説明

多糖類を含有する物品洗浄システム

すすぎ工程において界面活性剤を必要としない、多糖類を含有する洗剤組成物を使用した、特に業務用自動物品洗浄機中において物品を洗浄する方法が開示される。多糖類は、物品上に多糖類の層を提供し、それによりリンス剤を全く添加せずに水性すすぎ工程において被覆作用をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄段階における汚れの除去及びすすぎ段階におけるすすぎ又はリンス水被覆(sheeting)を促す洗剤を用いた物品洗浄プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の業務上での物品洗浄プロセスは、少なくとも2つの工程を含む。メイン洗浄である工程1では、ノズルを介して基材(substrates)上にメイン洗浄溶液を汲み上げることによって、基材をきれいにする。このメイン洗浄溶液は、アルカリ性剤、ビルダー、漂白剤、酵素、消泡又は清浄のための界面活性剤、ポリマー、腐食防止剤等の成分を含有し得る、メイン洗浄洗剤を溶解することによって得られる。工程2は、メイン洗浄後のすすぎ工程である。これは、リンス助剤溶液を含有する温水又は熱水を基材上に流すことによって行われ、これに、さらに乾燥プロセスを進めるために温風流が続き得る。リンス助剤は、典型的には、多くの場合ヒドロトロープ及び場合によってはポリマー、シリコーン、酸等の他の添加剤と組み合わせて、水中に10%〜30%の量で存在する非イオン性物質から成る。
【0003】
これらの業務上での物品洗浄プロセスのために、いわゆるシングルタンク機、ダンプ機又はマルチタンク機等の多数の機械が使用されている。これらの業務上での物品洗浄プロセスにおける一般的な条件は以下の通りである。
【0004】
A.50℃〜70℃のシングルタンク機及びダンプ機におけるメイン洗浄の一定温度。
【0005】
B.マルチタンク機中の洗浄溶液の温度は、第1(洗浄前)タンクにおいて約40℃であり、最終洗浄タンクにおいて約60℃である。
【0006】
C.シングルタンク機及びマルチタンク機について80℃〜90℃、並びにダンプ機について約60℃の高温のすすぎ溶液。
【0007】
D.短い総洗浄サイクルは、約40秒から5分まで変動する。すすぎサイクルは、2分以下であり、大抵の場合2秒〜10秒しかかからない。
【0008】
E.洗浄水は多くの洗浄サイクルに再利用される(ダンプ機を除く)。
【0009】
F.洗浄溶液の量は、約5リットルから、10リットルまで(ダンプ機について)、40リットルまで(再利用シングルタンク機について)、400リットルまで(マルチタンク機について)変動する。
【0010】
G.いわゆる高温シングルタンク機及びマルチタンク機についての最終すすぎ溶液へのメイン洗浄溶液の持ち越し(carry-over)がない。洗浄溶液とすすぎ溶液とでは異なるポンプ、チューブ及びノズルが使用され、すすぎ溶液は、最終すすぎの間に洗浄タンクを介して再循環しない。
【0011】
H.この物品洗浄プロセスが、程度の差こそあるが連続的なバッチプロセスであり、洗浄及び乾燥された基材の次のバッチが機械から出てくる前に、基材を片付けることから、基材は、最終すすぎ後に乾いていなければならない。これらの機械は、多くの基材を短期間で洗浄する施設(レストラン、病院、酒場(cantines)等)で使用されている。
【0012】
これらの業務上での食器洗浄(dishwasing)プロセスについての機械条件及びプロセス条件は、家庭用タイプの食器洗浄機についての条件とは大きく異なる。業務上での物品洗浄とは異なる家庭内での食器洗浄の最も重要な特徴は、以下の通りある。
【0013】
A.家庭内での食器洗浄プロセスは、約30分〜1.5時間かかる。これらのプロセスにおけるすすぎサイクルは、約5分から40分間まで変動する。
【0014】
B.洗浄溶液は、家庭内での食器洗浄プロセスにおいて再利用されない。
【0015】
C.洗浄溶液の一部が、すすぎ溶液中へ持ち越される(例えば、洗浄及びすすぎのために使用される同一のポンプ、チューブ及びノズルを介して、またすすぎ溶液がすすぎの間に洗浄タンクを通って再循環されるためである)。
【0016】
D.家庭内での洗浄プロセスにおける温度は、完全に異なり、通常、機械を充填するのに冷水が使用される。この水は、洗浄プロセスの間に、約60℃まで加熱される。
【0017】
E.洗浄溶液の量(Volume wash solution)は、約3リットル〜10リットルである。
【0018】
F.洗浄プロセス及びすすぎプロセス後に、基材をさらに乾燥させるために十分な時間放置する。これは、閉鎖された家庭用食器洗浄機中における温かな環境により促進される。
【0019】
家庭内での食器洗浄における重要な最近の傾向は、最終すすぎ溶液へ別個のリンス製品を添加する必要性のない、家庭用食器洗浄機において使用され得る食器洗浄製品の開発である。この開発の重要な要素は、簡易性である。
【0020】
これらの製品(多くの場合、錠剤)は、乾燥プロセスを促進する成分を含有する。主な目的は、基材の外観の改善を得ることである。これらのいわゆる2−イン−1製品又は3−イン−1製品中の最も重要な乾燥成分は、ポリマー及び非イオン性物質である。
【0021】
家庭用食器洗浄機におけるこのいわゆるビルトインリンスコンセプト(built-in rinse concept)によって許容可能な乾燥特性を得るための重大なパラメータ/条件は、以下の通りである。
【0022】
A.すすぎ溶液への、乾燥成分を含有するメイン洗浄溶液の一部の持ち越し。この持ち越しは、典型的に、洗浄及びすすぎに使用される同一のポンプ、チューブ及びノズルを介して起こり、これは、すすぎの間に食器類の入った洗浄タンクを通ってすすぎ溶液が再循環されるためである。
【0023】
B.比較的長い洗浄時間及びすすぎ時間。
【0024】
C.機械表面(壁)及び食器類の比較的広い領域。この領域に、乾燥成分(ポリマー及び非イオン性物質)が、機械部品及び食器類上にくっつく残留水中に残留する。最終すすぎ溶液中のすすぎ成分の一部はこの残留水に由来する。メイン洗浄からすすぎ溶液へのすすぎ成分の持ち越しのこのプロセスは、洗浄溶液の一部がメイン洗浄サイクルの終了時点で泡として存在する場合、さらに促進される。
【0025】
これらの条件にもかかわらず、ビルトインリンス成分を含むこれらの錠剤による家庭用食器洗浄機における乾燥結果は、多くの場合、別個のリンス助剤によりすすぎ溶液にリンス成分を添加することによる乾燥よりも劣る。
【0026】
業務上での物品洗浄プロセスは、極めて短い洗浄サイクル及びすすぎサイクル、即ち、洗浄溶液と基材との極めて短い接触時間及びすすぎ溶液と基材との極めて短い接触時間を特徴とする。さらに、業務用高温シングルタンク機及びマルチタンク機では、該機械のポンプ、チューブ及びノズルを介しての洗浄溶液の持ち越しはなく、機械壁を介する吸着及びその後の脱着による持ち越しもない(これは、すすぎ溶液が洗浄タンク中で再循環されないためである)。したがって、ビルトインリンス成分のコンセプトの業務上での物品洗浄プロセスにおける機能は期待されない。さらに、乾燥時間の短縮は、家庭内での食器洗浄(ここで、重要視されるのは外観である)についてよりも業務上での物品洗浄プロセスについて極めて重要である。
【0027】
したがって、業務用物品洗浄機における全ての適切な物品洗浄プロセスは、すすぎ成分が最終すすぎ溶液中に存在する必要性を要求し、これは、このすすぎ溶液中に別個のリンス助剤を投入することによって導入される。
【0028】
ビルトインリンス成分を含む、業務用物品洗浄機用のメイン洗浄洗剤製品を開発する1つの有効な試みが、特許文献1に記載されている。この特許出願は、メイン洗浄プロセス中に存在する低レベルの特定の非イオン性高分子界面活性剤が、物品上に吸着して被覆作用をもたらすことを開示している。このため、きれいな水(fresh water)ですすがれる際に、基材がより迅速に乾燥する。しかしながら、水道水において良好な乾燥をもたらす高分子界面活性剤は、軟水では有意な乾燥利益を導いていない。
【0029】
特許文献2は、例えば自動食器洗い器に有用な、泡立ちが少なく、腐食性が小さく且つ洗浄力が大きな洗剤を記載している。この洗剤は、水溶性多糖類及び/又は水溶性多糖類誘導体から成る。水溶性多糖類は、シクロデキストリン又はその誘導体であることが好ましい。多糖類の被覆作用については何ら言及されていない。
【0030】
特許文献3は、リンス剤を用いることなく、汚れの除去と同時に食器の乾燥を速め、ウォータースポットの低減を可能にする食器洗浄機用洗剤組成物を記載している。食器洗浄機用洗剤組成物は、(A)水溶性多糖類、及びカチオン性モノマーに由来する構造単位を含む高分子化合物から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物と、(B)特定の式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを、(A)/(B)の重量比を3/1〜1/5で含有する。この文献で例示される多糖類は、本発明の方法における適切な性能を示していない。
【0031】
したがって、軟水においても良好な乾燥を提供し、且つ広範な水条件下で利用可能な業務上での物品洗浄のためのビルトインリンス助剤のコンセプトをもたらす化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】国際公開第2006/119162号パンフレット
【特許文献2】特開2005−068327号公報
