説明

多重検知装置及びその方法

【課題】多数の超音波センサーが互いに異なる送信周波数を使用するようにして単一の分析集積回路を使用できるようにした多重検知装置及びその方法を提供する。
【解決手段】該当送信周波数の超音波信号を発信する送波部110と、送波部110から発信した超音波信号を受信して出力する受波部130を備えた多数の超音波センサー100と、多数の超音波センサー100の各送波部110に対して該当送信周波数の超音波信号を発信するように制御し、各受波部130から出力した超音波反射信号を受信して発信時間と受信時間との時間差を利用して超音波センサー100が検知した物体の距離を計算して出力する分析集積回路200と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重検知装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、超音波センサーは、超音波を発信する送波部と発信された超音波を受信する受波部とを含んで取付体に取り付けられ、送波部から超音波が発信された時点から送波部から発信した超音波が物体に反射して受波部に受信するまでにかかった時間を利用して取付体と物体との距離を検知する。
【0003】
このような超音波センサーは、液体が貯蔵される液体貯蔵庫の上部に設けられ、液体の水位を検出して液体の流量を検出するために用いたり、運転手が肉眼で観察できない車両の後部に設けられ、車両の後方に位置する障害物を検知するために用いられている。
【0004】
従来、このような超音波センサーは、特許文献1などに開示されたように、取付体に多数個を装着して使用される。
【0005】
このように取付体に多数個の超音波センサーが設けられる場合、前記それぞれのセンサーは、電気的なパルス信号を超音波信号に変換して探知区域内に放射し、物体に衝突して反射された超音波反射信号は、超音波センサーにそれぞれ受信され、これらを分析する分析集積回路で分析される。
【0006】
このように、従来の取付体に多数個の超音波センサーを装着して使用する場合、それぞれの超音波センサーが固定された同一の超音波送信周波数を使用し、固定された同一の超音波受信回路の利得及び固定された送信パルス数を使用して構成され、同一のセンサー特性を有しているため、それぞれの超音波センサーに対応する分析集積回路が必要となる。
【0007】
このように多数の超音波センサーを使用して物体を検知する場合、それぞれの超音波センサーに伴う分析集積回路が必要となり、コスト及び設置面積が増加するため、製品の小型化を困難とさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−156501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するために導き出されたものであって、多数の超音波センサーが互いに異なる送信周波数を使用するようにして単一の分析集積回路を使用できるようにした多重検知装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を果たすために本発明は、該当送信周波数の超音波信号を発信する送波部と、前記送波部から発信した超音波信号を受信して出力する受波部を備えた多数の超音波センサーと、前記多数の超音波センサーの各送波部に対して該当送信周波数の超音波信号を発信するように制御し、各受波部から出力した超音波反射信号を受信して発信時間と受信時間との時間差を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を計算して出力する分析集積回路と、を含む。
【0011】
また、本発明の前記多数の超音波センサーの各送波部は、底部を有する円筒状のケースと、前記ケース内部の底面に形成される圧電素子と、前記圧電素子に電気的に接続される端子と、前記端子が固定される基板と、を含み、前記多数の超音波センサーの各送波部の送信周波数は該当送波部のケースの底面の厚さや直径または圧電素子の物質定数が互いに異なるようにして互いに異なる送信周波数を有するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記多数の超音波センサーの各受波部は、所定の物体に衝突して反射された超音波を受信する超音波受信機と、前記超音波受信機から受信した周波数のうち電圧が最大である共振周波数のみを通過させる帯域通過フィルターと、前記帯域通過フィルターを通過した超音波信号を所定雑音の大きさに応じて増幅率を調整する増幅器と、を含む。
【0013】
また、本発明の前記多数の超音波センサーの各受波部は、前記増幅器を通過した信号を検波する検波器と、前記検波器で検波した信号を線形基準信号と比較してデジタル値に変換する比較器と、をさらに含む。
【0014】
