説明

太陽光集光システム及び太陽光集光システムの反射鏡調整方法

【課題】稼動状態を停止させる必要なく反射鏡の向きを容易に調整することが可能な太陽光集光システム及び太陽光集光システムの反射鏡調整方法を提供する。
【解決手段】太陽光集光システム101は、地表面に設けられ、太陽光線を反射させる反射鏡と、地表面上方に配置され、反射鏡により反射された太陽光線が入射する入射部を有する受光手段と、該受光手段の入射部の外縁に、少なくとも互いに対向する二箇所に設けられた光量センサ45と、反射鏡を少なくとも一軸回りに回転自在とする回転機構52と、該回転機構52を駆動させて反射鏡を回転させながら互いに対向する光量センサ45それぞれで検出される光量を取得し、該光量に基づいて反射鏡の角度を調整する方向制御部62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光線を反射鏡に反射させて集光させる太陽光集光システム及び太陽光集光システムの反射鏡調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に影響を与えないクリーンなエネルギーとして太陽光を集光して利用する太陽光集光システムが注目されている。このようなシステムとして、太陽光線を集光して得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う太陽光集光受熱システム(以下、集光受熱システムという)の開発が進められている。
【0003】
上述した集光受熱システムにおいて、太陽光線を集光する方式の一つとしてタワー集光方式という方式がある。
タワー集光方式とは、地上から立設されたタワー部上に集光受熱器を配置するとともに、タワー部の周囲に複数のヘリオスタット(反射鏡)を配置し、ヘリオスタットで反射される太陽光線を集光受熱器に導くことで集光・集熱するものである。また、集光受熱器は、タワー部上に設置され、ヘリオスタットで反射される太陽光線が入射する入射部となる開口部を有するケーシングと、ケーシング内周面に沿って配置され、ケーシング内に入射した太陽光線を受光する複数の受熱管とを有するものがある。
【0004】
ここで、太陽の位置は時間とともに変化するため、タワー集光方式において太陽光線を反射鏡で反射させて集光受熱器の開口部に入射させるためには、反射鏡の向きを太陽を追尾するように動作制御する必要がある。このため、タワー集光方式のシステムでは、反射鏡を回転可能とする回転機構と、回転機構を制御して太陽の位置に合わせて反射鏡の向きを変化させる制御部とを備え、これにより四季の如何を問わず日出から日没までの間において常に太陽を追尾することを可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような装置において、反射鏡の向きには、反射鏡を支持する基礎の傾斜、組立誤差、熱変形などにより時間とともに誤差が生じてしまい、制御部によって太陽の移動とともに反射鏡の向きを調整しても入射部に照射されなくなってしまう場合があった。特に、上記のようなタワー集光方式のシステムでは、反射鏡から入射部までの距離が長くなってしまうことから、わずかな誤差でも入射部近傍では太陽光線の入射位置が大きくずれてしまうことになる。
このような問題を解決するために、反射鏡で反射した太陽光線の照射位置を確認しながら入射部に入射するように、各反射鏡の向きを定期的に調整する必要がある。しかしながら、上記調整の間、調整対象以外の反射鏡による太陽光線の集光を停止させなければならない問題があった。特に、何百台もの反射鏡を備えるような場合、対象となる以外の反射鏡の向きを入射部から反らすようにした状態で、対象となる反射鏡の向きを太陽光線が入射部に入射されるように調整する作業を各反射鏡で実施する必要があり、貴重な日照時間中に限定される設備の稼動率を低下させ、また、調整のために多大なコストも発生してしまう問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、稼動状態を停止させる必要なく反射鏡の向きを容易に調整することが可能な太陽光集光システム及び太陽光集光システムの反射鏡調整方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の太陽光集光システムは、地表面に設けられ、太陽光線を反射させる反射鏡と、前記地表面上方に配置され、前記反射鏡により反射された太陽光線が入射する入射部を有する受光手段と、該受光手段の前記入射部の外縁に、少なくとも互いに対向する二箇所に設けられた光量センサと、前記反射鏡を少なくとも一軸回りに回転自在とする回転機構と、該回転機構を駆動させて前記反射鏡を回転させながら互いに対向する前記光量センサそれぞれで検出される光量を取得し、該光量に基づいて前記反射鏡の角度を調整する方向制御部とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、地表面に設けられ、太陽光線を反射させる反射鏡と、前記地表面上方に配置され、前記複数の反射鏡により反射された太陽光線が入射する入射部を有する受光手段と、前記反射鏡を少なくとも一軸回りに回転可能とする回転機構とを備える太陽光集光システムの前記反射鏡の向きを調整する太陽光集光システムの反射鏡調整方法であって、前記反射鏡を回転機構により回転させながら、前記入射部の外縁の互いに対向する検出位置で光量を検出する光量検出工程と、該光量検出手段で検出された光量に基づいて、前記反射鏡の最適となる角度を調整角度として演算する演算工程と、該演算工程で演算された前記調整角度に前記反射鏡の角度を調整する方向調整工程とを備えることを特徴としている。
【0010】