【特許文献3】特開2007−099811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
多糖類を含有する洗剤組成物を用いた物品の洗浄方法が提供される。物品洗浄洗剤中における多糖類の使用は、意図的に添加されたリンス剤を実質的に含まない水性リンスですすぎを行う場合に、物品の改善された乾燥挙動を有利に提供する。
【0034】
特に、上記方法は、
(a)洗浄工程において物品洗浄機中で、物品と水性清浄組成物とを接触させることであって、水性清浄組成物が、大部分の水性希釈剤と、水性希釈剤100万部当たり約200重量部〜5000重量部の物品洗浄洗剤とを含むこと、及び
(b)すすぎ工程において、洗浄された物品と水性リンスとを接触させることであって、水性リンスが、意図的に添加されたリンス剤を実質的に含まないことを含み、物品洗浄洗剤が、物品上に多糖類の層を提供するのに十分な量の多糖類を含有し、それにより水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすことを特徴とする。
【0035】
多糖類は、洗剤組成物の総(湿潤又は乾燥)重量に基づき、好ましくは洗剤の0.01%(w/w)〜50%(w/w)、より好ましくは0.1%(w/w)〜20%(w/w)、さらに好ましくは0.2%(w/w)〜10%(w/w)、さらに好ましくは0.5%(w/w)〜5%(w/w)、最も好ましくは1%(w/w)〜5%(w/w)を構成する。
【0036】
典型的に、水性清浄組成物、即ち水性洗浄溶液中における多糖類の濃度は、1ppm〜100ppm、好ましくは2ppm〜50ppm、より好ましくは5ppm〜50ppmである。
【0037】
多糖類は典型的に、洗剤の一部として清浄組成物に添加される。しかしながら、別個に配合される製品として多糖類を清浄組成物に添加することも可能である。このような別個に配合される製品は、比較的高いレベル(それどころか100%)の多糖類を含有していてもよい。液体又は固体であってもよいこの別個の製品は、手動で又は自動で投入され得る。これは、例えば、特定の基材の乾燥を増強するために(例えばプラスチックトレイの乾燥に難がある洗浄の場合)、又は多糖類とメイン洗浄洗剤との安定性の問題を解決するために行われ得る。このように、メイン洗浄における多糖類のレベルは、物品上に多糖類の層を提供し、それにより水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、柔軟且つメイン洗浄洗剤と独立して調節することができる。
【0038】
すすぎ工程において、洗浄された物品は水性リンスと接触する。水性リンスは、意図的に添加されたリンス剤(リンス助剤とも呼ばれる)を実質的に含まない。リンス剤は水性リンスに意図的に一切添加されないことが好ましい。
【0039】
多糖類は、物品洗浄洗剤中に、物品上に層を提供するのに十分な量で存在して、それにより水性すすぎ工程において被覆作用をもたらす。物品洗浄洗剤中の使用に好適な多糖類は、物品の乾燥時間の低減及び/又は液滴の残留数の低減等の総合的な乾燥挙動の改善を提供するために固体表面上に十分に吸着するものでなければならない。
【0040】
本発明の方法に関する多糖類の適性を確定するために、メイン洗浄工程において多糖類の存在下又は非存在下で洗剤組成物を使用した後に、きれいな軟水、即ち、リンス助剤が添加されていない水によるすすぎ工程が続く、メイン洗浄工程とすすぎ工程とを含む業務上での物品洗浄プロセスを用いた同一条件下で、基材の乾燥挙動を比較する。水の硬度が最大でも1ドイツ硬度である軟水が、この試験に、即ちメイン洗浄工程及びすすぎ工程の両方に使用される。
【0041】
3つの異なるタイプの基材について乾燥挙動を測定する。これらは、リンス成分を使用しない業務上での物品洗浄プロセスにおいて典型的に乾燥させることが非常に困難な試片(coupons)である。これらの基材は、
2つのガラス試片(148mm×79mm×4mm)
2つのプラスチック(「Nytralon 6E」(Quadrant Engineering Plastic Products)、未処理(naturel))試片(97mm×97mm×3mm)
2つのステンレススチールカップ(110mm×65mm×32mm)(モデル:Le Chef、供給業者:Elektroblok BV)
である。
【0042】
乾燥挙動は、乾燥時間(秒)として、また5分後の液滴の残留量として測定される。典型的には、機械を開けた直後に測定を開始する。
【0043】
また多糖類がメイン洗浄に添加された場合の乾燥挙動は、乾燥率によって定量化することができる。これは、乾燥時間及び5分後の残留する液滴の数の両方について算出することができ、
(多糖類を含む洗剤を使用した乾燥時間)/(多糖類を含まない洗剤を使用した乾燥時間)
及び/又は
(多糖類を含む洗剤を使用した5分後の液滴の数)/(多糖類を含まない洗剤を使用した5分後の液滴の数)
の比率に対応する。
【0044】
より良好な乾燥挙動は、より小さい乾燥率に対応する。平均乾燥率は、3つの異なる基材に全て関する平均値として算出される。
【0045】
本発明の方法に使用されるのに好適な多糖類は、
洗剤中の被検多糖類の存在又は非存在以外は同一条件下で測定される、最大0.9、好ましくは最大0.8、より好ましくは最大0.7、さらに好ましくは最大0.6、さらに好ましくは最大0.5、さらに好ましくは最大0.4、最も好ましくは最大0.3である、乾燥時間に基づく平均乾燥率(この比率の下限は典型的に約0.1であり得る)、及び/又は
洗剤中の被検多糖類の存在又は非存在以外は同一条件下で測定される、最大0.5、好ましくは最大0.4、より好ましくは最大0.3、さらに好ましくは最大0.2、最も好ましくは最大0.1である、液滴の残留数に基づく平均乾燥率(この比率の下限は0であり得る)
を提供する。
【0046】
0.9より大きい乾燥時間に基づく平均乾燥率、及び0.4より大きい液滴の残留数に基づく平均乾燥率を示す多糖類は典型的に、本発明の方法における使用に適さない。
【0047】
被検多糖類の濃度は典型的に、洗剤組成物中で2%(w/w)〜5%(w/w)、及び洗浄溶液中で20ppm〜50ppmである。
【0048】
多糖類を含む場合と含まない場合との乾燥挙動の適切な差異を提供するような試験条件の選択には注意を払わなければならない。例えば、一般的なリンス助剤がすすぎ水へ添加されることを伴うプロセスと、同様の洗剤(多糖類が存在しない)及びきれいな水でのすすぎ工程を使用したプロセスとを比較した場合に、乾燥の適切な差異を提供する条件が好適である。すすぎ水中にリンス助剤を使用しないプロセスでは、典型的に基材は5分以内に乾燥されずに、5〜25の残留する液滴の平均数をもたらすのに対し、リンス助剤を使用したプロセスでは、残留する液滴の平均数がこの数の半分未満となる。好適な条件は、例えば、実施例1のものである。一般的なリンス助剤は、すすぎ水中に約100ppmで投入される非イオン性界面活性剤、例えばリンス助剤A(実施例1を参照)であり得る。
【0049】
この比較に使用され得る洗剤組成物は、典型的に、リン酸塩、苛性剤(caustic)、及び次亜塩素酸塩、例えば、0.53g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV7(Rhodia製))+0.44g/lの水酸化ナトリウム(NaOH)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)を含有する。
【0050】
一実施形態において、多糖類は、多糖類の1%水溶液を用いて25℃において試験した場合に少なくとも100mPa・sの粘度を有する。50℃において10分間多糖類を溶解し、この10分間の1時間後に25℃で粘度を測定する。
【0051】
多糖類
本発明による多糖類は、グリコシド結合によって結合される単糖単位を含むポリマーである。単糖単位は、5個又は6個の炭素原子のアルドース又はケトースであり得る。多糖類はホモ多糖類又はヘテロ多糖類であってもよく、直鎖又は分岐鎖であってもよく、且つ/又は化学修飾されていてもよい。
【0052】
好適な多糖類は、セルロース系、ペクチン系、デンプン系、天然ガム系であり得る。
【0053】
セルロース系多糖類の例は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性されたヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性されたエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。かかるセルロース系多糖類は、AkzoNobelによりBermocoll、又はAqualon-HerculesによりNatrosol、Klucel若しくはBlanoseという商品名で販売されている。
【0054】
デンプン系多糖類の例はジャガイモデンプンである。
【0055】
天然ガム系多糖類の例は、グアーガム又はローカストビーンガムのようなポリガラクトマンナン、カラギーナンのようなポリガラクタン、キサンタンガムのようなポリグルカン、アルギン酸塩のようなポリマンヌロン酸塩である。
【0056】
好ましい天然ガムはグアーに基づく。最も好ましくは、グアーガムの2−ヒドロキシプロピルエーテル等の変性グアー、又はグアーガムの2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテル等のカチオン変性グアーである。好適な変性グアーはRhodiaによりJaguarという商品名で販売されている。
【0057】
