説明

多細胞下成分の検出及び定量法

【課題】細胞試料からの多及び独特の蛍光信号の検出及び定量化法が提供される。
【解決手段】その方法は免疫組織化学および蛍光標識化in situ交雑技術を組合わせる。その方法は染色体及び蛋白質のような細胞の特定細胞下成分を同定するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫染色及び蛍光‐標識化インシトゥ雑種形成法を使用して細胞の多細胞レベル以下(細胞下)成分を検出及び定量する方法に関し、特に免疫染色とインシトゥ(in situ)雑種形成との組合せが、母性血液試料における胎児ヘモグロビンのような細胞中の細胞下成分の検出を可能にしている。その方法は遺伝的病気の出生前及び/又は着床前の診断に有用である。
【背景技術】
【0002】
細胞及びそれらの成分の染色及び分析には多くの方法がある。かかる多くの方法を同時に適用する能力は、遺伝的病気の診断における試料の詳細な研究に極めて有利であって特別な関心をもたれてきている。しかしながら、従来技術の方法の組合せは単独で適用される単一の方法以上に何らかの利点を与えてこなかった。特に関心のある、例えば、生物学的試料に免疫染色及び蛍光in situ雑種形成(FISH)分析を同時に適応する能力は、例えば、同一時に同一細胞の特定蛋白質及び核酸成分に関する定量雨滴データを得る可能性を与える。しかしながら、従来又は標準の免疫染色及びFISHプロトコルは互いに排他的である。満足すべきFISH分析に必要な厳しいな条件は、重要な識別可能な抗原の保持、又は細胞成分の適当な検出用信号に基いた安定な抗体と一般に両立しない。したがって、可視化及び定量法で遺伝的対象を使用した遺伝的病気ダイアグノシスにおけるより良い方法を開発する必要がある。
【特許文献1】米国特許第5,225,326号公報;米国特許出願第07/668,751号公報;PCT WO94/02646号公報;米国特許出願第08/132,804公報。
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
免疫染色及び蛍光in situ雑種形成(FISH)分析用の生物学的試料を調製する単一連続法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施態様において、細胞試料を少なくとも1つの抗体と反応させて、各抗体が特定の細胞成分に結合して、独特な蛍光信号を発生する反応をさせる工程;一つ以上の核酸プローブを使用し前記細胞をin situ によってハイブリッド形成によって処理する工程、前記各核酸プローブは標的の核酸配列と交雑して独特な蛍光信号を発生する;前記反応及び処理した細胞試料の一つ以上の画像を発生させる工程;及び前記抗体及び前記核酸プローブの両方に対応する前記画像の蛍光信号を検出及び分析する工程から成ることを特徴とする細胞における多細胞成分の同定方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
ここで説明する実施態様において、細胞試料における細胞の細胞レベル以下の成分を検出及び定量する方法が提供される。その方法は種々の生物学的試料、例えば、血液試料、特に母性血液における遺伝的病気のダイアグノシス用細胞を含有する種々の生物学的試料に適用できる。
【0006】
一実施態様において、その方法は、免疫染色からの一つ以上の抗体から発生する蛍光信号(その信号は使用される各抗体に固有で蛍光in situ雑種形成(FISH)分析用の細胞試料の後続の処理に持続する)を発生させる工程から成る。一実施態様において、それらの方法は、利用されるFISHプローブ用の必要な又は固有の蛍光を支えるものを選択することから成る、それは細胞試料からの蛍光性の免疫組織化学及びFISH信号の両方を発生する各々及び全ての蛍光性信号の個々の可視化及び定量化を可能にする。
【0007】
一実施態様において、少なくとも一つの標的核酸によって規定される遺伝的条件が試料に存在するかどうかを検出する計算機システムを操作する方法が提供される。その方法は、計数する対象及び遺伝的条件が存在するかどうかを検出する統計的予想値の分析と共に、プローブ及び試料に交雑されたプローブのディジタル化イメージの使用を含む。その計数は、例えば、遺伝的異常が検出される回数の計数及び特定の組織タイプ、細胞タイプ又は試料における異常の統計的予想との比較を含む。その計数は、遺伝的異常が生じる回数の計数及び同一試料において細胞タイプが生じる回数と同一試料において正常な核酸が生じる回数との比較を含む。その計数は、単一細胞において一つ以上の遺伝的異常を生じる回数を計数することを含む。その計算機システムは細胞タイプを同定する、細胞を計数する、細胞形態の検査、等に使用され、さらにこの情報と遺伝的異常のカウントとの比較及び相関にも使用できる。
【0008】
一実施例において、少なくとも一つの標的核酸によって規定される遺伝的条件が固定試料に存在するかどうかを検出する計算機システムを操作する方法が提供される。その方法は、ディジタル化イメージ、好適には固定試料のカラーイメージ、標的核酸に蛍光をもつ標識化プローブを特別に交雑させる条件下で蛍光in situ交雑及び関心のある第1の対象を検出する蛍光免疫染色にかけたディジタル化イメージを受ル工程;第1の対象、例えば、細胞成分を分離するために計算機で前記イメージを処理する工程;予め決めた特定の特性内の標的核酸に関連した関心を示すプローブの第1の対象を決定する工程;及び遺伝的条件が存在するか否かを検出する統計的予想に関して第1の対象、例えば、細胞のカウントを分析する工程から成る。この方法は、遺伝的条件がヒトの三染色体性21であるか否かを含む多くの遺伝的条件に適用できる。さらに、前記統計的予想は、例えば、組織タイプに基くことが理解できる。計算機は検査される細胞の組織タイプの同定に使用できるが、その組織タイプも既知である。
【0009】
ある実施態様において、前記ディジタル化イメージを受ける工程は、さらに、受けたカラーイメージ内のそれぞれの画素位置における赤、緑及び青の強度を示す赤、緑及び青画素を作る工程を含む。ある実施態様において、前記処理工程はさらに、背景内の複数の画素を手動で選択する工程;背景の部分に対応するカラー強度値の範囲を決定する工程;及び決定された範囲内にカラー強度値を有するイメージの背景領域として同定する工程を含む。ある実施態様において、測定工程前に、カラーイメージをろ波してカラーイメージにおける暗い画素カラー強度値を弱くし、カラーイメージにおける弱い画素のカラー強度値を暗くするための計算機の処理がある。そのろ波の工程はさらに、カラーイメージを孔充填フィルタに通して;ろ波し他カラーイメージをエロージョンフィルタに通し;そのエロードした充填カラーイメージ上で別の操作をして輪郭の周りの領域を画定し;論理NOT操作を行うことによってその輪郭内の画素を選択し;そして選択した画素と充填したカラーイメージとの間の論理AND操作をする工程から成る。
【0010】
ある実施態様において、遺伝的条件はさらに標的核酸と第2の核酸との比によって定義される。したがって、その方法は、さらに第2の核酸と関連した特定の予め決めた特性を有する第2の対象を同定し;同定された第2の対象を計数する工程を含む、その際の第1の対象のカウントの同定は第1の対象/第2の対象のカウントの比を見出す工程を含む。ある実施態様において、標的核酸は優勢なトレイトを定義し、第2の核酸は対応する劣勢のトレイトを定義する。それらの実施態様における方法は、優勢のトレイトを有し、劣勢のトレイトを有する、又は前記比の値に依存して優勢のトレイトを有し劣勢のトレイトを持った遺伝的条件を示す工程を含む。標的の核酸が第2の核酸の再配列であるとき、前記方法はさらに、再配列核酸と非再配列核酸と交雑するプローブを選択する工程を含む。最後に、その方法は、見出した比に関係した厳しいレベルの遺伝的条件を示す工程を含む。
【0011】
本発明の一実施態様のよって、標的‐特異の蛍光で標識化においてされている細胞を含有する試料において、計算機システムに標的物質の発生をカウントすることを指示する計算機の命令のシーケンスを固定している計算機読取り可能記憶媒体からなる計算機ソフトウェア製品が提供される、それらの命令は、蛍光を帯びた標識化試料のディジタル化カラーイメージを受ける工程;蛍光を帯びた標識化試料のカラーイメージを得る工程;そのカラーイメージにおけるバックグランウンドから関心のある対象を分離する工程;特定の特性を有する対象を列挙すべく関心のある対象のパラメータを測定する工程;及び統計的に予想される列挙に関して対象の列挙を分析して遺伝的異常性を決定する工程を指示する。その命令は上記方法に関する全ての変化を実行できる。
【0012】