この構成及び方法によれば、入射部の外縁の互いに対向する二箇所の検出位置で反射鏡を回転させながら光量を検出することで、反射鏡によって反射された太陽光線が入射部の外縁の互いに対向する二箇所を照射している時の反射鏡の角度を把握することができる。このため、検出された光量に基づくことで、入射部の外縁の互いに対向する二箇所の中間点となる入射部の中央に、反射された太陽光線が照射する時の反射鏡の角度を求めることができ、この角度を調整角度として反射鏡の向きを調整することができる。ここで、入射部の外縁での光量の検出は、少なくとも反射鏡を回転させた際の光量の変化がわかれば良いので、稼動状態を停止させる必要なく、対象となる反射鏡を反射された太陽光線の照射位置が入射部近傍となる範囲で向きを変化させるだけで容易に調整することができる。 また、このような動作を方向制御部により行えば、人手にたよることなく、稼動中に順次反射鏡の向きの調整を行うことができ、効率的である。
【0011】
また、上記の太陽光集光システムにおいて、前記方向制御部は、互いに対向する前記光量センサのそれぞれの検出結果に基づいて、前記反射鏡の角度に対する検出される光量の変化の特徴を表わすとともに、互いに対応する特徴点をそれぞれ抽出し、該特徴点における前記反射鏡の角度を求め、これら角度の中間値に前記反射鏡の角度を調整することがより好ましい。
【0012】
また、上記の太陽光集光システムの反射鏡調整方法において、前記演算工程では、互いに対向する前記光量センサのそれぞれの検出結果に基づいて、前記反射鏡の角度に対する検出される光量の変化の特徴を表わすとともに、互いに対応する特徴点をそれぞれ抽出し、該特徴点における前記反射鏡の角度を求め、これら角度の中間値を前記調整角度として求めることがより好ましい。
【0013】
この構成及び方法によれば、互いの対向する検出位置のそれぞれについて、反射鏡の角度に対する検出される光量の変化が、その特徴を表わす特徴点となる時、すなわち検出位置と反射鏡で反射された太陽光線の光束の中心との相対位置が特定の位置関係になる時の角度を求めることができる。そして、これら角度の中間値に反射鏡の角度を調整することで、入射部の中央に反射鏡から反射された太陽光線による光束の中心が概略一致するようにすることができる。
【0014】
また、上記の太陽光集光システムにおいて、前記回転機構が、仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれの軸回りに回転自在に構成されているとともに、前記光量センサが、互いに対向する前記光量センサとして、第一の光量センサ対と、該第一の光量センサ対が配列する方向と交差する方向に配列する第二の光量センサ対とを有し、前記方向制御部は、前記第一軸及び前記第二軸のそれぞれの軸回りに回転させることで、前記第一の光量センサ対の配列する方向と対応する第一の回転方向に回転させて、前記第一の光量センサ対の検出結果に基づいて前記第一の回転方向の角度を調整するとともに、前記第一軸及び前記第二軸のそれぞれの軸回りに回転させることで、前記第二の光量センサ対の配列する方向と対応する第二の回転方向に回転させて、前記第二の光量センサ対の検出結果に基づいて前記第二の回転方向の角度を調整することがより好ましい。
【0015】
この構成によれば、回転機構が仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれの軸回りに回転自在であることで、反射鏡を仰角方向及び方位角方向いずれの向きにも調整することが可能となっている。そして、方向制御部により、第一の光量センサ対の配列する方向と対応する第一の回転方向に反射鏡を回転させるとともに、第一の光量センサ対で光量を検出させることで、第一の光量センサ対での検出結果に基づいて、第一の光量センサ対の配列方向に沿って第一の光量センサ同士の中間位置に反射鏡で反射された太陽光線が照射されるように反射鏡の向きを調整することができる。また、同様の工程を第二の光量センサ対についても行うことで、第二の光量センサ対の配列方向に沿って第二の光量センサ同士の中間位置に反射鏡で反射された太陽光線が照射されるように反射鏡の向きを調整することができる。そして、第一の光量センサ対と、第二の光量センサ対とは、それぞれの配列方向が互いに交差するようにして入射部の外縁に設けられていることで、第一の光量センサ対による調整と第二の光量センサ対による調整をそれぞれ実施することで、反射鏡で反射された太陽光線が入射部の中心に照射されるように反射鏡の向きを調整することができる。
【0016】
また、上記の太陽光集光システムにおいて、前記反射鏡を複数備え、前記回転機構が、仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれの軸回りに回転自在に構成されているとともに、前記光量センサが、前記入射部の外縁に沿って全周に配置されているものとしても良い。
【0017】
この構成によれば、回転機構が仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれ軸回りに回転自在であることで、反射鏡を仰角方向及び方位角方向いずれの向きにも調整することが可能となっている。そして、光量センサが入射部の外縁に沿って全周に配置されていることで、複数の反射鏡が入射部に対していずれの方向に位置していたとしても、方向制御部による制御のもと同じ条件で、反射鏡で反射された太陽光線が入射部の中心に照射されるように反射鏡の向きを調整することができる。
【0018】
また、上記の太陽光集光システムにおいて、前記方向制御部は、前記光量センサで検出される光量の定常成分を除去して出力する定常成分除去部を有し、該定常成分除去部からの出力に基づいて前記反射鏡の角度を調整することがより好ましい。
