説明

大型枠組構造物の溶接ロボット装置

【課題】パネル上にロンジとトランスが交差している大型の枠組構造物の交差部を本溶接することができ、本溶接が可能な溶接部位の制約が少なく、人手に頼る手溶接がほとんど不要であり、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して装置全体を小型化でき、複雑な制御システムが不要である大型枠組構造物の溶接ロボット装置を提供する。
【解決手段】1対のロンジ2と1又は1対のトランス3で囲まれた升目形状の枠内を溶接対象領域4とし、溶接対象領域4を跨いで大型枠組構造物に固定され溶接対象領域の上部に位置する水平支持架台12を有するロボット架台10と、水平支持架台12の下面に取付けられ升目形状枠内(溶接対象領域4)の全域にわたり溶接ヘッドを3次元的に数値制御して溶接可能な溶接ロボット20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型船舶、LNG洋上設備、橋梁、水門などの大型枠組構造物の溶接ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型船舶、LNG洋上設備、橋梁、水門などでは、大型の枠組構造物が製造工程の途中(例えば、造船における組立工程)において、多数製造される。
【0003】
図1は、特許文献1に開示された枠組構造物の模式図である。枠組構造物Bは、平板状のパネル1の表面に複数列のロンジ2を配置する一方、これらロンジ2と直交する方向にトランス3を一定間隔で配置し、パネル1とロンジ2とトランス3とで形成される三方または四方が囲まれた各枠組みされた部分4の交差部5をそれぞれ溶接して構成される。
【0004】
このような枠組構造物B(例えば、船殻平板ブロック)は、まず、パネル1、ロンジ2、トランス3等の構成材を配材して仮溶接を行って組立た後、これを定盤上に搬送して上記各枠組みされた部分4の交差部5を本溶接することが行われる。
【0005】
上述した枠組構造物Bの交差部5を本溶接する手段として、従来から、(1)小型溶接ロボットをワーク上に設置しての溶接(例えば、特許文献1)、や(2)大型ガントリ構造によるマルチロボット溶接装置を用いた溶接(例えば、特許文献2)が提案され、実施されている。
【0006】
図2は、特許文献1に開示された小型溶接ロボットの斜視図である。
この図において、枠組構造物への位置決め装置50は、枠組構造物の各枠組みされた部分に溶接ロボットRを位置決めするのに使用される。これにより、枠組構造物への位置決め台の搬送から最終位置決めまでを簡単かつ高精度に行なうことができ、大型の船殻平板ブロック等の枠組構造物の溶接ロボットによる自動溶接を簡単にできるようになっている。
【0007】
図3は、特許文献2に開示されたマルチロボット溶接装置の斜視図である。
この図において、マルチロボット溶接装置52は、各6軸の多関節型の溶接ロボット53がそれぞれ3軸のスライド機構54、55、56に天吊り姿勢で配置され、合計9軸の移動機構により、上下(Z軸方向)、前後(Y軸方向)、左右(X軸方向)にそれぞれ移動可能なようにしている。更に、各多関節型の溶接ロボット53は、その先端に、溶接トーチをそれぞれ備えており、ワークを溶接するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3065166号公報、「枠組構造物への位置決め装置」
【特許文献2】特開2002−116817号公報、「タスク割付方法およびこれを適用した制御装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1のように小型溶接ロボットをワーク(枠組構造物)の升目内に配置する場合、溶接時のロボットアームとワークとの干渉が生じやすく、本溶接が可能な溶接部位が制約され、人手に頼る手溶接部分が多くなる問題点がある。
【0010】
また、特許文献1のようマルチロボット溶接装置は、装置全体が大型であり、また複数のロボットを効率良く稼動させるために複雑な制御システムが必要となり、高コストなシステムとなる。また、構造上の問題から複数のロボットを自由な位置に配置することが困難である。
