説明

多層化親水性コーティング層を含んで成る複合材料

本発明は、内部を貫通して伸展する複数の細孔を有する支持部材、該支持部材の細孔を持続的にコートする第一のポリマー−なお、該第一のポリマー層は疎水性と親水性の双方を有する−、及び該第一のポリマー層の表面に形成・展着された第二のポリマー層−なお、該第二のポリマーは該第一のポリマー層よりも親水性が高い−とを含んで成る複合材料を提供する。本発明はまた、該複合材料の製造方法及び分離媒体としてのその使用をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多層化親水性コーティング層含んで成る複合材料、その製造方法及び分離媒体としてのその用途に係る。
【背景技術】
【0002】
背景
膜の疎水性を低減することは、その膜の汚染性を低減するため有利であることが知られている。このことは当然、最も安価で且つ最も安定である膜形成性材医療が全く非親水性であるポリマーであるため、一つの問題が提起される。また親水性であり、従って水と容易に湿潤可能である膜を製作するうえで一つの利点が生じる、その理由は、このことによって膜の使用が一層簡単になり、また湿潤溶媒の必要性が回避されるからである。
【0003】
大半のポリマー膜材料に固有の疎水性を減少させるために、支持体の表面及び細孔壁を化学的に修飾するか、又は該支持体の細孔の壁面を本質的に高分子である親水性層でコートすることが知られている。コートされた親水性層は、当該複合材料の水に対し親和性を改善し、かくして湿潤性を増大させ且つ場合によっては、当該膜を水で完全に湿潤可能とするのである。
支持体に親水性層を接着させようとする当該業界における初期の努力としては、支持体内の細孔の壁面を活性化して、かくしてコーティングを化学的に細孔壁に接着させる方法があった「Nystrom M. et al., Journal of Composite Material Sience.60(1991)275−296」」。かかるコーティングはまた、コートするべき支持体膜内部において形性されポリマーが基体の壁面にグラフトされる条件下でモノマー混合物を重合させることによって作製することが可能であった。親水性で且つ荷電したグラフトポリマーの架橋度が零であるか低い場合は、グラフト層は、水和され、厚さが増して、実質的に基体の細孔を充満・充填することもあり得る。かかる複合材料は、極めて親水性が高く、水で容易に湿潤することが判明していた。
【0004】
当該技術分野におけるさらなる進歩が、架橋ポリマーの形成を耐熱性の二分子抵抗型吸着性能、耐強アルカリ液性や抽出可能物質の含有量が低いなどの卓越した物性の組み合わせを有する表面コーティングとして使用することが出来るのである[Charkoudan, J. and Soice N.P., WO02/087734 A1]。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
二つまたはそれ以上の連続した細孔コーティング層を多孔性支持体に適用することによって極めて親水性の高い複合材料が得られることが発見されたのである。本発明の複合材料は、第一の層を支持部材の細孔に適用するが、該第一の層は、当該細孔表面との好ましい相互作用を発揮するために疎水性特性と第二の層との好ましい相互作用を発揮するための親水性特性とを有する高分子材料を含んで成るものである。この第二の層は、第一の層の親水性部分と結合するか又は相互作用することが可能でなくてはならないが、第一の層よりも遙かに親水性が高ければよい。
【0006】
本発明は、一つの局面において下記を含んで成る複合材料を提供する:即ち、
a)内部を貫通する複数の細孔を有する支持部材;
b)持続的に支持部材の細孔をコートし、親水性と疎水性を有する第一のポリマー層;及び
c)持続的に第一のポリマー層の表面をコートする第二のポリマー層−なお、第二のポリマーは、第一のポリマー層よりも親水性が高い;である。
本発明は、別の局面において下記工程を含んで成る複合材料を製造する方法を提供する:即ち、
a)多孔性部材の細孔壁面を疎水性と親水性を有する第一のポリマーでコートして第一のポリマー層を形成する工程;及び
b)前記第一のポリマー層を第一のポリマー層よりも親水性の高い第二のポリマーでコートする工程;である。
【0007】
又更なる局面において、本発明は、好ましくは水溶液である溶液から一種の材料を除去する方法であって、該材料を含有する水溶液を本明細書において記載する複合材料中を貫流させることから成る前記方法を提供する。
なお別の更なる局面において、本発明は、本明細書において記載する複合材料を含んで成る濾過材料を提供する。
【0008】
“細孔をコートする”及び“表面をコートする”なる記載は、支持部材の細孔内における空洞が、ポリマー層によって完全に占められないこと及び該複合材料内を貫流する液体が、該ポリマー層の近傍内に流入するが、必ずしも層を貫流するわけではない−尤も液体の幾分かはポリマー層内を貫流する−ことを意味する。
“永続的にコートする”なる記載は、該ポリマー層が、水または水溶液が該複合材料内を貫流する場合実質的に該支持部材の細孔内に保持されることを意味する。好ましくは、ポリマー層内におけるポリマーの1重量%以下が、複合材料を水に30日間浸漬した場合失われるのである。
【0009】
発明の詳細な説明
一般的な特性
本発明は、多孔性支持部材及び親水性ポリマー層とから成り、その間に親水性ポリマーと支持部材との接着・密着を促進する疎水性と親水性とが均衡した一つのポリマー層(以下本明細書において第一のポリマー層と称する)が存在して成る複合材料に係る。第一のポリマー層の存在によって、支持部材が疎水性でありまた第二のポリマー層が極めて疎水性が高い幾つかの実施態様において密着性が促進される。その理由は、第一のポリマー層を欠落すると、支持部材と第二のポリマー層との間における相互作用または反発性が極めて弱くなるからである。
【0010】
第一のポリマー層の組成
上記したように、第一のポリマー層は、疎水性と親水性とが均衡したポリマーを含んで成る。第一の層は、疎水性の支持部材に対する親和性を発揮するだけの疎水性を有し、同時にその疎水性の本質が疎水性の第二層を接合するのを助けるのである。第一の層が支持部材に対する親和性を有する場合、第一の層と支持部材との間には全く共有結合が存在しないことが好ましい。
【0011】
“疎水性と親水性とが均衡した”なる表現は、当該ポリマーが疎水性基と親水性基とを有することを意味する。該ポリマーの炭化水素骨格は、ポリマーの疎水性に寄与し、また例えばアルコール類、スルホン酸や四級アンモニウム基などの官能基は、ポリマーの親水性に寄与する。ポリマー骨格中に存在するこれらの基の数は、置換度に係るが、該置換度は、官能基の数のポリマー骨格中の置換可能な部位の全数に対する比と定義される。ある一つの実施態様においては、“疎水性と親水性とが均衡した状態”は、置換度がほぼ40%乃至ほぼ90%程度、好ましくはほぼ50%乃至ほぼ80%程度、又は好ましくはほぼ50%乃至70%程度であることによって実現される。いくつかの実施態様においては、疎水性と親水性とが均衡した状態を実現するために必要な置換度の数値は、親水性置換基によって左右されることになろう。その理由は、置換基によっては、更に大きな親水性特性をポリマーに付与するものがあるからである。
【0012】
好ましくは、第一のポリマーは、ゲルポリマーから成る。ゲルは、液体媒体中において膨潤したポリマーネットワークである。かかる膨潤性溶媒は、ポリマーネットワークが崩壊するのを防止し、その代わりにネットワークが液体を保持することになる。ゲルポリマーと看做されるためには、ポリマーは、ある特定の液体に対して、実質的に不溶であるが膨潤可能でなければならない。“実質的に不溶であるが膨潤可能”なる表現は、ゲルポリマーを形成するポリマーが、特定の溶媒に難溶であるが、同時に一方では当該液体と接触した場合は容量が増大するだけの溶解性を保持していることを意味する、本発明においては、第一のポリマー層を含んで成るゲルポリマーは、水または水溶液に難溶性であるが、膨潤可能であるべきである。好ましくは、第一のポリマー溶液を調製するために使用されるモノマー又はポリマー溶液は、成膜性が優れているものであり、その結果ポリマーと層の厚さ分布が均一となる。
【0013】
第一のポリマー層の厚さは、配合混入するポリマーの量と特性を制御することによって調節することが出来る、好ましくは、第一のポリマー層の厚さは、0.001μmから0.1μmまでである。更に好ましくは、その厚さは、0.005μmから0.01μmまでである。また、コーティングは、支持部材の表面全体にわたって均等に分布することが好ましい。
【0014】
第一のポリマー層を形成するゲルポリマーは、分子量が5,000から500,000g/molまで、より好ましくは10,000から100,000g/molまでである。しかしながら、かかるゲルポリマーの分子量範囲は、制限的であるものとは意図されない。その理由は、分子量は、支持部材の性質、ゲルポリマーの性質及び複合材料中を貫流する液体の性質によって規定されるからである。ゲルポリマーが、複合材料中を貫流する溶媒に実質的に不溶であるが膨潤可能である、という要件を満たす限り、かかるゲルポリマーは、本発明の一部であると看做されるべきである。好ましくは、かかるゲルポリマーは、均一であるか又はミクロ不均一である。
【0015】
架橋した第一のポリマーゲル
ある一つの実施態様においては、該ポリマー層は、架橋したゲルポリマーから成る。架橋したゲルは典型的には、形成されるポリマーネットワークには良溶媒であり且つポリマーネットワークを膨潤させる溶媒中において、モノマーまたは多官能性化合物(架橋剤)とを重合させるかまたは架橋可能なポリマーを重合させることによって得られる。かかるネットワーク中におけるポリマー鎖は、ネットワークの全容積を通じて均一に分布されるものと想定され、また鎖間の平均距離は、メッシュサイズとして知られているように架橋密度によって求められる。
【0016】
第一のポリマー層を形成するポリマーの架橋は、熱によって又は照射によって開始することが出来、又は例えば酸触媒を添加することによって化学的手段で行うことも出来る。ゲルを形成するモノマーまたはポリマーの架橋は、第二のポリマー層を形成させる前に実施することが出来るし、又は第一のポリマー層の架橋は、第二のポリマー層を形成するモノマー又はポリマーの架橋と同時に実施することも出来る。
【0017】
架橋した第一のポリマー層を形成するポリマーの例としては、スルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(S−PEEK)及びポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。これらは、熱的に架橋することが出来る。
【0018】
非架橋の第一ポリマー層
別の実施態様において、第一のポリマー層は、非架橋のゲルポリマーから成る。“非架橋のゲルポリマー”なる表現は、異なるポリマーストランドが共有結合によって絡まっていないことを意味する。このような場合、ポリマーストランドの架橋は、ゲルポリマーを使用することによって回避されるが、この場合必要なポリマーとポリマーとの相互作用が、たとえば水素結合などの弱い相互作用によって実現・達成されている。このようなシステムにおいては、ゲルは、液体流に暴露されても安定状態に留まる。
非架橋のゲル層は、例えば蒸発プロセスまたは沈降プロセスによって調製することが出来る。
【0019】
蒸発プロセスにおいては、疎水性と親水性との均衡が必要とされるポリマーを一種の溶媒に溶解し、得られた溶液を支持部材の細孔内に注入し、次いで溶媒を蒸発させると、当該ポリマーのコーティングが形成される。このような蒸発プロセスは、当該ポリマーが成膜性が良好となる溶媒である限り、必要な疎水性と親水性との均衡がとれたポリマーからポリマーコーティングを調製するために利用することが出来る。かかる溶媒は、支持部材または形成するポリマーに悪影響を与えない温度と圧力において当該ポリマーを溶解し得るのであり且つ蒸発され得るのである。
【0020】
沈降プロセスにおいては、疎水性と親水性との均衡が必要とされるポリマーを一種の溶媒に溶解し、得られた溶液を支持部材の細孔内に導入し、次いで水を支持部材の細孔内に導入し、コーティング形状のポリマーを析出させるのである。“ポリマーを析出させる”なる表現は、ポリマー溶液中において分散(非連続的)相を構成するポリマーが、膨潤した高分子ネットワーク又はゲルの連続相に変換するプロセスを言うのである。
【0021】
非架橋ゲルが実質的に不溶であるか又は膨潤可能であるという必要条件は、水不溶性と水膨潤可能性との間が相対的に均衡しているモノマー又はポリマーを選択することによって満たすことが出来る。かかる相対的均衡は、溶媒とポリマー特性との間における関係である、三次元凝集パラメーター、δ、A、によって測定することが出来る(Rabelo,D;Coutinho,F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 479; Rabelo,D;Coutinho,F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 487;Rabelo,D;Coutinho,F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 493)。かかる三次元凝集パラメーターは、下記式に従って分散δ、双極δ及び水素結合δの諸相互作用からの寄与を考慮するものである:
【数1】

