説明

多孔質ポリマーの製造方法及びそのポリマー

少なくともメタロセン化合物を含む触媒系の存在下,重合条件下で,プロピレンと,任意に1以上のα−オレフィンを重合させる工程を備え,a)触媒系が,有機多孔質ポリマーに担持され,b)重合反応の少なくとも一部が水素の存在下で実行されることを特徴とする,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーを得る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,多孔質プロピレンポリマーの製造方法に関する。本発明は,さらに,この方法によって得ることができる多孔質ポリマーに関する。
【0002】
多孔質ポリマーは,公知であり,多くの用途を有している。例えば,多孔質ポリマーは,吸収剤,マスターバッチ,触媒系用担体,フィルター媒体又は電池のセパレーターとして用いることができる。
【0003】
チタン系触媒系を用いて多孔質オレフィンポリマーを得る方法は,良く知られている。例えば,US4,399,054では,高い流動性とバルク密度を有し,球状粒子形のポリマーが得られる。PCT/EP02/13371では,ポリマーの多孔度(porosity)を上昇させる方法が記載されている。
【0004】
さらに最近では,メタロセン系触媒が工業的に利用されてきた。メタロセン系触媒系を用いることによって,チタン系触媒を用いることによって得られるものとは異なる特徴を有するポリマー,例えば狭い分子量分布を有するポリマーを製造することが可能になる。特に,メタロセン系触媒を用いると,メタロセン化合物の構造を変化させることによって所望のポリマーの特性を調節することが可能になる。しかし,メタロセン系触媒系を用いて得られるポリマーの多孔度を向上させることができる方法は,知られていない。さらに,例えばWO 95/26369に記載されているようにメタロセン系触媒系を多孔質ポリマーに担持させると,得られるポリマーの多孔度は,本発明の比較例で示すように,満足の行くものにならない。メタロセン系触媒系を用いて,多孔度が高められたプロピレンポリマーを得ることができる方法を見つけることが望まれている。この課題は,多孔質ポリマーにメタロセン系触媒系を担持させ,水素の存在下で重合を実行することによって解決された。また,任意に重合媒体として液体プロピレンを用いることによって解決された。
【0005】
本発明の対象は,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーを得る方法であって,少なくともメタロセン化合物を含む触媒系の存在下,重合条件下で,プロピレンと,任意に1以上のα−オレフィンを重合させる工程を備え,a)触媒系は,有機多孔質ポリマーに担持され,b)重合反応の少なくとも一部が水素の存在下で実行される,ことを特徴とする方法である。
【0006】
重合反応は,好ましくは,−20℃から90℃の温度で実行される。
【0007】
本発明の重合方法は,液相又は気相で実行することができる。液相では,重合媒体は,液体プロピレンであり,任意に不活性炭化水素溶媒及び式CH2=CHZの1以上のコモノマーが存在する。前記炭化水素溶媒は,芳香族(例えばトルエン)であってもよく,脂肪族(例えばプロパン,ヘキサン,ヘプタン,イソブタン,シクロヘキサン及び2,2,4−トリメチルペンタン)であってもよい。
【0008】
好ましくは,重合媒体は,液体プロピレンであり,少量(20重量%まで,好ましくは10重量%まで,さらに好ましくは5重量%まで)の,不活性炭化水素溶媒又は式CH2=CHZの1以上のコモノマーを任意に含んでもよい。前記炭化水素溶媒は,芳香族(例えばトルエン)であってもよく,脂肪族(例えばプロパン,ヘキサン,ヘプタン,イソブタン,シクロヘキサン及び2,2,4−トリメチルペンタン)であってもよい。
【0009】
重合反応中の水素の存在量は,好ましくは1ppmより多く,さらに好ましくは5から2000ppmであり,さらに好ましくは6から500ppmである。水素は,重合反応の開始時に加えることができ,予備重合工程が行なわれた後の,より遅い段階で,加えることもできる。有機多孔質ポリマーは,好ましくは,後述する方法で測定される直径10μm(100000Å)までの細孔による多孔度が,0.1cc/gより高く,好ましくは0.2cc/g〜2cc/gであり,さらに好ましくは0.3cc/g〜1cc/gである。
【0010】
本発明の方法による担体として適した有機多孔質ポリマーでは,直径0.1μm(1000Å)から2μm(20000Å)の全細孔による全多孔度は,直径0.02μm(200Å)から10μm(100000Å)の全細孔による全多孔度の少なくとも30%である。好ましくは,直径0.1μm(1000Å)から2μm(20000Å)の全細孔による全多孔度は,直径0.02μm(200Å)から10μm(100000Å)の全細孔による全多孔度の少なくとも40%である。さらに好ましくは,直径0.1μm(1000Å)から2μm(20000Å)の全細孔による全多孔度は,直径0.02μm(200Å)から10μm(100000Å)の全細孔による全多孔度の少なくとも50%である。
【0011】
有機多孔質ポリマーは,好ましくは多孔質ポリオレフィンであり,さらに好ましくは多孔質ポリプロピレン又は多孔質ポリエチレン,例えばWO 95/26369,WO 00/08065に記載された方法によって得られるものである。
【0012】
本発明による,有機多孔質ポリマーによって担持される触媒系は,シリカや他の無機担体をさらに含まない。担体として用いられる有機多孔質ポリマーの量は,一般に非常に少ない(全ポリマーに対して5重量%まで,好ましくは1重量%まで)ので,最終のポリマーの特性,例えば融点又は分子量分布に実質的に影響を与えない。
【0013】
好ましくは,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーを得る本発明の方法は,次の工程を備える。
