多層構造を備えた空気負極及びその製造方法
【課題】同時焼結の方式で工程処理時間を短縮し、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服する多層構造を備えた空気負極及びその製造方法を提供する。
【解決手段】多層構造を備えた空気負極10及びその製造方法は、少なくとも一片基礎台11、二片の拡散層12と三片の活化層13から構成された多層構造の空気負極である。二片の拡散層は薄片状で、一片は基礎台上側に位置し、別一片は基礎台下側に位置する。三片の活化層はそれぞれ順序に基づき二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。スラリー(slurry)には異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結の方式で活化層と拡散層を成形し、工程処理時間を短縮する。空気負極を空気亜鉛電池の負極とする場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外気の影響を受けることがなく、更には空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服する。
【解決手段】多層構造を備えた空気負極10及びその製造方法は、少なくとも一片基礎台11、二片の拡散層12と三片の活化層13から構成された多層構造の空気負極である。二片の拡散層は薄片状で、一片は基礎台上側に位置し、別一片は基礎台下側に位置する。三片の活化層はそれぞれ順序に基づき二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。スラリー(slurry)には異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結の方式で活化層と拡散層を成形し、工程処理時間を短縮する。空気負極を空気亜鉛電池の負極とする場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外気の影響を受けることがなく、更には空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造の空気負極及びその製造方法に関するもので、特に空気亜鉛電池の負極の新電極構造で、その電極構造は、空気亜鉛電池内部の電解液が外の空気の影響を受けるのを防止する。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素分子を吸収することによって、負極反応するのが空気亜鉛電池である。その高い効率と安定した放電出力効率によって、既にアルカリ電池の代替品と見られている。この他、自動車電池、補聴器電池はどちらも空気亜鉛電池を使用した電力供給設備となっており、環境保護にも符合し、価格も低廉である。
【0003】
空気亜鉛電池は陽極に亜鉛金属を使用し、空気中(O2)の酸素が負極となるため、空気亜鉛電池の負極を空気負極と称する。空気亜鉛電池内部の電解液は、水酸化カリウム(KOH)水溶液とする。空気中の酸素は負極を経て化学反応し、水酸イオン(OH−)を形成し、亜鉛混合物 (亜鉛ジェル(zinc gel)、亜鉛薄板もしくは亜鉛薄片)から構成された亜鉛陽極は、酸化還元(oxygen reduction reaction)反応が出現し、安定した放電電圧を発生する。酸化還元化学方程式は以下のとおりである。
負極:
陽極:
反応:
【0004】
空気亜鉛電池の空気負極は単に媒介物であり、その活動の大部分は使用されないか、もしくは使い果たすことがないものである。空気亜鉛電池を製造する場合、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の充填物が効率と特定機能を高め、これによって空気亜鉛電池小型化の目標を達成することができる。
【0005】
しかしながら、この種の空気亜鉛電池には孔を備えることによって空気を電池に取り込む。空気亜鉛電池の基台は密封してはならず、半開放構造でなければならない。半開放式構造は、空気亜鉛電池の性能に影響を与え、更に空気亜鉛電池は空気の影響を受けやすく、それによって使用寿命が短くなってしまう。
【0006】
この他、空気亜鉛電池上に常用する空気負極構造は、電池内部の陽極含水量を長期に維持するのが困難な単層構造である。仮に外から入る空気の湿度が高い時、空気中の水分は空気亜鉛電池の空気負極を経て空気亜鉛電池内部に進入し、電解液を薄め、放電圧を下げる。反対に外気の湿度が低い時、空気亜鉛電池内部の電解液の含水量が空気負極から流失してしまう。結果、電解液を使い果たしてしまい、電池が正常に働かなくなる。
【0007】
多層構造を備えた空気負極を製造する通常の製造順序は、プレス構造の後、拡散層と基礎台から構成される多層構造を高温焼結する。触媒剤層に拡散層を被せた後、多層構造を焼結するのは不便であり、生産コストを上げることになる。
そのうえ、従来の拡散層の製造工程では、米国特許出願US3,748,184に開示されるように、金属板にポリテトラフルオロエチレンと炭素と水との混合物を塗布して、次に、100℃程度で混合物を乾かす。しかしながら、最初に混合物が濡れた状態でシートに塗布されまたは分離可能な濾紙に堆積され、次に乾燥されると、蒸気ギャップ或いはチャンネルは乾燥された混合物に残されることが可能である。そして、そのような蒸気ギャップ或いはチャンネルは空気亜鉛電池に低効率に水分の含有量を維持する不都合につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、単層構造では空気の影響を受けやすく、それによって使用寿命が短くなってしまう点と、陽極の含水量維持問題であり、多層構造の場合は二回の焼結を行わなければならならないので、不便であり、時間がかかる点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも一片基礎台、二片の拡散層と複数の活化層から構成された多層構造の空気負極である。