説明

多色成形品の製造方法、及び成形型

【課題】互いに屈曲する形で配された第1板部と第2板部の双方に亘って第1成形品と第2成形品との境界部分が形成された多色成形品を成形可能な多色成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】トリムボード20は、第1成形品30と第2成形品40との境界に沿って延設された溝部23が主面部21と立壁部22に亘って延びる形で形成されるものであり、第1成形空間91に溶融樹脂を射出して第1成形品30を成形する第1成形工程と、第2成形空間92に第1成形品30とは異なる色の溶融樹脂を射出して第2成形品40を成形する第2成形工程と、を備え、第1成形工程においては、溝部23の延設方向に沿って延びる延設面71Aを有するスライド型70を、主面部21及び立壁部22によって構成される屈曲面の延設方向に移動させることで、延設面71Aによって第1成形空間91における第2成形空間92側の開口を閉塞した状態とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色成形品の製造方法、及び成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1成形品と、この第1成形品とは異種の材質あるいは同種の材質で色が異なるものからなる第2成形品とを備えて構成された多色成形品の製造方法として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のものでは、第1成形品を形成するための第1成形空間(キャビティC1)と、第2成形品を形成するための第2成形空間(キャビティC2)にそれぞれ色の異なる溶融樹脂を順番に射出することで第1成形品と第2成形品とを一体的に形成している。
【0003】
第1成形空間に溶融樹脂を射出する際には、第1成形空間における第2成形空間側の開口を閉塞し、第2成形空間側へ溶融樹脂が進入する事態を防止する必要がある。特許文献1においては、キャビティ内へスライド型(分割バー)を進入させることで、第1成形空間における第2成形空間側の開口を閉塞している。また、このときのスライド型の進入方向は、多色成形品の平面に対して交差する方向とされている。つまり、スライド型において当該開口を閉塞する面が、第1成形空間と第2成形空間との境界面、ひいては、第1成形品と第2成形品との境界に対応することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−130914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、多色成形品の成形時には、第1成形品と第2成形品との境界部分に対応して溝部を形成するものも知られている。溝部内に境界部分を配することで、境界部分を見えにくくし、意匠性を高めることができる。ここで、第1成形品と第2成形品との境界部分に溝部を形成する方法の一例について、図21〜図23を用いて説明する。
【0006】
まず、図21に示すように、一対の型1,2を型閉じすることによって溝部の形状に対応した溝部成形空間3を形成する。次に図22に示すように、成形品の平面(意匠面)に対して交差する方向(図22の上下方向)に沿って、スライド型4を溝部成形空間3内に進入させる。このとき、スライド型4を溝部を形成するための突部8の先端面に当接させる。これにより、スライド型4によって、第1成形空間5における第2成形空間6側の開口が閉塞される。
【0007】
この状態で第1成形空間5側に溶融樹脂を射出することで、第1成形品5Aを成形する。次に、図23に示すように、スライド型4を溝部成形空間3内から退避させ、その後、第2成形空間6に溶融樹脂を射出することで第2成形品6Aを成形する。これにより、溝部7が形成されるともに溝部7を構成する奥壁に第1成形品5Aと第2成形品6Aとの境界が形成される。
【0008】
しかしながら、上述のような、多色成形品の平面に対して交差する方向(図23の上下方向)に沿って、スライド型4を成形空間内に進入させる多色成形方法は、溝部7(第1成形品5Aと第2成形品6Aとの境界)が、単一平面上にのみ形成されている場合には適用可能ではあるが、溝部7(第1成形品5Aと第2成形品6Aとの境界)が屈曲してなる2つの板部(第1板部、第2板部)に亘って形成される多色成形品(図1参照)には、適用することができない。この理由について、図24を用いて説明する。
【0009】
なぜなら、2つの板部に亘って溝部7(第1成形品5Aと第2成形品6Aとの境界)を形成するためには、溝部成形空間3を、第1板部に対応した成形空間(図24における符号3A)と、第2板部に対応した成形空間(図24における符号3B)とから構成する必要があるためである。なお、図24は、溝部7の延設方向に沿って切断した断面図(図21におけるA−A線で切断した断面図に対応)である。
【0010】
このため、仮に第1板部の平面方向と交差する方向(図24の下方)からスライド型4を進入させた場合(進入後のスライド型を2点鎖線で示す)には、成形空間3Aを閉塞する(スライド型4を成形空間3Aの成形面3A1に当接させる)ことができるものの、成形空間3Bを閉塞する(スライド型4を成形空間3Bの成形面3B1に当接させる)ことができない。このため、成形面3B1とスライド型4の間に隙間SAが生じる結果、第1成形空間における第2成形空間側の開口を閉塞することができない。つまり、隙間SAを溶融樹脂が通過して第2成形空間に進入してしまう結果、第1成形品を成形することができない。
