説明

多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法

位相ピットと記録層を設けたROM−RAM同時再生可能な記憶媒体を使用して、多重記録、同時再生を行う。コンカレントROM/RAM記録媒体(3)を使用して、ROM(8)を再生しながら、RAM(9)に記録する際に、ROM(8)の記録開始、終了信号(86、89)を使用して、RAM(9)への記録開始、終了を制御する。このため、ROM(8)のコンテンツに対するRAM(9)のコンテンツ記録位置を均一にでき、時間ずれを制御でき、バーチャルセッション機能と多重記録機能とを手軽に安価に実現することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、基板上に形成された光学位相ピットによるROM(Read Only Memory)と記録膜によるRAM(Random Access Memory)との両方の機能を持つ記録媒体を利用して、コンテンツの多重記録及び同時再生を行うための多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法に関し、特に、1つの記録媒体に多重記録しても、同時再生時の違和感を低減するための多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法に関する。
【背景技術】
音楽を聞く手段として、CD(Compact Disc)が一般に広く普及している。また、デジタルオーデイオデータを記録再生する装置として、光磁気媒体を使ったMD(Mini Disc)システム等が普及している。MDシステムでは、CDに収められている音楽を、録音再生することが可能である。
このように、従来の音楽の聞き方は、CDのように,予め音楽情報がROMとして記録された媒体を購入して,それを聞くか、あるいはMD等に好みの音楽を録音して聞くという楽しみ方が一般的である。
もう一つの音楽の楽しみ方は、自分で楽器を演奏することである。楽器の演奏を録音して再生するには、MD等の録音可能な装置に、外部マイクを取り付けて、演奏を生で録音し、再生する。この場合、自分の演奏のみを単独で録音することになる。
しかしながら、ほとんどの音楽はオーケストラとかバンドのように、様々な楽器が別々のパートを演奏することにより成り立っている。したがって、個々の演奏者が、個人でオーケストラとかバンドのパートを演奏するためにほ、例えば、CDを聞きながら楽器の演奏をする場合には、その演奏を記録するには、別途録音用の装置を準備する必要があった。
さらに、その録音装置を同時に操作しなければならず面倒であった。また、例えば、CDを再生しながら,それに合わせて楽器を演奏し、外部入力マイク等で録音する方法では、CD再生と演奏の音量バランスの調整が困難であるために、品質の良い音楽を記録することが極めて難しかった。
以上のような音楽記録上の問題点を改善するには、多重録音が行われる。多重録音は、複数の録音トラックをもつ記録媒体のトラック毎に、別々の音楽を記録する。つまり、一つ目のトラックに予め音楽を録音しておき、その音を再生して聞きながら、別のトラックに音を重ねて記録する。
例えば、はじめに、ピアノを録音し、次にそのピアノの音を聴きながらギターを録音することにより、ピアノとギターを同時再生可能となる。このように複数トラックで再生しながら記録する、あるいは複数トラックの音楽を同時再生するためには、高速、大容量な記憶装置が必要であり、主にハードディスクが用いられている。
しかしながら、ハードディスクを利用した多重記録システムは、音楽の製作が目的であるため、高度な編集が必要とされ、且つ複雑な操作が要求される。よって、ハードディスクを使用した多重録音システムは、限られた一部に利用されてはいるが、一般的には普及していない。また、磁気記録媒体は、光ディスクの位相ピットのようなROM部がないため,予め音楽を記録しておくためには,1枚毎に音楽を磁気的に記録する必要があり,製造コストが上昇するという問題もある。
ハードディスクに比べて簡単で扱いやすい媒体としてMD(Mini Disk)を使用した多重録音システムも実現されている。MDを使うことで媒体は安価となるが,複数トラックに順番に、ユーザーが音楽を記録しなればならないという点はハードディスクを使用した装置と同じである。
又、出荷時に、予め音楽情報を記録するためには、やはりハードディスクの場合と同じように、1枚毎に光磁気記録しなければならず、媒体コストが上昇してしまう。更に、複数トラックにした分だけ、記録容量が低下するという問題もある。よって、従来の記録用MDによる多重録音システムも,一部の専門家に使用されてはいるが、一般的には普及していない。
以上のように、一部の専門家を除けば、これまでの音楽の楽しみ方は、音楽を聴く、楽器を単独で演奏する、単独の演奏を録音再生するの3つに限られていた。
一方、コンカレントROM/RAM媒体を使用した方式は,一部の専門家に限られていた多重録音、同時再生機能を安価に実現させる可能性を秘めた方法である。
例えば、特開平7−65375号公報においては、ROMとRAMからなる媒体を使用し、位相ピットによるROM部にあらかじめ音楽あるいは画像情報を記録しておき、ROMに記録された音楽、画像の再生に同期させて、同じ位置に別の音楽あるいは画像情報を,RAM部に記録する方法が提案されている。
しかしながら,実際の音楽録音においては,ROMデータの記録位置と同じ位置に,RAMデータを記録することは困難である。
第1の理由は、演奏に入るタイミングを掴む手段がないことである。一般に、複数楽器の演奏は、各楽器演奏者が、指揮者等何らかのタイミングカウント手段を利用して、お互いの時間的なタイミングを合わせて、演奏に入る必要がある。ところが、ROMの音楽、画像を再生しながら、多重録音するには、録音する側では、そのタイミングが掴めず、演奏開始のタイミングが遅れてしまう。
第2の理由は、例えば、媒体のROM部を再生して、スピーカから出力される音楽を聴きながら、ギター、ピアノの演奏を行ったり、歌ったりする場合は、音の情報が、スピーカから演奏者あるいは歌い手に届くまでに、どうしても時間遅れが発生してしまう。この遅れはスピーカと演奏者の距離が遠いほど顕著になる。しかも、スピーカ等の音源と演奏者あるいは歌い手との位置関係は、ユーザーが任意に設定するので一定ではない。従って、記録時に、ROM部の音楽の位置とRAM部の記録位置との位置合わせを完全に行うことは困難である。
