多孔性テンプレートを利用するナノワイヤの製造方法、ならびにナノワイヤを用いたマルチプローブ、電界放出チップおよび素子
【課題】直進性および配列性に優れたナノワイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)多孔性テンプレートを準備する段階;(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および(c)SLS法またはVLS法によって前記多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;を含む、ナノワイヤの製造方法である。
【解決手段】(a)多孔性テンプレートを準備する段階;(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および(c)SLS法またはVLS法によって前記多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;を含む、ナノワイヤの製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多孔性テンプレートを利用するナノワイヤの製造方法、ナノワイヤを用いたマルチプローブ、電界放出チップ、および素子に係る。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤは、直径がナノメートル(10−9m)の領域で、長さが直径に比べてずっと大きい数百ナノメートル、マイクロメートル(10−6m)またはミリメートル(10−3m)単位である線形材料である。このようなナノワイヤの物性はそれが有する直径と長さによって異なる。
【0003】
前記ナノワイヤは、小さなサイズであるため微細素子に多様に応用され、特定方向への電子の移動特性または偏光特性を利用することができる利点がある。
【0004】
現在、ナノ粒子の物性および製造方法に関する研究は盛んに行われているのに対し、ナノワイヤの製造方法に関する研究は多くないのが実情である。既存の代表的なナノワイヤの製造方法として、例えば化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD)、レーザーアブレーション法(Laser Ablation)およびテンプレートを用いる方法などがある。
【0005】
このうち、テンプレートを用いる方法は、数ナノメートルから数百ナノメートル単位の気孔を作り、この気孔をナノワイヤの型として用いるものである。例えば、アルミニウム電極を酸化させて表面に酸化物を形成し、この酸化物に電気化学的エッチングでナノ気孔を作製する。これを金属イオンの入っている溶液に浸し、電気をかけると、金属イオンが気孔を通じてアルミニウム電極上に堆積することになり、前記気孔は金属イオンで満たされる。その後、適当な方法で前記酸化物を除去すると、金属ナノワイヤのみを収得することができる(例えば特許文献1、および非特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6,525,461号明細書
【非特許文献1】Nanoletter 2005,Vol.5,No.4,458.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のようなテンプレートを用いる従来技術によるナノワイヤ製造方法は、工程がとても複雑で、時間が長くかかって大量生産に適さないだけでなく、優れた直進性および配列性を有するナノワイヤを製造することができないという問題点がある。
【0007】
このように、テンプレートを利用するナノワイヤの製造方法に関する技術は、一例として特許文献1に開示されている。前記特許文献1には、基材上に触媒フィルムを形成し、上部に多孔性層を形成し、熱操作によって気孔内でチタンナノワイヤを形成する技術が開示されているが、AAO(Anodic Aluminum Oxide)テンプレートのAlは融点が660℃であるから、SLS法によるナノワイヤ製作には使用できず、テンプレートが不透明であるから、光素子の製作には使うことができない。
【0008】
一方、VLS(Vapor−Liquid−Solid)方式によってナノワイヤの直進性を向上させた技術として、ナノインプリント(nano imprint)法を利用してナノワイヤを成長させた技術が知られている。しかし、前記技術は、ナノワイヤの密度が低く、長さおよび直径が均一でない上に、ワイヤの直径が40nm以上に大きいという欠点がある。
【0009】
電子放出源から放出される電子の量は印加される電場の強さと電子放出源の材質および形状によって影響を受けることになるが、近年電極に印加される電圧が数百Vから数十Vに低電圧化が進んでおり、低電圧化するほど電子放出源の材質および形状に関する技術開発が要求されている。
【0010】
一般に、電界による固相表面での電界放出効果は平板表示素子の一つである電界放出平板表示素子をはじめ、真空マイクロ電子素子またはマイクロ波素子などの電子素子の応用を可能にする物理的な特性であると言える。
【0011】
このような応用において、一番基本となることは、電界をかけた時、電子を放出することができる性能に優れた電界放出部の確保であると言えるが、このような電界放出部にとって取り揃えなければならない特性としては、低電圧下で電子の放出が容易で安定し、電子放出量が大きく、耐久性が優秀でなければならないということである。
【0012】
ところが、既存のカーボンナノチューブなどを利用したナノ大きさの電界放出チップの場合、使用回数の増加よってチップの先が鈍くなる欠点があることから、ZnO、SiまたはSiCなどのような高強度物質で代替させる必要性が台頭してきた。
【0013】
したがって、本発明は前述した従来技術の問題点を克服するためのもので、本発明の一つの目的は、直径および長さの調節が容易であるだけでなく、直進性および配列性に優れたナノワイヤを製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、ナノ領域で大きさ、長さおよび間隔を自由に制御することができるマルチプローブを提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、大きさ、長さおよび間隔を自由に制御することができる電界放出チップを提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記のナノワイヤ製造方法によって形成された直進性に優れ、所望位置に配列可能なナノワイヤを含む素子を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、前記の電界放出チップを含む素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するために、本発明は、(a)多孔性テンプレートを準備する段階;(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および(c)SLS(solid−liquid−solid)法またはVLS(vapor−liquid−solid)法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;を含む、ナノワイヤの製造方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明の方法によってナノワイヤを製造した後、前記多孔性テンプレート末端の一部をエッチングしてナノワイヤを露出させる段階、または、ナノワイヤを前記多孔性テンプレートの長さより長く成長させてナノワイヤを露出させる段階をさらに含む方法、ならびにそれによって製造されるナノワイヤを用いたマルチプローブおよび電界放出チップを提供する。
【0020】
さらに本発明は、前記方法によって製造されたナノワイヤを含む素子、および前記方法によって製造されたナノワイヤを含む電界放出チップを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単で経済的な工程によってナノワイヤの直径および長さを自由に調節することができ、直進性および配列性に優れたナノワイヤを製造することができる。
【0022】
また、本発明の方法によって製造されるマルチプローブは、多孔性テンプレートの気孔の規格を調節することにより、チップ間隔、長さ、大きさ、個数などを容易に制御することができるので、このようなマルチプローブを電磁気特性の分析のためのSPMなどのプローブとして利用する際、特性分析の速度を画期的に向上させることができ、またナノパターニングなどにも有用に使うことができる。
【0023】
本発明の方法によって製造される電界放出チップは、簡単で経済的な工程によってナノワイヤの大きさおよび間隔を自由に調節することができる利点があるので、FET(Field Emission Transistor)のような電子素子、センサー、光検出素子(photodetector)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、レーザーダイオード(LD:Laser Diode)、EL(electro luminescence)素子、PL(photoluminescence)素子、CL(Cathodeluminescence)素子およびスイッチング(switching)素子などの多様な分野に効果的に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。
【0025】
本発明によるナノワイヤ製造方法は、ナノ気孔を有する多孔性テンプレートを利用し、SLS法またはVLS法によってナノワイヤを形成することを特徴とする。
【0026】
図1は本発明の一実施例による多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造する方法を説明するための工程流れ図である。図1を参照すれば、まず多孔性テンプレートを準備し(a段階)、この多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する(b段階)。次いで、SLS法またはVLS法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する(c段階)。
【0027】
多孔性テンプレートの気孔の大きさ、長さ、間隔などを調節することは容易であるので、本発明のように多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造すれば、ナノワイヤの直径および長さを容易に調節することができる。また、ナノワイヤの物質または組成を変化させることで超格子(superlattice)またはハイブリッド(hybrid)の複合構造物に形成することができ、ナノワイヤの成長時にドーピングして、ドーピングされたナノワイヤを製造することもできる。
【0028】
本発明の製造方法を各段階別に詳細に説明する。
【0029】
(a)多孔性テンプレートを準備する段階
本発明は、ナノワイヤを製造するために多孔性テンプレートを使うことを特徴とする。本発明において、多孔性テンプレートは内部でナノワイヤが形成される中空部を有する多数の気孔を含む。前記多孔性テンプレートは、好ましくはガラス、シリカおよびTiO2、ZnO、SnO2、WO3などの金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成され、特に好ましくはガラスで形成される。
【0030】
