説明

多光軸光電センサ及び受光器

【課題】消費電流を低減するとともに配線数の増加を抑制することが可能な多光軸光電センサを提供すること。
【解決手段】受光器20において、各受光ユニット50a〜50nは、それぞれ駆動回路63を備える。駆動回路63は、クロック信号SCと内包するシフトレジスタにより転送するパルス信号SIに基づいて、複数の受光アンプ65a〜65dに対して駆動電圧を順次供給するようにした。従って、前段の受光ユニットから制御信号を受け取る必要が無い、即ち、制御信号を必要としない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサ及び受光器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多光軸光電センサは、図9に示すように、投光器1に一列に配列された複数の投光素子2が備えられるとともに、受光器3に一列に配列された複数の受光素子4が備えられている。投光器1と受光器3は、各投光素子2と受光素子4が相対向するように配置される。そして、投光器1の投光素子2が所定の投光タイミングにて順次投光される投光スキャン動作を所定周期で繰り返し行うとともに、各投光素子2と対応する受光素子4からの受光信号に基づいて、検出エリア内への物体侵入が検出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
多光軸光電センサは、検出エリアの拡大(図9において上下方向)や、同一範囲においてより小さな物体を検出可能とするために、投光器1と受光器3にそれぞれ設けられる素子2,4及び両素子2,4を駆動するための素子の数が多くなってきている。そして、投光器1と受光器3において、各素子2,4が常に駆動されているため、多光軸光電センサの消費電流が増大する。また、多光軸光電センサに対して、素子2,4の数の増加に従って応答時間を短くすることが要求されている、しかし、応答時間を短くするためには各受光素子4が接続された受光アンプを高速化する必要があり、消費電流が増大する。
【0004】
このため、特許文献2のように、複数の受光回路をブロック化し、前段の受光回路ブロックが動作を開始したときに、自ブロック受光回路ブロックに駆動電圧を供給し、自ブロックの動作順序がきたら受光動作を開始する。
【特許文献1】特開2005−51317号公報
【特許文献2】特開2007−267348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の方法では、ブロック間に次段の受光回路ブロックの電圧供給を行うための制御線を新たに設ける必要があるため、受光回路ブロック間のライン数が増加する。しかし、素子を搭載する回路基板の幅に制限があるため、他の信号ラインとともに回路基板上のパターン及び回路基板を接続する信号配線が細くなる。このため、信号配線を接続する作業により注意が必要になって作業時間が増大することや、パターン及び信号配線により伝達される信号に対するノイズの影響が大きくなる場合がある。このような場合を想定してシールド対策を行わなければならなくなり、部品点数や組立工数の増加や、コストアップを招くという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、消費電流を低減するとともに配線数の増加を抑制することが可能な多光軸光電センサ及び受光器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の投光手段を備え該複数の投光手段を予め設定される順序で選択して信号光を出射する投光器と、前記複数の投光手段に対向配置され対応する投光手段から出射される信号光が入射される複数の受光手段を備えた受光器と、からなる多光軸光電センサにおいて、前記受光器は、前記投光器と前記受光器とを同期動作させるためのクロック信号と、前記受光手段が受光動作を開始するパルス信号とが入力され、複数の受光手段にそれぞれ接続された複数の増幅手段と、前記複数の増幅手段にそれぞれ接続された複数の駆動手段とを備え、前記複数の駆動手段は、前記クロック信号に基づいて前記パルス信号を順次転送するように直列に接続され、転送により出力するパルス信号と前記クロック信号とに基づいて前記パルス信号から遅れて選択信号をそれぞれ出力し、前記複数の増幅手段は、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記パルス信号に基づいて動作し、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する。
【0008】
上記構成によれば、増幅手段は、クロック信号とパルス信号とに基づいて順次駆動されるため、消費電流が低減されるとともに、制御線等を必要としないため、駆動手段を構成する素子が搭載され素子を接続する配線が形成された基板や、基板間を配線にて接続する場合に、その配線数の増加を抑えることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記駆動手段は、後段の前記増幅手段に前記パルス信号を出力するときに前記選択信号を生成する。この構成によれば、次段の増幅手段が動作を開始するタイミングで、受光信号が出力されるため、複数の増幅手段が確実に順次動作して受光信号を出力することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、前記増幅手段は、前記パルス信号の電圧を駆動電圧として動作する。この構成によれば、増幅手段がパルス信号により動作するため、受光器全体の消費電力を低減することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、前記増幅手段は、前記パルス信号に応答して選択状態と非選択状態とを切替え、前記選択状態のときに前記非選択状態よりも多くの電流を消費するように構成され、前記選択状態のときに前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する。この構成によれば、全ての増幅手段が電流を消費する構成と比べて、受光器全体の消費電力を低減することができる。また、非選択状態から選択状態への変更時間が短く、受光器の立ち上がりまでの待ち時間を要さない。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項記載の多光軸光電センサにおいて、所定数の前記受光手段と、前記受光手段にそれぞれ接続された所定数の増幅手段と、前記所定数の増幅手段に接続された前記駆動手段とによりユニットが構成され、各ユニットは機械的に接続可能に形成され、前記受光器は複数のユニットから構成される。