【0011】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、互いに屈曲する形で配された第1板部と第2板部の双方に亘って第1成形品と第2成形品との境界部分が形成された多色成形品を成形可能な多色成形品の製造方法を提供することを目的とする。また、このような多色成形品を成形することができる成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の多色成形品の製造方法は、第1成形品と、前記第1成形品とは異種の材質あるいは同種の材質で色が異なるものからなる第2成形品とを備える多色成形品の製造方法であって、前記多色成形品は、前記第1成形品と前記第2成形品との境界に沿って延設された溝部を有するとともに、第1板部と、前記第1板部の周端から前記第1板部に対して屈曲する形で立ち上がる第2板部と、を備え、前記溝部が前記第1板部と前記第2板部の双方に亘って延びる形で形成される構成を有するものであり、前記第1成形品を成形する第1成形空間を形成し、当該第1成形空間に溶融樹脂を射出して前記第1成形品を成形する第1成形工程と、前記第2成形品を成形する第2成形空間を形成し、当該第2成形空間に前記第1成形品とは異なる色の溶融樹脂を射出して前記第2成形品を成形する第2成形工程と、を備え、前記第1成形工程及び前記第2成形工程によって、前記溝部を構成する壁部が前記第1成形空間と前記第2成形空間との連結箇所に対応して成形されるものであって、前記第1成形工程においては、前記溝部の延設方向に沿って延びる延設面を有するスライド型を、前記第1板部の板面及び前記第2板部の板面によって構成される屈曲面の延設方向に移動させることで、前記延設面によって前記第1成形空間における前記第2成形空間側の開口を閉塞した状態とすることに特徴を有する。
【0013】
本発明では、溝部の延設方向に沿って延びる延設面を有するスライド型を、第1板部の板面及び第2板部の板面によって構成される屈曲面の延設方向に移動させることで、第1成形空間における第2成形空間側の開口を延設面によって閉塞した状態とすることができる。これにより、溝部が第1板部と第2板部の双方に亘って延びている場合であっても、第1成形空間を形成することができる。
【0014】
上記方法においては、前記第1成形工程にて、前記スライド型を、カムスライド機構によって、前記屈曲面の前記延設方向に移動させるものとすることができる。
【0015】
仮に、スライド型にシリンダなどの駆動装置を直接取り付けて移動させる構成の場合、スライド型の移動方向と同一直線状上に駆動装置を配置する必要がある。この点、カムスライド機構であれば、スライド型の移動方向によらず駆動装置を配置することができ、型設計の自由度が向上する。
【0016】
また、スライド型に駆動装置を直接取り付ける構成の場合、スライド型のサイズが小さくなると、駆動装置の取り付けが困難となる。この点、カムスライド機構であれば、スライド型に駆動装置を直接取り付ける必要がないため、スライド型の大きさによらず容易に適用することができる。
【0017】
次に、上記課題を解決するために、本発明の成形型は、第1成形品と、前記第1成形品とは異種の材質あるいは同種の材質で色が異なるものからなる第2成形品とを備える多色成形品を成形するための成形型であって、前記多色成形品は、前記第1成形品と前記第2成形品との境界に沿って延設された溝部を有するとともに、第1板部と、前記第1板部の周端から前記第1板部に対して屈曲する形で立ち上がる第2板部と、を備え、前記溝部が前記第1板部と前記第2板部の双方に亘って延びる形で形成される構成を有するものであり、当該成形型は、開閉可能なように設けられた一対の型と、前記溝部の延設方向に沿って延びる延設面を有するスライド型と、を備え、前記一対の型と前記スライド型によって、前記第1成形品を成形する第1成形空間及び前記第2成形品を成形する第2成形空間を形成可能な構成とされ、前記スライド型は、前記第1板部の板面及び前記第2板部の板面によって構成される屈曲面の延設方向に移動することで、前記延設面によって前記第1成形空間における前記第2成形空間側の開口を閉塞可能な構成であることに特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、互いに屈曲する形で配された第1板部と第2板部の双方に亘って第1成形品と第2成形品との境界部分が形成された多色成形品を成形可能な多色成形品の製造方法を提供することができる。また、このような多色成形品を成形することができる成形型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係るドアトリムを示す斜視図
【図2】図1のドアトリムにおける溝部付近を拡大して示す斜視図(図1及び図3のB−B線で切断した図に対応)
【図3】ドアトリム及びスライド型を示す概略図
【図4】本発明の実施形態1に係る成形型を示す断面図(図1及び図3のB−B線で切断した図に対応)
【図5】図4の状態からスライド型を前進させて第1成形空間を形成した状態を示す断面図
【図6】図5の状態から第1成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図7】図6の状態からスライド型を後退させて第2成形空間を形成した状態を示す断面図
【図8】図7の状態から第2成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図9】成形型において突部の延設方向に沿った断面構成を示す断面図(図7のC−C線で切断した図に対応)
【図10】本発明の実施形態2に係る成形型を示す断面図
【図11】図10の状態からスライド型を前進させて第1成形空間を形成した状態を示す断面図
【図12】図11の状態からスライド型を後退させて第2成形空間を形成した状態を示す断面図
【図13】図12の状態から第2成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図14】本発明の実施形態3に係る成形型を示す断面図
【図15】図14の状態からスライド型を前進させて第1成形空間を形成した状態を示す断面図
【図16】図15の状態からスライド型を後退させて第2成形空間を形成した状態を示す断面図