a)有機多孔質ポリマーに担持された触媒系の存在下で,プロピレンと,任意に式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンを予備重合させる工程。前記触媒は,メタロセン化合物を含み,重合媒体は,液体プロピレンである。
b)水素及び工程a)で得られる予備重合された触媒系の存在下,重合条件下で,プロピレンと,任意に式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンを接触させる工程。
【0014】
好ましくは,工程b)では,重合媒体は,上述した液体プロピレンである。
【0015】
予備重合された触媒系は,好ましくは,触媒系1グラム当り5から200gのポリマーを含む。
【0016】
予備重合は,好ましくは,−20℃〜70℃の温度で行われる。
【0017】
本発明の方法で使用されるメタロセン化合物を含む触媒系は,
a)少なくともメタロセン化合物,
b)少なくともアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成可能な化合物,
c)任意に有機アルミニウム化合物
を反応させることによって得られる。
【0018】
触媒系の担持は,メタロセン化合物a),若しくはそれと成分b)との反応生成物,又は成分b)とその後のメタロセン化合物a)を有機多孔質担体に堆積させることによって達成される。担持工程は,不活性溶媒,例えばトルエン,ヘキサン,ペンタン及びプロパンから選ばれる炭化水素中で,0℃から100℃,好ましくは10℃から60℃の温度で行なわれる。別の実施形態では,触媒系は,有機多孔質担体に噴霧される。
【0019】
触媒系を担持する特に適切な方法は,WO 01/44319に記載されており,その方法は,
(a)触媒系を含む触媒溶液を製造し,
(b)接触容器に,
(i)粒子状の多孔質担体材料
(ii)導入される多孔質担体材料の全細孔容量を超えない容量の触媒溶液
を導入し,
(c)工程(b)で得られる材料を接触容器から排出し,それを溶媒が蒸発するような条件下で不活性ガス流中に浮遊させ,
(d)再導入される材料の全細孔容量を超えない別容量の触媒溶液と共に,工程(c)で得られる材料の少なくとも一部を接触容器に再導入する工程を備える。
【0020】
メタロセン化合物は,少なくともπ結合を有する遷移金属化合物である。
【0021】
メタロセン化合物の好ましいクラスは,次の式(I):
【化1】

を有する。
【0022】
式中,Mは,元素周期表の4,5族,又はランタノイド又はアクチニド族に属する遷移金属である。好ましくは,Mは,ジルコニウム,チタン又はハフニウムである。置換基Xは,互いに同一又は異なり,水素,ハロゲン,R6,OR6,OCOR6,SR6,NR62及びPR62(式中,R6は,任意に1以上のSi又はGe原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和の,C1−C20アルキル,C3−C20シクロアルキル,C6−C20アリール,C7−C20アルキルアリール又はC7−C20アリールアルキル基である。)からなる群から選ばれるモノアニオンのシグマ配位子である。置換基Xは,好ましくは同一であり,好ましくは,水素,ハロゲン,R6又はOR6(式中,R6は,好ましくは,任意に1以上のSi又はGe原子を含有する,C1−C7アルキル,C6−C14アリール又はC7−C14アリールアルキル基である。)である。さらに好ましくは,置換基Xは,Cl又はMeである。
【0023】
pは,金属Mの酸化状態マイナス2に等しい整数であり,好ましくはpは,2である。
【0024】
Lは,任意に元素周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する,C1−C20のアルキリデン,C3−C20シクロアルキリデン,C6−C20アリーリデン,C7−C20アルキルアリーリデン,又はC7−C20アリールアルキリデン基,及び5個までのシリコン原子を含有するシリリデン基,例えばSiMe2,SiPh2から選ばれる二価の架橋基である。好ましくはLは,二価基(ZR7mnである。式中,Zは,C,Si,Ge,N又はPであり,R7基は,互いに同一又は異なり,水素又は直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20アルキル,C3−C20シクロアルキル,C6−C20アリール,C7−C20アルキルアリール又はC7−C20アリールアルキル基であるか,又は2つのR7が,脂肪族又は芳香族のC4−C7環を形成してもよい。さらに好ましくは,Lは,Si(CH32,SiPh2,SiPhMe,SiMe(SiMe3),CH2,(CH22,(CH23又はC(CH32から選ばれる。
【0025】
1,R2,R3及びR4は,互いに同一又は異なり,水素原子,又は任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基であるか,又は2つの隣接したR1,R2,R3及びR4が,任意に周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する1以上の3−7員環を形成する。例えば,シクロペンタジエニル部分と共に,次の基:インデニル;モノ−,ジ−,トリ−及びテトラ−メチルインデニル;2−メチルインデニル,3−tブチル−インデニル,2−イソプロピル−4−フェニルインデニル,2−メチル−4−フェニルインデニル,2−メチル−4,5ベンゾインデニル;3−トリメチルシリル−インデニル;4,5,6,7−テトラヒドロインデニル;フルオレニル;5,10−ジヒドロインデノ[1,2−b]インドール−10−イル;N−メチル−又はN−フェニル−5,10−ジヒドロインデノ[1,2−b]インドール−10−イル;5,6−ジヒドロインデノ[2,1−b]インドール−6−イル;N−メチル−又はN−フェニル−5,6−ジヒドロインデノ[2,1−b]インドール−6−イル;アザペンタレン−4−イル;チアペンタレン−4−イル;アザペンタレン−6−イル;チアペンタレン−6−イル;モノ−,ジ−及びトリ−メチル−アザペンタレン−4−イル,2,5−ジメチル−シクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]−ジチオフェンを形成する。前記環は,任意に周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する1から20炭素原子の環を含む1以上の炭化水素基で置換可能である。