特に好ましくは、以下の多糖類:Jaguar HP 8及びJaguar HP 105(Rhodia)等の、グアーガムの2−ヒドロキシプロピルエーテル等の変性グアーガム;カチオン変性グアーガム、例えば、Jaguar C 17及びJaguar C 1000(Rhodia)等の、グアーガムの2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロライド;Rhodopol G(Rhodia)等のキサンタンガム;セルロース系多糖類、例えば、Natrosol HEC 250 HHX(Aqualon-Hercules)等のヒドロキシエチルセルロース;Natrosol HEC Plus 330 CS(Aqualon-Hercules)等の疎水的に変性されたヒドロキシエチルセルロース;Bermocoll E511 X及びBermocoll EBS 351 FQ(AkzoNobel)等のエチルヒドロキシエチルセルロース;Bermocoll EHM 500(AkzoNobel)等の疎水的に変性されたエチルヒドロキシエチルセルロース;Klucel EF(Aqualon-Hercules)等のヒドロキシプロピルセルロース;Blanose 7 MF Pharm(Aqualon-Hercules)等のカルボキシメチルセルロースナトリウム;及びジャガイモデンプン(Sigma)等のデンプンである。
【0058】
これらの多糖類は、洗剤組成物中において、単独、又は特許文献1に記載されているように他の多糖類又は高分子界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0059】
Jaguarポリマー等のカチオン性ポリマーは、或る特定のアニオン、例えば、ケイ酸、ホスホン酸、リン酸、水酸化物及び/又はクエン酸アニオンと組み合わせてもよい。液体洗剤及び固体洗剤の両方に関して、乾燥性能及び製品安定性のような特性は、アニオンのタイプ、及びこれらの製品を製造する際の洗剤成分の添加の順番による影響を受けることがある。
【0060】
洗剤組成物
本明細書中で上記に記載される成分に加えて、洗剤組成物は、好ましくはアルカリ性供給源、ビルダー(即ち、キレート剤/封鎖剤のクラスを含む洗浄ビルダー)、漂白系、抗スケール剤(anti-scalants)、腐食防止剤、界面活性剤、消泡剤、及び/又は酵素から選択される、従来の成分を含み得る。好適な苛性剤(caustic agents)としては、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。特に有効なのは、約1.0〜約3.3、好ましくは約1.8〜約2.2のSiO:NaOのモル比を有するケイ酸ナトリウムであり、通常、二ケイ酸ナトリウムをいう。洗剤組成物のpHは、典型的にアルカリ領域内であり、好ましくは9以上、より好ましくは10以上である。
【0061】
ビルダー材料
好適なビルダー材料(ホスフェート及び非ホスフェートビルダー材料)は、当該技術分野において既知であり、多くのタイプの有機化合物及び無機化合物が文献に記載されている。それらは、通常、全ての種類の清浄組成物中において使用され、アルカリ性及び緩衝能を提供し、凝集を防止し、イオン強度を維持し、汚れから金属を取り出し、且つ/又は洗浄溶液からアルカリ土類金属イオンを除去する。
【0062】
本明細書中で使用可能なビルダー材料は、種々の既知のホスフェート及び非ホスフェートビルダー材料の任意の1つ又は混合物であり得る。好適な非ホスフェートビルダー材料の例は、アルカリ金属のクエン酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩;並びにニトリロ三酢酸(NTA)の塩;メチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタル酸二酢酸(GLDA)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリマレエート、ポリアセテート、ポリヒドロキシアクリレート、ポリアクリレート/ポリマレエートコポリマー、及びポリアクリレート/ポリメタクリレートコポリマー、並びにゼオライト;層状シリカ、並びにそれらの混合物である。それらは、1〜70、好ましくは5〜60、より好ましくは10〜60の範囲で存在し得る(重量%)。
【0063】
特に好ましいビルダーは、リン酸塩、NTA、EDTA、MGDA、GLDA、クエン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ポリアクリレート/ポリマレエート、無水マレイン酸/(メタ)アクリル酸コポリマー、例えば、BASF製のSokalan CP5である。
【0064】
抗スケール剤
食器及び機械部品上のスケールの形成は重大な問題となり得る。スケールは多数の供給源から生じ得るが、主として、アルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩又はケイ酸塩のいずれかの析出に起因する。炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムは、最も重大な問題である。この問題を軽減するために、スケールの形成を最小限に抑える成分を組成物に組み込むことができる。これらとしては、分子量1000〜400000のポリアクリレート(これらは例えば、Rohm & Haas、BASF及びAlco Corp.により供給される)、及び他の部分と組み合わされたアクリル酸に基づくポリマーが挙げられる。これらとしては、マレイン酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、BASFにより供給されるSokalan CP5及びCP7又はRohm & Haasにより供給されるAcusol 479N;メタクリル酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、Rhone-Pouleneにより供給されるColloid 226/35;ホスホネートと組み合わされたアクリル酸、例えば、Buckman Laboratoriesにより供給されるCasi 773;マレイン酸及び酢酸ビニルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Hulsにより供給されるポリマー;アクリルアミドと組み合わされたアクリル酸;スルホフェノールメタリルエーテルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Alcoにより供給されるAquatreat AR 540;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、Rohm & Haasにより供給されるAcumer3100又はGoodrichにより供給されるK−775;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びスチレンスルホン酸ナトリウムと組み合わされたアクリル酸、例えば、Goodrichにより供給されるK−798;メタクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ナトリウム及びスルホフェノールメタリルエーテルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Alcoにより供給されるAlcosperse 240;ポリマレエート、例えば、FMCにより供給されるBelclene 200;ポリメタクリレート、例えば、Rohm & HaasからのTamol 850;ポリアスパルテート;エチレンジアミンジスクシネート;オルガノポリホスホン酸及びそれらの塩、例えば、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及び1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸エタンのナトリウム塩が挙げられる。抗スケール剤は、存在する場合、組成物中に、約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは0.1重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約5重量%含まれる。
【0065】
界面活性剤
界面活性剤及び特に非イオン性界面活性剤は、清浄を向上させ且つ/又は消泡剤として作用するのに存在し得る。典型的に使用される非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基と、本質的に脂肪族であってもアルキル芳香族であってもよい有機疎水性材料(例えば、EO、PO、BO及びPEO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレートからなる群より選択される)、又はポリアルキレンオキシドブロックコポリマーとの縮合によって得られる。
【0066】
界面活性剤は、約0重量%〜約10重量%、好ましくは0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で存在し得る。本明細書中で記載の多糖類の効果から、洗剤配合物中の界面活性剤レベルは最大2重量%まで下げることができる。
【0067】
漂白剤
本発明によるシステムにおける使用に好適な漂白剤は、ハロゲン系漂白剤又は酸素系漂白剤であり得る。2種以上の漂白剤を使用してもよい。
【0068】