二片の拡散層は薄片状で、一片は基礎台上側に位置し、別一片は基礎台下側に位置する。活化層は二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。スラリー(slurry)には異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結の方式で活化層と拡散層を成形し、工程処理時間を短縮する。空気負極を空気亜鉛電池の負極とする場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外気の影響を受けることがなく、更には空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層構造を備えた空気負極及びその関連の製造方法は、同時焼結の方式で工程処理時間を短縮し、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述問題を改善するため、本発明の目的は多層構造から構成された負極を提供することにある。そのうち多層構造は少なくとも一基礎台、二片の拡散層と三片の活化層を含む。二片の拡散層は基礎台の上下両側に重畳する。三片の活化層は適する順序に基づき、二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。特に活化層内には異なる充填物もしくは異なる種類の触媒剤を加入し、同時焼結方法で活化層と拡散層製作し、工程処理時間を短縮し、且つ前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料と、PTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と、混有水とを乾燥して、ドライコーティングにより製作される。
空気負極は、空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極とすることができる。二片の拡散層は多層絶縁構造と称し、空気中の水分の通過を減らして緩和するのに有効である。空気負極に空気亜鉛電池の負極を使用する場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外界空気の影響を受けにくく、空気亜鉛電池の亜鉛陽極含水量の維持問題も有効に克服する。乾燥しやすい環境のもとでは空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量は一ヶ月維持することができ、更には長時間空気亜鉛電池の機能を安定して維持することができる。
【0012】
普通の空気負極と比較した場合、普通の空気電極、もしくはガス電極の電流密度はわずか−0.025から−0.080A/cm2の間に達するだけで、普通活化層の電流密度は約−0.3A/cm2である。しかし、本発明実施例中の空気負極電流密度は−0.34A/cm2まで達することができ、比較的高い電流出力効率を提供することができる。
【0013】
この他、普通の空気負極(二片の拡散層と一片活化層から構成された三層構造)は、二回の焼結をしなければならず、60分間の時間を必要とする。しかし、本発明の空気負極(二片の拡散層と三片の活化層から構成された五層構造)はわずか一回30分間の焼結ですみ、工程処理時間を節約することができる。
【0014】
本発明の別の目的は、空気負極を製造する方法を提供する。方法は下述のステップを含む。
a).少なくとも一基礎台を提供する
b).二片の拡散層を基礎台の上側と下側に重畳し、
c).スラリー(slurry)内に異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加入して少なくとも三片の活化層を形成する
d).その三片の活化層をそれぞれ二片の拡散層の内の一片上に重畳押圧する
e).活化層と拡散層を同時焼結して工程処理時間を短縮する。
【0015】
更に、スラリー(slurry)で構成された活化層内に、異なる充填物もしくは異なる類型の触媒剤をそれぞれ入れ、そして比較的高い放電流を提供し、長時間の放電期間でも効果を維持しやすい。
<実施方式>
【0016】
図1Aから図1Eは、本発明の良好な実施例を示した空気負極を説明する。空気負極10は、多層構造となっており、空気中の水分の通過を減らす。空気負極10は、少なくとも一片の基礎台11、二片の拡散層12と少なくとも三片の活化層13を含む。二片の拡散層12は、基礎台11の上下側に重畳される。三片の活化層13は、それぞれ適する順序で二片の拡散層の内の一片上に重畳設置される。スラリー(slurry)(図未提示)内に異なる充填物、もしくは異なる種類の触媒剤(図未提示)を入れ、活化層13を形成する。同時焼結する方法で活化層13と拡散層12を製作し、工程処理時間を短縮する。異なる触媒剤充填物は、空気負極10上の触媒剤重量を変化させ、また異なる種類の触媒剤として異なる金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)を空気負極10上に被せる。普通の単一活化層の空気負極は、活化層内に於いて3mg/cm2のMnO2(酸化マンガン)を加えると、電気特性が不安定な問題を引き起こすが、実施例で説明する三層活化層の空気負極は、個別に各層内に1mg/cm2のMnO2、1mg/cm2の酸化コバルトと1mg/cm2のMnO2を加えて安定した放電効率を維持する。空気負極10の厚みは0.01から20mmまでの間、空気負極10の密度は0.01から5.0g/cm3の間にある。空気負極10は空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極とする。空気負極10の厚みは、空気亜鉛電池が水分の含有量を失うことを防ぐより良い性能及び空気負極のより良い機械的な強度ができるように、0.6乃至20mmとしていることが好ましい。
【0017】
本発明の空気負極10は、基礎台11を集電装置とする。基礎台11は金属網から作成される。この他、金属網は一片の金属線網、一片の金属網格子もしくは金属網フォームを含む。金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含む。
