説明

天然生理活性化合物

本発明は、抗酸化、抗炎症及び/又は抗菌性のような細胞保護特性を有し、オーレオバシジウム海水菌由来のブテノリド化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化、抗炎症及び/又は抗菌のような細胞保護作用を有し、海水菌オーレオバシジウム属(Aureobasidium)由来のブテノリド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブテノリド又はフラノンは、4つの炭素を含む複素環式ラクトン類である。多数の既知ブテノリド類が果物に由来することが報告されている(非特許文献1)。しかし、いくつかの細菌及び真菌がブテノリドを生産し得ることも報告されている。例えば、ブテノリド類は、ストレプトマイセス種における菌体密度感知機構の細胞間信号伝達システムに含まれるべきと考えられるガンマーブチロラクトン類の前駆体である(非特許文献2)。ガンマーブチロラクトン類は、形態形成、胞子形成、分化及び二次代謝、重要なことにはストレプトマイセスの抗生物質生産を規制するのに重要な役割を果たす(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献2、非特許文献5、非特許文献6)。ストレプトマイセスはまた、ブタラクチンのようなブテノリド抗生物質化合物を産出し得るものとして挙げられる(非特許文献7)。さらに、幾つかのグラム陰性細菌種、例えば、シュードモナス・オーレオファシエンス(Pseudomonas aureofaciens)が(Z)−4−ヒドロキシ−4−メチル−2−(1−ヘキセニル)−2−ブテノリド及び(Z)−4−ヒドロキシメチル−2−(1−ヘキセニル)−2−ブテノリドを生産することも報告されている。微生物が種々のブテノリド化合物を生産することができるが、後述する式(I)に係る化合物は、我々が知る限り、あらゆる細菌又は真菌種によって産出されることが報告されていない。
【0003】
オーレオバシジンと名付けられた一連の抗菌性環状デプシペプチド類は、オーレオバシジアム属の種の上澄み液から分離されている(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。現在、オーレオバシジンは、オーレオバシジウム属から分離した唯一の抗菌性化合物である。この化学種に属する化合物の全てが、類似の環状デプシペプチド構造を有する。ブテノリドがオーレオバシジウム種から産出されることが報告されていない。
【0004】
多くのブテノリド及びガンマーブチノラクトン類は、極めて強く心地良いフルーツの香りを示す(非特許文献11)。ココナッツアルデヒド(5−ペンチル−4,5−ジヒドロ−2−(3H)−フラノン)並びに5−ブチル−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2−(3H)−フラノン(ウィスキーラクトン)及び5−イソブチル−3−メチル−4,5−ジヒドロ−2−(3H)−フラノンのような類似体がココナッツに似た心地よい芳香を発することが報告されている(非特許文献12)。しかしながら、フラン−2(5H)−オン化合物がこの種の芳香を発するという報告はこれまでない。5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン化合物の風味又は芳香の試験については、報告されていないと思われる。
【0005】
特許文献1には、ガンマーラクトンを含有する抗真菌剤(下記の化合物A)が通常開示されている。
【化1】

ここで、アルキル基Rは、炭素数1〜12のアルキル基、結合「a」及び「b」は単結合又は二重結合とすることができる。いくつかの抗真菌性成分がカネボウ(株)によって請求されているが、1つの化合物以外の全てが飽和ブテノリド(結合「a」及び「b」がいずれも単結合)であり、他方の化合物が5−メチル−2(3H)−フラノン(結合「a」が単結合で、結合「b」が二重結合)である。さらなる化合物、5−メチルフラン−2(5H)−オンが上述した化合物のリスト(Rがメチルであり、結合「a」が二重結合で、結合「b」が単結合)内に含まれるが、抗真菌活性に対するデータが該メチルブチノリド化合物に対し表わされていない。さらに、前記特許文献には、抗酸化作用、細胞保護作用又は抗炎症活性を有する化合物としては何も開示されていない。
【0006】
炎症状態の促進及び先天性免疫応答の開始は、多種の重大なサイトカインの発現を必要とし、その一つがTNF−αである。核因子カッパB(NF−κB)は、これらサイトカイン遺伝子の転写を制御する主たる誘導性転写因子の1つであり、哺乳類の先天性免疫応答において極めて重要な役割を担う(非特許文献13、非特許文献14)。この役割と一致して、NF−κBの誤った調整は、癌、自己免疫疾患、敗血性ショック、ウィルス感染及び不適当な免疫発達に関連している。従って、NF−κBは、抗炎症作用目的のプロセスに関連している(非特許文献15、非特許文献16)。さらに、阻害剤カッパBキナーゼβ(IKKβ)は、Iκβをリン酸化して、その劣化と、その後のNF−κBによる遺伝子発現の活性化を導く(非特許文献17、非特許文献18)。そのため、IKKβの活性も炎症応答の調整に含まれる。
【0007】
哺乳類の細胞においてNF−κBの誘導又は阻害に対する種々の小さいγラクトン化合物の効果を比較した少数の報告がある。いくつかの複雑なラクトンのうち、セスキテルペンラクトンは、NF−κβの活性化を抑制するように提案された作用態様の強力な抗炎症性分子(非特許文献19、非特許文献20)であり、該セスキテルペンラクトンのアルファーメチレン−ガンマーラクトン成分が前記活性の抑制に要求され(非特許文献21)、クラストラクタシスチンβーラクトンもNF−κβの転写を抑制できる(非特許文献22)。しかし、ブレフェルジンAは、NF−κβを活性化することができる(非特許文献23)。前記式Aに基づいた化合物によるNF−κβ生合成に対する抗炎症活性又はあらゆる効果が報告されていない。
【0008】
本発明の目的は、抗酸化若しくはグラタチオン誘出及び/又は抗菌活性及び/又は抗炎症活性のような細胞保護作用を有するさらなるブテノリド化合物を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、心地良い香り及び/又は風味を有する前記化合物を提供することにある。
【0010】
さらにまた、本発明の目的は、海水菌属オーレオバシジウムの分離株から5−アルキルフラン−2(5H)−オンのような所望の異性体(例:R構造)を有する天然ガンマーアルキルブテノリドを製造する方法を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本特許公開2005-35929号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Rouseff, R. L., M. M. Leahy, et al. (1995). Fruit flavors : biogenesis, characterization, and authentication. Washington, DC, American Chemical Society.