既存のナノワイヤを形成するためのテンプレートは主にAAO(Anodic Aluminum Oxide)が多く使われてきたが、この場合、印加された電圧によって気孔の大きさおよび長さを調節するため、気孔を均一に所望の位置に形成しにくい。また、エッチングが長手方向に最後までなされない場合、気孔が形成されない部分は取り除かなければならないため、工程が複雑である。同時に、内部に存在するアルミニウムの融点が660℃であるので、高温工程で行われるSLS法によってワイヤを形成することができない上、材質が不透明であるため、光素子の製作には使うことができない。
【0031】
これに対し、特にガラステンプレートでは、大きな気孔を有するファイバーを結束して一度に引張って作製するため、気孔を均一に所望の位置に形成しやすく、ファイバーのカッティングによって長さが決まるので、均一な気孔を有する多様な長さのテンプレートを選択することができる。また、工程が簡単であるだけでなくガラスの融点が1700℃程度であるので、高温工程で行われるSLS法によってワイヤを形成することができる。さらに、材質が透明であるので、光素子に使用することができ、既存の光ファイバー技術を利用することができる。
【0032】
本発明で用いられうる前記多孔性テンプレートの直径は、ナノワイヤが成長する基板の大きさによって選択可能である。また、前記多孔性テンプレート内の気孔の大きさ、および前記多孔性テンプレートの高さは、製造しようとするナノワイヤの規格によって変わり、特に限定されるものではないが、好ましくは数nm〜数μmである。
【0033】
(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階
多孔性テンプレートが提供されれば、これを金属触媒層が形成された基板上に配置させる。本発明において、金属触媒層は、基板上に金属触媒、例えばAu金属触媒をコートすることで形成される。この際、不純物を取り除くために、通常の方法によって基板を予め洗浄することができる。
【0034】
本発明に使うことができる基板としては、好ましくは、シリコン基板またはシリコンをコートしたガラス基板などが用いられうる。
【0035】
前記基板上にコートされる金属触媒は、ワイヤを成長させることができる金属触媒であればいずれも使うことができる。具体的には、Au、Ni、Fe、Ag、Pd、Pd/Niを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの金属触媒は、単独で使用されても、あるいは2種以上の混合物で使用されてもよい。
【0036】
この際、前記金属触媒は、好ましくはナノ粒子または薄膜の形態で基板にコートされる。前記基板上にコートされる金属触媒層の厚さは、好ましくは5nm以上であり、50nm以下である。
【0037】
前記金属触媒を基板にコートする方法としては、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されず、当該技術分野で通常用いられるコーティング法、例えば化学気相蒸着法(CVD)、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング法、浸漬(dipping)法などを使うことができる。
【0038】
(c)SLS法またはVLS法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階
本発明において、テンプレートの気孔内でナノワイヤを成長させる方法としては、SLS法またはVLS法が用いられる。
【0039】
SLS法は、図2に示すように別途に気体状シリコンを供給せず、例えば、固体基板がシリコンであれば、前記シリコン基板から拡散したシリコンを溶融触媒の表面上で凝縮して固定化することによりナノワイヤに成長させる方法である。
【0040】
これに対し、VLS法は、図3に示すように高温の反応炉の内部に送られる気体状シリコン含有種を金、コバルト、ニッケルなどの溶融触媒の表面上で凝縮して固定化させることによりシリコンナノワイヤに成長させる方法である。
【0041】
図2および図3において、例えば、基板上の金属触媒がAuであって、固体基板がシリコンであれば、それぞれの融点は1000℃以上の高温であるが、その混合物が液化する温度(共融点)は、363℃と比較的低い。したがって、基板上の金属触媒を共融点以上まで加熱すると、一部は液体の混合物となり(液体合金)、一部は固体となる。前記液体合金中のSi原子が過飽和になるとナノワイヤが成長する。
【0042】
具体的には、本発明の前記SLS法は、テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体を注入しながら加熱して、基板から拡散したナノワイヤソースでナノワイヤを形成することで実施することができる。この際、成長する時に前記金属触媒層を形成する金属触媒が前記ナノワイヤの内部に含まれるように力を加えることもできる。
【0043】
より具体的には、前記力を加える工程は、ナノワイヤが成長する面を下向きにすることにより重力が加えられるようにするか、または、例えば電場を加えるか、機械的な力を加えてナノドットの間隔を制御することで、多様な物性を有するナノワイヤを製造することができる。
【0044】
また、前記VLS法は、多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体およびナノワイヤソースを注入しながら加熱してナノワイヤを形成することで実施することができる。
【0045】
前記SLS法およびVLS法に使われる気体としては、例えば、Ar、N2、He、H2よりなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。また、前記気体は、好ましくは100sccm程度で注入されるが、工程によって変更することができる。
【0046】
前記SLS法およびVLS法は、好ましくは1.013×105Pa(760Torr)以下の圧力で実施することができる。この際の温度はSLS法の場合、好ましくは800〜1200℃であり、VLS法の場合、好ましくは370〜600℃である。また、ナノワイヤの長さに応じて加熱時間を調節することができる。温度を前記液体合金の共融点以下にするか、またはVLS法の場合、注入されるナノワイヤソースの供給を停止することで、ナノワイヤの成長を停止させることができる。
【0047】
VLS法の場合、注入されるナノワイヤソースとしては、シリコンナノワイヤを作製する場合、例えばSiH4、SiCl4、SiH2Cl2を使うことができる。また、ナノワイヤとしてカーボンナノチューブを作製する場合、注入するナノワイヤソースとしては、例えば、CH4ガスを用いることができる。
【0048】
さらに、本発明において、前記ナノワイヤの形成時、ドーピングされたナノワイヤを形成することもできる。n型またはp型にドーピングされたナノワイヤは、例えば、ナノワイヤの成長時に、B2H6、PH3などのドーピングガスにそれぞれ、もしくは交互にドロッピングする方法、または、ナノワイヤの成長後にドーパントを注入する方法で形成されうる。また、物質または組成を変化させることで、超格子、またはハイブリッドの複合構造物に形成することができる。前記複合構造物としては、例えば、シリコンおよびガリウムの層を交互に数十ナノメートルに成長させ、超格子を形成したものなどが挙げられる。前記複合構造物は、例えばシリコンナノワイヤの場合、III−V族化合物(例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムナイトライド(GaN))、カーボンナノチューブ(CNT)、酸化亜鉛(ZnO)、およびシリコンカーバイド(SiC)よりなる群から選択された物質で形成することができる。
【0049】
本発明において、前記ナノワイヤは、好ましくはカーボンナノチューブである。
【0050】
ナノワイヤが形成された後、フッ酸などのエッチング剤を使って多孔性テンプレートを除去することができる。
【0051】
本発明のナノワイヤの製造方法は多様に変形して実施することができる。本発明の方法においては、上述のようにナノワイヤが形成された後、図5に示すように、多孔性テンプレートの末端の一部区間をエッチングによって取り除いてナノワイヤを露出させるか(b)、あるいはナノワイヤを多孔性テンプレートより長く成長させてナノワイヤの末端の一部を露出させることができる(a)。
【0052】
まず、多孔性テンプレートの末端の一部をエッチングする方法について図6を参照して説明する。はじめに、多孔性テンプレートの表面に感光性フォトレジスト組成物をコートし、多孔性テンプレートのエッチングしようとする区間を露光する。露光する部分が平面ではなくシリンダー形態の立体構造であるので、好ましくは狭い線幅のパルスレーザーを用いて立体部分(多孔性テンプレート表面)を精巧で微細に露光する。このような露光によって多孔性テンプレートの一部が剥げるので、後続のエッチング段階でエッチング液などによってエッチングがなされる。露光された部分においては、化学的エッチングなどによって多孔性テンプレートを取り除く。この際、エッチングは湿式エッチングまたは乾式エッチングによって実施することができる。または、光エッチングなどによって多孔性テンプレートを取り除くこともできる。
【0053】
湿式エッチングは、例えば酢酸水溶液、フッ酸、またはリン酸水溶液などのように多孔性テンプレートのみを選択的に取り除くエッチング剤を使ってエッチングする方法であり、乾式エッチングは気体、プラズマもしくはイオンビーム、またはこれらの組み合わせなどを利用してエッチングする方法である。乾式エッチングとしては、例えば、プラズマ状態で反応性ガスを活性化させ、エッチングさせようとする物質と化学反応を引き起こさせて揮発性物質を作ってエッチングさせる反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)または誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma:ICP)を活性源とする反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を使うことができる。
【0054】
一方、ナノワイヤを多孔性テンプレートの長さ以上に成長させる方法は、VLS法またはSLS法で反応条件を調整することで可能である。例えば、VLS法の場合には、気体供給が維持される限りナノワイヤの成長が進むので、多孔性テンプレートと同一の長さに成長させてから一定時間気体をさらに供給することでナノワイヤをさらに成長させることができる。
【0055】
また、SLS法の場合に製造されるナノワイヤの長さは反応時間に比例するので、多孔性テンプレートと同一の長さにナノワイヤが形成された後、さらに反応させることで、ナノワイヤを多孔性テンプレートより長く成長させることができる。
【0056】
走査プローブ顕微鏡(scanning probe microscope;SPM)とはプローブをスキャニングする方式を利用して多くの物理量を測定することができる顕微鏡を総称する。SPMの基本構造は、先の鋭いチップを有するプローブと、これを試料上にスキャニング可能にするスキャナと、これらを制御し、信号を受けて処理する制御および信号処理システムとから構成される。
【0057】