【0011】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、パネル上にロンジとトランスが交差している大型の枠組構造物の交差部を本溶接することができ、本溶接が可能な溶接部位の制約が少なく、人手に頼る手溶接がほとんど不要であり、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して装置全体を小型化でき、複雑な制御システムが不要である大型枠組構造物の溶接ロボット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、水平に位置するパネルと、該パネルの上面に所定の第1間隔を隔てて配置された複数列のロンジと、該ロンジと直交しかつ前記パネルの上面に所定の第2間隔を隔てて配置された複数列のトランスとからなる大型枠組構造物の溶接装置であって、
1対のロンジと1又は1対のトランスで囲まれた升目形状の枠内を溶接対象領域とし、
該溶接対象領域を跨いで大型枠組構造物に固定され、前記溶接対象領域の上部に位置する水平支持架台を有するロボット架台と、
該水平支持架台の下面に取付けられ、前記升目形状枠内の全域にわたり溶接ヘッドを3次元的に数値制御して溶接可能な溶接ロボットとを備えたことを特徴とする大型枠組構造物の溶接装置が提供される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記ロボット架台は、前記溶接対象領域を跨いでこれに隣接する1対の枠組内に脚部と対象部が位置固定可能な構造を有する門型フレームを有し、
前記水平支持架台は、門型フレームに固定され、前記溶接対象領域の上部に前記升目形状枠の長辺方向に沿って水平に延び、
前記溶接ロボットは、水平支持架台の下面に前記長辺方向に沿って水平移動可能に取付けられた水平移動台を有し、該水平移動台を数値制御可能に駆動する1軸スライダ装置と、
該水平移動台に逆さに取付けられ、前記升目形状枠の短辺方向全域にわたり溶接ヘッドを3次元的に数値制御して溶接可能な逆吊多関節溶接ロボットとからなる。
【0014】
前記門型フレームは、前記溶接対象領域のトランスの長さ方向に隣接する1対の枠組内に、ロンジの長さ方向に間隔を隔てて位置し、それぞれ大型枠組構造物に着脱可能に固定された4つの柱支持装置と、
該4つの柱支持装置に下端が着脱可能に固定支持され、上方に鉛直に延びる4本の柱と、
該4本の柱に4隅が固定され、前記水平支持架台を下面に支持する天井フレームとからなる。
【0015】
また、前記1軸スライダ装置は、前記水平移動台の下面を水平に維持したまま前記長辺方向に沿って案内する直動ガイドと、
前記水平移動台を前記長辺方向に沿って駆動するボールねじと、
該ボールねじを数値制御可能に回転駆動するサーボモータとからなる。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の構成によれば、ロボット架台が溶接対象領域を跨いで大型枠組構造物に固定され、ロボット架台の水平支持架台の下面に溶接ロボットが取付けられているので、溶接対象領域内に溶接ロボットの溶接ヘッドと干渉する部材は存在しない。
従って、この溶接ロボットにより大型の枠組構造物の交差部(溶接対象領域)を本溶接することができ、かつ本溶接が可能な溶接部位の制約が少なく、人手に頼る手溶接をほとんど不要にできる。
【0017】
また、本発明の実施形態によれば、前記溶接ロボットは、1軸スライダ装置と逆吊多関節溶接ロボットからなるので、逆吊多関節溶接ロボットが水平移動台に逆さに取付けられる構成により、逆吊多関節溶接ロボットのワーキングエリアを有効に活用でき、溶接ヘッドを前記升目形状枠内(溶接対象領域)の短辺方向全域にわたるように設定しても、逆吊多関節溶接ロボットを小型軽量化できる。
さらに、1軸スライダ装置により水平移動台を升目形状枠内(溶接対象領域)の長辺方向に沿って水平移動可能であるので、小型軽量の逆吊多関節溶接ロボットで、前記升目形状枠内(溶接対象領域)の長辺方向全域を溶接することができる。
【0018】
また、逆吊多関節溶接ロボットを小型軽量化でき、かつ門型フレームの脚部が溶接対象領域を跨いでこれに隣接する1対の枠組内に着脱可能に固定されるので、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して装置全体を小型化できる。