このことは、音楽に限らず、画像等の他のコンテンツでも、多かれ少なかれ、共通の課題である。このため、ROMデータと、これに対応するRAMデータとの位置がずれても、位置ずれを制御する、又は、位置ずれがあっても、同時再生を実現する工夫が必要となる。
【発明の開示】
従って、本発明の目的は、これまで一部の専門家に限られていたバーチャルセッション機能と多重記録機能とを安価に実現し、しかも十分な品質で音楽を再生するための多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法を提供することにある。
又、本発明の他の目的は、ROMの記録済みコンテンツを再生しながら、これに合わせてRAMにコンテンツを多重記録しても、再生時に、両者のタイミングを同期して合成出力するための多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法を提供することにある。
更に、本発明の別の目的は、ROMの記録済みコンテンツを再生しながら、これに合わせて記録タイミングを同期して、RAMにコンテンツを多重記録するための多重記録媒体、記録再生装置及び記録再生方法を提供することにある。
この目的の達成のため、本発明の多重記録媒体は、第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板と、前記基板上に設けられ、光により記録及び再生可能な記録層とを有し、前記第1のコンテンツ情報が記録されたコンテンツ記録エリアの前後に、前記第1のコンテンツの再生にともない前記記録層に記録される第2のコンテンツの記録タイミングを制御する情報を前記位相ピットで形成したバッファエリアを設けた。
本発明の多重記録媒体は、好ましくは、前記記録層が光磁気記録膜で構成される。
又、本発明の記録再生装置は、第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板に、光により記録及び再生可能な記録層を設けた多重記録媒体に、光を照射し、前記位相ピットの情報と前記記録層の情報を分離して、検出する光ピックアップと、前記照射光とともに、前記記録層に情報を記録するための磁気記録ヘッドと、前記第1のコンテンツ情報の再生にともない入力される第2のコンテンツ情報を、前記第1のコンテンツ情報に付加された記録タイミング情報に従い、前記記録層に記録し、且つ光ピックアップから前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報と前記記録層の前記第2のコンテンツ情報を再生するコントローラと、前記再生された前記第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方を遅延して、合成出力する出力機構とを設けた。
又、本発明の記録再生方法は、第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板に、光により記録及び再生可能な記録層を設けた多重記録媒体に、光を照射し、前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報の再生しながら、入力される第2のコンテンツ情報を、前記第1のコンテンツ情報に付加された記録タイミング情報に従い、前記記録層に記録するステップと、前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報と前記記録層の前記第2のコンテンツ情報を再生し、且つ前記再生された前記第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方を遅延して、合成出力するステップとを有する。
本発明では、コンカレントROM/RAM記録媒体を使用して、ROMを再生しながら、RAMに記録する際に、ROMの記録開始、終了信号を使用して、RAMへの記録開始、終了を制御するため、ROMのコンテンツに対するRAMのコンテンツ記録位置を均一にでき、時間ずれを制御できる。これにより、これまで一部の専門家に限られていたバーチャルセッション機能と多重記録機能とを手軽に安価に実現することが可能となる。
又、本発明の多重記録媒体では、好ましくは、前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号からなる。
又、本発明の多重記録媒体では、好ましくは、前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号からなる。
更に、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記コントローラは、前記付加された記録タイミング情報である前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号を、前記位相ピットの情報から検出して、前記第2のコンテンツ情報の前記記録層への記録開始及び記録終了を制御する。
更に、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記コントローラは、前記付加された記録タイミング情報に含まれる前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号を再生し、出力する。
更に、本発明の記録再生方法では、好ましくは、前記記録ステップは、前記付加された記録タイミング情報である前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号を、前記位相ピットの情報から検出して、前記第2のコンテンツ情報の前記記録層への記録開始及び記録終了を制御するステップからなる。
更に、本発明の記録再生方法では、好ましくは、前記記録ステップは、前記付加された記録タイミング情報に含まれる前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号を再生し、出力するステップを更に有する。
この本発明の態様では、コンカレントROM/RAM記録媒体を使用して、ROMを再生しながら、RAMに記録する際に、ROMのタイミング信号を使用して、RAMへの記録を制御するため、ROMのコンテンツに対するRAMのコンテンツ記録位置を均一にでき、時間ずれをより制御でき、再生時の同時再生が可能となる。これにより、これまで一部の専門家に限られていたバーチャルセッション機能と多重記録機能とを手軽に安価に実現することが可能となる。