【0018】
一片の拡散層12は、前記基礎台11の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作される。拡散層12の厚みは0.01から15mmの間が最もよい。空気負極10を空気亜鉛電池の負極として使用する時、空気は空気負極10の拡散層12を抜け、拡散層12が空気亜鉛電池内の電解液が外の空気の影響を受けるのを防止する。この他、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量は長時間維持することができる。
【0019】
拡散層12の上の各活化層13は、疎水カーボン原料、PTFE結合剤と触媒剤から構成される。本発明の空気負極10を空気亜鉛電池の負極として使用する時、空気負極10の活化層13は活化酸素で、負極化学反応を行い、それを水酸イオンに転化する。水酸イオンは電解液を通り抜け、亜鉛陽極金属と反応を起こして電流を発生する。活化層13上の触媒剤は、金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)、例として鉄、コバルト、ニッケルとマンガン及びその他金属を選択することができる。
【0020】
図2は、本発明実施例に基づく空気負極製造法フローチャートである。方法は、以下のステップを含む。
ステップ20:少なくとも一基礎台を提供する。
ステップ21:基礎台の上下側に二片の拡散層を重畳する。
ステップ22:スラリー(slurry)に異なる充填物もしくは異なる種類の触媒剤を加入し、少なくとも三片の活化層を形成する。
ステップ23:二片の拡散層のうちの一片上にそれぞれ三片の活化層を適する順序で重畳して載せる。
ステップ24:焼結活化層と拡散層を同時に焼結して工程処理時間を短縮する。
【0021】
図3は、本発明実施例が示す空気負極製造法のフローチャートである。方法は以下のステップを含む。
ステップ30:金属網で製作された基礎台を使用し、空気負極の集電装置とする。金属網は一片金属線網,一片金属網格子もしくはフォーム網を含む。金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金もしくはニッケル合金を含む。
ステップ31:空気負極の拡散層を準備する。
ステップ31−1:疎水カーボン原料とPTFE結合剤と脱イオン水を2:1:50の重量比で混合する。
ステップ31−2:混合したPTFE結合剤の疎水カーボン原料を焼き、その含水量を比重の4%まで下げる。
ステップ31−3:焼成完成後、PTFE結合剤と疎水カーボン原料とからなる乾燥された混合物を均一に基礎台の上下側で覆う。
ステップ31−4:三層の拡散層を必要とするときにはステップ31−3を繰り返す。
ステップ32:空気負極の活化層を準備する。
ステップ32−1:親水カーボン原料とPTFE結合剤と触媒剤を3:1:2の重量比で混合し、更に親水カーボン原料500倍(重量)の水、メタノールもしくはイソプロパノールを加えて調合し、溶液にする。上述の原料を均一に混合してスラリー(slurry)を形成し、触媒剤は金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)が最もよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、とその他原料である。
ステップ32−2:混合スラリー(slurry)を拡散層上に三回被せ、三片の活化層を形成し、多層構造を形成する。
ステップ32−3:200〜400℃の温度で,基礎台、二片の拡散層と三片の活化層を備えた多層構造を10〜40分間焼結し、PTFE結合剤を安定させる。その後、シリンダーロールで多層構造を回転押圧し、厚みを0.01〜20mmの間まで調整し、空気負極を多層圧構造に形成する。
【0022】
良好な実施例に於ける空気負極10は、ニッケルフォームで製作された基礎台11を空気負極10の集電装置とする。二片の拡散層12は、それぞれニッケル網の上下側に重畳し、また三片の活化層13は基礎台11上の一片拡散層12上に被せて重畳する。空気負極10の厚みは1.0mmで空気負極10の密度は0.2g/cm2とする。
【0023】
拡散層12の製造方法は、親水カーボン原料、PTFE結合剤と脱イオン水を2:1:50の重量比で混合し、それを乾燥させる。次に乾燥した混合物をニッケル網の上下側に被せる。活化層13の製造方法は、親水カーボン原料、PTFE結合剤及び触媒剤の酸化マンガンを3:1:2の重量比で混合する。親水カーボン原料500倍(重量)のメタノール、イソプロパノールもしくは脱イオン水を加え、混合スラリー(slurry)とする。次に混合スラリー(slurry)を一片拡散層12上に三回被せ、三片の活化層13を形成し、それにより多層構造が形成され、300℃の高温で30分間、多層構造を焼結し、空気負極10を製作する。実施例中の空気負極10を使用して空気負極IV電気特性テストを実施する。
【0024】
空気負極IV電気特性テスト(電流密度対電子電位の放電テスト)は、先ず固定裝置を使い、実施例製造法で製作した空気負極10を固定する。次にKOH水溶液を加え、Hg/HgO電極を参考電極としてPt電極を補助電極とする。続いて電化学分析器で空気負極を分析し、図4に示すIV電気特性曲線を取得する。
【0025】
IV電気特性曲線テスト結果が表示するとおり、Hg/HgO参考電極の対応電圧が−0.3Vより低い時、実施例の空気負極10の電流密度は−0.18A/cm2以上に達する。このため、実施例の空気負極10はスピーディに酸素を触媒して負極化学反応を受け、それを転化してKOH電解液を通過し、金属陽極と共に反応した水酸イオンが電流を発生する。
【0026】
普通の空気電極もしくはガス電極の電流密度はわずか−0.025から−0.080A/cm2の間で、また一片の活化層を備えた空気負極電流密度は−0.3A/cm2まで至る。実施例で説明した空気負極10の電流密度は、Hg/HgO参考電極に於いて−0.5Vより低い場合、−0.34A/cm2に達する。
