説明

多機能操作装置および車両用ナビゲーション装置

【課題】 入力内容を容易に訂正できる多機能操作装置および車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 電話番号を6桁目まで入力した後に、3桁目の入力に誤りを発見して、3桁目の数字を6から5に訂正する場合、8方向スイッチ222c,222g、または、ダイヤルスイッチ223によって左移動スイッチ154を選択された後、決定スイッチ221が押圧されると、最後に入力した数字である6桁目の5の下部にカーソル132が移動する。順次左移動スイッチ154の選択と決定が繰り返されるとカーソル132は、入力内容表示欄131に入力された数字の下部を順次左側に移動して3桁目の数字である6の下部に移動する。ここで、5の数字入力キー145が選択された後、決定スイッチ221が押圧されると、入力内容表示欄131に入力されている3桁目の数字が6から5に置き換えられて訂正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の回転操作による選択項目の選択機能を有する多機能操作装置、および、この多機能操作装置を備えた車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリースイッチを回転させて、ディスプレイ上の入力文字の候補にカーソルを合わせ、確定操作を行うことで任意の文字などを入力できる多機能操作装置が知られている。この多機能操作装置では、入力された文字に入力間違いがあった場合、ロータリースイッチを回転させて、ディスプレイ上のカーソルを訂正機能に該当する位置に合わせた後、確定操作を行うことで、間違って入力された文字を削除することができる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平2−187814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の多機能操作装置では、入力されている文字のうち、最後に入力された文字が削除可能な状態となる。このため、たとえば8桁目まで入力した電話番号の4桁目を訂正するためには、訂正の必要がない5桁目から8桁目を削除してからでないと4桁目の文字の削除と再入力による訂正ができず、4桁目を訂正した後、再び5桁目から8桁目を入力し直さなければならず、不便である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による多機能操作装置は、少なくとも上位および下位の2つの階層に含まれる選択項目のいずれか一つを、1つの操作部材の回転操作によって選択する選択手段と、選択手段で選択された選択項目を入力内容として決定する決定手段と、決定手段で決定されると、選択項目の一つとして当該選択項目に割り当てられている機能にしたがって複数の入力内容の任意の一つを訂正対象として指定する指定手段と、指定手段によって訂正対象として指定された入力内容を、その指定の後に選択手段で選択されて決定手段で決定された選択項目と置き換える置換手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項6の発明による車両用ナビゲーション装置は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の多機能操作装置を備えることを特徴とする。
(3) 請求項7の発明による車両用ナビゲーション装置は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の多機能操作装置を備え、この多機能操作装置によって経路誘導のための目的地を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、すでに入力されている入力内容に関して、指定手段で指定された入力内容を、その指定の後に選択手段で選択されて決定手段で決定された選択項目と置き換えるように構成した。これにより、すでに入力された正しい入力内容を削除することなく、任意の位置の入力内容だけを訂正することができるので、多機能操作装置および車両用ナビゲーション装置の操作性や利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜20を参照して、本発明による多機能操作装置を車両のナビゲーション装置に適用した一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態のナビゲーション装置を搭載した車両のインストルメントパネル部を示す斜視図である。インストルメントパネル10の内部には、ナビゲーション装置のコントロールユニット30と、GPSアンテナ31とが設けられている。インストルメントパネル10のセンターコンソール11には、上方から順に、表示モニタ100と、ナビ・空調操作部200と、オーディオ操作部300とが設けられている。なお、車両には、車載のオーディオ・ビジュアル機器、ナビゲーション装置などからの音声を出力するスピーカ(不図示)が備えられている。
【0008】