ハロゲン系漂白剤として、アルカリ金属次亜塩素酸塩が使用され得る。他の好適なハロゲン系漂白剤は、ジクロロ及びトリクロロ並びにジブロモ及びトリブロモシアヌル酸のアルカリ金属塩である。好適な酸素系漂白剤は、過酸素漂白剤、例えば、過ホウ酸ナトリウム(四水和物又は一水和物)、炭酸ナトリウム、又は過酸化水素である。
【0069】
次亜塩素酸塩、ジクロロシアヌル酸及び過ホウ酸ナトリウム又は過炭酸ナトリウムの量は好ましくは、それぞれ、15重量%及び25重量%を超えず、例えば、それぞれ、1重量%〜10重量%及び4重量%〜25重量%である。
【0070】
酵素
デンプン分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素は、通常、酵素成分として使用される。本明細書中で使用可能なデンプン分解酵素は、細菌又は真菌に由来するものであり得る。
【0071】
少量の種々の他の成分が、上記化学的清浄システム中に存在し得る。これらとしては、溶媒、及びヒドロトロープ、例えば、エタノール、イソプロパノール及びキシレンスルホネート、流動制御剤;酵素安定化剤;抗再堆積剤(anti-redeposition agents);腐食防止剤;及び他の機能性添加剤が挙げられる。
【0072】
洗剤組成物の成分は、独立して、固体(必要に応じて、使用前に溶解される)、水性液体又は非水性液体(必要に応じて、使用前に希釈される)の形態で配合され得る。
【0073】
物品洗浄洗剤は液体又は粉末の形態であってもよい。粉末は粒状粉末であってもよい。粉末形態の場合、流動助剤が存在して、良好な流動性をもたらし且つ粉末の塊の形成を防止し得る。洗剤は好ましくは、錠剤又は固体ブロックの形態であり得る。また好ましくは、洗剤は、数回の洗浄用の単位用量を供給するような、サッシェ中における粉末と錠剤との組合せであってもよい。液体は、従来の液体、構造化液体又はゲルの形態であってもよい。
【0074】
多糖類は、流動性及び安定性のような物理特性を害することなく、錠剤、ブロック、粉末又は顆粒のようなメイン洗浄洗剤中にむしろ容易に組み込まれ得る。洗浄洗剤中に組み込まれる多糖類は液体形態であってもよいが、固体形態であってもよい。
【0075】
化学的清浄法は、従来の業務上又は家庭内での自動物品洗浄プロセスのいずれでも利用することができる。
【0076】
典型的な業務上での物品洗浄プロセスは、連続的又は非連続的であり、シングルタンク又はマルチタンク/コンベヤータイプの機械のいずれかにおいて行われる。コンベヤーシステムにおいて、洗浄前領域、洗浄領域、すすぎ後領域及び乾燥領域は、一般的に、仕切りを使用して設けられている。汚れた食器を逆流方向で移送しながら、洗浄水をすすぎ領域中へ導入し、洗浄前領域へ連続して(cascade fashion)戻す。
【0077】
典型的に、業務用物品洗浄機は、洗浄工程において45℃〜65℃、及びすすぎ工程において約80℃〜90℃で稼動する。洗浄工程は典型的に、10分を超えず、又はさらには、5分を超えない。また、水性すすぎ工程は典型的に2分を超えない。
【0078】
物品洗浄プロセス中に、JohnsonDiverseyのDivojet(登録商標)コンセプトにおいて実施されているように、例えば一般的な量の約10%の水性希釈剤を用いた高濃度の洗剤を投入すること、及び洗浄プロセスの後半段階で、例えば物品と高濃度洗剤との接触時間の10秒〜30秒後に、水性希釈剤の残りの90%をそこに添加することが予想される。
【0079】
物品を定期的に処理するためにこの物品洗浄洗剤を使用することも予想される。本明細書中に記載の多糖類を含む洗剤を用いた処理は、多糖類を含まない洗剤を用いた1回又は複数回の洗浄と交互に行ってもよい。このような定期的な処理は、例えば、洗浄溶液中に50ppm〜500ppmの多糖類を提供する、洗剤中における比較的高濃度の多糖類を伴って行ってもよい。
【0080】
また驚くべきことに、本明細書中に記載の多糖類を含む洗剤を用いた清浄法は、家庭内での物品洗浄プロセスにおいて極めて良好に機能することが見出された。業務上でのプロセスと比べてすすぎ工程が実質的に長い家庭内での物品洗浄条件下でさえ、本明細書中に記載の多糖類は、物品上に層を提供して、それにより水性すすぎ工程中に被覆作用をもたらした。
【0081】
本明細書中に記載の多糖類を含む洗剤は、すすぎ工程において、場合によっては洗浄工程においても軟水、又はさらには逆浸透水を使用する場合に、極めて良好に機能する。逆浸透水は残留水を残さないため、このタイプの水は基材、特にガラスの高い外観が重要となる場合に物品洗浄に使用されることが多い。しかしながら、標準的なリンス助剤は、(残留非イオン性物質のために)外観に悪い影響を及ぼす場合があり、又は乾燥が完全でなければスポットが形成されることがある。
【0082】
ビルトインリンス助剤のこのコンセプトにより、より簡単な洗浄プロセスが、業務上及び家庭内での物品洗浄について得られ、これにより、別個のリンス助剤を使用する必要性が排除される。簡易性の増大に加えて、このコンセプトは、別個のリンス助剤の原料についての包装、加工処理、輸送及び貯蔵のような明確なコスト削減だけでなく、ポンプがすすぎ溶液へリンス助剤を投入する必要性を排除することによってもコスト削減を提供する。
【0083】
多糖類によるビルトインリンス助剤コンセプトによって得られる最適な乾燥挙動はまた、基材の帯電性を低減し得る。
【0084】
物品洗浄プロセス用のビルトインリンス助剤のこのコンセプトにおいて最適な乾燥特性をもたらす多糖類は、何らかの清浄性、消泡性、ビルダー特性、結合性、レオロジー改質性、増粘性、構造化特性、スケール防止特性又は腐食防止特性を有し、そのため、総合的な洗浄プロセスを改善し得る。特に、ビルトインリンス助剤を用いずに水のみによるすすぎを伴う類似のシステムに比べてスケールの堆積の低減が観測された。また、ガラス上に残るリンス助剤由来の非イオン性物質が典型的に発泡を抑制する標準的なすすぎプロセスに比べて、ビール発泡性に対する影響は観測されなかった。また、脂肪タイプの汚れに対する確実な汚れ除去効果が観測された。
【0085】
本発明は以下の実施例からより良く理解される。しかしながら、当業者は、記載の特定の方法及び結果が本発明の例証に過ぎず、本発明の限定を示すものでないことを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0086】
実施例1
本実施例では、業務用シングルタンク物品洗浄機において、種々の基材の乾燥挙動を試験する。軟水による標準的な業務上での洗浄プロセスを、リン酸塩、苛性剤及び次亜塩素酸塩を含有するメイン洗浄プロセスを用いた本試験に適用する。
【0087】
初めに(試験1A)、標準的なすすぎプロセスによるこのプロセスの乾燥挙動を求める。この標準的なすすぎプロセスでは、リンス助剤を別個のリンスに投入する。
【0088】
次いで(試験1B:参照)、リンス成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されることなく、またメイン洗浄プロセスにも添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。この場合、メイン洗浄は、メイン洗浄粉末(リン酸塩、苛性剤及び次亜塩素酸塩)しか含有せず、すすぎは、きれいな軟水により行われる。
【0089】
次いで(試験1C〜試験1Y)、リンス成分は別個のリンス(rinsed)に投入されない(そのため、きれいな軟水のみですすぐ)が、種々の成分が他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄に添加される、種々の洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。
【0090】
試験1C〜試験1Hにおいて、これらの成分は、特許文献1の実施例8に記載の界面活性剤である。この実施例における基材を乾燥させる条件が最も厳しいことから、この実施例8(特許文献1)からの材料が選択された。比較的低温のメイン洗浄(50℃)及びすすぎ(80℃)、並びに比較的短いメイン洗浄サイクル(29秒)を適用した。これらの条件から、基材の加熱が最小限に抑えられるため、特にメイン洗浄中に吸着する成分によって乾燥が決定される。さらに、比較的多量のすすぎ量(4L)を適用する。これにより、基材上に強力に吸着する界面活性剤のみがこれらの基材を適切に乾燥させることが示される。
【0091】
(この実施例8(特許文献1)において)水道水中において最良の乾燥結果をもたらした界面活性剤を選択し、ここでは軟水において試験した。この試験では同様のストリンジェント条件を使用し、乾燥が困難な基材に適用させる。
【0092】
試験1I〜試験1Yでは、軟水における同様のストリンジェント条件下で、多数の多糖類について乾燥挙動を求める。
【0093】
試験1C〜試験1Hにおける界面活性剤として使用される材料は、Plurafac LF 300(試験1C、試験1D及び試験1E)(BASF製)(脂肪族アルコールアルコキシレート);Sokalan CP5(試験1C)(BASF製)(マレイン酸/アクリル酸コポリマー、Na塩(Mw 70000));Versaflex SI(試験1D)(Alco製)(アクリル酸コポリマー);Alcosperse 175(試験1E)(Alco製)(マレイン酸/アクリル酸コポリマー(Mw 75000));Sokalan CP9(試験1F)(BASF製)(マレイン酸/オレフィンコポリマー、Na塩(Mw 12000));カゼイン(試験1G)(Aldrich製)(工業用グレード);Inutec SP1(試験1H)(Orafti製)((C12アルキル鎖で)疎水的に変性されたイヌリン(Mw 5000))である。
【0094】