【0026】
式(I)に属する化合物の非限定的な例は,次の化合物(可能である場合には,メソ又はラセミの異性体又はこれらの混合物の何れであってもよい。):
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2,4,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2,5,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
【0027】
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−(4´−tert−ブチル)−フェニル−インデニル)(2,7−メチル−4−(4´−tert−ブチル)−フェニル−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−(4´−tert−ブチル)−フェニル−インデニル)(2−メチル−4−(4´−tert−ブチル)−フェニル−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−フェニル−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,
1,2−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,
1,2−エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
1,2−エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,
ジメチルシランジイル−1−(2−メチル−インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド,
【0028】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−ter−ブチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0029】
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジクロリド−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジメチル;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジエチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジイソプロピル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジter−ブチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジトリメチルシリル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0030】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジクロリド−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジクロリド−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−シロール)ジルコニウムジクロリド;
並びに,対応するジメチル,ヒドロクロロ及びジヒドロ及びη4-ブタジエン化合物である。
【0031】
式(I)に属する適切なメタロセン錯体は,WO 98/22486,WO 99/58539,WO 99/24446,USP 5,556,928,WO 96/22995,EP−485822,EP−485820,USP 5,324,800,EP−A−0 129 368,USP 5,145,819,EP−A−0 485 823,WO 01/47939,WO 01/44318及びPCT/EP02/13552に記載されている。
【0032】
好ましいメタロセン化合物は,式(II):
【化2】

【0033】
(式中,M,X,L及びpは,上記した。
【0034】
8は,互いに同一又は異なり,任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基である。好ましくは,R8は,互いに同一又は異なり,メチル,エチル又はイソプロピル基である。
【0035】
9,R10,R11及びR12は,互いに同一又は異なり,水素原子,任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基であるか,又はこれらは,連結して,縮合4−7員環,例えばベンゼン環を形成し,インデニル基と共にベンゾインデニル部分を形成することができる。
【0036】
好ましくは,R10は,水素であり,好ましくは,R9は,C1−C20−アルキル,C6−C20−アリール又はC7−C20−アリールアルキル基であり,さらに好ましくは,R9は,C6−C20−アリール又はC7−C20−アリールアルキル基である。好ましくは,R10及びR11は,水素,C1−C20−アルキル,C6−C20−アリール又はC7−C20−アリールアルキル基であり,さらに好ましくは,R11は,水素又はメチル基である。
【0037】
成分b)として用いられるアルモキサンは,水と有機−アルミニウム化合物(式HjAlU3-j又はHjAl26-j,式中,U置換基は,同一又は異なり,水素原子,ハロゲン原子,任意にシリコン又はゲルマニウム原子を含有する,C1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール又はC7−C20−アリールアルキル基である。但し,少なくとも1つのUは,ハロゲンではなく,jは,0から1の非整数である。)を反応させることによって得ることができる。この反応では,Al/水のモル比は,好ましくは1:1〜100:1である。