さらに、1対のロンジと1又は1対のトランスで囲まれた升目形状枠内を溶接対象領域とする場合、1台の逆吊多関節溶接ロボットと1台の1軸スライダ装置で単一の溶接対象領域の溶接箇所(交差部)の全体を本溶接できるので、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して制御が容易であり、複雑な制御システムを不要にできる。
【0019】
従って、ロボット架台を小型の門型構造とすることで機械構造を小型化すると共に、ロボット制御もシンプルなものとなり、圧倒的なコストダウンが図れる。また、溶接ロボットとロボット架台が1対1であるため、生産量に応じてワークの任意の位置で溶接施工ができる。逆吊多関節溶接ロボットを天吊り(逆吊り)とし、1軸スライダ装置を装備することで溶接時のロボットアームとワークとの干渉を回避すると共に、溶接可能範囲を広げ、ロンジとトランスからなる升目形状の枠内を段取替え無しで溶接施工可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1に開示された枠組構造物の模式図である。
【図2】特許文献1に開示された小型溶接ロボットの斜視図である。
【図3】特許文献2に開示されたマルチロボット溶接装置の斜視図である。
【図4】本発明が溶接対象とする大型枠組構造物の説明図である。
【図5】本発明による溶接装置の全体側面図である。
【図6】図5のA-A矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図4は、本発明が溶接対象とする大型枠組構造物の説明図である。
この図において、(A)はロンジの長さ方向から見た側面図、(B)はそのB-B矢視図である。
この図に示すように、本発明が溶接対象とする大型枠組構造物は、水平に位置するパネル1と、パネル1の上面に所定の第1間隔L1を隔てて配置された複数列のロンジ2と、ロンジ2と直交しかつパネル1の上面に所定の第2間隔L2を隔てて配置された複数列のトランス3とからなる。
パネル1の大きさは、例えば10m×10m、20m×20m程度である。また、ロンジ2は、例えば高さ600〜800mm、第1間隔L1は、800〜1000mmである。さらにトランス3は、例えば高さ1800〜2000mm、第2間隔L2は、2000〜3000mmである。
なお、本発明において、大型枠組構造物は、この構成に限定されず、その他の構造であってもよい。
【0023】
図4において、本発明が対象とする溶接領域(溶接対象領域4)は、1対のロンジ2と1又は1対のトランス3で囲まれた升目形状の枠内である。
また、溶接対象領域4の具体的な溶接箇所は、図中に5で示す交差部である。なお、本発明の溶接箇所は、この例に限定されず、溶接対象領域4の内側であればよい。
【0024】
図5は本発明による溶接装置の全体側面図、図6は図5のA-A矢視図である。なお、図5は、対象とする大型枠組構造物のロンジの長さ方向から見た側面図である。
【0025】
図5及び図6において、本発明による大型枠組構造物の溶接装置(以下、単に「溶接装置」という)は、ロボット架台10と溶接ロボット20とを備える。
【0026】
ロボット架台10は、溶接対象領域4を跨いで大型枠組構造物に固定され、溶接対象領域4の上部に位置する水平支持架台12を有する。
【0027】
この例において、ロボット架台10は、溶接対象領域4を跨いでこれに隣接する1対の枠組内に脚部が着脱可能に固定された門型フレーム14を有する。
【0028】
門型フレーム14は、4つの柱支持装置15と4本の柱16と天井フレーム17とからなる。
【0029】
4つの柱支持装置15は、溶接対象領域4のトランス3の長さ方向に隣接する1対の枠組内に、ロンジ2の長さ方向に間隔を隔てて位置し、それぞれ大型枠組構造物に着脱可能に固定されている。柱支持装置15の固定手段は、例えばマグネット、吸盤吸着或いは別途専用の固定治具によるのがよい。
【0030】
4本の柱16は、本例では4つの柱支持装置15に下端が着脱可能に固定支持され、上方に鉛直に延びる。この柱16と柱支持装置15は、一体構造としても構わない。
天井フレーム17は、4本の柱16に4隅が固定され、水平支持架台12を下面に支持する。
【0031】