この構成によれば、任意の数の受光手段を備えた多光軸光電センサが提供される。また、受光手段の数を容易に変更することが可能となる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、複数の投光手段を備え該複数の投光手段を予め設定される順序で選択して信号光を出射する投光器と対向配置されて多光軸光電センサを構成する受光器であって、前記複数の投光手段に対向配置され対応する投光手段から出射される信号光が入射される複数の受光手段と、前記複数の受光手段にそれぞれ接続された複数の増幅手段と、前記複数の増幅手段にそれぞれ接続された複数の駆動手段とを備え、前記複数の駆動手段は、前記投光手段と前記受光手段とを同期動作させるためのクロック信号に基づいて前記受光手段が受光動作を開始するパルス信号を順次転送するように直列に接続され、転送により出力するパルス信号と前記クロック信号とに基づいて前記パルス信号から遅れて選択信号をそれぞれ出力し、前記複数の増幅手段は、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記パルス信号に基づいて動作し、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する。
【0014】
上記構成によれば、増幅手段は、クロック信号とパルス信号とに基づいて順次駆動されるため、消費電流が低減されるとともに、制御線等を必要としないため、駆動手段を構成する素子が搭載され素子を接続する配線が形成された基板や、基板間を配線にて接続する場合に、その配線数の増加を抑えることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の受光器において、所定数の前記受光手段と、前記受光手段にそれぞれ接続された所定数の増幅手段と、前記所定数の増幅手段に接続された前記駆動手段とによりユニットが構成され、各ユニットは機械的に接続可能に形成され、前記受光器は複数のユニットから構成される。この構成によれば、任意の数の受光手段を備えた受光器が提供される。また、受光手段の数を容易に変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、消費電流を低減するとともに配線数の増加を抑制することが可能な多光軸光電センサ及び受光器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、多光軸光電センサは、互いに対向配置される投光器10と受光器20とからなる。
【0018】
投光器10は、一列に配列された複数(n個)の投光ユニット30a〜30nからなり、隣接する各投光ユニットは機械的及び電気的に互いに接続可能に構成されている。各投光ユニット30a〜30nには、投光手段としてそれぞれ複数(図1において4個)の投光素子が一列に配列されている。投光素子41a〜41dの配列方向は、投光ユニット30a〜30nの接続方向と一致している。従って、投光器10に備えられたすべての投光素子は一列に配列されている。
【0019】
受光器20は、一列に配列された複数の受光ユニット50a〜50nからなり、隣接する各受光ユニットは機械的及び電気的に互いに接続可能に構成されている。各受光ユニット50a〜50nには、受光手段としてそれぞれ複数(図1において4個)の受光素子61a〜61dが一列に配列されている。受光素子61a〜61dの配列方向は、受光ユニット50a〜50nの接続方向と一致している。従って、受光器20に備えられたすべての受光素子61a〜61dは一列に配列されている。
【0020】
投光器10の第1ユニット30aは受光器20の第1ユニット50aと同期線L1を介して接続されている。この同期線L1を介して接続されるユニット30a,50aを基本ユニットという。そして、第2〜第nユニット30b〜30n,50b〜50nを増設ユニットという。
【0021】
投光器10の基本ユニット30aは、該ユニット30aと増設ユニット30b〜30nに備えられた投光素子41a〜41dを順次駆動するための制御信号を生成する。更に、基本ユニット30aは、同期信号を出力する。基本ユニット30a及び各増設ユニット30b〜30nは、それぞれ制御信号に応答して投光素子41a〜41dを駆動する。これにより、投光器10の各投光素子41a〜41dが順次駆動されて物体検出のための検出光が出射される。
【0022】
受光器20の基本ユニット50aは、同期線L1を介して入力される同期信号に基づいて、ユニット50aと増設ユニット50b〜50nに備えられた受光素子61a〜61dを順次駆動するための制御信号を生成する。基本ユニット50a及び各増設ユニット50b〜50nは、それぞれ制御信号に応答して各受光素子61a〜61dに検出光が入射されているか否かを判断し、検出光が入射されている場合に受光信号を出力する。そして、基本ユニット50aは、各ユニット50a〜50nの受光信号に基づいて検出信号を出力する。
【0023】
各ユニット30a〜30n,50a〜50nの電気的構成を説明する。
図2に示すように、投光器10の基本ユニット30aは、投光素子41a〜41d、投光制御手段としての投光制御回路42、選択手段及駆動手段としての駆動回路43、投光回路45a〜45dを備えている。
【0024】
投光制御回路42は、CPU等を含み、クロック信号SC、駆動パルス信号SI0を駆動回路43に出力する。
駆動回路43は、シフトレジスタを含み、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SI0を順次転送し、駆動パルス信号SI1を出力する。そして、駆動回路43は、駆動パルス信号SI0の転送タイミングにて各投光回路45a〜45dに選択信号SLa〜SLdを供給する。つまり、駆動回路43は、各投光回路45a〜45dに対して選択信号SLa〜SLdを順次供給する。
【0025】
更に、駆動回路43は、クロック信号SCと駆動パルス信号SIの転送動作に従って、各選択信号SLa〜SLdの出力タイミングに応じて各投光回路45a〜45dに対して動作電圧としての駆動電圧Vccを所定期間供給する。駆動回路43が各投光回路45a〜45dに駆動電圧Vccを供給する期間は、投光回路45a〜45dの内部レベルが安定するまでに要する期間や、投光素子41a〜41dの投光時間、等により予め設定され、例えばクロック信号SCの1周期の期間である。