【非特許文献2】Dunny and Leonard (1997)
【非特許文献3】Braun, D., N. Pauli, et al. (1995). "New butenolides from the photoconductivity screening of Streptomyces antibioticus (Waksman and Woodruff) Waksman and Henrici 1948." FEMS Microbiol Lett 126(1): 37-42.
【非特許文献4】Takano, E., T. Nihira, et al. (2000). "Purification and structural determination of SCBl, a gamma-butyrolactone that elicits antibiotic production in Streptomyces coelicolor A3(2)." J Biol Chem 275(15): 11010-6.
【非特許文献5】Kato, J. Y., N. Funa, et al. (2007). "Biosynthesis of {gamma} -butyrolactone autoregulators that switch on secondary metabolism and morphological development in Streptomyces." Proc Natl Acad Sci U S A 104(7): 2378-83.
【非特許文献6】Takano (2006)
【非特許文献7】Franco, C. M., U. P. Borde, et al. (1991). "Butalactuva new butanolide antibiotic.
【非特許文献8】Ikai, K., K. Takesako, et al. (1991). "Structure of aureobasidin A." J Antibiot (Tokyo) 44(9): 925-33.
【非特許文献9】Yoshikawa, Y., K. Ikai, et al. (1993). "Isolation, structures, and antifungal activities of new aureobasidins." J Antibiot ( Tokyo) 46(9): 1347-54.
【非特許文献10】In, Y., T. Ishida, et al. (1999). "Unique molecular conformation of aureobasidin A, a highly amide N-methylated cyclic depsipeptide with potent antifungal activity: X-ray crystal structure and molecular modeling studies." J Pept Res 53(5): 492-500.
【非特許文献11】Buttery, R. G. and L. C. Ling (1998). "Additional studies on flavor components of corn Tortilla chips." J. Agric. Food Chem. 46(7): 2764-69.
【非特許文献12】Sinha et al. (2004)
【非特許文献13】Herfarth, H., K. Brand, et al. (2000). "Nuclear factor-kappa B activity and intestinal inflammation in dextran sulphate sodium (DSS)-induced colitis in mice is suppressed by gliotoxin." Clin Exp Immunol 120(1): 59-65.
【非特許文献14】Nichols, T. C, T. H. Fischer, et al. (2001). "Role of nuclear factor-kappa B (NF- kappa B) in inflammation, periodontitis, and atherogenesis." Ann Periodontol 6(1): 20-9.
【非特許文献15】Kim, S. J., H. J. Jeong, et al. (2005). "Anti-inflammatory activity of gumiganghwaltang through the inhibition of nuclear factor-kappa B activation in peritoneal macrophages." Biol Pharm Bull 28(2): 233-7.
【非特許文献16】Moussaieff, A., E. Shohami, et al. (2007). "Incensole Acetate, a Novel antiinflammatory compound Isolated from Boswellia Resin, Inhibits Nuclear Factor (NF)-kappa B Activation." MoI Pharmacol.
【非特許文献17】Karin, M. and M. Delhase (2000). The I kappa B kinase (IKK) and NF-kappa B: key elements of proinflammatory signalling. Semin Immunol 12(1): 85-98.
【非特許文献18】Yamamoto, Y., M. J. Yin, et al. (2000). IkappaB kinase alpha (IKKalpha) regulation of IKKbeta kinase activity. MoI Cell Biol 20(10): 3655-66.
【非特許文献19】Lyss, G., A. Knorre, et al. (1998). "The anti-inflammatory sesquiterpene lactone helenalin inhibits the transcription factor NF-kappaB by directly targeting p65." J Biol Chem 273(50): 33508-16.
【非特許文献20】Koch, E., C. A. Klaas, et al. (2001). "Inhibition of inflammatory cytokine production and lymphocyte proliferation by structurally different sesquiterpene lactones correlates with their effect on activation of NF-kappaB." Biochem Pharmacol 62(6): 795-801. Lin, Z. P., Y. C. Boiler, et al. (1998). "Prevention of brefeldin A-induced resistance to teniposide by the proteasome inhibitor MG-132: involvement of NF-kappaB activation in drug resistance." Cancer Res 58(14): 3059-65.
【非特許文献21】Hall, I. H., K. H. Lee, et al. (1979). "Anti-inflammatory activity of sesquiterpene lactones and related compounds." J Pharm Sci 68(5): 537-42.
【非特許文献22】Ding, G. J., P. A. Fischer, et al. (1998). "Characterization and quantitation of NF- kappaB nuclear translocation induced by interleukin-1 and tumor necrosis factor-alpha. Development and use of a high capacity fluorescence cytometric system." J Biol Chem 273(44): 28897-905.
【非特許文献23】Lin, Z. P., Y. C. Boiler, et al. (1998). "Prevention of brefeldin A-induced resistance to teniposide by the proteasome inhibitor MG-132: involvement of NF-kappaB activation in drug resistance." Cancer Res 58(14): 3059-65.