試験1I〜試験1Yにおける多糖類として使用される材料は、Bermocoll EHM 500(試験1I)(AkzoNobel製)(疎水的に変性されたエチルヒドロキシエチルセルロース);Bermocoll E 511 X(試験1J)(AkzoNobel製)(エチルヒドロキシエチルセルロース(高粘度グレード));Bermocoll EBS 351 FQ(試験1K)(AkzoNobel製)(エチルヒドロキシエチルセルロース(中粘度グレード));Rhodopol G(試験1L)(Rhodia製)(キサンタンガム(CAS番号11138−66−2));Meyprodor 50(試験1M)(Danisco製)(グアーガム);Grindsted Carrageenan CP120(試験1N)(Danisco製)(カラギーナンとローカストビーンガムとのブレンド);Jaguar HP 8(試験1O)(Rhodia製)(グアーガムの2−ヒドロキシプロピルエーテル(CAS番号39421−75−5));Jaguar HP 105(試験1P)(Rhodia製)(グアーガムの2−ヒドロキシプロピルエーテル(CAS番号39421−75−5));Jaguar C 17(試験1Q)(Rhodia製)(グアーガムの2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド(CAS番号65497−29−2));Jaguar C 1000(試験1R)(Rhodia製)(グアーガム(Gomme de Guar)、酸化物(oxydee)、2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド(chlorure)(CAS番号71888−88−5));Klucel EF(試験1S)(Aqualon-Hercules製)(ヒドロキシプロピルセルロース(CAS番号9004−64−2));Blanose 7 MF Pharm(試験1T)(Aqualon-Hercules製)(高純度カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)、最小99.5%(CAS番号9004−32−4));Natrosol HEC 250 HHX(試験1U)(Aqualon-Hercules製)(ヒドロキシエチルセルロース(CAS番号9004−62−0));Natrosol HEC Plus 330 CS(試験1V)(Aqualon-Hercules製)(変性ヒドロキシエチルセルロース(CAS番号80455−45−4));Grinsted Alginate FD 460(試験1W)(Danisco製)(アルギン酸カルシウム);Grindsted Pectin LA 210(試験1X)(Danisco製)(ペクチン);ジャガイモデンプン(試験1Y)(Sigma製)である。
【0095】
以下の表に、成分のそれぞれに関するメイン洗浄溶液中のこれらの材料の濃度を示す。これらのレベルは、洗剤が、これらの種々の実施例において約2重量%〜5重量%の界面活性剤又は多糖類を含有することに関与する。
【0096】
これらの試験に用いられる物品洗浄機は、Hobartシングルタンクフード機(single tank hood machine)であり、これは、実験室試験について自動化されており、フードが自動的に開閉し、物品が入るラックが機械の内外へ自動的に輸送される。
【0097】
仕様 シングルタンクフード機
タイプ:Hobart AUX70E
洗浄浴容量:50L
すすぎ量:4L
洗浄時間:29秒
すすぎ時間:8秒
洗浄温度:50℃
すすぎ温度:80℃
水:軟水(水硬度:1DH未満)
【0098】
プロセス
洗浄浴が軟水で充填され加熱されると、洗浄プログラムが開始される。内部洗浄ポンプ及び洗浄アームにより機械中の洗浄水を食器上に循環させる。洗浄時間が終了すると、洗浄ポンプが停止し、洗浄水は基材の下のリザーバに留まる。次いで、4L容の洗浄浴から、排水管へとポンプによって自動的に排水される。次いで、すすぎプログラムを開始し、(軟水リザーバに接続された)ボイラーからのきれいな温水が、すすぎアームによって食器上に流される。すすぎ時間が終了すると、機械が開く。
【0099】
(一般消費者用タイプの食器洗浄機とは対照的に)きれいな軟水のみが基材上に流されることに留意されたい。このため、メイン洗浄プロセス由来の成分がすすぎ水中に溶解することはない。洗浄ポンプ並びに洗浄アーム及びノズルは、すすぎには使用されず、すすぎ水は、すすぎの間、洗浄タンク中で循環しない。
【0100】
作動方法
機械を軟水で充填し、水の温度が50℃になったら、メイン洗浄粉末(及び被験成分)を、ラック上のプレートを介して添加する。この製品が完全に溶解することを確実にするために、洗浄サイクルを1回行う。必要に応じて、消泡剤をメイン洗浄溶液に添加して、泡の形成を防止する。メイン洗浄粉末は、0.53g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV7(Rhodia製))+0.44g/lの水酸化ナトリウム(NaOH)+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)である。
【0101】
乾燥時間は、3つの異なるタイプの基材について測定する。これらの基材は、リンス成分を用いない業務上での物品洗浄プロセスにおける乾燥が困難であり且つ標準的なリンス助剤プロセスにより中程度しか乾燥しないことから選択される。これらの基材は、以下の実用上問題となる材料:2つのガラス試片(148mm×79mm×4mm);2つのプラスチック(「Nytralon 6E」(Quadrant Engineering Plastic Products);未処理)試片(97mm×97mm×3mm);2つのステンレススチールカップ(110mm×65mm×32mm)(モデル:Le Chef、供給業者:Elektroblok BV)から成る。
【0102】
洗浄サイクル(29秒)及びすすぎサイクル(きれいな軟水により8秒)の後に、周囲温度における洗浄済みの基材の乾燥時間(秒)を求める。乾燥時間が300秒よりも長い場合には、300秒と記録する。しかしながら、基材の多くは5分以内に乾燥されない。その場合にはまた、基材上に残留する液滴をカウントする。
【0103】
いずれの化学薬品も添加せずに同様の基材を用いて、洗浄サイクル及び乾燥時間の測定をもう2回繰り返す。基材は、新たな試験毎に取り替える(物品上に吸着するかもしれない成分により、乾燥結果が影響を受けないように)。
【0104】
結果
これらの一連の試験の結果を以下の表にまとめる。ステンレススチール基材、並びにガラス試片及びプラスチック試片について、3回の繰り返し試験についての、乾燥時間の平均値、及び5分後の試片上の液滴の数の平均値が両方とも与えられる。
【0105】
試験1Aでは、リンス助剤が投入されるすすぎ溶液ですすぐことによって基材の乾燥が得られる、代表的且つ標準的な業務上での食器洗浄プロセスについて、乾燥効果を測定する。これらのリンス成分は、最終すすぎ水へ、ボイラーの直前の別個のリンスポンプを介して投入される。リンス助剤がボイラーにより均一に分布されることを確実にするために、試験を開始する前に3回の洗浄サイクルを行う。
【0106】
この実施例では、リンス助剤Aを、業務上での物品洗浄についての代表的なリンス助剤として使用する。この中性リンス助剤は、約30%の非イオン性混合物を含有する。このリンス助剤を0.3g/Lのレベルで投入することによって、すすぎ溶液中の非イオン性物質の濃度は約90ppmになる。リンス助剤Aの重要な成分を以下の表に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
試験1Aの結果から、実際にこれらの基材の乾燥が困難であることが立証される。これらの現行の標準的な洗浄及びすすぎ条件下では、ガラス試片しか乾燥せず、プラスチック基材及びステンレススチール基材上には5分後に依然として幾らかの水滴が残る。
【0109】
標準的な別個のリンスを用いたこの乾燥は、いずれのリンス成分も含まないプロセス(試験1B)に関するよりもはるかに良好である。この参照試験1Bから、リンス助剤を洗浄プロセスにおいて使用しない場合には、全ての選択された基材上に、5分後でさえ多くの液滴が残ることが示される。
【0110】
試験1C〜試験1Hから、メイン洗浄中の選択された界面活性剤の存在が、ガラス試片の乾燥に対するわずかに好ましい効果、並びにステンレススチール及びプラスチックの乾燥挙動に対する極めてわずかな効果を有することが示される。これらの乾燥結果は、軟水における同一条件下では、標準的な別個のリンス助剤による乾燥に関するよりも著しく劣っている。これらの乾燥結果はまた、特許文献1の実施例8に記載の水道水において同じ成分を用いて得られた結果よりも劣る。これらの成分がこの物品洗浄プロセスにおいて乾燥特性をもたらすためには、水硬度イオンとの相互作用が必要であることは明らかである。
【0111】
しかしながら、試験1I〜試験1Yから、幾つかの多糖類が、軟水における同一条件下で良好な乾燥をもたらすことが示される。メイン洗浄における比較的低レベルの種々の多糖類の存在によって、ステンレススチール、ガラス及びプラスチック上における乾燥時間又は残留する液滴の数を有意に減らすことができる。これらの乾燥挙動の幾らかは、別個のリンス助剤を使用する場合と同等か、さらに良好である。特に、カチオン化グアーのJaguar C 17及びJaguar C 1000は、きれいな軟水のみですすがれるこれらの条件下で優れた乾燥特性をもたらす。
【0112】
【表2】