コントロールユニット30は、現在地検出装置や入力スイッチ、表示モニタ100などのようなセンサや入出力装置を除いたナビゲーション装置の主たる構成要素が設けられた装置であり、ナビゲーション装置全体を制御する制御回路や、ナビゲーション装置として必要な各種のデータを格納する地図記憶部などを備えている。地図表示用データやルート探索用データ、施設名称、住所、電話番号などを含む、ナビゲーション装置として必要な各種のデータは、DVD−ROMやハードディスクなどの記録媒体に記録されており、これら記憶媒体のドライブ装置によって読み取られて地図記憶部に格納される。
【0009】
コントロールユニット30には、現在地検出装置であるGPSアンテナ31や、不図示の方位センサ、ジャイロセンサ、車速センサなどが接続されている。またコントロールユニット30には、入力装置であるナビ・空調操作部200の各操作スイッチと、出力装置である表示モニタ100およびスピーカと、交通情報センターなど外部から配信される渋滞情報などの各種交通情報を受信する受信装置(不図示)とが接続されている。
【0010】
表示モニタ100は、ナビゲーション装置のモニタ装置としての機能の他にも、受信したテレビ画像、オーディオ装置の動作状態、空調装置の動作状態、車両の給油時期やオイル交換時期などのメンテナンス情報など、車両および車載機器の各種の情報を表示するモニタ装置としての機能を有する。ナビ・空調操作部200は、ナビゲーション装置および空調装置の操作を行うための入力装置である。ナビ・空調操作部200については後述する。なお、オーディオ操作部300は、テレビ、ラジオ、CDプレーヤ、MDプレーヤなど、各オーディオ・ビジュアル機器の操作を行うための操作装置である。
【0011】
このように構成されるナビゲーション装置は、現在地検出装置により取得した自車位置情報および地図記憶部に格納されている地図情報に基づき各種のナビゲーションを行う。たとえば、自車位置近辺の道路地図および自車位置を表示モニタ100に表示し、経路探索によって得られた経路に沿ってドライバーを誘導する。ナビゲーション装置は、受信装置で受信した各種交通情報を経路探索の際の条件として利用する。
【0012】
図2は、ナビ・空調操作部200およびオーディオ操作部300のそれぞれの拡大図を並べて記載した図である。ナビ・空調操作部200は、ナビゲーション装置の操作部と空調装置の操作部とが一カ所にまとめられた操作部であり、上部に空調装置の操作部210が配設され、下部にナビゲーション装置の操作部220が配設されている。空調装置の操作部210は、車両用空調装置の周知の操作スイッチ群であるので、詳細な説明は省略する。
【0013】
ナビゲーション装置の操作部220は、決定スイッチ221と、8方向スイッチ222a〜222hと、ダイヤルスイッチ223と、機能選択スイッチ231〜239とを備えている。機能選択スイッチ231〜233の右側には、表示モニタ100に表示された地図の縮尺の切り替えなどを行う操作スイッチ241〜243が設けられている。機能選択スイッチ234〜236の左側には、表示モニタ100の表示内容や、各オーディオ・ビジュアル機器からの入力メディアを切り替える入力切替スイッチ244〜246が設けられている。
【0014】
決定スイッチ221は、操作部220の略中央に設けられて、操作部220の表面に対して略垂直方向に押圧操作が可能な操作部221aを有する押圧スイッチであり、操作部220の表面から突出して設けられている。決定スイッチ221は、8方向スイッチ222a〜222hやダイヤルスイッチ223などで選択された選択項目を入力内容として決定するためのスイッチである。すなわち、決定スイッチ221は、8方向スイッチ222a〜222hやダイヤルスイッチ223などで選択された各機能の実行や、選択内容の決定を指示するためのスイッチである。決定スイッチ221は、押圧されるとONの信号を出力し、押圧される力が除去されると、内蔵するバネなどの弾性体の反発力で復帰してOFFの信号を出力する。
【0015】
8方向スイッチ222a〜222hは、決定スイッチ221の外周に沿って45度ごとの放射状に配設された押圧スイッチである。8方向スイッチ222a〜222hが押圧されると、押圧されたいずれかのスイッチ222a〜222hの配設角度位置に対応するように、表示モニタ100に表示された複数の選択項目の中から任意の1つを選択できる。8方向スイッチ222a〜222hの選択機能については後述する。
【0016】
ダイヤルスイッチ223は、8方向スイッチ222a〜222hの外周に設けられ、操作部220の表面に対して略垂直な回転軸を有し、操作部220の表面から突出したリング状の操作部223aを有する回動可能なスイッチである。ダイヤルスイッチ223は、所定の回転角度ごとに係止位置を有し、係止位置前後の回転抵抗力の変化によりクリック感が得られるように構成されたスイッチである。ダイヤルスイッチ223には左右方向の旋回量に制限はなく、またセンター位置のような基準となる位置もない。ダイヤルスイッチ223からは、回動操作前後における左右の回転方向と回転量だけが出力される。
【0017】
