多孔質炭素球の制御可能な合成及びその電気化学的用途
開示の発明は、調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素に関する。また、該多孔質炭素を作製するための方法であって、(a)コロイダルシリカテンプレート材料と水溶性熱分解性炭素供給源とを水溶液中で混ぜ合わせて前駆体溶液を用意する工程であって、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びコロイダルシリカ/炭素供給源の重量比は制御される工程と、(b)前駆体溶液を超音波噴霧熱分解により霧化して小液滴を得る工程と、(c)不活性ガス雰囲気下、700〜1200℃で稼働している高温炉に液滴を導入する工程であって、そこで、液滴は固体球状の炭素/シリカ複合粒子に変換される工程と、(d)炉から出る炭素/シリカ複合粒子を回収する工程と、(e)粒子からシリカを除去して、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の実質的に純粋な多孔質炭素を得る工程と、を含む方法に関する。本発明の多孔質炭素は、PEM燃料電池の触媒支持体、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池の電極、水素貯蔵材料、及び薬物送達のキャリアとして使用される。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素及びその作製方法に関する。
【0002】
[0002]エネルギー危機及び環境汚染は、人類が直面する2つの重大な問題である。世界中の人々が、現行の石油及びICE(内燃機関)をベースとするエネルギーシステムに代わる持続可能で環境に優しいエネルギー源及びエネルギー装置の開発にますます関心を示している。燃料電池、電池及びコンデンサを始めとする電気化学エネルギー変換及び貯蔵装置は、地球規模のエネルギー及び環境問題に対処するための最も有望な手段である。
【0003】
[0003]これらの電気化学システムにおいて、炭素材料は、化学エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換するのを助ける主要な構成要素である。例えば、プロトン電解質膜燃料電池では、多孔質炭素は、貴金属触媒(例えば、Pt、PtRu)及び非貴金属触媒(例えば、Fe、Co、ポルフィリン、フタロシアニン)の分散及び利用を改善する触媒支持体として使用される。炭素材料はまた、水素の吸着及び脱着が可能であり、それゆえ燃料電池用途では水素貯蔵材料として機能する。また、リチウムイオン電池では、炭素材料は、アノード側でのリチウムイオンインターカレーション反応のための最も有効で商業的に使用されている電極材料である。電気二重層キャパシタでは、炭素粉末は、電気化学二重層構造における電荷蓄積用の多孔質電極を構成する主要材料である。
【0004】
[0004]これらの用途において、炭素の表面積及び気孔率は電気化学システムの性能にとって重要である。高表面積の炭素は、多くの場合に金属触媒の高い分散及びLiイオン/水素/電荷蓄積の高い容量をもたらし、他方、高気孔率の炭素は、気体及び液体の反応物及び生成物の大量輸送を促進する。しかし、電気化学的性能は、炭素の表面積及び気孔率の一次関数ではない。表面積及び気孔率の増加は、他のパラメーター(例えば、電子伝導率、親水性、比容積、密度)に対して否定的な効果をもたらす可能性がある。例えば、燃料電池の性能は、高表面積の炭素支持体へのPtナノ粒子の良好な分散により改善されるかもしれないが、表面積の増加に起因する炭素の電子伝導率の減少により抑制される可能性もある。また、電気化学反応における多様な気体及び液体の大量輸送の特性に対応するには、様々な気孔率の炭素材料が必要である。例えば、2〜50ナノメーターの孔径を有するメソ多孔質炭素は一般に燃料電池にとって好ましいが、ミクロ多孔質炭素及びマクロ多孔質炭素(孔径はそれぞれ2ナノメーター未満及び50ナノメーター超)は、他の用途(例えば、電池、コンデンサ、水素貯蔵)に適している。
【0005】
[0005]したがって、特定の電気化学システム又は反応への適用のためには、表面積及び孔径により、そして粒子形態(形状)及び粒径分布により規定される特定の気孔率の炭素材料が設計される必要がある。しかし、大多数の市販のカーボンブラック[通常は、炭化水素(例えば、天然ガス、石油精製の際に取り出される石油留分)を熱分解することにより製造される。]は、特定の性質を有する炭素材料を制御可能に合成するという要求に対応することができない。
【0006】
[0006]近年、多様な形態及び気孔率を有する炭素材料の合成方法を開発する多くの取り組みが行われている。人工炭素の主な合成手法は、炭素特性を制御するための化学的又は物理的構造を有する気体、液体又はポリマー状の炭化水素前駆体を炭化することである。
【0007】
[0007]最もよく知られた例は、カーボンナノチューブ(CNT)である。カーボンナノチューブ[通常、アーク放電、レーザーアブレーション又は化学蒸着(典型的には触媒粒子上で行う。)により合成される。]は、電気化学的用途に潜在的に有利な特有の形態、構造及び電気的特性を有する。実験条件を制御することを通じて、様々な特性を有するカーボンナノチューブ、さらには他のナノ構造炭素材料(例えば、カーボンナノファイバー、ナノコイル、ナノキューブ)を合成することができる。
【0008】
[0008]他の従来技術の例は、高表面積及び単峰性メソ多孔質構造という特徴により燃料電池用の貴金属触媒の炭素支持体として開発されたメソ多孔質炭素(MC)である。メソ多孔質炭素は、典型的には、メソ多孔質テンプレート(例えば、規則性メソ多孔質シリカ及びコポリマーテンプレート)の存在下、炭化水素を炭化することによって合成される。テンプレートパラメーターを制御することを通じて、様々な特性を有するメソ多孔質炭素を合成することができる。メソ多孔質炭素の開発は、炭素の表面積及び気孔率を制御する方法を提供する。
【0009】
[0009]しかしながら、市販のカーボンブラック及び現在の人工炭素は電気化学的適用に関して限界及び欠点を有する。
【0010】
[0010]例えば、市販のアセチレンブラックは低表面積(78m2/g)を有する。ブラックパール(Black Pearl)2000は高表面積(1500m2/g)を有するが、細孔の量が多い。バルカン(Vulcan)72カーボンブラックは、中程度の表面積(245m2/g)及び気孔率を有する。これらのカーボンブラックは電気化学エネルギー装置に広く使用されているが、炭素特性を最適化することによりシステム性能を改善する余地が大きい。
【0011】
[0011]カーボンナノチューブの場合、合成方法は大規模生産及び費用効率性に関して限界を有する。厳しい合成条件及び低い生産収率が主な欠点である。また、より重要なことだが、カーボンナノチューブを電気化学多孔質電極にどのように適用するかは依然として難題である。他のナノ材料の場合と同様に、凝集傾向が電気化学的用途における一次ナノ構造の利点を相殺する可能性がある。
【0012】
[0012]メソ多孔質炭素に関しては、規則性メソ多孔質炭素の現在の合成法は、通常、高価なテンプレート(例えば、規則性メソ多孔質シリカMCM−48、SBA−1、SBA−15)を使用する。大規模生産のためには、より費用効率の高い手法を開発する必要がある。
【0013】
[0013]近年、WO2007/143404(公開日:2007年12月13日)において、テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシラン、TEOS)のリン酸加水分解により調製されたコロイダルシリカテンプレートを、炭素の供給源としてのスクロースと組み合わせて使用する、メソ多孔質炭素粉末の調製方法が開示されている。この方法は、メソ多孔質炭素を調製するための費用効率の高い方法を提供する。しかし、開示された方法は、単に炭素の微視的構造の制御に焦点を合わせ、巨視的な形態を見落としている。報告されているメソ多孔質炭素の大部分は、ランダムな粒子形態及び粒径分布を示す。これらの巨視的なパラメーターは、実際、多孔質炭素電極の性能に対して有意な影響を及ぼす。
【0014】
[0014]球状材料が多孔質電極の作製において有利であることもよく知られている。球体は、他の形状の固体と比べると最もコンパクトなパッケージを有する。球状炭素は、よりコンパクトで薄い膜(燃料電池の触媒膜、電池/コンデンサの電極層)を形成し、より高いエネルギー密度及び出力密度をもたらすことが可能である。さらに、狭い粒径分布を有する多孔質炭素球は、電気化学装置において大量輸送のための規則性3Dチャンネルを構築することが可能である。したがって、電気化学的用途において、球状カーボンブラックはランダムな形態の他のカーボンブラックよりも好ましい。
【発明の概要】
【0015】
[0015]本発明は、調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を提供する。本発明の多孔質炭素は、多様な電気化学エネルギー技術の要求に応じて、ミクロ孔、メソ孔、マクロ孔又は階層的細孔を有する。
【0016】
[0016]本発明はまた、そのような多孔質炭素を作製するための新規の方法を提供する。本発明の方法では、電気化学エネルギー技術の先端材料として使用される多孔質炭素球を制御可能に合成するために、超音波噴霧熱分解(USP)法とコロイダルシリカテンプレート法とが組み合わせて使用される。本発明の方法は、球体形状の多孔質炭素を調製する機能、及び多孔質炭素球の表面積と孔径とにより規定される気孔率を調整する機能を有する。
【0017】
[0017]一態様において、本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を作製するための方法であって、
(a)コロイダルシリカテンプレート材料と水溶性熱分解性炭素供給源とを水溶液中で混ぜ合わせて前駆体溶液を用意する工程であって、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びコロイダルシリカ/炭素供給源の重量比は制御される工程と、
(b)前駆体溶液を超音波噴霧熱分解により霧化して小液滴を得る工程と、