【0022】
三次元グラフにおいて、溶媒とポリマーとは、二つの点で表され、溶媒ーポリマーの親和性は、これら二つの点の距離dによって記載され得る(Rabelo,D;Coutinho,F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 479):
【数2】

【0023】
添字1及び2は、溶媒及びポリマーをそれぞれ表す。
多くの凝集パラメーターの多くは、文献において表にまとめられている(Barton,A.F.M.In CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameteres , 2nd ed.: CRC Press:Boca Raton, FL, 1991)。利用出来ないパラメーターは、Hoftyzer−Van Krevelen and Hoy (Grulke,E.A. In Polymer Handbook, 4th ed.;Brandrup, J., Immergut E.H.,Grulke,E.A.Eds.;Wiley−Interscience:New York,1999;Chapter VII,p675.;Van Krevelen.D.W.In Properites of Polymers, 3rd ed.;Elsevier:New York,1990;Chapter 7,p 189)に従った群寄与法を用いて推定することが出来る。多官能性ポリマーの場合、n個の寄与する基の平均凝集パラメーターは、下記式に従って算出することが出来る(Rabelo,D;Coutinho, F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 487):
【数3】

なお、上式において、φは、容積分率を表しまた添字iは、分散相互作用の型式を表す(d,p及びh)。
【0024】
文献(Rabelo,D;Coutinho, F.M.B.,Polym.Bull.(1994), 33, 479)では、良溶媒はd<10.0、中間溶媒は10.0<d<12.7また貧溶媒はd>12.7である旨定義されている。
【0025】
水に不溶であるが水に膨潤可能である非架橋のゲルポリマーについては、かかるゲルポリマーと水との親和性は、上記したように溶媒が水である場合の親和性パラメーターである記号、d(HO)、で表記される。好ましくは、第一の層を形成するかかる非架橋のゲルポリマーは、d(HO)が12から40までであり、またより好ましくは、12から25までである。水不溶性であるが水膨潤可能であるゲルポリマーについては、ゲルポリマーの水不溶性と水膨潤可能性との均衡は、多くのポリマーにおいて適当なモノマー又はコモノマーを選択することによって実現・達成することが出来る。いくつかの場合においては、探索された均衡は、水と弱い相互作用を有するひとつ又はそれ以上のモノマー(コモノマー)、例えば強い双極子モメント又は水素結合を形成する能力を持つ中性のモノマーなどを使用することによって実現・達成される。アミド基を持つ中性モノマーがこの領域に入る。他の場合は、疎水性基を有するコモノマーは、例えば帯電モノマーなど親水性モノマーと組み合わせて、水不溶性と水膨潤可能性との必要な均衡を達成するポリマーを得ることが出来る。
ゲルポリマーの例としては、セルロース誘導体、例えば酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースプロピオネート、2−ヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなど挙げられる。ゲルポリマーの更なる例としては、ポリエステル類、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(DL−ラクチド)やポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)など、ポリアミド類、例えばポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6/6)やポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6/10)など、ポリアクリル酸エステル類、例えばポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)やポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル)など、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)(例えばエチレン含量が約27から約44モル−%までであってもよい)、ポリ(エチレン−コ−アリルアルコール)、ポリヒドロキシスチレン(ポリ(4−ビニルフェノール))及びポリ(ビニルアルコール)40%加水分解物(モビオール(Mowiol)40−88)がある。ゲルポリマーのまた更なる例としては、水不溶性の部分的に帯電したポリマー、例えばスルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(S−PEEK、<86%スルホン化)、スルホン化ポリ(フェニレンオキシド)(S−PPO、<70%スルホン化)(例えば、スルホン化ポリ(2,6−フェニレン−p−オキシド))、スルホン化ポリスルホン(S−PS;<70%スルホン化)、スルホン化ポリ(エーテルスルホン)(SPES;<70%スルホン化)、スルホン化ポリスチレン(SPSt;<70%スルホン化)、アミノ化ポリスルホン(<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(フェニレンオキシド)(Q−PPO;<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(ビニルベンジルクロリド)(APVB;<70%アミノ化)、部分的にプロトン化又はアルキル化したポリ(4−ビニルピリジン)(Q−P4VP;<30%プロトン化又はアルキル化)など、中性モノマーと帯電モノマーのコポリマー、並びに親水性モノマーと疎水性モノマーのランダムコポリマーがある。
【0026】
セルロースアセテートなどのある種のセルロース誘導体の水不溶性/水膨潤可能性の均衡は、ポリマーのアセチル化度によって制御出来る。いくつかの場合においては、アセチル化度が約29から約61wt−%までであることが好ましい。同様に、他のポリマーの水不溶性/水膨潤可能性の均衡は、ポリマー中のスルホン化又はアミノ化の量を調整することによって制御される。ポリマーのアミノ化の量は、ポリマー中の四級化アミン基の数に依存して異なる。
【0027】
親水性モノマーと疎水性モノマーのランダムコポリマーは、例えば一つ又はそれ以上の疎水性モノマーを一つ又はそれ以上の親水性モノマーとラジカル重合することによって製造することが出来る。
【0028】
疎水性モノマーの例としては、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸1−ヘキサデシル、メタクリル酸メチル、スチレン、2、3又は4−メチルスチレン、アクリル酸n−ミリスチル、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、メタクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルイソオクチルエーテル、ステアリン酸ビニル、メタクリル酸tert−アミル、N−ベンジルメタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)イソ、sec−、tert−又はn−ブチル、N−シクロヘキシルアクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)シクロヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)n−又はイソ―デシル、イタコン酸ジ(n−ブチル)、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、N−エチルメタクリルアミド、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソトリデシル及びアクリル酸イソボルニルがある。
【0029】
親水性モノマーの例としては以下が挙げられる:
a)負に帯電したモノマー類、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−プロペン−s−スルホン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸2−スルホンエチル、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピル、ビニル安息香酸、ビニルスルホン酸、及びアクリル酸2−カルボキシエチルなど;
b)正に帯電したモノマー類、例えばメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルコリンメチルスルフェート、アクリル酸2−N−モルホリノエチル、メタクリル酸2−N−モルホリノエチル、1−ビニルイミダゾール、2又は4−ビニルピリジン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−アミノエチルメタクリル酸ハイドロクロリド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドハイドロクロリド、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリル酸2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチルスチレン、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、及びN−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(メタクリルアミド)など;並びに
c)中性の親水性モノマー類、例えばメタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(メタクリル酸)2−ヒドロキシルエチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)ヒドロキシプロピル、アクリルアミド(メタクリルアミド)、N−メタクリロイルモルホリン、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、モノアクリコキシエチルホスフェート、1,1,1−トリメチロールプロパンジアリルエーテル、1,1,1−トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、モノメタクリル酸ポリ(エチレングリコール)、モノメタクリル酸ポリ(プロピレングリコール)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、N−ビニル−N−メタセトアミド、ビニルメチルスルホン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルウレア、アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、モノアクリル酸グリセリン、モノメタクリル酸グリセリン、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びアクリル酸テトラヒドロフルフリルなど。
【0030】
親水性モノマーと疎水性モノマーのランダムコポリマーはまた、任意に一つ又はそれ以上の反応性モノマー、例えば無水メタクリル酸、ビニルアズラクトン、無水アクリル酸、アリルグリシジルエーテル、無水アリルコハク酸、アクリル酸2−シンナモイルオキシエチル、メタクリル酸シンナミル、無水シトラコン酸、及びアクリル酸グリシジルなどを含んでもよい。反応性モノマーの存在によって、化学的に活性な複合材料を得ることが出来る。
【0031】
親水性モノマーと疎水性モノマーのランダムコポリマーの例には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロリド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロリド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−メチルメタクリル酸)ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−コ−メチルメタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロリド−コ−メチルメタクリル酸)、及びポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロリド−コ−メタクリル酸メチル)がある。
【0032】
第二のポリマー層の組成
本発明に従った複合材料を得るために第二のポリマー層が、第一のポリマー層よりも親水性が高くまた第一のポリマー層と相互作用して、永続的にコートされた複合材料を生成する。
第一のポリマー層を形成するポリマーと類似して、第二のポリマー層を構成するポリマーは、好ましくはゲルである。かかる第二層を形成するために、ゲル形成性ポリマーは、支持部材の細孔が永続的にコートされることを保証するために好ましくは架橋されている。いくつかの実施態様においては、第二のポリマー層を架橋するプロセスを行うことによって、第一と第二の層との間において共有結合が形成され、更に複合材料内の層を安定化させることが出来る。
【0033】
架橋して第二のポリマー層を形成するモノマーの例としては例えば、エチレンジアミン、4−スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、アクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドやビニルプロリドン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクロイルトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ドデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸とメタクリル酸2、3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸とメタクリル酸グリシジル、アクリル酸とメタクリル酸n−2−へプチル、アクリル酸とメタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、へプチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリルアミド、無水メタクリル酸、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−メトキシ)エチル、N−プロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N−ビニル-2−ピロリドンが挙げられる。特に好ましいモノマーとしては、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アクリルアミド−2−メチルー1−プロパンスルホン酸(AMPS),(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)、アクリルアミド、メタクリル酸(MMA)、アクリル酸(AA)、4−スチレンスルホン酸とその塩類,アクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、ジアリルアミン、及びジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0034】
架橋して適当な第二ポリマー層が得られるポリマーの例としては、例えば、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(スチレンスルホン酸、ポリ(ビニルアルコール(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(ジアリルメチルアンモニウムクロライド)(PDADMAC)、ポリアクリルアミド(PAcAm)、及びポリビニルピロリドン(PVPR)が挙げられる。
かかるポリマー層における架橋度を高めるために、架橋剤を使用することが出来る。かかる架橋剤の例としては、少なくとも2つのビニル又はアクリル基を含有する化合物、例えばビスアクリルアミド酢酸、2,2−ビス[4−(2−アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、ジアクリル酸及びジメタクリル酸ブタンジオール、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ジアクリル酸及びジメタクリル酸1,4−シクロヘキサンジオール、ジアクリル酸及びジメタクリル酸1,10−ドデカンジオール、1,4−ジアクリロイルピペラジン、フタール酸ジアリル、ジアクリル酸及びジメタクリル酸2,2−ジメチルプロパンジオール、ペンタアクリル酸ジペンタエリスリトール、ジアクリル酸及びジメタクリル酸ジプロピレングリコール、N,N−ドデカメチレンビスアクリルアミド、トリメタクリル酸グリセリン、グリセリントリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N’−オクタメチレンビスアクリルアミド、ジアクリル酸及びジメタクリル酸1,5−ペンタンジオール、ジアクリル酸1,3−フェニレン、ジアクリル酸及びジメタクリル酸ポリ(エチレングリコール)、ジアクリル酸及びジメタクリル酸ポリ(プロピレン)、ジアクリル酸及びジメタクリル酸トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジアクリル酸及びジメタクリル酸トリプロピレングリコールが挙げられる。特に好ましい架橋剤は、N,N’,−メチレンビスアクリルアミド、ジアクリル酸及びジメタクリル酸ジエチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジアクリル酸及びジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸テトラ(エチレングリコール)、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジビニルベンゼン、ジアクリル酸ポリ(エチレングリコール)、トリアクリル酸トリメチロールプロパン(TRIM)並びにグルタールジアルデヒドである。
【0035】
第二ポリマー層を添加することによって、永久電荷を複合材料に導入することが可能である。導入された電荷は、正又は負であってもよく、導入された電荷密度は、制御することが出来る。導入された電荷は典型的には、弱酸又は強酸である官能基の形態をとる。第二ポリマー層を形成するために導入されたポリマーは、それ自体が電荷を有していてもよいが、また更なる電荷をモノマーの形状として添加してもよく、第二ポリマー層を架橋する前に添加される。適当な電荷保有モノマーの例としては、ジアリル時メチルアンモニウムクロライド、[3−(メタアクロイルアミノ)プロピル]―トリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸とナトリウム塩水和物、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ジアリルアミン、ジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。第二ポリマー層の厚さは、混入されるポリマーの量と性質を制御することによって調節することが出来る。
【0036】
第二ポリマー層を形成するゲルポリマーは、分子量が5,000から500,000g/molまで、より好ましくは10,000から100,000g/molまでである。しかしながら、かかるゲルポリマーの分子量範囲は、制限的であるものとは意図されない。その理由は、分子量は、支持部材の性質、ゲルポリマーの性質及び複合材料中を貫流する液体の性質によって規定されるからである。ゲルポリマーが、複合材料中を貫流する溶媒に実質的に不溶であるが膨潤可能である、という用件を満たす限り、かかるゲルポリマーは、本発明の一部であると看做されるべきである。好ましくは、かかるゲルポリマーは、均一であるか又はミクロ不均一である。
好ましくは、第二ポリマー層の厚さは、0.001μmから0.1μmまでである。より好ましくは、この厚さは、0.005μmから0.01μmまでである。
【0037】
更なるポリマー層
本明細書中の記載は全般的に、二つのポリマー層から成る複合材料を記載するものであるが、更なるポリマー層(例えば、1,2、3,4,5,6,7,8,9又は10の追加層)を導入することが出来る。但し、かかる層が、既存のポリマー層と適当な相互作用して、永続的に既存ポリマーをコートすることが条件である。好ましくは、かかる更なるポリマー層のそれぞれは、既存のポリマーコーティングに共有結合で結合されるのである。各追加のポリマー層は、既存ポリマー層よりも親水性が高いこともまた好ましい。
【0038】
多細孔性支持部材
いくつかの実施態様においては、細孔性支持部材は、平均直径が約0.1と約30μmとの間でありまた容積気孔率が約40と約90%との間である細孔を有し得る。また別の実施態様においては、多孔性支持体は、平均直径が約0.5と約20μmとの間でありまた容積気孔率が約70と約90%との間である。支持体の容積気孔率εは、その支持体ポリマーの密度が既知であることを条件として、例えば正方形、矩形、又はディスクなどの幾何学的に規則正しい試料の質量及び容積から算出出来る。用い得る式は、次のとおりである。
【0039】
【数4】