また、本発明の前記分析集積回路は、クロック信号を発生する発振器と、前記クロック信号の入力を受けて該当共振周波数の単一駆動パルスを発生する複数の単一パルス発生器と、前記複数の単一パルス発生器から出力される単一駆動パルスのうち何れか一つを選択して出力するパルス選択器と、前記パルス選択器から出力される単一駆動パルスを該当超音波センサーに印加する駆動信号出力機と、を含む。
【0015】
また、本発明の前記分析集積回路は、前記受波部から出力される超音波信号の入力を受けて該当超音波センサーを認識するセンサー認識器と、前記センサー認識器で認識した超音波センサーの超音波信号の発信時間と受信時間を利用して検知した物体の距離を算出する信号処理機と、前記パルス選択器と駆動信号出力機を制御する制御器と、を含む。
【0016】
また、本発明は、(A)分析集積回路が多数の超音波センサーを駆動して該当送信周波数の超音波信号を順に出力する段階と、(B)多数の超音波センサーが、発信された超音波信号が反射されてくる超音波反射信号を受信して出力する段階と、(C)分析集積回路が、多数の超音波センサーから受信した超音波信号の入力を受けて超音波信号が入力された超音波センサーを区別し、該当超音波センサーの超音波信号の発信時間と受信時間を利用して距離を算出して出力する段階と、を含む。
【0017】
また、本発明の前記(A)段階は、(A−1)前記分析集積回路の制御器が発振器を駆動してクロック信号を発生する段階と、(A−2)前記分析集積回路の多数の単一パルス発生器がクロック信号の入力を受けて該当共振周波数を有するパルス信号を発生して出力する段階と、(A−3)前記分析集積回路のパルス選択器が、制御器の制御により、多数の単一パルス発生器から出力されるパルス信号を順に選択して出力する段階と、(A−4)前記分析集積回路の駆動信号出力機が、制御器の制御により、該当共振周波数のパルス信号を該当超音波センサーに出力する段階と、(A−5)該当超音波センサーの送波部が、該当超音波信号を生成して発信する段階と、を含む。
【0018】
また、本発明の前記(C)段階は、(C−1)前記分析集積回路のセンサー認識器が、多数の超音波センサーから超音波信号の入力を受けると、超音波信号が入力された超音波センサーを認識して該当超音波センサーを決定する段階と、(C−2)前記分析集積回路の信号処理機は、センサー認識器で認識した超音波センサーの超音波信号の発信時間及び受信時間を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を算出して出力する段階と、を含む。
【0019】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0020】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、前記のように多数の超音波センサーを使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路を使用してコストを低減することができる。
【0022】
また、本発明は、多数の超音波センサーを使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路を使用して製品の小型化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例による多重検知装置の構成図である。
【図2】図1の送波部の断面図である。
【図3】図1の受波部の内部ブロック構成図である。
【図4】図1の分析集積回路の内部ブロック構成図である。
【図5】本発明の実施例による多重検知方法のフローチャートである。
【図6】図5の超音波信号の出力段階の詳細構成図である。
【図7】図5の距離算出過程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施例による多重検知装置の構成図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の実施例による多重検知装置は、送波部110と受波部130を備えた多数の超音波センサー100及び分析集積回路200で構成されている。
【0028】
先ず、多数の超音波センサー100は、取付体に固定設置され、多数の超音波センサー100それぞれに該当する送波部110は、該当共振周波数に該当する送信周波数の超音波信号を発信する。
【0029】
ここで、各送波部110から発信される超音波信号は、その出力及びアンテナ特性などを調節することにより、検知地域の該当超音波信号の到達位置や到達距離などが所望レベルに達するように設計することができる。
【0030】
このような送波部110において、共振周波数の範囲におけるインピーダンス変化を示す図2を参照すると、共振周波数から1KHz外れるだけでも振幅がすぐ低下することが確認できる。