【0026】
各投光回路45a〜45dは、供給された駆動電圧Vccに基づいて作動し、駆動回路43から入力される選択信号SLa〜SLdに応答してそれぞれ投光素子41a〜41dを駆動する。これにより、各投光素子41a〜41dから順次に光信号が出射される。
【0027】
増設ユニット30bは、基本ユニット30aと同様に、投光素子41a〜41d、駆動回路43、投光回路45a〜45dを備えている。駆動回路43は、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SI1を順次転送し、駆動パルス信号SI2を出力する。そして、駆動回路43は、駆動パルス信号SI1の転送タイミングにて各投光回路45a〜45dに選択信号SLa〜SLdを供給する。更に、駆動回路43は、クロック信号SCと選択信号SLa〜SLdとに基づいて、各投光回路45a〜45dに対して駆動電圧Vccを所定期間供給する。
【0028】
増設ユニット30nは、基本ユニット30aと同様に、投光素子41a〜41d、駆動回路43、投光回路45a〜45dを備えている。駆動回路43は、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SIn−1を順次転送し、駆動パルス信号SInを出力する。そして、駆動回路43は、駆動パルス信号SIn−1の転送タイミングにて各投光回路45a〜45dに選択信号SLa〜SLdを供給する。また、駆動回路43は、クロック信号SCと選択信号SLa〜SLdとに基づいて、各投光回路45a〜45dに対して駆動電圧Vccを所定期間供給する。
【0029】
従って、各ユニット30a〜30nの駆動回路43は、それぞれのユニットの投光回路45a〜45dに駆動電圧Vccを順次供給するとともに選択信号SLa〜SLdを順次出力し、駆動電圧Vcc及び選択信号が供給された投光回路に接続された投光素子から光信号が出射される。つまり、駆動回路43は、投光回路45a〜45d毎に、駆動電圧Vccの供給を制御する。
【0030】
基本ユニット30aの投光制御回路42は、増設ユニット30nから出力される駆動パルス信号SInを受け取ると、次の投光サイクルのための駆動パルス信号SI0を出力する。この構成により、投光サイクルが繰り返され、物体検出のための検出光が循環的に出射される。
【0031】
受光器20の基本ユニット50aは、受光素子61a〜61d、受光制御手段としての受光制御回路62、選択手段,駆動手段としての駆動回路63、増幅手段としての受光アンプ65a〜65dを備えている。受光制御回路62はCPU等を含み、同期線L1を介して入力される同期信号に基づいて、投光器10と同期するように生成したクロック信号SC、駆動パルス信号SI0を駆動回路63に出力する。
【0032】
駆動回路63は、シフトレジスタを含み、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SI0を順次転送し、駆動パルス信号SI1を出力する。そして、駆動回路63は、駆動パルス信号SI0の転送タイミングにて各受光アンプ65a〜65dに選択信号SLa〜SLdを供給する。つまり、駆動回路63は、各受光アンプ65a〜65dに対して選択信号SLa〜SLdを順次供給する。
【0033】
更に、駆動回路63は、クロック信号SCと駆動パルス信号SIの転送動作に従って、各選択信号SLa〜SLdの出力タイミングに応じて各受光アンプ65a〜65dに対して動作電圧としての駆動電圧Vccを所定時間供給する。駆動回路63が各受光アンプ65a〜65dに駆動電圧Vccを供給する期間は、受光アンプ65a〜65dの内部レベルが安定するまでに要する期間や、対応する投光素子41a〜41dの投光時間、等により予め設定され、例えばクロック信号SCの1周期の期間である。
【0034】
各受光アンプ65a〜65dは、供給された駆動電圧Vccに基づいて作動し、駆動回路63から入力される選択信号SLa〜SLdに応答してそれぞれ受光素子61a〜61dの出力信号を増幅した受光信号を受光制御回路62に出力する。各受光素子61a〜61dは、入射光に応じたレベルの信号を出力する。
【0035】
増設ユニット50bは、基本ユニット50aと同様に、受光素子61a〜61d、駆動回路63、受光アンプ65a〜65dを備えている。駆動回路63は、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SI1を順次転送し、駆動パルス信号SI2を出力する。そして、駆動回路63は、駆動パルス信号SI1の転送タイミングにて各受光アンプ65a〜65dに選択信号SLa〜SLdを供給する。更に、駆動回路63は、クロック信号SCと選択信号SLa〜SLdとに基づいて、各受光アンプ65a〜65dに対して駆動電圧Vccを所定期間供給する。
【0036】
増設ユニット50nは、基本ユニット50aと同様に、受光素子61a〜61d、駆動回路63、受光アンプ65a〜65dを備えている。駆動回路63は、クロック信号SCに基づいて作動し、駆動パルス信号SIn−1を順次転送し、駆動パルス信号SInを出力する。そして、駆動回路63は、駆動パルス信号SIn−1の転送タイミングにて各受光アンプ65a〜65dに選択信号SLa〜SLdを供給する。また、駆動回路63は、クロック信号SCと選択信号SLa〜SLdとに基づいて、各受光アンプ65a〜65dに対して駆動電圧Vccを所定期間供給する。
【0037】
従って、各ユニット50a〜50nの駆動回路43は、それぞれのユニットの受光アンプ65a〜65dに駆動電圧Vccを順次供給するとともに選択信号SLa〜SLdを順次出力し、駆動電圧Vcc及び選択信号が供給された受光アンプに接続された受光素子の出力信号が対応する受光アンプにより増幅されて受光信号DSとして出力される。つまり、駆動回路63は、受光アンプ65a〜65d毎に、駆動電圧Vccの供給を制御する。
【0038】
基本ユニット50aの受光制御回路62は、増設ユニット50nから出力される駆動パルス信号SInを受け取ると、次の受光サイクルのための駆動パルス信号SI0を出力する。この構成により、投光サイクルに同期して受光サイクルが繰り返され、入射される検出光に応じた受光信号DSが出力される。
【0039】
次に、駆動回路の構成を説明する。
図3は、受光器20の増設ユニット50b,50cの一例を示す回路図である。