【0019】
この構成によれば、方向制御部の定常成分除去部により光量センサで検出される定常成分を除去することができる。すなわち、光量センサで検出される光量において、地表面などで太陽光線が乱反射して照射される成分や、未調整で入射部に照射されずに当該光量センサに照射されてしまっている他の反射鏡で反射された太陽光線による成分を除去して、調整対象となり回転機構によって回転させている反射鏡で反射されて照射される太陽光線による光量のみを正確に抽出することができる。このため、反射鏡の角度をより正確に調整することができる。
【0020】
また、上記の太陽光集光システムにおいて、前記方向制御部は、前記光量センサで検出される光量の内、所定の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを有し、前記回転機構により該バンドパスフィルタを通過する周波数と対応する回転速度で前記反射鏡を回転させながら前記光量のそれぞれで検出される光量を取得することがより好ましい。
【0021】
この構成によれば、反射鏡の回転角度と光量との関係を、回転速度と対応した周波数の波形として取得することができる。そして、バンドパスフィルタより回転速度と対応した周波数の波形のみを取得することができる。すなわち、光量センサでの検出に風や気温変動による揺らぎが生じてしまっても、回転角度と光量との関係を当該揺らぎの周波数と異なる周波数となるように回転速度を設定して取得することで、揺らぎによる外乱を除去して正確に回転角度と光量との関係を取得して反射鏡の向きを調整することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の太陽光集光システムによれば、稼動状態を停止させる必要なく反射鏡の向きを容易に調整することができる。
また、本発明の太陽光集光システムの反射鏡調整方法によれば、太陽光集光システムの稼動状態を停止させる必要なく反射鏡の向きを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における発電装置を側方視した図である。
【図2】本発明の第1実施形態における発電装置を上方視した図である。
【図3】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、集光受熱器の受熱器本体の開口部付近の詳細図である。
【図4】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、ヘリオスタットの側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムのブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、ヘリオスタットの反射鏡と集光受熱器との関係を説明する説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、反射鏡の向きと光量センサで検出される光量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、反射鏡の向きと光量センサで検出される光量との関係の他の例を示すグラフである。
【図9】図8のグラフにおいて、特徴点を特定する一例を示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムのブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態における発電装置の太陽光集光受熱システムにおいて、集光受熱器の受熱器本体の開口部付近の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る第1の実施形態実施形態について図1から図7を参照して説明する。以下の説明では、本発明の太陽光集光システムとして太陽光線を集光し受熱する太陽光集光受熱システムと、該太陽光集光受熱システムにより加熱された熱媒体を用いて発電を行うガスタービンユニットとが一体的に構成された太陽熱発電装置(以下、発電装置という)を例にして説明する。
【0025】
(発電装置)
図1及び図2は、発電装置を示しており、図1は側面図、図2は平面図を示している。なお、地球上で発電装置の立地に適する場所は、太陽からの直達日射が強く良好な回帰線に近い亜熱帯高圧帯の乾燥地域である。そこで、本実施形態の発電装置では、特に亜熱帯高圧帯の中における低緯度地域に配置される全周配置方式の発電装置について説明する。 図1において、符号1で示すものは、グランドGに設けられたヘリオスタットフィールドである。発電装置100は、このヘリオスタットフィールド1に照射される太陽光線を集光し受熱する集光受熱システム101と、集光受熱システム101で受熱した熱により加熱された熱媒体を用いて発電を行うガスタービンユニット102とを備えている。ここで、ガスタービンユニット102は、詳細を省略するが、集光受熱システム101で加熱された熱媒体が圧縮される圧縮機と、圧縮機で圧縮された熱媒体が作動流体として供給されるタービンと、圧縮機とタービンとを同軸で連結するロータと、ロータに接続された発電機とを主に備える。そして、タービンに供給される作動流体によりロータが回転することで、圧縮機により熱媒体を圧縮させて作動流体を生成するとともに、発電機により発電をさせることが可能となっている。
【0026】
(集光受熱システム)