【0031】
このような送波部110において、共振周波数の範囲におけるインピーダンス変化を示す図2を参照すると、共振周波数から1KHz外れるだけでも振幅がすぐ低下することが確認できる。
【0032】
従って、例えば、共振周波数が48KHzである送波部110に、46KHzの周波数を印加する場合、SPL(Sound pressure level)が48KHzに比べて3dB以上低下するが、SPL特性値における3dBは、ピークに対する切断の特性値の差を示すものであって、分析集積回路200内で通常意味のないデータとして処理する。
【0033】
このような特性を有する送波部110における共振周波数は、ケースの底面の厚さや直径、圧電素子の物質定数等を少し変化するだけでも容易に周波数を変化することができる。
【0034】
このような多数の超音波センサー100の送波部110は、順に駆動されて該当送信周波数の超音波信号を発信することが好ましい。勿論、前記多数の超音波センサー100の送波部110が同時に駆動されて該当送信周波数の超音波信号を発信することができる。
【0035】
また、多数の超音波センサー100の各受波部130は、該当超音波センサー100の送波部110から発信した超音波信号を受信して分析集積回路200に出力する。
【0036】
このように、多数の超音波センサー100の各受波部130が、該当超音波センサー100の送波部110から発信した送信周波数の超音波信号を受信できるように設計すると、各受波部130は、複数個の送波部110から発信された超音波信号を受信しても、これら信号の個別的特性により、該信号を発信する送波部110を区分して識別することができる。
【0037】
一方、分析集積回路200は、多数の超音波センサー100の各送波部110に対して該当送信周波数の超音波信号を発信するように制御し、各受波部130から出力された超音波反射信号を受信して時間差を利用して該当物体の距離などを計算して出力する。
【0038】
ここで、使用される共振周波数が48KHz前後の周波数である場合、1秒に48,000回の信号を入力することができ、実際、周波数を順に入力するためにかかる時間は、4/48,000秒程度であるが、分析集積回路200が各超音波センサー100のノイズを除去して所望の重要信号を得るためにかかる時間が通常1.2msであるため、0.08msは、実際に超音波センサー100の作動に大きく影響を及ぼすほどの数値ではない。
【0039】
このように構成される多重検知装置の動作を詳細に説明すると次のとおりである。
【0040】
先ず、分析集積回路200は、多数の超音波センサー100を一定順序に従って順に駆動し、駆動された超音波センサー100の送波部110が該当送信周波数の超音波信号を発信するようにする。
【0041】
このように、多数の超音波センサー100の送波部110が該当送信周波数の超音波信号を発信すると、該当超音波信号は、信号の進行経路に位置した物体に衝突して反射されてくるようになり、該当超音波センサー100の受波部130は、反射されてきた超音波反射信号を受信する。
【0042】
このように該当超音波センサー100の受波部130が超音波信号を受信し、受信された超音波信号を分析集積回路200に出力すると、分析集積回路200は、超音波信号が入力された超音波センサー100を区別して認識し、認識された超音波センサー100の超音波信号の発信時間と受信時間を検知した後、時間差を利用して距離を計算し、計算された距離を出力する。
【0043】
このように前記のような多重検知装置は、多数の超音波センサー100を使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路200を使用して検知することにより、コストを低減することができる。
【0044】
また、本発明の多重検知装置は、多数の超音波センサー100を使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路200を使用して検知することにより、製品の小型化を可能とする。
【0045】
図2は、図1の超音波センサーの送波部のブロック構成図である。
【0046】
図2を参照すると、図1の超音波センサーの送波部は、例えば、底部を有する円筒状のケース112を含む。このケース112は、円板状の底面部112aと円筒状の側壁112bとで構成される。ケース112は、例えば、アルミニウムなどの金属材料で形成される。ケース112の内側の空洞部114は、例えば、断面円状になるように形成される。
【0047】
一方、空洞部114の形状に応じて超音波センサー100から放射される超音波が広がる方式が決定されるため、所望の特性に応じて、空洞部114の形状は、例えば、断面は楕円形などの他の形状に設計変更されても良い。
【0048】