【図17】図16の状態から第2成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図18】本発明の実施形態4に係る成形型を示す断面図
【図19】図18の状態からスライド型を前進させて第1成形空間を形成した状態を示す断面図
【図20】図19の状態からスライド型を後退させ、第2成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図21】従来例における成形型を示す断面図
【図22】図21の状態からスライド型を前進させ、第1成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図23】図22の状態からスライド型を後退させ、第2成形空間に樹脂を射出した状態を示す断面図
【図24】従来例の問題点を示す断面図(図21のA−A線で切断した図に対応)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。本実施形態では、車両ドアに取り付けられるドアトリム10を例示する。図1は、本実施形態のドアトリム10の斜視図である。ドアトリム10は、例えば、ポリプロピレン(ポリオレフィン系樹脂)等の熱可塑性合成樹脂を板状に形成してなるトリムボード20を備えている。
【0021】
トリムボード20(多色成形品)は、図1に示すように、正面視にて略方形状をなす主面部21(第1板部)と、主面部21の側端(周端)から、それぞれ裏側(車室外側)に立ち上がる立壁部22(第2板部)とを主体に構成されている。言い換えると、立壁部22は、主面部21に対して屈曲する形で立ち上がる構成となっている。
【0022】
主面部21は、車両ドアにおける車室内側の面のほぼ全面を構成するものであって、主面部21には、図1に示すように、表側(車室内側)に張り出す形でアームレスト12が形成されている。また、主面部21には、スピーカグリル16、ドアポケット18が取り付けられている。
【0023】
トリムボード20には、水平方向に沿って延びる溝部23が形成されている。溝部23は、図2に示すように、トリムボード20の意匠面20A(表側の面)を凹ませることで形成されており、主面部21と両立壁部22に亘って延びる形で形成されている(図1及び図3参照)。トリムボード20は、溝部23を境界にして、色が異なる異種の材質で形成されている。
【0024】
以下の説明では、トリムボード20を構成する溝部23よりも上側の部品を第1成形品30と呼び、下側の部品を第2成形品40と呼ぶものとする。なお、第1成形品30及び第2成形品40は、色が異なるものであればよく、同種の材質で形成されていてもよい。本実施形態においては、第1成形品30及び第2成形品40の境界(異なる色の境界)を溝部23の内部に配することで、色の境界を目視しづらくし、意匠性を高くしている。また、本実施形態においては、溝部23を構成する壁部(一対の側壁部、及び底壁部)のうち、一方の側壁部32及び底壁部31が第1成形品30に形成され、他方の側壁部42が第2成形品40に形成されている(図2参照)。
【0025】
次に、トリムボード20(第1成形品30及び第2成形品40)を成形する成形型50の構成について、図3ないし図9の図面を参照しながら説明する。成形型50は、図4に示すように、下型51(コア型)と、この下型51の上方に対向して配置された上型61(キャビ型)と、下型51の内部に組み込まれたスライド型70と、このスライド型70をスライドさせるためのカムドライバ80と、を備えている。
【0026】
下型51及び上型61(一対の型)は、互いに開閉可能なように設けられている。本実施形態の成形型50においては、下型51及び上型61とスライド型70によって、トリムボード20を成形するための成形空間90(キャビティ)を形成し、この成形空間90に溶融樹脂を射出することで、トリムボード20を成形することが可能となっている。
【0027】
なお、以下の説明では、成形空間90のうち、第1成形品30を成形する空間を第1成形空間91と呼び、第2成形品40を成形する空間を第2成形空間92と呼ぶものとする。なお、本実施形態の成形型50は、第1成形空間91内に連通して配置された第1ゲート(図示せず)と、第2成形空間92内に連通して配置された第2ゲート(図示せず)と、を備えており、第1成形空間91及び第2成形空間92にそれぞれ個別に溶融樹脂を供給できる構成となっている。
【0028】
上型61における下型51との対向面は、トリムボード20の意匠面20Aの形状に倣った形状をなしており、具体的には、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成される屈曲面に倣った屈曲面とされる。また、上型61における下型51との対向面には、後述するスライド型70の延設面71Aとの当接箇所(突部62の側面62B)を除いて、シボ模様(各図において波線で図示)が形成されている。このシボ模様によってトリムボード20の意匠面20Aにシボ模様が形成される。そして、上型61における下型51との対向面には、溝部23を形成するための突部62が形成されている。
【0029】
下型51及びスライド型70における上型61との対向面は、トリムボード20の裏面の形状に倣った形状をなしており、具体的には、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成される屈曲面に倣った屈曲面とされる。なお、図3においては、スライド型70における上型61との対向面70Aが、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成される屈曲面に倣った屈曲面であることを示している(図9も参照)。
【0030】
