とする請求項1ないし17のうちいずれか1項記載の外部スリーブ。
【請求項19】
外部スリーブを製造するために2本以上のケーブルの端部を接続する方法であって、
スリーブ本体を形成する工程と、
前記スリーブ本体の外側に沿って導電性のシールド層を配置する工程と、
液体の浸透に抵抗する浸透性を有するバリア層を、外壁の内側に沿って配置する工程と、
前記バリア層の外側に沿って前記外壁に配置する工程と
を具備することを特徴とする、2本以上のケーブルの端部を接続する方法。
【請求項19】
請求項1ないし18のうちいずれか1項記載の外部スリーブを使用することを特徴とする2本以上のケーブルの端部を接続する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2011−511611(P2011−511611A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544671(P2010−544671)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050830
【国際公開番号】WO2009/098131
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(502288920)タイコ・エレクトロニクス・レイケム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Raychem GmbH
【Fターム(参考)】