【0040】
上式において、Vは幾何学的に規則正しい支持体試料の容積であり、mは試料の質量であり、またdpolymerは支持体ポリマーの密度である。例えばポリプロピレンに対してはdpolymer=0.91g/cmである。
【0041】
多くの多細孔性材料が、支持部材として使用することが出来るが、かかる支持体は、高分子材料であることが好ましく、より好ましくは支持体は、ポリオレフィンである。ポリオレフィン支持部材の例としては、熱誘起相分離(TIPS)又は非溶媒誘起相分離によって製造されるものが挙げられる。好適なポリオレフィン支持材料の具体的な例としては、Pall Corporationによって製造されるSUPOR(登録商標)ポリエーテルスルホン膜、Cole−Parmer(登録商標)テフロン(登録商標)膜、コールパーマー(登録商標)ナイロン膜、Gelman Sciencesにより製造されるセルロースエステル膜、並びにWhatman(登録商標)フィルタ−及び紙がある。例えばセラミック系支持体などの非高分子支持部材も使用することが出来る。
【0042】
支持部材材料の更なる別のタイプとして、繊維材料が包含されるが、その例としては、例えば不織繊維ポリエステル又は不織繊維ポリプロピレン(例えば、Hollingsworth and Vose CompanyからTR2611Aとして入手可能)などの繊維ポリオレフィン類が挙げられる。その他の種類の繊維材料としては、メルトブローン類(Melt blowns)即ちポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド又はセルロース材料を含んで成っていてもよい織布材料が挙げられる。不織布材料については、孔径の好ましい範囲は、0.5乃至10μmであり、また気孔率の好ましい範囲は、70から85%までである。織布については、孔径の好ましい範囲は、0.1乃至1μmであり、また気孔率の好ましい範囲は、70から85%までである
【0043】
かかる多細孔性支持部材は、例えばフラットシート、らせん状に巻かれたシート、中空繊維、及びチューブ状膜などのさまざまな形状及びサイズを取り得る。一つの実施態様においては、かかる支持部材は、フラットシートの形状であって、その厚さは約10から約1000μmまでであり、別の実施態様においては、約10から約500μmまでであり、さらに別の実施態様おいては約10から約300μmまでである。
【0044】
製造方法
本発明の複合材料は、複数のポリマー層を支持部材に適用することによって製造される。ポリマー層を適用するために使用されるプロセスは、当該ポリマー層を架橋するべきか又は非架橋であるべきかによって、また第一のポリマー又はその後の層のいずれとするかによって決められる。
【0045】
非架橋ポリマーゲルについては、沈降法または蒸発法を使用することが出来る。
【0046】
沈降法は、ポリマーを適当な第一の溶媒に溶解する工程、支持部材の細孔を得られた溶液で充満・充填する工程、及び第二の溶媒を細孔に導入して、ポリマーを細孔内に残留させたままポリマーを第一の溶媒から析出沈降させる工程とから成る。
【0047】
沈降方法を使用して本発明の複合材料を製造する場合、支持部材の細孔をコートするゲルポリマーの特性は、使用するポリマー(使用するポリマーの本質)の選択によって、また第一の溶媒中のポリマーの濃度により及び使用する第一の溶媒の選択によって制御することが出来る。好ましくは、ゲルポリマーの濃度はより低い濃度を用いる(例えば、約20重量%以下、より好ましくは0.5%から5重量%まで)。
この沈降工程は、例えば10秒またはそれ以上の時間で実施することが出来る。ある一つの実施態様においては、かかる沈降工程は、約10分なる時間で実施される。沈降工程の後、形成されたポリマー層は、選択的にポリマーが不溶であるが膨潤可能である溶媒で洗浄して、複合材料から溶出可能物質を全て除去するのである。
【0048】
一般的に、沈降方法は、以下の利点を有する:
a)ゲルの分布と形態を第二の溶媒の浸透を制御することによって制御することが出来る。かくして、非対称的にコートまたは充満・充填された複合材料を製造することが出来る;
b)例えばモノマー、開始剤や架橋剤など低分子量の有機分子の必要性が全くなく、従ってこれらを後刻除去する必要性を回避できる;
c)有機溶媒使用量が、従来法よりも少なくなる;及び
d)このプロセスは、単純で且つ迅速であり、而も容易に連続製造にまで規模を拡大出来る。
【0049】
蒸発法は、ポリマーを適当な溶媒に溶解する工程、支持部材の細孔を得られた溶液で充満・充填する工程、及び溶媒を細孔から蒸発させて、ポリマーを残留させる工程とから成る。析出させたポリマーが支持体に対して良好な成膜性を有することが好ましい。
架橋したポリマー層については、単純な単一工程法を使用することが出来る。これらの方法は、幾つかの実施態様においては、水又は他の良溶媒、例えばメタノールアンドを反応溶媒として使用することが出来る。これらの方法は又、急速プロセスを使用する利便を有しており、これによってより簡単で且つ連続製造の可能性が得られる。
【0050】
架橋ポリマー層は、例えば一種又はそれ以上のモノマー、一種又はそれ以上のポリマー又はこれらの混合物を、選択的には一種又はそれ以上の架橋剤及び一種又はそれ以上の開始剤を一種又はそれ以上の溶媒中で混合することによって製造することが出来る。得られた溶液は好ましくは均質であるが、僅少の均質性の溶液が使用出来る。かかる混合物は次に、適当な多孔性支持部材内に導入し、そこでポリマー形成反応が生起するのである。架橋ポリマー層の形成を促進し且つ拡大させるためには、架橋剤を反応開始に先立って混合物に添加すればよい。これらの架橋剤は、例えばモル濃度として1から50%、より好ましくは5から20%添加すればよい。適当な架橋剤の例は、上記した通りである。
【0051】
モノマー又はポリマーが一つの官能基を有しているいくつかの実施態様においては、かかるモノマー又はポリマーは、架橋に先立って官能基を付与して、不飽和結合を有する他のモノマーとの更なる反応の実施可能性をもたらすことが出来る。このような官能基付与は、例えばモノマー又はポリマーをメタクリル酸グリシジルと反応させることによって実現することが出来る。
かかるゲル形成反応の適当な溶媒としては、例えば水、ジオキサン、ジメチルスルホキサイド(DMSO),ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、エタノール、N−メチルピロリドン(NMP)、テトイラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、キシレン類、ヘキサン、N,N’−ジメチルアセトアミド、プロパノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPM)やメタノールが挙げられる。融点がより高い溶媒は、可燃性を低減し且つ製造を容易にするため、かかる溶媒を使用することが好ましい。毒性の低い溶媒を使用することもまた好ましく、かかる溶媒は使用後容易に処分することが出来る。このような溶媒の一例は、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(DPM)である。
【0052】
いくつかの実施態様においては、二塩基エステル類(二塩基酸類の混合物のエステル類)を使用することが可能である。二塩基エステル類(DBEs)は、特にアクリルアミドモノマーを用いたゲルを調製するのに適している。このような溶媒系は、水に難溶性であるという点で予期しない特徴を有するが、このことが、本質的に完全な水混和性である他の溶媒類を用いた場合とは異なる。水混和性溶媒は、製造後における溶媒除去という点で幾つかの利点を有するが、例えばDBE’sなどの水非混和性溶媒は、場合によっては揮発性で、可燃性が高くまた毒性のあるジオキサンなどの溶媒の良好な代替溶媒となることもある。
【0053】
いくつかの実施態様においては、ゲル形成反応の反応成分は、室温で自然発生的に反応してゲルを形成する。また別の実施態様においては、このようなゲル形成反応を意図して開始しなければならない。かかるゲル形成反応は、いかなる公知の方法、例えば熱的活性化又はUV照射などによって開始させることが出来る。当該反応は好ましくは、光開始剤の存在下UV照射によって開始される。その理由は、この方法が、熱的活性化法よりもゲル形成反応を促進するからである。多くの適当な光開始剤を使用することが出来るが、そのうち2−ヒドロキシー1[4−2(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパン(Irgacure 2959)及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)が好ましい。他の適当な光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイン及び例えばベンゾインエチルエーテルやベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ジアルコキシアセトフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類、及びα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホンエステル類が挙げられる。熱的活性化は、熱開始剤の添加を必要とする。適当な熱開始剤としては、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO(登録商標)catalyst 88)、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムや過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。
【0054】
反応をU.V.照射によって開始する場合は、光開始剤をゲル形成反応の反応物に添加し、モノマー、架橋剤及び光開始剤の混合物を含む支持部材を波長が約250nmから約400nmまででのU.V.照射に数秒乃至数時間供する。いくつかの光開始剤を用いた場合、可視波長を使用して反応を開始してもよい。開始を可能とするためには、支持体材料は、当該使用波長における吸光度が低く、その結果当該UV光線が支持体内を透過することが出来るものでなくてはならない。好ましくは、支持体及びゲル反応剤とは、約350nmにおいて数秒乃至約2時間までの間照射を受ける。
好ましくは、熱開始重合反応は、約60−80℃において数分乃至市約16時間までで実施される。
【0055】
一旦複合材料が調整・製造されると、種々の溶媒で洗浄して、支持体内にアンカー止めされない未反応成分及びポリマー又はオリゴマーをすべて除去する。かかる複合材料を洗浄するために適当な溶媒類としては、水、アセトン、メタノール、エタノールやDMFが挙げられる。
【0056】
帯電複合材料を製造するか又は帯電ポリマー内の電荷を高めるために、電荷保有架橋可能モノマーを架橋に先立って層形成ポリマーに添加することが出来る。ある一つの実施態様においては、かかる電荷保有架橋可能モノマーは、反応混合物に添加する時に帯電されるが、また別の実施態様においては、かかる電荷保有架橋可能モノマーは、ある特異的な環境、例えば特異的なpHに暴露された場合に帯電可能である基を有する。適当な電荷保有架橋可能モノマーの例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、(メタアクロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリルアミド−2−メチルー1−プロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸やナトリウム塩水和塩、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。かかる電荷保有架橋可能モノマーは、例えばモル濃度として約10から約70%、また好ましくは約20から約50%までで添加される。
【0057】
好ましくは、かかる複合材料における第一のポリマー層は、非架橋であり、また第二のポリマー層及び他の追加の層はいかなるものも、好ましくは架橋されている。ある一つの実施態様においては、第一のポリマー層は、非架橋ポリマー層として展着・形成させることが出来るのであって、かかる第一のポリマー層は引き続いて、第二ポリマー層と同時に架橋させるのである。別の実施態様においては、第一のポリマー層は、第二層の展着・形成に先立って架橋されるが、該第二層もまた次に架橋される。いくつかの実施態様においては、第一と第二のポリマー層との間における共有結合が形成される。
【0058】
いったん複合材料が調製・製造されると、その物性はポスト−プロセス手段によって変更することが可能である、例えば、複合材料試料を風乾し、次いで試料を再湿潤化することによって、フラックス値が増大した複合材料が得られる。フラックスの若干上昇は、試料を熱的に処理することによって達成出来る。
【0059】
複合材料の使用
都市下水排水及び産業排水の嫌気的生物学的処理は、従来の好機的処理方法を凌駕する幾つかの潜在的な操作・運転上及び経済性の利点がある。しかしながら、高固形物保持時間が、例えば都市下水排水などの汚濁度の少ない排水の嫌気的処理に要求されるが、かかる保持時間は、例えば嫌気性膜バイオリアクター(AMBR)内の膜による固形物の再循環を必要とする。AMBRsの嫌気性雰囲気は、バイオリアクターを使用する従来の好気性雰囲気よりも膜汚染に関しては大きな問題を含む。膜汚染は、フラックスの減少につながり、その結果運転効率の低下及び更には最終的には膜の洗浄・浄化や取り換えを行う必要性に関わってくるため、大きな問題である。本発明の複合材料は、特にAMBRsでの使用に好適である。
【0060】
帯電表面を有する複合材料はまた、膜バイオリアクター(MBR)内における菌体による膜表面でのコロニー形成が生起し得るため、汚染を低減する上でも重要である。膜表面における負荷電は、膜表面と菌体との間において荷電−荷電反発が生起し、その結果全体として正味の表面荷電が負となることによって膜のバクテリアによるコロニー形成に対する抵抗性を更に高める可能性がある。又はその代りに、強度に正に帯電した表面が持つ抗菌性は、バクテリアに因るコロニー形成を防止し得る旨仮定されてきた。更には、表面荷電は、コロイド状粒子とstruvite−これらは何れもMBRsに使用される排水処理膜の重大な汚染要因であるが−による汚染に影響を及ぼし、左右し得るのである。struvite汚染という意味においては、膜細孔内での酸性雰囲気は、汚染を低減することが既に明らかにされている。
【0061】
本発明の複合材料において複数の層は、支持部材内部の細孔の表面を含み支持部材の表面全体にわたって均等に分布されているため、MBRにおける汚染は低減されることになるが、このことは、汚染が内部細孔のチャンネル(流路)内で生起していることが既に観察されている通りである。
【0062】
疎水性UF膜の有効なコーティング法に対して広範な興味が持たれていることが意味するところは、この技術がMBRsよりも遙かに広い用途を持つということである。
本発明の複合材料は、従来公知の複合材料を凌駕する多くの利点から利益を受けている。広範なポリマーが支持部材の細孔をコートし又は充満・充填するために使用することが出来るので、当該複合材料は、卓越した分離性能を有し、制御された数の帯電基を有し及び/又は良好な耐薬品性を有するように調整することが出来る。
【0063】
本発明の複合材料が有する驚くべき、予期されない特徴の一つは、長期間にわたって及び長期の使用においてきわめて安定である、ということである。水不溶性であるが水に膨潤可能なゲルポリマーから成る複合材料を水ベースの供給液に供した場合、かかる安定性は、接触する溶液が強酸性であるか強アルカリ性である場合でも保持される。
この複合材料はまた、限外濾過複合材料としても機能し得る。限外濾過複合材料においては、沈降したポリマーは帯電しているか又は中性のいずれかであり得る。限外濾過の用途は、バイオ医薬及び食品/飲料産業において特に興味が持たれている。
【0064】
本発明の複合材料は好ましくは、水性媒体中において分離プロセスを実行するために使用されるが、また複合材料が安定状態に留まる非水性流体についても使用することが出来る
【0065】
本発明を下記する非制限的な実施例によって更に説明する。
実験の部
使用資材・材料
使用したモノマーは、メタアクリル酸グリシジル(Polyscienceinc.)、1―ビニルーピロリドン(Alsrich),(3-アクリルアミドプロパン)トリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)(Aldrich)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)(Aldrich)、3(アクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)(Aldrich)、3(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)及びN,N-メチレンビスアクリルアミド(Aldrich)であった。使用したポリマーは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)(MW: 〜25000)、ポリビニルアルコール−コ−エチレン)(EVAL)(エチレン顔料、27,32,38及び44モル%)(Aldrich)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)18重量%水溶液)(Aldrich)、ポリ(アクリル酸)(MW:〜50000)(Polyscience inc.)、ポリビニルアルコール(PVA)(88モル%加水分解、MW:〜78,000)(Polyscience Inc.)及びポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(PEEK)(VICTREX PEEK450PF, VICTREX USA, Inc.)であった。グルタルジアルデヒド(GAL)、50重量%水溶液(Aldrich)を架橋剤として使用した。使用した溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(Fischer Chemical)、N,N−ジメチルホルムアミド(Caledon)、アセトン(Caledon)及び脱イオン水であった。その他の使用化学薬品は、濃硫酸(Aldrich)、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、ナトリウムアジド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)及び4−モルホリンエタンスルホン酸(MES)(Sigma)であった。
【0066】
使用したタンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)及びリゾチーム(Sigma)であった。
使用した多孔性支持体は、3M社製の、平均孔径が0.45μmで気孔率が85容量%であるポリ(プロピレン)の熱時誘発相分離(TIPS)膜PP5であった。
【0067】
材料の調製
ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)のスルホン化
ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(PEEK)の粉末を120℃で2時間乾燥し、次いで使用前に室温にまで冷却した。20gのPEEKを300mlの濃硫酸(95−97%)に激しく攪拌しながら溶解した。この反応を室温で150時間(スルホン化度中程度)及び200時間(スルホン化度高度)継続させた。その後、均質なポリマー溶液を水中で沈降させ、中性になるまで水で洗浄した。かくして得た固形のスルホン化ポリマーを室温で4時間乾燥させ、更にオーブン中で60℃にて8時間乾燥させた。
【0068】
細孔コート処理複合材料の調製
少なくとも一層のコーティングを有する本発明の細孔コート処理複合材料を以下の一般的操作に従って作製することが出来る。
第一のコーティング層
秤量したフラット状の支持部材をポリ(エチレン)(PE)シート上に載置し、ポリマー溶液をこの試料に適用した。この試料をその後別のPEシートで被覆し、ゴムローラーをこのサンドウイッチ構造体上に走らせ、過剰の溶液を除去した。得られた液充満・充填材料を水中に浸漬して溶媒を置換し且つ細孔内部のポリマーを沈降させた。この複合材料を次に水で完全に洗浄し、蒸留水又は塩溶液中に保存した。
幾つかの実施態様においては、得られた液充満・充填材料をフレームに取り付け、乾燥した。
【0069】
第二のコーティング層
この試料を水で洗浄後、表面水をティッシュで除去し、試料は、ポリマー溶液を入れた浴中に10分間入れ、水をポリマー溶液で置換した。その後、試料表面をティッシュで軽く乾燥し、フレームに取り付け60℃のオーブンに20分間入れて架橋プロセスを生起させた。試料を次に水で30分間洗浄し、再度オーブンで乾燥させ、秤量して質量増加を評価し、水フラックス測定のために再湿潤化した。
【0070】
他の実施態様においては、第一の層でコート処理した乾燥飼料を二枚のポリエチレンシートで挟み、次いでモノマー類、架橋剤及び開始剤を含む官能基導入ポリマー溶液を適用した。この試料を二つのゴムローラーの間に通して、液を試料の細孔内に圧入し且つ過剰の液を除去した。この試料を溶媒蒸発を一切させることなくシールし、365nmのUVランプ下で照射した。15分間の照射後(両面に均質に)、この試料を取り出し、脱イオン水中に2時間浸漬して、未反応の化学薬品を複合材料から拡散放出させた。
【0071】
コート処理複合材料の特性化
細孔コート処理した複合材料を、質量増加、イオン交換能(電荷密度)、水フラックス、湿潤可能性及び抽出可能物質によって特性化した。更に、環境走査型電子顕微鏡(ESEM)検討を行った。
環境走査型電子顕微鏡(ESEM)検討
環境走査型電子顕微鏡(ESEM)検討を行うために、複合材料試料をアルミニウム片にのり付けした。アルミニウム片に取り付けた試料を環境走査型電子顕微鏡(ESEM)(ElectroScan model 2020 ESEM,Electro Scan Corp., Wilmington, MA)を使用して観察したが、この際試料チャンバー内に水蒸気を存在させて試料の乾燥を防止した。
【0072】
イオン交換能
イオン交換能(IEC)を下記するイオンクロマトグラフィーによる試験で塩交換によって推定した。
負に帯電した複合材料(−SO基を含む)について:
複合材料試料を1N NaCl中に24時間浸漬し、負に帯電した部位をNa形に転換した。次いで、この試料を水で洗浄して、塩溶液の過剰分を除去した、その後、この試料を細片に切断し、500mlフラスコに入れ、100mlの0.05MCa(Cl)を加えた。この試料を24時間溶液中に放置し、次いで溶液を水で500mlにまで希釈し、イオン交換クロマトグラフを用いてナトリウム含量について少なくとも三回試験した。IECは、下記式に従って推定した:
【数5】