【0038】
アルミニウムとメタロセンの金属との間のモル比は,概ね,約10:1〜約30000:1,好ましくは約100:1〜約5000:1である。
【0039】
本発明による触媒で用いられるアルモキサンは,次のタイプの基:
【化3】

を少なくとも1つ含有する直鎖,分岐鎖又は環状化合物である。式中,置換基Uは,同一又は異なり,上で定義した。
【0040】
特に,次の式:
【化4】

のアルモキサンは,直鎖化合物の場合に使用可能である。式中,n1は,0又は1〜40の整数であり,置換基Uは,上で定義した。又は,次の式:
【化5】

のアルモキサンは,環状化合物の場合に使用可能である。式中,n2は,2〜40の整数であり,U置換基は,上で定義した。
【0041】
本発明での使用に適したアルモキサンの例は,メチルアルモキサン(MAO),テトラ−(イソブチル)アルモキサン(TIBAO),テトラ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルモキサン(TIOAO),テトラ−(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)及びテトラ−(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0042】
特に興味深い共触媒は,WO 99/21899及びWO 01/21674に記載されたものであり,アルキル及びアリール基が特定の分岐鎖パターンを有している。
水と反応して適切なアルモキサン(b)ができるアルミニウム化合物の非限定的な例は,WO 99/21899及びWO 01/21674に記載されており,トリス(2,3,3−トリメチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2,3−ジメチル−ヘキシル)アルミニウム,トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2,3−ジメチル−ヘプチル)アルミニウム,トリス(2−メチル−3−エチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2−メチル−3−エチル−ヘキシル)アルミニウム,トリス(2−メチル−3−エチル−ヘプチル)アルミニウム,トリス(2−メチル−3−プロピル−ヘキシル)アルミニウム,トリス(2−エチル−3−メチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−エチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2,3−ジエチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2−プロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−イソプロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−イソブチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2,3,3−トリメチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2,3,3−トリメチル−ヘキシル)アルミニウム,トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム,トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−トリメチルシリル−プロピル)アルミニウム,トリス(2−メチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−エチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム,トリス(2,3−ジメチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−フェニル−プロピル)アルミニウム,トリス[2−(4−フルオロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム,トリス[2−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム,トリス[2−(3−イソプロピル−フェニル)−プロピル]アルミニウム,トリス(2−フェニル−ブチル)アルミニウム,トリス(3−メチル−2−フェニル−ブチル)アルミニウム,トリス(2−フェニル−ペンチル)アルミニウム,トリス[2−(ペンタフルオロフェニル)−プロピル]アルミニウム,トリス[2,2−ジフェニル−エチル]アルミニウム及びトリス[2−フェニル−2−メチル−プロピル]アルミニウム,並びに,これらの対応する,ヒドロカルビル基の1つを水素原子で置換した化合物及びヒドロカルビル基の1つ又は2つをイソブチル基で置換したものである。
【0043】
上記アルミニウム化合物の中で,トリメチルアルミニウム(TMA),トリイソブチルアルミニウム(TIBA),トリス(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルミニウム(TIOA),トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム(TDMBA)及びトリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム(TTMBA)は,好ましい。
【0044】