ダイヤルスイッチ223は、その回転方向および回転量に応じて表示モニタ100に表示された複数の選択項目の中から任意の1つを選択できる。なお、ダイヤルスイッチ223の回転軸と、決定スイッチ221の可動方向の軸とは略一致する。ダイヤルスイッチ223の選択機能については後述する。
【0018】
機能選択スイッチ231〜239は、ナビゲーション装置の代表的な機能や使用頻度の高い機能を選択するスイッチであり、目的地の設定モードに移行するための目的地スイッチ231と、車両の現在位置を表示モニタ100に表示させるための現在位置スイッチ232と、その他各種の機能を選択するスイッチ233〜239とを備えている。機能選択スイッチ231〜233はダイヤルスイッチ223より右側に配設され、機能選択スイッチ234〜236はダイヤルスイッチ223より左側に配設されている。機能選択スイッチ237〜239は、ダイヤルスイッチ223を中心としてダイヤルスイッチ223の外周近傍に放射状に配設されている。
【0019】
ナビ・空調操作部200の下方に設けられたオーディオ操作部300は、受信するテレビ放送およびラジオ放送の周波数調節や音量調節等を行う周知の操作スイッチ群であるので、詳細な説明は省略する。その他、図示はしないが、ステアリングホイール20やインストルメントパネル10のメータ周囲にも、上述した各操作スイッチの一部の機能を有するスイッチ群が別途設けられている。
【0020】
−−−選択項目の入力−−−
本実施の形態のナビゲーション装置では、ナビゲーション装置の操作部220に設けられた決定スイッチ221と、8方向スイッチ222a〜222hと、ダイヤルスイッチ223とによって、以下に説明するように、複数の選択項目の中から任意の選択項目を選択し、選択した項目を入力内容として決定できる。以下、ナビゲーション機能における目的地の設定を例に説明する。
【0021】
図3〜19は、操作部220の各スイッチの操作によって遷移する表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。図3に示した表示モニタ100には、車両の現在位置付近の地図101が自車位置マーク102とともに表示され、すでに演算された経路探索結果に基づく推奨経路103が地図101に重畳して強調表示されている。たとえば、図3に示すような車両の経路誘導中や、経路誘導によらない走行の場合などに目的地スイッチ231が押圧されると、目的地の設定のためのモード(目的地設定モード)に移行する。
【0022】
図4に示すように、ナビゲーション装置は、「目的地設定モード」に移行すると、目的地設定メニュー110を表示モニタ100の画面左側に表示する。目的地設定メニュー110では、選択項目として自宅メニュースイッチ111と、登録地メニュースイッチ112と、周辺施設メニュースイッチ113と、ジャンルメニュースイッチ114と、その他メニュースイッチ115とが表示される。
【0023】
自宅メニュースイッチ111は、自宅を目的地に設定するためのメニュースイッチである。登録地メニュースイッチ112は、あらかじめ登録されている地点(登録地)を目的地に設定するためのメニュースイッチである。周辺施設メニュースイッチ113は、現在位置または、地図のスクロール先周辺にある施設を目的地に設定するためのメニュースイッチである。ジャンルメニュースイッチ114は、施設名をジャンルから検索して目的地に設定するためのメニュースイッチでる。その他メニュースイッチ115は、施設名称の50音や、住所、電話番号などから目的地を設定するためのメニュースイッチである。
【0024】
各メニュースイッチ111〜115は、8方向スイッチ222a〜222hおよびダイヤルスイッチ223で選択可能に構成されている。図3に示した状態などから目的地スイッチ231が押圧されて目的地設定モードに移行した直後は、表示モニタ100に表示された目的地設定メニュー110のうち、上端に表示されている自宅メニュースイッチ111が選択された状態(選択状態)となる(図4)。選択状態となったメニュースイッチは、選択状態でないメニュースイッチよりも明るく表示されるハイライト表示など、選択されたことがユーザに分かるように強調表示される。
【0025】
ここで、下方を指示する8方向スイッチ222eが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量(1クリック)右旋されるごとに、選択状態となるメニュースイッチは順次下方へ移行する。逆に、上方を指示する8方向スイッチ222aが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量左旋されるごとに、選択状態となるメニュースイッチは順次上方へ移行する。
【0026】
図5に示すように、たとえば、その他メニュースイッチ115が選択状態とされると、その他メニュースイッチ115の下位の選択項目である各メニュースイッチの項目が表示モニタ100の画面右側に表示される。この状態で決定スイッチ221が押圧されると、「目的地設定モード」の下位のモードである「その他の方法による目的地設定モード」に移行する。図6に示すように、ナビゲーション装置は、「その他の方法による目的地設定モード」に移行すると、その他の方法による目的地設定メニュー120を表示モニタ100に表示する。目的地設定メニュー120では、選択項目として50音メニュースイッチ121と、住所メニュースイッチ122と、電話番号メニュースイッチ123と、郵便番号メニュースイッチ124と、最近の行き先メニュースイッチ125とが表示される。