本発明の別の実施態様によって、標的‐特異の蛍光で標識化されている細胞を含有する試料のイメージを分析する装置が提供される、その装置は、イメージ処理ソフトウェアが実行する計算機システム;及び蛍光を帯びた標識化試料のディジタル化カラーイメージを受ける工程;蛍光を帯びた標識化試料のカラーイメージを得る工程;そのカラーイメージにおけるバックグランウンドから関心のある対象を分離する工程;特定の特性を有する対象を列挙すべく関心のある対象のパラメータを測定する工程;及び統計的に予想される列挙に関して対象の列挙を分析して遺伝的異常性を決定する工程を含むイメージ処理命令ノシーケンスを固定している記憶媒体から成る。再び、その命令は上記方法に関する全ての変化を実行できる。
【0013】
さらに別の実施態様において、体液又は組織試料のイメージデータを処理する計算機実行法が提供される。その方法は、第1の倍率で撮った体液又は組織試料のイメージを表す第1のイメージデータ・セットのサブセットを作る工程、そのサブセットは第2の倍率で撮った候補ブローブのイメージを表す第2のイメージ・データセットのサブセットを作る希少細胞を含有する候補ブローブを示す、その第2のデータセットのサブセット希少細胞を示す、その第2ノデータセットのサブセットを計算機メモリに記憶させる工程、標的核酸と関連する特異の予め決めた特性を有する対象を同定すべく関心のある対象のサイズ及び色ノパラメータを測定する工程、測定工程で同定された対象を計数する工程、及びその対象のカウントを統計的予想カウントに関して分析して遺伝的異常性が存在するか否かを検出する工程から成る。
【0014】
一実施態様において、測定工程、計算機においてカラーイメージをろ波してカラーイメージにおける暗い画素のカラー強度値を明るくし、そしてカラーイメージにおける明るい画素のカラー強度値を暗くする処理工程を含む。ろ波は、カラーイメージを孔充填フィルタに通す工程;その充填したカラーイメージをエロージョン・フィルタに通す工程;エロード・充填カラーイメージに別の操作をして輪郭周囲領域を画定する工程;論理NOT操作をすることによって前記輪郭内の画素を選択する工程;及び選択した画素と充填したカラーイメージとの間の論理AND操作をする工程を含む。
【0015】
一実施態様において、第1のイメージデータセットのサブセットは、希少細胞の存在を示す信号を検出するコンプュータ化顕微鏡視覚システムを使用して体液又は組織試料からの細胞の単層の光学視野を観察することによってつくることができる。一実施態様において、その方法は、さらに受けるカラーイメージ内のそれぞれの画素位置における赤、緑及び青の強度を示す赤、緑及び青の画素のイメージファイルを作ることができる。本発明のいくつかの態様に従って、その処理はさらに、背景内の複数の画素を手動で選択し;その背景に対応するカラー強度値範囲を決定し;そして決定された範囲内のカラー強度値を有するイメージの背景領域として同定することから成る。一実施態様において、その信号はそれが有意の信号レベルであるか否かを決定するために測定できる。第1及び/又は第2のイメージデータ・サブセットは、ここに記載した計算機による制御及び処理により適当表示に変換できる。そのイメージデータは、例えば、赤緑青(RGB)信号から色相発光飽和(Hue Luminescence Saturation(HLS)信号に変換される。フィルタ及び/又はマスクを利用して予め選択した基準を満たす細胞を区別し、満たさない細胞を排除し、従って、例えば、希少細胞を同定するする。
【0016】
本発明の別の実施態様において、実験室サービスを行う方法が提供される、その方法は、体液又は組織試料を受ける工程、体液又は組織試料の塗抹を作成する工程、その塗抹における対象を蛍光染色で免疫染色する工程、その塗抹を診断の意味のある核酸配列で交雑する設計の蛍光プローブで処理する工程、免疫染色及び核酸プロ−ブによって発生された蛍光信号に基いて診断の意義のある交雑された核酸配列を有する関心をもつ対象をソフトウェアプログラムが自動的に同定するようにコンプュータ化顕微鏡を操作する工程から成る。
【0017】
本発明のさらに別の実施態様において、診断の意味のある核酸配列を有する関心を持つ対象を検出する工程のコンプュータ直接性能によって遂行されたときに一連の命令を固定しているコンプュータ読取り可能な記憶媒体を含むコンプュータソフトウェア製品が提供される。それらの工程は、第1の倍率で撮った体液又は組織試料のイメージを表す第1のイメージデータ・セットのサブセットを作る工程、そのサブセットは細胞又は希少細胞(10,000細胞に1個以下)のような関心のある対象を含有する候補ブローブを示す、第2の倍率で撮った候補ブローブのイメージを表す第2のイメージ・データセットのサブセットを作る工程、希少細胞を含有する候補ブローブを示す、その第2のデータセットのサブセットを計算機メモリに記憶させる工程、標的核酸と関連する特異の予め決めた特性を有する対象を同定すべく関心のある対象と関連する診断関心の核酸配列に向けられた蛍光核酸プローブと関連した蛍光を測定する工程、その測定工程において同定された対象をカウントする工程、及びその対象のカウントを統計的予想カウントに関して対象のカウントを分析して遺伝的異常性が存在するか否かを検出する工程から成る。
【0018】
本発明のさらに別の実施態様において、診断方法に対する細胞試料を調製する方法が提供される。その細胞試料を得て、基板上の単層として固定される、その細胞試料は10,000個に1個以下(すなわち、0.01%以下)で存在する希少細胞を含む。その単層は希少細胞に向けられた蛍光免疫染色で免疫染色されて、病気の状態又は異常に関連した核酸配列に向けられた蛍光プローブで処理される。細胞試料の少なくとも一部分をカバーする光学視野は、希少細胞の存在及び関心の核酸配列を示す蛍光信号に対してコンプュータ化顕微鏡視覚システムを使用して観察される。診断操作に対して各信号を検出して、信号が検出される座標を同定する。病気の状態又は異常に関連した核酸配列を示す希少細胞のカウントを利用して診断をする。仮の診断はコンプュータ化顕微鏡視覚システムによって自動的にする。一実施態様において、希少細胞は0.01%以下の細胞で存在する。他の一実施態様において、希少細胞は0.0001%、0.00001%又は0.000001%以下でさえも存在する。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様において、検出され診断される希少細胞は動物又は患者からの細胞又は組織に見られた癌細胞である。その試料は細胞又は組織生検を含有する血液又は他の体液にすることができる。この実施態様の説明として、第5節に記載されている癌細胞マーカー、例えば、GM4蛋白質、テロメラーゼ蛋白質又は核酸、及びp53蛋白質又は核酸が、本発明の特定の適用によって決定されるように第1又は第2の信号の発生に使用される。
【0020】
本発明の一実施態様において、試料に希少細胞タイプが存在するとき本発明のほ方法は80%以下でない頻度で検出する。他の実施態様において、その検出頻度は85%、90%、95%及び99%以下でない。
【0021】
本発明の一実施態様によって、診断手順に対して血液試料の調製法が提供される、その方法は、自然に存在する濃度の胎児細胞を含有する非濃厚母性血液試料の塗抹を調製し;関心の核酸配列に向けられた蛍光核酸プローブで前記塗抹を処理し;胎児細胞の存在を示す蛍光信号に対するコンピュータ化顕微鏡視覚システムを使用して塗抹の一部分をカバーする光学視野を観察し;及び前記核酸プローブからの蛍光信号によって関心の核酸配列を有する胎児細胞を同定する工程を含む。
【0022】
一実施態様において、その信号はさらに希少細胞の形態学的測定を示すためにさらに処理される。別の実施態様において、その細胞は希少細胞の他の細胞と相違を強調するラベルで処理される。この実施態様において、その信号は、例えば、希少細胞に選択的に結合するラベルからにできる。別の実施態様において、診断方法は同定された座標に移動させ、単離された希少細胞のイメージになるまで光学的視野を拡大する工程を含む。
【0023】
ある実施態様において、光学視野は細胞の実質的全てをカバーする細胞の部分の配列を横切る。これは、例えば、コンピュータ化顕微鏡視覚システムのレンズに対してコンピュータ化顕微鏡視覚システムの制御下で基板上の細胞を移動させることによって達成できる。別の実施態様において、第1の信号が得られた座標が同定され、次にそれらの座標における希少細胞がその座標が同定された後で接触される。
【0024】
ある実施態様においては、診断信号を使用して希少細胞の同定をすることができる。他の実施態様においては、位置信号を使用して希少細胞の同定をすることができる、そして細胞を配置した後にその診断信号が得られる。