又、本発明の多重記録媒体では、好ましくは、前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第2のコンテンツ情報の時間的なタイミングを示す信号からなる。
又、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記コントローラは、前記付加されたタイミング情報に含まれる前記第2のコンテンツ情報の時間的なタイミングを示す信号に応じて、前記記録する第2のコンテンツ情報に時間情報を付加する。
更に、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記コントローラは、前記位相ピット情報の前記タイミング信号と、前記記録層の第2のコンテンツ情報に付加された前記時間情報を比較して、前記合成出力機構の前記遅延量を制御する。
更に、本発明の記録再生方法では、好ましくは、前記合成出力するステップは、前記位相ピット情報の前記タイミング信号と、前記記録層の第2のコンテンツ情報に付加された前記時間情報を比較して、前記合成出力機構の前記遅延量を制御するステップを更に有する。
本発明のこの態様では、位相ピットに設けられた時間情報で、記録層の記録データの時間情報を付加し、合成時の遅延量を自動制御するため、時間ずれを自動調整できる。
又、本発明の多重記録媒体では、好ましくは、前記位相ピットで形成された前記第1のコンテンツ情報が、デジタルオーディオ信号に変換された音楽情報である。
又、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記合成出力機構は、前記再生された第1及び第2のコンテンツ情報の出力比を調整する手段を更に有する。
又、本発明の記録再生装置では、好ましくは、前記合成出力機構は、前記再生された第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方の波形を調整する手段を更に有する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態のコンテンツ記録再生システムの構成図である。
図2は、図1のコンテンツ記録再生システムの詳細構成図である。
図3は、図1のシステムに使用される光記録媒体の一例として光磁気ディスクの構成図である。
図4は、図3の構造の光記録媒体におけるROM情報とRAM情報の記録状態を説明する斜視図である。
図5は、図3の光記録媒体の多重記録状態を示す説明図である。
図6は、図5の各コンテンツの位相ピットエリアと光磁気RAM記録エリアの関係図である。
図7は、図6の位相ピットエリアの構成図である。
図8は、本発明の記録再生装置の一実施の形態の構成図である。
図9は、図8のメインコントローラにおける再生、記録各モードでのROM及びRAMの検出の組合せを示す図である。
図10は、図8のメインコントローラの第1の実施の形態の構成図である。
図11は、図8のメインコントローラの第2の実施の形態の構成図である。
図12は、図11の構成の動作説明図である。
図13は、図11の構成の他の動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を、コンテンツ多重記録再生システム、コンテンツ多重記録媒体、多重記録再生装置、他の実施の形態の順で説明する。尚、以下に、実施の形態では、音楽情報を例として説明するが、コンテンツは、音楽に限られたものではなく、画像等にも適用できる。
[コンテンツ多重記録再生システム]
図1及び図2は、本発明の一実施の形態のコンテンツ多重記録再生システムの構成図である。尚、コンテンツとして、音楽を例に説明する。
最初に、本発明による音楽情報の記録方法を、図1により、説明する。図1において、ギター2Bやピアノ2D等の楽器の演奏により、楽器からは、電気信号に変換された音楽信号が出力される。楽器から出力された音楽信号は、記録再生装置1に入力され、A/D変換器によりデジタル信号に変換された後に、後述する光磁気記録媒体3に記録される。
このとき、同じ光磁気記録媒体3に、例えば、予め位相ピットとして記録された音楽ROM情報が、読み出され、再生され、スピーカ2Aに出力している。このROM情報は、例えば、楽器の演奏パート以外のドラム、ベース、ギター、コーラス、ボーカル等のバンドの演奏でも良いし、あるいはオーケストラの演奏でも良い。または一定間隔のリズムを刻む音でも良い。
いずれにしても、楽器の演奏は、この記録媒体3のROMに記録された音楽情報を聞きながら、それに合わせて行う。つまり、擬似的に、バンドとかオーケストラのメンバーとなるバーチャルセッションが実現される。そして、この音楽ROM情報の再生と同時に,楽器の演奏を,同じ光磁気記録媒体3の光磁気層に記録する。
図1において、ギター2Bからの音信号で示したが、記録再生装置1に入力する信号は、ピアノ2D、ボーカルマイク2Cの信号でも構わないし、またそれら楽器の信号を合成したものでも構わない。
この入力信号は、後述するコンカレントROM/RAM媒体3の光磁気記録膜によるRAM部に記録される。スピーカ2Aの出力信号は、媒体3に、ROMとして予め記録されている音楽情報の再生信号である。このROM音楽再生信号はスピーカ、ヘッドフォン等の出力機器2Aに入力される。
またギター、ピアノ、マイクの出力を別途(図示しない)スピーカ等に出力しても良いし、ROM音楽再生信号に合成して、同一スピーカ2Aで出力しても構わない。更に、図1のスピーカ2Aが,記録再生装置1に内蔵されていても良い。
本発明の音楽多重録音と同時再生に有効な媒体としては、例えば,後述する図3に示すような、物理的に書き換え不可能な凹凸位相ピット情報の上に光磁気記録層を含む記録膜を形成した媒体3である。
このような媒体3を用いると、ROM信号の上にRAM信号を重畳記録できるうえ、ROMを同時再生できるという特徴を活かせる。また、ROM,RAM信号重畳記録した時に、ROM部とRAM部の記録エリアは,曲毎に,媒体内でほぼ一致するが、より詳細には,位相ピット部に対して前述した理由により光磁気記録データは,時間的にずれた位置方向にずれて記録される。
次に、図2により、本発明によるROM音楽とRAM音楽の同時再生方法を説明する。記録再生装置1には、記録媒体3のROMに記録された音楽を再生し、聞きながらそれに合わせて演奏し、多重録音をするための機構が設けられている。