アルキルメタロセンカチオンを形成可能な化合物の非限定的な例は,式D+-の化合物である。式中,D+は,ブレーンステッド酸であり,プロトンを供与可能であり,式(I)のメタロセンの置換基Xと不可逆的に反応し,E-は,共存可能なアニオンであり,前記2つの化合物の反応で得られる活性触媒種を安定化可能であり,オレフィンモノマーによって除去されるのに十分に不安定である。好ましくは,アニオンE-は,1以上のボロン原子を含み,さらに好ましくは,アニオンE-は,式BAr4(-)のアニオンである。式中,置換基Arは,同一又は異なっていてもよく,アリール基,例えばフェニル,ペンタフルオロフェニル又はビス(トリフルオロメチル)フェニルである。テトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートは,WO 91/02012に記載されているように,特に好ましい化合物である。さらに,式BAr3の化合物は,便利に使用可能である。このタイプの化合物は,例えば国際特許出願WO 92/00333に記載されている。アルキルメタロセンカチオンを形成可能な化合物の他の例は,式BAr3Pの化合物である。式中,Pは,置換又は非置換のピロール基である。これらの化合物は,WO 01/62764に記載されている。ボロン原子を含有する化合物は,DE−A−19962814及びDE−A−19962910の記載によって都合よくサポート可能である。これら全ての,ボロン原子を含有する化合物は,ボロンとメタロセンの金属との間のモル比が約1:1〜10:1,好ましくは1:1〜2:1,さらに好ましくは1:1で使用可能である。
【0045】
式D+-の化合物の非限定的な例は,
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート,
トリメチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネート,
トリプロピルアンモニウムテトラ(ジメチルフェニル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート,
トリブチルアンモニウムテトラ(4−フルオロフェニル)ボレート,
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート,
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート,
N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート,
N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート,
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート,
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート,
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート,
【0046】
ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
トリフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート,
トリエチルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート,
ジフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート,
トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート,
トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート,
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート,
トリフェニルカルベニウムテトラキス(フェニル)アルミネート,
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート,
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及び
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0047】
化合物c)として用いられる有機アルミニウム化合物は,上記のように,式HjAlU3-j又はHjAl26-jのものである。
【0048】
本発明の方法で得られる,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%まで,好ましくは5モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーは,好ましくは,融点>100℃であり,さらに好ましくは融点>120℃である。
【0049】
このように,本発明のさらなる対象は,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含み,次の特徴:
−融点>100℃;好ましくは融点>120℃;
−空隙の百分率で表現された全多孔度(porosity),%V/V1>15;好ましくは%V/V1>20;さらに好ましくは%V/V1>30;及び
−分子量分布Mw/Mn<4;好ましくはMw/Mn<3
を有するプロピレンポリマー粒子である。
【0050】
本発明の方法で使用可能な前記α−オレフィンの例は,エチレン,1−ブテン,1−ペンテン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,4,6−ジメチル−1−ヘプテン,1−デセン,1−ドデセン,1−テトラデセン,1−ヘキサデセン,1−オクタデセン及び1−エイコセンである。好ましいコモノマーは,エチレン及び1−ブテンである。
【0051】
分子量分布は,異なるメタロセン化合物の混合物を用いることによって,又は重合温度及び/又は分子量調整剤の濃度及び/又はモノマー濃度が異なる数段階で重合を行なうことによって,変化させることができる。