下型51及びスライド型70における上型61との対向面において、突部62と対向する箇所には、溝部23を形成するための凹部63が形成されている。凹部63は、スライド型70に形成された段部71及び下型51の一部によって構成されている。
【0031】
突部62と凹部63の間に設けられた空間(図4参照)は、溝部23(より正確には、溝部23を構成する壁部)を形成するためのものである。上述したように、溝部23は、主面部21と両立壁部22に亘って延びる形で形成されている。これに対応して、突部62の突出端面62Aは、図9に示す側面視において、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成される屈曲面に対応する形で湾曲している。また、図9に示すように、スライド型70における凹部63の底面63Aも、図3及び図9に示すように、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成される屈曲面に対応する形で湾曲している。
【0032】
スライド型70の段部71において、突部62の側面62Bとの対向面である延設面71Aは、図9に示すように、溝部23の延設方向(より正確には溝部23の側面62Bの延設方向)に沿って延びる構成となっている。また、図9に示すように、延設面71Aは、突部62の突出端面62Aと凹部63の底面63Aとの間に形成された隙間S1に対して、側面視における全面で重なる形で形成されている。なお、図9において、2点鎖線に囲まれた領域が延設面71Aである。また、この隙間S1は、第1成形空間91における第2成形空間92側の開口となっている。
【0033】
本実施形態において、スライド型70は、カムスライド機構65によって、スライドされる構成となっている。カムスライド機構65は、スライド型70(カム面72)、カムドライバ80を主体に構成されている。具体的に説明すると、スライド型70(カムスライド)において、突部62とは反対側(図5における右側)の側面は、内部側に向かって切り欠かれた形状をなしており、その奥面がカム面72とされる。カムドライバ80は、スライド型70に対して突部62とは反対側に設けられており、カム面72に当接可能なカム面81を有している。
【0034】
カムドライバ80は、図示しない駆動装置(例えば油圧シリンダなど)によって、上昇又は下降が可能とされる。両カム面72,81は、カムドライバ80の移動方向(図5の上下方向)に対して傾斜している。両カム面72,81は、突部62に向かう形で下降傾斜されている。これによって、カムドライバ80を上昇させることで、カム面81に対してカム面72が摺動するとともに、カム面81によってカム面72が押圧される結果、スライド型70を突部62に向かう方向(図4の左側)に移動可能な構成となっている。なお、両カム面72,81の間には、例えば、滑り材(図示せず)が介在されており、両カム面は互いに摺動可能になっている。
【0035】
これにより、スライド型70の延設面71Aの一部を、延設面71Aと対向する突部62の側面62Bに当接させる(押し当てる)ことが可能となっている。このように、延設面71Aの一部を突部62の側面62Bに当接させることで、上述した隙間S1(第1成形空間91における第2成形空間92側の開口)を、延設面71Aによって第2成形空間92側から閉塞(閉止)することが可能な構成となっている(図5及び図6の状態)。
【0036】
なお、スライド型70におけるカムドライバ80と反対側の側面と、下型51との間には、ロッド73に巻回されたバネ74(付勢手段)が介在されている。これにより、スライド型70は、その延設面71Aが突部62から遠ざかる方向(図5の右側)に付勢されている。なお、このような付勢手段としてはバネ74に限定されない。このため、図5に示す状態から、カムドライバ80を下降させることで、スライド型70を突部62から遠ざかる方向に移動させることができる。
【0037】
上記の構成により、スライド型70は、その延設面71Aが突部62の側面62Bとの間に隙間を空けて配される後退位置(図4,図7に示す位置)と、この後退位置から移動して、延設面71Aの一部が突部62の側面62Bに押し当てられた前進位置(図5,図6に示す位置)との間を移動可能とされている。なお、スライド型70が後退位置にある状態では、第1成形空間91と第2成形空間92とが連通された状態となっている。
【0038】
上述したように、本実施形態では、成形品であるトリムボード20が、主面部21及び立壁部22を有している。つまり、主面部21の板面及び立壁部22の板面によって屈曲面が構成されている。このため、スライド型70における上型61との対向面70Aは、図3に示すように、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aに対応する形で屈曲されている。そして、上述したカムスライド機構65によるスライド型70のスライド方向は、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成された屈曲面の延設方向(ひいては意匠面20Aの延設方向)に沿った方向(図3に示す矢線B1)となっている。なお、ここで言う「主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成された屈曲面の延設方向」とは、板面21A及び板面22Aにおける共通の延設方向のことを言う。
【0039】
次に、成形型50によるトリムボード20の製造方法について、図5ないし図9の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるトリムボード20の製造方法は、第1成形品30を成形する第1成形工程と、第2成形品40を成形する第2成形工程と、を備えている。
【0040】
<第1成形工程>