(c)不活性ガス雰囲気下、700〜1200℃で稼働している高温炉に液滴を導入する工程であって、そこで、液滴は固体球状の炭素/シリカ複合粒子に変換される工程と、
(d)炉から出る炭素/シリカ複合粒子を回収する工程と、
(e)粒子からシリカを除去して、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の実質的に純粋な多孔質炭素を得る工程と、
を含む方法を提供する。
【0018】
[0018]本発明の一実施形態において、前駆体溶液は超音波噴霧熱分解(USP)により霧化される。
【0019】
[0019]本発明の他の実施形態において、コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比は1:4〜4:1である。
【0020】
[0020]本発明のさらに別の実施形態において、コロイダルシリカテンプレートの粒径は1〜100nmである。
【0021】
[0021]本発明のさらなる実施形態において、工程(c)では、pHは1.0〜3.0の酸性pHに調整される。
【0022】
[0022]本発明のさらなる実施形態において、水溶性炭素供給源は、スクロース、ピロール及びアニリンからなる群より選択される。ただし、水溶性炭素供給源はこれらに限定されない。
【0023】
[0023]本発明の他の実施形態において、前駆体溶液に加える前又は球状炭素粒子を形成した後には、触媒粒子(例えば、Pt又はPt合金触媒)を炭素供給源材料に付着させる追加の工程が実施される。
【0024】
[0024]本発明の他の実施形態において、炭素球構造は部分的に黒鉛化される。黒鉛化は、例えば、Fe、Co及びNiからなる群より選択される遷移金属イオンを金属/炭素重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えることによって実施される。
【0025】
[0025]さらなる実施形態において、本発明の方法は、コロイダルシリカテンプレート(テトラエトキシシランを加水分解して調製するか、市販のコロイダルシリカを使用して調製する。)と、炭素供給源としての水溶性炭化水素(スクロース、ピロール又はアニリン)と、を水溶液中で混ぜ合わせることによって、まず前駆体溶液を調製することを含む。次いで、前駆体溶液を、超音波噴霧器で霧化/微粒化して小液滴を得、小液滴を高純度不活性ガス(例えば窒素)により管状炉に導入する。液滴は、炉で熱分解(脱水、重合及び炭化)を受ける。得られた炭素/シリカ複合粒子を炉の出口で回収し、強塩基又は強酸を用いて粒子からシリカをエッチングする。濾過、洗浄及び乾燥後、球状多孔質炭素粒子を得る。
【0026】
[0026]他の態様において、本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素であって、多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径分布を有する多孔質炭素を提供する。
【0027】
[0027]この態様の一実施形態において、多孔質炭素には金属触媒粒子(例えば貴金属触媒粒子)が付着している。
【0028】
[0028]本発明のさらなる態様において、本発明の多孔質炭素球は、例えば、PEM燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール型燃料電池)における酸素還元反応(ORR)及びメタノール酸化反応(MOR)のためのPt及びPt合金触媒を調製する触媒支持体として使用される。金属ナノ粒子の高い分散及び優れたORR活性は、これらの多孔質炭素球担持貴金属触媒上で達成される。新規の多孔質炭素球は、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオン電池の電極材料として使用される。上記多孔質炭素球は、市販の炭素材料(例えば、バルカン(登録商標)や現在これらの装置に使用されているカーボンブラック)よりも顕著に高い効率を示す。
【0029】
[0029]新規の多孔質炭素球は、水素貯蔵用としても、また、薬物送達のキャリアとしても有望である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】超音波噴霧熱分解法及びコロイダルシリカテンプレート法の組合せにより多孔質炭素球を作製するための本発明の方法で使用される装置の概略図である。
【図2a】22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成された炭素/シリカ複合粒子(シリカをエッチングする前)のSEM写真である。
【図2b】シリカをエッチングした後の炭素球のSEM写真である。
【図2c】炭素球の拡大写真である。
【図2d】炭素球が中空であることを示す、炭素球のTEM写真である。
【図3】2.4MHz超音波噴霧器により調製された多孔質炭素球の粒径分布曲線である。
【図4】22nmコロイダルシリカテンプレートにより調製された多孔質炭素球の熱重量(TG)曲線(空気気流、20℃/分)である。
【図5a】22nmコロイダルシリカテンプレートにより調製された多孔質炭素球のN2吸脱着等温線である。
【図5b】BJH法により窒素等温線の吸着分枝から算出された対応する孔径分布曲線である。
【図6】黒鉛化前後の多孔質炭素球のXRDパターンである。
【図7a】IFIC多孔質炭素球担持Pt触媒のTEM写真である。
【図7b】多孔質炭素球上のPtナノ粒子分布を示す拡大TEM写真である。
【図8】400rpmの回転速度下での酸素飽和0.5M H2SO4溶液中IFCI 40%Pt/C及びE−TEK 40%Pt/CのRDE結果である。
【図9a】IFCI多孔質炭素球担持PtCo触媒のTEM写真である。
【図9b】多孔質炭素球上のPtCoナノ粒子分布を示す拡大TEM写真である。
【図10】50mV/sの走査速度での0.5M H2SO4溶液中多孔質炭素球MC1105及び市販バルカンXC72のサイクリックボルタモグラムである。
【発明の詳細な説明】
【0031】
[0030]本発明において、多孔質炭素球を制御可能に合成するために次の2つの戦略の組合せを採用した。(1)コロイダルシリカをテンプレートとして用いて多孔質炭素を複製すること。複製多孔質炭素球の表面積及び気孔率は、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びシリカ/炭素供給源の比を制御することによって調整する。コロイダルシリカは、テトラエトキシシランを加水分解することによって合成することが可能であり、これは、規則性メソ多孔質シリカテンプレートを調製するよりも遙かに容易である。或いは、特定のコロイドサイズを有する多くの低価格コロイダルシリカ製品が市販されている。(2)超音波噴霧熱分解(USP)法を用いて球状多孔質炭素を形成すること。理論上、球状粒子は一定体積中の堆積密度が最も高い。多孔質炭素球は、電気化学多孔質電極に適用するのに理想的である。USP法では、液体前駆体から開始してサブミクロンの固体球状粒子を製造することが可能である。この方法を用いて、コロイダルシリカ及び水溶性炭素供給源材料(例えば、スクロース、ピロール、アニリン)の液体混合物を球状の炭素/シリカ複合粒子に変換し、次いで、強酸又は強塩基によりシリカをエッチングして多孔質炭素球を形成する。
【0032】
[0031]図1に示されているとおり、詳細には本発明の方法は下記の5工程を含む。
【0033】
(1)前駆体溶液を調製する工程。テトラエトキシシランを加水分解することにより調製したコロイダルシリカ又は市販のコロイダルシリカを、テンプレートとして使用した。スクロース、ピロール、アニリン、又は他の熱分解性炭素を含有する化合物を、炭素供給源として使用した。容器10中で、目標とする表面積及び気孔率に応じて、適当な量のコロイダルシリカ及び炭素供給源を各々DI水に溶解した。そして、攪拌しながら2つの溶液を30分間混合する。次いで、激しく攪拌しながら酸(HCl、H2SO4、H3PO4等)を混合溶液に素早く加えて、pHを1〜3に調整した。酸化剤(FeCl3、H2O2等)を加えて重合を開始することができる。コロイダルシリカテンプレートのコロイド粒径とコロイダルシリカ及び炭素供給源の量を、必要とする炭素の表面積及び気孔率に応じて選択した。例えば、テンプレート粒径22nmのルドックス(LUDOX)(登録商標)TM40(40重量%、DuPont)4gとスクロース4g(すなわち重量比1:1)を使用すれば、〜22nmの孔径分布及び〜1200m2/gの比表面積を有する多孔質炭素球が得られる。スクロースを8g使用する(すなわち重量比1:2)と、比表面積は〜860m2/gに減少する。重量比(1:4〜4:1)及びテンプレートコロイド粒径(1〜100nm)に応じて、50〜3000m2/gという広範囲の比表面積が実現可能である。20〜40nmのコロイド粒径が燃料電池の触媒支持体に有用である。
【0034】
(2)前駆体溶液を霧化する工程。次に、前駆体溶液を噴霧器12(例えば、14と一体化した超音波4ユニットアレイ噴霧器)に供給し、溶液を微粒化して小液滴にする。理論的には、噴霧器は粒径0.1〜10μmの均一の球状液滴を製造できる。従来の噴霧器(例えば、加圧噴霧器、静電噴霧器)を溶液の霧化に使用することもできる。シリンジポンプ16を用いて溶液を容器中に移し、溶液のレベルを容器中で一定に保持した。高純度(99.999%)の窒素をキャリアガスとして用いて、形成された液滴を、高温管状炉20内に配置された2インチ石英管18を通じて運んだ。流量制御器22を用いて窒素ガスの流量を制御する。
【0035】
(3)液滴を熱分解する工程。管状炉20(最大1200℃、例えば、Thermcraft Inc.,USA製の炉)中で液滴を固体球状粒子に変換した。管状炉の最初の部分では、炭素供給源化学物質を重合させ、液滴を脱水した。管状炉の中央部では、700〜1200℃の不活性ガス(N2、Ar、He等)雰囲気下、前駆体を炭化することによって、炭素をナノサイズシリカ粒子上に形成した。
【0036】
(4)炭素/シリカ複合粒子を回収する工程。形成された炭素−シリカ固体球状粒子を、水が泡立っている容器24に回収した。窒素は生成物を容器中に運び入れて、固体を付着させ、残留化学物質を水に溶解させる。キャリアガスは、換気フードを介して排出した。