増設ユニット50bの駆動回路63は、4個の受光素子61a〜61dに対応する4個のフリップフロップ回路(以下、FF回路)71a〜71dを含む。各FF回路71a〜71dは直列に接続されている。即ち、第1FF回路71aの入力端子Dには駆動パルス信号SI1が入力され、非反転出力端子Qは第2FF回路71bの入力端子Dに接続され、第2FF回路71bの非反転出力端子Qは第3FF回路71cの入力端子Dに接続され、第3FF回路71cの非反転出力端子Qは第4FF回路71dの入力端子Dに接続され、第4FF回路71dの非反転出力端子Qから駆動パルス信号SI2が出力される。
【0040】
初段(1段目)のFF回路71aのクロック端子と3段目のFF回路71cのクロック端子には、クロック信号SCが入力される。2段目のFF回路71bのクロック端子と最終段(4段目)のFF回路71aのクロック端子には、それぞれインバータ回路81b,81dによりクロック信号SCを反転した反転クロック信号SCxが入力される。
【0041】
各FF回路71a〜71dは、クロック端子に入力される信号の立ち上がりエッジのタイミングで、入力端子Dに入力される信号と等しいレベルの信号を出力端子Qから出力する。従って、各FF回路71a〜71dは、1パルスの駆動パルス信号SI(SI1)が入力されると、図4に示すように、クロック信号SCのレベル変化に応じてパルス信号SIa〜SIdを順次出力する。各パルス信号SIa〜SIdのパルス幅は、クロック信号SCの1周期と等しい。そして、初段及び3段目のFF回路71a,71cがクロック信号SCの立ち上がりエッジのタイミングでHレベル(駆動電圧Vccレベル)のパルス信号SIa,SIcを出力し、2段目及び4段目のFF回路71b,71dが反転クロック信号SCxの立ち上がりエッジ、即ちクロック信号SCの立ち下がりエッジのタイミングでHレベルのパルス信号SIb,SIdを出力する。即ち、Hレベルのパルス信号SIa〜SIdがクロック信号SCの半周期ずつずれて出力される。従って、FF回路71a〜71dは、クロック信号SCの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに同期して駆動パルス信号SI1(SI)を順次転送するシフトレジスタ64を構成する。そして、最終段のFF回路71dから出力されるパルス信号SIdが、シフトレジスタ64の出力信号SI2として出力される。
【0042】
図3に示すように、各FF回路71a〜71dの出力端子Qは、対応する信号生成回路としてのアンド回路83a〜83dの入力端子にそれぞれ接続されるとともに、対応する受光アンプ65a〜65dの電源端子(Vccと表記)にそれぞれ接続されている。
【0043】
各受光アンプ65a〜65dは、電源端子に供給されるHレベル、即ち駆動電圧Vccレベルのパルス信号SIa〜SIdにより動作する。上記したように、パルス信号SIa〜SIdは、クロック信号SCの半周期ずつずれてHレベルとなるとともに、クロック信号SCの1周期分Hレベルとなる。従って、各受光アンプ65a〜65dは、それぞれクロック信号SCの半周期ずつずれて、クロック信号SCの1周期分の期間動作する。
【0044】
アンド回路83aとアンド回路83cには、クロック信号SCをそれぞれインバータ回路81b,81dにより反転した反転クロック信号SCxが入力される。アンド回路83b、83dにはクロック信号SCが入力される。
【0045】
アンド回路83aは、2つの入力信号がともにHレベルのときにHレベルの信号を出力し、2つの入力信号の少なくとも一方がLレベルのときにLレベルの信号を出力する。FF回路71aがクロック信号SCの立ち上がりエッジのタイミングでHレベルのパルス信号SIaを出力するとき、インバータ回路82aから出力される反転クロック信号SCxはLレベルである。従って、アンド回路83aはLレベルの選択信号SLaを出力する。この時、受光アンプ65aは、Hレベルのパルス信号SIa、つまり駆動電圧Vccが供給され、動作を開始する。
【0046】
上記のFF回路71aは、クロック信号SCの1周期の間、Hレベルのパルス信号SIaを出力する。そして、クロック信号SCの立ち上がりから半周期遅れてインバータ回路82aがHレベルの反転クロック信号SCxを出力すると、アンド回路83aはHレベルの選択信号SLaを出力する。受光アンプ65aは、Hレベルの選択信号SLaに応答して、受光素子61aの出力信号を増幅した受光信号DSを出力する。
【0047】
上記のFF回路71aは、Hレベルのパルス信号SIaをクロック信号SCの1周期分出力した後、Lレベルのパルス信号SIaを出力する。従って、受光アンプ65aは、このLレベルのパルス信号SIa、つまり駆動電圧Vccの供給が停止され、動作しなくなる。
【0048】
アンド回路83b〜83dは、アンド回路83aと同様に動作する。従って、各アンド回路83b〜83dは、Hレベルのパルス信号SIb〜SIdからクロック信号SC(反転クロック信号SCx)の半周期遅れてHレベルの選択信号SLb〜SLdをそれぞれ出力する。各受光アンプ65b〜65dは、それぞれHレベルの選択信号SLb〜SLdに応答して、受光素子61b〜61dの出力信号を増幅した受光信号DSを順次出力する。
【0049】
増設ユニット50bを構成するFF回路71a〜71d等の素子は1枚の基板に実装され、この基板は図1に示す増設ユニット50bの内部に固定されている。更に、この基板には素子を接続する信号配線と、及び素子に駆動電圧を供給するための電源配線とが、パターンとして形成されている。
【0050】
図3に示すように、増設ユニット50cは、増設ユニット50bと同様に構成されている。増設ユニット50c内に固定された基板は、増設ユニット50b内に固定された基板と配線により接続されている。即ち、両ユニット50b,50cの基板は、クロック信号SCと駆動パルス信号SI2と受光信号DSとをそれぞれ伝達する配線(ケーブル)と、上記の駆動電圧を供給するための電源配線とにより接続されている。即ち、上記信号SC,SI2,DSにより、受光アンプ66a〜66dに対する駆動電圧の供給・停止、受光動作の開始、検出結果である受光信号の伝達を行うことができるため、他に制御信号を追加する必要がない。
【0051】
そして、増設ユニット50cの駆動回路63を構成するFF回路71a(図面中央右側)の接続関係は、増設ユニット50bの駆動回路63を構成するFF回路71cの接続関係と同様である。従って、増設ユニット50bを構成するシフトレジスタ64の最終段に設けられたFF回路71d(図面中央左側)に対して、増設ユニット50cを構成するシフトレジスタ64の初段に設けられたFF回路71aの動作タイミングは、増設ユニット50bのFF回路71bに対するFF回路71cの動作タイミングと等しくなる。