【0113】
乾燥率
メイン洗浄に添加されたこれらの成分の乾燥挙動は、乾燥率によっても定量化することができる。これは、乾燥時間及び5分後の残留する液滴の数の両方について算出することができ、
(成分が添加された洗剤を使用した乾燥時間)/(成分が添加されていない洗剤を使用した乾燥時間(参照試験1B))
及び/又は
(成分が添加された洗剤を使用した5分後の液滴の数)/(成分が添加されていない洗剤を使用した5分後の液滴の数)
の比率に対応する。
【0114】
より良好な乾燥挙動は、より小さい乾燥率に対応する。
【0115】
以下の表では、乾燥率が種々の洗浄プロセスについて算出されている。乾燥率は、3つの異なる基材全てに関する平均値として算出される。同様に、乾燥率は、標準的な別個のリンス助剤を含む洗浄プロセス(試験1A)について算出される。
【0116】
【表3】

【0117】
これらの乾燥率から、メイン洗浄に添加される多糖類の良好〜優れた乾燥特性が立証される。全実施例に関して、残留する液滴に基づく乾燥率は最大0.5であり、且つ/又は乾燥時間に基づく乾燥率は最大0.9であるのに対し、このことは、メイン洗浄に添加される界面活性剤に関する乾燥率には該当しない。
【0118】
実施例2
実施例1におけるメイン洗浄添加剤として試験される成分を1%含有する水溶液の粘度を測定する。
【0119】
1gの多糖類を99gの軟水に添加し、強力に混合することによって、試料を調製した。同時に、この混合物を50℃に加熱し、10分間50℃で混合させた。混合物を室温にまで冷却し、1時間後に、25℃において剪断速度21s−1で、スピンドルMV2を備えたHaake VT 500を用いて粘度を測定した。結果を以下の表に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
軟水において良好な乾燥をもたらす大半の多糖類(実施例1)はまた、軟水における好ましくない乾燥を与える界面活性剤(実施例1)よりも著しく高い粘度を導くことに注目されたい。
【0122】
実施例3
本実施例では、家庭用物品洗浄機において、種々の基材の乾燥挙動を試験する。水道水による標準的な洗浄プロセスを、リン酸塩及びメタケイ酸塩を含有するメイン洗浄プロセスを用いたこの試験に適用する。
【0123】
初めに(試験1)、いずれのリンス成分も含まないこのプロセスの乾燥挙動を求める。この参照試験では、リンス成分は、メイン洗浄溶液中に存在せず、また、リンス成分を水による最終すすぎに添加することもしなかった。
【0124】
次いで(試験2)、多糖類(カチオン化グアー)がメイン洗浄に存在し且つリンス成分が水による最終すすぎに投入されなかった洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。
【0125】
これらの試験に使用される物品洗浄機はBlomberg GS 13240である。水硬度が5ドイツ硬度である水道水をこれらの試験に用いた。自動エコプロセスがこれらの試験に適用された。このプロセスは、約40分の洗浄プロセスから開始され、洗浄溶液を約50℃に加熱し、その後きれいな水による約20分の最終すすぎプロセス、約5分の乾燥工程と続く。
【0126】
実施例1に記載の類似の試片をこれらの試験に使用する。これらの試片を試験の開始時にラックに入れ、実施例1に記載したものと同様の方法で洗浄プロセスの終了時に評価する。
【0127】
試験1における洗剤の組成は、1.0g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STPP)+0.90g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物(SMS.5Aq.)である。
【0128】
試験2における洗剤の組成は、1.0g/lのトリポリリン酸ナトリウム+0.90g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物+0.1g/LのJaguar C 1000である。
【0129】
これらの粉末系洗剤は洗浄タンクに手動で添加される。
【0130】
【表5】