【0052】
得られたポリマーの分子量(I.V)は,好ましくは0.5〜20である。
【0053】
次に,本発明を説明し,限定しない例を示す。
【実施例】
【0054】
実験セクション
WO 98/40331(実施例65)に従って,rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(パラ−tert−ブチルフェニル)−インデニル)−ジルコニウムジクロリド(rac−Me2Si(2−Me−4(4tBuPh)Ind)2ZrCl2)を製造した。
【0055】
固有粘度(I.V.)を,デカヒドロナフタレン(decahidronaftalene)(DHN)中で,135℃で測定した。
【0056】
多孔度(水銀)は,既知量のサンプルを,膨張計内の既知量の水銀中に浸し,液圧により徐々に水銀圧力を高くすることによって,測定する。細孔内への水銀の導入圧力は,細孔の直径の関数である。測定は,多孔度計「Porosimeter 2000 Series」(Carlo Erba)を用いて行なった。全多孔度は,水銀の体積減少と加えた圧力値から計算した。
【0057】
空隙の百分率で表現された全多孔度(%V/V1)は,圧力下での水銀の吸収によって測定する。吸収された水銀の体積は,細孔の体積に対応する。この測定のために,水銀の貯蔵部及び高真空ポンプ(1x10-2mbar)に連結された校正済みの膨張計(直径3mm)CD3(Carlo Erba)が用いられる。重量を測定したサンプル(約0.5g)を膨張計内に配置する。この装置は,高真空下(<0.1mmHg)に配置され,その条件で10分間維持される。次に,膨張計は,水銀貯蔵部に連結され,この水銀は,膨張計の10cmの高さにマークされた高さに達するまで,膨張計内にゆっくりと流れ込むことができる。膨張計を真空ポンプに連結するバルブが閉じられ,この装置は,窒素によって加圧される(2.5Kg/cm2)。圧力の影響下で,水銀は,細孔内に浸透し,その高さは,材料の多孔度に従って下がる。水銀が安定した高さを膨張計で測定すると,細孔の体積は,V=R2πΔHから計算される。式中,Rは,膨張計の半径であり,ΔHは,膨張計内の水銀の最初と最後の高さのcmでの差である。膨張計,膨張計+水銀,膨張計(水銀+サンプルの重量を測定することによって,細孔の浸透の前のサンプルの見かけの体積V1の値が計算できる。サンプルの体積は,
1=[P1−(P2−P)]/D
によって求められる。
【0058】
Pは,グラムでのサンプルの重量であり,P1は,グラムでの膨張計+水銀の重量であり,P2は,グラムでの膨張計(水銀+サンプルの重量であり,Dは,水銀の密度(25℃で13.546g/cc)である。百分率での多孔度は,
X=(100V)/V1
という関係によって求められる。
【0059】
細孔分布曲線及び平均細孔サイズは,水銀の体積減少と加えた圧力値の関数である,完全な細孔分布曲線から直接計算される(これら全てのデータは,多孔度計と結びつき,C.Erbaによる「MILESTONE 200/2.04」というプログラムが入ったコンピュータによって提供され,作られる。)。
【0060】
バルク密度(PBD)は,DIN−53194に従って測定した。
【0061】
多孔質ポリマー担体
ポリエチレンプレポリマー(担体A)は,WO 95/26369の実施例1に記載された手順に従い,次の条件下で製造した;重合温度0℃,AliBu3(AliBu3/ZN触媒=1(w/w)),1.5bar−gのエチレン(転換40gPE/gcat)。ポリマーの特性データを,表1で報告する。
【0062】
ポリプロピレンプレポリマー(担体B)は,WO 00/08065の実施例1に記載された手順に従い,次の条件(重合温度20℃,AliBu3(AliBu3/ZN触媒=1(w/w)),プロピレン流=1kg/hで2時間,次に5kg/hで6時間(転換40gPP/gcat))下で製造した。ポリマーの特性データを,表1で報告する。
【0063】
【表1】

【0064】
担持された触媒系の製造
【0065】
触媒系1
MgCl2/Ti系触媒を不活性化するために,1700gの担体Aを,ヘキサン中に分散させたH2Oで処理し,次に窒素流中で乾燥させた。不純物及び残留水を除去するために,この担体を600mLのMAO(メチルアルモキサン)溶液(Albemarle トルエン中100g/L)に接触させる。
【0066】
19.7gのrac−Me2Si(2−Me−4(4tBuPh)Ind)2ZrCl2を,1.8LのMAO溶液(トルエン中30%w/w)に加える。均一な含浸に必要な体積を得るように,得られた触媒混合物を1Lの精製したトルエンで希釈した。このように得られた触媒混合物を,WO 01/44319に記載された手順によって担体A(上述したように処理されている)に含浸させる。
【0067】
得られた担持された触媒系は,9.2%wのアルミニウム及び0.08%wのジルコニウムを含む。
【0068】
触媒系2
MgCl2/Ti系触媒を不活性化するために,1870gの上記担体Aを,ヘキサン中に分散させたH2Oで処理し,次に窒素流中で乾燥させた。不純物及び残留水を除去するために,この担体を200mLのMAO溶液(トルエン中30%w)に接触させる。
【0069】
28.6gのrac−Me2Si(2−Me−4(4tBuPh)Ind)2ZrCl2を,1.65LのMAO溶液(トルエン中30%w/w)に加えた。均一な含浸に必要な体積を得るように,得られた触媒混合物を650mLの精製したトルエンで希釈した。このように得られた触媒混合物を,WO 01/44319に記載された手順によって担体A(上述したように処理されている)に含浸させる。
【0070】
得られた担持された触媒系は,8%wのアルミニウム及び0.11%wのジルコニウムを含む。
【0071】
触媒系3
MgCl2/Ti系触媒を不活性化するために,5.5gの上記担体Aを,ヘキサン中に分散させたH2Oで処理し,次に窒素流中で乾燥させた。不純物及び残留水を除去するために,この担体を、0.5mLのMAO溶液(トルエン中30%w)を1.5mLのトルエンで希釈したものに接触させる。
【0072】