集光受熱システム101は、ヘリオスタットフィールド1上に配置され、太陽光線Hを反射するための複数のヘリオスタット2と、グランドGに立設されたタワー部3と、タワー部3上に設置されたハウジング12と、ハウジング12内に収納されて太陽光線Hを受光する受光手段である集光受熱器10と、ヘリオスタット2及び集光受熱器10を制御する中央制御部13(図5)とを備えている。ここで、本実施形態では、タワー部3は、ヘリオスタットフィールド1の内部に配置されている。すなわち、ヘリオスタットフィールド1内のヘリオスタット2は、タワー部3を約360度全周囲むように配置されている(図2参照)。
【0027】
ハウジング12は、本実施形態では軸方向と鉛直方向とが一致した状態で配置された有底筒状のものであり、上面は閉塞される一方、下面における径方向中央部には、グランドGに向けて下向きに開口する開口部15が形成されている。また、ハウジング12内には、軸方向における上部と下部とを仕切る仕切壁16が設けられており、仕切壁16で仕切られた上部空間はガスタービンユニット102が配置されたタービン室17、下部空間は集光受熱器10が配置された集光室18として構成されている。
【0028】
タワー部3は、グランドGからハウジング12の下面に向かって立設された複数(例えば、4本)の支柱21を備えている。これら支柱21は、ハウジング12の下面における外周側に周方向に沿って等間隔に配置され、ハウジング12と連結されている。なお、図2に示すように、平面視して、後述する集光受熱器10の開口部44の中心Oと各支柱21とを結んだ直線の延長線上にはヘリオスタット2が配列されていない。これは、ヘリオスタット2で反射されて集光受熱器10の開口部44に入射される太陽光線Hの光路上に支柱21が配置されていると、太陽光線Hが各支柱21で遮られ、集光受熱器10内に太陽光線Hを取り込むことが難しいためである。このように、各支柱21同士の対角線を避けるようにヘリオスタット2を配置することで、ヘリオスタット2を無駄に設置する必要がなくなるため、設備コストの低減を図ることができる。また、タワー部3は、各支柱21間を架け渡すように連結された梁部22を備えている。これら梁部22は、ヘリオスタット2で反射されて集光受熱器10の開口部44に入射される太陽光線Hの光路上には配置されないようになっている。すなわち、本実施形態では、梁部22は、支柱21の鉛直方向下側において各支柱21間を連結している。
【0029】
(集光受熱器)
図1に示すように、集光受熱器10は、ハウジング12の集光室18に収納されており、ケーシングとなる受熱器本体41と、受熱部本体41の内部に設けられ、ヘリオスタット2で反射された太陽光線Hが照射されて受熱する受熱部42とを有する。受熱器本体41は、本実施形態では、軸方向がハウジング12の軸方向に一致した状態で配置された有底筒状のものであり、上部は天板部43により閉塞される一方、下部にはグランドGに向けて開口し、内部に太陽光線Hが入射する入射部となる略円形の開口部44が形成されている。そして、受熱器本体41の天板部43と仕切壁16とは、図示しない支持部材により仕切壁16から吊り下げられた状態で集光室18内に収納されている。また、受熱部42は、図示しないが内部に熱媒体が流通する多数の受熱管で構成されており、これら受熱管は、受熱器本体41の内周面に配列されている。また、図1及び図3に示すように、受熱器本体41の開口部44の外縁には、照射される光量を検出する光量センサ45(45A、45B、45C、45D)が設けられている。光量センサ45は、互いに対向するように2箇所ずつの検出位置、計4箇所の第一から第四の検出位置A、B、C、Dのそれぞれに配置されており、互いに対向するもの同士となる第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bで第一の光量センサ対46を構成し、また、第三光量センサ45C及び第四光量センサ45Dで第二の光量センサ対47を構成している。また、光量センサ45で検出された光量は、後述する方向制御部53へ出力されている。
【0030】
(ヘリオスタット)
図4及び図5に示すように、ヘリオスタット2は、太陽光線Hを反射させる反射鏡50と、ヘリオスタットフィールド1に固定された支持部51と、支持部51に設けられて反射鏡50の向きを変化させる回転機構52と、回転機構52を制御する方向制御部53とを備える。本実施形態では、反射鏡50は、太陽から照射される太陽光線Hを反射させて、効率良く集光受熱器10に入射させるために凹面状に形成されているが、平面状としても良い。回転機構52は、反射鏡50を仰角方向Pに回転可能とする第一軸52aと、反射鏡50を方位角方向Qに回転可能とする第二軸52bと、第一軸52aを回転させる第一回転駆動部52cと、第二軸52bを回転させる第二回転駆動部52dと、第一軸52aの回転角度を検出する第一角度検出部52eと、第二軸52bの回転角度を検出する第二角度検出部52fとを備える。第一回転駆動部52c及び第二回転駆動部52dは、例えばモータであり、また、第一角度検出部52e及び第二角度検出部52fは、例えばエンコーダである。なお、第一角度検出部52eで検出される第一軸52a回りの回転角度を第一軸回転角度θp、また、第二角度検出部52fで検出される第二軸52b回りの回転角度を第二軸回転角度θqと称する。
【0031】