【0025】
一実施態様において、希少細胞は試料に10,000細胞ごとに1個以下(即ち、0.01%以下の細胞)で存在する。他の実施態様においては、その希少細胞は0.001%、0.00001%又は0.000001%以下で存在する。ある特定の重要な実施態様において、その希少細胞は母性血液からの細胞試料における胎児細胞である。その試料は、自然に存在する濃度の胎児細胞(それは0.001%、0.00001%又は0.000001%又は0.0000001%以下にできる)のみを含有することが望ましい。
【0026】
前記実施態様のいずれにおいても、細胞は、例えば、顕微鏡スライド上で調製できる、又は基板は一つの工程で同定された希少細胞の座標を別の工程で後に戻すことができるように基板に目盛をつけることができる座標システムを有する。同様に、実施態様における基板は幅の10倍の長さを有し、基板は一方向に長くなっている。その長さは幅の20倍にもできる。基板は柔軟なフィルムにすることができ、一つの実施態様において、比較的大体積の塗抹化母性血液から提供される比較的大きい体積の細胞を載せる長い柔軟なフィルムである。前記実施態様のいずれにおいても、免疫染色からの蛍光信号及び核酸プローブからの蛍光信号は、両者が存在するときにそれらが互いにかくさないように選択できる。
【0027】
実施態様にしたがって、かかる方法は豊富にしない又は豊富にした試料、例えば、自然に存在する胎児細胞を含有する母性血液を使用できる。
【0028】
本発明は、添付図面に関して、本発明の以下の詳細な説明及び種々の実施例を読むことによってさらに理解できると思われる。詳細な説明は体液又は組織試料として胎児細胞、希少細胞タイプ、及び血液に関して本発明を説明するが、本発明が全ての細胞タイプ及び体液又は組織試料、特に基板上の細胞の単層として付着した試料に基いた診断に適用できることを当業者は理解されるであろう。
【0029】
本願発明の範囲内の体液及び組織試料は、限定ではなく、血液、組織バイオプシー、脊髄液、悩脊髄液、尿、胞巣液、等を含む。それらの組織試料に対して、細胞は自然には単層で存在しないから、細胞は当業者には既知の標準技術によって解離される。これらの技術は、限定ではいが、組織のトリプシン、コラゲナーゼ又はディスパース処理を含む。
【0030】
一実施態様において、本発明は胎児細胞の検出及び診断に使用される。蛍光免疫染色は例示実施態様において細胞の同一性を示すために使用される。例えば、免疫染色はヘモグロビンε−連鎖、即ち、例えば、胚ヘモグロビンに対して抗体に結合した蛍光染料である。さらに、細胞認識アルゴリズムを使用して見つけた核生成赤血球の特徴的形態への各細胞の類似度の計測を用いて細胞の同一性を決める。
【0031】
診断は核酸プローブの信号(又は免疫染色信号及び核酸プローブ信号の組合せ)に基づくことができる。
【0032】
例示の実施態様において、FISHは希少細胞タイプ、例えば、胎児細胞の変性試験DNAを変性ジオキシジェニン(DIG)−標識化ゲノムプローブと交雑することから成る。その試験DNAを含有する試料は洗浄して蛍光を運ぶものに結合した抗-DIG抗体に結合させる。任意に、蛍光体(例えば、FITC)の第2の層は蛍光体−共役抗−Fab抗体との低温放置によって添加される。一実施態様において、FISHは、希少細胞の変性DNAを特定の蛍光体で直接標識化された特定の標的DNAと同族のDNAから成る蛍光標識化したプローブと交雑することから成る。
【0033】
自動化試料分析は、関心の光学視野対象物を他の対象物及び背景化から区別する装置及び方法によって行う。自動化システムの例は1994,10月4日に発行された米国特許第5,352,613号に開示されている。さらに、一端対象物が同定されたら、色、即ち、その対象物に対して関心の対象物又は他のパラメータからなる画素用の赤、緑、青成分の組合せを測定及び記憶することができる。
【0034】
遺伝的条件の自動化試料分析及び診断は次のように進行する:(i)蛍光を帯びた標識化プローブを標的核酸に交雑させる条件下でin situ交雑において蛍光を受けた固定試料のディジタル化カラーイメージを受ける;(ii)計算機におけるカラーイメージを処理して関心の対象物をカラーイメージにおける背景から分離する;(iii)関心の対象物のパラメータを測定し、特定の特性を有する対象物を同定する;(iv)同定された対象物をカウントする;および(v)統計的予想カウントに関して対象物のカウントを分析して遺伝的条件を決定する。その方法は、染色体数及び/又は配列における異常に関連した遺伝的条件の診断に有用である。したがって、例えば、本発明は、再配列染色体セグメントを検出する標識化プローブとそのセグメントが転座去れている染色体と組合せを使用することによって染色体再配列の検出に使用できる。さらに一般的には、三染色体性の外に、遺伝的増幅、及び転座、欠失及び挿入を含む再配列は、適当に選択した蛍光プローブ関して本発明の態様を具体化する方法を用いて検出できる。
【0035】
ここでの用語「遺伝的異常性」は、健康な人、即ち、正常な染色体補体を有する個体から得た染色体の対応する数及び/又は配列に関して一つ以上の染色体の数及び/又は配列における異常を意味する。遺伝的異常は、例えば、典型的に約15の塩基対と少ない、及び前染色体のように多いヌクレオチド配列によって特徴付けられる染色体の付加、欠失、増幅、転座及び再配列を含む。遺伝的異常性は点突然変異も含む。
【0036】
その方法は、望ましくは含まれる細胞及び亜細胞成分の構造的完全さを保存する方法で処理された固定試料、即ち、固体支持体に付着された固定試料における一つ以上の遺伝的異常を決定するのに有用である。細胞を含有する試料を固体支持体に固定する方法は、例えば、ガラススライドが当業者には周知である。
【0037】
その試料は少なくとも一つの標的核酸を含む、その分布は遺伝的異常を示す。用語「分布」は、標的核酸を含むことが知られている一つ以上の核酸(例えば、染色体)における標的核酸の存在、不在、相対的な量及び/又は相対的場所を意味する。一実施態様において、その標的核酸は三染色体性21を示す、したがって、その方法はダウン症候群の診断に有用である。一実施態様において、ダウン症候群分析を意図する試料は母性末梢血液から得られる。さらに詳細には、細胞は標準の方法にしたがって末梢血液から単離される、その細胞は、標的核酸の検出をする標準の方法(例えば、実施例を参照)にしたがって固体支持体に付着される。
【0038】
In situ交雑における蛍光は、特に標的核酸に交雑させ、それによって核酸の可視化を促進するために蛍光を帯びた標識化プローブを用いる核酸交雑法を意味する。かかる方法は当業者には周知であって、例えば、米国特許第5,225,326号;米国特許出願第07/668,75ここに取り入れてある。一般に,in situ交雑は、例えば、単一細胞レベルでの組織に含まれるような核酸を含有する試料における核酸の分布を決定するのに有用である。かかる技術は、核型分析、並びに細胞に含まれる特定の遺伝子の存在、不在及び/又は配列の検出に使用されてきた。しかしながら、核型に対しては、試料中の細胞は典型的に、in situ交雑反応の実行のために固体支持体に細胞を付着させる前に中期(又は間期)まで増殖して「中期‐拡散」を得る。
【0039】
簡潔に,in situ交雑は試料を固体支持体に固定し、試料を少なくとも沈殿剤及び/又は架橋剤を含有する媒質と接触させることのよってその中に含有される成分の構造的完全さを保存する。試料を固定するのに有用な例示剤は実施例に記載されている。或いは、固定液は当業者には周知であって、例えば、前記特許に記載されている。
In situ交雑は交雑溶液に含まれる添充プローブに交雑できるように標的核酸を変性させることによって実行される。固定試料は変性剤及び交雑溶液と同時又は連続的に接触される。したがって、一実施態様において、固定試料は変性剤及び少なくも一つのオリゴヌクレオチド・プローブを含有する交雑溶液と接触される。そのプローブは標的核酸のヌクレオチド配列に少なくとも実質的に添充のヌクレオチド配列を有する。交雑溶液は任意に一種以上の交雑安定剤、緩衝剤及び選択的孔形成剤を含有する。特定の標的拡散への特定プローブの交雑を達成するための交雑条件の最適化は当業者には周知である。
【0040】
プローブに関して、用語「実質的に添充」は、本発明を達成するのに十分な添充量を意味する、即ち、核酸標的にプローブの特異的交雑をさせるが、本発明の実施に用いる交雑条件下で非標的核酸配列にプローブを会合させない添充量を意味する。かかる条件はin situ交雑の技術における当業者には既知である。
【0041】