32mgのメタロセン rac−Me2Si(2−Me−4(4tBuPh)Ind)2ZrCl2を,5mLのMAO溶液(トルエン中30%w/w)に加えることによって,触媒錯体を製造した。
【0073】
このように得られた触媒混合物を,WO 01/44319に記載された手順によって担体A(上述したように処理されている)に含浸させる。
【0074】
得られた担持された触媒系は,9.2%wのアルミニウム及び0.041%wのジルコニウムを含む。
【0075】
触媒系4
MgCl2/Ti系触媒を不活性化するために,90gの上記担体Bを,ヘキサン中に分散させたH2Oで処理し,次に窒素流中で乾燥させた。次に,これを接触容器に取り込み,不活性雰囲気下で機械的に攪拌し,不純物及び残留水を除去するために,9mLのMAO溶液(トルエン中30%w)を21mLのトルエンで希釈したものに接触させた。
【0076】
0.67gのメタロセン rac−Me2Si(2−Me−4(4tBuPh)Ind)2ZrCl2を,81mLのMAO溶液(トルエン中30%w/w)に加えた。このように得られた触媒混合物を,WO 01/44319に記載された手順に従って,60mLの精製したトルエンで希釈し,担体Bに接触させた。
【0077】
担持のあと,次の条件(35℃,エチレン分圧0.55−0.65bar,重合時間60分)で,エチレンの重合度が20%wtになるまで,オフラインでエチレン予備重合を行なった。
【0078】
予備重合された触媒は,7.1%wのアルミニウム及び0.04%wのジルコニウムを含む。
【0079】
触媒系5(比較)
3kgのシリカ(Sylopol948TM)をフィルタープレートが上向きのプロセルフィルターに取り込み,そして15Lのトルエンに懸濁する。7Lの30重量%強度のMAO溶液を,内部温度が35℃を超えない速度で撹拌しながら計量投入する。低スターラー速度でさらに1時間撹拌後,フィルタープレートが下を向くようにプロセスフィルターの向きを変え,最初は大気圧下で,次いで3barの窒素圧下で,懸濁物を濾過する。担体材料の処理と並行して,2.0Lの30重量%強度のMAO溶液と,92.3gのrac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(パラ−tert−ブチルフェニル)−インデニル)−ジルコニウムジクロリドを反応容器中に置き,溶液を1時間撹拌し,さらに30分間静置する。続いて,出口を塞ぎ,前処理した担体材料上に溶液を加える。付加の完了後,出口を開き,濾液を流し出す。何も流れ出なくなると,続いて,出口を閉じ,濾塊を15分間撹拌し,1時間静置する。次いで,出口を開いて,3barの窒素圧を加える。15Lのイソドデカンを残った固形物に添加し,混合物を15分間撹拌し,濾過する。洗浄工程を繰り返し,続いて濾塊を3barの窒素圧を用いて加圧乾燥させる。重合での使用のため,触媒の全量を15Lのイソドデカン中に再懸濁する。触媒系は,0.16%wのジルコニウムを含む。
【0080】
重合例1−7及び比較例8−10
全ての重合試験は,2.490Lのステンレススチール反応器中で実行した。この反応器は,横河(Yokogawa)のシステムによって操作され,攪拌速度が300−400RPMのパドルスターラーと,触媒注入のためのステンレススチールバイアルと,ガラスの覗き窓を備える。この反応器は,3mLのトリメチルアルミニウム10%(1M)を含む1Lのヘキサンで洗浄し,70℃で1時間攪拌し,N2圧力下で下部バルブを通じて前記溶液を溶出することによって,浄化する。反応器温度を30℃に下げ,反応器圧力を0.5bar−gに下げる。次に,プロピレン流の下,清掃剤(4mLヘキサン中で1MTEA)を加え,700gの液体プロピレンを加える。表2で示す量の担持触媒は,ステンレススチールバイアルを通じて,反応器に加える。触媒系1−5に対しては,乾燥粉末は,N2の流れの下,スチールバイアルに取り込まれ,N2の過圧によって反応器内に注入される。次に,バイアルは,N2の過圧によって,反応器内への3−4mLのヘキサンで洗い流される。触媒系6に対しては,粉末は,ヘキサン中のスラリーとして加えられる。
【0081】
ホモポリマーは,最初に30℃で10分間の予備重合を行い,次に,必要量の水素を加え,次に,10分以内に,温度を,表2で示す重合温度に上昇させることによって,液体モノマー内で生成する。重合は,表2で示す時間の間行われ,COを追加し,モノマーを排出することによって,停止させる。反応器を,冷却し,N2でパージし,開いて汚れを検査する。ポリマーを回収し,60℃で1時間真空オーブン中で乾燥させる。重合条件と,得られたポリマーの特性は,表2で報告する。
【0082】
【表2A】

【0083】
【表2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともメタロセン化合物を含む触媒系の存在下,重合条件下で,プロピレンと,任意に1以上のα−オレフィンを重合させる工程を備え,
a)触媒系が,有機多孔質ポリマーに担持され,b)重合反応の少なくとも一部が水素の存在下で実行されることを特徴とする,
式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーを得る方法。
【請求項2】
重合媒体が,少量の,不活性炭化水素溶媒又は式CH2=CHZの1以上のコモノマーを任意に含有する液体プロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次の工程:
a)有機多孔質ポリマーに担持された触媒系の存在下で,プロピレンと,任意に式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンを予備重合させ,前記触媒は,メタロセン化合物を含み,重合媒体は,液体プロピレンであり,
b)水素及び工程a)で得られる予備重合された触媒系の存在下,重合条件下で,プロピレンと,任意に式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンを接触させる,