【0027】
この他、普通の空気負極(二片の拡散層と一片活化層から構成される三層構造)は、二回の焼結を必要とし、時間は60分間かかる。本発明に係る実施例(二片の拡散層と三片の活化層から構成された五層構造)の空気負極は、わずか一回の焼結でよく、時間は30分間ですむため、生産にかかる時間を節約することができる。
【0028】
図5は、普通の空気負極と本発明で説明する空気負極の電分析曲線の指示図である。この二種の空気負極はどちらも0.5A/cm2の電圧で放電を行い、且つ時間は72,000秒間である。本発明で説明した、三片の活化層を有する空気負極は、比較的高い電圧下で安定した放電流を維持する。単一の活化層を備える普通の空気負極は不安定現象を起こすものと思われる。放電時間を増やした場合、普通の空気負極は更に多くの電圧で放電流を維持しなければならない(効率が下がる)。
【0029】
範例方式と良好な実施例によって本発明を説明したが、これは本発明の範囲を制限するものではない。反対に多種の修正と類似の処理や手順に及ぶことが意図されている。そのため、本特許請求の範囲は、これらの類似の処理と手順もすべて含まれるように広く解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1B】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1C】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1D】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1E】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図2】本空気負極発明製造法のフローチャートである。
【図3】本発明実施例の空気負極製造法フローチャートである。
【図4】本空気負極発明の電気特性曲線指示図である。
【図5】普通の空気負極と本発明を説明する空気負極の電気特性比較曲線の指示図である。
【符号の説明】
【0031】
10 空気負極
11 基礎台
12 拡散層
13 活化層
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造の空気負極及びその製造方法に関するもので、特に空気亜鉛電池の負極の新電極構造で、その電極構造は、空気亜鉛電池内部の電解液が外の空気の影響を受けるのを防止する。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素分子を吸収することによって、負極反応するのが空気亜鉛電池である。その高い効率と安定した放電出力効率によって、既にアルカリ電池の代替品と見られている。この他、自動車電池、補聴器電池はどちらも空気亜鉛電池を使用した電力供給設備となっており、環境保護にも符合し、価格も低廉である。
【0003】
空気亜鉛電池は陽極に亜鉛金属を使用し、空気中(O2)の酸素が負極となるため、空気亜鉛電池の負極を空気負極と称する。空気亜鉛電池内部の電解液は、水酸化カリウム(KOH)水溶液とする。空気中の酸素は負極を経て化学反応し、水酸イオン(OH−)を形成し、亜鉛混合物 (亜鉛ジェル(zinc gel)、亜鉛薄板もしくは亜鉛薄片)から構成された亜鉛陽極は、酸化還元(oxygen reduction reaction)反応が出現し、安定した放電電圧を発生する。酸化還元化学方程式は以下のとおりである。
負極:
陽極:
反応:
【0004】
空気亜鉛電池の空気負極は単に媒介物であり、その活動の大部分は使用されないか、もしくは使い果たすことがないものである。空気亜鉛電池を製造する場合、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の充填物が効率と特定機能を高め、これによって空気亜鉛電池小型化の目標を達成することができる。
【0005】
しかしながら、この種の空気亜鉛電池には孔を備えることによって空気を電池に取り込む。空気亜鉛電池の基台は密封してはならず、半開放構造でなければならない。半開放式構造は、空気亜鉛電池の性能に影響を与え、更に空気亜鉛電池は空気の影響を受けやすく、それによって使用寿命が短くなってしまう。
【0006】
この他、空気亜鉛電池上に常用する空気負極構造は、電池内部の陽極含水量を長期に維持するのが困難な単層構造である。仮に外から入る空気の湿度が高い時、空気中の水分は空気亜鉛電池の空気負極を経て空気亜鉛電池内部に進入し、電解液を薄め、放電圧を下げる。反対に外気の湿度が低い時、空気亜鉛電池内部の電解液の含水量が空気負極から流失してしまう。結果、電解液を使い果たしてしまい、電池が正常に働かなくなる。
【0007】
多層構造を備えた空気負極を製造する通常の製造順序は、プレス構造の後、拡散層と基礎台から構成される多層構造を高温焼結する。触媒剤層に拡散層を被せた後、多層構造を焼結するのは不便であり、生産コストを上げることになる。
そのうえ、従来の拡散層の製造工程では、米国特許出願US3,748,184に開示されるように、金属板にポリテトラフルオロエチレンと炭素と水との混合物を塗布して、次に、100℃程度で混合物を乾かす。しかしながら、最初に混合物が濡れた状態でシートに塗布されまたは分離可能な濾紙に堆積され、次に乾燥されると、蒸気ギャップ或いはチャンネルは乾燥された混合物に残されることが可能である。そして、そのような蒸気ギャップ或いはチャンネルは空気亜鉛電池に低効率に水分の含有量を維持する不都合につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、単層構造では空気の影響を受けやすく、それによって使用寿命が短くなってしまう点と、陽極の含水量維持問題であり、多層構造の場合は二回の焼結を行わなければならならないので、不便であり、時間がかかる点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも一片基礎台、二片の拡散層と複数の活化層から構成された多層構造の空気負極である。