説明

多層剤形

本発明は、a)製剤学的な作用物質を有するコアと、b)50〜95質量%までが、中性の側鎖基を有するラジカル重合したビニル系モノマー95〜100質量%とアニオン性側鎖を有するモノマー0〜5質量%とから構成される(コ)ポリマーからなる内側コーティングと、c)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル75〜95質量%と、アルキル基中でアニオン性の基を有する(メタ)アクリラートモノマー5〜25質量%から構成されるコポリマーからなる外側コーティングとを有し、その際、製剤学的に通常の助剤、特に可塑剤5〜30質量%を含有している多層剤形において、前記内側コーティングが、細孔形成剤ではない製剤学的に通常の助剤5〜50質量%を有し、かつ細孔形成剤は5質量%より少ない量でだけ含有されていることを特徴とする、多層剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤学的作用物質を有するコアと、内側ポリマーコーティングと、外側ポリマーコーティングとから構成された多層剤形に関する。
【0002】
背景技術
EP 0 704 207 A2は、腸液溶解性の製剤コーティング用の熱可塑性プラスチックを記載している。これは、アクリル酸又はメタクリル酸16〜40質量%と、メチルメタクリラート30〜80質量%と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の他のアルキルエステル0〜40質量%とからなる共重合体である。
【0003】
EP 704,208 A2は、腸液溶解性の製剤コーティング用のコーティング剤及び結合剤を記載している。これは、メタクリル酸10〜25質量%と、メチルアクリラート40〜70質量%と、メチルメタクリラート20〜40質量%とからなる共重合体である。前記明細書は、1層のコーティングの他に、多層のコーティング系を述べている。このコーティング系は、例えば塩基性の又は水に敏感な作用物質を含有するコアを有することができ、他のコーティング材料、例えばセルロースエーテル、セルロースエステル又はカチオン性ポリメタクリラート、例えばEUDRAGIT(R) E, RS又はRLタイプからなる絶縁層を有し、かつ次いで付加的に上記の腸液溶解性コーティングを備えている。
【0004】
EP 0 519 870 A1は経口ジクロフェナク調製剤を記載している。この作用物質は、この場合、コア上に塗布され、二層でコーティングされている。内側層は、EUDRAGIT(R) NEのタイプの中性の(メタ)アクリラートコポリマーからなり、製剤学的に通常の助剤、例えば離型剤の他に、細孔形成剤、例えば酸化鉄赤5〜20質量%を含有する。外側層は、胃液に耐性の、例えばEUDRAGIT(R) Lタイプの(メタ)アクリラートコポリマーからなることができる。
【0005】
US 5,643,602は、潰瘍性大腸炎又はクローン病の治療のための製剤学的な経口の剤形を記載している。この剤形は、内側に中性のコアを有し、それに引き続く2つのポリマー層を有する多層構造を有している。前記作用物質は、中性のポリマー、例えばエチルセルロース又はEUDRAGIT(R) NEと混合した形で内側層中に存在する。外側層は、胃液に耐性の、例えばEUDRAGIT(R) Lタイプの(メタ)アクリラートコポリマーからなることができる。
【0006】
WO 01/68058は、主に、a)製剤学的な作用物質を有するコアと、b)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル85〜98質量%と、アルキル基中に四級化されたアンモニウム基を有する(メタ)アクリラート−モノマー15〜2質量%とから構成されたコポリマー又はコポリマーの混合物からなる内側コーティングと、c)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル75〜95質量%と、アルキル基中にアニオン性の基を有する(メタ)アクリラートモノマー5〜25質量%とから構成されたコポリマーからなる外側コーティングとから構成されている多層剤形を記載している。
【0007】
WO 2004/039357は、a)中性のコアと、b)メタクリラートコポリマーからなる内側コーティングと、c)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル40〜95質量%と、アルキル基中にアニオン性の基を有する(メタ)アクリラート−モノマー5〜60質量%とから構成されたコポリマーからなる外側コーティングとから構成された多層剤形を記載している。前記剤形は、内側コーティングが主にメタアクリラート−コポリマーからなり、前記コポリマーは少なくとも90質量%まで中性の基を有する(メタ)アクリラート−モノマーから構成されていて、高くても30℃のDIN53787による最低成膜温度を有し、かつ結合した形で製剤学的な作用物質を含有することを特徴とする。
【0008】
課題及び解決手段
WO 01/68058による剤形は、結腸中で作用物質を放出するために優れた特性を有している。胃中では、ほとんど作用物質を放出せず、腸中で、特に大腸領域の直前又は大腸領域中で初めて均一でかつ長期間維持される作用物質放出が達成される。この種の作用物質放出は、pH1.2で2時間及び引き続きpH7.0に緩衝でのUSPによる放出試験において、試験開始後の2.0時間前の期間において含まれる作用物質を5%より少なく放出し、試験開始後の8時間の時点で、30〜80%まで放出するin-vitro要件を満たしている。
【0009】