を備える,式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含む多孔質プロピレンポリマーを得る方法。
【請求項4】
工程b)での重合媒体が,少量の,不活性炭化水素溶媒又は式CH2=CHZの1以上のコモノマーを任意に含有する液体プロピレンである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
有機多孔質ポリマーが,0.1cc/gより高い直径10μm(100000Å)までの細孔による多孔度を有する請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
有機多孔質ポリマーは,直径0.1μm(1000Å)から2μm(20000Å)の全細孔による全多孔度が,直径0.02μm(200Å)から10μm(100000Å)の全細孔による全多孔度の少なくとも30%である請求項1〜5の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
重合反応中の水素の存在量が、1ppmより多い請求項1〜6の何れか1つに記載の方法。
【請求項8】
メタロセン化合物を含む触媒系が,
a)メタロセン化合物,
b)少なくともアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成可能な化合物,
c)任意に有機アルミニウム化合物
を反応させることによって得られる請求項1〜7の何れか1つに記載の方法。
【請求項9】
触媒系が,次の工程:
(a)触媒系を含む触媒溶液を製造し,
(b)接触容器に,
(i)粒子状の多孔質担体材料
(ii)導入される多孔質担体材料の全細孔容量を超えない容量の触媒溶液
を導入し,
(c)工程(b)で得られる材料を接触容器から排出し,それを溶媒が蒸発するような条件下で不活性ガス流中に浮遊させ,
(d)再導入される材料の全細孔容量を超えない別容量の触媒溶液と共に,工程(c)で得られる材料の少なくとも一部を接触容器に再導入する,
を含む方法によって有機多孔質ポリマー担体に担持される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
メタロセン化合物が,式(I):
【化1】

(式中,Mは,元素周期表の4,5族,又はランタノイド又はアクチニド族に属する遷移金属であり,
置換基Xは,互いに同一又は異なり,水素,ハロゲン,R6,OR6,OCOR6,SR6,NR62及びPR62(式中,R6は,任意に1以上のSi又はGe原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和の,C1−C20アルキル,C3−C20シクロアルキル,C6−C20アリール,C7−C20アルキルアリール又はC7−C20アリールアルキル基である。)からなる群から選ばれるモノアニオンのシグマ配位子であり,
pは,金属Mの酸化状態マイナス2に等しい整数であり,
Lは,任意に元素周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する,C1−C20のアルキリデン,C3−C20シクロアルキリデン,C6−C20アリーリデン,C7−C20アルキルアリーリデン,又はC7−C20アリールアルキリデン基,及び5個までのシリコン原子を含有するシリリデン基から選ばれる二価の架橋基であり,
1,R2,R3及びR4は,互いに同一又は異なり,水素原子,又は任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基であるか,又は2つの隣接したR1,R2,R3及びR4が,任意に周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する1以上の3−7員環を形成し,前記環は,任意に周期表の13−17族に属するヘテロ原子を含有する1から20炭素原子の環を含む1以上の炭化水素基で置換可能である。)に属する請求項1〜9の何れか1つに記載の方法。
【請求項11】
メタロセン化合物が,式(II):
【化2】

(式中,M,X,L及びpは,請求項7に記載の意味を有し,
8は,互いに同一又は異なり,任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基であり,
9,R10,R11及びR12は,互いに同一又は異なり,水素原子,任意に元素周期表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有する,直鎖又は分岐鎖の,飽和又は不飽和のC1−C20−アルキル,C3−C20−シクロアルキル,C6−C20−アリール,C7−C20−アルキルアリール,又はC7−C20−アリールアルキル基であるか,又はこれらは,連結して,縮合4−7員環を形成することができる。)に属する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式CH2=CHZ(式中,Zは,H又はC2−C10アルキル基である。)の1以上のα−オレフィンの誘導単位を10モル%までで任意に含み,次の特徴:
−融点>100℃;
−空隙の百分率で表現された全多孔度,%V/V1>15;及び
−分子量分布Mw/Mn<4
を有するプロピレンポリマー。

【公表番号】特表2006−523745(P2006−523745A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505143(P2006−505143)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004003
【国際公開番号】WO2004/092230
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(502303902)バセル ポリオレフィン ジーエムビーエイチ (19)
【氏名又は名称原語表記】BASELL POLYOLEFINE GMBH
【住所又は居所原語表記】Bruhler Strasse 60,50389 Wesseling,Germany
【Fターム(参考)】