まず、図4に示すように、下型51に上型61を重合して型閉じする。この時は、上型61の突部62にスライド型70は当接されていない。次に、図5に示すように、カムドライバ80を上昇させ、スライド型70を前進位置まで移動させる。すると、スライド型70の延設面71Aの一部が、図5に示すように、突部62の側面62Bに押し当てられる。これにより、突部62の突出端面62Aと凹部63の底面63Aとの間に形成される隙間S1が延設面71Aによって、第2成形空間92側から閉塞される。これにより、延設面71Aの左側に、閉じた空間である第1成形空間91が形成された状態、言い換えると、延設面71Aによって第1成形空間91における第2成形空間92側の開口が閉塞された状態となる。
【0041】
なお、ここで言う「第1成形空間91における第2成形空間92側の開口を閉塞した状態」とは、第1成形空間91に溶融樹脂を射出した際に、その溶融樹脂が延設面71Aによって遮断され、第2成形空間92側に流れ込まない状態のことである。なお、突部62の側面62Bにはシボ模様が形成されていないため、延設面71Aの一部を押し当てた際に、延設面71Aの一部と突部62の側面62Bとの間に隙間が生じることがない。
【0042】
この状態で、図6に示すように、第1成形空間91内に連通して配置された第1ゲート(図示せず)から溶融樹脂(第1樹脂)を射出することで、第1成形空間91内に第1樹脂を充填する。やがて、この第1樹脂が冷え固まると、第1成形品30が成形される。
【0043】
<第2成形工程>
第1成形品30が成形された後、カムドライバ80を下降させることで、スライド型70を後退位置に退避させる。これにより、図7に示すように、第2成形空間92が形成された状態となる。つまり、第2成形空間92は、上型61、スライド型70、第1成形品30に囲まれた空間である。
【0044】
この状態で、第2成形空間92内に連通して配置された第2ゲート(図示せず)から、第1成形品30を形成する第1樹脂とは異種の材質(あるいは同種の材質)で色が異なるものからなる溶融樹脂(第2樹脂)を射出することで、第2成形空間92内に第2樹脂を充填する(図8参照)。第2成形空間92内に溶融された状態の第2樹脂を射出することで、第1成形品30の端部においては、第1樹脂と第2樹脂とが互いに融けて混ざり合う。やがて、第2樹脂が冷え固まると第2成形品40が成形され、これと同時に、第1成形品30と第2成形品40との境界において両部品が接合された状態となる。以上の工程によって、トリムボード20(第1成形品30及び第2成形品40)が形成され、溝部23を構成する壁部が第1成形空間91と第2成形空間92との連結箇所に対応して成形される。
【0045】
なお、第1成形品30と第2成形品40との接合力を高くするためには、第1成形品30及び第2成形品40(第1樹脂及び第2樹脂)との混融を促進することが好ましい。このため、第1成形品30の冷却時間をなるべく短くし、第1成形品30が完全に冷え固まる前に、第2樹脂を射出することが好ましい。
【0046】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、溝部23の延設方向に沿って延びる延設面71Aを有するスライド型70を、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成された屈曲面の延設方向に移動させることで、第1成形空間91における第2成形空間92側の開口(隙間S1)を延設面71Aによって閉塞した状態とすることができる。
【0047】
言い換えると、第1成形空間91における第2成形空間92側の開口(隙間S1)は、側面視において、主面部21の板面21A及び立壁部22の板面22Aによって構成された屈曲面に対応して屈曲されている(図9参照)。このような隙間S1に対して、側面視において隙間S1と重畳する延設面71Aを側方(屈曲面21A,22Aの延設方向、図9における紙面貫通方向)から移動させることで、隙間S1を側面視における全面に亘って閉塞することができる。このように、溝部23が主面部21及び立壁部22の双方に亘って延びている場合、すなわち、第1成形空間91における第2成形空間92側の開口が側面視において屈曲されている場合であっても、第1成形空間91を形成することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、第1成形工程にて、スライド型70を、カムスライド機構65によって、屈曲面21A,22Aの延設方向(後退位置から前進位置)に移動させている。
【0049】
仮に、スライド型70にシリンダなどの駆動装置を直接取り付けて移動させる構成の場合、スライド型70の移動方向と同一直線状上に駆動装置を配置する必要がある。例えば、本実施形態であれば、図4に示すスライド型70の右側(移動方向の一方側)に駆動装置を配置する必要がある。この点、カムスライド機構であれば、スライド型70の移動方向によらず駆動装置を配置することができ、型設計の自由度が向上する。
【0050】
また、スライド型70に駆動装置を取り付ける構成の場合、スライド型70のサイズが小さくなると、駆動装置の取り付けが困難となる。例えば、トリムボード20のような板状部材に形成される溝部23の深さは、一般的に、非常に小さい値(例えば、数mm程度)とされる。これに伴って、スライド型70のサイズ、特に溝部23の深さ方向(図4の上下方向)の長さも非常に小さくなる場合がある。この点、カムスライド機構であれば、スライド型70に駆動装置を直接取り付ける必要がないため、スライド型70のサイズに関わらず適用することができる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10ないし図13によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態の成形型150では、スライド型70に段部177が形成されている点において、上記実施形態と相違する。
【0052】