本発明が有用な遺伝的異常は、正常な染色体補体を有する個体から得た染色体に関して1つ以上の染色体の数及び/又は配列に異常があるものを含む。本発明によって検出される例示染色体はヒトのX染色体、Y染色体及び染色体13,18及び21を含む。例えば、核酸は全染色体、例えば、染色体21にすることができる、その場合染色体の3つのコピーの存在(標的核酸の「分布」)は遺伝的異常、ダウン症候群を示す。標的核酸へ特別に交雑させるのに有用な例示プローブ(例えば、染色体)は遺伝的以上の診断である染色体に配置できる。例えば,Harrions’s Principles of Internal Medicine, 12th etition,ed.Wilson et al.,MaGraw Hill, N.Y.,N.Y.(1991)参照。
【0042】
本発明の一実施態様は、例えば、母性末梢血液、癒合素子液、絨毛膜性ビリ、羊水、及び胚組織に存在する胎児細胞における三染色体性21(以下で検討)を検出することによってダウン症候群の出生前診断に向けられる。しかしながら、本発明の方法は胎児細胞の分析に限定されない。したがって、例えば、標的核酸を含有する細胞は、真核細胞(例えば、血液、皮膚、肺から得られる細胞及び正常並びに腫瘍源を含む細胞を含むヒトの細胞);原核細胞(例えば、バクテリア9)及び植物細胞である。一実施態様にしたがって、本発明は種々のウイルス株を識別するために使用される。この実施態様にしたがって、標的核酸は非エンベロープ・ウイルス又はエンベロープ・ウイルス(脂質蛋白質膜のような非エンベロープ膜を有する)にある(上記文献参照)。本発明によって検出できる例示ウイルスはヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス及びヘルペスウイルスを含む。
【0043】
オリゴヌクレオチド・プローブは標準のやり方で蛍光体(蛍光「タグ」又は「ラベル」)の標識を付ける。その蛍光体はプローブに直接に付着させる(即ち、共有結合)又は間接的に付着させる(例えば、ビオチンをプローブに付着させる及び蛍光体をアビジンに共有結合させることができる;ビオチン標識化プローブ及び蛍光体標識化アビジンは本発明の方法における蛍光体標識化プローブとして機能できる複合体を形成できる)ことができる。
【0044】
本発明の方法及び装置にしたがって使用できる蛍光体は当業者には周知である。これは4,6−ジアミノー2フェニルインドール(DIPA)、フルオロセイン・イソチオシャネート(FITC),及びローダミンを含む。例えば、実施例を参照されたい。又、Gribnauらによる1983年2月15日発行の米国特許第4,373,932号(その内容は本発明の方法に従って使用できる例示蛍光体のリストに参考として取り入れてある)を参照されたい。相互に異なる励起及び放出スペクトルを有する蛍光体の存在は、単一固定試料における一つの標的核酸よりも同時可視化をさせる。
【0045】
標的核酸の分布は遺伝的異常を示す。検出される遺伝的異常は突然変異、欠失、付加、増殖、転座及び再配列を含む。例えば、欠失は光学的視野における蛍光信号の不在を検出することによって同定できる。遺伝的配列の欠失を検出するために、正常細胞に存在するが異常細胞には存在しない標的核酸に添充であるプローブの個体群を調製する。そのプローブが固定試料における核酸に交雑するならば、その配列は検出され、細胞はその配列に関して正常と呼ばれる。しかしながら、そのプローブが固定試料に交雑しない場合は、信号は検出されず、細胞はその配列に関して異常と呼ばれる。当業者には既知である標準のやり方に従った適当な制御がin situ交雑反応に含まれる。
【0046】
標的核酸の付加に関連した遺伝的異常は、例えば、染色体ノポリヌクレオチド反復セブメントへの蛍光体標識化プローブの結合を検出することによって同定できる遺伝的配列の付加(三染色体性)を検出するために、標的核酸に添充であるプローブの個体群を調製する。染色体21の3つのコピーを含有する固定細胞への標識化プローブの交雑は実施例に検討されているように示される。
【0047】
増殖、突然変異、転座及び再配列は、正常配列及び増殖、突然変異、転座及び再配列を疑われる配列の間の核酸標的におけるブレークポイントに特別に結合できるプローブを選択し、上記方法を行うことによって同定される。このように、蛍光信号は標的核酸に帰着し、それは次に試験される試料における遺伝的異常の存否を示すことに使用される。
【0048】
そのプローブは、正常な個体のDNAにおいてはブレークポイントを横断する核酸配列に添充であるが、異常な個体のDNAにおいてはそうでない配列を有する。遺伝的異常を検出するプローブは当業者には周知である。
【0049】
利用される計算機制御システムの実施態様の革新的特徴は同一の光学特性を有する2つ以上の対物レンズの配列である。それらのレンズは列に配列され、それらの各々は自身のz-軸移動機構を有するので、それらは別個に焦点を合わせることができる。
【0050】
各対物レンズは自身のCCDカメラに接続される。各カメラはイメージ獲得装置に接続される。必要な各光学視野に対して、コンプュータはその物理的位置を顕微鏡試料上に記録する。これはコンプュータ制御x-yメカニカルステージの使用を通して達成される。カメラによって提供されるイメージはディジタル化されてホストコンプュータメモリーに記憶される。
【0051】
そのコンプュータは使用並びにモータ付きステージの位置における対物レンズ-配列の特徴のトラックを保つ。各イメージの記憶された特徴は、イメージを仮想パッチワーク、即ち、コンプュータメモリーにおける「組立て」イメージにおける正確な位置に合わせるのに使用できる。
【0052】
ホストコンプュータシステムは、システムの全ての機械的要素を適当な駆動装置を介して制御するソフトウェアシステムによって駆動される。そのソフトウェは、コンプュータメモリーにおけるディジタル化イメージを構成しその構成イメージをさらなるアルゴリズムに供給するイメージ構成ルゴリズムから成る。イメージの分解、合成、特定試料に特別なイメージ処理特異特徴を通して検出される。
【0053】
一実施態様において免疫染色及びプローブ信号の両方が同時に検出される。それらの信号は、(別々に処理される免疫染色及びプローブに対する異なる染色体からの信号で)別々に処理される。一実施態様において、座標の信号又は2つの成分の相互作用(例えば、パートナー信号による信号のケンチング)からもたらされる単一信号においてさえも免疫染色及びプローブ信号の両方の同時存在が診断目的に使用される。
【0054】
一般に、免疫染色信号の発生に使用される材料及び技術は、第2のプローブを発生するのに使用される材料及び技術を相反して妨げてはならない、そして逆も同じである。診断を許容できない妥協をする程度に測定すべく求められた細胞の特性を免疫染色又はプローブは損傷を与えたり変えてはならない。最後に、細胞の他の望ましい又は必要な処理は一般に、診断を許容できない妥協をする程度に第1及び第2の信号を発生するために使用する材料及び技術を妨げてはならない。
【0055】
本発明の一実施態様において、希少細胞タイプが検出されないとき、本発明の方法はその希少細胞タイプを80%以下の頻度で検出する。他の実施態様において、その頻度は85%、90%、95%及び99%以下である。
【0056】
個体の対立形質のタグ付け用の単一染色体は同時に試験できる突然変異数に関して上限を作るが、組合せ化学を用いてタグを付けて同時に検出できる対立形質特異の突然変異の数に使用される。本発明の範囲内にある染色体異常は限定ではないが三染色体性21,18,13及びXXX,XXY,XYYのような性染色体異常を含む。組合せ化学の使用で、本発明の方法は遺伝的不規則性及び癌に観察される転座を含む多数の再配列の診断に使用できる。本発明の範囲内にあるメンデルの不規則性は、限定ではないが嚢状繊維症、ヘモクロマトシス高脂血漿、マルファン症候群及び他の結合組織の遺伝不規則性、ヘモグロビン異常症、テイ・サックス症候群又は突然変異が知られている他の遺伝的不規則性を含む。組合せ化学染料の使用は同時タグ付け及び多対立遺伝子の検出を可能にし、従って共通の無秩序さの素質の遺伝、例えば、喘息及び/又は癌に特異の分子マーカーの存在、例えば、前立腺、胸、結腸、肺、白血病の癌を決定することを可能にする。
【0057】
本発明の一つの用途は癌の分野である。特定タイプの癌細胞はしばしば非癌細胞の背景に対して形態学的に認識できる。従って、がん細胞の形態は第1の信号として使用できる。熱ショック蛋白質も大部分の周辺癌において表現されるマーカーである。熱ショック蛋白質に特異の蛍光タグ付け抗体のような標識化抗体は第1の信号を発生するのに使用できる。同様に、特定癌又は前立腺のような特定組織に特異の抗原があり、前立腺特異のような癌又は組織抗原に特異の抗体は癌細胞などに第1の信号を発生させるために使用できる。