【0037】
(5)シリカをエッチングする工程。回収した粒子を濾過し、水性溶媒で数回洗浄して、炭素/シリカ複合体の表面の残留化学物質を除去した。次いで、強塩基又は強酸を炭素/シリカ複合体に加え、1〜10時間攪拌してシリカをエッチングした。この工程を2回繰り返して、炭素球からシリカを完全にエッチングした。濾過し、数回洗浄し、100℃を超える温度で乾燥した後、多孔質炭素球を得た。
【0038】
[0032]調製された炭素球について、SEM、TEM及び表面積/気孔率分析により特性化した。様々な表面積及び気孔率を有する炭素球を、様々な粒径のコロイダルシリカテンプレートと様々な重量比のシリカ及び炭素供給源化学物質とを用いて合成した。炭素球の粒径は、合成パラメーター(例えば、前駆体濃度、噴霧器の周波数、ガス流量)に応じて100〜2000nmであった。多孔質炭素球の粒径(したがってまた、コロイダルシリカテンプレートのサイズ)は用途に応じて1〜100nmとすることができ、その範囲はミクロ孔(<2nm)、メソ孔(2〜50nm)及びマクロ孔(>50nm)の粒径を包含する。様々な用途に応じて、多様な孔が炭素球に共存するようにすることも可能である。多孔質炭素球の比表面積は、合成パラメーターを制御することによって最大3000m2/gとすることができる。
【0039】
実施例1:
[0033]この実施例では、多孔質炭素球を、上で詳細に説明した方法に従って22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成した。ここでは、スクロースを炭素供給源として使用し、シリカ及び炭素の重量比を2:1とした。
【0040】
[0034]図2aは、22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成された炭素/シリカ複合粒子のSEM写真である。複合粒子は、完全な球体形状及び平滑表面を有する。
【0041】
[0035]図2bは、シリカをエッチングした後の炭素球のSEM写真である。図2cは、炭素球の拡大写真である。エッチング法は一次粒子の球体形状を破壊しないことが明らかである。含有されるシリカを炭素マトリックスからエッチングし、それにより、多くの均一のナノサイズ孔を有するハニカム様炭素球を得た。炭素球のTEM写真(図2d)は、炭素球が中空であることを示す。図3に示されているとおり、多孔質炭素球の粒径は、1000nm周辺の単峰性分布を示す。
【0042】
[0036]炭素球からのシリカの完全な除去を確認するために、分析目的で、室温〜700℃の空気気流中、熱重量測定(TG)を実施した(図4)。図に示されているとおり、多孔質炭素球はおよそ525℃で劇的に燃焼した。560℃の後、残留物は全く存在しないが、これは、多孔質球がシリカを含有せず、炭素を100%含有することを示している。TG実験は、シリカが炭素球から完全に除去されたことを確認するためのものであることに留意されたい。これは調製工程ではなく特性化工程である。
【0043】
[0037]図5は、窒素吸脱着実験により提供された表面積及び気孔率の情報を示す。市販のバルカン72カーボンブラックも対照として測定した。BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により算出された比表面積は、調製炭素球では1200m2/g、バルカン72カーボンブラックでは245m2/gである。窒素吸着/脱着曲線は高相対圧でヒステリシスを示した(これはメソ孔の特徴である)。BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により窒素等温線の吸着分枝から算出された孔径分布データは、孔が単峰性で平均孔径が24nmであることを示していた。これは、シリカテンプレートのサイズとよく整合している。
【0044】
実施例2:
[0038]そのようなオープンフレームの炭素構造の安定性を改善するために、実施例1に記載の方法に触媒黒鉛化工程を加えることによって黒鉛化炭素球構造を導入した。遷移金属イオン[例えば、塩(塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等)の形態のFe、Co、Ni等]を金属/炭素供給源重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えた。塩の分解により生じる金属又は金属酸化物ナノ粒子は工程(3)で触媒として作用し、多孔質炭素球を黒鉛化した。図6は、黒鉛化前後の多孔質炭素球のXRDパターンである。明白な黒鉛ピークが第2試料で見られる。より安定した構造という利益以外に、黒鉛化炭素球は、黒鉛化前炭素球(〜1S/cm)よりも高い電子伝導率(10S/cm)も有する。電子伝導率は、自家製4プローブ装置を用いて、ACインピーダンス分光法(周波数10〜106Hz、電圧1V)により室温で測定した。
【0045】
実施例3:
[0039]本発明の多孔質炭素の用途の一例は、特にプロトン交換膜燃料電池における酸素還元反応のための、共形成法により調製されたメソ多孔質炭素球担持Pt及びPt合金触媒である。他の用途では、他の貴金属合金触媒が使用可能である(例えば、DMFCにおけるメタノール酸化のためのPt−Ru)。
【0046】
[0040]触媒粒子を加える工程は、球状多孔質炭素の形成後に実施してもよいし、また、共形成により同時に実施してもよい。一方は共形成法であり、他方は従来の含浸法(マイクロ波−ポリオール法)である。
【0047】
[0041]上記方法に基づく共形成法を用いて多孔質炭素球担持Pt及びPt合金を合成した。Pt塩又はPtと遷移金属(Co、Ni、Fe、Mn等)塩との混合物を、炭素供給源(スクロース、ピロール、アニリン等)及びコロイダルシリカを含む反応前駆体に溶解した。次いで、混合物前駆体溶液を霧化して液滴とし、700〜1200℃、不活性雰囲気(N2、Ar、He等)下、管状炉中で熱処理した。シリカテンプレートを強酸又は塩基によるエッチングで除去した後、触媒を得た。ここで、Pt又はPt合金ナノ粒子は炭素球と同時に形成され、炭素マトリックス全体に均一に分散した。炭素球の表面に付着しているだけの金属ナノ粒子を制御するために、他の2工程法を使用することができる。第1工程は、金属塩をコロイダルシリカ溶液と混合する工程である。陽電荷を有する金属イオンは、コロイダルシリカの陰電荷表面に自然に吸着する。還元剤(NaBH4、ホルムアルデヒド、H2ガス等)を用いて、コロイダルシリカ上に金属ナノ粒子を形成した。第2工程は、炭化水素前駆体をコロイダルシリカ担持金属ナノ粒子溶液と混合する工程であり、この後は、同じ超音波噴霧熱分解法に従って試料を得る。
【0048】
[0042]図7aは、炭素供給源としてピロールを、テンプレートとして22nmコロイダルシリカを重量比1:1で使用して合成した炭素球担持Pt触媒のTEM写真である。Ptナノ粒子の均一なサイズ分布がメソ多孔質炭素球上で実現される。炭素へのPtの平均ロード量をEDAXにより測定したところ、38.5%であった。図7bに示されているとおり、平均白金粒径はおよそ2〜4nmである。調製Pt/MC触媒の触媒性能を回転ディスク電極法により評価した。市販の40%E−TEK Pt/Cを対照として使用した。電極調製は次のように行った。1.0mg/mL(イソプロパノール)の触媒20μLを0.196cm2のガラス状炭素電極に滴下した。溶媒を蒸発させた後、0.5重量%ナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液10μLでガラス状炭素電極をコーティングした。電解質として酸素飽和0.5M H2SO4を、対電極として白金ワイヤを、そして対照電極として標準硫化水銀電極を有する3電極電池で電気化学測定を実施した。図8は、回転速度400rpmでの2つの触媒のディスク電流密度の(電位に対する)曲線である。2つの触媒は、動的領域(高電位領域)では同様の電気化学的挙動を示すが、低電位領域では自家製炭素球担持触媒のほうが市販のものより良好であることが分かる。Pt/MCの低い分極はその特有のメソ多孔質構造に起因する可能性がある。これは、電気化学反応の際の大量輸送を促進する。Pt/MCの電流密度を制限する大きなプラトーは、高表面積という特徴に起因する可能性がある。高い表面積は、ガラス炭素ディスク電極上の薄いナフィオン膜を通過する大きな拡散電流密度をもたらす。
【0049】
実施例4:
[0043]多孔質炭素球担持Pt又はPt合金触媒は、従来の含浸法により調製することもできる。例えば、実施例2と同じ方法で合成されたメソ多孔質炭素球材料(MC0411、表面積1000m2/g)を、PEM燃料電池のPtCo触媒の炭素支持体として使用した。PtCoナノ粒子をマイクロ波補助ポリオール還元法によりMC0411に付着させた。白金及びコバルトの化学還元を促進するために、塩化物非含有化学物質[(NH3)4Pt(NO3)2及びCoAc2]を金属前駆体として使用した。高沸点(314℃)が白金とコバルトの合金化に好適なので、テトラエチレングリコールを還元剤として使用した。金属前駆体及び多孔質炭素球は、テトラ−EGの溶媒に均一に分散した。次に、マイクロ波を動力源として用いて、金属イオンを炭素上で金属粒子に還元した。マイクロ波熱処理を4〜10分間に設定して合金化を確実にした。図9aは、多孔質炭素球担持PtCo合金触媒のTEM写真である。図9bは、拡大炭素球領域における粒径分布を示す。PtCo合金ナノ粒子は炭素球上に均一に分散しており、平均粒径がおよそ4nmであることが分かる。RDE測定から、多孔質炭素球担持PtCo合金触媒が純粋なPt触媒に比べて2倍の比活性を有することが分かる。
【0050】
実施例5:
[0044]燃料電池の用途以外に、本発明は、電気二重層キャパシタの電極材料の調製という観点からも有望である。例えば、実施例1と同様の方法で合成された多孔質炭素球材料(MC1105、表面積1500m2/g)を、電気二重層キャパシタの電極材料として使用した。シリカ及び炭素の重量比に違いがあり、重量比は3:1であった。この炭素材料の静電容量特性をサイクリックボルタンメトリー法により評価した。MC1105 10mg、DI水5mL及び5重量%ナフィオン(登録商標)40μLからなるカーボンインク20μLでガラス状炭素電極をコーティングした。薄膜は周囲温度で乾燥した。電解質として0.5M H2SO4を、対電極として白金ワイヤを、そして対照電極として標準硫化水銀電極を有する3電極電池で電気化学測定を実施した。図10は、多孔質炭素球(MC1105)及び市販のバルカンXC72のサイクリックボルタモグラム(50mv/s)である。各電極の静電容量を、容量性電流密度、走査速度及び炭素ロード量から算出した。図に示されているとおり、炭素球はバルカンXC72よりも遙かに大きな容量性電流密度を示す。算出されたMC1105の静電容量(質量比)は95F/gであり、バルカンXC72(20F/g)のほぼ5倍である。