しかしながら、記載された剤形のコーティングは、常に適当な機械的特性を有しているわけではないことが確認された。特に、極めて薄いフィルムコーティング、例えば難溶性又は高配合された剤形の場合に、製剤学的に通常の生産プロセス、例えば圧縮成形、カプセル又はサシェへの充填もしくは他のペレット調製物との混合において、フィルムコーティングの安定化のために高められた機械的強度の必要性が生じる。同様のことがEP 0 519 870 A1又はWO 2004/039357による剤形にあてはまる。
【0010】
従って、課題として、少なくとも極めて類似の放出特性を有するが、フィルムコーティングの機械的特性において改善されている剤形を提供することであった。
【0011】
前記課題は、
a) 製剤学的な作用物質を有するコアと、
b) 50〜95質量%までが、中性の側鎖基を有するラジカル重合したビニル系モノマー95〜100質量%とアニオン性側鎖を有するモノマー0〜5質量%とから構成される(コ)ポリマーからなる内側コーティングと、
c) アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル75〜95質量%と、アルキル基中でアニオン性の基を有する(メタ)アクリラートモノマー5〜25質量%から構成されるコポリマーからなる外側コーティングとを有し、その際、製剤学的に通常の助剤、特に可塑剤5〜30質量%を含有している多層剤形において、
前記内側コーティングが、細孔形成剤ではない製剤学的に通常の助剤5〜50質量%を有し、かつ細孔形成剤は5質量%より少ない量でだけ含有されいることを特徴とする、多層剤形により解決される。
【0012】
内側コーティングフィルムと外側コーティングフィルムとのこの組合せは、明らかにWO 01/6805との比較において全体として二重のフィルム層の向上された引張強度を生じる。それにより、剤形自体及びそれから製造される多粒子の剤形の機械的特徴は明らかに改善される。絶縁された二重フィルム層の特性の改善は認識できる。本発明により構成された、絶縁された二重フィルム層の場合には、6〜10[MPa]の範囲内の引張強度及び170〜300[%]の範囲内の基準破断点伸びが測定される。
【0013】
発明の実施態様
本発明は、次のものを有する多層剤形に関する。
【0014】
コアa)
コーティング用の支持体もしくはコアは、タブレット、顆粒、ペレット、規則的又は不規則な形の結晶である。顆粒、ペレット又は結晶のサイズは、一般に、0.01〜25mm、タブレットのサイズは2.5〜30.0mmである。前記支持体は、通常では作用物質1〜95%並びに場合によりもしくは通常では更に製剤学的な助剤を含有する。
【0015】
通常の製造方法は、直接的な圧縮成形、乾燥顆粒、湿潤顆粒又は焼結顆粒の圧縮成形、押出、及び引き続く丸み付け、湿式造粒もしくは乾式造粒又は直接的なペレット化(例えばトレー上での)、又は作用物質を含有しない球体(ノンパレル)又は作用物質含有粒子上への粉体の結合(粉末積層)である。
【0016】
作用物質の他に、前記コアは更に次のような製剤学的な助剤を含有する:結合剤、例えばラクトース、セルロース及びその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、湿度保持剤、崩壊促進剤、滑剤、崩壊剤、デンプン及びその誘導体、糖可溶化剤等。
【0017】
前記コアa)には、通常では、相応する製剤学的作用物質を、例えば作用物質粉末として支持体粒子(ノンパレル)上に水性結合剤を用いて塗布することにより、製剤学的な作用物質が設けられていてもよい。前記作用物質コア(ペレット)は、乾燥及び篩別の後に所望のサイズフラクションで得ることができる(例えば0.7〜1mm)。この方法は、特に「粉末積層」として表される。前記コアの前記作用物質含有量は、例えば5〜90質量%であることができる。
【0018】
内側コーティングb)
内側コーティングb)は、50〜95、有利に60〜90質量%まで、中性の側鎖基を有するラジカル重合したビニル系モノマー95〜100、有利に98〜100質量%と、アニオン性側鎖基を有するビニル系モノマー0〜5、有利に0〜2質量%とから構成された(コ)ポリマーからなる。ほぼ中性又は完全に中性のこのコポリマーは、有利に、水中でもしくは腸液環境中でpH5.0より高くで膨潤し、かつ作用物質を制御してもしくは遅延して放出する特性を有する。
【0019】
この作用物質放出特性は、WO 01/68058に記載された特性と厳密には一致しないが、その相違は意外にもわずかである。より良好な機械的特性のためのこの変更は、従って一貫して許容可能である。この内側コーティングの層厚の変化によって、放出プロフィールを場合により適合させることができる。
【0020】
内側コーティングは、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合されたC1〜C4−アルキルエステル95〜100、有利に98〜100質量%と、場合によりアニオン性側鎖基を有する、特にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を有するビニル系モノマー0〜5、有利に0〜2質量%とから構成された(コ)ポリマーを含有することができる。
【0021】
アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルは、特にメチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート及びブチルアクリラートである。
【0022】
アルキル基中にアニオン性の基を有する(メタ)アクリラート−モノマーは、例えばアクリル酸、有利にメタクリル酸であることができる。
【0023】