【0027】
50音メニュースイッチ121は、かな(50音)やアルファベットなどで入力された施設名を検索して目的地に設定するためのメニュースイッチである。住所メニュースイッチ122は、入力された住所の周辺地図を表示させて目的地に設定するためのメニュースイッチである。電話番号メニュースイッチ123は、入力された電話番号に該当する施設、または登録地を目的地に設定するためのメニュースイッチである。郵便番号メニュースイッチ124は、入力された郵便番号所に該当する地域の周辺地図を表示させて目的地に設定するためのメニュースイッチである。最近の行き先メニュースイッチ125は、以前設定した目的地を再び目的地として設定するためのメニュースイッチである。
【0028】
各メニュースイッチ121〜125は、上述した「目的地設定モード」における各メニュースイッチ111〜115と同様に、8方向スイッチ222a〜222hおよびダイヤルスイッチ223で選択可能に構成されている。図5に示した状態から決定スイッチ221が押圧されて「その他の方法による目的地設定モード」に移行した直後は、表示モニタ100に表示されたその他の方法による目的地設定メニュー120のうち、上端に表示されている50音メニュースイッチ121が選択状態となる(図6)。
【0029】
図7に示すように、電話番号メニュースイッチ123が選択された後、決定スイッチ221が押圧されると、「その他の方法による目的地設定モード」の下位のモードである「電話番号入力モード」に移行する。図8に示すように、ナビゲーション装置は、「電話番号入力モード」に移行すると、電話番号入力画面130を表示モニタ100に表示する。電話番号入力画面130には、入力内容表示欄131と、数字入力キー140〜149と、記号入力キー151,152と、スペースキー153と、左移動スイッチ154と、右移動スイッチ155と、検索スイッチ156とが表示される。
【0030】
入力内容表示欄131は、数字入力キー140〜149や記号入力キー151,152によって入力された電話番号を表示する欄であり、数字や記号が入力される位置には、その位置を示すためのカーソル132が表示される。各キー140〜153および各スイッチ154〜156は、8方向スイッチ222a〜222hまたはダイヤルスイッチ223によって選択され、決定スイッチ221によって入力が決定され、または、各機能が実行される選択項目である。
【0031】
数字入力キー140〜149および記号入力キー151,152は、0から9までの数字、アスタリスク(*)およびシャープ(#)を入力するためのスイッチである。スペースキー153は、スペースの入力と、入力内容の削除とを行うスイッチである。スペースキー153による入力内容の削除については後述する。
【0032】
左移動スイッチ154および右移動スイッチ155は、入力内容の訂正を行う際に、訂正や削除の対象となる入力済みの数字もしくは記号を指定(特定)する機能が割り当てられたスイッチである。左移動スイッチ154および右移動スイッチ155による入力済みの数字もしくは記号の特定方法については後述する。検索スイッチ156は、入力された電話番号に該当する施設、または登録地を検索するためのスイッチである。
【0033】
図8に示すように、ナビゲーション装置は、「電話番号入力モード」に移行した直後では、電話番号入力画面130が表示モニタ100に表示されるとともに、0の数字入力キー140が選択状態となって強調表示される。右方を指示する8方向スイッチ222cが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されるごとに、選択状態となる数字入力キーは順次右側へ移行する。数字入力キーのうち、一番右側に配設された9の数字入力キー149が選択状態となった後、さらに8方向スイッチ222cが押圧されるか、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されると、数字入力キーの下段左端の記号入力キー151が選択状態となる。
【0034】
記号入力キー151が選択状態となった後、右方を指示する8方向スイッチ222cが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されるごとに、選択状態となる記号入力キーおよびスイッチは順次右側へ移行する。一番右側に配設された検索スイッチ156が選択状態となった後、さらに8方向スイッチ222cが押圧されるか、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されると、上段の数字入力キーの左端の0の数字入力キー140が再び選択状態となる。
【0035】