【0131】
参照試験1から、基材は、リンス成分が洗浄プロセス又は最終すすぎにおいて存在しない場合に適切に乾燥されないことが示される。試験2から、メイン洗浄におけるJaguar C 1000の存在は有意に速い乾燥を導くことが示される。多糖類を含有するメイン洗浄洗剤は、家庭内での物品洗浄プロセスにおいてもこれらの条件下で適切な乾燥をもたらすと結論付けることができる。
【0132】
実施例4
本実施例では、実施例1からの好ましい多糖類のうちの1つ、例えばJaguar C 1000を含有する粉末系洗剤について、乾燥挙動を試験する。原料を規定の順番で添加することによって以下の多糖類含有製品(PS製品)を生成した。
【0133】
【表6】

【0134】
噴霧により水(1%)を添加した。この処理法によって、Jaguar C 1000を主にメタケイ酸ナトリウムと結合させ、このPS製品におけるこの微粉末の分離を防止する。
【0135】
以下の参照製品(多糖類なし)を生成した。
【0136】
【表7】

【0137】
実施例1に記載したものと同様の試験法を用いて乾燥試験を実行した。粉末系製品をそれぞれ1g/Lで投入し、水硬度が8ドイツ硬度である水道水をこれらの試験に使用した。すすぎはきれいな水道水のみで行った。実施例1に記載したものと類似の試片を用いて乾燥性能を測定し、以下の結果が導かれた。
【0138】
【表8】

【0139】
以下の平均乾燥率が算出され得る(実施例1に記載したように)。
【0140】
【表9】

【0141】
本実施例から、多糖類を含有するこの物理的に安定な粉末系製品は、きれいな水道水のみですすがれる物品洗浄プロセスのメイン洗浄に適用される場合に、極めて良好な乾燥特性をもたらすことが立証される。
【0142】
実施例5
本実施例では、実施例1からの好ましい多糖類のうちの1つ、例えばJaguar C 1000を含有する液体系洗剤について、乾燥挙動を試験する。原料を規定の順番で添加することによって以下の多糖類含有製品(PS液体製品)を生成した。
【0143】
【表10】

【0144】
Rhodopol Gを添加して、この液体洗剤の物理的安定性を改善させた。この原料は初めにごく一部の水で予め分散させた後に、添加した。
【0145】
以下の参照液体洗剤(多糖類を含まない)を生成した。
【0146】
【表11】

【0147】
実施例1に記載したものと同様の試験法を用いて乾燥試験を実行した。液体系製品をそれぞれ1g/Lで投入し、軟水をこれらの試験に使用した。すすぎはきれいな軟水のみで行った。これにより以下の結果が導かれる。
【0148】
【表12】

【0149】
以下の平均乾燥率が算出され得る。
【0150】
【表13】

【0151】
本実施例から、多糖類を含有するこの液体系製品は、きれいな水のみですすがれる物品洗浄プロセスのメイン洗浄に適用される場合に、極めて良好な乾燥特性をもたらすことが立証される。
【0152】
参照液体洗剤は、極めて良好な清浄性能を有する標準的な液体洗剤である。さらなる清浄試験から、「PS液体洗剤」が、種々の汚れで被覆される種々の基材上で、参照液体洗剤に類似する極めて良好な清浄性能を有することが示された。それゆえ、基材の適切な乾燥及び清浄の両方を得るのに、特別な界面活性剤は必要ないと結論付けられ得る。
【0153】
実施例6
本実施例では、多糖類であるJaguar C 1000を含有する粉末系洗剤について業務用シングルタンク物品洗浄機において、乾燥挙動を試験する。この試験では、逆浸透(RO)水をメイン洗浄及びすすぎに適用する。メイン洗浄及びすすぎに逆浸透水を使用する以外は、実施例1に記載したものと同様の食器洗浄機、洗浄プロセス及び作動方法を使用する。
【0154】
初めに(参照試験6A)、リンス成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されることなく、またメイン洗浄プロセスにも添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。この場合、メイン洗浄は、以下のメイン洗浄粉末:0.40g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV7(Rhodia製))+0.40g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)を含有する。
【0155】
次いで(試験6B)、標準的なすすぎプロセスによるこのプロセスの乾燥挙動を求める。この標準的なすすぎプロセスでは、リンス助剤A(実施例1と同様)を別個のリンス液流に投入する。
【0156】
次いで(試験6C)、リンス成分はすすぎ液流に投入されない(そのため、きれいなRO水のみですすぐ)が、0.015g/LのJaguar C 1000が、他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄に添加された、洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。
【0157】
【表14】