例えば、エチルアクリラート20〜40質量%と、メチルメタクリラート60〜80質量%とからなる中性の(メタ)アクリラートコポリマー(EUDRAGIT(R) NEタイプ)が適している。
【0024】
EUDRAGIT(R) NEはエチルアクリラート30質量%とメチルメタクリラート70質量%とからなるコポリマーである。
【0025】
この内側コーティングは、ポリビニルアセタートを有するかもしくはポリビニルアセタートである(コ)ポリマーを含有していてもよい。「ポリビニルアセタート」の概念は、ポリビニルアセタートの誘導体を含む。このポリビニルアセタートは、分散液として存在してもよい(例えばKollicoat(R) SR 30 Dタイプ、製造元、ポリビニルアセタート分散液、ポビドン及びラウリル硫酸Naで安定化)。
【0026】
内側コーティングは、細孔形成剤ではない製剤学的に通常の助剤5〜50質量%を含有する。
【0027】
EP 0 519 870 A1に使用されているような細孔形成剤は、この細孔形成剤がEP 0 519 870 A1のように内側層中に存在している場合に、二重のコーティングフィルム層の機械的特性に不利な影響を及ぼすことが確認された。この内側コーティング層は、これが有利であると思われない場合であっても、二重のコーティングの機械的特性が必然的に極めて損なわれることなしに、少量の細孔形成剤を含有していてもよい。細孔形成剤は、内側コーティング中に、有利に使用されないか又は5質量%より低い量で、有利に2又は1質量%より低い量でのみ使用するのが好ましい。このようなわずかな量は、一般に、技術的な効果をもはや生じさせない。従って、特に有利に、内側コーティング層中に細孔形成剤は含まれない。
【0028】
内側コーティング中に含まれていてもよい製剤学的に通常の助剤は、可塑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、湿潤剤、顔料、光沢剤、離型剤、乾燥増量剤の物質クラスから選択され、その際、細孔形成剤、特に非水溶性の細孔形成剤、例えばカオリン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、微結晶セルロース、二酸化チタン又は酸化鉄、及び特に水溶性の細孔形成剤、例えばポビドンK30、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロース、サッカロース、キシリット、ソルビット、マンニット、マルトース、キシロース、グルコース、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール又はクエン酸ナトリウムは含まれないか又は5質量%より低い、有利に2又は1質量%より低い量でのみ含まれている。
【0029】
更に、WO 2004/039357において提案されているような内側コーティング層中の結合した作用物質は、二重のコーティングフィルム層の機械的特性に同様に不利な影響を及ぼすことが確認された。前記剤形中に含まれる作用物質は、有利にコア層中に収容される。この内側コーティング層は、これが有利であると思われない場合であっても、前記コーティングの機械的特性が必然的に極めて損なわれることなしに、少量の作用物質を含有していてもよい。しかしながら、この作用物質含有量は内側コーティング中で2よりも低い、有利に1よりも低いのが好ましい。このようなわずかな量は、一般に、技術的な効果をもはや生じさせない。従って、特に有利に、内側コーティング層中に作用物質は含まれない。
【0030】
内側コーティングの層厚は、例えば10〜100、有利に20〜40μmの範囲内であることができる。
【0031】
外側コーティングc)
外側コーティングc)は、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合されたC1〜C4−アルキルエステル75〜95質量%と、アルキル基中にアニオン性の基を有する(メタ)アクリラート−モノマー5〜25質量%とから構成されるコポリマーを含有し、その際、製剤学的に通常の助剤、特に可塑剤5〜30、有利に8〜20質量%が含まれている。細孔形成剤は、外側コーティング中に、有利に使用されないか又は5質量%より低い量で、有利に2又は1質量%より低い量でのみ使用するのが好ましい。このようなわずかな量は、一般に、技術的な効果をもはや生じさせない。従って、特に有利に、外側コーティング層中に細孔形成剤は含まれない。
【0032】
アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルは、特にメチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート及びブチルアクリラートである。
【0033】
アルキル基中にアニオン性の基を有する(メタ)アクリラート−モノマーは、例えばアクリル酸、有利にメタクリル酸であることができる。
【0034】
特に有利に、メチルメタクリラート10〜30質量%と、メチルアクリラート50〜70質量%と、メタクリル酸5〜15質量%とからなる(メタ)アクリル酸コポリマー(EUDRAGIT(R) FSタイプ)が適している。
【0035】
このコポリマーは市販されていて、自体公知のように、ラジカルによる塊状重合、溶液重合、パール重合、乳化重合によって得ることができる。このコポリマーは、加工の前に、適当な粉砕、乾燥又は噴霧プロセスにより、本発明による粒度範囲にしなければならない。これは、押し出されかつ冷却された顆粒ストランドの簡単な破砕又はホットカットによって行うことができる。
【0036】
水相中で、水溶性開始剤及び(有利にアニオン性の)乳化剤の存在での乳化重合が有利である(例えばDE-C2135073参照)。
【0037】