【0052】
更に、図2に示す基本ユニット50aや、他の増設ユニットにおいても同様に構成され、同じタイミングにて各FF回路が動作する。つまり、受光器20を構成するユニット50a〜50nにおいて、4n個のFF回路が4n段のシフトレジスタを構成し、4n個の受光アンプに対して順次駆動電圧Vccを供給し、所定期間(クロック信号SCの1周期)順次動作させる。
【0053】
このため、受光アンプ65a〜65dにおける消費電流は、従来例のように全ての受光アンプ65a〜65dを同時に駆動する場合や、ブロック毎に駆動する場合に比べて少なくなる。従って、受光器20における消費電流を低減することができる。尚、投光器10においても駆動回路43が同様に構成されているため、投光器10における消費電流を低減することができる。
【0054】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)受光器20において、各受光ユニット50a〜50nは、それぞれ駆動回路63を備える。駆動回路63は、クロック信号SCと内包するシフトレジスタにより転送するパルス信号SIに基づいて、複数の受光アンプ65a〜65dに対して駆動電圧Vccを順次供給するようにした。その結果、前段の受光ユニットから制御信号を受け取る必要が無い、即ち、制御信号を必要としないため、受光アンプ等を搭載した基板上のパターン数、及び受光ユニット間を接続する配線の数を、従来例に比べて少なくすることができる。パターン数、配線数が少なくなると、基板や配線を含むケーブルの太さなどの制限に応じて、パターン幅や配線の太さを、従来例よりも太くすることができる。その結果、パターンや配線により伝達される信号に対するノイズの影響を少なくすることができる。
【0055】
(2)駆動回路63は、クロック信号SCとパルス信号SIとに基づいて、各受光アンプ65a〜65dに対して、クロック信号SCの半周期ずつずらして、同クロック信号SCの1周期分だけ駆動電圧Vccを供給するようにした。その結果、受光器20の両端の受光アンプがそれぞれ単独で動作する場合を除いて、同時に2つの受光アンプのみが動作することになる。その結果、受光器20全体の消費電流を低減することができる。
【0056】
(3)駆動回路63は、各受光アンプ65a〜65dに対して駆動電圧Vcc(パルス信号)を供給してからクロック信号SCの半周期後に選択信号SLa〜SLdを供給するようにした。このため、選択するタイミングよりも前に駆動電圧Vccが供給されるため、増幅のための準備を整える時間が確保され、安定した信号を出力することができる。
【0057】
(4)投光器10において、受光器20の駆動回路63と同様に構成された駆動回路43を備えることにより、受光器20における効果を同様に得ることができる。
(5)投光器10の各ユニット30a〜30n、受光器20の各ユニット50a〜50nはそれぞれ独立したユニットとして構成され、電気的に接続される。その結果、接続するユニットの数を変更することにより、投光素子及び受光素子の数を容易に変更した多光軸光電センサを構築することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態を図5に従って説明する。
説明の便宜上、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を一部省略する。
【0059】
図5は、受光器20の増設ユニット51b,51cの一例を示す回路図である。
増設ユニット51b,51cは、受光素子61a〜61d、駆動回路63a、受光アンプ66a〜66dを備えている。尚、図示しないが、これら増設ユニット51b,51cが接続される基本ユニット及び他の増設ユニットも同様に構成されている。そして、必要とする場合に符号を用いて基本ユニット51a、増設ユニット51nとして説明する。
【0060】
駆動回路63aは、第1の実施の形態と同様に、受光素子61a〜61dに対応する4個のフリップフロップ回路(以下、FF回路)71a〜71dにより構成されるシフトレジスタ64を有している。
【0061】
初段のFF回路71aに対応するアンド回路83aの入力端子は、同FF回路71aの出力端子Qと、次段のFF回路71bの出力端子Qが接続されている。従って、初段のアンド回路83aには、2段分のFF回路71a,71bからそれぞれ出力されるパルス信号SIa,SIbが入力される。同様に、3段目のFF回路71cに対応するアンド回路83cの入力端子は、同FF回路71cの出力端子Qと、次段のFF回路71dの出力端子Qが接続されている。従って、3段目のアンド回路83cには、2段分のFF回路71c,71dからそれぞれ出力されるパルス信号SIc,SIdが入力される。つまり、本実施の形態の駆動回路63aは、第1の実施の形態の駆動回路63と比べて、2つのインバータ回路82a,82cが省略されている。
【0062】
第1の実施の形態において説明したように、各FF回路71a〜71dは、それぞれパルス信号SIa〜SIdを出力し、各パルス信号SIa〜SIdの位相は、クロック信号SC(反転クロック信号SCx)の半周期分ずれている。FF回路71aはクロック信号SCの立ち上がりエッジのタイミングでHレベルのパルス信号SIaを出力し、そのFF回路71aの次段のFF回路71bは、反転クロック信号SCxの立ち上がりエッジのタイミングでパルス信号SIbを出力する。つまり、第1の実施の形態におけるインバータ回路82aが出力する信号の立ち上がりエッジのタイミングと、FF回路71bが出力するパルス信号SIbの立ち上がりエッジのタイミングは実質的に同じ(ゲート遅延によりわずかなタイミングのずれが生じる場合がある)である。
【0063】
以上記述したように、本実施の形態によれば以下の効果を奏する。
(1)本実施の形態の駆動回路63aは、第1の実施の形態の駆動回路63と同じタイミングで、各受光アンプ65a〜65dに駆動電圧Vccを供給するとともに選択信号SLa〜SLdを供給することができる。更に、本実施の形態の駆動回路63aは、第1の実施の形態の駆動回路63と比べて2つのインバータ回路82a,82cが省略されているため、回路規模が小さく、部品点数が少なく、低消費電力化及び低コスト化となる。
【0064】
(第3の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態を図6及び図7に従って説明する。