このように、右方を指示する8方向スイッチ222cが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されるごとに、キーもしくはスイッチの選択状態は上述のように順次移行する。また、左方を指示する8方向スイッチ222c,222gが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量左旋されるごとに、キーもしくはスイッチの選択状態とは上述とは逆方向に順次移行する。
【0036】
たとえば電話番号として「046275△△△△」を入力する場合、最初の一桁目の0を入力するために、0の数字入力キー140を8方向スイッチ222c,222gまたはダイヤルスイッチ213で選択して決定スイッチ221で決定する。これにより、図9に示すように、入力内容表示欄131には0が入力され、カーソル132が入力された0の右側に移動する。以下の説明では、8方向スイッチ222a〜222hまたはダイヤルスイッチ213による選択項目の選択を、単に「選択」と呼び、選択状態となった選択項目の決定スイッチ221による決定を、単に「決定」と呼ぶ。
【0037】
上述した0の入力操作と同様に、順次各数字入力キーの選択および決定をすることで、図10,11に示すように入力された数字が保持されて、電話番号として入力内容表示欄131に表示される。すべての桁の入力が終了した後、検索スイッチ156の選択および決定をすることで、入力された電話番号による検索が開始される。
【0038】
−−−入力した電話番号の一部を訂正−−−
入力された電話番号の訂正は、次のように行われる。たとえば、図10に示すように、電話番号を6桁目まで入力した後に、3桁目の入力に誤りを発見して、3桁目の数字を6から5に訂正する場合、図12に示すように、左移動スイッチ154を選択する。ここで、決定スイッチ221が押圧されると、図13に示すように、最後に入力した数字である6桁目の5の下部にカーソル132が移動する。順次左移動スイッチ154の選択と決定が繰り返されるとカーソル132は、入力内容表示欄131に入力された数字の下部を順次左側に移動する。なお、右移動スイッチ155が選択および決定されると、カーソル132は、入力内容表示欄131に入力された数字の下部を右側へ移動する。
【0039】
左移動スイッチ154の選択と決定とが4回繰り返されると、図14に示すように、カーソル132は、入力内容表示欄131に入力された3桁目の数字である6の下部に移動する。ここで、図15に示すように、5の数字入力キー145が選択された後、決定スイッチ221が押圧されると、図16に示すように、入力内容表示欄131に入力されている3桁目の数字が6から5に置き換えられて訂正される。
【0040】
−−−入力した電話番号の一部を削除−−−
入力された電話番号の削除は、次のように行われる。たとえば、図10に示すように、電話番号を6桁目まで入力した後に、4桁目の入力に誤りを発見して、4桁目の数字を削除する場合、上述した訂正の場合と同様に、左移動スイッチ154の選択と決定によってカーソル132を4桁目の数字である2の下部まで移動させる(図12,13,17)。次に、図18に示すように、スペースキー153を選択する。ここで、決定スイッチ221が押圧されると、図19に示すように、4桁目の数字である2が削除されて、5桁目の数字であった7および6桁目の数字であった5がそれぞれ4桁目および5桁目へ移動する。
【0041】
なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態のナビゲーション装置は、上述した「その他の方法による目的地設定モード」の下位のモードである「電話番号入力モード」だけではなく、「その他の方法による目的地設定モード」の下位のモードである他のモードにおいても、入力内容の訂正や削除ができるように構成されている。すなわち、電話番号以外にも数字で入力される郵便番号や、文字で入力される施設名や住所などであっても、上述の説明と同様に入力内容の訂正や削除が可能である。
【0042】
たとえば、図20に示す、50音メニュースイッチ121の選択と決定によって移行する「50音入力モード」においても、左移動スイッチ154および右移動スイッチ155が表示モニタ100に表示される。上述の説明と同様に「50音入力モード」で入力される施設名や住所などの文字も、左移動スイッチ154および右移動スイッチ155を用いることで入力内容の訂正や削除が可能である。なお、「50音入力モード」においてアルファベットを入力する場合には、アルファベットキー157を選択および決定することで、50音の代わりにアルファベットが選択項目として表示モニタ100に表示される。同様に、「50音入力モード」において数字や記号を入力する場合には、数字・記号キー158を選択および決定することで、50音の代わりに数字と記号が選択項目として表示モニタ100に表示される。
【0043】
上述したナビゲーション装置では、次の作用効果を奏する。