この乳化重合体は、有利に10〜50質量%、特に30〜40質量%の水性分散液の形で製造されかつ使用される。加工のために、メタクリル酸単位の部分的中和は不必要であるが、しかしながら、例えばコーティング剤分散液の増粘が望ましい場合には、これは5〜10Mol%までの範囲内で可能である。ラテックス−粒子サイズの重量平均値は、一般に40〜100nm、有利に50〜70nmであり、これは加工技術的に望ましい1000mPa・sより低い粘度を保証する。
【0038】
外側コーティングの層厚は、例えば20〜150、有利に40〜80μmの範囲内であることができる。
【0039】
内側/外側コーティングの量比
内側コーティングの全質量は、コアの全質量に対して有利に2〜50、特に有利に10〜40質量%であることができる。
【0040】
コアの全質量は、作用物質、場合により使用される中性のコア(ノンパレル)を含めた、場合により調製剤に使用された助剤から構成され、これはつまり調製剤の乾燥重量に相当する。
【0041】
内側コーティングの全質量はコポリマー及び含まれる助剤から構成され、これはつまり使用された調製剤の乾燥重量に相当する。
【0042】
外側コーティングの全質量はコポリマー及び場合により含まれる助剤、例えば可塑剤から構成され、これはつまり使用された調製剤の乾燥重量に相当する。
【0043】
外側コーティングの全質量は、コア及び内側コーティングの全質量に対して有利に5〜50、特に有利に10〜30質量%であることができる。
【0044】
その他の点では、本発明による構造を有する単離された二重フィルムの断面の走査電子顕微鏡写真は、界面での良好な付着を示す均質で一様な層を示す。
【0045】
方法
本発明は、更に、次の工程
a) 製剤学的な作用物質を有するコアを、中性のコア(ノンパレル)にスプレー塗布により又は中性のコアなしで回転アグロメレーション、析出、スプレー法又は押出及び球状化により製造することにより作成する工程、引き続き、
b) 内側コーティングを、スプレー塗布により塗布し、作用物質含有のコーティングされたペレットを得る工程、
c) 外側コーティングを、スプレー塗布により塗布し、作用物質含有の二重にコーティングされたペレットを得る工程、
d) 場合により、放出プロフィールの安定化のための最終的な硬化処理を、例えば40℃で2時間の乾燥貯蔵により行う工程
を特徴とする、本発明による剤形を製造する方法に関する。
【0046】
得られたペレットは、製剤学的に通常の助剤を用いて、自体公知のように多粒子の剤形、特にペレット含有のタブレット、ミニタブレット、カプセル、サシェ又はドライシロップにさらに加工することができ、これらは、含まれるペレットが胃のpH領域で遊離するように調製されている。
【0047】
多粒子の剤形
本発明による剤形、例えばペレット型は、有利に多粒子の剤形の構成成分として使用することができる。製剤学的に通常の生産工程における加工、例えば圧縮成形、カプセル又はサシェ中への充填、又は他のペレット調製剤との混合の際に、改善された機械的特性は特に有利であると判明した。この利点は、特に極めて薄いコーティング及び/又は極めて高い作用物質負荷の場合に生じる。特に高い機械的力が生じる、ペレットをタブレットの圧縮成形する場合に、まさに、本発明による剤形はコーティング層の損傷に対してあまり敏感ではないことが判明した。この結果、多様な生産サイクルからなるユニットの特性の高いプロセス安全性及び高い再現性が生じる。
【0048】
放出特性
作用物質放出特性は、WO 01/68058とは正確に一致していないが、しかしながらその放出特性は類似している。その相違は意外にもわずかである。この剤形は、従って結腸中での作用物質の放出のために特に良好に適している。
【0049】
pH1.2で2時間及び引き続きpH7.0に緩衝させるUSPによる放出試験において、含まれる作用物質を、試験開始後の2.0時間までの期間において5%より少なく放出し、試験開始後の8時間の時点までで30〜80%、特に40〜70%放出する。
【0050】
例えばUSP(USP XXIV、方法B、「腸溶被覆製品」用の改良試験)による放出試験は、当業者に公知である。この試験条件は、特に次のものである:パドル法、1分当たり100回転、37℃;0.1N HClでpH1.2、0.2Mのホスフェート緩衝液の添加によりpH7.0及び2N NaOHで調節。USP27−NP22 サプリメント1、方法「遅延放出」モノグラフィー<724>薬物放出も参照。
【0051】
使用すべき多層剤形は、主に作用物質を有する1つのコアと、内側及び外側コーティングとからなる。通常では、製剤学的に慣用の助剤を含有していてもよいが、これは本発明にとって重要ではない。
【0052】
製剤学的な作用物質
本発明の範囲内で使用可能な製剤学的な作用物質は、
1. 疾病、病気、身体の損傷又は病的な苦痛の治癒、緩和、予防又は識別のため、
2. 身体の性質、状態又は機能又は精神的状態を識別するため、
3. 人体又は動物の身体から製造された作用物質又は体液を交換するため、
4. 病原体、寄生虫又は体外物質を阻止、排除又は無害化するため、又は
5. 身体の性質、状態又は機能又は精神的状態に影響を及ぼすため、
人体又は動物の身体上又は人体内又は動物の体内に適用されることが定められる。
【0053】
一般的な薬物は便覧、例えばRoten Liste又はMerck Indexから引用することができる。例えば、5−アミノサリチル酸、コルチコステロイド(ブデソニド)、並びにタンパク質(インスリン、ホルモン、抗体)が挙げられる。本発明の場合に、上記の定義の意味において所望の治療効果を満たし、かつ十分な安定性を有し、かつ上記の点によるその作用が腸を介して達成することができる全ての作用物質を使用することができる。