即ち、記録再生装置1には、曲名、曲ナンバー等のコンテンツ選択部96を備えている。さらに、多重録音ボタン97を押すことにより、後述する方法で、装置が録音体制に入り、コンテンツ再生と時間的にリンクして、多重録音を開始する。
また、スピーカ等の音源2Aと、演奏者あるいは歌い手の位置関係のために、媒体3のRAMに記録されたデータは、媒体3のROMに対して,時間遅れ分だけずれて記録される。このずれが,音楽再生上,好ましくないほど大きくずれてしまうケースも考えられる。
そこで、ROM信号に,遅延時間調整機能を付加することにより、時間ずれを調整も可能とする。遅延時間は、演奏時の距離に応じてユーザーが、ROM遅延時間調整部91により、任意に調整することができる。又、用途によっては予め遅延時間を固定にしても構わない。
同様に、RAM信号に,遅延時間調整機能を付加することにより、時間ずれを調整も可能とする。遅延時間は、演奏時の距離に応じてユーザーが、RAM遅延時間調整部92により、任意に調整することができる。又、用途によっては予め遅延時間を固定にしても構わない。
また,ROM情報とRAM情報は、後述するように、検出方法が異なるために、夫々別に再生増幅することが可能である。ROM部とRAM部の増幅ゲインを別々の調整することにより、バンドとかオーケストラの演奏音量と、新たに追加録音した楽器演奏の音量との比を変更することが可能となる。また、再生波形を調整することにより、楽器演奏の音質を様々に変化させることも可能である。
ROM音量調整部94、RAM音量調整部95は、各々、ROM,RAMの音量をユーザーが調節するために設けられ、ROM音質調整部90、RAM音質調整部93は、各々、ROM,RAMの音質をユーザーが調節するために設けられる。
このように、再生時に、音量比と音質を調整することが可能となるので、総合的にバランスのとれた音楽再生が可能となる。また、楽器毎に割り付けられた複数のトラックではなく、媒体3のROM部には、オーケストラとかバンドの演奏が一括して記録されているために、従来のようなマルチトラック記録で要求される複雑な音量、音質調整を必要とせずに、簡単に高品質な音楽を聴くことが可能である。
もちろん,媒体3のROM部にシンプルな単一楽器の演奏を記録しておいても構わない。また、音質調整は、使用する楽器に応じて調整方法を最適に変えることも可能である。例えば、ギターの場合は音を歪ませる調整を行っても良い。
[コンテンツ多重記録媒体]
図3は、本発明の一実施の形態におけるコンテンツ記録媒体の説明図、図4は、そのROM信号及びRAM信号の関係図である。
図3以下の説明では、コンテンツ記録媒体として、ROM−RAM光磁気ディスク(MO)を例に説明する。図3に示すように、ISO規格の光磁気ディスク3は、円盤形状をなしており、最内周に、リードイン領域が、最外周に、リードアウト領域が、その間に、ユーザーエリアが設けられている。
リードイン領域及びリードアウト領域は、ポリカーボネイト基板にデイスクの凹凸により形成された位相ピットで構成されるROM情報であり、デイスクの仕様等の情報が記録される。これを読むことにより記録再生の条件を制御している。このROM情報となる位相ピットの光学的深さ(ピット深さ)は、再生時の光強度変調が最大になるように設定されている。一般には70%以上の変調度(平坦部光強度に対する位相ピット部の光強度の変化の割合)に設定されている。
リードイン領域とリードアウト領域の間に光磁気記録膜がスパッタ装置により成膜されているユーザーエリアが設けられている。このユーザーエリアには、ユーザーが自由に情報を記録/再生できる。
このユーザーエリアを、ROMとRAMとの機能を持たせるための光磁気ディスク4の構造は、図3に示すように、位相ピットを形成した透明(ポリカーボネイト)基板4A上に、窒化珪素、酸化タンタル等を材料とした第1誘電体層4B、TbFeCoのような希土類と遷移金属のアモルファス合金からなる光磁気記録層4C、第1誘電体層4Bと同じ材料からなる第2誘電体層4D、AlTi、Au等の金属からなる反射層4Eおよび紫外線硬化型樹脂を用いた保護コート層4Fの構成が一般的である。
図3及び図4に示すように、ROM機能は、ディスク3に凸凹に形成した位相ピットPPで付与し、RAM機能は、光磁気記録層4Cで付与する。光磁気記録層4Cへの記録は、光磁気記録層4Cにレーザ光を加熱し、磁化反転を助け、信号磁界に対応して磁化の方向を反転させて、光磁気信号OMMの記録を行う。これにより、RAM情報の記録が可能である。
光磁気記録層4Cの記録情報の読出しは、記録層4Cに弱いレーザ光を当てることにより、レーザ光の偏光面が、記録層4Cの磁化の向きに応じて極カー効果により変わり、この時の反射光の偏光成分の強弱により、信号の有無を判断する。これにより、RAM情報の読出が可能である。この読出しにおいて、反射光は、ROMを構成する位相ピットPPにより変調されるため、ROM情報の読出しも同時にできる。
かかる構造の光情報記録媒体において、図4に示すように、ROM情報は、平坦な基板上に形成された凸凹による位相ピットPPにより固定記録され、RAM情報は、位相ピットPP列上に、光磁気記録層にRAM信号MOとして記録される。
この光記録媒体では、1つの光ピックアップにより、ROMとRAMの同時再生が可能であり、且つ磁界変調方式の光磁気記録を採用すれば、RAMへの書込みと、ROMの再生が同時に可能である。
図5は、図3及び図4の光ディスク媒体の記録状態を示す概念図である。図5のように、記録媒体3内に、複数のコンテンツが予め位相ピットでROMとして記録されている。この物理的に書き換え不可能な凹凸位相ピット情報の上に形成された光磁気記録層を含む記録膜に、RAM情報が記録される。
このような媒体を用いると、図6に示すように、ROM信号の上に,RAM信号を重畳記録できるうえ、ROMとRAMを同時再生できるという特徴を活かせる。
図5は、音楽多重録音を、図3及び図4で説明したROM、RAM信号重畳記録媒体3に行ったときの概念図である。ROM部とRAM部の記録エリアは,曲毎に媒体内でほぼ一致するが、より詳細には,図6のように,位相ピット部8に対して,前述した理由により,光磁気記録データ9は,時間的にずれた位置方向にずれて記録される。
このずれを均一又は調整するため、ROMの記録エリア(各コンテンツ、例えば、曲)のデータ構造を、図7のように、構成する。即ち、記録エリア8は、コンテンツデータエリア82の前後に、2つのバッファ領域80、84を設けている。ここで、バッファ80が、コンテンツ82に対して、時間的に前方向、バッファ84は、後ろ方向である。