ケース112の内部において、底面部112aの内面には、圧電素子116が付着される。圧電素子116は、例えば、円板状の圧電体基板の両面に電極を形成したものである。また、圧電素子116の一方の主面側の電極が、導電性接着剤などによって底面部112aに接着される。
【0049】
ケース112の開口部の端面には、例えば、シリコンゴムからなる減衰材118が付着される。減衰材118は、ケース112や圧電素子116から外部への不要な振動の伝達と、外部からケース112や圧電素子116への不要な振動の侵入を抑制するためのものである。
【0050】
減衰材118は、例えば、ケース112の外径より若干小さいがケース112の内径より若干大きい外径を有する円板状に形成される。また、減衰材118は、その一方の主面における外周部分がケース112の開口部の端面に対向するとともに、その中心がケース112の中心と同一直線上に位置するように配置される。
【0051】
即ち、減衰材118は、ケース112の開口部を覆うように形成される。減衰材118には、その両面を垂直に貫通するとともに、ケース112の空洞部114に通過するように2個の端子孔118a、118bが互いに離れて形成される。
【0052】
減衰材118の他方の主面には、例えば、硝子エポキシ基板を利用した円板状の基板120が付着される。基板120は、減衰材118の外径と同一の外径を有し、その一方の主面が減衰材118の他方の主面に対向するとともに、その中心がケース112の中心及び減衰材118の中心と同一直線上に位置するように配置される。
【0053】
それにより、減衰材118は、ケース112の開口部の端面と基板120の一方の主面との間に形成される。また、基板120には、その両面を垂直に貫通するための2個の端子孔120a、120bが形成される。これら端子孔120a、120bは、減衰材118に形成された端子孔118a、118bにそれぞれ対応して形成される。
【0054】
基板120には、直線状の2個のピン端子122a、122bが端子孔120a、120bにそれぞれ圧入されて固定される。
【0055】
この場合、これらピン端子122a、122bは、それらの一端が基板120の一方の主面側、即ち、内側に配置され、それらの他端が基板120の他方の主面側、即ち、外側に配置される。また、ピン端子122a、122bの一端は、減衰材118に形成された端子孔118a、118bに挿入され、それらの先端部がケース112の空洞部114に配置される。
【0056】
ケース112の側壁112bの内面には、接続部材として、例えば、ポリウレタン銅線からなる一方のリード線124aの一端がソルダリングされる。それにより、このリード線124aは、ケース112を介して圧電素子116の一方の主面側の電極に電気的に接続される。また、リード線124aの他端は、一方のピン端子122aの一端の先端部にソルダリングされる。従って、圧電素子116の一方の主面側の電極は、ケース112及びリード線124aを介して一方のピン端子122aに電気的に接続される。
【0057】
また、接続部材として、例えば、ポリウレタン銅線からなる他方のリード線124bの一端が、圧電素子116の他方の主面側の電極にソルダリングされる。このリード線124bの他端は、他方のピン端子122bの他端の先端部にソルダリングされる。従って、圧電素子116の他方の主面側の電極は、リード線124bを介して他方のピン端子122bに電気的に接続される。
【0058】
このような構成を有する超音波センサー100は、ピン端子122a、122bに駆動電圧を印加することにより、圧電素子116が励振される。圧電素子116の振動により、ケース112の底面部112aも振動して、底面部112aに直交する方向に超音波が放射される。超音波センサー100から放射された超音波が被検出物から反射して超音波センサー100に到逹すると、圧電素子116が振動して電気信号に変換され、ピン端子122a、122bから電気信号が出力される。従って、駆動電圧を印加してから電気信号が出力されるまでの時間を測定することにより、超音波センサー100から被検出物までの距離を測定することができる。
【0059】
この超音波センサー100で共振周波数(fsn)は、ケース112の円板状の底面部112aの厚さ(t)と、円板状の底面部112aの直径(D)と、圧電素子116の物質定数(kn)によって、以下の式1のように定められ、このうち何れか一つの要素を変化させると発信される送信周波数を変更することができる。
【0060】
【数1】

【0061】
従って、前記超音波センサー100を多数個使用する本発明の多重検知装置の場合、前記超音波センサー100の何れか一つの構成要素を変更して互いに異なる送信周波数の超音波信号を生成して発信することができる。
【0062】
図3は、図1の受波部の内部ブロック構成図である。