【0073】
上式において、CNaは、ナトリウム含量である(ppm);Vは、全容量である;MNaは、ナトリウムの分子量である;またmdryは、乾燥試料の質量である。
正に帯電した複合材料(四級アンモニウム基を含む)について:
複合材料試料を1N NaCl中に24時間浸漬して、正に帯電した部位をCl形に転換した。次いで、この試料を水で洗浄して、塩溶液の過剰分を除去した、その後、この試料を細片に切断し、500mlフラスコに入れ、100mlの0.05M NaSOを加えた。この試料を24時間溶液中に放置し、次いで溶液を水で500mlにまで希釈し、イオン交換クロマトグラフを用いてクロライド含量について少なくとも三回試験した。IECは、下記式に従って推定した:
【数6】

上式において、CClは、クロライド含量である(ppm);Vは、全容量である;MClは、クロライドの分子量である;またmdryは、乾燥試料の質量である。
【0074】
抽出可能物質の測定
抽出可能物質の試験は、国際特許出願広告番号:WO 03/008011 A1に記載されている、Millipore社のJohn Charkoudianが報告している操作に従って実施した。
25mの各試料片をカットし、それぞれ一つずつ測定量の脱イオン水(DI)が入っている密閉容器内に入れた。次に水試料を試験して、試料中の全有機炭素(TOC)を測定した。TOC分析装置(IO Corporation, Model 1010 Wet Oxidation TOC Analyzer)を使用して実験を行った。水中のTOC含量は、本試験で得た測定値からバックグランドとして差し引かれたものである。
【0075】
水フラックス測定
該複合材料中の水フラックス測定は、試料を水で洗浄し、少なくとも30分間乾燥し次いで再湿潤化させた後実施した。標準操作として、直径7.8cmの円盤形状の試料を3−5mm厚の焼結グリッドに取り付け、次いで制御した圧力の圧縮窒素を供給したセル内に組み入れた。このセルに脱イオン水を満たし、所望の圧力を掛けた。この複合材料中を所定の時間内で貫流した水をあらかじめ秤量した容器内に集め、秤量した。全ての実験は、透過出口において室温にて大気圧で実施した。各測定を三回又はそれ以上繰り返し、再現性として±1.5%を得た。水フラックス、QH2O(kg/mh)、は、下記式から算定した:
【数7】