【0054】
完全性を要求されない重要な例は(グループ及び単一物質)は次のものである:
鎮痛剤、抗生物質、抗糖尿病薬、抗体
化学療法薬、コルチコイド/コルチコステロイド
抗炎症剤、酵素調製剤
ホルモン及び他の阻害剤、副甲状腺ホルモン
消化促進剤、ビタミン、細胞増殖抑制剤
作用物質として、特に、腸内、特に大腸領域の直前又は大腸領域で初めてできる限り一定に放出されるのが好ましい作用物質が挙げられる。従って、この製剤学的作用物質は、アミノサリチラート、スルホンアミド又はグルココルチコイドであることができ、特に5−アミノサリチル酸、オルサラジン(Olsalazin)、スルファラジン、プレドニゾン又はブデソニドであることができる。
【0055】
作用物質の例
メサラジン
スルファサラジン
ベタメタソン−21−ジヒドロゲノホスファート
ヒドロコルチゾン−21−アセタート
クロモグリシン酸
デキサメタゾン
オルサラジン−Na
ブデソニド、プレドニソン
ビスムニトラート、カラヤゴム
メチルプレドニソロン−21−ヒドロゲンスクシナート
没薬、コーヒー炭、カモミール葉抽出物、
ヒト胎盤の10%懸濁液
新規作用物質、もしくは開発中及び試験中の作用物質
(関連する、当業者に公知の製剤学的データバンクからの文献)
バルサラジド
経口投与されるペプチド(例えばRDP58)
インターロイキン6
インターロイキン12
イロデカキン(インターロイキン10)
酒石酸ニコチン
5−ASA抱合体(CPR2015)
インターロイキン12に対するモノクローナル抗体
ジエチルジヒドロキシホモスペルミン(DEHOHO)
ジエチルホモスペルミン(DEHOP)
コレシストキニン(CCK)アンタゴニスト(CR1795)
胃液からの40kdペプチドの15アミノ酸断片(BPC15)
グルココルチコイド類似体(CBP1011)
ナタリズマブ
インフリクシマブ(REMICADE)
N−脱アセチル化されたリソグリコスピンゴリピド(WILD20)
アゼラスチン
トラニラスト
スディスマーゼ
ホスホロチオアートアンチセンゾリゴヌクレオチド(ISIS2303)
タゾフェロン
ロピバカイン
5リポキシゲナーゼ阻害剤(A69412)
スクラルファート。
【0056】
この剤形は、酵素、ペプチドホルモン、免疫調節タンパク質、抗原又は抗体である製剤学的な作用物質を含有することができる。
【0057】
この剤形は、製剤学的に作用物質としてパンクレアチン、インスリン、ヒト成長ホルモン(hGH)、コルバプラチン、イントロンA、カルシトニン、クロマリン、インターフェロン、カルシトニン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、プロソマトスタチン、ソマトスタチン、デチレリクス、セトロレリクス、バソプレッシン、1−デアミノシステイン−8−D−アルギニン−バソプレッシン、ロイプロリドアセタート又は草又は他の植物、例えばライムギ、コムギ、オオムギ、エンバク、バミューダグラス、スギナ、カエデ、ニレ、オーク、プラタナス、ポプラ、ヒマラヤスギ、スギナ、アザミから得られた抗原を含有することができる。
【0058】
製剤学的に通常の助剤
本発明の範囲内で製剤学的に通常の助剤の中から、内側コーティングに対して5質量%以上の量の細孔形成剤は除外される。
【0059】
多層剤形の製造の場合に、製剤学的に通常の助剤を通常のように使用することができる。
【0060】
乾燥増量剤(粘着防止剤):乾燥増量剤は次の特性を有する:この乾燥増量剤は大きな比表面積を提供し、化学的に不活性で、良好な流動性及び微細粒である。この特性に基づき、官能基として極性コモノマーを含有するポリマーの粘着性を低下させる。
【0061】
乾燥増量剤の例は次のものである:
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、カオリン、タルク、グリセロールモノステアラート、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸(アエロジル)、シロイド(Syloid)、硫酸バリウム。
【0062】
離型剤
離型剤の例は次のものである:
脂肪酸のエステル又は脂肪酸アミド、脂肪族長鎖カルボン酸、脂肪アルコール並びにそのエステル、モンタンワックス又はパラフィンワックス及び金属セッケン、特にグリセロールモノステアラート、ステアリルアルコール、グリセロールベヘン酸エステル、セチルアルコール、パルミチン酸、カルナウバワックス、蜜ろう等が挙げられる。通常の量は、コポリマーに対して0.05質量%〜5、有利に0.1〜3質量%の範囲内にある。
【0063】
他の製剤学的に通常の助剤:この場合、例えば安定剤、着色剤、酸化防止剤、湿潤剤、顔料、光沢剤などが挙げられる。これらは、特に加工助剤として利用され、かつより確実でかつ再現可能な製造方法並びに良好な長時間貯蔵安定性を保証することができるのが好ましい。他の製剤学的に通常の助剤は、コポリマーに対して0.001質量%〜30質量%、有利に0.1〜10質量%の量で存在する。
【0064】
可塑剤:可塑剤として適当な物質は一般に100〜20000の分子量を有し、かつ1分子中に1つ又は複数の親水基、例えばヒドロキシル基、エステル基又はアミノ基を有する。シトラート、フタラート、セバカート、ひまし油が適している。適した可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、ジブチルセバカート及びポリエチレングリコール4000〜20000である。有利な可塑剤は、トリブチルシトラート、トリエチルシトラート、アセチルトリエチルシトラート、ジブチルセバカート及びジエチルセバカートである。この使用量は、それぞれのポリマー又はコポリマーに対して、1〜35、有利に2〜10質量%である。