【0063】
図3を参照すると、図1の受波部は、所定の物体に衝突して反射された超音波を受信する超音波受信機121と、前記超音波受信機121から受信した周波数のうち電圧が最大である共振周波数のみを通過させる帯域通過フィルター122と、前記帯域通過フィルター122を通過した超音波信号を所定雑音の大きさに応じて増幅率を調整する増幅器123と、前記増幅器123を通過した信号を検波する検波器124と、前記検波器124で検波した信号を線形基準信号と比較してデジタル値に変換する比較器125と、を備えている。
【0064】
ここで、検波器124と比較器125は、受波部から出力される信号をデジタル信号に変換するためのものであって、必要に応じて省略することができる。
【0065】
このように構成される受波部は、所定の物体に衝突して反射された超音波を超音波受信機121で受信し、前記超音波受信機121で受信した周波数のうち電圧が最大である共振周波数のみを帯域通過フィルター122から通過させる。
【0066】
また、前記帯域通過フィルター122を通過した超音波信号は、所定雑音の大きさに応じて増幅率を調整し、増幅器123によって調整された増幅率は検波器124により超音波信号を検波する。
【0067】
また、前記検波器124で検波した信号を、線形基準信号と比較して比較器125でデジタル値に変換して出力される。
【0068】
図4は、図1の分析集積回路の内部ブロック構成図である。
【0069】
図4を参照すると、図1の分析集積回路は、発振器210と、複数の単一パルス発生器220と、パルス選択器230と、駆動信号出力機240と、センサー認識器250と、信号処理機260と、制御器270と、を備えている。
【0070】
前記発振器210は、電源供給装置(不図示)から供給される電源の入力を受けてクロックパルス信号を発生する。
【0071】
また、複数の単一パルス発生器220は、クロックパルス信号を発生する発振器210から出力されるクロックパルスを利用して、それぞれに該当する単一駆動パルスを発生する。
【0072】
次に、パルス選択器230は、制御器270の制御により、複数の単一パルス発生器220から何れか一つの出力信号を選択して、駆動信号出力機240に出力する。
【0073】
前記駆動信号出力機240は、前記パルス選択器230から選択された該当パルスを該当超音波センサーの送波部に出力する。
【0074】
一方、センサー認識器250は、多数の超音波センサー100の受波部から超音波信号の入力を受けると、超音波信号が入力された超音波センサー100を認識して、該当超音波センサー100を区別できる区別信号(例えば、識別番号)と受信時間を出力する。
【0075】
また、信号処理機260は、センサー認識器250から出力される該当超音波センサー100を区別できる区別信号(例えば、識別番号)と受信時間を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を検知する。
【0076】
このような分析集積回路の動作を詳細に説明すると、次のとおりである。
【0077】
先ず、前記制御器270は、前記発振器210を駆動して、電源供給装置から入力される電源を利用してクロック信号を発生する。
【0078】
また、このように発振器210から発生されたクロック信号は、多数の単一パルス発生器220に入力され、前記多数の単一パルス発生器220は、該当共振周波数を有するパルス信号を発生して出力する。
【0079】
その後、制御器270は、前記パルス選択器230を制御して、前記多数の単一パルス発生器220から出力されるパルス信号を順に選択できるようにする。
【0080】
ここで、パルス選択器230は、予め定められた順序に従って選択を行ってもよく、または任意の順序に従ってランダムに選択を行ってもよい。
【0081】
このようにパルス選択器230により選択されたパルス信号は、駆動信号出力機240に出力され、駆動信号出力機240は、制御器の制御により、該当共振周波数のパルス信号を該当超音波センサーに出力する。
【0082】
一方、センサー認識器250は、多数の超音波センサー100の受波部から超音波信号が入力されると、超音波信号が入力された超音波センサー100を認識して、該当超音波センサー100を検知する。
【0083】
ここで、センサー認識器250は、前記多数の超音波センサー100で入力される信号がアナログ信号である場合、共振周波数を検出し、検出された共振周波数を利用して、該当超音波センサー100を区別することができる。
【0084】
これと異なり、前記多数の超音波センサー100がデジタル信号を出力する場合、センサー認識器250は、デジタル信号の入力ラインを区別して、超音波センサー100が検知することができる。
【0085】