【0051】
さらに、他の3つの潜在的な用途として下記が挙げられる。
【0052】
[0045](1)水素貯蔵材料。現段階で炭素材料の水素貯蔵効率には依然として課題があるものの、多孔質炭素球は、その大きい表面積及び大きい細孔容積により水素貯蔵材料として有望である。
【0053】
[0046](2)リチウムイオン電池のアノード材料。多孔質炭素球は、電気化学反応における大量輸送に好適で制御可能な気孔率を有する。高黒鉛化が可能であれば、多孔質炭素球はリチウムイオン電池のインターカレーション材料として好適と思われる。
【0054】
[0047](3)薬物送達のミニキャリア。多孔質炭素球は特有の中空構造とサブミクロンの大きさを有し、人体での薬物送達にとって理想的なツールである。ただし、この用途には毒性検証という課題がある。
【0055】
参考文献:
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[2]Sang−hoon Joo,Chan−ho Pak,Hyuk Chang,Ji−man Kim,Hyung−ik Lee,“Mesoporous carbon,method of preparing the same,and fuel cell using the carbon”,US Patent 0116624, 2007
[3]Frank M Delnick,Narayan,Doddapaneni,Robert R Lagasse,Ronald F Simandl,D Gerald Glasgow,Alan Sylwester,“Structural micro−porous carbon anode for rechargeable lithium ion batteries”,US Patent 5510212, 1996
[4]Kenichi Uehara,Yoshihisa Murata,“Method for preparing porous carbon material,porous carbon material and electrical double layer capacitor using the same”,US Patent 6768631, 2004
[5]J.Lee,J.Kim,T.Hyeon,“Recent progress in the synthesis of porous carbon materials”,Advanced Materials 18(2006) 2073−2094
[6]H.Chang,S.H.Joo,C.Pak,“Synthesis and characterization of mesoporous carbon for fuel cell applications”,J.Mater.Chem.17(2007) 3078−3088
[7]C.Vix−Guterl,E.Frackowiak,K.Jurewicz,M.Friebe,J.Parmentier,F.Beguin,“Electrochemical energy storage in ordered porous carbon materials”,Carbon 43(2004) 1293−1302
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[9]W.H.Suh,A.R. Jang,Y.Suh,K.S.Suslick,“Porous,hollow,and ball−in−ball metal oxide microspheres:preparation,endocytosis and cytotoxicity”,Advanced Materials 18(2006) 1832−1837
[10]Q Hu,Y Lu,J Tang,M Cai,“Making mesoporous carbon with tunable pore size”,WO 2007/143404 A2
【発明の背景】
【0001】
[0001]本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素及びその作製方法に関する。
【0002】
[0002]エネルギー危機及び環境汚染は、人類が直面する2つの重大な問題である。世界中の人々が、現行の石油及びICE(内燃機関)をベースとするエネルギーシステムに代わる持続可能で環境に優しいエネルギー源及びエネルギー装置の開発にますます関心を示している。燃料電池、電池及びコンデンサを始めとする電気化学エネルギー変換及び貯蔵装置は、地球規模のエネルギー及び環境問題に対処するための最も有望な手段である。
【0003】
[0003]これらの電気化学システムにおいて、炭素材料は、化学エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換するのを助ける主要な構成要素である。例えば、プロトン電解質膜燃料電池では、多孔質炭素は、貴金属触媒(例えば、Pt、PtRu)及び非貴金属触媒(例えば、Fe、Co、ポルフィリン、フタロシアニン)の分散及び利用を改善する触媒支持体として使用される。炭素材料はまた、水素の吸着及び脱着が可能であり、それゆえ燃料電池用途では水素貯蔵材料として機能する。また、リチウムイオン電池では、炭素材料は、アノード側でのリチウムイオンインターカレーション反応のための最も有効で商業的に使用されている電極材料である。電気二重層キャパシタでは、炭素粉末は、電気化学二重層構造における電荷蓄積用の多孔質電極を構成する主要材料である。
【0004】
[0004]これらの用途において、炭素の表面積及び気孔率は電気化学システムの性能にとって重要である。高表面積の炭素は、多くの場合に金属触媒の高い分散及びLiイオン/水素/電荷蓄積の高い容量をもたらし、他方、高気孔率の炭素は、気体及び液体の反応物及び生成物の大量輸送を促進する。しかし、電気化学的性能は、炭素の表面積及び気孔率の一次関数ではない。表面積及び気孔率の増加は、他のパラメーター(例えば、電子伝導率、親水性、比容積、密度)に対して否定的な効果をもたらす可能性がある。例えば、燃料電池の性能は、高表面積の炭素支持体へのPtナノ粒子の良好な分散により改善されるかもしれないが、表面積の増加に起因する炭素の電子伝導率の減少により抑制される可能性もある。また、電気化学反応における多様な気体及び液体の大量輸送の特性に対応するには、様々な気孔率の炭素材料が必要である。例えば、2〜50ナノメーターの孔径を有するメソ多孔質炭素は一般に燃料電池にとって好ましいが、ミクロ多孔質炭素及びマクロ多孔質炭素(孔径はそれぞれ2ナノメーター未満及び50ナノメーター超)は、他の用途(例えば、電池、コンデンサ、水素貯蔵)に適している。
【0005】
[0005]したがって、特定の電気化学システム又は反応への適用のためには、表面積及び孔径により、そして粒子形態(形状)及び粒径分布により規定される特定の気孔率の炭素材料が設計される必要がある。しかし、大多数の市販のカーボンブラック[通常は、炭化水素(例えば、天然ガス、石油精製の際に取り出される石油留分)を熱分解することにより製造される。]は、特定の性質を有する炭素材料を制御可能に合成するという要求に対応することができない。
【0006】
[0006]近年、多様な形態及び気孔率を有する炭素材料の合成方法を開発する多くの取り組みが行われている。人工炭素の主な合成手法は、炭素特性を制御するための化学的又は物理的構造を有する気体、液体又はポリマー状の炭化水素前駆体を炭化することである。
【0007】
[0007]最もよく知られた例は、カーボンナノチューブ(CNT)である。カーボンナノチューブ[通常、アーク放電、レーザーアブレーション又は化学蒸着(典型的には触媒粒子上で行う。)により合成される。]は、電気化学的用途に潜在的に有利な特有の形態、構造及び電気的特性を有する。実験条件を制御することを通じて、様々な特性を有するカーボンナノチューブ、さらには他のナノ構造炭素材料(例えば、カーボンナノファイバー、ナノコイル、ナノキューブ)を合成することができる。
【0008】
[0008]他の従来技術の例は、高表面積及び単峰性メソ多孔質構造という特徴により燃料電池用の貴金属触媒の炭素支持体として開発されたメソ多孔質炭素(MC)である。メソ多孔質炭素は、典型的には、メソ多孔質テンプレート(例えば、規則性メソ多孔質シリカ及びコポリマーテンプレート)の存在下、炭化水素を炭化することによって合成される。テンプレートパラメーターを制御することを通じて、様々な特性を有するメソ多孔質炭素を合成することができる。メソ多孔質炭素の開発は、炭素の表面積及び気孔率を制御する方法を提供する。
【0009】
[0009]しかしながら、市販のカーボンブラック及び現在の人工炭素は電気化学的適用に関して限界及び欠点を有する。
【0010】
[0010]例えば、市販のアセチレンブラックは低表面積(78m2/g)を有する。ブラックパール(Black Pearl)2000は高表面積(1500m2/g)を有するが、細孔の量が多い。バルカン(Vulcan)72カーボンブラックは、中程度の表面積(245m2/g)及び気孔率を有する。これらのカーボンブラックは電気化学エネルギー装置に広く使用されているが、炭素特性を最適化することによりシステム性能を改善する余地が大きい。
【0011】
[0011]カーボンナノチューブの場合、合成方法は大規模生産及び費用効率性に関して限界を有する。厳しい合成条件及び低い生産収率が主な欠点である。また、より重要なことだが、カーボンナノチューブを電気化学多孔質電極にどのように適用するかは依然として難題である。他のナノ材料の場合と同様に、凝集傾向が電気化学的用途における一次ナノ構造の利点を相殺する可能性がある。