【0158】
【表15】

【0159】
基材が、完全に乾いた場合にはスポット(ウォーターマーク)についても視覚的に評価した。
【0160】
【表16】

【0161】
本実施例から、多糖類を含有するこの製品は、RO水においても極めて良好な乾燥特性をもたらすことが立証される。この結果は、標準的な別個のリンス助剤に関するよりも有意に良好であり、より速い乾燥、残留する液滴の低減及び外観の改善が導かれる。
【0162】
実施例7
本実施例では、JohnsonDiverseyのDivojet(登録商標)コンセプトにより比較的高濃度の溶液に投入される多糖類を含有する液体洗剤について、乾燥挙動を試験する。
【0163】
実施例5に記載のものと同様の製品である「PS液体洗剤」及び参照液体洗剤をこの試験に適用する。さらに、リンス助剤A(実施例1に記載したものと同様)を本実施例において使用する。
【0164】
洗浄プロセス
これらの試行には業務用マルチタンク機であるHobart FTN−ESBを使用した。このマルチタンク機は3つの洗浄タンクと1つのすすぎセクションとを有する。Divojetシステムは、第2の洗浄タンクの始まりの位置に設置した。Divojetノズルを介して(30L/Hで)及びすすぎセクションを介して(270L/Hで)軟水を適用させた。洗浄水が基材の上の周りに汲み上げられる標準的なノズルを有する最初のタンク及び最後のタンクには製品を直接投入しない。基材と各タンクとの接触時間は約30秒である。メイン洗浄溶液の温度は50℃であり、すすぎ水については80℃とした。
【0165】
真ん中の洗浄タンクにおける20g/LのDivojetシステムにより、液体洗剤を投入した。この比較的高濃度の洗浄溶液を基材と30秒間接触させ、その後、基材を、最後の洗浄タンクからの洗浄水ですすいだ。Divojetシステムにより投入された製品のみがこのタンクに入り、その後、すすぎセクションを介して入る多量の水によって希釈されるため、この洗浄水の洗剤濃度はかなり低くなる。これらの条件下において、最後のタンク内の洗剤濃度は約2g/Lとなる。
【0166】
作動方法
実施例1に記載したものと類似の試片を用いて乾燥性能を測定した。
【0167】
初めに(参照試験7A)、リンス成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されることなく、またメイン洗浄プロセスにも添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。参照液体洗剤(実施例5に記載したものと同様)はDivojetにより投入する。
【0168】
次いで(試験7B)、標準的なすすぎプロセスによるこのプロセスの乾燥挙動を求める。この標準的なすすぎプロセスでは、リンス助剤Aを別個のリンスセクションに0.3g/Lで投入する。
【0169】
次いで(試験7C)、リンス成分はすすぎ液流に投入されない(そのため、きれいな軟水のみですすぐ)が、「PS液体洗剤」(0.5%のJaguar C 1000を含有)が、第2の洗浄タンクにおいてDivojetにより投入される、洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。
【0170】
【表17】

【0171】
【表18】

【0172】
本実施例から、Divojetコンセプトで実施されるように高濃度で投入された後に、きれいな水のみですすいだ場合には、低レベルの多糖類を含有する液体製品も極めて良好な乾燥特性をもたらすことが示される。これらの結果は、多糖類を含まず、Divojetコンセプトを介して同様の高濃度形態で適用され、且つ標準的な別個のリンス助剤を伴ってすすがれる参照液体洗剤に関するものよりも有意に良好である。
【0173】
実施例8
本実施例では、比較的高レベルの多糖類を含有する洗剤を用いて基材を定期的に洗浄する物品洗浄コンセプトについて、乾燥挙動を試験する。
【0174】
メイン洗浄及びすすぎにおいて水道水を使用する以外は、実施例1に記載したものと同様の食器洗浄機、洗浄プロセス及び乾燥試験法を使用する。
【0175】
初めに(参照試験8A)、リンス成分が存在しない(別個のリンスを介して投入されることなく、またメイン洗浄プロセスにも添加されない)洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。この場合、メイン洗浄は、以下のメイン洗浄粉末:0.50g/lのトリポリリン酸ナトリウム(STP;LV7(Rhodia製))+0.35g/lのメタケイ酸ナトリウム五水和物+0.10g/Lの水酸化ナトリウム+0.03g/lのジクロロイソシアヌル酸Na塩二水和物(NaDCCA)を含有する。
【0176】
次いで(試験8B)、リンス成分はすすぎ液流に投入されない(そのため、きれいな水道水のみですすぐ)が、0.20g/LのJaguar C 1000が、他のメイン洗浄成分と共にメイン洗浄に添加された、洗浄プロセスについて、乾燥挙動を求める。
【0177】
試験8B後に、機械を空にして、しっかりと清浄し、残留する如何なる多糖類も取り除いた。次いで(試験8C)、試験8Aと同様の条件下の試験8B前に洗浄した基材を用いて乾燥試験を行った(したがって、乾燥成分は存在しない)。同様の基材を用いたこの洗浄プロセスを合計10回繰り返した。5回の洗浄(試験8D)及び10回の洗浄(試験8E)後に乾燥挙動を試験した。
【0178】
【表19】

【0179】
【表20】

【0180】
これらの結果から、メイン洗浄における比較的高いレベルの200ppmのJaguar C 1000が、全ての基材上に優れた乾燥を導くことが示される(試験8B)。さらに、この多糖類は極めて実質的に吸着するものであると結論付けられ得る。またこれは、試験8C、試験8D及び試験8Eから、これらの基材が、余分な多糖類を添加していないプロセスにおいて洗浄され、また水のみですすがれる場合に良好に乾くことが示されるためである。これより、多糖類が一定期間くっつき得ることが実証される。多糖類を含む洗剤を用いた処理は、多糖類を含まない洗剤を用いた1回又は複数回の洗浄と交互に行ってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の洗浄方法であって、
(a)洗浄工程において物品洗浄機中で、物品と水性清浄組成物とを接触させることであって、該水性清浄組成物が、大部分の水性希釈剤と、該水性希釈剤100万部当たり約200重量部〜5000重量部の物品洗浄洗剤とを含むこと、及び
(b)すすぎ工程において、前記洗浄された物品と水性リンスとを接触させることであって、該水性リンスが、意図的に添加されたリンス剤を実質的に含まないことを含み、前記物品洗浄洗剤が、前記物品上に多糖類の層を提供するのに十分な量の多糖類を含有し、これにより前記水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすことを特徴とする物品の洗浄方法。
【請求項2】
前記多糖類が、前記洗剤の0.01%(w/w)〜50%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)〜20%(w/w)、より好ましくは0.2%(w/w)〜10%(w/w)、さらに好ましくは0.5%(w/w)〜5%(w/w)、最も好ましくは1%(w/w)〜5%(w/w)を構成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多糖類が、1ppm〜100ppm、好ましくは2ppm〜50ppm、より好ましくは5ppm〜50ppmの量で前記水性清浄組成物中に存在する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記物品洗浄機が業務用自動機械である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄工程が、高濃度の前記洗剤及び後に水性希釈剤で希釈したその希釈溶液を投入することを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記洗剤及び前記多糖類を、別個の製品として前記洗浄工程に投入する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記多糖類が、最大0.9の
(多糖類を含む洗剤を使用した乾燥時間)/(多糖類を含まない洗剤を使用した乾燥時間)
の比率に対応し、且つ/又は最大0.5の
(多糖類を含む洗剤を使用した5分後の液滴の数)/(多糖類を含まない洗剤を使用した5分後の液滴の数)
の比率に対応する、平均乾燥率を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
0.9より大きい乾燥時間に基づく平均乾燥率、及び0.4より大きい液滴の残留数に基づく平均乾燥率を共に有する多糖類を除いた請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記多糖類が、セルロース系多糖類及び/又は天然ガム系多糖類及び/又はペクチン系多糖類及び/又はデンプン系多糖類である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記天然ガム系多糖類が、変性グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン及び/又はローカストビーンガムである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記変性グアーガムが、グアーガムの2−ヒドロキシプロピルエーテル及び/又はグアーガムの2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セルロース系多糖類が、ヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性されたヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性されたエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群より選択される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記多糖類を、前記物品洗浄洗剤中で、他の多糖類及び/又は非イオン性界面活性剤若しくは高分子界面活性剤と組み合わせる請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記物品洗浄洗剤が、粉末、粒状粉末、錠剤、固体ブロックの形態であるか、又はサッシェ中における粉末と錠剤との組み合わせである請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記物品洗浄洗剤が、液体、構造化液体又はゲルの形態である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−528174(P2010−528174A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510432(P2010−510432)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/064626
【国際公開番号】WO2008/147940
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(398061050)ディバーシー・インコーポレーテッド (101)
【住所又は居所原語表記】8310 16th Street,Sturtevant,Wisconsin 53177−0902,United States of America
【Fターム(参考)】