【0065】
適用形
記載された剤形は、コーティングされたタブレットとして、圧縮成形されたペレットからなるタブレットの形で又はペレットの形で存在してもよく、これらは、カプセル、例えばゼラチン、デンプン又はセルロース誘導体からなるカプセル中に充填されている。
【0066】
実施例
フローコーティングにより製造された1層及び2層のフィルムコーティングの機械的特性の試験
EUDRAGIT(R)RS:メチルメタクリラート65質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%からなるコポリマー
EUDRAGIT(R)RL:メチルメタクリラート6質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド10質量%からなるコポリマー
EUDRAGIT(R)NE:エチルアクリラート30質量%とメチルメタクリラート70質量%とからなるコポリマー
EUDRAGIT(R)FS:メチルアクリラート65質量%、メチルメタクリラート25質量%及びメタクリル酸10質量%からなるコポリマー
第1層=本発明による剤形中の内側コーティングに相当
第2層=本発明による剤形中の外側コーティングに相当。
【0067】
被膜形成する調製物の製造:
EUDRAGIT(R)FS 30 D調製物、10%の水性、
30%のEUDRAGIT FS 30 D分散液と5%(ポリマーに対して)トリエチルシトラート(TEC)とから製造、脱イオン水を用いてこの分散液を10%まで希釈:400mlガラスビーカー中にTEC及び水を注ぎ込み、400rpmで磁気撹拌機でTECが溶解し、透明な溶液になるまで撹拌した。500mlのPEねじ式ビン中に、約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した量のEUDRAGIT(R)FS 30 Dを装入し、磁気撹拌機で約400±100rpmで撹拌しながらTEC水溶液を添加した。この調製物を、室温で密閉して少なくとも1から2時間、この回転数で撹拌した。この10%分散液を、一晩中冷蔵庫で4〜8℃で貯蔵し、次の日にフローコーティングの直前にプレートで撹拌した。
【0068】
EUDRAGIT(R)RS 30 D / RL 30 D(1:1)調製物、10%の水性、
それぞれ30%のEUDRAGIT(R) RS 30 D/RL30 D分散液と20%(ポリマーに対して)トリエチルシトラートとの混合物から製造、脱イオン水を用いてこの分散液を10%まで希釈:400mlガラスビーカー中にTEC及び水を注ぎ込み、500rpmで磁気撹拌機でTECが溶解し、透明な溶液になるまで撹拌した。500mlのPEねじ式ビン中に、約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した量のEUDRAGIT(R)RS 30 D/RL 30D (1:1)分散液を装入し、磁気撹拌機で約400±100rpmで撹拌しながらTEC水溶液を添加した。この調製物を、室温で密閉して一晩中この回転数で撹拌した。
【0069】
EUDRAGIT(R)NE 30D調製物、10%の水性、
30%のEUDRAGIT(R) NE 30 D分散液から製造、脱イオン水で10%にまで希釈:500mlのPEねじ式ビン中に、約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した量のEUDRAGIT(R)NE 30 Dを装入し、磁気撹拌機で約400±100rpmで撹拌しながら水を添加した。この調製物を、室温で密閉して一晩中この回転数で撹拌した。
【0070】
ポリビニルアセタート(Kollicoat(R) SR 30 D)調製物、10%の水性、
30%のポリビニルアセタート分散液、10%(ポリマーに対して)のプロピレングリコール及び3%(ポリマーに対して)のKollidon(R) 25とから製造、脱イオン水を用いてこの分散液を10%にまで希釈;400mlガラスビーカー中にプロピレングリコール及び水を秤取し、500rpmで磁気撹拌機でプロピレングリコールが溶解するまで撹拌した。
【0071】
Kollidon(R) 25を次いで、最初300で後に990rpmの撹拌速度で投入し、Kollidon 25が濡れるまで撹拌した。粘着物を引き続きUltraturrax撹拌機を用いて、約15分間、約900rpmでの撹拌で溶解させた。この透明な溶液を、引き続き気泡発生のために5分間室温で放置した。500mlのPEねじ式ビン中に、約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した量のポリビニルアセタート分散液を装入し、磁気撹拌機で約400±100rpmで撹拌しながらプロピレングリコール−Kollidon(R) 25水溶液を添加した。この調製物を、室温で密閉して一晩中この回転数で撹拌した。
【0072】
フィルムフローコーティング
フローコーティングプレートの準備:
20cm×20cmのサイズのガラスプレートを、2cmの織物接着テープで縁部に3層に接着することで、約1mmの高さの縁が得られ、約256cm2のフローコーティング内面が得られた。ガラスプレートの約256cm2のフローコーティング内面は、その中に接着剤を1回刷毛塗りされ、熱空気炉中で乾燥させた。この粘着面上に、20cm×20cmのサイズのTSCHELUN社のアルミニウム箔の艶消し側を上から貼り付けた、つまりその上にローラーで平滑にならすか又はキッチンへらで縁部にまで平滑にならした。(アルミニウム箔=0.012mm層厚、面=光沢/柔らかな艶消し、艶消し側=着色された二軸延伸ポリプロピレンフィルム0.03mmで被覆)。縁部上で接着されていないアルミニウム箔は上方へ曲げられ、高められた縁部面を有し、この縁部面が液体のオーバーフローを抑制することができる。このように調製されたフローコーティングガラスプレートを、空気循環式乾燥庫中に水準器を用いて水平に保つように置いた。