【0012】
[0012]メソ多孔質炭素に関しては、規則性メソ多孔質炭素の現在の合成法は、通常、高価なテンプレート(例えば、規則性メソ多孔質シリカMCM−48、SBA−1、SBA−15)を使用する。大規模生産のためには、より費用効率の高い手法を開発する必要がある。
【0013】
[0013]近年、WO2007/143404(公開日:2007年12月13日)において、テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシラン、TEOS)のリン酸加水分解により調製されたコロイダルシリカテンプレートを、炭素の供給源としてのスクロースと組み合わせて使用する、メソ多孔質炭素粉末の調製方法が開示されている。この方法は、メソ多孔質炭素を調製するための費用効率の高い方法を提供する。しかし、開示された方法は、単に炭素の微視的構造の制御に焦点を合わせ、巨視的な形態を見落としている。報告されているメソ多孔質炭素の大部分は、ランダムな粒子形態及び粒径分布を示す。これらの巨視的なパラメーターは、実際、多孔質炭素電極の性能に対して有意な影響を及ぼす。
【0014】
[0014]球状材料が多孔質電極の作製において有利であることもよく知られている。球体は、他の形状の固体と比べると最もコンパクトなパッケージを有する。球状炭素は、よりコンパクトで薄い膜(燃料電池の触媒膜、電池/コンデンサの電極層)を形成し、より高いエネルギー密度及び出力密度をもたらすことが可能である。さらに、狭い粒径分布を有する多孔質炭素球は、電気化学装置において大量輸送のための規則性3Dチャンネルを構築することが可能である。したがって、電気化学的用途において、球状カーボンブラックはランダムな形態の他のカーボンブラックよりも好ましい。
【発明の概要】
【0015】
[0015]本発明は、調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を提供する。本発明の多孔質炭素は、多様な電気化学エネルギー技術の要求に応じて、ミクロ孔、メソ孔、マクロ孔又は階層的細孔を有する。
【0016】
[0016]本発明はまた、そのような多孔質炭素を作製するための新規の方法を提供する。本発明の方法では、電気化学エネルギー技術の先端材料として使用される多孔質炭素球を制御可能に合成するために、超音波噴霧熱分解(USP)法とコロイダルシリカテンプレート法とが組み合わせて使用される。本発明の方法は、球体形状の多孔質炭素を調製する機能、及び多孔質炭素球の表面積と孔径とにより規定される気孔率を調整する機能を有する。
【0017】
[0017]一態様において、本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を作製するための方法であって、
(a)コロイダルシリカテンプレート材料と水溶性熱分解性炭素供給源とを水溶液中で混ぜ合わせて前駆体溶液を用意する工程であって、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びコロイダルシリカ/炭素供給源の重量比は制御される工程と、
(b)前駆体溶液を超音波噴霧熱分解により霧化して小液滴を得る工程と、
(c)不活性ガス雰囲気下、700〜1200℃で稼働している高温炉に液滴を導入する工程であって、そこで、液滴は固体球状の炭素/シリカ複合粒子に変換される工程と、
(d)炉から出る炭素/シリカ複合粒子を回収する工程と、
(e)粒子からシリカを除去して、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の実質的に純粋な多孔質炭素を得る工程と、
を含む方法を提供する。
【0018】
[0018]本発明の一実施形態において、前駆体溶液は超音波噴霧熱分解(USP)により霧化される。
【0019】
[0019]本発明の他の実施形態において、コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比は1:4〜4:1である。
【0020】
[0020]本発明のさらに別の実施形態において、コロイダルシリカテンプレートの粒径は1〜100nmである。
【0021】
[0021]本発明のさらなる実施形態において、工程(c)では、pHは1.0〜3.0の酸性pHに調整される。
【0022】
[0022]本発明のさらなる実施形態において、水溶性炭素供給源は、スクロース、ピロール及びアニリンからなる群より選択される。ただし、水溶性炭素供給源はこれらに限定されない。
【0023】
[0023]本発明の他の実施形態において、前駆体溶液に加える前又は球状炭素粒子を形成した後には、触媒粒子(例えば、Pt又はPt合金触媒)を炭素供給源材料に付着させる追加の工程が実施される。
【0024】
[0024]本発明の他の実施形態において、炭素球構造は部分的に黒鉛化される。黒鉛化は、例えば、Fe、Co及びNiからなる群より選択される遷移金属イオンを金属/炭素重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えることによって実施される。
【0025】
[0025]さらなる実施形態において、本発明の方法は、コロイダルシリカテンプレート(テトラエトキシシランを加水分解して調製するか、市販のコロイダルシリカを使用して調製する。)と、炭素供給源としての水溶性炭化水素(スクロース、ピロール又はアニリン)と、を水溶液中で混ぜ合わせることによって、まず前駆体溶液を調製することを含む。次いで、前駆体溶液を、超音波噴霧器で霧化/微粒化して小液滴を得、小液滴を高純度不活性ガス(例えば窒素)により管状炉に導入する。液滴は、炉で熱分解(脱水、重合及び炭化)を受ける。得られた炭素/シリカ複合粒子を炉の出口で回収し、強塩基又は強酸を用いて粒子からシリカをエッチングする。濾過、洗浄及び乾燥後、球状多孔質炭素粒子を得る。
【0026】
[0026]他の態様において、本発明は、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素であって、多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径分布を有する多孔質炭素を提供する。
【0027】
[0027]この態様の一実施形態において、多孔質炭素には金属触媒粒子(例えば貴金属触媒粒子)が付着している。
【0028】
[0028]本発明のさらなる態様において、本発明の多孔質炭素球は、例えば、PEM燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール型燃料電池)における酸素還元反応(ORR)及びメタノール酸化反応(MOR)のためのPt及びPt合金触媒を調製する触媒支持体として使用される。金属ナノ粒子の高い分散及び優れたORR活性は、これらの多孔質炭素球担持貴金属触媒上で達成される。新規の多孔質炭素球は、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオン電池の電極材料として使用される。上記多孔質炭素球は、市販の炭素材料(例えば、バルカン(登録商標)や現在これらの装置に使用されているカーボンブラック)よりも顕著に高い効率を示す。
【0029】
[0029]新規の多孔質炭素球は、水素貯蔵用としても、また、薬物送達のキャリアとしても有望である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】超音波噴霧熱分解法及びコロイダルシリカテンプレート法の組合せにより多孔質炭素球を作製するための本発明の方法で使用される装置の概略図である。
【図2a】22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成された炭素/シリカ複合粒子(シリカをエッチングする前)のSEM写真である。
【図2b】シリカをエッチングした後の炭素球のSEM写真である。
【図2c】炭素球の拡大写真である。
【図2d】炭素球が中空であることを示す、炭素球のTEM写真である。
【図3】2.4MHz超音波噴霧器により調製された多孔質炭素球の粒径分布曲線である。
【図4】22nmコロイダルシリカテンプレートにより調製された多孔質炭素球の熱重量(TG)曲線(空気気流、20℃/分)である。
【図5a】22nmコロイダルシリカテンプレートにより調製された多孔質炭素球のN2吸脱着等温線である。
【図5b】BJH法により窒素等温線の吸着分枝から算出された対応する孔径分布曲線である。
【図6】黒鉛化前後の多孔質炭素球のXRDパターンである。
【図7a】IFIC多孔質炭素球担持Pt触媒のTEM写真である。
【図7b】多孔質炭素球上のPtナノ粒子分布を示す拡大TEM写真である。
【図8】400rpmの回転速度下での酸素飽和0.5M H2SO4溶液中IFCI 40%Pt/C及びE−TEK 40%Pt/CのRDE結果である。
【図9a】IFCI多孔質炭素球担持PtCo触媒のTEM写真である。
【図9b】多孔質炭素球上のPtCoナノ粒子分布を示す拡大TEM写真である。
【図10】50mV/sの走査速度での0.5M H2SO4溶液中多孔質炭素球MC1105及び市販バルカンXC72のサイクリックボルタモグラムである。
【発明の詳細な説明】
【0031】
[0030]本発明において、多孔質炭素球を制御可能に合成するために次の2つの戦略の組合せを採用した。(1)コロイダルシリカをテンプレートとして用いて多孔質炭素を複製すること。複製多孔質炭素球の表面積及び気孔率は、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びシリカ/炭素供給源の比を制御することによって調整する。コロイダルシリカは、テトラエトキシシランを加水分解することによって合成することが可能であり、これは、規則性メソ多孔質シリカテンプレートを調製するよりも遙かに容易である。或いは、特定のコロイドサイズを有する多くの低価格コロイダルシリカ製品が市販されている。(2)超音波噴霧熱分解(USP)法を用いて球状多孔質炭素を形成すること。理論上、球状粒子は一定体積中の堆積密度が最も高い。多孔質炭素球は、電気化学多孔質電極に適用するのに理想的である。USP法では、液体前駆体から開始してサブミクロンの固体球状粒子を製造することが可能である。この方法を用いて、コロイダルシリカ及び水溶性炭素供給源材料(例えば、スクロース、ピロール、アニリン)の液体混合物を球状の炭素/シリカ複合粒子に変換し、次いで、強酸又は強塩基によりシリカをエッチングして多孔質炭素球を形成する。