バッファ80には、記録動作開始命令86が記録されている。ユーザーが、図2の記録再生装置1の多重録音ボタン97を押すと、記録開始可能となり、前述のバッファ80内の記録開始命令86を受けて、録音状態となる。
また、バッファ80には、コンテンツ毎に固有のタイミング信号88が記録されている。このタイミング信号88は、演奏に入るカウントとして音声として出力する信号である。例えほ、「1」、「2」、「3」、「スタート」の掛け声である。同様に、画面として表示しても構わない。
又は、RAM情報に,CDで使用されているQチャネルコードを付加する場合は、タイミング信号として、付加するタイミングを制御する情報に使用することも可能である。
バッファ84には、記録動作終了命令を発する信号89が記録されている。この信号記録位置は、前述した図6に示す遅れ時間に対応して、時間的に後方位置に配置する。この記録動作終了命令89を受けて、磁気ヘッドへの記録動作が終了する。
[コンテンツ多重記録再生装置]
次に、本発明にかかわるコンテンツ記録再生装置1である光ディスクドライブを説明する。図8は、本発明の一実施の形態の光ディスクドライブの全体ブロック図、図9は、光ディスクドライブの各モードの説明図である。
図8に示すように、モーター18は、光情報記録媒体(MOディスク)3を回転する。通常、MOディスク3は、リムーバブルな媒体であり、図示しないドライブの挿入口から挿入される。光ピックアップ5は、この光情報記録媒体3を挟むように配置された磁気ヘッド35と光学ヘッドとを有する。
光ピックアップ5は、ボールネジ送り機構等のトラックアクチュエータ(図示せず)により移動し、光情報記録媒体3の半径方向の任意の位置へアクセスが可能である。又、光学ヘッドのレーザーダイオードLDを駆動するLDドライバ31と、光ピックアップ5の磁気ヘッド35を駆動する磁気ヘッドドライバ34とが設けられる。
メインコントローラ15は、アクセス用サーボコントローラとコントローラで構成される。アクセス用サーボコントローラは、光学ヘッドからの出力により、トラックアクチュエータと、モーター18と、光学ヘッドのフォーカスアクチュエータ19をサーボ制御する。コントローラは、LDドライバ31、磁気ヘッドドライバ34、アクセス用サーボコントローラを稼動させて、情報の記録再生を行う。
光学ヘッドの詳細を、図8で説明する。レーザーダイオードLDからの拡散光は、コリメータレンズ40で平行光となり、偏光ビームスプリッター41を介して、対物レンズ46により光情報記録媒体3上にほぼ回折限界まで集光される。
この偏光ビームスプリッター41に入射する光の一部は、ビームスプリッター41により反射され、集光レンズ42を介してAPC(Auto Power Control)デイテクタ43に集光される。
又、光情報記録媒体3より反射された光は、再び対物レンズ46を介し、ビームスプリッター41に再度入射する。ビームスプリッター41に再度入射した光の一部は、レーザーダイオードLD側へ戻り、残りの光は、ビームスプリッター41により反射され、偏光ビームスプリッター56に入射する。
偏光ビームスプリッタ56に入射された光の一部は、2ビームウオラストンプリズム44、集光レンズ45を介し2分割デイテクタ47に集光される。又、偏光ビームスプリッタ56に入射された光の他の部分は、集光レンズ51、円筒面レンズ52を介して、サーボ検出用4分割デイテクタ53上に集光される。
FES(Focus Error Signal)再生回路54は、光電変換された4分割フォトディテクタ53の出力A,B,C,Dにより、非点収差法によるフォーカスエラー検出(FES)を行う。即ち、
FES=(A+B)−(C+D)/(A+B+C+D)
同時に,プッシュプル法によるTES生成回路55で,4分割デイテクタ53の出力から、トラックエラー検出(TES)を行う。
これらの計算により求められたフォーカスエラー信号(FES)及びトラックエラー信号(TES)は、フォーカス方向及びトラック方向の位置誤差信号として、メインコントローラ15(詳細には、アクセス用サーボコントローラ)に入力される。
一方、記録情報検出系において、光情報記録媒体3上の光磁気記録の磁化の向きによって変わる反射レーザ光の偏光特性が、光強度に変換される。すなわち、2ビームウォラストン44において、偏光検波により偏光方向が互いに直交する二つのビームに分離し、集光レンズ45を通して2分割フォトディテクタ47に入射し、それぞれ光電変換される。
2分割フォトディテクタ47で光電変換された2つの電気信号G,Hは、アンプ57、58で増幅された後、加算アンプ59で加算され、第1のROM信号(ROM1=G+H)となり、同時に、減算アンプ60で減算され、RAM読みだし(MO)信号(RAM=G−H)となり、それぞれメインコントローラ15に入力される。
又、メインコントローラ15には、APC用フォトディテクタ13に入射した半導体レーザダイオードLDの反射光が光電変換され、アンプ61を通して第2のROM信号(ROM2)として入力する。
さらに、先に説明したように、メインコントローラ15には、加算アンプ29の出力である第1のROM信号(ROM1)、差動アンプ30の出力であるRAM信号(RAM)、FES生成回路23からのフォーカスエラー信号(FES)、TES生成回路24からのトラックエラー信号(TES)が入力する。
また、メインコントローラ15には、データ源66との間でインタフェース回路68を通して記録用データ及び読出データが入出力される。
メインコントローラ15に入力される第1のROM信号(ROM1=G+H)、第2のROM信号(ROM2=I)及び、RAM信号(RAM=G−H)は、各モード即ち、ROM及びRAM同時再生時、ROM再生及びRAM同時記録(WRITE)時に対応して検出し使用される。
図9は、各モードでの上記ROM1(=G+H)、ROM2(=I)及び、RAM(G−H)の検出の組合せを示す図である。メインコントローラ15は、各モードに応じて、LDドライバ31にコマンド信号を生成する。LDドライバ31は、コマンド信号に従い、ROM及びRAM再生時には、第1のROM信号(ROM1=G+H)に応じて,半導体レーザダイオードLDの発光パワーを負帰還制御し、RAM記録時には、第2のROM信号(ROM2=I)に応じて半導体レーザダイオードLDの発光パワーを負帰還制御する。