【0073】
2層のフィルムの製造:
製造された全ての調製物を、フィルム製造のためにフローコーティングする前に、それぞれ約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した。調製されかつ空気循環式乾燥庫中に保持されたフローコーティング−ガラスプレート上に、第1の基層として、1プレート当たりそれぞれ64gの、金属篩いを介して濾過された10%のEUDRAGIT(R) FS 30 D調製物を室温で流し込んだ。その後初めて、空気循環式乾燥庫を50℃に加熱し、前記フィルムをこの温度で最低のベンチレータ回転数でかつ30%開放した空気調節弁で少なくとも3日乾燥させた。透明に見える部分的に平滑なFS 30 Dフィルムを、開放された空気循環式乾燥庫中で室温に冷却し、その後第2のフィルム層を流し込んだ。EUDRAGIT(R)もしくは対照生成物−試料ごとに、第1の基層としてEUDRAGIT(R) FS 30 Dフィルムを備えた3つのフローコーティング−ガラスプレートを使用した。このEUDRAGIT(R) FS 30 Dフィルム基層上に、それぞれ64gの、金属篩いを介して濾過された10%のEUDRAGIT(R)もしくは他の試料を注ぎ込んだ。
【0074】
ここでも、調製物をフローコーティングした後に初めて空気循環式乾燥庫を50℃に加熱し、前記フィルムをこの温度で最低のベンチレータ回転数で30%開放した空気調節弁で少なくとも3〜5日間、前記フィルムが透明な外観になるまで乾燥させた、例外:ポリビニルアセタート(Kollicoat(R) SR 30 D)を用いた2層のフィルムは、軽度に黄色がかった乳白色の曇り(5日間の乾燥)を示し、エチルセルロース(Aquacoat(R) ECD-30)を用いた二層のフィルムは、下層フィルムに対して付着の問題を有する軽度に亀裂の入った曇りを示した(3日間の乾燥)。
【0075】
こうして得られた2層のフィルムを室温に冷却し、注意深くアルミニウム箔から剥がし、それぞれフィルターペーパーの形に成形されたポケットで保管し、これを再びPE−袋中に溶着した。
【0076】
1層のフィルムの製造:
製造された全ての調製物を、フィルム製造のためにフローコーティングする前に、それぞれ約0.1〜0.2mmの金属篩を介して濾過した。調製されかつ空気循環型乾燥庫中に保持されたフローコーティング−ガラスプレート上に、1つの試料ごとにそれぞれ2つのプレートで、それぞれ100gの、金属篩を介して濾過された10%のEUDRAGIT(R)もしくは対照生成物−調製物もしくは67gの、金属篩を介して濾過された15%の調製物(例えば調製物のコロイド溶液)を室温で流し込んだ。その後初めて、空気循環式乾燥庫を50℃に加熱し、前記フィルムをこの温度で最低のベンチレータ回転数でかつ30%開放した空気調節弁で少なくとも3日乾燥させた。この時間の後に、調製物EUDRAGIT(R) FS 30 D及びEUDRAGIT(R) NE 30 Dのフィルムは透明な外観を示し、Aquacoat(R) ECD-30は極めてもろいフィルムを生じ、このフィルムは取扱の際に壊れてしまい、測定できなかった。Kollicoat(R) SR 30 D及びEUDRAGIT(R) RS 30 D / RL 30 D (1:1)の調製物は、3日後に、再度残留湿分の除去のために一晩中60℃で熱処理することができた。この場合、気泡形成に留意しなければならなかった。EUDRAGIT(R) RS 30 D / RL 30 D (1:1)の場合の外観は、次いで透明〜わずかな曇りを示し、Kollicoat(R) SR 30 Dの場合には黄色がかった曇りを示した。こうして得られた1層のフィルムを室温に冷却し、注意深くアルミニウム箔から剥がし、それぞれフィルターペーパーの形に成形されたポケットで保管し、これを再びPE−袋中に溶着した。
【0077】
引張試験:
規定:ISO 527-2 /1 BA / 20
試験環境:23℃/50%相対湿度
引張器具:空気
装置:精度クラス1%
変位変換器:トラバース
固定長さ:57.5mm
コンディショニング:16時間、標準雰囲気(23℃/50%相対湿度)
測定長さ:57.5mm
プリロード:0.05MPa。
【0078】
実施例1〜10
【表1】

【0079】
前記の測定値から、全ての二層のポリマー系がEUDRAGIT(R) FS層のそれ自体の良好な強度を低下させることを示した。特に著しいのはWO 01/68058による組合せ(実施例6)の場合のこの作用である。
【0080】
前記フィルムの断面の走査電子顕微鏡写真は、本発明による二層の全てのフィルムについて、界面での良好な付着を示す均質で一様な層を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 製剤学的な作用物質を有するコアと、
b) 50〜95質量%までが、中性の側鎖基を有するラジカル重合したビニル系モノマー95〜100質量%とアニオン性側鎖を有するモノマー0〜5質量%とから構成される(コ)ポリマーからなる内側コーティングと、
c) アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル75〜95質量%と、アルキル基中でアニオン性の基を有する(メタ)アクリラートモノマー5〜25質量%から構成されるコポリマーからなる外側コーティングとを有し、その際、製剤学的に通常の助剤5〜30質量%を含有している多層剤形において、