【0032】
[0031]図1に示されているとおり、詳細には本発明の方法は下記の5工程を含む。
【0033】
(1)前駆体溶液を調製する工程。テトラエトキシシランを加水分解することにより調製したコロイダルシリカ又は市販のコロイダルシリカを、テンプレートとして使用した。スクロース、ピロール、アニリン、又は他の熱分解性炭素を含有する化合物を、炭素供給源として使用した。容器10中で、目標とする表面積及び気孔率に応じて、適当な量のコロイダルシリカ及び炭素供給源を各々DI水に溶解した。そして、攪拌しながら2つの溶液を30分間混合する。次いで、激しく攪拌しながら酸(HCl、H2SO4、H3PO4等)を混合溶液に素早く加えて、pHを1〜3に調整した。酸化剤(FeCl3、H2O2等)を加えて重合を開始することができる。コロイダルシリカテンプレートのコロイド粒径とコロイダルシリカ及び炭素供給源の量を、必要とする炭素の表面積及び気孔率に応じて選択した。例えば、テンプレート粒径22nmのルドックス(LUDOX)(登録商標)TM40(40重量%、DuPont)4gとスクロース4g(すなわち重量比1:1)を使用すれば、〜22nmの孔径分布及び〜1200m2/gの比表面積を有する多孔質炭素球が得られる。スクロースを8g使用する(すなわち重量比1:2)と、比表面積は〜860m2/gに減少する。重量比(1:4〜4:1)及びテンプレートコロイド粒径(1〜100nm)に応じて、50〜3000m2/gという広範囲の比表面積が実現可能である。20〜40nmのコロイド粒径が燃料電池の触媒支持体に有用である。
【0034】
(2)前駆体溶液を霧化する工程。次に、前駆体溶液を噴霧器12(例えば、14と一体化した超音波4ユニットアレイ噴霧器)に供給し、溶液を微粒化して小液滴にする。理論的には、噴霧器は粒径0.1〜10μmの均一の球状液滴を製造できる。従来の噴霧器(例えば、加圧噴霧器、静電噴霧器)を溶液の霧化に使用することもできる。シリンジポンプ16を用いて溶液を容器中に移し、溶液のレベルを容器中で一定に保持した。高純度(99.999%)の窒素をキャリアガスとして用いて、形成された液滴を、高温管状炉20内に配置された2インチ石英管18を通じて運んだ。流量制御器22を用いて窒素ガスの流量を制御する。
【0035】
(3)液滴を熱分解する工程。管状炉20(最大1200℃、例えば、Thermcraft Inc.,USA製の炉)中で液滴を固体球状粒子に変換した。管状炉の最初の部分では、炭素供給源化学物質を重合させ、液滴を脱水した。管状炉の中央部では、700〜1200℃の不活性ガス(N2、Ar、He等)雰囲気下、前駆体を炭化することによって、炭素をナノサイズシリカ粒子上に形成した。
【0036】
(4)炭素/シリカ複合粒子を回収する工程。形成された炭素−シリカ固体球状粒子を、水が泡立っている容器24に回収した。窒素は生成物を容器中に運び入れて、固体を付着させ、残留化学物質を水に溶解させる。キャリアガスは、換気フードを介して排出した。
【0037】
(5)シリカをエッチングする工程。回収した粒子を濾過し、水性溶媒で数回洗浄して、炭素/シリカ複合体の表面の残留化学物質を除去した。次いで、強塩基又は強酸を炭素/シリカ複合体に加え、1〜10時間攪拌してシリカをエッチングした。この工程を2回繰り返して、炭素球からシリカを完全にエッチングした。濾過し、数回洗浄し、100℃を超える温度で乾燥した後、多孔質炭素球を得た。
【0038】
[0032]調製された炭素球について、SEM、TEM及び表面積/気孔率分析により特性化した。様々な表面積及び気孔率を有する炭素球を、様々な粒径のコロイダルシリカテンプレートと様々な重量比のシリカ及び炭素供給源化学物質とを用いて合成した。炭素球の粒径は、合成パラメーター(例えば、前駆体濃度、噴霧器の周波数、ガス流量)に応じて100〜2000nmであった。多孔質炭素球の粒径(したがってまた、コロイダルシリカテンプレートのサイズ)は用途に応じて1〜100nmとすることができ、その範囲はミクロ孔(<2nm)、メソ孔(2〜50nm)及びマクロ孔(>50nm)の粒径を包含する。様々な用途に応じて、多様な孔が炭素球に共存するようにすることも可能である。多孔質炭素球の比表面積は、合成パラメーターを制御することによって最大3000m2/gとすることができる。
【0039】
実施例1:
[0033]この実施例では、多孔質炭素球を、上で詳細に説明した方法に従って22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成した。ここでは、スクロースを炭素供給源として使用し、シリカ及び炭素の重量比を2:1とした。
【0040】
[0034]図2aは、22nmコロイダルシリカテンプレートにより合成された炭素/シリカ複合粒子のSEM写真である。複合粒子は、完全な球体形状及び平滑表面を有する。
【0041】
[0035]図2bは、シリカをエッチングした後の炭素球のSEM写真である。図2cは、炭素球の拡大写真である。エッチング法は一次粒子の球体形状を破壊しないことが明らかである。含有されるシリカを炭素マトリックスからエッチングし、それにより、多くの均一のナノサイズ孔を有するハニカム様炭素球を得た。炭素球のTEM写真(図2d)は、炭素球が中空であることを示す。図3に示されているとおり、多孔質炭素球の粒径は、1000nm周辺の単峰性分布を示す。
【0042】
[0036]炭素球からのシリカの完全な除去を確認するために、分析目的で、室温〜700℃の空気気流中、熱重量測定(TG)を実施した(図4)。図に示されているとおり、多孔質炭素球はおよそ525℃で劇的に燃焼した。560℃の後、残留物は全く存在しないが、これは、多孔質球がシリカを含有せず、炭素を100%含有することを示している。TG実験は、シリカが炭素球から完全に除去されたことを確認するためのものであることに留意されたい。これは調製工程ではなく特性化工程である。
【0043】
[0037]図5は、窒素吸脱着実験により提供された表面積及び気孔率の情報を示す。市販のバルカン72カーボンブラックも対照として測定した。BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により算出された比表面積は、調製炭素球では1200m2/g、バルカン72カーボンブラックでは245m2/gである。窒素吸着/脱着曲線は高相対圧でヒステリシスを示した(これはメソ孔の特徴である)。BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により窒素等温線の吸着分枝から算出された孔径分布データは、孔が単峰性で平均孔径が24nmであることを示していた。これは、シリカテンプレートのサイズとよく整合している。
【0044】
実施例2:
[0038]そのようなオープンフレームの炭素構造の安定性を改善するために、実施例1に記載の方法に触媒黒鉛化工程を加えることによって黒鉛化炭素球構造を導入した。遷移金属イオン[例えば、塩(塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等)の形態のFe、Co、Ni等]を金属/炭素供給源重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えた。塩の分解により生じる金属又は金属酸化物ナノ粒子は工程(3)で触媒として作用し、多孔質炭素球を黒鉛化した。図6は、黒鉛化前後の多孔質炭素球のXRDパターンである。明白な黒鉛ピークが第2試料で見られる。より安定した構造という利益以外に、黒鉛化炭素球は、黒鉛化前炭素球(〜1S/cm)よりも高い電子伝導率(10S/cm)も有する。電子伝導率は、自家製4プローブ装置を用いて、ACインピーダンス分光法(周波数10〜106Hz、電圧1V)により室温で測定した。
【0045】
実施例3:
[0039]本発明の多孔質炭素の用途の一例は、特にプロトン交換膜燃料電池における酸素還元反応のための、共形成法により調製されたメソ多孔質炭素球担持Pt及びPt合金触媒である。他の用途では、他の貴金属合金触媒が使用可能である(例えば、DMFCにおけるメタノール酸化のためのPt−Ru)。
【0046】
[0040]触媒粒子を加える工程は、球状多孔質炭素の形成後に実施してもよいし、また、共形成により同時に実施してもよい。一方は共形成法であり、他方は従来の含浸法(マイクロ波−ポリオール法)である。
【0047】
[0041]上記方法に基づく共形成法を用いて多孔質炭素球担持Pt及びPt合金を合成した。Pt塩又はPtと遷移金属(Co、Ni、Fe、Mn等)塩との混合物を、炭素供給源(スクロース、ピロール、アニリン等)及びコロイダルシリカを含む反応前駆体に溶解した。次いで、混合物前駆体溶液を霧化して液滴とし、700〜1200℃、不活性雰囲気(N2、Ar、He等)下、管状炉中で熱処理した。シリカテンプレートを強酸又は塩基によるエッチングで除去した後、触媒を得た。ここで、Pt又はPt合金ナノ粒子は炭素球と同時に形成され、炭素マトリックス全体に均一に分散した。炭素球の表面に付着しているだけの金属ナノ粒子を制御するために、他の2工程法を使用することができる。第1工程は、金属塩をコロイダルシリカ溶液と混合する工程である。陽電荷を有する金属イオンは、コロイダルシリカの陰電荷表面に自然に吸着する。還元剤(NaBH4、ホルムアルデヒド、H2ガス等)を用いて、コロイダルシリカ上に金属ナノ粒子を形成した。第2工程は、炭化水素前駆体をコロイダルシリカ担持金属ナノ粒子溶液と混合する工程であり、この後は、同じ超音波噴霧熱分解法に従って試料を得る。
【0048】