【発明の概要】
【0013】
本発明の第1態様によれば、次式(I)
【化2】

(式中のR1はC1−C40のアルキル基、R2及びR3はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物の抗真菌剤、細胞保護剤及び/又は抗炎症剤の製造への使用を提供する。
【0014】
適切な細胞保護反応は、例えば、哺乳類の抗酸化応答素子(ARE)遺伝子集団の活性化によりグルタチオンのような細胞内抗酸化物質を誘導し得るものとすることができる。適切な抗炎症剤は、NF−κβ応答を抑制できるものとすることができる。
【0015】
言い換えれば、式(I)に係る抗真菌性の細胞保護性及び/又は抗炎症性の化合物を提供する。
【0016】
本発明の式(I)の好適な抗真菌性化合物は、aが二重結合、R1がC6−C28、好ましくはC6−C20のアルキル基であるものを含む。
【0017】
R2及び/又はR3がHであることが好ましい。
【0018】
対象化合物の多くは、明確かつ独特な芳香及び風味特性を示し、これがさらなる利点となる。
【0019】
本発明の第2態様によれば、芳香及び/又は風味剤としての使用のための上記式(I)に係る化合物を提供する。言い換えれば、式(I)に係る芳香及び/又は風味剤を提供する。
【0020】
特に、Rがn−ヘキシルで、[α]20D −107.3 (c = 1.18, CHCl3); {lit. [α]20D −84.1 (c − 1.01, CHCl3)}1である旋光性を有する式(I)に係る化合物は、望ましくはココナッツ芳香及び風味を示す。
【0021】
本発明者等は、対象の化合物が抗酸化及び/又は抗炎症特性のような細胞保護作用を代案として又はさらに示すことも確認している。
【0022】
本発明の化合物は、環状構造として示されている。しかし、理論により拘束されることを望むことなく、活性形態を非環状形態とすることができる。
【0023】
式(I)の化合物を、当業者によって決定し得るように、単独又は他の細胞保護せいの抗真菌及び/又は抗炎症物質若しくは他の活性成分と組み合わせか、又は担体とともに組成物で提供することができる。
【0024】
式(I)のアルキル基R1は分岐又は非分岐とすることができ、例えば典型的な分岐アルキル基としては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、3−メチルブチル、3,3−ジメチルブチル及びその異性体を含む変異体がある。抗真菌性化合物用の好適なアルキル基は直鎖である。
【0025】
さらに、R1をアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択した基で置換することができる。
【0026】
一般に、ここに述べるアルキル及びアルケニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状とすることができる。アルキニル基は、直鎖又は分岐鎖とすることができる。
【0027】
ハロは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
【0028】
抗真菌で、細胞保護性(抗酸化)の抗炎症の抗細菌剤及び/又は風味/芳香剤としての使用に好適な化合物は、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン(5−ヘキシル−5H−フラン−2−オン又は5−ヘキシル−2(5H)−フラノンとも名付けられている)である。特に、この化合物は、低い濃度、例えば1μg/ml以下、又は3μg/ml以下の最低濃度(MIC)で、とりわけCandida albicans、Pityrosporum ovale 及び Malassezia furfurに対して強い抗真菌活性を示す。上記化合物はまた、抗炎症性を示し、特にNF−κBの強い抑制を示す。
【0029】
前記式(I)の対象化合物によってターゲットとし得る菌類としては、Trichophyton rubrumのようなトリコフィトン種、Aspergillus fumigatusのようなアスペルギラス種、Candida albicansのようなカンジタ種、Pityrosporum ovaleのようなピチロスポラム種、及びMalassezia furfurのようなマラセッジア種がある。Trichophyton rubrumのような他の菌類を前記対象化合物によってターゲットとし得る。
【0030】
本発明での使用のための式(I)及び(II)の化合物は、該化合物を用いる目的に応じた濃度又は投与量で投与されうるのが好ましい。特に、菌類の殺菌方法に用いる場合には、ターゲット菌類に対する組成物中の対象化合物の量は、50μg/ml のような100μg/ml以下であり、好ましくは1〜20μg/ml、最も好ましくは1〜10μg/ml、例えば1〜5μg/mlである。
【0031】
本発明での使用のための式(I)及び(II)の化合物は、種々の立体異性体で存在することができ、また上述したような本発明に用いるための化合物は、鏡像異性体とラセミ混合物を含むあらゆる立体異性体とその混合物を含むことが好ましい。本発明は、その範囲内で式(I)の化合物の個々の鏡像異性体並びにかかる鏡像異性体の全体的又は部分的なラセミ混合物を含むあらゆる立体異性体や、立体異性体の混合物の使用をふくむものである。図1aに示した形態を用いることがより好適である。
【0032】
海洋堆積物からは単離した海水のオーレオバシジウム属菌株AQP1639は、炭水化物で強化した媒質であるが窒素源に限定されたもので整地要させた際に、式(I)及び(II)に係る抗真菌及び抗酸化化合物を産出する。
【0033】
海水のオーレオバシジウム属菌株AQP1639は、本発明者等によってブダペスト条約に従ってCABI生物科学UKセンター(IMI)に2006年12月寄託され、受入ナンバーIMICC No.394867を有する。
【0034】
本発明での使用のための化合物は、当業界で容易に入手し得る試薬及び有機合成化学方法のような技法を用い、後述するようにして調製することができる。
【0035】
対象化合物の大量製造に適用し得る手順の一例は、ヒドロキシル化不飽和脂肪酸の内部環化反応を用いる。
【0036】
この環化反応は、エステラーゼ酵素のような単離した酵素を用いて達成することができる。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る化合物を製造する方法を提供するもので、
i)オーレオバシジウム種の菌株を準備し、適当な培地中で前記化合物又は化合物前駆体の製造に適した条件下で適切な時間培養し、
ii)生成した培養物から前記化合物を回収する工程を備える。
【0038】
オーレオバシジウム菌は海水種であることが好ましい。
【0039】
最も好ましいものは、ブダペスト条約に従ってCABI生物科学UKセンターIMIに2006年12月20日寄託し、受入ナンバーIMICCNo.394867を有するオーレオバシジウム菌株、又はその対象化合物を生産する特性を有する突然変異体若しくは変異体である。
【0040】
前記培養は、当業者が利用し得る任意適当な方法によって行うことができ、上述の真菌種の醗酵を含む。
【0041】