【0058】
従って、他の細胞の背景における希少細胞は本発明に従って同定及び確認することができる。その確認は、癌細胞の存在の診断の確認、癌のタイプの決定、癌のリスク、等に関係する遺伝的変化のマーカーの存在を決定することによって癌のリスクの決定を含む。
【0059】
遺伝的変化のマーカーは癌リスクの査定を可能にする。それらは発癌性剤にさらす情報を提供する。それらは発がん物質にさらされたことに起因する初期の変化を検出できる、そして癌成長の特に高リスクを持った個人を同定する。かかるマーカは膀胱癌における染色体9のLOH,および結腸直腸癌形成において検出される染色体1pの削除及び染色体7,17、及び8の獲得/損失を含む。
【0060】
肺癌の発達は多遺伝的変化を必要とする。癌遺伝子の活性化はK−ras及びmyc遺伝子を含む。腫瘍抑制遺伝子の不活性化はRb,p53及びCDKN2を含む。変化をしている特定遺伝子の同定は、悪性になる運命にある細胞の初期検出に有用であって、薬剤及び遺伝子ベースの治療に可能性のある標的に同定を可能にする。
三染色体性の決定において、本発明は単細胞における三染色体性の存在の決定、及び/又は細胞の個体群における三染色体性を持った単細胞の頻度を決定することを意図している。三染色体性及び三染色体性に関連した条件のリスクの存在が次に評価される。
【0061】
関係診断情報を得るために、信号がカウントできる他の情報(例えば、異なる組織タイプ等の予測される信号頻度についての他の信号カウント、統計的情報)と比較できることが重要である。
【0062】
また、本発明は、一対の信号、一つは胎児細胞のような標的希少細胞を同定する信号、他は遺伝的欠陥をもつ胎児細胞のような細胞の状態を評価するのに有用な信号に関して記載されてきた。ある実施態様に従って、単一細胞のみが検出の必要があることを理解すべきである。例えば、胎児細胞がY染色体を帯びて診断がY染色体に異常がある場合、遺伝的異常を同定する信号は胎児細胞を同定する信号と同一にできる。別の例として、単一細胞は観察されるトレイトが劣勢トレイトである場合の環境に採用できる。一対の信号は、2つの対立遺伝子の存在又は異なる遺伝子における2つ以上の存在によって診断される条件の存在の検出に使用できる。これらの環境において、対の信号(又は数個の信号でも)は表現型及びその表現型を有する細胞を同定できる。かかる実施例は当業者には明白である。
【0063】
例示実施態様
実施例1
次の方法は、免疫染色法を使用して胎児ヘモグロビンを含有する細胞の存在用の血液試料の分析及び蛍光標識化in situ交雑法によって同じ細胞におけるX及びY染色体の存在を決定する。
【0064】
細胞は顕微鏡分析に適する個体支持体上に付着されメタノールで固定される。空気乾燥に続いて、細胞はリン酸塩緩衝化塩水中ですすぎ、さらにリン酸塩緩衝化塩水中2%ホルムアルデヒドで固定される。次に細胞はリン酸塩緩衝化塩水中で連続的に洗浄され、さらにTween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水によって洗浄される。過剰の液体の除去後、阻害剤を添加し、加湿室でそのスライドを培養する。阻害溶液を除去後、阻害剤に一次抗体の希釈液を添加し、その細胞を加湿室で30〜120分間培養する。その抗体溶液は次に除去されて細胞はTween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水中で数回洗浄される。過剰の液体は除去され、阻害剤におけるアンチ‐マウス二次抗体の希釈液を添加し、その細胞を加湿室で30〜120分間培養する。その抗体溶液は次に除去して、細胞はTween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水中で再び数回洗浄する。過剰の液体の除去後、アルカリ性リン酸塩緩衝液におけるHNPP/ファスト赤染料のろ過液を添加して細胞試料を10分間培養する。その染色溶液を除去し、Tween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水にて、洗浄して細胞は続いてTween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水におけるDAPIの溶液で洗浄する。その細胞はTween20を含有するpH7.6のTris緩衝化塩水で2回洗浄し、次に標準のクエン酸塩水で洗浄し、過剰の液体を除去し、細胞を空気乾燥する。その細胞は次にリン酸塩緩衝化塩水中50mMMgClで5分間洗浄し、次にリン酸塩緩衝化塩水で2回洗浄し、過剰の液体を除去して、細胞を乾燥する。交雑におけるDNA及び/又はRNAのような蛍光標識化したFISHプローブの溶液を次に添加し、その細胞を含有するスライドの上にカバースリップを置き、次に細胞は74℃で2.5分間培養し、次に加湿室で37℃で4〜16時間培養する。そのカバースリップを除去して細胞を室温で2分間0.4X標準クエン酸塩水中で洗浄する。過剰の液体を除去し、細胞を空気乾燥して顕微鏡用に取り付け分析をする。
【0065】
実施例2
装 置
図1のブロック図は本発明のこの態様を実施するのに適当な実施システムの基本的構成要素を示す。かかるシステムの基本的要素はX−Yステージ201、水銀光源203、モータ付き対物レンズ・チュレット(台)207を備えた蛍光顕微鏡205、カラーCCDカメラ209、パソコン(PC)システム211、及び一つ又は2つのモニタ213,215を含む。
【0066】
システムの個々の要素は標準構成成分として慣例建造又購入既成できる。各要素は若干より詳細に記載される。
【0067】
選択した顕微鏡205で使用するのに適当なモータ付き位置ステージにすることができる。X−Yステージ201はパソコンに接続され特別に対応するソフトウェア・コマンドを使用して電子制御できるモータ付きステージにすることが望ましい。かかる電子制御X−Yステージ201を使用するとき、PC211の拡張バスに差し込んだステ−ジ制御回路がステージ201をPC211に接続する。ステージ201は、手動で駆動することもできる。ここに記載のような電子制御ステージは顕微鏡メーカ、例えば、オリンパス(東京、日本)、並びに他のメーカ(LUDL,米国、NY)を含む顕微鏡メーカによって製造される。
【0068】
顕微鏡205は、例えば、反射光蛍光照射器203,20xで油浸60x又は63x対物レンズを備えて最大600xを提供できるモータ付き対物レンズを備えた蛍光顕微鏡である。モータ付き対物レンズ台207はPC211に接続されて、特別に対応するソフトウェア・コマンドを使用して連続的倍率の間を電子切換することが望ましい。かかる電子制御モータ付き対物レンズ台207を使用するとき、PC211の拡張バスに差し込まれた対物レンズ台制御回路カードはステージ201をPC211に接続する。顕微鏡205及びステージ201は水銀光源203を含むように組み立てて、完全光学視野の終始変わらない実質的に均等な照明を提供できる。
【0069】
顕微鏡205はカメラ209によって視たイメージを発生する。カメラ209はカラー3−チップCCDカメラ又は電子出力を提供して高感度及び高解像度を提供するために接続された他のカメラにすることができる。カメラ209の出力はフレーム・グラブ及びPC211に取り付けたイメージ処理回路盤に供給される。適当なカメラはソニー930(日本、ソニー)である。
【0070】
種々のフレーム・グラブシステムを本発明に関して使用できる。そのフレーム・グラブは、例えば、MATROX(カナダ、モントリオール)から入手できるボードのMATROX IM−CLD(カラーイメージ収集モジュール)とMATROX IM−640(イメージ処理モジュール)セットの組合せにできる。MATROX IM−640モジュールはハードウェア支持イメージ処理能力に特徴がある。これらの能力はMATROX IMAGINGLIBRARY(MIL)ソフトウェアパッケージの能力をほめる。したがって、それはMILをベースにしたアルゴリズムの極めて迅速な遂行を提供する。そのMATROXボードは専用のSVGAモニタへの表示をサポートする。その専用モニタはPCシステム211で一般に使用されるモニタに加えて提供される。
【0071】
MATROXイメージ処理ボードと併用されるのに適当なモニタSVGAを使用できる。本発明に関して使用できる一つの専用モニタはViewSonic4E・SVGAモニタである。有効な十分な処理及び記憶能力を有するために、PCシステム211は、少なくとも32MB RAM及び少なくとも2GBのハードディスク・ドライブ記憶スペースを有するINTEL PENTIUMをベースにしてPCにすることができる。PC211は、さらにモニタを含むことが望ましい。ここで記載して特徴以外、PC211は普通のものであり、キーボード、プリンタ、又は他の必要な装置(図示せず)を含むことができる。