上式において:mは、水試料を含む容器の質量であり、mは、容器の質量であり、Aは、活性試料表面積(38.5cm)であり、またtは時間である。
【0076】
化学的安定性実験
コートした複合材料を、室温下で、1N HCl、1N NaOH中に7、14、28、及び40日間放置され、225ppm NaOCl中に20時間放置した。その後、試料を水で中性になるまで洗浄し、オーブン内で60℃で30分間乾燥し、重量を測定し、次いで、再湿潤化させ、試料中を貫流した水フラックスを測定した。更に、正に帯電した複合材料を沸騰水で試験した。かくして、試料を沸騰水中に2時間浸漬し、フラックス値を測定し、初期フラックスと比較して、重量の変化を記録した。
【0077】
質量増加
支持部材中に形成されるゲルの量を求めるため、試料を室温下、真空中で質量が変わらなくなるまで乾燥した。ゲル取り込みによる質量増加を、多孔性支持部材の初期質量に対する増加した乾燥ゲル質量の比率として計算した。
【0078】
タンパク質の吸着/脱離実験
タンパク質の吸着試験を静的条件で、BSA及びリゾチームを用いて行った。
【0079】
正に帯電した膜状の複合材料を用いた実験の場合、膜試料を先ず蒸留水で、続いてTRISバッファー溶液(pH=7.8)で洗浄した。吸着工程において、表面積25cmの複合材料試料を1g/L BSAの25mMTRISバッファー溶液の50ml中に24時間放置した。その後、この溶液を280nmにおいてUV分析した。BSA吸着量は、ストック溶液中のBSA量と処理溶液中のBSA含量とを考慮して計算した。吸着工程に続いて、この複合材料を約200mlのTRISバッファー溶液で洗浄し、1M NaClを含むTRISバッファー溶液を用いて脱着を行った。この溶液はをBSA含量測定のため280nmでのUV分析により試験した。
【0080】
負に帯電した複合材料を用いた実験の場合、膜試料を最初蒸留水で、続いて10mM MESバッファー溶液(pH=5.5)で洗浄した。吸着工程において、表面積25cmの複合材料試料を10mM MESバッファー溶液中1g/Lリゾチームの50ml中に24時間放置した。その後、この溶液を280nmにおいてUV分析した。リゾチーム吸着量は、ストック溶液中のリゾチーム量と処理溶液中のBSA含量を考慮して計算した。吸着工程に続いて、この複合材料を約200mlの10mM MESバッファー溶液で洗浄し、1M NaClを含む10mM MESバッファー溶液を用いて脱着を行った。この溶液は、BSA含量測定のために280nmでのUV分析により試験した。
【0081】
比較実験A
この比較実験によって、本発明の複合材料を調製するためのゲルとして使用され得る支持体なしのゲルの形成を説明する。
2.5重量%ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)(27モル%エチレン量)のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液を水に添加した。直ちに、柔らかい白色ゲルが形成した。なお、水はEVALにとって貧溶媒である。形成したゲルは、溶媒を交換するために脱イオン水で完全に洗浄した。
【0082】
形成したゲルは、機械的に極めて弱かった。このゲルの試料は、ゲルの乾燥を防ぐために試料チャンバー内に水蒸気を存在させて、環境制御走査型電子顕微鏡(ESEM)で試験した。顕微鏡写真を図1(a)に示す。析出及び蒸発経路により形成したEVAL−ゲル構造における重要な違いを示すために、EVALの濃いフィルムのESEM像もまた観察した。このため、2.5重量%EVAL(27モル%エチレン含量)のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液をペトリ皿に注ぎ、60℃のオーブン内に24時間放置した(図1(b))。
【0083】
比較実験B
この比較実験によって、単一コーティング層とした中性複合材料の調製を説明する。
【0084】
ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)(27モル%エチレン含量)を70℃でN,N’−ジメチルアセトアミドに溶解させることにより、2.5重量%溶液を調製した。微細孔性のポリ(プロピレン)支持部材をポリエチレンシート上に載置した。その後、EVAL溶液をその表面に均一に塗布した。この基体を続いてもう一枚のポリエチレンシートで被覆し、サンドイッチ構造体は、二つのゴムローラー間を走らせて、細孔内にポリマー溶液を圧入し且つ過剰溶液を除去した。溶液で充満・充填した基体は、ポリマーを析出させるために水浴中に10分間浸漬した。その後、複合材料はフレーム止めし、室温で、続いて50℃のオーブンで30分間乾燥した。
【0085】
このようにして得られた複合材料は、室温では5分以内で湿潤可能であり、15.5±0.1%の質量増加、及び100kPaで16,500±100kg/mhrの水フラックスを示した。複合材料のESEM像を図2(a)に示す。更に、単一コーティングの複合材料を蒸発経路により調製した。このように、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)(27モル%エチレン含量)を70℃で終夜N,N’−ジメチルアセトアミドに溶解させることにより、2.5重量%溶液を調製した。微細孔性のポリ(プロピレン)支持部材をポリエチレンシート上に載置した。その後、EVAL溶液をその表面全面に均一に塗塗した。この基体は、続いてもう一枚のポリエチレンシートで被覆し、得られたサンドイッチ構造体を二つのゴムローラー間に走らせて、細孔内にポリマー溶液を圧入し且つ過剰な溶液を除去した。液体を充満・充填した基体をフレーム止めし、60℃のオーブンで2時間乾燥した。
【0086】
このようにして得られた複合材料は室温下水中で湿潤可能ではなく、アセトンで事前湿潤した後16.5±0.1%の質量増加、及び100kPaにおいて16,700±100kg/mhrの水フラックスを示した。この複合材料のESEM像を図2(b)に示す。
【0087】
比較実験C
上記の全比較実験で用いた未処理の基体について水フラックスが測定した。基体は、アセトンで湿潤させ、水で洗浄し、実験の部において記載した通り水フラックスを試験した。100kPa加圧下で26,000kg/mhrの水フラックスを示した。
分解能におけるある程度の制限のため、析出経路及び蒸発経路により形成した試料像には有意差は示されなかった。
【0088】
比較実験D
この比較実験は、析出経路により形成した複合材料の性能に及ぼすEVALのエチレン含有量の影響を説明する。
複合材料は、比較実験Bにおいて記載した通りに調製した。エチレン含量27モル%、32モル%、38モル%、及び44モル%のEVAL試料を用いた。EVALを70℃で終夜N,N’−ジメチルアセトアミドに溶解させることにより、2.5重量%溶液を調製した。
得られた複合材料は、100kPaにおける湿潤性、質量増加、及び水フラックスを試験した。実験データは、表1に示す。
【0089】
表1 複合材料の性能に及ぼすEVALのエチレン含量の影響
【表1】

【0090】
比較実験E
本実施例は、複合材料の性能に及ぼすEVAL溶液の濃度の影響を記述する。
【0091】
複合材料は、比較実験Bで説明した沈降経路により調製した。エチレン含量27モル%のEVALを使用した。EVALを70℃で終夜N,N’−ジメチルアセトアミドに溶解させることにより、1.5重量%から5.0重量%までの種々の濃度のEVAL溶液を調製した。
得られた複合材料は、100kPaにおける湿潤性、質量増加、及び水フラックスを試験した。比較データを表2に示す。
【0092】
表2 複合材料の性能に及ぼすEVAL溶液の濃度
【表2】

【0093】
比較例F
本実施例は、異なる溶媒を用いて調製したEVAL複合材料の性能を説明する。
【0094】
複合材料は、比較例Bに記載の沈降法で調製した。EVALの2.5%溶液(エチレン含量27モル%)を異なる溶媒を用いて調製した。N,N’ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、エチルアルコール、メチルアルコールを溶媒として単独で又は種々の混合物として用いた。試料は、フラックスと質量増加について実験の部において記載のように試験した。湿潤性もまた水面に浮かべることでチェックした(表3)。
【0095】
表3 EVAL溶液の溶媒が複合材料特性に及ぼす影響
【表3】

【0096】
比較例G
本実施例によって、単一コーティング層の中性複合材料について行った抽出可能物の測定を説明する。
【0097】
複合材料は、比較例Bに記載の通り製造した。N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド−エタノール(70:30v/v)、ジメチルスルホキシド−アセトン(60:40v/v)など多くの異なった溶媒及び混合溶媒をEVAL溶液の調製に用いた。種々の条件が沈降工程で用いられた。浴の水は、頻繁に交換して、過剰な化学物質が試料から充分に浸出するように確保した。試料は次いで、オーブンで75℃で30分間乾燥した。
【0098】
浸出試験は、国際出願番号:WO03/008011 A1記載のミリポア社(Millipore Corporation)のJohn Charkoudianによる方法を用いて行った。
【0099】
次に各試料の25cm片を切り取り、一つずつ一定量の脱イオン水(DI水)の入った密閉容器に16時間入れた。水の試料を試験して、試料中の総有機炭素量(TOC)を測定した。この実験にはTOC分析機を用いた。(DI水は0.67ppmのTOCを含んだ。この値は、試験で得られた計測値からバックグラウンドとして差し引いた。)。
【0100】
表4 異なった条件でのEVALでコートした複合材料の抽出可能物
【表4】

沈降は、温水(60℃)中で行った。他のすべての場合、沈降は冷水中で行った。
【0101】
比較例H
本実施例は、中性の複合材料の化学的安定性を説明する。
【0102】
複合材料は、実施例B記載のように調製した。その後、その水フラックスを試験した。次いで、試料はオーブンで70℃で乾燥し、乾燥重量を記録した。次いで試料は、脱イオン水、1Nの塩酸及び1Nの水酸化ナトリウムに7、14、及び28日間室温で浸漬した。試料は処理液から取り出し、中性になるまで水で洗浄し、実験の部において記載されているように水フラックス及び質量増加とを記録した。
【0103】
表5 化学処理がEVALでコートした複合材料に及ぼす影響
【表5】

上記処理のいずれにおいても試料の質量減少はなかった。全ての試料は、処理後に湿潤可能であった。
【0104】
比較例I
本実施例は、オートクレーブ処理がEVALでコートした複合材料の特性に及ぼす影響を説明する。
【0105】
複合材料は、比較例Bに記載の沈降法で調製した。60:40(v/v)の割合のN,N’−ジメチルアセトアミドとイソプロパノール−水混合物をEVALの溶媒として用いた。
【0106】
湿式オートクレーブ処理として、試料を水で湿潤化し、ビーカー中の一溜りの水に吊るした。ビーカーは、アルミホイルでゆるくキャップした。オートクレーブ処理は、120℃で20分行った。試料を次いでオーブンで65℃で30分乾燥し、その後これらの湿潤性を水面に浮かべることでチェックした。
【0107】
乾式オートクレーブ処理として、オーブンで乾燥した試料をビーカーの中に保持し、ゆるくアルミホイルでキャップした。オートクレーブ処理は、120℃で20分間行った。乾式オートクレーブ処理は湿潤不可能な複合材料を生成した。
【0108】
表6 湿式オートクレーブ処理が複合材料の湿潤可能性に及ぼす影響
【表6】