水平支持架台12は、門型フレーム14の下面に固定され、溶接対象領域4の上部に升目形状枠の長辺方向に沿って水平に延びる。
【0032】
溶接ロボット20は、水平支持架台12の下面に取付けられ、升目形状枠内(溶接対象領域4)の全域にわたり溶接ヘッド21を3次元的に数値制御して溶接できるようになっている。
【0033】
溶接ロボット20は、1軸スライダ装置30と逆吊多関節溶接ロボット22とからなる。
逆吊多関節溶接ロボット22は、ロボットアーム23の先端に溶接ヘッド21を有する多関節ロボットであり、後述する水平移動台31に逆さに取付けられ、升目形状枠(溶接対象領域4)の短辺方向全域にわたり溶接ヘッド21を3次元的に数値制御して溶接する。
この場合、逆吊多関節溶接ロボット22のワーキングエリアは、図5の円弧A,Bと円弧Cで囲まれる領域であり、升目形状枠(溶接対象領域4)の短辺方向全域を完全にカバーしている。
【0034】
なお、逆吊多関節溶接ロボット22は、この例に限定されず、升目形状枠(溶接対象領域4)の短辺方向全域にわたり溶接ヘッド21を3次元的に数値制御して溶接できる限りで、その他の溶接ロボットであってもよい。
【0035】
1軸スライダ装置30は、水平支持架台12の下面に長辺方向に沿って水平移動可能に取付けられた水平移動台31を有し、水平移動台31を数値制御可能に駆動する。
この例において、1軸スライダ装置30は、直動ガイド32、ボールねじ34及びサーボモータ36からなる。
直動ガイド32は、例えばリニアガイドであり、水平移動台31の下面を水平に維持したまま升目形状枠(溶接対象領域4)の長辺方向に沿って水平移動台31を案内する。
ボールねじ34は、例えば転造ボールネジであり、水平移動台31を升目形状枠(溶接対象領域4)の長辺方向に沿って駆動する。
サーボモータ36は、好ましくは減速器を介してボールねじ34を数値制御可能に回転駆動する。
この構成により、水平移動台31を升目形状枠(溶接対象領域4)の長辺方向に沿って数値制御して移動させることができる。
【0036】
上述した本発明の構成によれば、ロボット架台10が溶接対象領域4を跨いで大型枠組構造物に固定され、ロボット架台の水平支持架台12の下面に溶接ロボット20が取付けられているので、溶接対象領域4内に溶接ロボットの溶接ヘッド21と干渉する部材は存在しない。
従って、この溶接ロボット20により大型の枠組構造物の交差部(溶接対象領域4)を本溶接することができ、かつ本溶接が可能な溶接部位の制約が少なく、人手に頼る手溶接をほとんど不要にできる。
【0037】
また、上述した実施形態によれば、溶接ロボット20は、1軸スライダ装置30と逆吊多関節溶接ロボット22からなるので、逆吊多関節溶接ロボット22が水平移動台31に逆さに取付けられる構成により、逆吊多関節溶接ロボット22のワーキングエリア(図5の円弧A,Bと円弧Cで囲まれる領域)を有効に活用でき、溶接ヘッド21を升目形状枠内(溶接対象領域4)の短辺方向全域にわたるように設定しても、逆吊多関節溶接ロボット22を小型軽量化できる。
さらに、1軸スライダ装置30により水平移動台31を升目形状枠内(溶接対象領域4)の長辺方向に沿って水平移動可能であるので、小型軽量の逆吊多関節溶接ロボット22で、升目形状枠内(溶接対象領域4)の長辺方向全域を溶接することができる。
【0038】
また、逆吊多関節溶接ロボット22を小型軽量化でき、かつ門型フレーム14の脚部(柱支持装置15)が溶接対象領域4を跨いでこれに隣接する1対の枠組内に着脱可能に固定されるので、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して装置全体を小型化できる。
さらに、1対のロンジ2と1又は1対のトランス3で囲まれた升目形状枠内を溶接対象領域4とする場合、1台の逆吊多関節溶接ロボット22と1台の1軸スライダ装置30で単一の溶接対象領域4の溶接箇所(交差部)の全体を本溶接できるので、大型ガントリ構造による従来のマルチロボット溶接装置と比較して制御が容易であり、複雑な制御システムを不要にできる。
【0039】
従って、ロボット架台10を小型の門型構造とすることで機械構造を小型化すると共に、ロボット制御もシンプルなものとなり、圧倒的なコストダウンが図れる。また、溶接ロボット20とロボット架台10が1対1であるため、生産量に応じてワークの任意の位置で溶接施工ができる。