また、信号処理機260は、センサー認識器250から出力される該当超音波センサー100を区別できる区別信号(例えば、識別番号)と、発信時間及び受信時間を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を検知する。
【0086】
図5は、本発明の実施例による多重検知方法のフローチャートである。
【0087】
図5を参照すると、本発明の実施例による多重検知方法は、先ず、分析集積回路200が多数の超音波センサー100を、一定順序に従って順に駆動して、多数の超音波センサー100の送波部110が該当送信周波数の超音波信号を順に出力する(S100)。
【0088】
次に、前記多数の超音波センサー100の受波部130は、発信された超音波信号が、信号の進行経路に位置した物体に衝突して反射されてきた超音波反射信号を受信して出力する(S200)。
【0089】
その後、分析集積回路200は、多数の超音波センサー100の受波部130で受信した超音波信号の入力を受けて超音波信号が入力された超音波センサーを区別して認識し、認識された超音波センサー100の超音波信号の発信時間と受信時間を検知した後、時間差を利用して距離を計算し、計算された距離を出力する(S300)。
【0090】
本発明は、前記のように多数の超音波センサーを使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路を使用してコストを低減することができる。
【0091】
また、本発明は、多数の超音波センサーを使用して物体を検知する場合、単一の分析集積回路を使用して製品の小型化を可能とする。
【0092】
図6は、図5の超音波信号の出力段階の詳細構成図である。
【0093】
図6を参照すると、図5の超音波信号の出力段階は、先ず、制御器が発振器を駆動してクロック信号を発生させ(S111)、多数の単一パルス発生器は、クロック信号の入力を受けて該当共振周波数を有するパルス信号を発生させて出力する(S112)。
【0094】
その後、パルス選択器を制御器の制御により、多数の単一パルス発生器から出力されるパルス信号を予め定められた順序に従って選択して出力するか、または任意の順序に従ってランダムに選択して出力する(S113)。
【0095】
このようにパルス選択器によって選択されたパルス信号は、駆動信号出力機に出力され、駆動信号出力機は、制御器により、該当共振周波数のパルス信号を該当超音波センサーに出力し(S114)、該当超音波センサーの送波部が該当超音波信号を生成して発信する ようにする(S115)。
【0096】
図7は、図5の距離算出過程のフローチャートである。
【0097】
図7を参照すると、図5の距離算出過程は、先ず、センサー認識器が、多数の超音波センサーの受波部から超音波信号の入力を受けると、超音波信号が入力された超音波センサーを認識して該当超音波センサーを検知する(S311)。
【0098】
ここで、センサー認識器は、前記多数の超音波センサーで入力される信号がアナログ信号である場合、共振周波数を検出し、検出された共振周波数を利用して該当超音波センサーを区別することができる。
【0099】
これと異なり、前記多数の超音波センサーがデジタル信号を出力する場合、センサー認識器は、デジタル信号の入力ラインを区別して、超音波センサーを検知することができる。
【0100】
その後、信号処理機は、センサー認識器から出力される該当超音波センサーを区別できる区別信号(例えば、識別番号)と、発信時間及び受信時間を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を検知する(S312)。
【0101】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による多重検知装置及びその方法は、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、多数の超音波センサーが互いに異なる送信周波数を使用するようにして単一の分析集積回路を使用できるようにした多重検知装置及びその方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
100 超音波センサー
110 送波部
112 ケース
112a 底面部
112b 側壁
114 空洞部
116 圧電素子
118 減衰材
118a、118b 端子孔
120 基板
120a、120b 端子孔
122a、122b ピン端子
124a、124b リード線
130 受波部
121 超音波受信機
122 帯域通過フィルター
123 増幅器
124 検波器
125 比較器
200 分析集積回路
210 発振器
220 単一パルス発生器
230 パルス選択器
240 駆動信号出力機
250 センサー認識器
260 信号処理機