また、第一軸52a及び第二軸52bを回転させて、反射鏡50を回転させた場合に、反射鏡50で反射して開口部44またはその近傍に照射される太陽光線Hが、第一の光量センサ対46(第一光量センサ45A及び第二光量センサ45B)の配列方向Xに沿って移動する時の反射鏡50の回転方向を第一の回転方向Rとし、該第一の回転方向Rに沿う反射鏡50の回転角度を第一回転方向角度θrと称する。同様に、第一軸52a及び第二軸52bを回転させて、反射鏡50を回転させた場合に、反射鏡50で反射して開口部44またはその近傍に照射される太陽光線Hが、第二の光量センサ対47(第三光量センサ45C及び第四光量センサ45D)の配列方向Yに沿って移動する時の反射鏡50の回転方向を第二の回転方向Sとし、該第二の回転方向Sに沿う反射鏡50の回転角度を第二回転方向角度θsと称する。なお、第一の回転方向R及び第二の回転方向Sは、各ヘリオスタット2と受熱器本体41の開口部44との相対位置によって、ヘリオスタット2毎に異なるものであり、第一の回転方向Rが仰角方向Pまたは方位角方向Qの一方に一致し、第二の回転方向Sが他方に一致する場合もある。
【0032】
図5に示すように、方向制御部53は、第一回転駆動部52c及び第二回転駆動部52dをそれぞれ制御する第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61と、第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61に角度指令値を送信する角度制御部62と、光量センサ45の検出結果に基づいて調整すべき角度である調整角度を演算する第一調整角度演算部63及び第二調整角度演算部64と、太陽位置と反射鏡50の向きとが関係付けられた相関データが記憶された記憶部65とを有する。第一調整角度演算部63は、第一の光量センサ対46を構成する第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bでの検出結果が入力されていて、該検出結果に基づいて反射鏡50の第一回転方向角度θrとして修正すべき角度である第一調整角度θraを演算する。また、第二調整角度演算部64は、第二の光量センサ対47を構成する第三光量センサ45C及び第四光量センサ45Dでの検出結果が入力されていて、該検出結果に基づいて反射鏡50の第二回転方向角度θsとして修正すべき角度である第二調整角度θsaを演算する。
【0033】
ここで、方向制御部53は、定常成分除去部66として、第一〜第四光量センサ45A〜45Dのそれぞれと対応させて第一〜第四定常成分除去部66A〜66Dを有する。そして、第一〜第四定常成分除去部66A〜66Dは、対応する各第一〜第四光量センサ45A〜45Dから入力される光量データの内、定常成分を除去して、それぞれ対応する第一調整角度演算部63または第二調整角度演算部64へ出力する。なお、これら第一〜第四定常成分除去部66A〜66Dは、具体的には、例えばハイパスフィルターにより構成できる。
【0034】
また、角度制御部62には、中央制御部13から、反射鏡50で太陽光線Hを反射させて集光受熱器10の開口部44に照射させる集光指令、または、反射鏡50の向きの調整を行う調整指令のいずれかが入力されている。そして、方向制御部53は、角度制御部62に集光指令が入力されている場合には、集光モードとして、時々刻々と変化する太陽位置に応じて集光受熱器10の開口部44に太陽光線Hが照射されるように反射鏡50の向きを変化させる制御を行う。一方、方向制御部53は、角度制御部62に調整指令が入力されている場合には、調整モードとして、反射鏡50を所定の角度範囲で第一の回転方向R及び第二の回転方向Sに順に回転させて反射鏡50の向きの調整を行う。
以下、各モードでの制御内容の詳細を説明する。
【0035】
まず、集光モードについて説明する。集光モードにおいては、中央制御部13から時々刻々と変化する太陽位置を示す太陽位置情報が入力されている。そして、角度制御部62は、記憶部65を参照して太陽位置と反射鏡50の向きとの相関データに基づいて、現在の太陽位置における太陽から照射される太陽光線Hを反射させて開口部44の中央に照射させる第一軸回転角度θp及び第二軸回転角度θqを演算し、角度指令値としてそれぞれ対応する第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61へ出力する。第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61は、それぞれ入力された角度指令値(第一軸回転角度θpまたは第二軸回転角度θq)となるように、それぞれ第一回転駆動部52cまたは第二回転駆動部52dを制御して第一軸52aまたは第二軸52bを回転させる。ここで、第一角度検出部52e及び第二角度検出部52fで検出された角度検出値は、それぞれ対応する第一回転駆動制御部60または第二回転駆動制御部61に入力されており、第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61は、それぞれ入力された角度検出値に基づいてフィードバック制御を行う。このため、方向制御部53では、時々刻々と変化する太陽位置に応じて第一回転駆動部52c及び第二回転駆動部52dを制御して、反射する太陽光線Hが開口部44の中央に照射されるように反射鏡50の向きを調整することが可能となっている。
【0036】
次に、調整モードの制御内容について説明する。
中央制御部13は、各ヘリオスタット2について、定期的に反射鏡50の向きの調整を行わせる。すなわち、中央制御部13は、例えば月に1回予め設定された日に、順番に各ヘリオスタット2の角度制御部62に調整指令を出力する。そして、調整指令を受けたヘリオスタット2の角度制御部62では、集光モードから調整モードへと制御モードを切り替える。