説明の便宜上、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を一部省略する。
【0065】
図6は、受光器20の増設ユニット51b,51cの一例を示す回路図である。
増設ユニット51b,51cは、受光素子61a〜61d、駆動回路63、受光アンプ66a〜66dを備えている。尚、図示しないが、これら増設ユニット51b,51cが接続される基本ユニット及び他の増設ユニットも同様に構成されている。そして、必要とする場合に符号を用いて基本ユニット51a、増設ユニット51nとして説明する。
【0066】
駆動回路63を構成する4個のフリップフロップ回路(以下、FF回路)71a〜71dの出力端子Qは、各受光アンプ66a〜66dの制御端子Contにそれぞれ接続されている。従って、各受光アンプ66a〜66dの制御端子Contには、パルス信号SIa〜SIdが入力される。受光アンプ66a〜66dの電源端子Vccには、駆動電圧が供給されている。
【0067】
図7に示すように、受光アンプ66aは、9つのトランジスタT1〜T9と、6つの抵抗R1〜R6、3つのコンデンサC1〜C3と、1つのスイッチSWから構成されている。本実施形態においては、第1、第4、第5、第7、第8、第9トランジスタT1,T4,T5,T7,T8,T9はNPNトランジスタであり、第2、第3、第5トランジスタT2,T3,T5はPNPトランジスタである。
【0068】
受光素子61aのアノードには低電位電圧VEEが供給され、受光素子61aのカソードは第1トランジスタT1のベース(制御端子)に接続されている。また、受光素子61aには並列に第1コンデンサC1が接続されている。第1トランジスタT1のエミッタには低電位電圧VEEが供給されている。
【0069】
第2トランジスタT2のコレクタには駆動電圧Vccが供給され、そのベースは第3トランジスタT3のベースに接続されている。第3コンデンサC3の両端には駆動電圧Vccと低電位電圧VEEが供給されている。第3トランジスタT3のエミッタには駆動電圧Vccが供給され、第3トランジスタT3のコレクタは同第3トランジスタT3のベースと第4トランジスタT4のコレクタに接続されている。
【0070】
第4トランジスタT4のベースは第6,第8,第9トランジスタT6,T8,T9のベースに接続され、第4,第6,第8,第9トランジスタT4,T6,T8,T9のエミッタには低電位電圧VEEが供給されている。第9トランジスタT9のベースは同第9トランジスタT9のコレクタと、第6抵抗R6の一端に接続され、第6抵抗R6の他端は第5抵抗R5の一端に接続され、第5抵抗R5の他端には駆動電圧Vccが供給されている。第5抵抗R5と第6抵抗R6との間の接続点には第4抵抗R4の一端が接続され、第4抵抗R4の他端にはパルス信号SIaが供給されている。
【0071】
上記第1トランジスタT1ベース−コレクタ間には第1抵抗R1が接続されている。また、第1トランジスタT1のコレクタは第2コンデンサC2の一端が接続され、第2コンデンサC2の他端は第5トランジスタT5のベースに接続されている。第5トランジスタT5のエミッタには駆動電圧Vccが供給され、第5トランジスタT5のコレクタは第6トランジスタT6のコレクタに接続されている。また、第5トランジスタT5のベース−コレクタ間には第2抵抗R2が接続されている。
【0072】
第5トランジスタT5と第6トランジスタT6との間の接続点には第3抵抗R3の一端が接続され、第3抵抗R3の他端は第7トランジスタT7のベースに接続されている。第7トランジスタT7のコレクタには駆動電圧Vccが供給され、第7トランジスタT7のエミッタは第8トランジスタT8のコレクタに接続されている。第7トランジスタT7と第8トランジスタT8の間の接続点はスイッチSWに接続されている。スイッチSWは端子SELを介して入力される選択信号SLaに応答してオンオフする。選択信号SLaがオン状態のとき、スイッチSWに接続される端子OUTを介して受光信号DSが出力される。
【0073】
受光アンプ66aには、駆動回路63からHレベル又はLレベルのパルス信号SIaが供給される。そのパルス信号SIaは、第4抵抗R4を介して第5抵抗R5と第6抵抗R6の間の接続点に供給される。そして、第5抵抗R5には、駆動電圧Vccによる電流が流れる。従って、Hレベルのパルス信号SIaが供給されるとき、抵抗R5と抵抗R6との間の接続ノードが駆動電圧Vccレベルとなり、第9トランジスタT9には第6抵抗R6を介して電流が供給され、そのトランジスタT9は、コレクタ−ベース間電圧に応じた電流を流す。この時トランジスタT9に流れる電流を正規電流とする。
【0074】
一方、Lレベルのパルス信号SIaが供給されるとき、抵抗R5と抵抗R6との間の接続ノードは、駆動電圧Vccを抵抗R5と抵抗R4とで分圧した電圧となり、この電圧に応じて、第9トランジスタT9には、正規電流より少ない電流が流れる。この時の電流を待機電流とする。
【0075】
第9トランジスタT9は、第4,第6,第8トランジスタT4,T6,T8とともにカレントミラー回路を構成する。そして、本実施形態では各トランジスタT4,T6,T8,T9は同じサイズにて形成されている。従って、第4,第6,第8トランジスタT4,T6,T8には、第9トランジスタT9に流れる電流と同量の電流が流れる。従って、第5,第7トランジスタT5,T7とともに増幅部を構成する第6,第8トランジスタT6,T8には、受光アンプ66aが選択状態のときに正規電流が流れ、非選択状態のときに正規電流より少ない待機電流が流れる。
【0076】
そして、第4トランジスタT4に接続された第3トランジスタT3にも同量の電流が流れる。更に、第3トランジスタT3は第2トランジスタT2とカレントミラー回路を構成し、両トランジスタT2,T3は同じサイズにて形成されているため、第2トランジスタT2には第3トランジスタT3と同量の電流が流れる。
【0077】
第2トランジスタT2に流れる電流は、受光部を構成する受光素子61a及び第1トランジスタT1に供給される。そして、第2トランジスタT2に流れる電流は、上記したように、受光アンプ66aが選択状態のときに正規電流であり、非選択状態のときに正規電流より少ない待機電流である。
【0078】