上述した化合物の調製はまた、化学反応が進行して任意に所望化合物の中間体を含む最終所望化合物を形成し得るオーレオバシジウム菌から得らた酵素又は酵素混合物を用いて達成することができる。例えば、酵素又は酵素混合物、例えばエステラーゼ酵素を用いて最終環化化合物を形成することができる。酵素又は酵素混合物を用いて未環化化合物のような中間化合物を形成し、これをさらなる化学処理、例えば環化によって最終的な所望化合物に転換することができる。さらなる化学処理の一例としては、中間化合物を例えば無機の酸又はアルカリの使用により酸性及び/又はアルカリ性条件に曝すことである。酸としては、硫酸及び塩酸がある。アルカリとしては、I属またはII属の金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウムがある。
【0042】
式(I)及び/又は(II)に係る化合物の産出量は、オーレオバシジウムを培養し、化合物の産出レベルを確定し、続いて培養条件を変更し、化合物レベルを再測定することによって増強/最適化させることができる。この手順は、最適化状態に達するまで繰り返すことができる。
【0043】
最適化の手順は、培地中の炭素対窒素の比率を変えることにより培養状態を変更することを含む。
【0044】
最適化手順は、ある量の炭素、例えば炭水化物で強化され、窒素の量に制限された培地の使用を含むので、高い炭素対窒素の比率が得られる。これは、窒素成分よりも多い量の炭水化物を備える適当な増殖基質を用いるが、該基質から酵母エキス又はペプトンのような窒素源の更なる添加を除外することによって達成することができる。一例としては、24gのジャガイモのブドウ糖基剤を1Lの海水中に備える媒質がある。
【0045】
炭素対窒素の比率は20:1が適し、好ましくは15:1、望ましくは11:1である。
【0046】
例えば、デンプン源が炭水化物を付与するのに適し、海水が所定量の窒素を付与するのに適している。所望の方法は、ジャガイモのブドウ糖寒天中で天然海水とともに適切な期間、例えば2〜3週間予備培養することを含む。該方法は、予備培養に続いて、海水でのジャガイモのブドウ糖ブイヨンのの接種と、適切な期間、例えば3〜4週間培養することを備える。
【0047】
対象化合物の回収は、培養上澄み液を任意適当な溶媒、例えば酢酸エチル等のような有機溶媒により抽出し、続いて抽出物を例えば水溶液として供給し得る水酸化ナトリウムのような無機塩基を用いてアルカリ性化することを必要とする場合がある。
【0048】
適当なpH条件は、9〜11、例えば10〜11の範囲である。
【0049】
アルコールのような極性溶剤、例えばメタノールを添加し、続いて非極性溶剤、例えばヘキサンで抽出することにより所望の粗生成物を得、次いでこれをクロマトグラフィーのような当業者が利用し得る技術を用いてさらに精製することができる。
【0050】
本発明は、抗菌性、抗酸化、抗炎症及び/又は抗癌性を含むがこれらに限定されない有用な薬剤学的性質を有する天然のブテノリド化合物を製造するための簡単な方法を提供する。
【0051】
抗菌性とは、病原体及び非病原体に対する活性を含む抗真菌、抗細菌及び/又は抗ウィルス性を含む。好ましくは、抗菌とは抗細菌のことである。
【0052】
治療し得る特定の条件としては、にきび、ふけ、爪菌、癌、炎症及び自己免疫疾患、敗血性ショック、ウイルス感染及び不適当な免疫発現、ストレス、サイトカイン、遊離基、紫外線照射及び細菌又はウィルス抗原シナプス可塑性、メモリ及び抗炎症ターゲット、感染への免疫応答の調節がある。Candida albicans、Malassezia furfur及びTrichophyton rubrumに起因した他の菌類条件もまた上述した化合物で治療することができる。
【0053】
本発明は、上述した化合物を必要とする患者に投与することを備える上述した病気、病変又は条件の治療又は予防を更に提供する。
【0054】
前記患者とは、通常動物、例えば哺乳類、特にヒトである。
【0055】
対象化合物を患者に局所的に、例えば皮膚に適用することができる。
【0056】
本発明者等は、特に対象化合物が哺乳類、例えばネズミやヒトの細胞に対して低毒性を示すことを見出した。
【0057】
本発明者等はさらに、対象の化合物が特異的な細胞毒性作用を付与し、該化合物の抗癌治療における有用性を示唆するネズミ及びヒト細胞に対する特異的効果を有することを確認した。
【0058】
本化合物はまた、例えばパーソナルケアに関連した化粧品又は薬用化粧品用途に有用であり、該用途としては限定することなく、皮膚の老化防止、スキントーニング/スムージング、メラニンレベルの例えば皮膚の美白に対する影響のような皮膚の色素沈着の変更や、皮膚及び毛髪のトリートメントがある。
【0059】
食品添加剤、香味剤、防腐剤及び栄養補助食品としての使用も提供する。
【0060】
本発明に係る使用のため、上述した化合物、又はその生理的に許容し得る塩、エステル若しくは他の生理的な機能性誘導体を、1つ以上の薬学的に許容し得る担体と、随意的な他の治療及び/又は予防薬成分と共に前記化合物、又はその生理的に許容し得る塩、エステル若しくは他の生理的な機能性誘導体を備える医薬製剤としてもたらすことができる。当該担体は、製剤の他の成分と相溶性で、その受容体に有害でないという意味で許容されねばならない。
【0061】
医薬製剤としては、経口用、外用(皮膚、口腔および舌下を含む)、直腸又は非経口用(皮下、皮内、筋肉内および静脈内を含む)、経鼻用及び例えば吸入による肺投与用に適したものがある。該製剤は、必要に応じて、個々の投与量単位で便利にもたらすことができ、また薬学業界で周知のあらゆる方法により調製することができる。かかる全ての方法は、活性化合物を液体担体若しくは微粉砕した固体担体又はその両方と会合させ、次いで必要に応じて生成物を所望の製剤に成形する工程を具える。
【0062】
担体が固体である経口投与に適した医薬製剤は、所定量の活性化合物を含有するボーラス、カプセル又は錠剤のような単位投与製剤としてもたらされるのが最も好ましい。錠剤は、任意に一つ以上の副成分とともに圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮された錠剤は、活性化合物を適当な機械で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、平滑剤、表面活性剤又は分散剤と任意に混合した粉末又は顆粒のような自由に流動する形状に圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、活性化合物を不活性液体希釈剤で成型することによって製造することができる。錠剤を任意に被覆することができ、未被覆の場合には、任意に筋をつけることができる。カプセルは、活性化合物を単独で又は一つ以上の副成分と共にカプセル殻中に充填し、その後通常の方法で密封することによって調製することができる。薬用オブラートは、カプセルと類似しており、活性化合物を任意の副成分とともにライスペーパーのエンベロープ内に封入する。活性化合物はまた、例えば投与前に水に懸濁させるか、又は食べ物に降りかけることができる分散性顆粒として処方することができる。顆粒は、例えば小袋に詰めることができる。担体が水である経口投与に適した製剤は、溶液として若しくは水溶性または非水溶性液体中の懸濁液として又は水中油型液体エマルジョンとしてもたらすことができる。
【0063】
経口投与用の製剤は、活性化合物を適切な放出制御マトリックス中で処方するか又は適当な放出制御膜で覆う放出制御投与形態、例えば錠剤を含む。かかる製剤は、特に予防的使用に便利な場合がある。
【0064】
