説明

大荷重用エレベータ

【課題】既知の装置の欠点を避けて、構造的に単純な4:1ケーブルガイダンスを有するエレベータを創出する。
【解決手段】駆動ユニット(5)と第1の偏向ローラ(8)は、第1のケージガイドレール(15)と第1の釣合い重りガイドレール(19)との一方の端と、第2の釣合い重りガイドレール(20)の他方の端とに支持された、キャリヤ(21)に配置される。これらのガイドレールは、ヨークによって昇降路壁に連結されており、それによって垂直レール力は昇降路ピットに伝えられる。キャリヤに配置された駆動ブラケット(23)は、駆動ユニット(5)と駆動プーリ(3)を支持する。キャリヤに配置されたローラブラケット(24)は、第1の偏向ローラ(8)を支持する。更に第1のケーブル固定点(6)と第2のケーブル固定点(13)は、キャリヤに配置されている。第2の偏向ローラは、第2のケージガイドレール上に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータケージと釣合い重りとからなる大荷重用エレベータであって、ガイドレールに沿って移動可能なエレベータケージは、駆動プーリの上をガイドされるケーブルによってガイドレールに沿って移動可能である釣合い重りに連結されており、ケーブルは、第1のケーブル固定点から釣合い重りの第1の偏向ローラに、更に第1の偏向ローラに、更に釣合い重りの第2の偏向ローラに、更に駆動ユニットによって駆動可能な駆動プーリに、更に駆動プーリからエレベータケージの下方に配置された第1の偏向ローラ対に、更に第2の偏向ローラに、更にエレベータケージの下方に配置された第2の偏向ローラ対に、そして更に第2のケーブル固定点に導かれる、大荷重用エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータケージと釣合い重りとを有するエレベータ装置は、国際公開第99/43593号パンフレットから知られており、ここではエレベータケージは駆動プーリ上をガイドされるケーブルによって釣合い重りに連結される。エレベータケージのアンダールーピング(減速巻付け)(under−looping)を有する4:1ケーブルガイダンスが設けられており、ここでは駆動プーリにおけるケーブルの動き1メートルにつき、エレベータケージまたは釣合い重りは1メートルの1/4だけ垂直方向に移動する。
【0003】
駆動ユニットがエレベータケージのガイドレール上と、釣合い重りのガイドレール上と、支柱上とに支持されるエレベータ装置は、国際公開第03/010081号パンフレットから知られている。更に、釣合い重りの第2のガイドレールの一方の端と駆動ユニットのブラケットの他方の端とで支持される十字部材が設けられる。一方のケーブル固定点は、この十字部材に配置される。
【0004】
支柱上の駆動ユニットの支持のための高価な解決策は、この装置の場合には不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第99/43593号
【特許文献2】国際公開第03/010081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで本発明は、改善方法を提供する。本発明は請求項1で特徴付けられるように、既知の装置の欠点を避けて、構造的に単純な4:1ケーブルガイダンスを有するエレベータを創出するという目的を満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有利な展開は、従属の特許請求項に示されている。本発明によって達成される利点は本質的に、昇降路天井にも昇降路壁にも垂直力が伝わらないことに見られる筈である。垂直力を発生させるすべての構成要素は、既存のガイドレールに低コストで取り付けることができる。エンジンルーム(機関室)を持たないエレベータは、大荷重用でも単純な構造で作ることができ、この場合、発生する力は最適な仕方で分散され得る。
【0008】
本発明は、添付の図面に基づいて更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】4:1ケーブルガイダンスを有するエレベータを示す図である。
【図2】4:1ケーブルガイダンスを有する本発明によるエレベータの平面図である。
【図3】本発明によるエレベータの駆動ユニットと偏向ローラとの配置の詳細を示す図である。
【図4】本発明によるエレベータの駆動ユニットと偏向ローラとの配置の詳細を示す図である。
【図5】本発明によるエレベータの第2の偏向ローラの配置の詳細を示す図である。
【図6】本発明によるエレベータの第2の偏向ローラの配置の詳細を示す図である。
【図7】駆動ユニットの配置の構造的変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、エレベータケージ1と釣合い重り2とを有する、最新技術から知られるエレベータを示しており、エレベータケージ1は駆動プーリ3の上をガイドされるケーブル4によって釣合い重り2に連結されている。駆動プーリ3は、駆動ユニット5によって駆動される。エレベータケージ1のアンダールーピングを有する4:1ケーブルガイダンスが設けられており、ここでは駆動プーリ3におけるケーブルの動き1メートルにつき、エレベータケージ1または釣合い重り2は1メートルの1/4だけ垂直方向に移動する。
【0011】
ケーブル4は、第1の上部ケーブル固定点6から釣合い重り2の第1の偏向ローラ7に、更に第1の上部偏向ローラ8に、更に釣合い重り2の第2の偏向ローラ9に、更に最上部に配置されていて駆動ユニット5によって駆動可能な駆動プーリ3に、更に駆動プーリ3からエレベータケージ1の下方に配置された第1の偏向ローラ対10に、更に第2の上部偏向ローラ11に、更にエレベータケージ1の下方に配置された第2の偏向ローラ対12に、そして更に第2の上部ケーブル固定点13に導かれる。
【0012】