SPMは多様な形態に発展してきたが、チップと試料との間にかかった電圧差によって流れる電流を利用するSTM(scanning tunneling microscope)、チップと試料との間の原子的力を利用するAFM(atomic force microscope)、試料の磁場と磁化したチップ間の力を利用するMFM(magnetic force microscope)、可視光波長による解像度の限界を改善したSNOM(scanning near−field optical microscope)、試料とチップとの間の静電気力を利用するEFM(electrostatic force microscope)などの技術が開発されている。
【0058】
AFMは物質表面の構造に対する立体的な情報を把握することができるもので、プローブで物質表面を2次元的にスキャニングして3次元的な表面情報を得るものである。
【0059】
AFMプローブは、分析用として使われる以外に、偏平な平面基板上に孔を形成するための用途にも使うことができる。図7aはAFMプローブによって孔を形成する過程を説明するための模式図である。図7aに示すように、AFMプローブ80のチップ70を上下に動かせば基板10上のマスク層60に所望の深さの孔を形成することができる。このようにAFMプローブをナノパターニングに利用することができる。図7bはAFMプローブによって形成されたパターンの写真(IBM)である。チップの大きさによってパターニングされる模様が変わる。
【0060】
図8aはパターニングに使用可能な単一プローブカンチレバーの写真であり、図8bは複数のプローブが2次元的に配列されたマルチプローブカンチレバーの写真である(IBM)。
【0061】
このようなSPM技術を利用して数十ナノメートル直径のナノ領域に存在する表面電荷を検出し、処理速度を向上させるために、プローブをアレイ状に製作することが必要である。既存のプローブは、シリコンまたはカーボンナノチューブで製作されている。カーボンナノチューブの場合、数ナノメートル大きさのチップを製作することができるが、収率が低くて価格が非常に高くて実用的でない。一方、シリコンでは、数ナノメートルの大きさのチップを製作ことができない。現在、マルチプローブはリソグラフィまたはチップエッチングによって作製されているが、ナノ領域において、間隔、大きさ、長さなどを自由に制御することができる技術は未だ紹介されていない。
【0062】
本発明においては、多数の気孔を含むガラステンプレートを利用してナノワイヤを製作し、これを用いてマルチプローブを製作するので、数十ナノメートルの直径を有するアレイを作製することができ、テンプレートの規格の制御が容易であるので、マルチプローブのチップの間隔、長さ、大きさ、個数などを容易に制御することができる。
【0063】
本発明で収得されるマルチプローブは、複数のプローブが一次元的または二次元的に配列されたマルチプローブを有するAFMに適用することができる。本発明の方法によって収得されるマルチプローブは、電気的/磁気的特性分析用に使用するほかに、マスク層に孔を形成するために使うことができる。このように使えば、所望の大きさおよび周期で孔を形成することができる。図9は本発明の方法によって製造されたマルチプローブをAFMプローブとして使用する形態を示す図である。
【0064】
本発明のマルチプローブは、このように電気的/磁気的特性分析用またはナノパターニングに使う場合、作業速度を画期的に向上させることができる。一例として、AFMプローブとして使用する時、従来のAFMの低いスループットを克服することができる。
【0065】
前記過程によって一部が露出されたナノワイヤの大きさを一定に調節する段階をさらに含むことで、多様な大きさを有する電界放出チップを製造することができる。
【0066】
本発明の他の実施形態は前記方法によって製造された電界放出チップに関するもので、所望の位置と大きさの調節が可能であるだけでなく、既存のカーボンナノチューブなどを利用したナノサイズの電界放出チップが鈍くなることを防止することができる。
【0067】
一方、本発明のさらに他の実施形態は前記方法によって形成されたナノワイヤを含む電子素子に関するものである。
【0068】
具体的に、前記素子には、FET(Field Effect Transistor)のような電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)およびレーザーダイオード(LD:Laser Diode)、EL(electro luminescence)素子、PL(photo luminescence)素子、CL(Cathode luminescence)素子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
以下には、EL素子を例としてより具体的に説明する。
【0070】
図4は本発明の一実施例によるEL素子を示す概略図である。図4を参照すれば、基板10、第1電極層20、多孔性テンプレート内の気孔に沿って形成されたナノワイヤ30、および第2電極層40を含む。図4には、第1電極層が基板上に形成されているものとして示されているが、基板の底面に形成することもできる。
【0071】
通常の方法で得られたナノワイヤを利用したEL素子の場合、成長したナノワイヤの直進性の確保が難しく、ナノワイヤの間を他の物質で満たして電極形成をするため工程が複雑になる。本発明による方法によって形成されたナノワイヤを利用すれば、可視光領域に透明な多孔性テンプレートを含むため、製造後にすぐ電極を形成することができるので、低廉で簡単な工程によって発光素子を製造することができる。
【0072】
具体的には、前記ナノワイヤ30は、それぞれp型またはn型にドーピングされているかp−nドーピングされてダイオード特性を有するものを使うことができる。基板10、第1電極層20、および第2電極層40は通常のEL素子に用いられる材料を使って通常の製造法で製作することができる。
【0073】
本発明の他の実施形態は前記の電界放出チップを含む素子に関するものである。前記素子としては、FETのような電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオードおよびレーザーダイオード、EL素子、PL素子、CL素子、およびスイッチング素子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
以下には、スイッチング素子を例としてより具体的に説明する。
【0075】
図10は本発明の一実施例によるスイッチング素子を示す概略図である。図10を参照すれば、基板10、金属触媒層20、およびナノワイヤ50を含み、図10には金属電極層が基板上に形成されているものとして示されているが、基板底面に形成することもできる。
【0076】
図11は本発明の一実施例によるスイッチング素子の作動原理を示す概略図で、図11aはオフ(off)状態のスイッチング素子を、図11bはオン(on)状態のスイッチング素子を示すものである。図11aおよび図11bを参照すれば、二つのチップのいずれか一方にソース電極を、他方にはドレイン電極を形成し、他方にゲート電極を作り、ゲートの電圧によって、二つのチップ間にはたらく静電気的力とファンデルワールス力との大きさによって、チップ同士が接触する(ファンデルワールス力優勢、オン状態)か、離れる(静電気的力優勢、オフ状態)かによるオン/オフ特性を示すため、スイッチング素子として利用することができる。
【0077】
前記電極は、チップの下部と基板との間に形成することもでき、チップの表面を蒸着などのような半導体製造工程を利用して形成することもできる。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、下記の実施例は単に説明目的のためのもので、本発明を制限するものではない。
【0079】
実施例1(ナノワイヤ1の製造)
p型にドーピングされたシリコン基板から、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさのAuナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。次いで、ナノワイヤの成長のために、多孔性ガラステンプレートを載せ、前記多孔性ガラステンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた。次いで、10〜15℃/分で加熱しArを100sccm程度で注入しながら工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。工程温度の1000℃に至った後30分間維持させることで、ナノワイヤが成長するようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させることでナノワイヤの成長を終了させた。
【0080】
実施例2(ナノワイヤ2の製造)
Arガスに加えて4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にしたことを除き、前記実施例1と同様な方法で実施した。
【0081】
実施例3(マルチプローブの製造)
実施例1で収得したナノワイヤのテンプレート表面に、AZ1512で構成された感光性フォトレジスト組成物をコートし、テンプレート末端の一部区間をg−line露光器で露光した。露光されたナノワイヤの末端区間をフッ酸水溶液でエッチングしてテンプレートを取り除くことにより、気孔内のナノワイヤを露出させた。
【0082】
実施例4(電界放出チップ1の製造)
シリコン基板を、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさの金ナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。
【0083】
次いで、ナノワイヤ成長のために、ガラステンプレートを載せ、テンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた後、10〜15℃/分で加熱し、Arを100sccm程度で注入しながら、工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。
【0084】
工程温度の1000℃に到達した後、30分間維持することでナノワイヤが成長するようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させてナノワイヤの成長を終了させた。
【0085】
その後、ガラステンプレートの一部を保護し、露出された部分をフッ酸をエッチング剤としてガラステンプレートの一部をエッチングすることにより、ガラステンプレートからナノワイヤの一部を露出させて電界放出チップを製造した。
【0086】
実施例5(電界放出チップ2の製造)
Arガスに加えて、4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にすることを除き、前記実施例4と同様な方法でガラステンプレートから一部が露出された電界放出チップを製造した。
【0087】
実施例6(電界放出チップ3の製造)
シリコン基板を、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさの金ナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。
【0088】
次いで、ナノワイヤ成長のために、ガラステンプレートを載せ、多孔性ガラステンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた後、10〜15℃/分で加熱し、Arを100sccm程度で注入しながら、工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。