従って、第4〜第6抵抗R4〜6及び第9トランジスタT9は、受光アンプ66aが選択状態のときに正規電流を供給し、非選択状態のときに正規電流より少ない待機電流を供給する電源供給手段を構成する。そして、受光アンプ66aには、非選択状態のときに正規電流より少ない待機電流が流れるため、選択状態の時に比べて消費電力が少なくなる。また、受光アンプ66aは、非選択状態の時に待機電流が流れるため、電源の供給を停止する場合に比べて、正規電流が供給された場合に正常に動作するまでの時間が短い。つまり、電源の供給を停止する場合に比べて、本実施形態の受光アンプ66aは、短時間で受光可能な状態となるため、電源の供給/停止を行う場合に比べて、受光するタイミングに近いタイミングで正規電流を供給すればよくなる。
【0079】
第2トランジスタT2から流れ出た電流は第1抵抗R1と第1トランジスタT1に流れ込む。第1トランジスタT1は、バイアス電流を流すための電流調整用第1抵抗R1を介して電流が流れることで動作する。この時、受光素子61aが受光すると、第1抵抗R1から流れる電流が分流され、第1トランジスタT1のエミッタを流れる電流量が変化する。その電流量の変化に応じて、第2コンデンサC2に加わる電位(詳しくは第2トランジスタのエミッタ、第1トランジスタのコレクタ、第1抵抗R1,第2コンデンサC2の接続点)が変化し、第2コンデンサC2を介してその電位変化が第5,第7トランジスタへと伝えられる。第2抵抗R2は第5トランジスタT5の、第3抵抗R3は第7トランジスタT7のバイアス電流調整のための抵抗値である。両第5,第7トランジスタT5,T7は増幅回路の役割を果たし、その出力電力は受光信号DSとして、選択信号SLaのオンオフに応答して端子OUTより出力される。
【0080】
以上記述したように、本実施の形態によれば以下の効果を奏する。
(1)受光ユニット51a〜51nは、それぞれ駆動回路63を備える。駆動回路63は、クロック信号SC(反転クロック信号SCx)に基づいて駆動パルス信号SI1を転送して、受光アンプ66a〜66dに対して、Hレベル又はLレベルのパルス信号SIa〜SIdを供給する。受光アンプ66a〜66dの第9トランジスタT9は、Hレベルのパルス信号SIaが供給されるときに正規電流を受光素子61aなどに供給する。そして、Lレベルのパルス信号SIaが供給されるときに正規電流より少ない待機電流を受光素子61aなどに供給するようにした。その結果、受光器全体の消費電力を低減することが出来る。
【0081】
(2)非選択状態にある受光アンプには待機電流が供給されているため、正規電流が供給されてから受光可能な状態になるまでの時間が短くなる、つまり制御信号に基づいて複数の増幅手段に、電源を完全に切ることなく動作制御を加えることができるため、受光器の立ち上がりまでの待ち時間を要さなくなる。
【0082】
(3)多光軸光電センサは、複数の受光アンプ66a〜66dをそれぞれ順次切替えて選択する選択タイミングを有し、この選択タイミング中における同期信号に基づく受光タイミングで受光処理を行う受光タイミング選択信号が供給される。このため、電源供給手段は選択信号に基づいて所定数の増幅手段に対して、タイミングを切り替えて必要な受光処理を行う。従って、正規電流を供給する増幅手段を選択することができ、全体としての消費電力が少なくなる。
【0083】
尚、上記本実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記各実施の形態において、駆動回路の構成を適宜変更しても良い。例えば、図8に示す駆動回路63bは、受光ユニットの構成に対応する数(図8において4個)のインバータ回路84a,84b,84c,84dを直列に接続するとともに、初段のインバータ回路84aにクロック信号SCを供給する。従って、インバータ回路84a,84cは、クロック信号SCと逆相の信号、即ち反転クロック信号SCxを出力し、インバータ回路84b,84dはクロック信号SCと同相の信号を出力する。そして、クロック信号SCと各インバータ回路84a〜84dの出力信号を、上記各実施形態と同様に、FF回路71a〜71dとアンド回路83a〜83dに供給する。このように構成された駆動回路63bを用いても、上記実施の形態と同様に、消費電流を低減することができる。
【0084】
・上記各実施の形態において、各受光ユニットの構成を適宜変更しても良い。例えば、第2の実施の形態の駆動回路63aと、第3の実施の形態の受光アンプ66a〜66dとを組み合わせて受光ユニットを構成してもよい。
【0085】
・上記実施の形態では、増設ユニット50bを構成するFF回路71a〜71d等の素子を1枚の基板に実装したが、1枚の基板に1つの受光素子に対応する回路を構成する素子を搭載する、即ち増設ユニット50bに4枚の基板を固定し、各基板間を配線ケーブルにより接続する構成としてもよい。また、1つの基板に2つ以上の受光素子に対応する回路を構成する素子を実装し、各基板間を配線ケーブルにより接続する構成としてもよい。
【0086】
尚、基板上に駆動回路63を構成する素子を実装し、基板と受光アンプを配線ケーブルにより接続するようにしてもよい。また、基板上に駆動回路63を構成する素子と受光アンプ66a〜66dを実装し、基板と受光素子61a〜61dを配線ケーブルにより接続するようにしてもよい。これらの場合、受光素子、又は受光素子と受光アンプとを基板に実装し、この基板と駆動回路63を構成する素子を実装した基板とを配線ケーブルにより接続するようにしてもよい。
【0087】
・上記各実施の形態は、各投光ユニット30a〜30nに4個の投光素子41a〜41dを備え、各受光ユニット50a〜50nに4個の受光素子61a〜61dを備えたが、投光素子と受光素子の数は適宜変更されても良い。また、異なる数の投光素子を備えた投光ユニット、例えば4個の投光素子を備えたユニットと8個の投光素子を備えたユニットを接続して投光器を構成しても良い。同様に、異なる数の受光素子を備えた受光ユニットを接続して受光器を構成しても良い。
【0088】
・上記各実施の形態は、各ユニット30a〜30n,50a〜50n毎に電源を管理する構成としたが、各ユニットの回路を複数のサブユニットに分割してサブユニット毎に電源を管理する構成としてもよい。また、電源を供給する回路が電気的に分離されていればよく、投光器,受光器をそれぞれ1つのユニットから構成してもよい。
【0089】
・上記各実施の形態は、基本ユニット30a,50aに制御回路42,62を備えたが、制御回路42,62を独立したユニット(制御ユニット)としてもよい。また、投光制御回路42と受光制御回路62とを備えた投受光制御ユニットとしてもよい。
【0090】
・上記各実施の形態の駆動回路63,63aは、シフトレジスタ64によりパルス信号SIを転送する構成としたが、シフトレジスタ以外によりパルス信号しを転送する構成としてもよい。