調整モードでは、方向制御部53は、まず光量検出工程を実施する。すなわち、角度制御部62は、現在の反射鏡50の向きから、第一の回転方向Rのそれぞれ両側に、所定の角度範囲Δθで反射鏡50を回転させる。なお、当該角度範囲Δθとは、現在集光受熱器10の開口部44中央に太陽光線Hを照射しているはずの反射鏡50が上記回転を実施することで、照射位置が第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bの外側となる程度の範囲をいう。詳しくは、角度制御部62は、第一回転方向角度θrを、第一軸回転角度θp及び第二軸回転角度θqに変換して、それぞれ第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61に出力する。これにより、反射鏡50は、第一回転駆動部52c及び第二回転駆動部52dにより第一軸52a及び第二軸52bが回転することで、第一の回転方向Rに回転することとなる。また、この時角度制御部62は、第一調整角度演算部63に、現在の第一回転方向角度θrを順次出力する。
【0037】
次に、方向制御部53は、演算工程を実施する。すなわち、方向制御部53において、
第一調整角度演算部63では、順次入力される第一回転方向角度θrと、第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bから入力される光量とを関係付ける。図7は、第一回転方向角度θrと、第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bから入力される光量との関係を示している。反射鏡50で反射して照射される太陽光線Hは、その光束の中心が集光受熱器10の開口部44の中央に一致している場合には、全てが入射部である開口部44から内部へと入射されることで、その外縁に設けられた第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bで検出される光量はゼロになる。一方、反射鏡50の回転により照射位置が第一光量センサ45Aに近づくにつれて、第一光量センサ45Aで検出される光量は増大し、光束の中心が第一光量センサ45Aの中心に一致したときに最大となり、次第に検出される光量が小さくなる。第二光量センサ45Bでも同様である。なお、本来、各光量センサ45には、地表面などで乱反射した太陽光線Hが常に照射され、また、調整対象以外の反射鏡50のいずれかの向きがずれている場合には当該反射鏡50で反射した太陽光線Hが常に照射され、定常成分として検出されている。しかしながら、これらの定常成分は、第一定常成分除去部66A及び第二定常成分除去部66Bで除去されているため、図7では、対象となる反射鏡50で反射された太陽光線Hが照射されない中央の範囲及び両端の範囲では第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bで検出される光量がゼロとなっている。
【0038】
そして、第一調整角度演算部63では、取得された第一回転方向角度θrと、第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bから入力される光量との関係から、その変化の特徴を表わし、かつ互いに対応する特徴点である第一光量センサ45A及び第二光量センサ45Bのそれぞれで検出される光量が最大となる時の角度θAmax、θBmaxを抽出する。そして、第一調整角度演算部63は、抽出した二つの角度の平均をとることで、両者の中間値を第一調整角度θraとして求める。すなわち、第一調整角度演算部63は、配列方向Xに沿って第一の光量センサ対46を構成する第一光量センサ45Aと第二光量センサ45Bとの中間位置を照射する角度を第一調整角度θraとして求めることができる。そして、第一調整角度演算部63は、求めた第一調整角度θraを角度制御部62へ出力する。
【0039】
次に、方向制御部53は、第二の光量センサ対47を利用して、上記同様に光量検出工程及び演算工程を実施する。すなわち、方向制御部53の角度制御部62は、第二の回転方向Sに現在の反射鏡50の向きから、第二の回転方向Sのそれぞれ両側に、所定の角度範囲Δθで反射鏡50を回転させる。詳しくは、角度制御部62は、第二回転方向角度θsを、第一軸回転角度θp及び第二軸回転角度θqに変換して、それぞれ第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61に出力する。これにより、反射鏡50は、第一回転駆動部52c及び第二回転駆動部52dにより第一軸52a及び第二軸52bが回転することで、第二の回転方向Sに回転することとなる。この時、角度制御部62は、第二調整角度演算部64に、現在の第二回転方向角度θsを順次出力する。
【0040】
そして、第二調整角度演算部64においても、第三光量センサ45C及び第四光量センサ45Dから第三定常成分除去部66C及び第四定常成分除去部66Dを介して入力される光量データに基づいて、図7に示すような関係付けを行い、その変化の特徴を表わし、かつ互いに対応する特徴点である第三光量センサ45C及び第二光量センサ45Dのそれぞれで検出される光量が最大となる時の角度θCmax、θDmaxを抽出する。そして、第二調整角度演算部64は、抽出した角度θCmax、θDmaxの平均をとることで、両者の中間値を第二調整角度θsaとして求める。すなわち、第二調整角度演算部64は、配列方向Yに沿って第二の光量センサ対47を構成する第三光量センサ45Cと第四光量センサ45Dとの中間位置を照射する角度を第二調整角度θsaとして求めることができる。そして、第二調整角度演算部64は、求めた第二調整角度θsaを角度制御部62へ出力する。
【0041】