段部177は、延設面71Aと凹部63の底面63Aとによって形成される角部に形成されており、図10に示すように、底面63Aから上型61に向かう形で突き出している。また、段部177は、凹部63の延設方向に沿って延びる形状をなしている。なお、段部177は、凹部63の延設方向における全長に亘って延びていなくてもよく、凹部63の延設方向において複数個配列する形で形成されていてもよい。
【0053】
次に、このような段部177を設けたことによる作用、効果について説明する。第1成形工程においては、第1成形品30の底壁部31の裏面(意匠面20Aとは反対側)に段部177の形状に対応して凹む切欠部131が形成される(図11及び図12参照)。続いて、第2成形工程において、第2成形空間92に溶融樹脂が射出、充填されると、図13に示すように、溶融樹脂が切欠部131に入り込む。これにより、底壁部31は、溶融樹脂によって、上型61側へ向かう方向に押圧される(このときの圧力を矢線P1で示す)。
【0054】
ところで、第1成形品30が冷却時に収縮するなどして、底壁部31と突出端面62Aとの間に隙間が生じる場合がある。このような隙間が生じた場合、第2成形空間92に溶融樹脂を射出すると、その隙間に溶融樹脂が入り込み、バリになるおそれがある。底壁部31における突出端面62A側は、トリムボード20の意匠面20A側であるため、このようなバリの発生は特に好ましくない。
【0055】
この点、本実施形態においては、底壁部31の裏面に切欠部131を形成することで、第2成形品40成形時に底壁部31が上型61の突部62の突出端面62Aに押し当てられるようにした。この結果、底壁部31と突出端面62Aとの間に隙間が生じる事態を抑制でき、意匠面20A側にバリが発生する事態を抑制できる結果、意匠性を高くすることができる。
【0056】
なお、冷却時の第1成形品30の収縮に起因して、底壁部31と突出端面62Aとの間に隙間が生じる場合、当該隙間の大きさは、第1成形品30の収縮量に比例する。底壁部31の板厚が例えば、4mmの場合、第1成形品の材質にもよるが、底壁部31と突出端面62Aとの間に生じる隙間は、例えば、0.007mm程度とされる。この場合、段部177の高さ(底面63Aからの突き出し量)を、0.007mmよりも大きい値で設定することが好ましく、例えば1mm程度で設定することが好ましい。なお、底壁部31の板厚や段部177の高さは、上述した値に限定されず適宜変更可能である。
【0057】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図14ないし図17によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態の成形型250では、下型251及びスライド型270の構成が上記実施形態と相違しており、第1成形品230と第2成形品240の境界が上記各実施形態とは異なる箇所に形成される。
【0058】
本実施形態においては、溝部23を構成する壁部(一対の側壁部232,242、及び底壁部241)のうち、一方の側壁部232が第1成形品230に形成され、底壁部241及び他方の側壁部242が第2成形品240に形成されている(図17参照)。つまり、第1成形品230と第2成形品240とは、一方の側壁部232及び底壁部241において接合されている。
【0059】
本実施形態においては、上記各実施形態と同様に、スライド型270がトリムボード220の意匠面20A(第1板部の板面及び第2板部の板面によって構成される屈曲面)に沿う方向(図14〜17の左右方向)に移動する構成となっている。具体的には、スライド型270は、その上面271A(延設面)が下型251の下面251Dに沿う形で、移動可能となっており、後退位置(図14に示す位置)と、後退位置から、図14の右側へスライドした前進位置(図15に示す位置)との間で移動可能とされる。
【0060】
スライド型270が後退位置にある状態では、図14に示すように、スライド型270に設けられた凹部272が、第1成形空間291の端部と第2成形空間292の端部に連通される構成となっており、凹部272と下型251の壁面によって、溝部23を形成するための凹部63が構成される。
【0061】
スライド型270が前進位置にある状態では、図15に示すように、スライド型270の上面271Aによって、突部62の側面62Dと下型251の側面251A(側面62Dと対向する側面)との間に生じる隙間S2(第1成形空間291における第2成形空間292側の開口)が閉塞される構成となっている。なお、スライド型270の上面271Aは、トリムボード220の意匠面20Aの屈曲形状に倣った屈曲形状をなしており、隙間S2を第2成形空間292側(図14の下方)から、凹部63の全長に亘って閉塞可能な構成とされる。
【0062】
なお、スライド型270は、上記実施形態1と同様にカムスライド機構によって、前進位置と後退位置との間を移動可能とされる。このカムスライド機構は、上記実施形態1のカムスライド機構65とは、基本的には同様の機構であって、実施形態1のカムスライド機構65に比してカムドライバとバネ(付勢手段)の配置を左右入れ替えただけのものであるため、説明を省略する。
【0063】
次に、成形型250によるトリムボード220の製造方法について、図15ないし図17の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるトリムボード220の製造方法は、第1成形品230を成形する第1成形工程と、第2成形品240を成形する第2成形工程と、を備えている。
【0064】
<第1成形工程>
まず、図15に示すように、スライド型270を前進位置まで移動させる。すると、スライド型270の上面271Aの一部が、図15に示すように、突部62の突出端面62Aと、下型251の下面251Dの双方に当接した状態となる。これにより、突部62の側面62Dと下型251の側面251Aとの間に生じる隙間S2を上面271Aによって、第2成形空間292側から閉塞することができ、第1成形空間291が形成される。なお、本実施形態においては、突部62の突出端面62Aにはシボ模様が形成されておらず、上面271Aと突出端面62Aとが隙間なく接触する構成となっている。