[0042]図7aは、炭素供給源としてピロールを、テンプレートとして22nmコロイダルシリカを重量比1:1で使用して合成した炭素球担持Pt触媒のTEM写真である。Ptナノ粒子の均一なサイズ分布がメソ多孔質炭素球上で実現される。炭素へのPtの平均ロード量をEDAXにより測定したところ、38.5%であった。図7bに示されているとおり、平均白金粒径はおよそ2〜4nmである。調製Pt/MC触媒の触媒性能を回転ディスク電極法により評価した。市販の40%E−TEK Pt/Cを対照として使用した。電極調製は次のように行った。1.0mg/mL(イソプロパノール)の触媒20μLを0.196cm2のガラス状炭素電極に滴下した。溶媒を蒸発させた後、0.5重量%ナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液10μLでガラス状炭素電極をコーティングした。電解質として酸素飽和0.5M H2SO4を、対電極として白金ワイヤを、そして対照電極として標準硫化水銀電極を有する3電極電池で電気化学測定を実施した。図8は、回転速度400rpmでの2つの触媒のディスク電流密度の(電位に対する)曲線である。2つの触媒は、動的領域(高電位領域)では同様の電気化学的挙動を示すが、低電位領域では自家製炭素球担持触媒のほうが市販のものより良好であることが分かる。Pt/MCの低い分極はその特有のメソ多孔質構造に起因する可能性がある。これは、電気化学反応の際の大量輸送を促進する。Pt/MCの電流密度を制限する大きなプラトーは、高表面積という特徴に起因する可能性がある。高い表面積は、ガラス炭素ディスク電極上の薄いナフィオン膜を通過する大きな拡散電流密度をもたらす。
【0049】
実施例4:
[0043]多孔質炭素球担持Pt又はPt合金触媒は、従来の含浸法により調製することもできる。例えば、実施例2と同じ方法で合成されたメソ多孔質炭素球材料(MC0411、表面積1000m2/g)を、PEM燃料電池のPtCo触媒の炭素支持体として使用した。PtCoナノ粒子をマイクロ波補助ポリオール還元法によりMC0411に付着させた。白金及びコバルトの化学還元を促進するために、塩化物非含有化学物質[(NH3)4Pt(NO3)2及びCoAc2]を金属前駆体として使用した。高沸点(314℃)が白金とコバルトの合金化に好適なので、テトラエチレングリコールを還元剤として使用した。金属前駆体及び多孔質炭素球は、テトラ−EGの溶媒に均一に分散した。次に、マイクロ波を動力源として用いて、金属イオンを炭素上で金属粒子に還元した。マイクロ波熱処理を4〜10分間に設定して合金化を確実にした。図9aは、多孔質炭素球担持PtCo合金触媒のTEM写真である。図9bは、拡大炭素球領域における粒径分布を示す。PtCo合金ナノ粒子は炭素球上に均一に分散しており、平均粒径がおよそ4nmであることが分かる。RDE測定から、多孔質炭素球担持PtCo合金触媒が純粋なPt触媒に比べて2倍の比活性を有することが分かる。
【0050】
実施例5:
[0044]燃料電池の用途以外に、本発明は、電気二重層キャパシタの電極材料の調製という観点からも有望である。例えば、実施例1と同様の方法で合成された多孔質炭素球材料(MC1105、表面積1500m2/g)を、電気二重層キャパシタの電極材料として使用した。シリカ及び炭素の重量比に違いがあり、重量比は3:1であった。この炭素材料の静電容量特性をサイクリックボルタンメトリー法により評価した。MC1105 10mg、DI水5mL及び5重量%ナフィオン(登録商標)40μLからなるカーボンインク20μLでガラス状炭素電極をコーティングした。薄膜は周囲温度で乾燥した。電解質として0.5M H2SO4を、対電極として白金ワイヤを、そして対照電極として標準硫化水銀電極を有する3電極電池で電気化学測定を実施した。図10は、多孔質炭素球(MC1105)及び市販のバルカンXC72のサイクリックボルタモグラム(50mv/s)である。各電極の静電容量を、容量性電流密度、走査速度及び炭素ロード量から算出した。図に示されているとおり、炭素球はバルカンXC72よりも遙かに大きな容量性電流密度を示す。算出されたMC1105の静電容量(質量比)は95F/gであり、バルカンXC72(20F/g)のほぼ5倍である。
【0051】
さらに、他の3つの潜在的な用途として下記が挙げられる。
【0052】
[0045](1)水素貯蔵材料。現段階で炭素材料の水素貯蔵効率には依然として課題があるものの、多孔質炭素球は、その大きい表面積及び大きい細孔容積により水素貯蔵材料として有望である。
【0053】
[0046](2)リチウムイオン電池のアノード材料。多孔質炭素球は、電気化学反応における大量輸送に好適で制御可能な気孔率を有する。高黒鉛化が可能であれば、多孔質炭素球はリチウムイオン電池のインターカレーション材料として好適と思われる。
【0054】
[0047](3)薬物送達のミニキャリア。多孔質炭素球は特有の中空構造とサブミクロンの大きさを有し、人体での薬物送達にとって理想的なツールである。ただし、この用途には毒性検証という課題がある。
【0055】
参考文献:
[1]Tze−Chiang Chung,“A method for the synthesis of porous carbon materials”,Patent PCT/US2007/067596,WO 2007/127900
[2]Sang−hoon Joo,Chan−ho Pak,Hyuk Chang,Ji−man Kim,Hyung−ik Lee,“Mesoporous carbon,method of preparing the same,and fuel cell using the carbon”,US Patent 0116624, 2007
[3]Frank M Delnick,Narayan,Doddapaneni,Robert R Lagasse,Ronald F Simandl,D Gerald Glasgow,Alan Sylwester,“Structural micro−porous carbon anode for rechargeable lithium ion batteries”,US Patent 5510212, 1996
[4]Kenichi Uehara,Yoshihisa Murata,“Method for preparing porous carbon material,porous carbon material and electrical double layer capacitor using the same”,US Patent 6768631, 2004
[5]J.Lee,J.Kim,T.Hyeon,“Recent progress in the synthesis of porous carbon materials”,Advanced Materials 18(2006) 2073−2094
[6]H.Chang,S.H.Joo,C.Pak,“Synthesis and characterization of mesoporous carbon for fuel cell applications”,J.Mater.Chem.17(2007) 3078−3088
[7]C.Vix−Guterl,E.Frackowiak,K.Jurewicz,M.Friebe,J.Parmentier,F.Beguin,“Electrochemical energy storage in ordered porous carbon materials”,Carbon 43(2004) 1293−1302
[8]S.Flandrois,B.Simon,“Carbon materials for lithium ion rechargeable batteries”,Carbon 37(1999) 165−180
[9]W.H.Suh,A.R. Jang,Y.Suh,K.S.Suslick,“Porous,hollow,and ball−in−ball metal oxide microspheres:preparation,endocytosis and cytotoxicity”,Advanced Materials 18(2006) 1832−1837
[10]Q Hu,Y Lu,J Tang,M Cai,“Making mesoporous carbon with tunable pore size”,WO 2007/143404 A2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を作製するための方法であって、
(a)コロイダルシリカテンプレート材料と水溶性熱分解性炭素供給源とを水溶液中で混ぜ合わせて前駆体溶液を用意する工程であって、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びコロイダルシリカ/炭素供給源の重量比は制御される工程と、
(b)前駆体溶液を超音波噴霧熱分解により霧化して小液滴を得る工程と、
(c)不活性ガス雰囲気下、700〜1200℃で稼働している高温炉に液滴を導入する工程であって、そこで、液滴は固体球状の炭素/シリカ複合粒子に変換される工程と、
(d)炉から出る炭素/シリカ複合粒子を回収する工程と、
(e)粒子からシリカを除去して、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の実質的に純粋な多孔質炭素を得る工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前駆体溶液は超音波噴霧熱分解(USP)により霧化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比が1:4〜4:1である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コロイダルシリカテンプレートの粒径が1〜100nmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)において、pHは、1.0〜3.0の酸性pHに調整される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
水溶性炭素供給源は、スクロース、ピロール及びアニリンからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比が1:2〜2:1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コロイダルシリカテンプレートの粒径が20〜40nmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)において、シリカは、強酸又は強塩基による化学エッチングで粒子から除去される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