二片の拡散層は薄片状で、一片は基礎台上側に位置し、別一片は基礎台下側に位置する。活化層は二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。スラリー(slurry)には異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結の方式で活化層と拡散層を成形し、工程処理時間を短縮する。空気負極を空気亜鉛電池の負極とする場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外気の影響を受けることがなく、更には空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層構造を備えた空気負極及びその関連の製造方法は、同時焼結の方式で工程処理時間を短縮し、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量維持問題を有効に克服するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述問題を改善するため、本発明の目的は多層構造から構成された負極を提供することにある。そのうち多層構造は少なくとも一基礎台、二片の拡散層と三片の活化層を含む。二片の拡散層は基礎台の上下両側に重畳する。三片の活化層は適する順序に基づき、二片の拡散層のうちの一片上に重畳する。特に活化層内には異なる充填物もしくは異なる種類の触媒剤を加入し、同時焼結方法で活化層と拡散層製作し、工程処理時間を短縮し、且つ前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料と、PTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と、混有水とを乾燥して、ドライコーティングにより製作される。
空気負極は、空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極とすることができる。二片の拡散層は多層絶縁構造と称し、空気中の水分の通過を減らして緩和するのに有効である。空気負極に空気亜鉛電池の負極を使用する場合、空気亜鉛電池内部の電解液は外界空気の影響を受けにくく、空気亜鉛電池の亜鉛陽極含水量の維持問題も有効に克服する。乾燥しやすい環境のもとでは空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量は一ヶ月維持することができ、更には長時間空気亜鉛電池の機能を安定して維持することができる。
【0012】
普通の空気負極と比較した場合、普通の空気電極、もしくはガス電極の電流密度はわずか−0.025から−0.080A/cm2の間に達するだけで、普通活化層の電流密度は約−0.3A/cm2である。しかし、本発明実施例中の空気負極電流密度は−0.34A/cm2まで達することができ、比較的高い電流出力効率を提供することができる。
【0013】
この他、普通の空気負極(二片の拡散層と一片活化層から構成された三層構造)は、二回の焼結をしなければならず、60分間の時間を必要とする。しかし、本発明の空気負極(二片の拡散層と三片の活化層から構成された五層構造)はわずか一回30分間の焼結ですみ、工程処理時間を節約することができる。
【0014】
本発明の別の目的は、空気負極を製造する方法を提供する。方法は下述のステップを含む。
a).少なくとも一基礎台を提供する
b).二片の拡散層を基礎台の上側と下側に重畳し、
c).スラリー(slurry)内に異なる充填物もしくは異なる触媒剤を加入して少なくとも三片の活化層を形成する
d).その三片の活化層をそれぞれ二片の拡散層の内の一片上に重畳押圧する
e).活化層と拡散層を同時焼結して工程処理時間を短縮する。
【0015】
更に、スラリー(slurry)で構成された活化層内に、異なる充填物もしくは異なる類型の触媒剤をそれぞれ入れ、そして比較的高い放電流を提供し、長時間の放電期間でも効果を維持しやすい。
<実施方式>
【0016】
図1Aから図1Eは、本発明の良好な実施例を示した空気負極を説明する。空気負極10は、多層構造となっており、空気中の水分の通過を減らす。空気負極10は、少なくとも一片の基礎台11、二片の拡散層12と少なくとも三片の活化層13を含む。二片の拡散層12は、基礎台11の上下側に重畳される。三片の活化層13は、それぞれ適する順序で二片の拡散層の内の一片上に重畳設置される。スラリー(slurry)(図未提示)内に異なる充填物、もしくは異なる種類の触媒剤(図未提示)を入れ、活化層13を形成する。同時焼結する方法で活化層13と拡散層12を製作し、工程処理時間を短縮する。異なる触媒剤充填物は、空気負極10上の触媒剤重量を変化させ、また異なる種類の触媒剤として異なる金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)を空気負極10上に被せる。普通の単一活化層の空気負極は、活化層内に於いて3mg/cm2のMnO2(酸化マンガン)を加えると、電気特性が不安定な問題を引き起こすが、実施例で説明する三層活化層の空気負極は、個別に各層内に1mg/cm2のMnO2、1mg/cm2の酸化コバルトと1mg/cm2のMnO2を加えて安定した放電効率を維持する。空気負極10の厚みは0.01から20mmまでの間、空気負極10の密度は0.01から5.0g/cm3の間にある。空気負極10は空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極とする。空気負極10の厚みは、空気亜鉛電池が水分の含有量を失うことを防ぐより良い性能及び空気負極のより良い機械的な強度ができるように、0.6乃至20mmとしていることが好ましい。
【0017】
本発明の空気負極10は、基礎台11を集電装置とする。基礎台11は金属網から作成される。この他、金属網は一片の金属線網、一片の金属網格子もしくは金属網フォームを含む。金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含む。