【0109】
本発明の実施例
【0110】
実施例1
本実施例は、本発明に従った、負に帯電した複合材料の調製について説明する。
【0111】
第一のコーティング層
2.5重量%の溶液をEVAL(エチレン含量32モル%)をN,N−ジメチルアセトアミドに70℃で一晩溶解することによって調製した。微細孔性ポリ(プロピレン)支持膜をポリエチレンシート上に載置した。次にEVAL溶液をその表面に均等に塗布した。基材は次いで、もう一枚のポリエチレンシートで被覆し、得られたサンドウイッチ構造体を二つのゴムローラーの間に走らせ、ポリマー溶液を細孔に圧入し且つ余分な溶液を除去した。充満・充填処理した基材を水槽に10分間浸漬してポリマーを沈降させた。
【0112】
第二のコーティング層
水で洗浄した後、表面の水をティッシュで除去し、試料を2.2重量%ポリ(4−スチレンスルホン酸)の入った槽に10分間入れ、水をポリマー溶液で置き換えた。その後、試料の表面をティッシュで軽く乾燥し、枠止めして、60℃のオーブンに20分間入れ、架橋反応を生起させた。次に試料は水で30分間洗浄し、オーブンで再度乾燥され、質量増加を評価するため計量し、水フラックス測定のために再度湿潤化した。
【0113】
支持膜は、この処理で元の重量の19.5±0.2%増加した。複合材料は直ちに湿潤化し(30秒未満)、100kPaで12,500±100kg/m hrの水フラックスを示した。
【0114】
SOHコーティングを定量的に評価するため、上記の試料のイオン交換容量を測定する操作を用いた。イオンクロマトグラフィーを分析方法として用いた。実験結果から、0.イオン交換容量は13mmol/gdry sampleであった。
【0115】
実施例2
本実施例は、本発明に従った負に帯電した複合材料の調製について説明する。
【0116】
第一のコーティング層
第一のコーティング層を、実施例1に記載の支持部材に導入した。
【0117】
第二のコーティング層
試料を水で洗浄後、ティッシュで表面の水を除去し、水をポリマー溶液で置換するために試料を1.5重量%ポリ(アクリル酸)を入れた浴に10分間入れた。その後、試料表面をティッシュで軽く乾かし、枠止めし、そして架橋工程を行うために60℃のオーブンに20分間入れた。次いで、試料を30分間水で洗浄し、再度オーブン中で乾燥させ、質量増加を調べるために計量し、水フラックス測定のために再度湿潤化させた。
【0118】
支持部材は、この処理における元の重量の19.3±0.1%増加していた。複合材料を直ちに湿潤化し(30秒未満)、100kPaで11,500±100kg/mhrの水フラックスを示した。
【0119】
−COOHコーティングを定量的に評価するために、上記の試料のイオン交換容量を測定するための操作手順を用いた。分析手法としてイオンクロマトグラフィーを用いた。実験結果から、イオン交換容量は、0.14mmol/gdry sampleであった。
【0120】
実施例3
この実施例は、本発明に従った中性複合材料の調製について説明する。
【0121】
第一のコーティング層
第一のコーティング層を、実施例1に記載の支持部材に導入した。
【0122】
第二のコーティング層
試料を水で洗浄後、ティッシュで表面の水を除去し、水をポリマー溶液で置換するために試料を2.5重量%ポリ(ビニルアルコール)を入れた浴に10分間入れた。その後、試料表面をティッシュで軽く乾かし、枠止めし、60℃のオーブンに20分間入れた。次いで、試料を20分間水で洗浄し、ティッシュで軽く乾燥し、次いで60℃のオーブンに入れた。その後、質量増加を調べるために試料の重量を測定し、水フラックス測定のために再度湿潤化させた。
【0123】
支持部材は、この処理における元の重量の20.1±0.2%増加していた。複合材料は直ちに湿潤化し(30秒未満)、水フラックスは、100kPaで12,100±100kg/mhrであった。
【0124】
実施例4
この実施例は、本発明に従った中性複合材料の調製について説明する。
【0125】
第一のコーティング層
第一のコーティング層を、実施例1に記載の支持部材に導入した。
【0126】
第二のコーティング層
試料を水で洗浄後、ティッシュで表面の水を除去し、水をポリマー溶液で置換するために試料を2.5wt%ポリビニルアルコールを入れた浴に10分間入れた。その後、試料表面をティッシュで軽く乾かし、枠止めし、60℃のオーブンに10分間入れ、次いで0.1Mグルタルアルデヒド水溶液に20分間漬けた。次いで、試料を20分間水で洗浄し、ティッシュで軽く乾かし、そして60℃のオーブンに20分間入れた。その後質量増加を評価するために試料の重量を測定し、水フラックス測定のために再度湿潤化させた。
【0127】
支持部材は、この処理における元の重量の20.5±0.2%増加していた。複合材料は直ちに湿潤化した(30秒未満)ところ、水フラックスは、100kPaで10,700±150kg/mhrであった。
【0128】
実施例5
この実施例は、本発明に従った中性複合材料の化学的安定性について説明する。
複合材料を、実施例3に記載の通りに調製した。その後、この複合材料の水フラックスを試験し、オーブンで60℃で乾燥させ、乾燥重量を記録した。次いで、試料を脱イオン水、1N HCl及び1N NaOHに室温で7、14及び28日間浸漬した。試料を処理液から取り出し、中性になるまで水で洗い、実験の部において記載されているように水フラックスと質量増加とを記録した。
【0129】
表7 EVAL−PVAでコートした複合材料の安定性に及ぼす化学処理の影響
【表7】

上記処理のいずれにおいても、試料質量の減少はなかった。全ての膜は、処理後直ちに湿潤可能であった。
【0130】
実施例6
この実施例は、第一のコートとしてS−PEEKを用いた二層コート処理した複合材料について説明する。
【0131】
第一のコーティング層
上記のように調製され、スルホン化度が中程度のスルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(SPEEK)を、含水量及びイオン交換容量について特性化したが(実験の部)、後者の値は、ポリマーゲルのスルホン化度に関連付けられる。2gのSPEEKを8gのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解した。溶液を0.47mmナイフを用いてガラスプレート上にキャスト(注型)した。ポリマーフィルムをオーブン中で60℃にて4時間乾燥した。かくして得られた密な複合材料の含水量は25±0.2%であり、イオン交換容量は1.5±0.05mmol/gdryであったが、これはスルホン化度0.8に相当する。その後、SPEEKを用いて細孔コート処理複合材料を製造した。SPEEKをN,N’−ジメチルアセトアミドに溶解して5%(wt%)溶液を得た。細孔性基材をポリエチレンシート上に載置した。SPEEK溶液をその表面上に均等に塗布した。次いで、この基材を別のポリエチレンシートで被覆し、得られたサンドウイッチ構造体を二つのゴムローラーの間に走らせて、ポリマー溶液を細孔内に圧入し且つ余分の溶液を除去した。溶液を充満・充填した基材を風乾し、試料が乾燥によって収縮しないように枠に固定したままとして、第一コーティングを形成させた。
【0132】
第二のコーティング層
溶媒としてメタノール−水(70:30 vol/vol)を用いてポリエチレンイミン(PEI)の10重量%溶液を調製した。グリシジルメタクリレート(GMA)の10%(mol/mol)溶液を添加し、室温で1時間反応させた。官能基導入したポリエチレンイミン溶液14gに、ビニル基を有するモノマーを添加した。実施例1Aにおいて、4gの1−ビニル−2−ピロリジノン(VP)を0.4gのN,N’−メチレンビスアクリルアミドとともに加え、実施例1Bにおいて1.8gのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを加え、実施例1Cにおいて0.5gの3(メタクリロイルアミノ)プロピル−トリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)と0.8gのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)の両方を加えた。第一の層(SPEEK)でコート処理した乾燥試料を2枚のポリエチレンシートの間に挟み、上述したポリエチレンイミン溶液を塗布適用した。次いで、この試料を二つのゴム製ローラーの間に走らせて、溶液を細孔内に圧入し且つ余分の溶液を除去した。試料を溶媒が蒸発しないように適切にシールし、365nmでUVランプ下で照射処理した。15分間照射した後(各面とも均一に)、試料を取り出し、2時間脱イオン水に浸漬して未反応の化合物を複合材料から拡散させた。照射後、複合材料は黄色になった。形成した複合材料の水フラックスを100kPaで測定した。その後試料を乾燥させ、重量を記録した。乾燥試料を水中で再湿潤化し、実験の部において記載されているように100kPa加圧下でフラックスを再度測定した。
【0133】
実施例1A、1B及び1Cのそれぞれについて調製した、正の電荷を有する複合材料の質量増加及びフラックスを表8に示す。複合材料のフラックスは、空気乾燥で有意に増加した。
【0134】
表8 正に帯電したコート処理複合材料の性能
【表8】

【0135】
表中の第二層における重量増加は、第一層までの全重量に関する関数としての第二層における増加%である。
【0136】
全ての複合材料のフラックスは、二重にコートした最終的な複合材料を空気乾燥させると、有意に増加した。この第二の空気乾燥工程は、何れのタイプの複合材料についても枠を使わずに行われた。二重にコートした複合材料の空気乾燥後のフラックスの増加は、UV重合の過程で形成したゼラチン状のコーティングが崩壊して複合材料の細孔及び表面壁となったことによる可能性がある。
【0137】
実施例7
本実施例は、複合材料に及ぼす熱水処理の影響を説明する。
細孔をコート処理した複合材料を、実施例6に記載されている操作手順に従って調製した。複合材料を70℃の水で24時間処理した。この複合材料を試験してフラックス及び乾燥後の重量変化を調べた。
【0138】
表9 熱水中における複合材料の処理の影響
【表9】

注記:*、 これらの値は、元の試料を乾燥しまた再湿潤化した後に測定したフラックスである。
【0139】
熱水処理の完了後直ちに測定した場合、試料の水フラックスは若干の増加があった。複合材料の質量変化は、実験誤差内であった。処理後の湿潤試料の寸法には観察可能な変化はなかった。
【0140】
実施例8
この実施例は、水性の酸およびアルカリにおける複合材料の安定性を説明する。
実施例6に記載した操作手順に従って、細孔コート処理した複合材料を調製した。kpれらの試料を乾燥し、重量を記録し、次いで水、1N HClおよび1N NaOH中に、室温で40日間浸漬したままにした。処理後、試料は脱イオン水で洗浄し、これらのフラックスを測定した。測定の再現性は、±1.5%であった。その後、乾燥して重量を測定した。
【0141】
表10 水性の酸およびアルカリでの処理による複合材料の安定性
【表10】

注記:*、 これらの値は、元の複合材料を乾燥および再湿潤した後に測定したフラックスである。
【0142】
水中に40日間浸した場合、試料の水のフラックスは、その元の値からわずかに減少することがわかった。試料の重量変化は実験誤差内であり、水中貯蔵した場合コート処理材料の減少は全くないことが判った。酸またはアルカリ溶液での処理の場合においてもフラックス減少の類似傾向が認められる。1N HClの場合の質量変化は、場合によっては2.3%にまで達するが、このことは、実験誤差を超えるものであり、従って現実のように思われる。アルカリ溶液中での複合材料の処理の場合、より大きな質量減少が生起し、長時間の強アルカリ環境においてはコート処理した材料の有意な損傷が生起することが判る。
【0143】
二つの相反する効果がこれらのデータにおいて観察可能である。水中での処理以外、殆どにおいておいて現実の重量損失があるように思われる場合は、全ての場合において処理と同時に水フラックスが減少する。このような傾向が認められる結果、コート処理した材料ゲルは場合によっては処理によって損傷することもあり、その結果質量損失が生じることが判る。同時に、コート処理した材料は、処理中において膨潤し、その結果複合材料のフラックスの減失に到るのである。これらの二つの相反する要因のために、フラックス減少の傾向における規則性は、幾つかの場合において観察されなかった。水およびHCl中での処理において複合材料は、それらが有する即時の湿潤性を維持しているが、1N NaOHでの処理の場合は、かかる湿潤性は元の複合材料よりも劣るものになる。HCl処理の間の重量減少は、複合材料の湿潤性に顕著には影響しない。
【0144】
実施例9
この実施例は、遊離塩素がコート処理した複合材料に及ぼす影響を説明する。
実施例6に記載した操作手順に従って、細孔コート処理した複合材料を調製した。該試料を225ppmのNaOCl溶液中に室温で20時間浸漬しておいた。該複合材料の特性における変化は、実験の部において記載した通りに測定した。試料の一定量の脱色が処理後に観察された。しかしながら、浮遊物は処理浴中には見つからなかった。
【0145】
該複合材料は、処理前には即時湿潤可能であったが、処理後には完全に湿潤するのに15−30秒を要した。
225ppmの水性NaOClで室温にて20時間コート処理した複合材料のデータは、表11に示す。
【0146】
表11 複合材料の特性に対する遊離塩素の影響
【表11】

注記:*、 これらの値は、元の試料を乾燥および再湿潤化した後に測定したフラックスである。
【0147】
該処理後において全ての複合材料に測定可能な質量減少があった。その質量減少はまた、対応する該複合材料のフラックスの増加を伴った。このことは、該複合材料がその環境中における遊離塩素の存在の影響を受けやすいことを示す。いくつかの試料の一定量の脱色がまた、該処理終了時点で観察された。しかしながら、浮遊物は、処理浴中においては見つからなかった。該複合材料は、処理前には水中で即時に湿潤可能であったが、塩素処理後では完全に湿潤するのに15−30秒を要した。
【0148】
実施例10
この実施例は、本発明に従った正に帯電した四級アンモニウム基を含む、コート処理複合材料を説明する。
第一コーティング層は、実施例6で記載した通りの方法で得た。
【0149】
第二コーティング層
10wt−%のポリ(エチレンイミン)(PEI)溶液をメタノール−水(70:30 vol/vol)を溶媒として用いて調製した。10%(mol/mol)グリシジルメタクリレート(GMA)を添加し、反応を室温で1時間生起させた。この官能基導入したポリ(エチレンイミン)溶液に、ビニル基を含むモノマーを添加した。ジアリルメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、(3−アクリルアミドプロパン)トリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)または3(メタクリロイルアミノ)プロピル−トリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)を、それぞれ一つのモノマーとして、別々の組成物に添加した。追加の架橋剤は一切添加しなかった。光開始剤として1重量% IRGACURE溶液に導入した。第一層(SPEEK)でコート処理した乾燥試料を二枚のポリエチレンシート間に挟み、上述したポリ(エチレンイミン)溶液を適用した。試料を次いで二つのゴムローラーの間に走らせて、溶液を試料の細孔内に圧入し且つ余剰の溶液を除去した。この試料を一切溶媒を蒸発させることなく適切にシールし、次いでUVランプ下365nmにおいて照射した。15分間の照射(いずれの側面も均一に)の後、試料を取り出して、未反応の薬品を複合材料から拡散させるために脱イオン水中に2時間浸漬した。照射後、複合材料は色が黄色くなった。形成した複合材の水のフラックスを100kPaにて測定した。その後試料を乾燥し、それらの重量を記録して、該複合材のイオン交換容量を実験の部で記述した通りに測定した。イオン交換容量測定の再現性は±3%であった。
【0150】
得られた結果は表12にまとめて示す。
【0151】
表12 複合材料の特性に対するポリマー/モノマー構成の影響
【表12】