不活性ガスが窒素、ヘリウム又はアルゴンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コロイダルシリカテンプレートは、テトラエトキシシランを加水分解することにより作製される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
多孔質炭素は100〜2000nmの粒径を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
多孔質炭素は、孔径2nm未満のミクロ多孔質炭素又は孔径2〜50nmのメソ多孔質炭素又は孔径50nm超のマクロ多孔質炭素又は多重孔径分布を有する階層的多孔質炭素である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前駆体溶液に加える前又は球状炭素粒子を形成した後に、触媒粒子を炭素供給源材料に付着させる追加の工程を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
触媒がPt又はPt合金である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
炭素球構造が部分的に黒鉛化される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
黒鉛化は、Fe、Co及びNiからなる群より選択される遷移金属イオンを金属/炭素重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えることによって実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素であって、多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径を有する多孔質炭素。
【請求項20】
金属触媒粒子が付着している、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項21】
電気化学装置に使用される電極の形態の、請求項19又は20に記載の多孔質炭素。
【請求項22】
PEM燃料電池に使用される電極の形態の、請求項20に記載の多孔質炭素。
【請求項23】
電気二重層キャパシタに使用される電極の形態の、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項24】
水素貯蔵材料として使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項25】
リチウムイオン電池の電極材料として使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項26】
薬物送達のキャリアとして使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項27】
多孔質炭素は、孔径2nm未満のミクロ多孔質炭素又は孔径2〜50nmのメソ多孔質炭素又は孔径50nm超のマクロ多孔質炭素又は多重孔径分布を有する階層的多孔質炭素である、請求項18に記載の多孔質炭素。
【請求項1】
表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素を作製するための方法であって、
(a)コロイダルシリカテンプレート材料と水溶性熱分解性炭素供給源とを水溶液中で混ぜ合わせて前駆体溶液を用意する工程であって、コロイダルシリカテンプレートの粒径及びコロイダルシリカ/炭素供給源の重量比は制御される工程と、
(b)前駆体溶液を超音波噴霧熱分解により霧化して小液滴を得る工程と、
(c)不活性ガス雰囲気下、700〜1200℃で稼働している高温炉に液滴を導入する工程であって、そこで、液滴は固体球状の炭素/シリカ複合粒子に変換される工程と、
(d)炉から出る炭素/シリカ複合粒子を回収する工程と、
(e)粒子からシリカを除去して、表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の実質的に純粋な多孔質炭素を得る工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前駆体溶液は超音波噴霧熱分解(USP)により霧化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比が1:4〜4:1である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コロイダルシリカテンプレートの粒径が1〜100nmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)において、pHは、1.0〜3.0の酸性pHに調整される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
水溶性炭素供給源は、スクロース、ピロール及びアニリンからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コロイダルシリカ及び炭素供給源の重量比が1:2〜2:1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コロイダルシリカテンプレートの粒径が20〜40nmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)において、シリカは、強酸又は強塩基による化学エッチングで粒子から除去される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
不活性ガスが窒素、ヘリウム又はアルゴンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コロイダルシリカテンプレートは、テトラエトキシシランを加水分解することにより作製される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
多孔質炭素は100〜2000nmの粒径を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
多孔質炭素は、孔径2nm未満のミクロ多孔質炭素又は孔径2〜50nmのメソ多孔質炭素又は孔径50nm超のマクロ多孔質炭素又は多重孔径分布を有する階層的多孔質炭素である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前駆体溶液に加える前又は球状炭素粒子を形成した後に、触媒粒子を炭素供給源材料に付着させる追加の工程を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
触媒がPt又はPt合金である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
炭素球構造が部分的に黒鉛化される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
黒鉛化は、Fe、Co及びNiからなる群より選択される遷移金属イオンを金属/炭素重量比1:20〜1:5で前駆体溶液に加えることによって実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
表面積及び孔径により規定される調整された気孔率を有する球状形態の多孔質炭素であって、多孔質炭素球は50〜3000m2/gの比表面積及び1〜100nmの孔径を有する多孔質炭素。
【請求項20】
金属触媒粒子が付着している、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項21】
電気化学装置に使用される電極の形態の、請求項19又は20に記載の多孔質炭素。
【請求項22】
PEM燃料電池に使用される電極の形態の、請求項20に記載の多孔質炭素。
【請求項23】
電気二重層キャパシタに使用される電極の形態の、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項24】
水素貯蔵材料として使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項25】
リチウムイオン電池の電極材料として使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項26】
薬物送達のキャリアとして使用される、請求項19に記載の多孔質炭素。
【請求項27】
多孔質炭素は、孔径2nm未満のミクロ多孔質炭素又は孔径2〜50nmのメソ多孔質炭素又は孔径50nm超のマクロ多孔質炭素又は多重孔径分布を有する階層的多孔質炭素である、請求項18に記載の多孔質炭素。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【公表番号】特表2011−525468(P2011−525468A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512793(P2011−512793)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000705
【国際公開番号】WO2009/149540
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(302046528)ナショナル・リサーチ・カウンシル・オブ・カナダ (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000705
【国際公開番号】WO2009/149540
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(302046528)ナショナル・リサーチ・カウンシル・オブ・カナダ (15)
【Fターム(参考)】
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