(1) 8方向スイッチ222c,222gまたはダイヤルスイッチ223によって、左移動スイッチ154または右移動スイッチ155が選択状態とされた後、決定スイッチ221が押圧されると、入力された数字に対してカーソル132が各スイッチ154,155に対応する方向に移動して、カーソル132の上部に位置する数字を訂正可能に構成した。これにより、すでに入力された正しい入力内容を削除することなく、任意の位置の入力内容だけを訂正することができる。すなわち、間違って入力された入力内容の後から入力された正しい入力内容の削除や再入力が不要となるので、容易に訂正できる。したがって、使い勝手のよいナビゲーション装置を提供できる。
【0044】
(2) カーソル132が位置する任意の入力内容の削除をスペースキー153で削除できるよう構成した。これにより、すでに入力された正しい入力内容を削除することなく、余計に入力された入力内容だけを削除できるので、訂正も含めた入力操作に要する時間を短縮でき、ナビゲーション装置の操作性が向上できる。
【0045】
(3) 電話番号や施設名所など、数字、記号、文字などによる入力内容は、入力数が多い。これら電話番号や施設名所などの、すでに入力された正しい入力内容を削除することなく、間違った入力内容が訂正できるので、ナビゲーション装置の利便性が高まる。
(4) ナビゲーション装置の目的地設定で入力される入力内容の訂正が容易にであるので、入力内容を間違えても即座に訂正できる。これにより、訂正操作も含めた経路探索のための入力操作が容易となり、経路誘導開始までの時間を短縮できる。
【0046】
(5) ダイヤルスイッチ223の回転軸と、決定スイッチ221の可動方向の軸とは略一致するように構成したので、選択項目の選択および決定操作が容易となり、ナビゲーション装置の操作性が向上できる。
【0047】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、決定スイッチ221の操作部221aと、ダイヤルスイッチ223の操作部223aとは、それぞれ別の部材で構成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図21に示すように、決定スイッチとダイヤルスイッチとが一体的に形成されていてもよい。すなわち、決定スイッチとダイヤルスイッチとが同一の操作部材であってもよい。
【0048】
図21に示した操作装置400では、上述したナビ・空調操作部200およびオーディオ操作部300の機能を有する。なお、図21において、上述したナビ・空調操作部200と同一の符号を付したものはナビ・空調操作部200の各部と同一の機能を有する。操作装置400は、上述した決定スイッチ221とダイヤルスイッチ223とが一体的に形成されたスイッチと同じ機能を有する指示スイッチ401を備えている。8方向スイッチ222a〜222hは、指示スイッチ401の外周に沿って45度ごとの放射状に配設されている。
【0049】
指示スイッチ401は、操作装置400の表面に対して略垂直な回転軸を有し、操作装置400の表面から突出した略円柱形状の操作部401aを有するスイッチであり、回転軸に対して回動可能、かつ、回転軸方向に押圧可能なスイッチである。指示スイッチ401を回動可能とする構造、および回転操作によるスイッチ機能は、上述したダイヤルスイッチ223と同一である。指示スイッチ401を押圧可能とする構造、および押圧操作によるスイッチ機能は、上述した決定スイッチ221と同一である。このように、指示スイッチ401は、上述した決定スイッチ221とダイヤルスイッチ223との機能を同一操作部材で実現できるので、操作性が高い。
【0050】
(2) 上述の説明では、8方向スイッチ222a〜222hが押圧されると、押圧されたいずれかのスイッチ222a〜222hの配設角度位置に対応するように、表示モニタ100に表示された複数の選択項目の中から任意の1つが選択できるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、いずれかのスイッチ222a〜222hが連続的に押圧され続けた場合に、選択項目の選択状態が押圧されたいずれかのスイッチ222a〜222hの配設位置に対応する方向へ連続的に移行するように構成してもよい。
【0051】
(3) 上述の説明では、たとえば、図4に示す「目的地設定モード」において、8方向スイッチ222a,222eが押圧されるごとに、もしくは、ダイヤルスイッチ223が所定回転量駆動されるごとに、選択状態となるメニュースイッチは順次上方もしくは下方へ移行するよう構成されているが、本発明はこれに限定されない。目的地設定メニュー110のように、上下方向に複数配設される選択項目のうち、上端もしくは下端の選択項目が選択状態となった後も、なお上方もしくは下方を指示するように8方向スイッチ222a,222eまたはダイヤルスイッチ223が操作された場合には、選択項目の選択状態が一端側から他端側へ移行するように構成してもよい。
【0052】