これらの複合材は、即座に湿潤可能であった。
【0152】
実施例11
この実施例は、複合材の静的なタンパク質吸着を示す。
【0153】
細孔コート処理した複合材料を、比較例2並びに発明実施例1、2、3、6及び10に記載した操作手順に従って調製した。各種類の複合材料から一つの試料をBSA(1g/L)及びリゾチーム(1g/L)中に室温で24時間浸漬しておいた。タンパク質の吸着は、処理の前後でUV分光光度計(スペクトロフォトメータ)を用いて溶液中のタンパク質濃度を測定することにより算出した。
【0154】
表13 複合材料による静的タンパク質吸着
【表13】

【0155】
実施例12
この実施例は、実施例6の複合材料に類似した正に帯電した複合材料の製造を記載する。但し、第一の層をポリマーの沈降によって形成することは除く。
【0156】
第一のコーティング層
20wt%スルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(SPEEK)(イオン交換容量=1.5mmol/gdry)のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液1g及び2.5%EVAL(27モル%エチレン含有)のDMAc溶液5gを混合することにより、溶液を調製した。微細孔性基体をポリエチレンシート上に載置した。その後調製した溶液をその基体表面に均一に塗布した。続いて基体を別のポリエチレンシートで被覆し、このサンドイッチ構造体を二つのゴムローラーの間に走らせてポリマー溶液を細孔に圧入し且つ余分な溶液を除去した。液体を充満・充填させた基体を水浴中に置き、60℃にて20分間維持し、試料中のポリマーを沈降させた。その後、試料をガラスプレートに固定し、75℃で30分間乾燥した。
【0157】
第二のコーティング層
メタノール−水(70:30(体積/体積))を溶媒として用いて、ポリ(エチレンイミン)(PEI)の10重量%溶液を調製した。10%(モル/モル)グリシジルメタクリレートをこれに添加し、室温で1時間反応させた。実施例2Aにおける官能基導入ポリ(エチレンイミン)溶液14gに1−ビニル−2−ピロリジノン(VP)4gを添加し、実施例2BにおいてN,N’−メチレンビスアクリルアミド1.8gを添加し、また実施例2Cにおいて、3(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)5gとN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.8gの双方を添加した。光反応開始剤IRGACURE(全モノマーの1重量%)を各組成物に加えた。第一の層(EVAL−SPEEK)でコート処理した乾燥試料を、二つのポリエチレンシートに間に挟み、上記したPEI溶液をそれに適用した。その試料を二つのゴムローラーの間に走らせ、溶液を支持部材の細孔に圧入し且つ余分な溶液を除去した。溶媒を全く蒸発させることなく試料を密封してから、UVランプの下で365nmにて照射した。3〜15分間照射した(両面ともに均一に)後、試料を取り出して、脱イオン水に2時間浸漬することによってすべての未反応の化学物質を複合材料外に拡散させた。照射後、複合材料のいくつかは淡黄色になった。試料の水フラックスを測定し、乾燥してから、その重量を記録した。
【0158】
その後、形成した複合材料の水フラックスを測定し、試料を乾燥し、質量増加を記録した。次いで乾燥試料を水の表面に水平に置くことにより、試料の湿潤時間を記録した。
【0159】
表14 正に帯電したコート処理複合材料の性質
【表14】

【0160】
実施例13
この実施例は、実施例12の複合材料に類似した正に帯電した複合材料の製造を記載する。但し、第一の層が、EVALとスルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(SPEEK)の混合物の代わりにポリ(ビニルアルコール−コ−エチレン)(EVAL)を含むことを除く。
【0161】
第一のコーティング層
ポリ(ビニルアルコール−コ−エチレン)(EVAL)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を終夜70℃で溶解させることによって、2.5重量%溶液を調製した。微細孔性ポリ(プロピレン)の支持部材をポリエチレンシートの上に載置し、EVAL溶液をその表面に均等に塗布した。続いて、その基体を別のポリエチレンシートで被覆し、得られたサンドイッチ構造体を二つのゴムローラーの間に走らせて、ポリマー溶液を細孔に圧入し且つ余分な溶液を除去した。充填した基体を水浴中に浸漬し、ポリマーを沈降させた。次いで、その試料をフレーム止めして、75℃で30分間、オーブンで乾燥した。
【0162】
第二のコーティング層
第二のコーティング層のための溶液を、実施例12に記載した方法に従って調製した。コート処理した複合材料もまた、実施例12に記載した方法に従って製造した。
【0163】
試料の水フラックスを、100kPaの加圧下に測定し、次いで試料を乾燥し、実験の部に記載したようにその試料の重量を記録した。
【0164】
表15 正に帯電したコート複合材料の性質
【表15】