【0091】
・上記各実施の形態において、投光回路45a〜45d、受光アンプ65a〜65dに供給する電流量を増加させてもよい。この場合、投光回路45a〜45d、受光アンプ65a〜65dは、供給される電流量に応じた速度で作動する。例えば、受光アンプ65a〜65dに供給する電流量を2倍とした場合、受光器20を構成する全ての受光アンプ65a〜65dにおける消費電流は、従来例の4/nとなる。従って、4個の受光ユニットを接続して構成した受光器は、従来例と同じ消費電流となるが、各受光器を構成する受光アンプ65a〜65dの応答速度を上げることができる。また、5個以上の受光ユニットを接続して構成した受光器では、消費電流を削減するとともに、受光アンプ65a〜65dの応答速度を上げることができる。
【0092】
・上記各実施の形態のユニットを組み合わせて多光軸光電センサを構成してもよい。また、上記各実施の形態のユニットと、受光アンプが常時動作するユニットとを組み合わせて多光軸光電センサを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1の実施の形態の多光軸光電センサを示す斜視図。
【図2】多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図。
【図3】ユニットの回路図。
【図4】受光処理時のタイミングチャート。
【図5】第2の実施の形態のユニットの回路図。
【図6】第3の実施の形態のユニットの回路図。
【図7】第3の実施の形態の受光アンプの回路図。
【図8】別の駆動回路の回路図。
【図9】従来の多光軸光電センサを示す斜視図。
【符号の説明】
【0094】
10…投光器、20…受光器、50a〜50n,51a〜51n…受光ユニット、61a〜61n…受光素子、65a〜65d、66a〜66d…受光アンプ、63,63a,63b…駆動回路、64…シフトレジスタ、SC…クロック信号、SI,SI0〜SIn…パルス信号、SLa〜SLd…選択信号,Vcc…駆動電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投光手段を備え該複数の投光手段を予め設定される順序で選択して信号光を出射する投光器と、前記複数の投光手段に対向配置され対応する投光手段から出射される信号光が入射される複数の受光手段を備えた受光器と、からなる多光軸光電センサにおいて、
前記受光器は、
前記投光器と前記受光器とを同期動作させるためのクロック信号と、前記受光手段が受光動作を開始するパルス信号が入力され、
複数の受光手段にそれぞれ接続された複数の増幅手段と、
前記複数の増幅手段にそれぞれ接続された複数の駆動手段と
を備え、
前記複数の駆動手段は、前記クロック信号に基づいて前記パルス信号を順次転送するように直列に接続され、転送により出力するパルス信号と前記クロック信号とに基づいて前記パルス信号から遅れて選択信号をそれぞれ出力し、
前記複数の増幅手段は、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記パルス信号に基づいて動作し、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する、
ことを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記駆動手段は、後段の前記増幅手段に前記パルス信号を出力するときに前記選択信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
前記増幅手段は、前記パルス信号の電圧を駆動電圧として動作する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多光軸光電センサ。
【請求項4】
前記増幅手段は、前記パルス信号に応答して選択状態と非選択状態とを切替え、前記選択状態のときに前記非選択状態よりも多くの電流を消費するように構成され、前記選択状態のときに前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多光軸光電センサ。
【請求項5】
所定数の前記受光手段と、前記受光手段にそれぞれ接続された所定数の増幅手段と、前記所定数の増幅手段に接続された前記駆動手段とによりユニットが構成され、各ユニットは機械的に接続可能に形成され、前記受光器は複数のユニットから構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の多光軸光電センサ。
【請求項6】
複数の投光手段を備え該複数の投光手段を予め設定される順序で選択して信号光を出射する投光器と対向配置されて多光軸光電センサを構成する受光器であって、
前記複数の投光手段に対向配置され対応する投光手段から出射される信号光が入射される複数の受光手段と、
前記複数の受光手段にそれぞれ接続された複数の増幅手段と、
前記複数の増幅手段にそれぞれ接続された複数の駆動手段と
を備え、
前記複数の駆動手段は、前記投光手段と前記受光手段とを同期動作させるためのクロック信号に基づいて前記受光手段が受光動作を開始するパルス信号を順次転送するように直列に接続され、転送により出力するパルス信号と前記クロック信号とに基づいて前記パルス信号から遅れて選択信号をそれぞれ出力し、
前記複数の増幅手段は、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記パルス信号に基づいて動作し、それぞれ対応する前記駆動手段から出力される前記選択信号に応答して前記受光手段の出力信号に応じた受光信号を出力する、
ことを特徴とする受光器。
【請求項7】
所定数の前記受光手段と、前記受光手段にそれぞれ接続された所定数の増幅手段と、前記所定数の増幅手段に接続された前記駆動手段とによりユニットが構成され、各ユニットは機械的に接続可能に形成され、前記受光器は複数のユニットから構成されたことを特徴とする請求項6に記載の受光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−154352(P2010−154352A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331478(P2008−331478)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】