【0018】
一片の拡散層12は、前記基礎台11の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作される。拡散層12の厚みは0.01から15mmの間が最もよい。空気負極10を空気亜鉛電池の負極として使用する時、空気は空気負極10の拡散層12を抜け、拡散層12が空気亜鉛電池内の電解液が外の空気の影響を受けるのを防止する。この他、空気亜鉛電池の亜鉛陽極の含水量は長時間維持することができる。
【0019】
拡散層12の上の各活化層13は、疎水カーボン原料、PTFE結合剤と触媒剤から構成される。本発明の空気負極10を空気亜鉛電池の負極として使用する時、空気負極10の活化層13は活化酸素で、負極化学反応を行い、それを水酸イオンに転化する。水酸イオンは電解液を通り抜け、亜鉛陽極金属と反応を起こして電流を発生する。活化層13上の触媒剤は、金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)、例として鉄、コバルト、ニッケルとマンガン及びその他金属を選択することができる。
【0020】
図2は、本発明実施例に基づく空気負極製造法フローチャートである。方法は、以下のステップを含む。
ステップ20:少なくとも一基礎台を提供する。
ステップ21:基礎台の上下側に二片の拡散層を重畳する。
ステップ22:スラリー(slurry)に異なる充填物もしくは異なる種類の触媒剤を加入し、少なくとも三片の活化層を形成する。
ステップ23:二片の拡散層のうちの一片上にそれぞれ三片の活化層を適する順序で重畳して載せる。
ステップ24:焼結活化層と拡散層を同時に焼結して工程処理時間を短縮する。
【0021】
図3は、本発明実施例が示す空気負極製造法のフローチャートである。方法は以下のステップを含む。
ステップ30:金属網で製作された基礎台を使用し、空気負極の集電装置とする。金属網は一片金属線網,一片金属網格子もしくはフォーム網を含む。金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金もしくはニッケル合金を含む。
ステップ31:空気負極の拡散層を準備する。
ステップ31−1:疎水カーボン原料とPTFE結合剤と脱イオン水を2:1:50の重量比で混合する。
ステップ31−2:混合したPTFE結合剤の疎水カーボン原料を焼き、その含水量を比重の4%まで下げる。
ステップ31−3:焼成完成後、PTFE結合剤と疎水カーボン原料とからなる乾燥された混合物を均一に基礎台の上下側で覆う。
ステップ31−4:三層の拡散層を必要とするときにはステップ31−3を繰り返す。
ステップ32:空気負極の活化層を準備する。
ステップ32−1:親水カーボン原料とPTFE結合剤と触媒剤を3:1:2の重量比で混合し、更に親水カーボン原料500倍(重量)の水、メタノールもしくはイソプロパノールを加えて調合し、溶液にする。上述の原料を均一に混合してスラリー(slurry)を形成し、触媒剤は金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)が最もよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、とその他原料である。
ステップ32−2:混合スラリー(slurry)を拡散層上に三回被せ、三片の活化層を形成し、多層構造を形成する。
ステップ32−3:200〜400℃の温度で,基礎台、二片の拡散層と三片の活化層を備えた多層構造を10〜40分間焼結し、PTFE結合剤を安定させる。その後、シリンダーロールで多層構造を回転押圧し、厚みを0.01〜20mmの間まで調整し、空気負極を多層圧構造に形成する。
【0022】
良好な実施例に於ける空気負極10は、ニッケルフォームで製作された基礎台11を空気負極10の集電装置とする。二片の拡散層12は、それぞれニッケル網の上下側に重畳し、また三片の活化層13は基礎台11上の一片拡散層12上に被せて重畳する。空気負極10の厚みは1.0mmで空気負極10の密度は0.2g/cm2とする。
【0023】
拡散層12の製造方法は、親水カーボン原料、PTFE結合剤と脱イオン水を2:1:50の重量比で混合し、それを乾燥させる。次に乾燥した混合物をニッケル網の上下側に被せる。活化層13の製造方法は、親水カーボン原料、PTFE結合剤及び触媒剤の酸化マンガンを3:1:2の重量比で混合する。親水カーボン原料500倍(重量)のメタノール、イソプロパノールもしくは脱イオン水を加え、混合スラリー(slurry)とする。次に混合スラリー(slurry)を一片拡散層12上に三回被せ、三片の活化層13を形成し、それにより多層構造が形成され、300℃の高温で30分間、多層構造を焼結し、空気負極10を製作する。実施例中の空気負極10を使用して空気負極IV電気特性テストを実施する。
【0024】
空気負極IV電気特性テスト(電流密度対電子電位の放電テスト)は、先ず固定裝置を使い、実施例製造法で製作した空気負極10を固定する。次にKOH水溶液を加え、Hg/HgO電極を参考電極としてPt電極を補助電極とする。続いて電化学分析器で空気負極を分析し、図4に示すIV電気特性曲線を取得する。
【0025】
IV電気特性曲線テスト結果が表示するとおり、Hg/HgO参考電極の対応電圧が−0.3Vより低い時、実施例の空気負極10の電流密度は−0.18A/cm2以上に達する。このため、実施例の空気負極10はスピーディに酸素を触媒して負極化学反応を受け、それを転化してKOH電解液を通過し、金属陽極と共に反応した水酸イオンが電流を発生する。
【0026】
普通の空気電極もしくはガス電極の電流密度はわずか−0.025から−0.080A/cm2の間で、また一片の活化層を備えた空気負極電流密度は−0.3A/cm2まで至る。実施例で説明した空気負極10の電流密度は、Hg/HgO参考電極に於いて−0.5Vより低い場合、−0.34A/cm2に達する。
【0027】