【0089】
工程温度の1000℃に到達した後30分間維持してガラステンプレート内にナノワイヤが成長するようにした後、20分間さらに維持することで、ナノワイヤが前記ガラステンプレートの外部に露出されるようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させてナノワイヤの成長を終了させることで、ガラステンプレートからナノワイヤの一部を露出させて電界放出チップを製造した。
【0090】
実施例7(電界放出チップ4の製造)
Arガスに加えて、4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にすることを除き、前記実施例6と同様な方法でガラステンプレートから一部が露出された電界放出チップを製造した。
【0091】
実施例8(EL素子の製造)
ガラス基板上にITOがパターニングされている基板の上部に、前記実施例1で製造したナノワイヤからフォトリソグラフィー工程によって電極を形成した。その上部にTiを20nmの厚さに蒸着し、さらに金を100nmの厚さに蒸着して陰極を形成することでEL素子を完成した。
【0092】
実施例9(スイッチング素子の製造)
ガラス基板上にITOがパターニングされている基板の上部に、前記実施例4で製造した電界放出チップを配置し、二つのチップのいずれか一方にソース電極を、他方にはドレイン電極を形成し、他方にゲート電極を形成してスイッチング素子を製作した。
【0093】
以上、具体的な実施例に基づいて本発明を詳細に説明したが、本発明は前述した実施例に限定されなく、本発明の技術的思想の範囲内で本発明が属する技術分野の当業者によって多くの変形が可能であることは自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、多数のナノ気孔を有する多孔性テンプレートを利用し、SLS法またはVLS法によってナノワイヤを形成することに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態による多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造する方法を説明するための工程流れ図である。
【図2】SLS法によるナノワイヤの製作工程を示す模式図である。
【図3】VLS法によるナノワイヤの製作工程を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例によるEL素子を示す概略図である。
【図5】本発明の他の実施例によるマルチプローブ製造方法を説明するための模式図である。
【図6】テンプレートの部分エッチングによるマルチプローブ製造過程を示す工程流れ図である。
【図7a】AFMプローブを利用して孔を形成する原理を説明するための模式図である。
【図7b】マルチプローブを有するAFMによってパターニングされた模様を示す写真である。
【図8a】単一プローブカンチレバーの写真である。
【図8b】マルチプローブカンチレバーの写真である。
【図9】マルチプローブをAFMプローブとして使用する使用状態を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態によるスイッチング素子を示す概略図である。
【図11a】本発明によるスイッチング素子の作動原理を示すもので、オフ(off)状態のスイッチング素子を示す概略図である。
【図11b】本発明によるスイッチング素子の作動原理を示すもので、オン(on)状態のスイッチング素子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0096】
10 基板、
20 金属触媒層(第1電極層)、
30 ナノワイヤ、
40 第2電極層、
50 ナノワイヤ、
60 マスク層、
70 チップ、
80 AFMプローブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は多孔性テンプレートを利用するナノワイヤの製造方法、ナノワイヤを用いたマルチプローブ、電界放出チップ、および素子に係る。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤは、直径がナノメートル(10−9m)の領域で、長さが直径に比べてずっと大きい数百ナノメートル、マイクロメートル(10−6m)またはミリメートル(10−3m)単位である線形材料である。このようなナノワイヤの物性はそれが有する直径と長さによって異なる。
【0003】
前記ナノワイヤは、小さなサイズであるため微細素子に多様に応用され、特定方向への電子の移動特性または偏光特性を利用することができる利点がある。
【0004】
現在、ナノ粒子の物性および製造方法に関する研究は盛んに行われているのに対し、ナノワイヤの製造方法に関する研究は多くないのが実情である。既存の代表的なナノワイヤの製造方法として、例えば化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD)、レーザーアブレーション法(Laser Ablation)およびテンプレートを用いる方法などがある。
【0005】
このうち、テンプレートを用いる方法は、数ナノメートルから数百ナノメートル単位の気孔を作り、この気孔をナノワイヤの型として用いるものである。例えば、アルミニウム電極を酸化させて表面に酸化物を形成し、この酸化物に電気化学的エッチングでナノ気孔を作製する。これを金属イオンの入っている溶液に浸し、電気をかけると、金属イオンが気孔を通じてアルミニウム電極上に堆積することになり、前記気孔は金属イオンで満たされる。その後、適当な方法で前記酸化物を除去すると、金属ナノワイヤのみを収得することができる(例えば特許文献1、および非特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6,525,461号明細書
【非特許文献1】Nanoletter 2005,Vol.5,No.4,458.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のようなテンプレートを用いる従来技術によるナノワイヤ製造方法は、工程がとても複雑で、時間が長くかかって大量生産に適さないだけでなく、優れた直進性および配列性を有するナノワイヤを製造することができないという問題点がある。
【0007】
このように、テンプレートを利用するナノワイヤの製造方法に関する技術は、一例として特許文献1に開示されている。前記特許文献1には、基材上に触媒フィルムを形成し、上部に多孔性層を形成し、熱操作によって気孔内でチタンナノワイヤを形成する技術が開示されているが、AAO(Anodic Aluminum Oxide)テンプレートのAlは融点が660℃であるから、SLS法によるナノワイヤ製作には使用できず、テンプレートが不透明であるから、光素子の製作には使うことができない。
【0008】
一方、VLS(Vapor−Liquid−Solid)方式によってナノワイヤの直進性を向上させた技術として、ナノインプリント(nano imprint)法を利用してナノワイヤを成長させた技術が知られている。しかし、前記技術は、ナノワイヤの密度が低く、長さおよび直径が均一でない上に、ワイヤの直径が40nm以上に大きいという欠点がある。
【0009】
電子放出源から放出される電子の量は印加される電場の強さと電子放出源の材質および形状によって影響を受けることになるが、近年電極に印加される電圧が数百Vから数十Vに低電圧化が進んでおり、低電圧化するほど電子放出源の材質および形状に関する技術開発が要求されている。
【0010】
一般に、電界による固相表面での電界放出効果は平板表示素子の一つである電界放出平板表示素子をはじめ、真空マイクロ電子素子またはマイクロ波素子などの電子素子の応用を可能にする物理的な特性であると言える。
【0011】
このような応用において、一番基本となることは、電界をかけた時、電子を放出することができる性能に優れた電界放出部の確保であると言えるが、このような電界放出部にとって取り揃えなければならない特性としては、低電圧下で電子の放出が容易で安定し、電子放出量が大きく、耐久性が優秀でなければならないということである。
【0012】
ところが、既存のカーボンナノチューブなどを利用したナノ大きさの電界放出チップの場合、使用回数の増加よってチップの先が鈍くなる欠点があることから、ZnO、SiまたはSiCなどのような高強度物質で代替させる必要性が台頭してきた。
【0013】
したがって、本発明は前述した従来技術の問題点を克服するためのもので、本発明の一つの目的は、直径および長さの調節が容易であるだけでなく、直進性および配列性に優れたナノワイヤを製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、ナノ領域で大きさ、長さおよび間隔を自由に制御することができるマルチプローブを提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、大きさ、長さおよび間隔を自由に制御することができる電界放出チップを提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記のナノワイヤ製造方法によって形成された直進性に優れ、所望位置に配列可能なナノワイヤを含む素子を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、前記の電界放出チップを含む素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するために、本発明は、(a)多孔性テンプレートを準備する段階;(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および(c)SLS(solid−liquid−solid)法またはVLS(vapor−liquid−solid)法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;を含む、ナノワイヤの製造方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明の方法によってナノワイヤを製造した後、前記多孔性テンプレート末端の一部をエッチングしてナノワイヤを露出させる段階、または、ナノワイヤを前記多孔性テンプレートの長さより長く成長させてナノワイヤを露出させる段階をさらに含む方法、ならびにそれによって製造されるナノワイヤを用いたマルチプローブおよび電界放出チップを提供する。
【0020】
さらに本発明は、前記方法によって製造されたナノワイヤを含む素子、および前記方法によって製造されたナノワイヤを含む電界放出チップを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単で経済的な工程によってナノワイヤの直径および長さを自由に調節することができ、直進性および配列性に優れたナノワイヤを製造することができる。
【0022】
また、本発明の方法によって製造されるマルチプローブは、多孔性テンプレートの気孔の規格を調節することにより、チップ間隔、長さ、大きさ、個数などを容易に制御することができるので、このようなマルチプローブを電磁気特性の分析のためのSPMなどのプローブとして利用する際、特性分析の速度を画期的に向上させることができ、またナノパターニングなどにも有用に使うことができる。