担体が固体である直腸投与に適した医薬製剤は、単位投与座薬としてもたらされるのが最も好適である。適当な担体は、ココアバター及び当業界で通常用いる他の材料を含む。座薬は、活性化合物を軟化又は溶融した担体と混合し、その後型内で冷却及び成形することによって都合よく形成することができる。
【0065】
非経口投与に適した医薬製剤は、活性化合物の水性又は油性媒体中の殺菌溶液又は懸濁液を含む。
【0066】
注射用製剤をボーラス注射又は連続注入用に適合させることができる。かかる製剤は、製剤の導入後使用が要求されるまで密封された単位投与又は複数投与の容器で便利にもたらされる。或いはまた、活性化合物は、使用前に無菌で発熱物質のない水のような適切な媒体で構成される粉末形態とすることができる。
【0067】
活性化合物はまた、長時間作用型の持効性製剤として処方し、筋肉注射又は移植により、例えば皮下に又は筋肉注射で投与することができる。持効性製剤は、例えば適当な重合体若しくは疎水性物質又はイオン交換樹脂を含むことができる。このような長時間作用型の製剤は、特に予防的使用に便利である。
【0068】
口腔を介した肺投与に適した製剤は、活性化合物を含有し、望ましくは0.5〜7μmの直径を有する粒子を受容体の気管支樹に送達するようにもたらされる。
【0069】
かかる製剤の一つ可能性としては、細かく粉砕された粉末形状を有し、吸入器での使用のために例えば適当にゼラチンからなる穿孔性カプセル内に都合よく存在し得る微細に粉砕された粉末の形態か、或いはまた活性化合物、適当な液体又はガス状推進剤及び随意的に表面活性剤及び/又は固体の希釈剤のような他の成分とを備える自己推進製剤がある。適当な液体推進剤としてはプロパンとクロロフルオロカーボンがあり、適当なガス状推進剤としては二酸化炭素がある。自己推進製剤は、活性化合物を溶液又は懸濁液の小滴の形態に調剤して使用することもできる。
【0070】
かかる自己推進製剤は、当業界で既知のものと類似し、確立された手順によって調製することができる。該製剤は、所望のスプレー特性を有する手動操作性又は自動的に機能するバルブを備えた容器でもたらされるのが適しており;前記バルブは、各操作ごとに所定量、例えば25〜100μlを送達する計量タイプのものであるのが有利である。
【0071】
さらなる可能性としては、活性化合物がアトマイザ又はネブライザでの使用のために溶液又は懸濁液の形態とすることができ、これにより加速した空気流又は超音波攪拌を用いて吸入用の微細な滴霧を生み出す。
【0072】
経鼻投与に適した製剤は、上述した経肺投与のものと通常類似した調剤を含む。投薬する場合、かかる製剤は、鼻腔での保有を可能にするため望ましくは10〜200μmの粒径をもつべきであり;これは所要に応じて適当な粒径の粉末の使用又は適切なバルブの選択によって達成し得る。他の適当な製剤としては、鼻に密接保持された容器から鼻腔を介して急速吸入による投与のための20〜500μmの粒径を有する粗い粉末、水性若しくは油状の溶液又は懸濁液に0.2〜5%W/Vの活性化合物を備える点鼻剤がある。
【0073】
上述した医薬製剤は、上記担体成分の外に、希釈剤、緩衝剤、風味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料(抗酸化剤を含む)等のような適切な一つ以上の追加担体成分と、製剤を所定の受容体の血液と等張性にする目的のために含有させた物質とを含み得ることを理解すべきである。
【0074】
薬学的に許容し得る担体は、当業者に周知であり、限定はしないが、0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸塩緩衝液又は0.8%の生理食塩水がある。さらに、かかる薬学的に許容し得る担体は、水性若しくは非水性の溶液、懸濁液および乳濁液とすることができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル及びオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルである。水性担体は、生理食塩水又は緩衝媒体を含有した水、アルコール性/水性溶液、乳濁液又は懸濁液を含む。非口径の媒体としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖と塩化ナトリウム、乳酸化リンガー又は固定油がある。また、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート化剤、不活性ガス等のような保存料及び他の添加剤が存在することがある。
【0075】
局所塗布に適した製剤は、例えばゲル、クリームまたは軟膏として提供することができる。かかる製剤を、例えば外傷又潰瘍に、該外傷又は潰瘍の表面上に直接薄く塗るか、又は治療すべき個所およびその上に塗布し得る包帯、ガーゼ、又はメッシュ等のような適切な支持体に担持させ適用することができる。
【0076】
また、治療すべき部位、例えば外傷や潰瘍に噴霧又は振りかけることができる液体又は粉末製剤を提供することができる。或いはまた、製剤を包帯、ガーゼ、又はメッシュ等のような担体に噴霧又は振りかけ、次いで治療すべき部位に適用することができる。
【0077】
家畜の使用のための治療用製剤は、好都合なことに粉末又は原液の形態とすることができる。標準的な家畜製剤慣行によれば、乳糖又はショ糖のような従来の水溶性の賦形剤を粉末に混入して物理的性質を改良することができる。従って、本発明の特に適した粉末は、50〜100質量%、好ましくは60〜80質量%の活性成分と、0〜50質量%、好ましくは20〜40質量%の従来の家畜賦形剤とを備える。これら粉末を動物飼料に、例えば中間予混合によるか、又は動物飲料水の中に希釈して添加することができる。
【0078】
本発明の原液は、当該化合物若しくはその誘導体又は塩を適当に含有し、随意的に獣医学的に許容し得る水混和性溶媒、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、グリセロールホルマール又は30体積%までのエタノールと混合したものを含むことができる。該原液を動物の飲料水に投与することができる。
【0079】
パーソナルケア及び薬用化粧品用の製剤は、当業者が利用し得る方法に従って提供することができる。例えば、活性化合物を局所使用のためにスキンクリーム(例えばフェイシャルクリーム)、洗浄液(例えば洗顔液)、リンス、シャンプー、コンディショナー、ヘアダイ、ポマード、ムース等のような調剤でもたらすことができる。香気添加剤、防腐剤又は当該化合物の抗酸化作用が、これら用途への特定の適合性を与える。当業者は、かかる調剤の残り成分を使用に応じて提供することができる。例えば、代表的な成分としては、水、アルコール、湿潤剤、表面活性剤、油、ワックス、ゲル化剤、着色剤等がある。
【0080】
追加的な使用方法は、活性化合物を食品添加剤として単独でまたは調剤内に含めて提供して食品及び/若しくは飲料に抗酸化性、抗腐敗性、防腐性及び/又は風味を付与することを含む。活性化合物はまた、栄養補助食品として適当な形態、例えば錠剤で提供することができる。
【0081】
上述の化合物は、さらなる化合物、特にパーソナルケア、化粧品、食物及び栄養用途で上述した特性を有するもののような生物学的に活性な化合物の製造用の中間体又は基質として提供しうることが有用である。
【0082】