この他、普通の空気負極(二片の拡散層と一片活化層から構成される三層構造)は、二回の焼結を必要とし、時間は60分間かかる。本発明に係る実施例(二片の拡散層と三片の活化層から構成された五層構造)の空気負極は、わずか一回の焼結でよく、時間は30分間ですむため、生産にかかる時間を節約することができる。
【0028】
図5は、普通の空気負極と本発明で説明する空気負極の電分析曲線の指示図である。この二種の空気負極はどちらも0.5A/cm2の電圧で放電を行い、且つ時間は72,000秒間である。本発明で説明した、三片の活化層を有する空気負極は、比較的高い電圧下で安定した放電流を維持する。単一の活化層を備える普通の空気負極は不安定現象を起こすものと思われる。放電時間を増やした場合、普通の空気負極は更に多くの電圧で放電流を維持しなければならない(効率が下がる)。
【0029】
範例方式と良好な実施例によって本発明を説明したが、これは本発明の範囲を制限するものではない。反対に多種の修正と類似の処理や手順に及ぶことが意図されている。そのため、本特許請求の範囲は、これらの類似の処理と手順もすべて含まれるように広く解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1B】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1C】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1D】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図1E】本発明は本空気負極発明の指示図である。
【図2】本空気負極発明製造法のフローチャートである。
【図3】本発明実施例の空気負極製造法フローチャートである。
【図4】本空気負極発明の電気特性曲線指示図である。
【図5】普通の空気負極と本発明を説明する空気負極の電気特性比較曲線の指示図である。
【符号の説明】
【0031】
10 空気負極
11 基礎台
12 拡散層
13 活化層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一基礎台と、
二片を基礎台上下側に重畳した拡散層と
二片の拡散層のうちの一片上に重畳押圧した複数の活化層から構成された多層構造を備えた空気負極において、そのうち、
スラリー(slurry)内に異なる充填物、もしくは異なる種類の触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結方式で拡散層と活化層を製作し、工程処理時間を節約するもので、空気負極の厚みは0.01から20mmの間とし、空気負極の密度は0.01〜5.0g/cm3の間とし、且つ
前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作されることを特徴とする多層構造を備えた空気負極。
【請求項2】
前記空気負極は、空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極に適することを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項3】
前記空気負極は、基礎台を集電装置とし、且つ金属網で基礎台を構成し、金属網は金属線網、金属網格子もしくは網フォームとし、金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含むことを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項4】
活化層を形成するスラリー(slurry)は親水カーボン原料、PTFE結合剤と混有水、メタノールもしくはイソプロパノールの触媒剤から構成されることを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項5】
前記触媒剤は、金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)とし、マンガン、コバルト、ニッケルとその他金属を選択でき、触媒剤の異なる充填物は前記活化層に添加された触媒剤重量を変更することができ、また異なる類型の触媒剤の目的は前記活化層に添加された金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)上に被せることを特徴とする多層構造を備えた空気負極。
【請求項6】
少なくとも一基礎台と、
二片を基礎台上下側に重畳する拡散層と、
前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作され、
スラリー(slurry)内に異なる充填物もしくは異なる類型の触媒剤を加えて複数の活化層を形成する一種製造空気負極の方法において、
二片の拡散層のうちの一片上に複数の活化層をそれぞれ重畳し、
拡散層と活化層を同時焼結して工程処理時間を短縮することを特徴とする多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項7】
前記空気負極は空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極に適することを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項8】
前記基礎台は集電装置による作用で、金属網から構成され、金属網は一金属線網、一金属網格子もしくは網フォームを含み、また金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含むことを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項9】
前記拡散層が疎水カーボン及びPTFE結合剤から形成され、且つ前記活化層を形成するスラリ(slurry)は、親水カーボン、PTFE結合剤、及び、水、メタノール、又はイソプロパノールと混合された触媒剤からなることを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項10】