【0023】
本発明の方法によって製造される電界放出チップは、簡単で経済的な工程によってナノワイヤの大きさおよび間隔を自由に調節することができる利点があるので、FET(Field Emission Transistor)のような電子素子、センサー、光検出素子(photodetector)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、レーザーダイオード(LD:Laser Diode)、EL(electro luminescence)素子、PL(photoluminescence)素子、CL(Cathodeluminescence)素子およびスイッチング(switching)素子などの多様な分野に効果的に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。
【0025】
本発明によるナノワイヤ製造方法は、ナノ気孔を有する多孔性テンプレートを利用し、SLS法またはVLS法によってナノワイヤを形成することを特徴とする。
【0026】
図1は本発明の一実施例による多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造する方法を説明するための工程流れ図である。図1を参照すれば、まず多孔性テンプレートを準備し(a段階)、この多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する(b段階)。次いで、SLS法またはVLS法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する(c段階)。
【0027】
多孔性テンプレートの気孔の大きさ、長さ、間隔などを調節することは容易であるので、本発明のように多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造すれば、ナノワイヤの直径および長さを容易に調節することができる。また、ナノワイヤの物質または組成を変化させることで超格子(superlattice)またはハイブリッド(hybrid)の複合構造物に形成することができ、ナノワイヤの成長時にドーピングして、ドーピングされたナノワイヤを製造することもできる。
【0028】
本発明の製造方法を各段階別に詳細に説明する。
【0029】
(a)多孔性テンプレートを準備する段階
本発明は、ナノワイヤを製造するために多孔性テンプレートを使うことを特徴とする。本発明において、多孔性テンプレートは内部でナノワイヤが形成される中空部を有する多数の気孔を含む。前記多孔性テンプレートは、好ましくはガラス、シリカおよびTiO2、ZnO、SnO2、WO3などの金属酸化物よりなる群から選択される材料で形成され、特に好ましくはガラスで形成される。
【0030】
既存のナノワイヤを形成するためのテンプレートは主にAAO(Anodic Aluminum Oxide)が多く使われてきたが、この場合、印加された電圧によって気孔の大きさおよび長さを調節するため、気孔を均一に所望の位置に形成しにくい。また、エッチングが長手方向に最後までなされない場合、気孔が形成されない部分は取り除かなければならないため、工程が複雑である。同時に、内部に存在するアルミニウムの融点が660℃であるので、高温工程で行われるSLS法によってワイヤを形成することができない上、材質が不透明であるため、光素子の製作には使うことができない。
【0031】
これに対し、特にガラステンプレートでは、大きな気孔を有するファイバーを結束して一度に引張って作製するため、気孔を均一に所望の位置に形成しやすく、ファイバーのカッティングによって長さが決まるので、均一な気孔を有する多様な長さのテンプレートを選択することができる。また、工程が簡単であるだけでなくガラスの融点が1700℃程度であるので、高温工程で行われるSLS法によってワイヤを形成することができる。さらに、材質が透明であるので、光素子に使用することができ、既存の光ファイバー技術を利用することができる。
【0032】
本発明で用いられうる前記多孔性テンプレートの直径は、ナノワイヤが成長する基板の大きさによって選択可能である。また、前記多孔性テンプレート内の気孔の大きさ、および前記多孔性テンプレートの高さは、製造しようとするナノワイヤの規格によって変わり、特に限定されるものではないが、好ましくは数nm〜数μmである。
【0033】
(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階
多孔性テンプレートが提供されれば、これを金属触媒層が形成された基板上に配置させる。本発明において、金属触媒層は、基板上に金属触媒、例えばAu金属触媒をコートすることで形成される。この際、不純物を取り除くために、通常の方法によって基板を予め洗浄することができる。
【0034】
本発明に使うことができる基板としては、好ましくは、シリコン基板またはシリコンをコートしたガラス基板などが用いられうる。
【0035】
前記基板上にコートされる金属触媒は、ワイヤを成長させることができる金属触媒であればいずれも使うことができる。具体的には、Au、Ni、Fe、Ag、Pd、Pd/Niを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの金属触媒は、単独で使用されても、あるいは2種以上の混合物で使用されてもよい。
【0036】
この際、前記金属触媒は、好ましくはナノ粒子または薄膜の形態で基板にコートされる。前記基板上にコートされる金属触媒層の厚さは、好ましくは5nm以上であり、50nm以下である。
【0037】
前記金属触媒を基板にコートする方法としては、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されず、当該技術分野で通常用いられるコーティング法、例えば化学気相蒸着法(CVD)、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング法、浸漬(dipping)法などを使うことができる。
【0038】
(c)SLS法またはVLS法によって多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階
本発明において、テンプレートの気孔内でナノワイヤを成長させる方法としては、SLS法またはVLS法が用いられる。
【0039】
SLS法は、図2に示すように別途に気体状シリコンを供給せず、例えば、固体基板がシリコンであれば、前記シリコン基板から拡散したシリコンを溶融触媒の表面上で凝縮して固定化することによりナノワイヤに成長させる方法である。
【0040】
これに対し、VLS法は、図3に示すように高温の反応炉の内部に送られる気体状シリコン含有種を金、コバルト、ニッケルなどの溶融触媒の表面上で凝縮して固定化させることによりシリコンナノワイヤに成長させる方法である。
【0041】
図2および図3において、例えば、基板上の金属触媒がAuであって、固体基板がシリコンであれば、それぞれの融点は1000℃以上の高温であるが、その混合物が液化する温度(共融点)は、363℃と比較的低い。したがって、基板上の金属触媒を共融点以上まで加熱すると、一部は液体の混合物となり(液体合金)、一部は固体となる。前記液体合金中のSi原子が過飽和になるとナノワイヤが成長する。
【0042】
具体的には、本発明の前記SLS法は、テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体を注入しながら加熱して、基板から拡散したナノワイヤソースでナノワイヤを形成することで実施することができる。この際、成長する時に前記金属触媒層を形成する金属触媒が前記ナノワイヤの内部に含まれるように力を加えることもできる。
【0043】
より具体的には、前記力を加える工程は、ナノワイヤが成長する面を下向きにすることにより重力が加えられるようにするか、または、例えば電場を加えるか、機械的な力を加えてナノドットの間隔を制御することで、多様な物性を有するナノワイヤを製造することができる。
【0044】
また、前記VLS法は、多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体およびナノワイヤソースを注入しながら加熱してナノワイヤを形成することで実施することができる。
【0045】
前記SLS法およびVLS法に使われる気体としては、例えば、Ar、N2、He、H2よりなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。また、前記気体は、好ましくは100sccm程度で注入されるが、工程によって変更することができる。
【0046】
前記SLS法およびVLS法は、好ましくは1.013×105Pa(760Torr)以下の圧力で実施することができる。この際の温度はSLS法の場合、好ましくは800〜1200℃であり、VLS法の場合、好ましくは370〜600℃である。また、ナノワイヤの長さに応じて加熱時間を調節することができる。温度を前記液体合金の共融点以下にするか、またはVLS法の場合、注入されるナノワイヤソースの供給を停止することで、ナノワイヤの成長を停止させることができる。
【0047】
VLS法の場合、注入されるナノワイヤソースとしては、シリコンナノワイヤを作製する場合、例えばSiH4、SiCl4、SiH2Cl2を使うことができる。また、ナノワイヤとしてカーボンナノチューブを作製する場合、注入するナノワイヤソースとしては、例えば、CH4ガスを用いることができる。
【0048】
さらに、本発明において、前記ナノワイヤの形成時、ドーピングされたナノワイヤを形成することもできる。n型またはp型にドーピングされたナノワイヤは、例えば、ナノワイヤの成長時に、B2H6、PH3などのドーピングガスにそれぞれ、もしくは交互にドロッピングする方法、または、ナノワイヤの成長後にドーパントを注入する方法で形成されうる。また、物質または組成を変化させることで、超格子、またはハイブリッドの複合構造物に形成することができる。前記複合構造物としては、例えば、シリコンおよびガリウムの層を交互に数十ナノメートルに成長させ、超格子を形成したものなどが挙げられる。前記複合構造物は、例えばシリコンナノワイヤの場合、III−V族化合物(例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムナイトライド(GaN))、カーボンナノチューブ(CNT)、酸化亜鉛(ZnO)、およびシリコンカーバイド(SiC)よりなる群から選択された物質で形成することができる。
【0049】
本発明において、前記ナノワイヤは、好ましくはカーボンナノチューブである。
【0050】
ナノワイヤが形成された後、フッ酸などのエッチング剤を使って多孔性テンプレートを除去することができる。
【0051】
本発明のナノワイヤの製造方法は多様に変形して実施することができる。本発明の方法においては、上述のようにナノワイヤが形成された後、図5に示すように、多孔性テンプレートの末端の一部区間をエッチングによって取り除いてナノワイヤを露出させるか(b)、あるいはナノワイヤを多孔性テンプレートより長く成長させてナノワイヤの末端の一部を露出させることができる(a)。
【0052】