光磁気(RAM)記録時は、データソース66からのデータがインタフェース68を通してメインコントローラ15に入力される。メインコントローラ15は、磁界変調記録方式を用いる場合に、この入力データを、磁気ヘッドドライバ34に供給する。磁気ヘッドドライバ34は、磁気ヘッド35を駆動し、記録データに対応して磁界を変調する。
この際、メインコントローラ15において、記録時を指示する信号がLDドライバ31に送られ、LDドライバ31は第2のROM信号(ROM2=I)に応じて、記録に最適なレーザーパワーになるように半導体レーザダイオードLDの発光を負帰還制御する。
又、光変調記録方式を用いる場合に、この入力データを、LDドライバ31に送り、レーザダイオードLDを光変調駆動する。この際、メインコントローラ15において、記録時を指示する信号がLDドライバ31に送られ、LDドライバ31は第2のROM信号(ROM2=I)に応じて、記録に最適なレーザーパワーになるように半導体レーザダイオードLDの発光を負帰還制御する。
又、メインコントローラ15(詳細には、そのサーボコントローラ)は、検出したフォーカスエラー信号FESに応じて、フォーカスアクチュエータ19を駆動し、光ビームを合焦点制御する。メインコントローラ15(詳細には、そのサーボコントローラ)は、検出したトラックエラー信号TESに応じて、トラックアクチュエータを駆動し、光ビームをシーク及びトラック追従制御する。
ここで、レーザーパワー調整には、デイテクタ47のG+H(ROM1)またはデイテクタ43のI(ROM2)の信号を用いる。図9に示すように、ROM信号とRAM信号を同時に再生する場合には、RAM読出し信号(=G−H)が、光情報記録媒体3の位相ピット変調からのクロストークを受けないように、G+Hの信号が一定となるようにレーザーパワーを制御する。光変調記録時には、ROMの検出は行わない。
図8及び図9に示した記録再生装置1は、ROMおよびRAMの情報を読み出す光ピックアップとRAMに情報を記録するための磁気ヘッドが備えられた構成を持つ。この構成では、ROMを再生しながらRAM信号を再生することができる。
又、ROM1信号をレーザー駆動部に負帰還させることにより、記録媒体のROM部の凹凸によるRAM信号への強度変調ノイズを低減できるため、RAM信号が正確に検出できる。このとき、ROM信号は、ROM2より検知できる。光ピックアップはボールネジの送り機構によるシーク機構により記録媒体の任意の半径位置へアクセスできる。このため、ROMに記録されたコンテンツおよびRAMに記録されたコンテンツへ、任意にアクセスできる。
図10は、図8のメインコントローラ15の第1の実施の形態のブロック図である。メインコントローラ15に、アンプ61を通して第2のROM信号(ROM2)と、加算アンプ59の出力である第1のROM信号(ROM1)、差動アンプ60の出力であるRAM信号(RAM)、FES生成回路54からのフォーカスエラー信号(FES)、TES生成回路55からのトラックエラー信号(TES)とが入力する。
また、データ源66との間でAD変換器を含むインターフェース回路68を通して、デジタルオーディオ信号に変換された記録用データが入力される。
メインコントローラ15において、ROM情報とRAM情報の同時再生時のRAM情報である差動アンプ60の出力は、同期検出回路157に同期検出され、復調器158でNRZI変調等に対応した復調が行われ、復号器156により復号され,デジタルオーディオのRAM信号として出力される。
一方,ROM/RAM同時再生では、ROM信号はROM2を利用する。ROM2信号も,RAM信号と同様に、同期検出回路154で同期検出され、復調器155と復号器156により、デジタルオーディオ信号に変換され、ROMデータとして出力される。
ここで,RAM信号は、前述したように、時間的に遅れて出力されるので、遅延器170により、必要に応じてROM信号の時間遅れの調整を行う。この遅れ時間は、前述のように、ユーザーが任意に調整しても構わない。又、RAM信号も同様に、遅延器172で、必要に応じ時間遅延する。
出力されたROM信号とRAM信号は,各々D/A変換器174,176によって,アナログの音楽信号に変換された後に、それぞれ音量、音質調整回路178、180に入力され、図2の調整部の指示で、ユーザによる調整を施される。その後に、合成器182で合成され、スピーカ、ヘッドフォン2A等へ音楽として出力される。
このようにして、ROMの音楽とRAMの音楽が同時再生され、合成出力される。記録時の時間のずれは、遅延器170、172で調整される。
次に、ROM再生、RAM記録時においては、図9に示すように、ROM1信号を再生ROM信号として使用する。スイッチSW2の切り換えで、ROM1信号が,ローパスフィルタ160を介し、同期検出回路154で同期検出され、復調器155と復号器156により、デジタルオーディオ信号に変換され、ROMデータとして出力される。
そして、ROMデータは、遅延器170を介しD/A変換器174によって,アナログの音楽信号に変換された後に、音量、音質調整回路178に入力され、図2の調整部の指示で、ユーザによる調整を施される。その後に、合成器182で合成され、スピーカ、ヘッドフォン2A等へ音楽として出力される。
この音楽を聴きながら、RAMへギター等の音楽、音声を記録するため、先ず、前述した多重記録スイッチ97で、入力スイッチ162がオンする。又、前述のROMエリア8のバッファ80の開始命令が、スタート/ストップ検出回路161で、検出され、ゲート163が開く。
これにより、ギター2B、ピアノ2Dから出力されたアナログ音楽信号あるいはマイク2Cから出力された音声信号が,A/D変換器68によりデジタル信号に変換され、符号器151によりエラー訂正の符号化等が行われた後に、変調器151によりEFM,NRZI等の信号に変換され、磁気ヘッドコントローラ152から磁気ヘッド35を駆動し、記録媒体3のRAM部9に記録される。
このように、ROMエリア8のバッファ80の開始命令で、RAMへの入力が可能となり、終了命令で記録が終了するため、ROMのコンテンツと、RAMのコンテンツとの記録位置関係が均一となる。
又、前述の図7で説明したように、ROMエリア8のバッファ80のタイミング信号による掛け声や画像で、ROMデータの再生タイミングを知ることができ、演奏者が、演奏開始をROM音楽と同期して行うことができる。このため、バーチャルセッション機能と多重記録機能の効果を向上できる。