【0072】
PC211はMATROX IMAGINGLIBRARY(MIL)を使用してMICROSOFT++に対応した塗抹分析ソフトウェア・プログラムを遂行する。MILは機能のソフトウェア・ライブラリであって、フレームグラブ211の操作を制御するもの及びディスクファイルとしてPC211に以後の記憶のためにフレームグラブ211によって収集されるイメージを処理するものを含む。MILはろ波、対象の選択及び種々の測定機能としてイメージ処理タスクを実行するのに特に適した多数の専門のイメージ処理ルーチンから成る。塗抹分析ソフトウェア・プログラムはWINDOWS 95適用として実行する。プログラム指示メーセージ及び測定結果はコンプュ−タ・モニタ213上に示される、一方イメージング・ハードウェア211を通して獲得したイメージは専用のイメージング・モニタ215上に表示される。
【0073】
塗抹分析プログラムを使用して顕微鏡イメージを処理するために、最初にシステムは校正される。校正は性能における毎日の変動並びに一つの顕微鏡、カメラ、等から別のものへの変化を補正する。このフェーズの間、補正イメージを見て、次の補正パラメータをセットする:
・システムのカラー応答;
・胎児細胞用に走査される塗抹を含有するスライド上の領域の寸法及び境界;
・倍率20x及び60x(又は63x)を使用したときの光学視野の実際の寸法;及び
・倍率20x及び60x(又は63x)を使用したときの最小及び最大胎児核面積。
【0074】
対象同定信号の検出
検出アルゴリズムは2ステージで演算する。第1ステージは図2の流れ図の実施態様に示す予走査ステージ1であり、低倍率及び高速を使用して可能な胎児細胞の位置を同定する。例えば、20xの対物レンズを選択して、胎児細胞の探索を開始できる:
・プログラムは自動化ステージ(図2,201)を事前設定出発点、例えば、塗抹含有スライドの隅の一つに移動する。
・事前設定出発点におけるステージのx−y位置は記録した(工程301)光学視野である。
・光学視野はCCDカメラ209を使用して獲得し(工程305)て、RGB(赤/緑/青)イメージとしてPC211へ転送される。
・そのRGBイメージはILLS(Hue/Luminance/Saturation)表示に変換される。
・色相成分は黒及び白のイメージとして2進量子化(工程309)されるので、190〜255の間の範囲の色相値をもった画素は関心のある領域(ブロブ)を示す0(黒)にセットされるが、一方他のそれぞれの画素値は255(白、背景)にセットされる。ブロブは可能な胎児細胞核領域を示す。
・2進量子化イメージにおける各ブロブの面積が測定される。20xの場合には、それはサイズが約20〜200画素の範囲外である、ブロブ画素は255の値(背景)にセットされる;それらはさらなる処理からは排除される(工程311,313,315及び317)。
・次に特注のMATROX機能を使用して各ブロブの重力中心の座標を計算する(工程319)。ブロブの重力中心は、ブロブ形状の材料の薄い均一な密度のシートから切除される点がバランスする点である。これらの座標は最新の光学視野のx−y位置と共にデータベースに記憶されるので、そのブロブは、より高倍率を使用する次の処ステージで再び配置される。
・追加の光学視野は同様に処理され、スライド全体がカバーされるまで後続の各光学視野のx−y位置を記録する(工程321お及び323)。
【0075】
図3A及び3Bの実施態様の流れ図に示すステージIIは最終の胎児細胞認識プロセスを含む:
・63xの倍率を選択する(工程401)。
・そのプログラムは、最初に見つけたCGの第1の位置の座標(それは可能な胎児細胞核領域である)が光学視野の中心であるように自動化ステージを移動する(工程403)。
・光学視野は、CCDカメラ(図2,209)を使用して獲得し、RGBイメージとしてコンプュータに転送する(工程405)。
・そのRGBイメージHLSモデルに変換される(工程407)。
・次にプログラムは、発光値が発光の各可能な値に等しくなる画素の数をカウントすることによって発光柱状図を作る(工程409)。それらのカウントは、配列の中に、各指数に対応する灰色−レベル値を有する画素のカウントを含有する長さの配列256として記憶される。
・プログラムは次に配列に記憶された値によって表される発光分布曲線を分析する(工程411)、そして最後のピークを配置する。このピークはイメージにおけるプラズマ領域を示す画素を含むことがわかった。その機能は、発光分布曲線を分析し;曲線に平均して滑らかに移動する9−点を計算し;10灰色−レベル値の距離によって画定される線の接線を計算し;これら線の傾斜度を計算し;曲線がゼロ傾斜を有する逐次点を見出してこれらの点(灰色レベル)それらが最小(曲線の谷)を示す場合−1又はそれらが最大(曲線におけるピーク)の場合1としてセットし;次に灰色レベル値の配列における1又は−1の位置を見つけることによって曲線におけるピーク又は谷を見つける。
・そのプログラムは次にカットオフ値として分布の最終ピークの前に生じる発光分布の谷にある画素の灰色レベル値をセットする(工程413)。
・このカットオフ値を使用して、プログラムは次に第2の2進量子化イメージを出す。これは白黒画像であって、カットオフ点より低い灰色レベル値を有する発光イメージにおける画素に対応する画素は255(白)にセットし、カットオフ点より高い灰色レベル値を有する発光イメージにおける画素に対応する画素は0(黒)にセットする。このイメージの白ブロブは細胞として処理されるが、黒の領域は非細胞領域として処理される。
・閉鎖フィルタは第2の2進量子化イメージに適用される(工程417);このように孔、即ち、白の領域内の黒点は閉鎖される。
・プログラムはこれで細胞の領域を測定する。細胞の領域が200画素以下の場合にはこれらの画素は排除される、即ち、これらの細胞から成る画素は画素値255(黒)にセットされる(工程419)。
・MILにみられる孔充填機能は残りのブロブに適用される(工程412)。
・処理後に得られた2進量子化イメージはその白の領域が細胞のみを示すマスクである。
・赤の血液細胞はここでHLSイメージの飽和成分に基く白の血液細胞から区別される。そのマスクは処理を細胞領域のみの限定に使用される。
・プログラムは今度はその飽和値が飽和のそれぞれ可能な値である画素の数をカウントする。それらのカウントは各指数に対応する灰色レベル値を有する画素のカウントを含む長さ256の配列として配列に記憶される(工程423)。
・プログラムは今度は配列に記憶された値によって示される飽和分布曲線を分析する(工程25)、そして第1のピークを配置する。このピークは白い血液細胞に含まれる領域を示す画素値を含む。
・ピークがカットオフ点としてセットされる後、灰色レベル値は第1の最小(谷)と一致する。
・このカットオフ値を使用して、プログラムは第3の2進量子化イメージを作成する。カットオフ点より高い灰色レベル値を有する飽和イメージにおける画素に対応する画素は255(白)にセットされる。それらは赤の血液細胞領域を構成する。カットオフ点より低い灰色レベル値を有する飽和イメージにおける画素に対応する画素は0(黒)にセットされる。この第3の2進量子化イメージの白いブロブは赤血液細胞に属する領域用の核である。
・閉鎖用フィルタが第3の2進量子化イメージに適用される;このように孔、即ち、白い領域内の黒点は閉鎖される。
・MILに見られる孔充填機能は残りのブロブに適用される(工程435)。
・処理後に得られる2進量子化イメージは白い血液細胞のみを含有する新しいマスクである。
・MILの消去境界ブロブ機能が今度は残りのブロブに適用されて(工程435)、イメージ領域の境界と一致する画素を含むものを除去する。かかるブロブは、それがイメージ領域の境界と一致するときにどれだけの細胞が失われたかわからないので、さらなる処理に含むことができない。
・侵食フィルタがこのマスクに6回適用される;従って全ての結合ブロブ(白い血液細胞核)は離される(工程437)。
・「厚い」フィルタが14回適用される(工程439)。「厚い」フィルタは拡大フィルタと同等である。即ち、それはブロブの周辺で画素の列を連続的に加えることによってブロブのサイズを増す。成長するブロブがその次に成長する隣接ブロブと会う場合には、厚フィルタは2つの成長ブロブを結合させない。従って隣接ブロブは分離できる。
・第1の2進量子化マスク(全ての細胞を含有)及び第3の2進量子化マスク(白色血液細胞の分離核を含有)はRECPMSSSTRICTFRPOSEED MILオパレータと組み合わされる。各構成された第4のマスクは、第3のマスクによって可能なしたがって白色血液細胞を示す第1のマスクからコピーされるブロブを含む(工程441)。