まず、多孔性テンプレートの末端の一部をエッチングする方法について図6を参照して説明する。はじめに、多孔性テンプレートの表面に感光性フォトレジスト組成物をコートし、多孔性テンプレートのエッチングしようとする区間を露光する。露光する部分が平面ではなくシリンダー形態の立体構造であるので、好ましくは狭い線幅のパルスレーザーを用いて立体部分(多孔性テンプレート表面)を精巧で微細に露光する。このような露光によって多孔性テンプレートの一部が剥げるので、後続のエッチング段階でエッチング液などによってエッチングがなされる。露光された部分においては、化学的エッチングなどによって多孔性テンプレートを取り除く。この際、エッチングは湿式エッチングまたは乾式エッチングによって実施することができる。または、光エッチングなどによって多孔性テンプレートを取り除くこともできる。
【0053】
湿式エッチングは、例えば酢酸水溶液、フッ酸、またはリン酸水溶液などのように多孔性テンプレートのみを選択的に取り除くエッチング剤を使ってエッチングする方法であり、乾式エッチングは気体、プラズマもしくはイオンビーム、またはこれらの組み合わせなどを利用してエッチングする方法である。乾式エッチングとしては、例えば、プラズマ状態で反応性ガスを活性化させ、エッチングさせようとする物質と化学反応を引き起こさせて揮発性物質を作ってエッチングさせる反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)または誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma:ICP)を活性源とする反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を使うことができる。
【0054】
一方、ナノワイヤを多孔性テンプレートの長さ以上に成長させる方法は、VLS法またはSLS法で反応条件を調整することで可能である。例えば、VLS法の場合には、気体供給が維持される限りナノワイヤの成長が進むので、多孔性テンプレートと同一の長さに成長させてから一定時間気体をさらに供給することでナノワイヤをさらに成長させることができる。
【0055】
また、SLS法の場合に製造されるナノワイヤの長さは反応時間に比例するので、多孔性テンプレートと同一の長さにナノワイヤが形成された後、さらに反応させることで、ナノワイヤを多孔性テンプレートより長く成長させることができる。
【0056】
走査プローブ顕微鏡(scanning probe microscope;SPM)とはプローブをスキャニングする方式を利用して多くの物理量を測定することができる顕微鏡を総称する。SPMの基本構造は、先の鋭いチップを有するプローブと、これを試料上にスキャニング可能にするスキャナと、これらを制御し、信号を受けて処理する制御および信号処理システムとから構成される。
【0057】
SPMは多様な形態に発展してきたが、チップと試料との間にかかった電圧差によって流れる電流を利用するSTM(scanning tunneling microscope)、チップと試料との間の原子的力を利用するAFM(atomic force microscope)、試料の磁場と磁化したチップ間の力を利用するMFM(magnetic force microscope)、可視光波長による解像度の限界を改善したSNOM(scanning near−field optical microscope)、試料とチップとの間の静電気力を利用するEFM(electrostatic force microscope)などの技術が開発されている。
【0058】
AFMは物質表面の構造に対する立体的な情報を把握することができるもので、プローブで物質表面を2次元的にスキャニングして3次元的な表面情報を得るものである。
【0059】
AFMプローブは、分析用として使われる以外に、偏平な平面基板上に孔を形成するための用途にも使うことができる。図7aはAFMプローブによって孔を形成する過程を説明するための模式図である。図7aに示すように、AFMプローブ80のチップ70を上下に動かせば基板10上のマスク層60に所望の深さの孔を形成することができる。このようにAFMプローブをナノパターニングに利用することができる。図7bはAFMプローブによって形成されたパターンの写真(IBM)である。チップの大きさによってパターニングされる模様が変わる。
【0060】
図8aはパターニングに使用可能な単一プローブカンチレバーの写真であり、図8bは複数のプローブが2次元的に配列されたマルチプローブカンチレバーの写真である(IBM)。
【0061】
このようなSPM技術を利用して数十ナノメートル直径のナノ領域に存在する表面電荷を検出し、処理速度を向上させるために、プローブをアレイ状に製作することが必要である。既存のプローブは、シリコンまたはカーボンナノチューブで製作されている。カーボンナノチューブの場合、数ナノメートル大きさのチップを製作することができるが、収率が低くて価格が非常に高くて実用的でない。一方、シリコンでは、数ナノメートルの大きさのチップを製作ことができない。現在、マルチプローブはリソグラフィまたはチップエッチングによって作製されているが、ナノ領域において、間隔、大きさ、長さなどを自由に制御することができる技術は未だ紹介されていない。
【0062】
本発明においては、多数の気孔を含むガラステンプレートを利用してナノワイヤを製作し、これを用いてマルチプローブを製作するので、数十ナノメートルの直径を有するアレイを作製することができ、テンプレートの規格の制御が容易であるので、マルチプローブのチップの間隔、長さ、大きさ、個数などを容易に制御することができる。
【0063】
本発明で収得されるマルチプローブは、複数のプローブが一次元的または二次元的に配列されたマルチプローブを有するAFMに適用することができる。本発明の方法によって収得されるマルチプローブは、電気的/磁気的特性分析用に使用するほかに、マスク層に孔を形成するために使うことができる。このように使えば、所望の大きさおよび周期で孔を形成することができる。図9は本発明の方法によって製造されたマルチプローブをAFMプローブとして使用する形態を示す図である。
【0064】
本発明のマルチプローブは、このように電気的/磁気的特性分析用またはナノパターニングに使う場合、作業速度を画期的に向上させることができる。一例として、AFMプローブとして使用する時、従来のAFMの低いスループットを克服することができる。
【0065】
前記過程によって一部が露出されたナノワイヤの大きさを一定に調節する段階をさらに含むことで、多様な大きさを有する電界放出チップを製造することができる。
【0066】
本発明の他の実施形態は前記方法によって製造された電界放出チップに関するもので、所望の位置と大きさの調節が可能であるだけでなく、既存のカーボンナノチューブなどを利用したナノサイズの電界放出チップが鈍くなることを防止することができる。
【0067】
一方、本発明のさらに他の実施形態は前記方法によって形成されたナノワイヤを含む電子素子に関するものである。
【0068】
具体的に、前記素子には、FET(Field Effect Transistor)のような電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)およびレーザーダイオード(LD:Laser Diode)、EL(electro luminescence)素子、PL(photo luminescence)素子、CL(Cathode luminescence)素子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
以下には、EL素子を例としてより具体的に説明する。
【0070】
図4は本発明の一実施例によるEL素子を示す概略図である。図4を参照すれば、基板10、第1電極層20、多孔性テンプレート内の気孔に沿って形成されたナノワイヤ30、および第2電極層40を含む。図4には、第1電極層が基板上に形成されているものとして示されているが、基板の底面に形成することもできる。
【0071】
通常の方法で得られたナノワイヤを利用したEL素子の場合、成長したナノワイヤの直進性の確保が難しく、ナノワイヤの間を他の物質で満たして電極形成をするため工程が複雑になる。本発明による方法によって形成されたナノワイヤを利用すれば、可視光領域に透明な多孔性テンプレートを含むため、製造後にすぐ電極を形成することができるので、低廉で簡単な工程によって発光素子を製造することができる。
【0072】
具体的には、前記ナノワイヤ30は、それぞれp型またはn型にドーピングされているかp−nドーピングされてダイオード特性を有するものを使うことができる。基板10、第1電極層20、および第2電極層40は通常のEL素子に用いられる材料を使って通常の製造法で製作することができる。
【0073】
本発明の他の実施形態は前記の電界放出チップを含む素子に関するものである。前記素子としては、FETのような電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオードおよびレーザーダイオード、EL素子、PL素子、CL素子、およびスイッチング素子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
以下には、スイッチング素子を例としてより具体的に説明する。
【0075】
図10は本発明の一実施例によるスイッチング素子を示す概略図である。図10を参照すれば、基板10、金属触媒層20、およびナノワイヤ50を含み、図10には金属電極層が基板上に形成されているものとして示されているが、基板底面に形成することもできる。
【0076】
図11は本発明の一実施例によるスイッチング素子の作動原理を示す概略図で、図11aはオフ(off)状態のスイッチング素子を、図11bはオン(on)状態のスイッチング素子を示すものである。図11aおよび図11bを参照すれば、二つのチップのいずれか一方にソース電極を、他方にはドレイン電極を形成し、他方にゲート電極を作り、ゲートの電圧によって、二つのチップ間にはたらく静電気的力とファンデルワールス力との大きさによって、チップ同士が接触する(ファンデルワールス力優勢、オン状態)か、離れる(静電気的力優勢、オフ状態)かによるオン/オフ特性を示すため、スイッチング素子として利用することができる。
【0077】
前記電極は、チップの下部と基板との間に形成することもでき、チップの表面を蒸着などのような半導体製造工程を利用して形成することもできる。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、下記の実施例は単に説明目的のためのもので、本発明を制限するものではない。
【0079】
実施例1(ナノワイヤ1の製造)
p型にドーピングされたシリコン基板から、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさのAuナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。次いで、ナノワイヤの成長のために、多孔性ガラステンプレートを載せ、前記多孔性ガラステンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた。次いで、10〜15℃/分で加熱しArを100sccm程度で注入しながら工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。工程温度の1000℃に至った後30分間維持させることで、ナノワイヤが成長するようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させることでナノワイヤの成長を終了させた。
【0080】
実施例2(ナノワイヤ2の製造)