【0065】
この状態で、図15に示すように、第1成形空間291内に連通して配置された第1ゲート(図示せず)から溶融樹脂(第1樹脂)を射出することで、第1成形空間291内に第1樹脂を充填する。やがて、この第1樹脂が冷え固まると、第1成形品230が成形される。
【0066】
<第2成形工程>
第1成形品230が成形された後、スライド型270を後退位置に退避させる。これにより、図16に示すように、第2成形空間292が形成された状態となる。つまり、第2成形空間292は、上型61、下型251、スライド型270、第1成形品230に囲まれた空間である。
【0067】
この状態で、第2成形空間292内に連通して配置された第2ゲート(図示せず)から、第1成形品230を形成する第1樹脂とは異種の材質(あるいは同種の材質)で色が異なるものからなる溶融樹脂(第2樹脂)を射出することで、第2成形空間292内に第2樹脂を充填する(図17参照)。これにより、第1成形品230の端部と、第2成形品240とが接合された状態で、トリムボード220が形成される。
【0068】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図18ないし図20によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態の成形型350では、下型351及びスライド型370の構成が上記実施形態と相違しており、第1成形品330と第2成形品340の境界が上記各実施形態とは異なる箇所に形成される。
【0069】
本実施形態においては、溝部23を構成する壁部(一対の側壁部332,342、及び底壁部341)が第2成形品340に形成されており、第1成形品330と第2成形品340の側壁部332とが接合されている(図20参照)。
【0070】
本実施形態においては、図18に示すように、突部62と、スライド型370に形成された凹部372によって、溝部23を形成するための空間が形成される構成となっている。スライド型370の上面370Aは、溝部23の延設方向に沿う形で延びており、トリムボード20の意匠面20Aに対応する形で屈曲された屈曲面とされる。
【0071】
スライド型370は、トリムボード20の意匠面20A(第1板部の板面及び第2板部の板面によって構成される屈曲面)に沿う方向(図18〜図20の左右方向)に移動する構成となっている。具体的には、スライド型370は、後退位置(図18,図20に示す位置)と、後退位置から、図18の右側へスライドした前進位置(図19に示す位置)との間で移動可能となっている。
【0072】
スライド型370が後退位置にある状態では、図18に示すように、スライド型370の凹部372を構成する各面が、上型61の突部62を構成する各面と隙間を空けて配されおり、この隙間によって溝部23が形成可能となっている。
【0073】
スライド型370が前進位置にある状態では、図19に示すように、スライド型370の凹部372の側面372Aが、これと対向する突部62の側面62Dと隙間なく当接する構成となっている。言い換えると、スライド型370の上面370A(延設面)が突部62側にスライドすることで、上面370Aの一部によって、第1成形空間391における第2成形空間392側の開口(図18の隙間S3に対応)が閉塞される構成となっている。なお、本実施形態においては、突部62の側面62Dにはシボ模様が形成されておらず、凹部372の側面372Aと、突部62の側面62Dとが隙間なく接触する構成となっている。
【0074】
なお、スライド型370は、上記実施形態1と同様にカムスライド機構によって、前進位置と後退位置との間を移動可能とされる。このカムスライド機構は、上記実施形態1のカムスライド機構65とは、基本的には同様の機構であって、カムスライド機構65に比してカムドライバとバネ(付勢手段)の配置を左右入れ替えただけのものであるため、説明を省略する。
【0075】
次に、成形型350によるトリムボード320の製造方法について、図19ないし図20の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるトリムボード320の製造方法は、第1成形品330を成形する第1成形工程と、第2成形品340を成形する第2成形工程と、を備えている。
【0076】
<第1成形工程>
まず、図19に示すように、スライド型370を前進位置まで移動させる。すると、スライド型370の側面372Aが、突部62の側面62Dに当接する。これにより、第1成形空間391が形成された状態となる。この状態で、図19に示すように、第1成形空間391内に連通して配置された第1ゲート(図示せず)から溶融樹脂(第1樹脂)を射出することで、第1成形空間391内に第1樹脂を充填する。やがて、この第1樹脂が冷え固まると、第1成形品330が成形される。
【0077】
<第2成形工程>
第1成形品330が成形された後、スライド型370を後退位置に退避させる。これにより、スライド型370の側面372Aと、突部62の側面62Dとの間に隙間が生じ、第2成形空間392が形成された状態となる(図20参照)。つまり、第2成形空間392は、上型61、スライド型370(凹部372)、第1成形品330に囲まれた空間である。
【0078】
この状態で、第2成形空間392内に連通して配置された第2ゲート(図示せず)から、第1成形品330を形成する第1樹脂とは異種の材質(あるいは同種の材質)で色が異なるものからなる溶融樹脂(第2樹脂)を射出することで、第2成形空間392内に第2樹脂を充填する(図20参照)。これにより、第1成形品330の端部と、第2成形品340とが接合された状態で、トリムボード320が形成される。