・第4マスクにおけるブロブはそれらの面積及びコンパクトさが測定される:面積(A)はブロブにおける画素の数である;コンパクトさは外周(p)とブロブの面積(A)から得られ、それはp2/4(A)に等しい。形状が複雑なほど、値は大きくなる。円は最小のコンパクト値(1.0)を有する。外周は、対角線縁部がディジタル化されるとき(内側の隅が2.0よりむしろ1.414とカウントされる)ときに生じる階段効果に対してされる許容度でブロブにおける縁部の全長である。ブロブは、それらの面積が1000〜8000画素である場合のみ第4のマスクに保持される、そしてそれらは3以下のコンパクトさを有し、従って細胞に比較的荒い輪郭を可能にする。イメージの境界に接触するブロブはさらなる処理から除外される(工程443)。第4のマスクは次の方法で色相成分に適用される(工程445,447,449及び451)。
・色相成分からの画素はそれらの色相を保持する新しいイメージに複製される、但しそれらの座標はマスクにおける白(255)と一致する;新しいイメージにおける全ての他の画素は0(黒)にセットされる(工程445)。
・隣接する非−0画素領域の各々における画素値、即ち、赤色細胞ノイメージに対応するブロブは190〜255の間の値がチェックされる。各ブロブにおけるかかる画素の数がカウントされる(工程447)。
・200以上のかかる画素がある場合には、そのブロブは核生成した赤色血液細胞を示す。かかる細胞の各々の重力中心の座標は記憶される;そして非−0画素領域を有する全ての画素は255(白)にセットされるようにそのマスクは2進量子化され;そしてそのマスクは別のタグ付きイメージファイル・フォーマット(TIFF)ファイルとして記憶される。
・プログラムは前の工程中に記憶された座標のいずれとも一致しない可能な胎児細胞用の次の記憶座標に移動する。核生成赤色血液細胞の事前設定数が同定されるまで全プロセスが反復される。核生成赤色血液細胞の座標及びそれぞれのマスクファイルの名前、並びに血液スライドの種々の特性コードを含む結果が結果テキストファイルに記憶される。座標が記憶される核生成赤色血液細胞は求めている胎児細胞である。(工程451)。
・胎児細胞のような関心の対象が同定された後、第2の信号が、例えば,前記のin situ PCR又はPCR in situ交雑又はFISHによって発生される。
【0076】
診断信号の検出
In situ PCR又はPCR in situ交雑処理細胞を含む塗抹はステージ上に付着させる(図2,201)。前のように必要な校正工程が採られる。校正はソフトウェアに性能における毎日の変化並びに顕微鏡、カメラ、等から別のものへの変化を補正する。実施態様法における診断信号の検出は図4の流れ図に示したように次のように進行する:
・対物レンズの倍率60x(63)を選択する(工程501)。
・x−yステージは、上記のように第1の信号の検出に対応した結果ファイルからのデータに従って台に胎児細胞位置に移動する(工程503)。
・光学視野はCCDカメラ(図2,209)を使用して得て、RGBイメージとしてコンプュータ(図2,211)に転送する(工程505)。
・RGBイメージをHLSモデルに転送する(工程507)。
・黒及び白マスクを含むTIFFファイルは別のイメージとして別のイメージとして取の込む(工程509)。
・マスクにおける白色領域に対応しない色相成分の画素は0(黒)にセットする(工程511)。
・胎児細胞を示す残りの領域はPCRに従って発生される信号に対応する画素値が求められる。例えば、その信号はアルカリ性ホスファターゼのために生じる色、即ち、赤色である。色相成分の非黒色領域は0〜30の範囲の画素値が追求される(工程513)。
・ステージが次の非処理胎児細胞に移動され、上記工程が反復される(工程515)。
【0077】
PC211はフレーム・グラバ及びイメージ処理回路217の操作を制御するSIMPLEというソフトウェア・プログラムを遂行する。SIMPLEはフレーム・グラバ及びイメージ処理装置回路217によって収集されたイメージも処理し、続いてイメージ及び処理データをPC211にディスクファイルとして記憶する。SIMPLEは、ろ波、対象選択及び測定のようなイメージ処理タスクを実行に特に適する特殊な手順でアイコン−ベースの環境を提供する。SIMPLEタスクの大部分はマウス又はトラックボール(図示せず)のようなPC211に接続された位置決め装置を使用する人オペラータによって操作される。
【0078】
SIMPLEを使用しタイメージを処理するために、先ず多数のイメージ校正工程を行わなければならない。一実施態様において、蛍光in situ交雑(FISH)を使用して適当に染色した新しいスライドを蛍光顕微鏡下に配置する。認識すべき関心の対象、即ち、核又は染色体領域は特異の色特徴を有する。多標的は蛍光検出手順を組合わせることによって特定の試料において同時に描写できる。即ち、異なる標的を異なる波長で蛍光を発する異なる染色体で標識化する場合には、ソフトウェアプログラムはイメージに利用できる異なる蛍光体を提供する全色情報を放出する対象を別個に同定することができる。異なる染色体に異なる親和性をもった標的は放出される色の組合せによって識別される。各標的は2つ又はそれ以上の蛍光体に対応する波長を放出するが、各々の強度は例えば、異なる。従って、顕微鏡イメージの3つの全ての色成分が処理中に使用される。
【0079】
顕微鏡下に挿入された新しい各試料に対して、最初に前処理操作が遂行される。図2の流れ図は本発明のこの実施態様の前処理工程を示す。前処理はソフウェアに試料-試料間の変化を補正させるために使用される。
【0080】
一実施態様において、FISH-処理細胞を含有するスライドはX−Yステージ201に配置される。X−Yステージ201は希少細胞を含有することがわかった初観察位置に移動される。特定タイプの希少細胞の予め決めた数が測定されるまで反復遂行される。染色体DNAの多標的を同定する本実施態様が意図する適用において、20〜200核が処理されるまでそのループは遂行される。それらの核内の染色体領域の測定を示すデータはASCIIファイルに収集される。
【0081】
ろ波工程12000は画素-画素ベースで以下のように操作する。
工程12001において、イメージに孔充填フィルタが適用される。SIMPLE言語を通して利用できるこのフィルタは、暗い孔が明るい蛍光染色体内に見られるときに明るい対象内の暗い領域を探すことによって決定する。それらの領域はライトアップされる。孔充填フィルタの出力は一時的イメージファイル1201に保持されると共に、エロージョン・フィルタへの入力として使用される、工程12003。SIMPLE言語を通しても利用できるロージョン・フィルタは小中核の中心画素を中核における最も暗い画素に代える。使用される中核3x3が使用される。別の操作の工程12005が次の実施されて、対象をそれらが満たすまで成長させるが、マージはさせない。この工程は全ての対象の縁を規定する輪郭も作る。論理NOT操作の工程12007は輪郭内の画素を輪郭以外に選択する。最後に、工程12009において、12007の結果は記憶された一時的イメージファイル12101で論理的に演算される。これは、一時的イメージファイル12101及び保持されている工程12007の両方で規定される画素のみをもたらす。
【0082】
蛍光検出手順の組合せを使用する場合、単位核に対して2つ以上の染色体領域が検出される。したがって、染色体21に対して2つの染色体領域、染色体18に対してほかの2つ、染色体Xに対して1つ、及び染色体Yに対して1つを認識することができて、交雑信号の列挙によって検出される可能な数的異常の発見を可能にする。交雑信号の列挙は、CLIPPERを使用して編集したSIMPLE外の適用プログラムを介して20100核の測定完了後に遂行される。このプログラムは測定結果ASCIIファイルを読み、それらのRGBカラー組合せに従って検出された染色体領域を分類する。2つ以上の異な蛍光体が組合せ使用されるとき、RGBカラー値の異なる組合せを使用して異なる標的(そのいくつかの標的は1つ以上の蛍光体によって標識化される)の識別に使用される。例えば、標的は赤及び緑の蛍光体で染色されるが、一つの標的は蛍光体を受け入れて30%赤及び70%緑を放射し、別の標的は蛍光体を受け入れて70%赤及び30%緑を放射するが、第3の標的は蛍光体を受け入れて赤のみを放射する。その第3の標的はそれらの相対的な放射に基いて識別される。特定の染色体、例えば、染色体21に対応する染色体領域を示す信号の数がオペレータの選択した統計的な著しいレベルに対して2つ以上大きい場合には、特定の試料における三染色体性21に対する増可能性を同定する報告が出される。