本発明は、以下の非限定的な例及び図面を参照することで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン(P1639Cと名付ける)の化学構造である。
【図1a】図1aは、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン(P1639Cと名付ける)の旋光性を示す。
【図2】図2aは、tBHQによるARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘発を示すグラフである。図2bは、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン(P1639C)によるARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘発を示すグラフである。図2cは、4−デカノリドによるARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘発を示すグラフである。図2dは、2(5H)−フラノンによるARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘発を示すグラフである。
【図3a】図3aは、化合物P1639Cに対するCOSYのNMR相関を示す。
【図3b】図3bは、化合物P1639Cに対するHNBCのNMR相関を示す。
【図4a】図4aは、化合物P1639CのプロトンNMRスペクトルを示す。
【図4b】図4bは、化合物P1639Cの13C-NMRスペクトルを示す。
【図5】図5は、化合物P1639Cに対するLR質量分析法によるグラフである。
【図6】図6a〜cは、ヒト肝細胞を種々の濃度の化合物P1639C(図6c)並びにタモキシフェン(図6a)及びクロルプロマジン(図6b)に3時間曝す試験管内のヒト肝細胞モデルを用いて行った毒性分析による3つのグラフである。
【図7a】図7a及びbは、試験管内の哺乳類細胞モデルを用いて該細胞を種々の濃度のP1639C並びにP1639Cの化学類似体に曝した際の化合物P1639C化合物のNFκBの抗炎症活性を抑制する能力を示す2つのチャートである。図7aは、P1639Cの種々の濃度での抗炎症活性及び細胞毒性である。前記抗炎症検定を、NF−κB活性の抑制を用いて検討する。P1639Cの抗炎症活性は、相当な用量依存応答を示す。P1639Cの0.5mMの濃度は、NF−κB媒介炎症応答をほぼ完全に抑制でき、0.02mMは50%の抑制ができる。さらに、相当な細胞毒性が試験細胞に対して観察されない。細胞のみ:炎症誘発なし、TNF−α:炎症がTNF−αによって誘発され、100%炎症応答(負の対照物)として用いる、SEAP:既知の炎症応答エンハンサー、Bay-11:正の対照物として用いる既知の抗炎症剤。
【図7b】図7bは、P1639Cと同様の構造を有する他の既知のブテノリドとの間のNF−κBの抑制活性の比較である。結果は、P1639Cがそれらの中で唯一の活性化合物であることを示す。試験した全てのブテノリド類は、相当な細胞毒性を示さなかった。試験した全ての既知のブテノリドは、0.05mMの濃度であった。
【図8】図8a〜dは、既知の抗酸化剤tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ、a)、P1639C(5−ヘキシル−2(5H)−フラノン、b)、4−デカノリド(5−ヘキシル−2(3H)−フラノン、c)及び2(5H)−フラノン(d)による抗酸化誘発効果を示す。
【図9】図9は、種々の濃度のアスコルビン酸又は化合物P1639Cの存在下におけるメナジオン及びピロガロールでの電子常磁性共鳴(EPR)信号発現の時間経過を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明の一例として与えられ、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0085】
1.天然のR異性体ガンマ−アルキルブテノリドの製造
ガンマ−アルキルブテノリド類の製造用最適化手順は、天然海水で調製した炭水化物が豊富な媒体(例えば、1Lの天然海水中に24gのジャガイモのブドウ糖媒体)で海水オーレオバシジウム属菌株、AQP1639を培養することを含む。AQP1639によるガンマ−アルキルブテノリドの製造はまた、適度な酸素供給による攪拌プランクトン懸濁液の培養と、生の天然産物からのエチルアセテート抽出物のアルカリ化を必要とする。非最適化培養条件下で製造したガンマ−アルキルブテノリド、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オン(P1639Cと名付ける;図1)の収量は、10〜15mg/Lである。
【0086】
AQP1639を天然海水で調製したジャガイモのブドウ糖寒天(PDA、オキソイド)中で予備培養する。平板培地を形成する前に、成長培質を121℃で15分間オートクレーブで処理する。AQP1639をPDA海水培地の上に接種し、色素の濃い分節分生子が明白になるまで2〜3週間培養した。予備成長したコロニーを用いて、天然海水を用いて同一給源から調製したジャガイモのブドウ糖培養液(PDB、オキソイド)を接種し、続いてフラスコを揺動して30℃、220rpmの速度で20日間培養を行った。可視の黒い生物膜がフラスコ壁の気/液界面で確立されるまで培養を行い、通常3〜4週間要する。濃色の油をこの段階で気/液界面に見ることができる。抗菌活性を示す培養上澄み液のエチルアセテート抽出物を乾燥し、次いで油状物質が水に完全に溶解するまで室温(20〜24℃)で0.5MのNaOH水溶液を用いてアルカリ化した。次いで、MeOHをアルカリ化溶液に添加し、完全に混合し、続いてヘキサン抽出を行った。次いで、ヘキサン抽出物を完全に蒸発乾固し、2mlのヘキサンに再び戻した。次に、ヘキサン再生物をシリカSep-Pak(登録商標)カートリッジに装填して、100%ヘキサン、90%ヘキサン:10%EtoAc及び80%ヘキサン:20%EtoAcを用いて抗真菌活性誘導分別を行った。活性画分をプールし、EtoAcに戻し、その後C18-HPLC及びアイソクラチック70%MeOH:30%H2Oを用いてさらに精製した。活性画分をプールし、NMR分光分析法及び質量分光分析法を用いてその構造を特徴付けた。
【0087】
2.P1639Cの特性化
P1639Cは、191.2(M+Na)m/zのLRMSを示す。NMRデータ(表2)の入念な分析は、C9H14O2の分子式を示唆した。3の不飽和数がシステム中に1つの環の存在を示唆した。COSY及びHNBCからの相関関係(図3)は、既知のブテノリドタイプの化合物、5−ヘキシルフラン−2(5H)−オンをもたらす(Mukku、2000年)。この化合物は、ココナッツオイルに似た心地良い芳香を生み出し、食料品、アルコール性飲料、香水及び医薬品に広く用いる風味料(Shinha、2004年)である既知の2,6−ジメチル−5−オキソ−ヘプタン酸の類似体である。旋光度測定結果を、パーキンエルマー社のモデル343偏光計を589nmで用いて記録した。
【0088】
【表1】

【0089】
3.抗酸化誘発検定(A.R.E)