このように構成すると、たとえば、目的地設定メニュー110の上端に配設された自宅メニュースイッチ111が選択状態であるときに、8方向スイッチ222aが押圧されるか、ダイヤルスイッチ223が所定回転量左旋されると、メニュースイッチの選択状態は、目的地設定メニュー110の下端に配設されたその他メニュースイッチ115に移行する。さらに8方向スイッチ222aが押圧されるか、ダイヤルスイッチ223が所定回転量左旋されると、メニュースイッチの選択状態は、順次上方へ移行する。また、目的地設定メニュー110の下端に配設されたその他メニュースイッチ115が選択状態であるときに、8方向スイッチ222eが押圧されるか、ダイヤルスイッチ223が所定回転量右旋されると、メニュースイッチの選択状態は、目的地設定メニュー110の上端に配設された自宅メニュースイッチ111に移行する。これにより、目的地設定メニュー110の上端および下端に位置するメニュースイッチ間の選択状態の移行が容易となる。また、8方向スイッチ222a、または222eのいずれか一方だけの押圧操作、もしくは、ダイヤルスイッチ223の左右いずれか一方向のみの回転操作だけで任意のメニュースイッチが選択可能となる。
【0053】
(4) 上述の説明では、たとえば、図8に示す「電話番号入力モード」のように、上下2段のそれぞれに複数の選択項目が表示された場合、8方向スイッチ222c,222gが押圧されるごとに、または、ダイヤルスイッチ223が所定回転量駆動されるごとに、選択項目の選択状態は順次左側もしくは右側へ移行するよう構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、任意の選択項目が選択状態にあるときに、8方向スイッチ222aまたは222eが押圧されるごとに、押圧前に選択状態にある選択項目に最も近い他段の選択項目が選択状態となるように構成してもよい。これにより、少ない操作量で、他段の選択項目が選択可能となる。
【0054】
(5) 上述の説明では、本発明による多機能操作装置を車両のナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。車両用ナビゲーション装置に限らず、たとえばMDのタイトルが入力できる車載のMDデッキなどに本発明を適用してもよい。また、MDデッキのようにオーディオ装置に限らず、文字や数字を入力する車載の情報機器に本発明を適用してもよい。さらに、車載用途以外のオーディオ、ビジュアル機器や情報機器などの操作装置部分、たとえば携帯情報端末の文字入力などの操作部分に本発明を適用してもよい。
(6) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0055】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、選択手段はダイヤルスイッチ223に、決定手段は決定スイッチ221にそれぞれ対応する。指定手段は、選択および決定された左移動スイッチ154および右移動スイッチ155に対応する。置換手段は、訂正対象となる入力内容の下部に移動されたカーソル132と、カーソル132を移動させた後に選択および決定される各キー140〜153とによって実現される。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における機器構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態のナビゲーション装置を搭載した車両のインストルメントパネル部を示す斜視図である。
【図2】ナビ・空調操作部200およびオーディオ操作部300のそれぞれの拡大図を並べて記載した図である。
【図3】車両の経路誘導中の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図4】操作部220の各スイッチの操作によって遷移する表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図5】操作部220の各スイッチの操作によって遷移する表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図6】操作部220の各スイッチの操作によって遷移する表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図7】操作部220の各スイッチの操作によって遷移する表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図8】「電話番号入力モード」に移行した直後の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図9】「電話番号入力モード」において電話番号を入力する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図10】「電話番号入力モード」において電話番号を入力する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図11】「電話番号入力モード」において電話番号を入力する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図12】「電話番号入力モード」において入力した電話番号を訂正する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図13】「電話番号入力モード」において入力した電話番号を訂正する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