さらに、逆吊多関節溶接ロボット22を天吊り(逆吊り)とし、1軸スライダ装置30を装備することで溶接時のロボットアーム23とワークとの干渉を回避すると共に、溶接可能範囲を広げ、ロンジ2とトランス3からなる升目形状の枠内を段取替え無しで溶接施工可能となる。
【0040】
従って、上述した溶接ロボット装置を用い、ワーク(大型枠組構造物)上の溶接施工箇所上にクレーン等を用いてロボット架台10を設置して固定し、ロンジ2とトランス3からなる升目とパネル1の間(すなわち溶接対象領域4)のすみ肉溶接を段取替え無しで溶接することができる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 パネル、2 ロンジ、3 トランス、
4 溶接対象領域、5 交差部(溶接箇所)、
10 ロボット架台、12 水平支持架台、
14 門型フレーム、15 柱支持装置、
16 柱、17 天井フレーム、
20 溶接ロボット、21 溶接ヘッド、
22 逆吊多関節溶接ロボット、23 ロボットアーム、
30 1軸スライダ装置、31 水平移動台、
32 直動ガイド、34 ボールねじ、36 サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に位置するパネルと、該パネルの上面に所定の第1間隔を隔てて配置された複数列のロンジと、該ロンジと直交しかつ前記パネルの上面に所定の第2間隔を隔てて配置された複数列のトランスとからなる大型枠組構造物の溶接装置であって、
1対のロンジと1又は1対のトランスで囲まれた升目形状の枠内を溶接対象領域とし、
該溶接対象領域を跨いで大型枠組構造物に固定され、前記溶接対象領域の上部に位置する水平支持架台を有するロボット架台と、
該水平支持架台の下面に取付けられ、前記升目形状枠内の全域にわたり溶接ヘッドを3次元的に数値制御して溶接可能な溶接ロボットとを備えたことを特徴とする大型枠組構造物の溶接装置。
【請求項2】
前記ロボット架台は、前記溶接対象領域を跨いでこれに隣接する1対の枠組内に脚部と対象部が位置固定可能な構造を有する門型フレームを有し、
前記水平支持架台は、門型フレームに固定され、前記溶接対象領域の上部に前記升目形状枠の長辺方向に沿って水平に延び、
前記溶接ロボットは、水平支持架台の下面に前記長辺方向に沿って水平移動可能に取付けられた水平移動台を有し、該水平移動台を数値制御可能に駆動する1軸スライダ装置と、
該水平移動台に逆さに取付けられ、前記升目形状枠の短辺方向全域にわたり溶接ヘッドを3次元的に数値制御して溶接可能な逆吊多関節溶接ロボットとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の大型枠組構造物の溶接装置。
【請求項3】
前記門型フレームは、前記溶接対象領域のトランスの長さ方向に隣接する1対の枠組内に、ロンジの長さ方向に間隔を隔てて位置し、それぞれ大型枠組構造物に着脱可能に固定された4つの柱支持装置と、
該4つの柱支持装置に下端が着脱可能に固定支持され、上方に鉛直に延びる4本の柱と、
該4本の柱に4隅が固定され、前記水平支持架台を下面に支持する天井フレームとからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の大型枠組構造物の溶接装置。
【請求項4】
前記1軸スライダ装置は、前記水平移動台の下面を水平に維持したまま前記長辺方向に沿って案内する直動ガイドと、
前記水平移動台を前記長辺方向に沿って駆動するボールねじと、
該ボールねじを数値制御可能に回転駆動するサーボモータとからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の大型枠組構造物の溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−253518(P2010−253518A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107849(P2009−107849)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】