図11は、図8のメインコントローラ15の第2の実施の形態のブロック図,図12は、その説明図である。図11において、図10で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。
即ち、メインコントローラ15に、アンプ61を通して第2のROM信号(ROM2)と、加算アンプ59の出力である第1のROM信号(ROM1)、差動アンプ60の出力であるRAM信号(RAM)、FES生成回路54からのフォーカスエラー信号(FES)、TES生成回路55からのトラックエラー信号(TES)とが入力する。
また、データ源66との間でAD変換器を含むインターフェース回路68を通して、デジタルオーディオ信号に変換された記録用データが入力される。
メインコントローラ15において、ROM情報とRAM情報の同時再生時のRAM情報である差動アンプ60の出力は、同期検出回路157に同期検出され、復調器158でNRZI変調等に対応した復調が行われ、復号器156により復号され,デジタルオーディオのRAM信号として出力される。
一方,ROM/RAM同時再生では、ROM信号はROM2を利用する。ROM2信号も,RAM信号と同様に、同期検出回路154で同期検出され、復調器155と復号器156により、デジタルオーディオ信号に変換され、ROMデータとして出力される。
図12に示すように、ROM8に、コンテンツ82に対し、時間情報を含むQチャネル情報が記録され、同様に、RAM9に、時間情報を含むQチャネル情報が記録されている。Qチャネル比較器164は、RAM信号に付加された時間情報を含むQチャネル出力と、ROMに予め記録されているQチャネル出力を比較して、遅延器170、172で、図12に示すように、ROMデータ82とRAMデータの再生出力タイミングを自動調整する。
次に、ROM再生、RAM記録時においては、図9に示すように、ROM1信号を再生ROM信号として使用する。スイッチSW2の切り換えで、ROM1信号が,ローパスフィルタ160を介し、同期検出回路154で同期検出され、復調器155と復号器156により、デジタルオーディオ信号に変換され、ROMデータとして出力される。
そして、ROMデータは、遅延器170を介しD/A変換器174によって,アナログの音楽信号に変換された後に、音量、音質調整回路178に入力され、図2の調整部の指示で、ユーザによる調整を施される。その後に、合成器182で合成され、スピーカ、ヘッドフォン2A等へ音楽として出力される。
この音楽を聴きながら、RAMへギター等の音楽、音声を記録するため、先ず、前述した多重記録スイッチ97で、入力スイッチ162がオンする。又、前述のROMエリア8のバッファ80の開始命令が、スタート/ストップ検出回路161で、検出され、ゲート163が開く。
これにより、ギター2B、ピアノ2Dから出力されたアナログ音楽信号あるいはマイク2Cから出力された音声信号が,A/D変換器68によりデジタル信号に変換される。そして、符号器151によりエラー訂正の符号化等が行われ,且つROM1のタイミング信号としてのQチャネル付加指示により、時間情報を含むQチャネル情報を付加した後に、変調器151によりEFM,NRZI等の信号に変換され、磁気ヘッドコントローラ152から磁気ヘッド35を駆動し、記録媒体3のRAM部9に記録される。
このように、ROMエリア8のバッファ80の開始命令で、RAMへの入力が可能となり、終了命令で記録が終了するため、図12に示すように、ROMのコンテンツと、RAMのコンテンツとの記録位置関係が均一となる。
又、前述の図7で説明したように、ROMエリア8のバッファ80のタイミング信号によるQチャネル付加制御により、ROMデータ82の再生タイミングと、RAMデータの記録タイミングを同期でき、再生時に、Qチャネル比較によるRAM演奏データ(図12の斜線部分)の再生出力をROM音楽の再生出力と時間的に一致して行うことができる。このため、バーチャルセッション機能と多重記録機能の効果を向上できる。
図13は、本発明の他のタイミング調整動作の説明図である。この実施の形態では、図11の構成において、Qチャネル比較器164が、ROM8のバッファ80に記録された録音タイミング遅れ時間ΔTを抽出回路に置き換えたものである。
図13に示すように、ROM8のバッファ80に記録された録音タイミング遅れ時間ΔTを抽出し、その値に従い、遅延器170の遅延量を調整し、図12と同様に、再生時に、RAM演奏データ(図12の斜線部分)の再生出力をROM音楽の再生出力と時間的に一致して行うことができる。このため、バーチャルセッション機能と多重記録機能の効果を向上できる。
[他の実施の形態]
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明の趣旨の範囲内において、本発明は、種々の変形が可能であり、これらを本発明の技術的範囲から排除するものではない。
例えば、コンテンツとして、ROMに画像、RAMに音声又は音楽を使用することもでき、同様に、ROMに音楽又は音声を、RAMに画像を使用することもできる。又、ROM,RAMとも画像を使用できる。
更に、光磁気記録膜は、他の光記録再生材料を適用できる。同様に、光磁気記録媒体は、円盤形状に限らず、カード形状等を採用しうる。更に、RAMのみの再生時にも、同様に適用できる。
【産業上の利用可能性】
コンカレントROM/RAM記録媒体を使用して、ROMを再生しながら、RAMに記録する際に、ROMの記録開始、終了信号を使用して、RAMへの記録開始、終了を制御するため、ROMのコンテンツに対するRAMのコンテンツ記録位置を均一にでき、時間ずれを制御できる。又、ROMのタイミング信号を使用して、RAMへの記録を制御するため、ROMのコンテンツに対するRAMのコンテンツ記録位置を均一にでき、時間ずれをより制御でき、再生時の同時再生が可能となる。これにより、これまで一部の専門家に限られていたバーチャルセッション機能と多重記録機能とを手軽に安価に実現することが可能となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板と、
前記基板上に設けられ、光により記録及び再生可能な記録層とを有し、
前記第1のコンテンツ情報が記録されたコンテンツ記録エリアの前後に、前記第1のコンテンツの再生にともない前記記録層に記録される第2のコンテンツの記録タイミングを制御する情報を前記位相ピットで形成したバッファエリアを設けたことを
特徴とする多重記録媒体。
【請求項2】
前記記録層が光磁気記録膜で構成されることを