図14】「電話番号入力モード」において入力した電話番号を訂正する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図15】「電話番号入力モード」において入力した電話番号を訂正する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図16】「電話番号入力モード」において入力した電話番号を訂正する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図17】「電話番号入力モード」において入力した電話番号の一部を削除する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図18】「電話番号入力モード」において入力した電話番号の一部を削除する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図19】「電話番号入力モード」において入力した電話番号の一部を削除する際の表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図20】「50音入力モード」における表示モニタ100の画面と、ナビ・空調操作部200とを併記した図である。
【図21】変形例における操作装置400を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 インストルメントパネル 30 コントロールユニット
100 表示モニタ 110 目的地設定メニュー
111〜115 メニュースイッチ 120 目的地設定メニュー
121〜125 メニュースイッチ 130 電話番号入力画面
131 入力内容表示欄 132 カーソル
140〜149 数字入力キー 151,152 記号入力キー
153 スペースキー 154 左移動スイッチ
155 右移動スイッチ 156 検索スイッチ
200 ナビ・空調操作部 210,220 操作部
221 決定スイッチ 222a〜222h 8方向スイッチ
223 ダイヤルスイッチ 300 オーディオ操作部
400 操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力内容が同一階層内に複数入力されて保持されることが可能な第1の階層を含めて、少なくとも上位および下位の2つの階層に含まれる選択項目のいずれか一つを、1つの操作部材の回転操作によって選択する選択手段と、
操作部が操作されると前記選択手段で選択された前記選択項目を入力内容として決定する決定手段と、
前記選択手段で選択されて前記決定手段で決定されると、前記選択項目の一つとして当該選択項目に割り当てられている機能にしたがって、前記第1の階層で保持されている複数の入力内容の任意の一つを訂正対象として指定する指定手段と、
前記指定手段によって訂正対象として指定された入力内容を、その指定の後に前記選択手段で選択されて前記決定手段で決定された前記選択項目と置き換える置換手段とを備えることを特徴とする多機能操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多機能操作装置において、
前記置換手段は、前記指定手段による指定の後に前記選択手段で選択された特定の選択項目が前記決定手段で決定されると、前記指定手段で指定されている入力内容を削除することを特徴とする多機能操作装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の多機能操作装置において、
前記選択手段の操作部材と前記決定手段の操作部とは、一体的に形成されていることを特徴とする多機能操作装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載の多機能操作装置において、
前記第1の階層に含まれる選択項目には、少なくとも数字、50音、アルファベットのうちのいずれか1つが含まれていることを特徴とする多機能操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の多機能操作装置において、
前記第1の階層における入力内容は、電話番号、または施設の名称であることを特徴とする多機能操作装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの項に記載の多機能操作装置を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかの項に記載の多機能操作装置を備え、前記多機能操作装置によって経路誘導のための目的地を設定することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−31094(P2006−31094A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204706(P2004−204706)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】