Arガスに加えて4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にしたことを除き、前記実施例1と同様な方法で実施した。
【0081】
実施例3(マルチプローブの製造)
実施例1で収得したナノワイヤのテンプレート表面に、AZ1512で構成された感光性フォトレジスト組成物をコートし、テンプレート末端の一部区間をg−line露光器で露光した。露光されたナノワイヤの末端区間をフッ酸水溶液でエッチングしてテンプレートを取り除くことにより、気孔内のナノワイヤを露出させた。
【0082】
実施例4(電界放出チップ1の製造)
シリコン基板を、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさの金ナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。
【0083】
次いで、ナノワイヤ成長のために、ガラステンプレートを載せ、テンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた後、10〜15℃/分で加熱し、Arを100sccm程度で注入しながら、工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。
【0084】
工程温度の1000℃に到達した後、30分間維持することでナノワイヤが成長するようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させてナノワイヤの成長を終了させた。
【0085】
その後、ガラステンプレートの一部を保護し、露出された部分をフッ酸をエッチング剤としてガラステンプレートの一部をエッチングすることにより、ガラステンプレートからナノワイヤの一部を露出させて電界放出チップを製造した。
【0086】
実施例5(電界放出チップ2の製造)
Arガスに加えて、4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にすることを除き、前記実施例4と同様な方法でガラステンプレートから一部が露出された電界放出チップを製造した。
【0087】
実施例6(電界放出チップ3の製造)
シリコン基板を、有機洗浄とフッ酸処理によって自然酸化膜を取り除いた後、触媒として日本ペイント株式会社製の約10nm大きさの金ナノ粒子をスピンコートして約10nmの薄膜を形成した。
【0088】
次いで、ナノワイヤ成長のために、ガラステンプレートを載せ、多孔性ガラステンプレートが載せられた基板を反応炉に入れた後、10〜15℃/分で加熱し、Arを100sccm程度で注入しながら、工程圧力を6.664×104Pa(500Torr)に一定にした。
【0089】
工程温度の1000℃に到達した後30分間維持してガラステンプレート内にナノワイヤが成長するようにした後、20分間さらに維持することで、ナノワイヤが前記ガラステンプレートの外部に露出されるようにした。次いで、700℃程度に徐々に冷却させてナノワイヤの成長を終了させることで、ガラステンプレートからナノワイヤの一部を露出させて電界放出チップを製造した。
【0090】
実施例7(電界放出チップ4の製造)
Arガスに加えて、4質量%のSiH4ガスを100sccm程度でさらに注入し、工程温度を400℃にすることを除き、前記実施例6と同様な方法でガラステンプレートから一部が露出された電界放出チップを製造した。
【0091】
実施例8(EL素子の製造)
ガラス基板上にITOがパターニングされている基板の上部に、前記実施例1で製造したナノワイヤからフォトリソグラフィー工程によって電極を形成した。その上部にTiを20nmの厚さに蒸着し、さらに金を100nmの厚さに蒸着して陰極を形成することでEL素子を完成した。
【0092】
実施例9(スイッチング素子の製造)
ガラス基板上にITOがパターニングされている基板の上部に、前記実施例4で製造した電界放出チップを配置し、二つのチップのいずれか一方にソース電極を、他方にはドレイン電極を形成し、他方にゲート電極を形成してスイッチング素子を製作した。
【0093】
以上、具体的な実施例に基づいて本発明を詳細に説明したが、本発明は前述した実施例に限定されなく、本発明の技術的思想の範囲内で本発明が属する技術分野の当業者によって多くの変形が可能であることは自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、多数のナノ気孔を有する多孔性テンプレートを利用し、SLS法またはVLS法によってナノワイヤを形成することに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態による多孔性テンプレートを利用してナノワイヤを製造する方法を説明するための工程流れ図である。
【図2】SLS法によるナノワイヤの製作工程を示す模式図である。
【図3】VLS法によるナノワイヤの製作工程を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例によるEL素子を示す概略図である。
【図5】本発明の他の実施例によるマルチプローブ製造方法を説明するための模式図である。
【図6】テンプレートの部分エッチングによるマルチプローブ製造過程を示す工程流れ図である。
【図7a】AFMプローブを利用して孔を形成する原理を説明するための模式図である。
【図7b】マルチプローブを有するAFMによってパターニングされた模様を示す写真である。
【図8a】単一プローブカンチレバーの写真である。
【図8b】マルチプローブカンチレバーの写真である。
【図9】マルチプローブをAFMプローブとして使用する使用状態を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態によるスイッチング素子を示す概略図である。
【図11a】本発明によるスイッチング素子の作動原理を示すもので、オフ(off)状態のスイッチング素子を示す概略図である。
【図11b】本発明によるスイッチング素子の作動原理を示すもので、オン(on)状態のスイッチング素子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0096】
10 基板、
20 金属触媒層(第1電極層)、
30 ナノワイヤ、
40 第2電極層、
50 ナノワイヤ、
60 マスク層、
70 チップ、
80 AFMプローブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多孔性テンプレートを準備する段階;
(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および
(c)SLS法またはVLS法によって前記多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;
を含む、ナノワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記基板は、シリコン基板、またはシリコンをコートしたガラス基板であることを特徴とする、請求項1に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記金属触媒層は、Au、Ni、Fe、Ag、Pd、およびPd/Niよりなる群から選択される少なくとも1つの金属触媒から形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記金属触媒層は、前記金属触媒を前記基板の表面にナノ粒子または薄膜の形態で塗布することによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項5】
前記金属触媒層は、5〜50nmの厚さに形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項6】
前記金属触媒層は、化学気相蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング法、および浸漬法よりなる群から選択される方法によって形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項7】
前記SLS法は、前記多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体を注入しながら加熱して、基板から拡散したナノワイヤソースでナノワイヤを形成することによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項8】
前記SLS法は、ナノワイヤが成長する時、前記金属触媒層を形成する金属が前記ナノワイヤの内部に含まれるように力を加えることで行われることを特徴とする、請求項7に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項9】
前記力は、重力、電場、または機械的な力であることを特徴とする、請求項8に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項10】
前記VLS法は、前記多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体およびナノワイヤソースを注入しながら加熱してナノワイヤを形成することによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項11】
前記気体がAr、N2、He、およびH2よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項12】
前記加熱は、1.013×105Pa以下の圧力と、800〜1200℃の温度で行われることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項13】
前記ナノワイヤソースは、CH4、SiH4、SiCl4およびSiH2Cl2よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項10または11に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項14】
前記加熱は、1.013×105Pa以下の圧力と、370〜600℃の温度で行われることを特徴とする、請求項10、11、および13のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項15】
前記ナノワイヤの形成時、ドーピングされたナノワイヤを形成することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項16】
前記ナノワイヤは、超格子またはハイブリッドの複合構造物に形成されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項17】
前記ナノワイヤがカーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項18】
前記多孔性テンプレート末端の一部をエッチングしてナノワイヤを露出させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項19】
前記ナノワイヤを露出させる段階が、
前記多孔性テンプレートの表面に感光性フォトレジスト組成物をコートする段階;
前記多孔性テンプレートのエッチングしようとする区間を露光する段階;および