特徴とする請求の範囲1の多重記録媒体。
【請求項3】
前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号からなることを
特徴とする請求の範囲1の多重記録媒体。
【請求項4】
前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号からなることを
特徴とする請求の範囲3の多重記録媒体。
【請求項5】
前記バッファエリアに形成されるタイミング情報が、前記第2のコンテンツ情報の時間的なタイミングを示す信号からなることを
特徴とする請求の範囲3の多重記録媒体。
【請求項6】
前記位相ピットで形成された前記第1のコンテンツ情報が、デジタルオーディオ信号に変換された音楽情報であることを
特徴とする請求の範囲1の多重記録媒体。
【請求項7】
第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板に、光により記録及び再生可能な記録層を設けた多重記録媒体に、光を照射し、前記位相ピットの情報と前記記録層の情報を分離して、検出する光ピックアップと、
前記照射光とともに、前記記録層に情報を記録するための磁気記録ヘッドと、
前記第1のコンテンツ情報の再生にともない入力される第2のコンテンツ情報を、前記第1のコンテンツ情報に付加された記録タイミング情報に従い、前記記録層に記録し、且つピックアップから前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報と前記記録層の前記第2のコンテンツ情報を再生するコントローラと、
前記再生された前記第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方を遅延して、合成出力する出力機構とを設けたことを
特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記付加された記録タイミング情報である前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号を、前記位相ピットの情報から検出して、前記第2のコンテンツ情報の前記記録層への記録開始及び記録終了を制御することを
特徴とする請求の範囲7の記録再生装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記付加された記録タイミング情報に含まれる前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号を再生し、出力することを
特徴とする請求の範囲8の記録再生装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記付加されたタイミング情報に含まれる前記第2のコンテンツ情報の時間的なタイミングを示す信号に応じて、前記記録する第2のコンテンツ情報に時間情報を付加することを
特徴とする請求の範囲8の記録再生装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記位相ピット情報の前記タイミング信号と、前記記録層の第2のコンテンツ情報に付加された前記時間情報を比較して、前記合成出力機構の前記遅延量を制御することを
特徴とする請求の範囲10の記録再生装置。
【請求項12】
前記合成出力機構は、前記再生された第1及び第2のコンテンツ情報の出力比を調整する手段を更に有することを
特徴とする請求の範囲7の記録再生装置。
【請求項13】
前記合成出力機構は、前記再生された第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方の波形を調整する手段を更に有することを
特徴とする請求の範囲7の記録再生装置。
【請求項14】
前記第1及び第2のコンテンツ情報がデジタルオーディオ信号に変換された音楽情報であることを
特徴とする請求の範囲7の記録再生装置。
【請求項15】
第1のコンテンツ情報を、光反射率変化を利用した位相ピットで記録した基板に、光により記録及び再生可能な記録層を設けた多重記録媒体に、光を照射し、前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報の再生しながら、入力される第2のコンテンツ情報を、前記第1のコンテンツ情報に付加された記録タイミング情報に従い、前記記録層に記録するステップと、
前記位相ピットの前記第1のコンテンツ情報と前記記録層の前記第2のコンテンツ情報を再生し、且つ前記再生された前記第1及び第2のコンテンツ情報の少なくとも一方を遅延して、合成出力するステップとを有することを
特徴とする記録再生方法。
【請求項16】
前記記録ステップは、前記付加された記録タイミング情報である前記第2のコンテンツの記録開始及び記録終了のための信号を、前記位相ピットの情報から検出して、前記第2のコンテンツ情報の前記記録層への記録開始及び記録終了を制御するステップからなることを
特徴とする請求の範囲15の記録再生方法。
【請求項17】
前記記録ステップは、前記付加された記録タイミング情報に含まれる前記第1のコンテンツ情報の再生開始までの時間を示す信号を再生し、出力するステップを更に有することを
特徴とする請求の範囲16の記録再生方法。
【請求項18】
前記記録ステップは、前記付加されたタイミング情報に含まれる前記第2のコンテンツ情報の時間的なタイミングを示す信号に応じて、前記記録する第2のコンテンツ情報に時間情報を付加するステップを更に有することを
特徴とする請求の範囲16の記録再生方法。
【請求項19】
前記合成出力するステップは、前記位相ピット情報の前記タイミング信号と、前記記録層の第2のコンテンツ情報に付加された前記時間情報を比較して、前記合成出力機構の前記遅延量を制御するステップを更に有することを
特徴とする請求の範囲18の記録再生方法。
【請求項20】
前記第1及び第2のコンテンツ情報がデジタルオーディオ信号に変換された音楽情報であることを
特徴とする請求の範囲15の記録再生方法。

【国際公開番号】WO2004/023475
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534041(P2004−534041)
【国際出願番号】PCT/JP2002/008776
【国際出願日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】