【0083】
本発明は細胞含有試料における染色体異常の臨床的検出に関して記載してきたが、ここに記載した画像処法は他の臨床用途を有する。例えば、記載した画像処理工程は尿分析法の自動化に使用できる。本出願の技術は1993年10月7日付出願第08/132,804号を組合わせると、それらの形態構造に基いて広範囲の細胞タイプが可視化され分析できる。細胞形態構造は診断条件のために観察でき、細胞形態構造は生理学的条件と相関している。かかる条件は当業者は既知である。例えば、前記Harrisonwoを参照されたい。種々の細胞特性及び異常はこれらの技術に基いて検出される。最後に、試料の特定源は、試料が血液試料、血漿試料、尿試料又は子宮頚部からの細胞から得られるので本発明の限定ではない。ここに記載した細胞可視化及び画像分析技術は個々の細胞分析、単離した細胞の組織形態又は他の特性によって検出できるいずれの条件に対しても使用できる。
【0084】
人胎児ヘモグロビン(Research Diagnostics Inc.NJ)及び胚イプシロン・ヘモグロビン連鎖(Immuno−Rx,GA)に特異の抗体は市販されており、蛍光標識化抗体として使用できるし、又は蛍光信号は蛍光標識化二次抗体の使用によって発生される。蛍光ライトは技術的に知られているように他のタイプの染色又は希少細胞用の標識によって発生できる。この処理工程に必要なタイプの蛍光染色は技術的に既知であって、さらに詳細には検討しない。
【0085】
電算機及び画像処理技術は常に変化している。上記記載の方法及び装置の要求を満たす新しい技術は特にここで記載しないけれども、本発明の範囲内として明確に意図している。例えば、ある従来の画素及び画像ファイル・フォーマットは前記したが、他のものも使用される。イメージファイルは技術的に知られているJPEG又はGIFまたはまだ開発される他の技術を使用して圧縮される。処理は現在使用されているHLSスペースの代わりにRGBカラー記載スペースで実行される。他のカラースペースも特に追及後の特性の検出がそれによって促進される時に熟練技術者によって望まれているように使用される。
【0086】
本発明は特定の実施態様に関して記載されてきた。当業者には追加の変化は明白であり、本発明の範囲内であることを意図している。
【0087】
本発明の実施態様において、例えば、出生前及び先着床の遺伝的診断、又は胚又は胎児細胞の性染色体における染色体異常の検出用の細胞の細胞下成分の分析が説明されている。
【0088】
図13は、細胞におけるX及びY染色体の同定及び胎児ヘモグロビンの存在に対する細胞の組合わせた免疫染色及びFISH分析の顕微鏡写真である。胎児ヘモグロビンは、図の右四分円における細胞の細胞質全体を通して細胞から検出されるオレンジ色の蛍光信号によって示されるように試料に存在する。X及びYは細胞の核においてそれぞれ緑水赤蛍光点として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施態様の方法を要約する流れ図である。
【図2】本発明の態様の一実施態様に使用される分析システムのブロック図である。
【図3】第1の信号の検出に至るステージIの流れ図である。
【図4A】第1の信号の検出に至るステージIIの流れ図である。
【図4B】第1の信号の検出に至るステージIIの流れ図である。
【図5】第2の信号の検出の流れ図である。
【図6】連続抹技術を使用した本発明の一実施態様を示す装置の変化の略図である。
【図7】本発明の態様の一実施態様に使用される分析及び試薬分散システムのブロック図である。
【図8】本発明の一実施態様である多目標顕微鏡システムの概要を示す。
【図9】イメージ合成法である。
【図10】本発明の一実施態様の校正工程の流れ図である。
【図11】本発明の一実施態様の前処理工程の流れ図である。
【図12A】本発明の一実施態様の主処理工程の流れ図である。
【図12B】本発明の一実施態様の主処理工程の流れ図である。
【図13】細胞におけるFIShを使用して免疫染色及びX及びY染色体による胎児ヘモグロビンを同定するために実施例1に記載したように本発明の方法で調製した細胞の免疫染色とFISH分析を組合わせた顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞試料を少なくとも1つの抗体と反応させて、各抗体が特定の細胞成分に結合して、独特な蛍光信号を発生する反応をさせる工程;一つ以上の核酸プローブを使用し前記細胞をin situ によってハイブリッド形成によって処理する工程、前記各核酸プローブは標的の核酸配列と交雑して独特な蛍光信号を発生する;前記反応及び処理した細胞試料の一つ以上の画像を発生させる工程;及び前記抗体及び前記核酸プローブの両方に対応する前記画像の蛍光信号を検出及び分析する工程から成ることを特徴とする細胞における多細胞成分の同定方法。
【請求項2】
前記細胞試料が血液試料である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記血液試料が抹消血液試料である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記血液試料が妊婦女性からのものである請求項3記載の方法。
【請求項5】
さらに、対照試料に比較した前記蛍光信号を定量する工程から成る請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上の核酸プローブは、前記細胞試料におけるX及び/又はY染色体に交雑される構成になっている請求項1記載の方法。
【請求項7】
核酸に標的された交雑蛍光を持つ標識化プローブ及び関心の細胞の非核酸成分に向けられた蛍光染色を有する固定試料を想像する工程、前記プローブと免疫染色の蛍光標識は異なる;前記試料から蛍光を検出する工程;前記免疫染色及び前記プローブから関心の表示蛍光の対象数を決定する工程;及び前記免疫染色及び前記プローブから蛍光を示す細胞数の統計的予想から遺伝的条件が存在するか否かを決定する工程からなることを特徴とする、少なくとも一つの標的核酸によって決まる遺伝的条件が細胞試料に存在するか否かを検出するコンプュータ装置の操方法。
【請求項8】
前記核酸プローブは、前記細胞試料においてX及び/又はY染色体に交雑される構成になっている請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記免疫染色が胎児ヘモグロビンに結合する請求項7記載の方法。
【請求項10】
自然に存在する濃度の胎児細胞を含有する母性血液試料を関心のある細胞の非核酸成分に向けられた蛍光免疫染色で処理する工程;前記試料を関心をもつ核酸配列に向けられた蛍光核酸プローブで処理する工程;前記蛍光免疫染色及び前記蛍光核酸プローブからの蛍光信号を検出するように操作的に形成された電算機で処理された顕微鏡的視覚装置を使用して細胞試料の一部分をカバーする光学的視野を観察する工程;及び前記蛍光信号検出によって関心をもつ核酸配列を有する細胞を同定する工程、から成ることを特徴とする自然に存在する濃度の胎児細胞を含有する母性血液試料を調製する方法。
【請求項11】
前記関心を持つ細胞が胎児細胞である請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記胎児細胞が母性血液から誘導される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記核酸プローブがX及び/又はY染色体DNA配列を含有する請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記電算機で処理された視覚装置は、前記免疫染色及び前記核酸プローブからの蛍光信号を得るための一つの目的を利用する請求項10記載の方法。
【請求項15】
さらに、関心を持つ核酸配列を有するものと同定される細胞の数に基いて仮の診断を自動的に発生させる工程から成る請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−518587(P2008−518587A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533625(P2007−533625)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/033964
【国際公開番号】WO2006/036735
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(507091897)アイコニシス インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】