図2は、4:1ケーブルガイダンスを有する本発明によるエレベータの平面図を示す。第1のケージガイドレール15と第2のケージガイドレール16とに沿ってエレベータ昇降路14内を移動可能なエレベータケージ1は、ドア駆動装置(図示せず)によって階ドア18と協働する少なくとも一つのケージ引戸(滑動ドア)17を有する。釣合い重り2は、第1の釣合い重りガイドレール19と第2の釣合い重りガイドレール20とに沿ってエレベータ昇降路14内を移動可能であり、この昇降路は昇降路壁14.1と昇降路天井14.2とによって境界が決められている。エレベータ昇降路14の最上部は、昇降路ヘッド14.3と呼ばれる。ケーブル4は、平行にガイドされる数本のケーブルを有するケーブルランとして構成される。簡略化のために用語「ケーブル」は、引き続き使用される。ケーブル4の代わりに平ベルトを設けることもできる。偏向ローラ7、8、9、10、11、12と駆動プーリ3は、ケーブルまたは平ベルトの本数に対応して溝を持っている。駆動ユニット5は、例えば永久磁石を有する非同期モータまたは同期モータを備えることができる。
【0013】
偏向ローラ7、8、9、10、11、12と駆動プーリ3と駆動ユニット5との配置は、図2の平面図から明らかであるが、駆動プーリ3を有する駆動ユニット5の長手方向の軸は、少なくとも釣合い重り2のガイドレール19、20が配置される昇降路壁に垂直に延びている。
【0014】
図3と図4は、本発明によるエレベータの駆動ユニット5と第1の上部偏向ローラ8との配置の詳細を示す。キャリヤ21は、第1のケージガイドレール15と第1の釣合い重りガイドレール19との一方の端と、第2の釣合い重りガイドレール20の他方の端とに支持されている。これらのガイドレールは、ヨーク22によって昇降路壁14.1に連結されており、これによって垂直レール力は、昇降路ピットに伝えられる。キャリヤ21に配置された駆動ブラケット23は、駆動ユニット5と駆動プーリ3とを支持する。キャリヤ21に配置されたローラブラケット24は、第1の上部偏向ローラ8を支持する。更に第1の上部ケーブル固定点6と第2の上部ケーブル固定点13とがキャリヤ21に配置されている。
【0015】
図5と図6は、本発明によるエレベータの第2の上部偏向ローラ11の配置の詳細を示す。ローラブラケット25は、第2のケージガイドレール16上に支持され、第2の上部偏向ローラ11を支持する。ローラブラケット25は、速度制限器27が搭載され得るアーム26を備える。ガイドレール11は、ヨーク22によって昇降路壁14.1に連結され、それによって垂直レール力は昇降路ピットに伝えられる。
【0016】
図7は、駆動プーリ3を有する駆動ユニット5の配置の構造的変形を示す。駆動プーリ3を有する駆動ユニット5の長手方向の軸は、少なくとも釣合い重り2のガイドレール19、20が配置される昇降路壁に平行に延びる。釣合い重り2の偏向ローラ7、9とキャリヤ21の偏向ローラ8は、傾けて配置される。再び、ケーブル固定点6、13はキャリヤ21に配置される。
【符号の説明】
【0017】
1 エレベータケージ
2 釣合い重り
3 駆動プーリ
4 ケーブル
5 駆動ユニット
6 第1のケーブル固定点
7、8 第1の偏向ローラ
9、11 第2の偏向ローラ
10 第1の偏向ローラ対
12 第2の偏向ローラ対
13 第2のケーブル固定点
14 エレベータ昇降路
14.1 昇降路壁
14.2 昇降路天井
14.3 昇降路ヘッド
15 第1のケージガイドレール
16 ガイドレール
17 ケージ引戸
18 階ドア
19 第1の釣合い重りガイドレール
20 第2の釣合い重りガイドレール
21 キャリヤ
22 ヨーク
23 駆動装置ブラケット
24、25 ローラブラケット
26 アーム
27 速度制限器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータケージ(1)と釣合い重り(2)とからなる大荷重用エレベータであって、ガイドレール(15、16)に沿って移動可能なエレベータケージ(1)は、駆動プーリ(3)の上をガイドされるケーブル(4)によってガイドレール(19、20)に沿って移動可能である釣合い重り(2)に連結されており、ケーブル(4)は、第1のケーブル固定点(6)から釣合い重り(2)の第1の偏向ローラ(7)に、更に第1の偏向ローラ(8)に、更に釣合い重り(2)の第2の偏向ローラ(9)に、更に駆動ユニット(5)によって駆動可能な駆動プーリ(3)に、更に駆動プーリ(3)からエレベータケージ(1)の下方に配置された第1の偏向ローラ対(10)に、更に第2の偏向ローラ(11)に、更にエレベータケージ(1)の下方に配置された第2の偏向ローラ対(12)に、そして更に第2のケーブル固定点(13)に導かれており、数本のガイドレール(15、19、20)によって支持されたキャリヤ(21)であって、駆動プーリ(3)を有する駆動ユニット(5)と第1の偏向ローラ(8)とケーブル固定点(6、13)とが配置されたキャリヤ(21)が設けられていることを特徴とする、大荷重用エレベータ。
【請求項2】
第2の偏向ローラ(11)はガイドレール(16)によって支持されるローラブラケット(25)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
ローラブラケット(25)は速度制限器(27)が搭載され得るアーム(26)を備えることを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
駆動プーリ(3)を有する駆動ユニット(5)の長手方向の軸は、少なくとも釣合い重り(2)のガイドレール(19、20)が配置される昇降路壁に垂直に延びることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータ。
【請求項5】
駆動プーリ(3)を有する駆動ユニット(5)の長手方向の軸は、少なくとも釣合い重り(2)のガイドレール(19、20)が配置される昇降路壁に平行に延びることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−246145(P2012−246145A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−179701(P2012−179701)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2005−66649(P2005−66649)の分割
【原出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】