前記内側コーティングが、細孔形成剤ではない製剤学的に通常の助剤5〜50質量%を有し、かつ細孔形成剤は5質量%より少ない量でだけ含有されていることを特徴とする、多層剤形。
【請求項2】
内側コーティングは(コ)ポリマーを含有し、前記(コ)ポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル95〜100質量%と、かつ場合によりアクリル酸又はメタクリル酸0〜5質量とから構成されていることを特徴とする、請求項1記載の剤形。
【請求項3】
内側コーティングが(コ)ポリマーを含有し、前記(コ)ポリマーはポリビニルアセタートであることを特徴とする、請求項1記載の剤形。
【請求項4】
内側コーティング中に含まれていてもよい製剤学的に通常の助剤は、可塑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、湿潤剤、顔料、光沢剤、離型剤、乾燥増量剤の物質クラスから選択され、その際、細孔形成剤、特に非水溶性の細孔形成剤、例えばカオリン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、微結晶セルロース、二酸化チタン又は酸化鉄、及び特に水溶性の細孔形成剤、例えばポビドンK30、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロース、サッカロース、キシリット、ソルビット、マンニット、マルトース、キシロース、グルコース、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール又はクエン酸ナトリウムは含まれていないか又は5質量%より低い量でのみ含まれていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の剤形。
【請求項5】
内側コーティングの全質量は、コアの全質量に対して2〜50質量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の剤形。
【請求項6】
外側コーティングの全質量は、コア及び内側コーティングの全質量に対して5〜50質量%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の剤形。
【請求項7】
含有される製剤学的な作用物質は、アミノサリチラート、スルホンアミド又はグルココルチコイドであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の剤形。
【請求項8】
製剤学的な作用物質は5−アミノサリチル酸、オルザラジン、スルファラジン、プレドニゾン又はブデソニドであることを特徴とする、請求項7記載の剤形。
【請求項9】
製剤学的な作用物質は、酵素、ペプチドホルモン、免疫調節タンパク質、抗原又は抗体であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の剤形。
【請求項10】
製剤学的な作用物質は、パンクレアチン、インスリン、ヒト成長ホルモン(hGH)、コルバプラチン、イントロンA、カルシトニン、クロマリン、インターフェロン、カルシトニン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、プロソマトスタチン、ソマトスタチン、デチレリクス、セトロレリクス、バソプレッシン、1−デアミノシステイン−8−D−アルギニン−バソプレッシン、ロイプロリドアセタート又は草又は他の植物、例えばライムギ、コムギ、オオムギ、エンバク、バミューダグラス、スギナ、カエデ、ニレ、オーク、プラタナス、ポプラ、ヒマラヤスギ、スギナ、アザミから得られた抗原であることを特徴とする、請求項5記載の剤形。
【請求項11】
a) 製剤学的な作用物質を有するコアを、中性のコア(ノンパレル)へのスプレー塗布により又は中性のコアなしで回転アグロメレーション、析出、スプレー法又は押出及び球状化により製造し、引き続き、
b) 内側コーティングを、スプレー塗布により塗布して、作用物質含有のコーティングされたペレットを得て、
c) 外側コーティングを、スプレー塗布により塗布して、作用物質含有の二重にコーティングされたペレットを得て、
d) 場合により、放出プロフィールの安定化のための最終的な硬化処理を、例えば40℃で2時間の乾燥貯蔵により行う工程を特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の剤形の製造方法。
【請求項12】
得られたペレットを、製剤学的に通常の助剤を用いて、自体公知のように多粒子の剤形、特にペレット含有のタブレット、ミニタブレット、カプセル、サシェ又はドライシロップに加工し、これらは、含まれるペレットが胃のpH領域で遊離するように調製されていることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
多粒子の剤形の構成成分としての、請求項1から10までのいずれか1項記載の剤形の使用。
【請求項14】
圧縮成形されたタブレット、カプセル、サシェ又は乾燥シロップの構成成分としての、請求項13記載の使用。

【公表番号】特表2008−507482(P2008−507482A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521807(P2007−521807)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005374
【国際公開番号】WO2006/010394
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】