前記触媒剤は、マンガン、コバルト、ニッケルとその他金属の金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt),触媒剤の異なる充填物から選択し、触媒剤の異なる充填物は前記空気負極の上で被された触媒剤重量を変更することができ、また異なる類型の触媒剤は前記空気負極上の金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)を覆うことができることを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項1】
少なくとも一基礎台と、
二片を基礎台上下側に重畳した拡散層と
二片の拡散層のうちの一片上に重畳押圧した複数の活化層から構成された多層構造を備えた空気負極において、そのうち、
スラリー(slurry)内に異なる充填物、もしくは異なる種類の触媒剤を加えて活化層を形成し、同時焼結方式で拡散層と活化層を製作し、工程処理時間を節約するもので、空気負極の厚みは0.01から20mmの間とし、空気負極の密度は0.01〜5.0g/cm3の間とし、且つ
前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作されることを特徴とする多層構造を備えた空気負極。
【請求項2】
前記空気負極は、空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極に適することを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項3】
前記空気負極は、基礎台を集電装置とし、且つ金属網で基礎台を構成し、金属網は金属線網、金属網格子もしくは網フォームとし、金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含むことを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項4】
活化層を形成するスラリー(slurry)は親水カーボン原料、PTFE結合剤と混有水、メタノールもしくはイソプロパノールの触媒剤から構成されることを特徴とする請求項1記載の多層構造を備えた空気負極。
【請求項5】
前記触媒剤は、金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt)とし、マンガン、コバルト、ニッケルとその他金属を選択でき、触媒剤の異なる充填物は前記活化層に添加された触媒剤重量を変更することができ、また異なる類型の触媒剤の目的は前記活化層に添加された金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)上に被せることを特徴とする多層構造を備えた空気負極。
【請求項6】
少なくとも一基礎台と、
二片を基礎台上下側に重畳する拡散層と、
前記拡散層は、前記基礎台の両側に塗布された疎水カーボン原料とPTFE(polytetrafluoroethylene)結合剤と混有水とを乾燥してドライコーティングにより製作され、
スラリー(slurry)内に異なる充填物もしくは異なる類型の触媒剤を加えて複数の活化層を形成する一種製造空気負極の方法において、
二片の拡散層のうちの一片上に複数の活化層をそれぞれ重畳し、
拡散層と活化層を同時焼結して工程処理時間を短縮することを特徴とする多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項7】
前記空気負極は空気亜鉛電池、燃料電池もしくはコンデンサーの電極に適することを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項8】
前記基礎台は集電装置による作用で、金属網から構成され、金属網は一金属線網、一金属網格子もしくは網フォームを含み、また金属網の原料はステンレス、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金、その他金属もしくは合金を含むことを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項9】
前記拡散層が疎水カーボン及びPTFE結合剤から形成され、且つ前記活化層を形成するスラリ(slurry)は、親水カーボン、PTFE結合剤、及び、水、メタノール、又はイソプロパノールと混合された触媒剤からなることを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【請求項10】
前記触媒剤は、マンガン、コバルト、ニッケルとその他金属の金属酸素(metal oxide)もしくは金属塩(metal salt),触媒剤の異なる充填物から選択し、触媒剤の異なる充填物は前記空気負極の上で被された触媒剤重量を変更することができ、また異なる類型の触媒剤は前記空気負極上の金属塩(metal salt)もしくは金属酸素(metal oxide)を覆うことができることを特徴とする請求項6記載の多層構造を備えた空気負極の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−140898(P2009−140898A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−9249(P2008−9249)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(508018923)宏達國際電池股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9249(P2008−9249)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(508018923)宏達國際電池股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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