【0079】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)上記実施形態においては、多色成形品として異なる2つの色を有するトリムボード20を例示したが、トリムボード20に限定されない。また、多色成形品は、少なくとも2色以上の成形品から構成されているものであればよく、3色以上の成形品から構成されているものであってもよい。
【0081】
(2)上記実施形態では、主面部21と立壁部22の双方に亘って溝部23を形成する構成としたが、これに限定されない。トリムボード20は、例えば、上壁部を備えていてもよく、主面部21と上壁部に亘って延びる形で溝部を形成し、この溝部を2色の境界としたものであってもよい。
【0082】
(3)上記実施形態において、スライド型70,270,370の全体形状は適宜変更可能である。例えば、実施形態1の成形型50においては、延設面71Aの形成部(図4において符号76で示す箇所)のみをスライド型としてもよい。
【0083】
(4)上記実施形態では、カムスライド機構によって、スライド型70,270,370を移動させる構成としたが、これに限定されない。例えば、スライド型70,270,370にシリンダ装置(油圧シリンダなど)などを直接取り付けることで、これらを移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0084】
20,220,320…トリムボード(多色成形品)、21…主面部(第1板部)、21A…主面部の板面(第1板部の板面、屈曲面の一部を構成)、22…立壁部(第2板部)、22A…立壁部の板面(第2板部の板面、屈曲面の一部を構成)、23…溝部、30,230,330…第1成形品、31,241,341…底壁部(溝部を構成する壁部)、32,42,232,242,332,342…側壁部(溝部を構成する壁部)、40,240,340…第2成形品、50,150,250,350…成形型、51,251,351…下型(一対の型を構成)、61…上型(一対の型を構成)、65…カムスライド機構、70,270,370…スライド型、71A…延設面、91,291,391…第1成形空間、92,292,392…第2成形空間、271A…スライド型の上面(溝部の延設方向に沿って延びる延設面)、370A…スライド型の上面(溝部の延設方向に沿って延びる延設面)、S1,S2,S3…隙間(第1成形空間における第2成形空間側の開口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成形品と、前記第1成形品とは異種の材質あるいは同種の材質で色が異なるものからなる第2成形品とを備える多色成形品の製造方法であって、
前記多色成形品は、前記第1成形品と前記第2成形品との境界に沿って延設された溝部を有するとともに、第1板部と、前記第1板部の周端から前記第1板部に対して屈曲する形で立ち上がる第2板部と、を備え、前記溝部が前記第1板部と前記第2板部の双方に亘って延びる形で形成される構成を有するものであり、
前記第1成形品を成形する第1成形空間を形成し、当該第1成形空間に溶融樹脂を射出して前記第1成形品を成形する第1成形工程と、
前記第2成形品を成形する第2成形空間を形成し、当該第2成形空間に前記第1成形品とは異なる色の溶融樹脂を射出して前記第2成形品を成形する第2成形工程と、を備え、
前記第1成形工程及び前記第2成形工程によって、前記溝部を構成する壁部が前記第1成形空間と前記第2成形空間との連結箇所に対応して成形されるものであって、
前記第1成形工程においては、前記溝部の延設方向に沿って延びる延設面を有するスライド型を、前記第1板部の板面及び前記第2板部の板面によって構成される屈曲面の延設方向に移動させることで、前記延設面によって前記第1成形空間における前記第2成形空間側の開口を閉塞した状態とすることを特徴とする多色成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第1成形工程において、前記スライド型を、カムスライド機構によって、前記屈曲面の前記延設方向にスライドさせることを特徴とする請求項1に記載の多色成形品の製造方法。
【請求項3】
第1成形品と、前記第1成形品とは異種の材質あるいは同種の材質で色が異なるものからなる第2成形品とを備える多色成形品を成形するための成形型であって、
前記多色成形品は、前記第1成形品と前記第2成形品との境界に沿って延設された溝部を有するとともに、第1板部と、前記第1板部の周端から前記第1板部に対して屈曲する形で立ち上がる第2板部と、を備え、前記溝部が前記第1板部と前記第2板部の双方に亘って延びる形で形成される構成を有するものであり、
当該成形型は、開閉可能なように設けられた一対の型と、
前記溝部の延設方向に沿って延びる延設面を有するスライド型と、を備え、
前記一対の型と前記スライド型によって、前記第1成形品を成形する第1成形空間及び前記第2成形品を成形する第2成形空間を形成可能な構成とされ、
前記スライド型は、前記第1板部の板面及び前記第2板部の板面によって構成される屈曲面の延設方向に移動することで、前記延設面によって前記第1成形空間における前記第2成形空間側の開口を閉塞可能な構成であることを特徴とする成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−232508(P2012−232508A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102941(P2011−102941)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(591002784)共和工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】