次に、方向制御部53は、方向調整工程を実施する。すなわち、角度制御部62では、第一調整角度演算部63及び第二調整角度演算部64から入力された第一調整角度θra及び第二調整角度θsaを第一軸回転角度θp及び第二軸回転角度θqに変換し、調整モードを実施する前の角度との差分を補正量として、記憶部65に記憶された太陽位置と反射鏡50との向きとの相関データを補正する。ここで、第一調整角度θra及び第二調整角度θsaを求めるために用いた第一の光量センサ対46と第二の光量センサ対47とは、それぞれの配列方向X、Yが互いに交差するようにして入射部である開口部44の外縁に設けられている。このため、角度制御部62による制御のもと、第一の光量センサ対46による調整と第二の光量センサ対47による調整とをそれぞれ実施することで、反射鏡50で反射された太陽光線Hが開口部44の中心に照射されるように反射鏡50の向きを調整することができる。
【0042】
ここで、反射鏡50の向きを調整するための集光受熱器10の開口部44の外縁における光量の検出は、少なくとも反射鏡50の回転に伴う光量の変化さえわかれば、光量が最大となる反射鏡50の角度を求めることが可能となる。このため、調整モードにおいて、稼動状態を停止させる必要なく、対象となる反射鏡50で反射された太陽光線Hの照射位置が開口部44の近傍となる範囲で向きを変化させるだけで容易に反射鏡50の向きを調整することができる。このため、人手にたよることなく、稼動中に順次各反射鏡50の向きの調整を行うことができ、効率的である。
【0043】
また、本実施形態の集光受熱システム101において、方向制御部53は、定常成分除去部66を備えていて、各光量センサ45から入力される光量の定常成分を除去することができる。このため、調整対象となり回転機構52によって回転させている反射鏡50で反射されて照射される太陽光線Hによる光量のみを各光量センサ45で正確に抽出することができ、これにより反射鏡50の角度をより正確に調整することができる。
【0044】
なお、上記演算工程では、反射鏡50の角度に対する各光量センサ45の変化における特徴を表わす特徴点として二つの光量センサ45のそれぞれでの光量が最大となる点を抽出し、当該点における角度を求めて、これら角度の中間値を調整角度としたが、これに限るものではない。例えば、特徴点として二つの光量センサ45のそれぞれでの光量が最小となる点、すなわちゼロとなる点における角度(例えば、図7に示す角度θAmin(θCmin)、θBmin(θDmin))を求めて、これら角度の中間値を調整角度としても同等の値を調整角度として求めることができる。なお、定常成分除去部66を備えていない構成の場合には、検出される光量としては定常成分が存在しているが、この場合にも光量の変化率がゼロとなる位置をもって光量が最小となる位置を特定することができる。
【0045】
また、図8に示すように、反射鏡50の角度に対する光量の変化が台形状になる場合は、光量が一定となった状態から減少傾向に変化する変化点P、Q、または、光量が増加傾向から一定の状態となるように変化する変化点R、S、すなわち、変化を示す波形の肩の位置を特徴点としても良い。この場合、互いに対応する特徴点としては、一方が、一定となった状態から減少傾向に変化する変化点、例えば変化点Pを選択し、他方が、光量が増加傾向から一定の状態となるように変化する変化点、例えば変化点Sを選択することになる。そして、両変化点P、Sにおける角度の中間値を調整角度とすれば良い。
【0046】
さらに、反射鏡50の角度に対する光量の変化が台形状になる場合において、図9に示すように変化点において明確に折れ点が形成されない場合にも、様々な方法により特定可能である。例えば、略一定となる範囲M、及び、略一定の変化率で増加または減少する範囲Nを抽出し、これら範囲M、Nのそれぞれの近似直線Lm、Lnの交点Tとして特定できる。あるいは、光量が略一定となる側、または、光量が増加若しくは減少する側で光量の変化率が変化する点M1、N1を抽出し、いずれかの点として特徴点を特定し、または、両点M1、N1の中間位置として特徴点を特定しても良い。
【0047】
また、方向制御部53において、角度調整制御部62は、第一回転駆動制御部60及び第二回転駆動制御部61にそれぞれ回転角度を指令することができるものとしたが、さらに回転速度を指令することができるものとしても良い。このようにすることで、図7や図8に示すような回転角度と光量との関係を、回転速度と対応した周波数の波形として取得することができる。そして、方向制御部53において各光量センサ45と対応する第一調整角度演算部63または第二調整角度演算部64との間に当該周波数と対応するバンドパスフィルタを設けることで、回転速度と対応した周波数の波形のみを取得することができる。すなわち、光量センサ45での検出に風や気温変動による揺らぎが生じてしまっても、回転角度と光量との関係を当該揺らぎの周波数と異なる周波数となるように回転速度を設定して取得することで、揺らぎによる外乱を除去して正確に回転角度と光量との関係を取得して反射鏡の向きを調整することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10及び図11は、本発明の第2の実施形態を示したものである。なお、この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
図10及び図11に示すように、この実施形態の発電装置における集光受熱システム201における方向制御部70では、光量センサが光量センサ群80として、集光受熱器10の開口部44の外縁に環状に配列している。そして、光量センサ群80で検出された光量は、方向制御部70において、定常成分除去部66を介して調整角度演算部71に入力されている。その他構成は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