すべての試料は、即座に湿潤可能であった。
【0165】
この明細書において引用したすべての出版物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の出版物、特許又は特許出願が引用により一体化・合体されることを具体的かつ個別に示すものとしてここに引用により一体化・合体される。あらゆる出版物の引用は、本出願日前のその開示に対するものであって、本発明が、先行発明としてのかかる出版物に先立つ権利を付与されないことの容認であると解釈されるべきではない。
【0166】
理解を明瞭にする目的のために上述の発明を例示及び実施例によっていくらか詳細に説明したが、本発明の教示に照らして添付の請求項の趣旨又は範囲から逸脱することなく特定の変更及び修正が加えられてもよいことは、通常の当業者に容易に判かることである。
【0167】
なお、この明細書及び添付の請求項において用いられる単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈によってそうでないことが明瞭に規定されない限り、複数形の言及を含む。そうでない旨が定義されない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0168】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2004年9月30日出願のアメリカ合衆国予備出願第60/614,054―本出願を参照文献として本明細書に一体・合体するーの恩典を請求するものである。
【図面の簡単な説明】
【0169】
本発明の幾つかの実施態様を下記する図面に言及して説明する。
【図1】沈降(図1a)及び蒸発(図1b)によって形成したポリ(エチレン−コービニルアルコール)(EVAL)ゲルの環境走査型電子顕微鏡(ESEM)図である。
【図2】沈降(図2a)及び蒸発(図2b)によって形成したEVALゲルのESEM図である。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含んで成る複合材料:即ち、
a)内部を貫通する複数の細孔を有する支持部材;
b)持続的に支持部材の細孔をコートする第一のポリマー層−なお、第一ポリマー層は、親水性及び疎水性の双方を有する−;及び
c)持続的に第一のポリマー層の表面をコートする第二のポリマー層−なお、第二のポリマーは、第一のポリマー層よりも親水性が高い−。
【請求項2】
第一のポリマー層がゲルポリマーである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
ゲルポリマーが、実質的に水不溶性であるが水膨潤可能である、請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
ゲルポリマーが、約12から約40までの親和性パラメーターd(HO)を有する、請求項2に記載の複合材料。
【請求項5】
ゲルポリマーが、約12から約25までの親和性パラメーターd(HO)を有する、請求項2に記載の複合材料。
【請求項6】
第一のポリマー層が、非架橋ポリマーを含んで成る、請求項1乃至5の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
第一のポリマー層が、架橋ポリマーを含んで成る、請求項1乃至5の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
ポリマーゲルが、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリ酸エステル、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)、ポリ(エチレン−コ−アリルアルコール)、ポリヒドロキシスチレン(ポリ(4−ビニルフェノール))、ポリ(ビニルアルコール)40%加水分解物(Mowiol40−88)、部分的帯電ポリマー、中性モノマーと帯電モノマーとのコポリマー又は親水性モノマーと疎水性モノマーとのランダムコポリマーである、請求項2に記載の複合材料。
【請求項9】
ゲルポリマーが、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースプロピオネート、2−ヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースから成る群から選択されるセルロース誘導体である、請求項8に記載の複合材料。
【請求項10】
ゲルポリマーが、アセチル化度が約29から約61%までである酢酸セルロースである、請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
ゲルポリマーが、ポリ(エチレンアジペート)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(DL−ラクチド)及びポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)から成る群から選択されるポリエステルである、請求項8に記載の複合材料。
【請求項12】
ゲルポリマーが、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6/6)及びポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6/10)から成る群から選択されるポリアミドである、請求項8に記載の複合材料。
【請求項13】
ゲルポリマーが、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)及びポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル)から成る群から選択されるポリアクリル酸エステルである、請求項8に記載の複合材料。
【請求項14】
ゲルポリマーが、エチレン含量が約27から約44モル%までであるポリ(エチレンーコービニルアルコール)である、請求項8に記載の複合材料。
【請求項15】
ゲルポリマーが、スルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(S−PEEK、<86%スルホン化)、スルホン化ポリ(フェニレンオキシド)(S−PPO、<70%スルホン化)、スルホン化ポリスルホン(S−PS;<70%スルホン化)、スルホン化ポリ(エーテルスルホン)(SPES;<70%スルホン化)、スルホン化ポリスチレン(SPSt;<70%スルホン化)、アミノ化ポリスルホン(<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(フェニレンオキシド)(Q−PPO;<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(ビニルベンジルクロライド)(APVB;<70%アミノ化)、部分的にプロトン化又はアルキル化したポリ(4−ビニルピリジン)(Q−P4VP;<30%プロトン化又はアルキル化)から成る群から選択される部分帯電ポリマーである、請求項8に記載の複合材料。
【請求項16】
ゲルポリマーが、スルホン化ポリ(フェニレンオキサイド)である、請求項15に記載の複合材料。
【請求項17】
ゲルポリマーが、中性モノマーと帯電モノマーとのコポリマーであるポリ(エチレンーコーアクリル酸)である、請求項8に記載の複合材料。
【請求項18】
ゲルポリマーが、一種又はそれ以上の親水性モノマーと一種又はそれ以上の疎水性モノマーとのランダムコポリマーである、請求項8に記載の複合材料。
【請求項19】
一種又はそれ以上の疎水性モノマーが、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸1−ヘキサデシル、メタクリル酸メチル、スチレン、2、3又は4−メチルスチレン、アクリル酸n−ミリスチル、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、メタクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルイソオクチルエーテル、ステアリン酸ビニル、メタクリル酸tert−アミル、N−ベンジルメタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)イソ、sec−、tert−又はn−ブチル、N−シクロヘキシルアクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)シクロヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)n−又はイソ―デシル、イタコン酸ジ(n−ブチル)、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、N−エチルメタクリルアミド、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソトリデシル及びアクリル酸イソボルニルから成る群から選択される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項20】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、負に帯電したモノマー群を含んで成る、請求項18に記載の複合材料。
【請求項21】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−プロペン−s−スルホン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸2−スルホンエチル、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピル、ビニル安息香酸、ビニルスルホン酸、及びアクリル酸2−カルボキシエチルから成る群から選択される負に帯電したモノマー類を含んで成る、請求項20に記載の複合材料。
【請求項22】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、正に帯電したモノマー群を含んで成る、請求項18に記載の複合材料。
【請求項23】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルコリンメチルスルフェート、アクリル酸2−N−モルホリノエチル、メタクリル酸2−N−モルホリノエチル、1−ビニルイミダゾール、2又は4−ビニルピリジン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アミノエチルメタクリル酸ハイドロクロライド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドハイドロクロライド、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチルスチレン、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、及びN−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(メタクリルアミド)から成る群から選択される正に帯電したモノマー類である、請求項22に記載の複合材料。
【請求項24】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、中性のモノマー群を含んで成る、請求項18に記載の複合材料。
【請求項25】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(メタクリル酸)2−ヒドロキシルエチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)ヒドロキシプロピル、アクリルアミド(メタクリルアミド)、N−メタクリロイルモルホリン、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、モノアクリコキシエチルホスフェート、1,1,1−トリメチロールプロパンジアリルエーテル、1,1,1−トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、モノメタクリル酸ポリ(エチレングリコール)、モノメタクリル酸ポリ(プロピレングリコール)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、N−ビニル−N−メタセトアミド、ビニルメチルスルホン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルウレア、アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、モノアクリル酸グリセリン、モノメタクリル酸グリセリン、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びアクリル酸テトラヒドロフルフリルから成る群から選択される中性のモノマー群を含んで成る、請求項24に記載の複合材料。
【請求項26】
ランダムコポリマーが、更に一種又はそれ以上の反応性モノマーを含んで成る、請求項18に記載の複合材料。
【請求項27】
一種又はそれ以上の反応性モノマーが、無水メタクリル酸、ビニルアズラクトン、無水アクリル酸、アリルグリシジルエーテル、無水アリルコハク酸、アクリル酸2−シンナモイルオキシエチル、メタクリル酸シンナミル、無水シトラコン酸及びアクリル酸グリシジルから成る群から選択される、請求項26に記載の複合材料。
【請求項28】
親水性モノマーと疎水性モノマーとのランダムコポリマーが、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−メチルメタクリル酸)ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−コ−メチルメタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−メチルメタクリル酸)及びポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−メタクリル酸メチル)から成る群から選択される、請求項18に記載の複合材料。
【請求項29】
第二のポリマー層が、架橋ゲルポリマーを含んで成る、請求項1乃至28の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項30】
第二のポリマー層が、エチレンジアミン、4−スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、アクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドやビニルプロリドン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクロイルトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ドデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸とメタクリル酸2、3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸とメタクリル酸グリシジル、アクリル酸とメタクリル酸n−へプチル、アクリル酸とメタクリル酸1−ヘキサデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリルアミド、無水メタクリル酸、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−メトキシ)エチル、N−イソープロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N−ビニル-2−ピロリドン、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルアルコール(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(ジアリルメチルアンモニウムクロライド)(PDADMAC)、ポリアクリルアミド(PAcAm)及びポリビニルピロリドン(PVPR)から成る群から選択される一種のモノマー又はポリマーを含んで成る、請求項1乃至28の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項31】
第二のポリマー層が、第一のポリマー層に共有結合している、請求項1乃至30の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項32】
第一のポリマー層を形成するポリマーは、分子量が約5,000から約500,000g/molまでである、請求項1乃至31の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項33】
第二のポリマー層を形成するポリマーは、分子量が約5,000から約500,000g/molまでである、請求項1乃至31の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項34】
支持部材の平均孔径が0.1から30μmまでであり、また気孔率が60から90%までである、請求項1乃至33の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項35】
支持部材が、フラットシート、中空チューブファイバー又はチューブ状膜の形状である、請求項1乃至34の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項36】
支持部材が、厚さが10から1000μmまでのフラットシート形状である、、請求項1乃至34の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項37】
少なくとも一つの追加のポリマー層を含んで成り、追加の各層が既存に展着・形成されたポリマー層を持続的にコートする、請求項1乃至36の内のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項38】
下記工程を含んで成る複合材料の製造方法:
(a)疎水性及び親水性の双方を有する第一のポリマーで多孔性支持部材の細孔壁面をコートして第一のポリマー層を形成する工程、及び
(b)前記第一のポリマーより親水性が高い第二のポリマーで前記第一のポリマー層をコートして、第二のポリマー層を形成する工程。
【請求項39】
第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に一つの結合を形成する工程を含んで成る、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第一のポリマー層が、第一のポリマーのための溶媒と第一のポリマーとを含んで成る溶液を多孔性支持部材に適用し、次いで前記溶液を水又は水性溶液に接触させて前記第一のポリマーを溶液から沈降させることによって形成される、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
第一のポリマー層が、第一のポリマーのための溶媒と第一のポリマーとを含んで成る溶液を多孔性支持部材に適用し、次いで前記溶媒を蒸発させることによって形成される、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項42】
第一のポリマー層が、第二のポリマー層の適用の前、その過程又はその後に架橋される、請求項38乃至41の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
第一のポリマーが、ゲルポリマーである、請求項38乃至42の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ゲルポリマーが、実質的に水不溶性のであるが水膨潤可能である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ゲルポリマーが、約12から約40までの親和性パラメーターd(HO)を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
ゲルポリマーが、約12から約25までの親和性パラメーターd(HO)を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
第一のポリマー層が、非架橋である、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
第一のポリマー層が、架橋されている、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
ポリマーゲルが、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリ酸エステル、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)(EVAL)、ポリ(エチレン−コ−アリルアルコール)、ポリヒドロキシスチレン(ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(ビニルアルコール)40%加水分解物(Mowiol40−88)、部分的帯電ポリマー、中性モノマーと帯電モノマーとのコポリマー又は親水性モノマーと疎水性モノマーとのランダムコポリマーである、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
ゲルポリマーが、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースプロピオネート、2−ヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースから成る群から選択されるセルロース誘導体である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ゲルポリマーが、アセチル化度が約29から約61%である酢酸セルロースである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ゲルポリマーが、ポリ(エチレンアジペート)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(DL−ラクチド)及びポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)から成る群から選択されるポリエステルである、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
ゲルポリマーが、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6/6)及びポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6/10)から成る群から選択されるポリアミドである、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
ゲルポリマーが、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)及びポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル)から成る群から選択されるポリアクリル酸エステルである、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
ゲルポリマーが、エチレン含量が約27から約44モル%であるポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)である、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
ゲルポリマーが、スルホン化ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)(S−PEEK;<86%スルホン化)、スルホン化ポリ(フェニレンオキシド)(S−PPO;<70%スルホン化)、スルホン化ポリスルホン(S−PS;<70%スルホン化)、スルホン化ポリ(エーテルスルホン)(SPES;<70%スルホン化)、スルホン化ポリスチレン(SPSt;<70%スルホン化)、アミノ化ポリスルホン(<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(フェニレンオキシド)(Q−PPO;<70%アミノ化)、アミノ化ポリ(ビニルベンジルクロライド)(APVB;<70%アミノ化)、部分的にプロトン化又はアルキル化したポリ(4−ビニルピリジン)(Q−P4VP;<30%プロトン化又はアルキル化)から成る群から選択される部分帯電ポリマーである、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
ゲルポリマーが、スルホン化ポリ(フェニレンオキサイド)である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ゲルポリマーが、中性モノマーと帯電モノマーとのコポリマーであるポリ(エチレン−コ−アクリル酸)である、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
ゲルポリマーが、一種又はそれ以上の親水性モノマーと一種又はそれ以上の疎水性モノマーとのランダムコポリマーである、請求項49に記載の方法。
【請求項60】
一種又はそれ以上の疎水性モノマーが、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸1−ヘキサデシル、メタクリル酸メチル、スチレン、2、3又は4−メチルスチレン、アクリル酸n−ミリスチル、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、メタクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルイソオクチルエーテル、ステアリン酸ビニル、メタクリル酸tert−アミル、N−ベンジルメタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)イソ、sec−、tert−又はn−ブチル、N−シクロヘキシルアクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)シクロヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)n−又はイソ―デシル、イタコン酸ジ(n−ブチル)、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、N−エチルメタクリルアミド、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソトリデシル及びアクリル酸イソボルニルから成る群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、負に帯電したモノマー群を含んで成る、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−プロペン−s−スルホン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸2−スルホンエチル、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピル、ビニル安息香酸、ビニルスルホン酸、及びアクリル酸2−カルボキシエチルから成る群から選択される負に帯電したモノマー類を含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、正に帯電したモノマー群を含んで成る、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(APTAC)、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルコリンメチルスルフェート、アクリル酸2−N−モルホリノエチル、メタクリル酸2−N−モルホリノエチル、1−ビニルイミダゾール、2又は4−ビニルピリジン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アミノエチルメタクリル酸ハイドロクロライド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドハイドロクロライド、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、メタクリル酸2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチルスチレン、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、及びN−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(メタクリルアミド)から成る群から選択される正に帯電したモノマー類である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、中性のモノマー群を含んで成る、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
一種又はそれ以上の親水性モノマーが、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(メタクリル酸)2−ヒドロキシルエチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸(メタクリル酸)ヒドロキシプロピル、アクリルアミド(メタクリルアミド)、N−メタクリロイルモルホリン、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、モノアクリコキシエチルホスフェート、1,1,1−トリメチロールプロパンジアリルエーテル、1,1,1−トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、モノメタクリル酸ポリ(エチレングリコール)、モノメタクリル酸ポリ(プロピレングリコール)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、N−ビニル−N−メタセトアミド、ビニルメチルスルホン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルウレア、アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、モノアクリル酸グリセリン、モノメタクリル酸グリセリン、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びアクリル酸テトラヒドロフルフリルから成る群から選択される中性のモノマー群を含んで成る、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ランダムコポリマーが、更に一種又はそれ以上の反応性モノマーを含んで成る、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
一種又はそれ以上の反応性モノマーが、無水メタクリル酸、ビニルアズラクトン、無水アクリル酸、アリルグリシジルエーテル、無水アリルコハク酸、アクリル酸2−シンナモイルオキシエチル、メタクリル酸シンナミル、無水シトラコン酸及びアクリル酸グリシジルから成る群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
親水性モノマーと疎水性モノマーとのランダムコポリマーが、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライドコ−N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−コ−メチルメタクリル酸)ポリ(N−ビニルホルムアミド−コ−コ−メチルメタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−メチルメタクリル酸)及びポリ(メタクリルアミドプロパン−トリメチルアンモニウムクロライド−コ−メタクリル酸メチル)から成る群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
第二のポリマー層が、架橋ゲルポリマーを含んで成る、請求項38乃至69の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
第二のポリマー層が、エチレンイミン、4−スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、アクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドやビニルピロリドン、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリロイルトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ドデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸とメタクリル酸2、3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸とメタクリル酸グリシジル、アクリル酸とメタクリル酸n−へプチル、アクリル酸とメタクリル酸1−ヘキサデシル、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸とメタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリルアミド、無水メタクリル酸、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸とメタクリル酸2−(2−メトキシ)エチル、N−イソープロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、N−ビニル-2−ピロリドン、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(ジアリルメチルアンモニウムクロライド)(PDADMAC)、ポリアクリルアミド(PAcAm)及びポリビニルピロリドン(PVPR)から成る群から選択される一種のモノマー又はポリマーを含んで成る、請求項38乃至69の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
第二のポリマー層が、第一のポリマー層に共有結合している、請求項38乃至71の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
第一のポリマー層を形成するポリマーは、分子量が約5,000から約500,000g/molまでである、請求項38乃至72の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
第二のポリマー層を形成するポリマーは、分子量が約5,000から約500,000g/molまでである、請求項38乃至72の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
支持部材の平均孔径が0.1から30μmまでであり、また気孔率が60から90%までである、請求項38乃至74の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
支持部材が、フラットシート、中空チューブファイバー又はチューブ状膜の形状である、請求項38乃至75の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
支持部材が、厚さが10から1000μmまでのフラットシート形状である、、請求項38乃至75の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
(c)該第二のポリマー層を少なくとも一つの更なるポリマー層でコーティングする工程を更に含んで成る、請求項38乃至77の内のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
一種の材料を含有する水溶液を請求項1乃至37の内のいずれか一項に記載の複合材料内を貫流させることから成る、一種の材料を水溶液から除去する方法。
【請求項80】
請求項1乃至37の内のいずれか一項に記載の複合材料を含んで成る濾過装置。
【請求項81】
膜バイオリアクターである、請求項80に記載の濾過装置。
【請求項82】
請求項1乃至37の内のいずれか一項に記載の複合材料を含んで成る限外濾過膜。

【公表番号】特表2008−520403(P2008−520403A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533837(P2007−533837)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001468
【国際公開番号】WO2006/034575
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507100683)マクマスター ユニバーシティー (3)
【Fターム(参考)】