270 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
該当送信周波数の超音波信号を発信する送波部と、前記送波部から発信した超音波信号を受信して出力する受波部を備えた多数の超音波センサーと、
前記多数の超音波センサーの各送波部に対して該当送信周波数の超音波信号を発信するように制御し、各受波部から出力した超音波反射信号を受信して発信時間と受信時間との時間差を利用して該当超音波センサーが検知した物体の距離を計算して出力する分析集積回路と、を含む多重検知装置。
【請求項2】
前記多数の超音波センサーの各送波部は、
底部を有する円筒状のケースと、
前記ケース内部の底面に形成される圧電素子と、
前記圧電素子に電気的に接続される端子と、
前記端子が固定される基板と、を含み、
前記多数の超音波センサーの各送波部の送信周波数は、該当送波部のケースの底面の厚さや直径または圧電素子の物質定数が互いに異なるようにして互いに異なる送信周波数を有するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多重検知装置。
【請求項3】
前記多数の超音波センサーの各受波部は、
所定の物体に衝突して反射された超音波を受信する超音波受信機と、
前記超音波受信機から受信した周波数のうち電圧が最大である共振周波数のみを通過させる帯域通過フィルターと、
前記帯域通過フィルターを通過した超音波信号を所定雑音の大きさに応じて増幅率を調整する増幅器と、を含む請求項1に記載の多重検知装置。
【請求項4】
前記多数の超音波センサーの各受波部は、
前記増幅器を通過した信号を検波する検波器と、
前記検波器で検波した信号を線形基準信号と比較してデジタル値に変換する比較器と、をさらに含む請求項3に記載の多重検知装置。
【請求項5】
前記分析集積回路は、
クロック信号を発生する発振器と、
前記クロック信号の入力を受けて該当共振周波数の単一駆動パルスを発生する複数の単一パルス発生器と、
前記複数の単一パルス発生器から出力される単一駆動パルスのうち何れか一つを選択して出力するパルス選択器と、
前記パルス選択器から出力される単一駆動パルスを該当超音波センサーに印加する駆動信号出力機と、を含む請求項1に記載の多重検知装置。
【請求項6】
前記分析集積回路は、
前記受波部から出力される超音波信号の入力を受けて該当超音波センサーを認識するセンサー認識器と、
前記センサー認識器で認識した超音波センサーの超音波信号の発信時間と受信時間を利用して検知した物体の距離を算出する信号処理機と、
パルス選択器と駆動信号出力機を制御する制御器と、を含む請求項1に記載の多重検知装置。
【請求項7】
(A)分析集積回路が多数の超音波センサーを駆動して該当送信周波数の超音波信号を順に出力する段階と、
(B)多数の超音波センサーが発信された超音波信号が反射されてくる超音波反射信号を受信して出力する段階と、
(C)分析集積回路が多数の超音波センサーから受信した超音波信号の入力を受けて超音波信号が入力された超音波センサーを区別して該当超音波センサーの超音波信号の発信時間と受信時間を利用して距離を算出して出力する段階と、を含む多重検知方法。
【請求項8】
前記(A)段階は、
(A−1)前記分析集積回路の制御器が発振器を駆動してクロック信号を発生する段階と、
(A−2)前記分析集積回路の多数の単一パルス発生器が、クロック信号の入力を受けて該当共振周波数を有するパルス信号を発生して出力する段階と、
(A−3)前記分析集積回路のパルス選択器が、制御器の制御により、多数の単一パルス発生器から出力されるパルス信号を順に選択して出力する段階と、
(A−4)前記分析集積回路の駆動信号出力機が、制御器の制御により、該当共振周波数のパルス信号を該当超音波センサーに出力する段階と、
(A−5)該当超音波センサーの送波部が該当超音波信号を生成して発信する段階と、を含む請求項7に記載の多重検知方法。
【請求項9】
前記(C)段階は、
(C−1)前記分析集積回路のセンサー認識器が多数の超音波センサーから超音波信号の入力を受けると、超音波信号が入力された超音波センサーを認識して該当超音波センサーを決定する段階と、
(C−2)前記分析集積回路の信号処理機は、センサー認識器で認識した超音波センサーの超音波信号の発信時間及び受信時間を利用して、該当超音波センサーが検知した物体の距離を算出して出力する段階と、を含む請求項7に記載の多重検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76687(P2013−76687A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265241(P2011−265241)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】