抗酸化検定を、抗酸化レポーター細胞株を用いて行って、P1639Cが抗酸化応答素子(ARE)の支配下にある保護抗酸化遺伝子集団を亢進するかどうかを求める。細胞株ARE32を、8つの濃度のP1639Cと、正の対照物、tert−ブチルヒドロキノン(tBHQ)とともに24時間培養し、ルシフェラーゼ活性を測定した(ルシフェラーゼアッセイシステム、プロメガ)。P1639Cは、ARE駆動ルシフェラーゼ活性の誘導を、通常の細胞と比較してあらゆる酸化性誘導なしに18倍(30μMの濃度)(図2)まで高めた。すなわち、AQP1639によって産出したブテノリドP1639Cは、強い抗酸化誘発活性を示した。
【0090】
ARE比較をまた、P1639C(5−ヘキシル−2(5H)−フラノン)と、4−デカノリド(5−ヘキシル−2(3H)−フラノン)と、2(5H)−フラノンとの間で行つた。図8に見られるように、化合物P1639Cは、30μMのP1639Cでの処理によって18倍までのARE駆動遺伝子発現の誘発を示した。しかし、4−デカノリド又は2(5H)−フラノンは、ARE駆動遺伝子発現法を用いて相当な抗酸化誘発効果を示さなかった。
【0091】
さらなる抗酸化検定を行った。
【0092】
(競合EPR抗酸化検定)
検定の基礎は、ヒドロキシル又はスーパーオキシドラジカルに対する標準濃度のスピントラップ(テンポン(tempone)−H:50μM)と競合する種々の濃度(100〜200μM)の試験化合物の能力を評価することにある。本発明者らの知見によれば、これは異なる酸素中心ラジカルに対するスカベンジング能力間で識別する第一の検定である。
【0093】
抗酸化剤の欠如下で、テンポン−Hは酸素中心ラジカルと反応して、ラジカル発生化合物(OH用のメナジオン及びスーパーオキサイド用のピロガロール)の濃度によって決まる速度でスピン信号を発生させる。テンポン−Hと同じ濃度(50μM)でOH又はスーパーオキシドとの反応用の等価速度定数を有する抗酸化剤の混入は、ラジカルに対し有効に競合し、信号を所定の時点で〜50%だけ減ずる。設定された濃度のテンポン−Hに対する種々の濃度の試験化合物の効果をモニターすることによって、濃度−効果曲線を確立することができ、これからIC50(対照物の信号を50%だけ減ずるのに必要な濃度)を各試験化合物について導き出すことができる。次に、試験化合物を既知の物質(この場合、アスコルビン酸)と比較し、問題になっている各ラジカル(OH及びO2)に対するスカベンジング能力に従ってランク付けすることができる。IC50が低くなるにつれ、抗酸化性がより強くなる。
【0094】
(結果)
メナジオン(150μM、OH発生源)又はピロガロール(150μM、O2発生源)でのテンポン−H(50μM)の培養(37℃、60分)は、EPR信号に時間依存増加を生起した(図1a及びb)。アスコルビン酸(50〜300μM)の培養混合物への混入は、信号発現における濃度依存減少を生起し(図1)、曲線下の領域での50%減少は、OHについて〜70μM(IC50)及びO2について130μMであると計算された。試験化合物P1639Cを用いた等価実験は、EPR信号のあまり劇的でない減少(OHについて〜900μM及びO2について〜725μMの計算されたIC50)を生起した。
【0095】
(説明)
化合物P1639Cは、OH及びO2のいずれに対しても直接的な抗酸化作用(同程度)を有する。この化合物の効能は、両ラジカル種に対するアスコルビン酸のものよりも低い(〜一桁)。
【0096】
4.抗真菌活性検定
Candida albicans及びMalassezia furfurを用いて、0.2%の酵母エキスを含有するジャガイモのブドウ糖寒天(PDA)培地中で抗真菌検定を行った。最小抑止濃度(MIC)を記録した(表1)。
【0097】
【表2】

【0098】
P1639Cは、1〜1.5μg/mlのMICでC. albicansに対し、また0.8μg/mlでM. furfurに対する抗真菌活性を示した。種々のブテノリド化合物を用いる抗真菌活性の比較は、ガンマ側鎖の長さが抗真菌活性に対し相当な効果を有することを示唆した。結果は、側鎖が長くなると、より高い抗真菌活性を有することを示した。しかし、ラクトン化合物の水溶性を考慮すれば、C5〜C8の炭素数を有するガンマ側鎖が好ましい。抗真菌活性については、C2とC3との間又はC3とC4との間の二重結合が該活性に対し相当な効果を示さない。
【0099】
5.抗炎症検定
抗炎症検定をNFκB発現及びIKKβ活性に基づいて行った。NFκB発現は、プリンセス(登録商標)NINA NFκB検定キットを用いてテストされた。P1639C及び他の関連ラクトン化合物を、TNF−αによってNFκBを刺激した哺乳類細胞培養物に補完した。該検定を試験管内の細胞毒性検定とも結合した。IKKβは、50mMのトリス(pH7.5)、0.1mMのEGTA、1mg/mlのBSA、0.1%のb−メルカプトエタノールで希釈された5〜20mUのIKKβを用いてテストされた。キナーゼは、50mMのトリス(pH7.5)、0.1mMのEGTA、0.1%のb−メルカプトエタノール、300μMの基質ペプチド、10mMの酢酸マグネシウム及び0.005mMの[33P-g-ATP](500〜1000cpm/pmole)を含有する25.5μlの最終容積の基質ペプチド(LDDRHDSGLDSMKDEEY)に対して検定され、室温で30分間培養された。0.5M(3%)のオルトリン酸5μlの添加によって検定を停止した。リン酸化ペプチドがp81の濾板上に得られ、リン酸化レベルをシンチレーション計数によって測定した。P1639Cを哺乳類細胞培養物に0.001mM、0.002mM、0.005mM、0.01mM、0.02mM、0.05mM、0.1mM、0.2mM及び0.5mMの一連の濃度で補完した。プリンセスNINAキットに設けたSEAPを細胞における通常の炎症応答を示すための刺激対照物として用い、一方最終濃度5μMのBAY11-7082を抑制されたNFκB活性の正の対照物として用いた。TNF−αを有する細胞を負の対照物として用いた。補完化合物に対する細胞応答を、不活性化緩衝液及びMUP溶液の添加後に450nm放射(360nm励起)によって測定した。
【0100】
細胞の生存率は、レザズリンを有する細胞の培養と、650nm以上の基準測定に対する600nmでの吸光量の測定によって実施された。
【0101】
また、P1639Cと類似の構造を有するラクトン化合物を抗炎症活性に関し検討した。ある側鎖長をもつ単結合及び二重結合の比較をこれらラクトン間で行った(図7a及びb)。さらに、P1639Cの抗炎症活性を支持する50μMのP1639Cが存在するとき、IKKβリン酸化活性は64%±2%に減少した。
【0102】
6.毒性研究
毒性検定を、ヒト肝細胞を種々の濃度の化合物P1639C並びにタモキシフェン及びクロルプロマジンに3時間さらす試験管内のヒト肝細胞モデルを用いて行った。細胞内ATPの空乏率をパラメータとして用いて各化合物で観察された毒性レベルを測定した。タモキシフェン及びクロルプロマジンはいずれも、細胞内ATPレベルの緩やかな減少率を引き出し、毒性の適度なレベルを示唆した。しかし、化合物P1639Cにさらした後のヒト肝細胞では相当なATP空乏が観察されず、これは前記化合物がヒト肝細胞に低毒性を有することを示唆する(図6a〜c)。
【0103】
従って、本発明者らは、AQP1639培養上澄み液からの酢酸エチル抽出物のアルカリ化が特に一連のガンマ−アルキルブテノリド、とりわけ強い抗真菌化合物5−ヘキシルフラン−2(5H)−オンを作り出し、これが強いココナッツ芳香と、ヒト肝細胞の毒性学的モデルで低毒性の強力な抗酸化効果を有することを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)