露光された部分を、前記多孔性テンプレートをとり除くためにエッチングする段階;
を含むことを特徴とする、請求項18に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項20】
前記エッチングする段階が、湿式エッチングまたは乾式エッチングによって行われることを特徴とする、請求項19に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項21】
前記乾式エッチングが、ガス、プラズマ、およびイオンビームの少なくとも1種を利用してエッチングする段階であることを特徴とする、請求項20に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項22】
前記湿式エッチングが、酢酸水溶液、フッ酸またはリン酸水溶液から選択されるエッチング剤を利用して行われることを特徴とする、請求項20に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項23】
ナノワイヤを前記多孔性テンプレートの長さより長く成長させてナノワイヤを露出させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項24】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを用いたマルチプローブ。
【請求項25】
前記マルチプローブがAFMプローブであることを特徴とする、請求項24に記載のマルチプローブ。
【請求項26】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを用いた電界放出チップ。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを含む素子。
【請求項28】
前記素子は、電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード、レーザーダイオード、EL素子、PL素子、およびCL素子よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の素子。
【請求項29】
前記素子はEL素子であって、かつ前記EL素子は、
基板;
第1電極層;
多孔性テンプレート内の気孔に沿って形成されたナノワイヤ;および
第2電極層;
を含むことを特徴とする請求項28に記載の素子。
【請求項30】
前記ナノワイヤがそれぞれp型もしくはn型にドーピングされているかまたはp−n型にドーピングされてダイオード特性を有することを特徴とする、請求項29に記載の素子。
【請求項31】
請求項26の電界放出チップを含む素子。
【請求項32】
前記素子は、電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード、レーザーダイオード、EL素子、PL素子、CL素子、およびスイッチング素子よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の素子。
【請求項1】
(a)多孔性テンプレートを準備する段階;
(b)前記多孔性テンプレートを金属触媒層が形成された基板上に配置する段階;および
(c)SLS法またはVLS法によって前記多孔性テンプレート内の気孔に沿ってナノワイヤを形成する段階;
を含む、ナノワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記基板は、シリコン基板、またはシリコンをコートしたガラス基板であることを特徴とする、請求項1に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記金属触媒層は、Au、Ni、Fe、Ag、Pd、およびPd/Niよりなる群から選択される少なくとも1つの金属触媒から形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記金属触媒層は、前記金属触媒を前記基板の表面にナノ粒子または薄膜の形態で塗布することによって形成されることを特徴とする、請求項3に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項5】
前記金属触媒層は、5〜50nmの厚さに形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項6】
前記金属触媒層は、化学気相蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング法、および浸漬法よりなる群から選択される方法によって形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項7】
前記SLS法は、前記多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体を注入しながら加熱して、基板から拡散したナノワイヤソースでナノワイヤを形成することによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項8】
前記SLS法は、ナノワイヤが成長する時、前記金属触媒層を形成する金属が前記ナノワイヤの内部に含まれるように力を加えることで行われることを特徴とする、請求項7に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項9】
前記力は、重力、電場、または機械的な力であることを特徴とする、請求項8に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項10】
前記VLS法は、前記多孔性テンプレートが配置された基板を反応炉に入れ、気体およびナノワイヤソースを注入しながら加熱してナノワイヤを形成することによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項11】
前記気体がAr、N2、He、およびH2よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項12】
前記加熱は、1.013×105Pa以下の圧力と、800〜1200℃の温度で行われることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項13】
前記ナノワイヤソースは、CH4、SiH4、SiCl4およびSiH2Cl2よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項10または11に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項14】
前記加熱は、1.013×105Pa以下の圧力と、370〜600℃の温度で行われることを特徴とする、請求項10、11、および13のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項15】
前記ナノワイヤの形成時、ドーピングされたナノワイヤを形成することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項16】
前記ナノワイヤは、超格子またはハイブリッドの複合構造物に形成されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項17】
前記ナノワイヤがカーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項18】
前記多孔性テンプレート末端の一部をエッチングしてナノワイヤを露出させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項19】
前記ナノワイヤを露出させる段階が、
前記多孔性テンプレートの表面に感光性フォトレジスト組成物をコートする段階;
前記多孔性テンプレートのエッチングしようとする区間を露光する段階;および
露光された部分を、前記多孔性テンプレートをとり除くためにエッチングする段階;
を含むことを特徴とする、請求項18に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項20】
前記エッチングする段階が、湿式エッチングまたは乾式エッチングによって行われることを特徴とする、請求項19に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項21】
前記乾式エッチングが、ガス、プラズマ、およびイオンビームの少なくとも1種を利用してエッチングする段階であることを特徴とする、請求項20に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項22】
前記湿式エッチングが、酢酸水溶液、フッ酸またはリン酸水溶液から選択されるエッチング剤を利用して行われることを特徴とする、請求項20に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項23】
ナノワイヤを前記多孔性テンプレートの長さより長く成長させてナノワイヤを露出させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項24】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを用いたマルチプローブ。
【請求項25】
前記マルチプローブがAFMプローブであることを特徴とする、請求項24に記載のマルチプローブ。
【請求項26】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを用いた電界放出チップ。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法によって製造されるナノワイヤを含む素子。
【請求項28】
前記素子は、電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード、レーザーダイオード、EL素子、PL素子、およびCL素子よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の素子。
【請求項29】
前記素子はEL素子であって、かつ前記EL素子は、
基板;
第1電極層;
多孔性テンプレート内の気孔に沿って形成されたナノワイヤ;および
第2電極層;
を含むことを特徴とする請求項28に記載の素子。
【請求項30】
前記ナノワイヤがそれぞれp型もしくはn型にドーピングされているかまたはp−n型にドーピングされてダイオード特性を有することを特徴とする、請求項29に記載の素子。
【請求項31】
請求項26の電界放出チップを含む素子。
【請求項32】
前記素子は、電子素子、センサー、光検出素子、発光ダイオード、レーザーダイオード、EL素子、PL素子、CL素子、およびスイッチング素子よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【公開番号】特開2007−137762(P2007−137762A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303700(P2006−303700)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
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