【化1】

(式中のR1はC6-C12アルキル基、R2及びR3はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンからせんたくされる)に係る化合物の抗真菌薬としての使用。
【請求項2】
次式(I)
【化2】

(式中のR1はC6-C12アルキル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンからせんたくされる)に係る化合物の芳香及び/または風味剤としての使用。
【請求項3】
次式(II)
【化3】

(式中のR4はC1-C12アルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物の抗真菌剤を除いた抗酸化剤及び/又は抗炎症剤及び/又は抗菌剤としての使用。
【請求項4】
前記R4がC6-C12アルキル基である請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記R1及びR4がC6-C10アルキル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記R1及びR4がn-ヘキシルである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
カンジタ種、マラセッジア種、ピチロスポラム種及び/又はトリコフィトン種に対する抗真菌薬としての請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記式(I)又は式(II)に係る化合物が1〜100μg/mlの量である前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記式(I)又は式(II)に係る化合物が1〜10μg/mlの量である請求項8に記載の使用。
【請求項10】
次式(II)
【化4】

(式中のR4はC1-C12アルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物の真菌感染症、細菌感染症、ウィルス感染症、炎症状態及び/又は癌の予防又は治療用の薬剤製造への使用。
【請求項11】
前記薬剤がにきび、ふけ及び/又は爪菌の予防又は治療用である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
次式(II)
【化5】

(式中のR4はC1-C12アルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物を一つ以上の担体成分とともに備える化粧品。
【請求項13】
スキンクリーム、アンチエイジングクリーム、スキントーニングクリーム、スキンホワイトニング化粧品、スキンウォッシュ、シャンプー、ヘアコンディショナー、毛髪染料、ポマード及びヘアムースから選択される請求項12に記載の化粧品。
【請求項14】
前記化合物を食料及び/又は飲料の抗腐敗及び/又は保存成分として付与する請求項2に記載の使用。
【請求項15】
前記化合物を食料及び/又は飲料の抗腐敗及び/又は保存成分として付与する請求項3に記載の使用。
【請求項16】
次式(II)
【化6】


(式中のR4はC1-C12アルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物を製造するに当たり
i)オーレオバシジウム種の菌株を準備し、適当な培地中で前記化合物又は化合物前駆体の製造に適した条件下で適切な時間培養し、
ii)生成した培養物から前記化合物を回収する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項17】
前記R4がC6-C12アルキル基である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記R1及びR4がn-ヘキシルである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記R5及びR6が独立して水素である請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記破線aが二重結合で、また前記破線bが単結合である請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記オーレオバシジウム種の菌株が海水種である請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記オーレオバシジウム種の菌株がCABI生物科学UKセンターIMIに受入ナンバーIMICCNo.394867で寄託されたものか、又はその突然変異体若しくは変異体である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記回収工程がアルカリ化工程を含む請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記回収工程が溶媒抽出工程を含む請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記式(II)の化合物を培養物から少なくとも5mg/L以上の量で得る請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記培養物から得た式(II)の化合物の量が少なくとも10〜15mg/L以上である請求項25項に記載の方法。
【請求項27】
CABI生物科学UKセンターIMIに受入ナンバーIMICCNo.394867で寄託されたものか、又はその突然変異体若しくは変異体であるオーレオバシジウム種の菌株。
【請求項28】
次式(II)
【化7】

(式中のR4はC1-C12アルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、アルキルオキシ、アルキルチオ、ホルミル、シアノ、カルバモイル、ハロ又はケトンから選択され、破線a及びbはそれぞれ独立して単結合又は二重結合であるが、両者が共に二重結合ではない)に係る化合物を製造するに当たり
(i)直鎖不飽和脂肪酸を準備し、
(ii)該脂肪酸を内部環化して前記化合物を形成する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項29】
前記破線aが二重結合で、前記破線bが単結合である請求項3、10、12、16および28にのいずれかに記載の使用又は方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−526047(P2010−526047A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504854(P2010−504854)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001544
【国際公開番号】WO2008/135746
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(507367194)アクアファーム・バイオ−ディスカバリー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】