この実施形態の集光受熱システム201では、光量センサが集光受熱器10の開口部44の外縁に環状に配列している。このため、光量検出工程において、集光受熱器10と反射鏡50との相対位置がどの位置にあったとしても、第一軸52aまたは第二軸52bのいずれか一方のみの回転だけで、一方側に回転させて環状に配列された光量センサのいずれかで光量を検出するとともに、他方側に回転させて環状に配列された光量センサのいずれかで光量を検出することができる。すなわち、いずれの反射鏡50においても、第一軸52a回りとなる仰角方向P、第二軸52b回りとなる方位角方向Qにそれぞれ独立して回転させて、より簡易な手順、演算により反射鏡50の向きを調整することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0052】
なお、上記各実施形態は、発電装置において、太陽光線を集光して受熱する集光受熱システムについて説明したが、これに限るものではなく、少なくとも太陽光線を、所定の入射部に集光させる太陽光集光システムにおいて適用可能である。すなわち、例えば、入射部として、所定の範囲に太陽電池が設けられていて、当該太陽電池に反射鏡により太陽光線を集光させる場合においても、太陽電池の外縁に光量センサを配置することで同様の調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
10 集光受熱器(受光手段)
44 開口部(入射部)
45 光量センサ
46 第一の光量センサ対
47 第二の光量センサ対
50 反射鏡
52 回転機構
53、70 方向制御部
66 定常成分除去部
80 光量センサ群
H 太陽光線
P 仰角方向
Q 方位角方向
R 第一の回転方向
S 第二の回転方向
101、201 太陽光集光受熱システム(太陽光集光システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面に設けられ、太陽光線を反射させる反射鏡と、
前記地表面上方に配置され、前記反射鏡により反射された太陽光線が入射する入射部を有する受光手段と、
該受光手段の前記入射部の外縁に、少なくとも互いに対向する二箇所に設けられた光量センサと、
前記反射鏡を少なくとも一軸回りに回転自在とする回転機構と、
該回転機構を駆動させて前記反射鏡を回転させながら互いに対向する前記光量センサそれぞれで検出される光量を取得し、該光量に基づいて前記反射鏡の角度を調整する方向制御部とを備えることを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光集光システムにおいて、
前記方向制御部は、互いに対向する前記光量センサのそれぞれの検出結果に基づいて、前記反射鏡の角度に対する検出される光量の変化の特徴を表わすとともに、互いに対応する特徴点をそれぞれ抽出し、該特徴点における前記反射鏡の角度を求め、これら角度の中間値に前記反射鏡の角度を調整することを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽光集光システムにおいて、
前記回転機構が、仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれの軸回りに回転自在に構成されているとともに、
前記光量センサが、互いに対向する前記光量センサとして、第一の光量センサ対と、該第一の光量センサ対が配列する方向と交差する方向に配列する第二の光量センサ対とを有し、
前記方向制御部は、前記第一軸及び前記第二軸のそれぞれの軸回りに回転させることで、前記第一の光量センサ対の配列する方向と対応する第一の回転方向に回転させて、前記第一の光量センサ対の検出結果に基づいて前記第一の回転方向の角度を調整するとともに、前記第一軸及び前記第二軸のそれぞれの軸回りに回転させることで、前記第二の光量センサ対の配列する方向と対応する第二の回転方向に回転させて、前記第二の光量センサ対の検出結果に基づいて前記第二の回転方向の角度を調整することを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の太陽光集光システムにおいて、
前記反射鏡を複数備え、
前記回転機構が、仰角方向に回転可能とする第一軸及び方位角方向に回転可能とする第二軸のそれぞれの軸回りに回転自在に構成されているとともに、
前記光量センサが、前記入射部の外縁に沿って全周に配置されていることを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の太陽光集光システムにおいて、
前記方向制御部は、前記光量センサで検出される光量の定常成分を除去して出力する定常成分除去部を有し、該定常成分除去部からの出力に基づいて前記反射鏡の角度を調整することを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の太陽光集光システムにおいて、
前記方向制御部は、前記光量センサで検出される光量の内、所定の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを有し、前記回転機構により該バンドパスフィルタを通過する周波数と対応する回転速度で前記反射鏡を回転させながら前記光量のそれぞれで検出される光量を取得することを特徴とする太陽光集光システム。
【請求項7】
地表面に設けられ、太陽光線を反射させる反射鏡と、前記地表面上方に配置され、前記複数の反射鏡により反射された太陽光線が入射する入射部を有する受光手段と、前記反射鏡を少なくとも一軸回りに回転可能とする回転機構とを備える太陽光集光システムの前記反射鏡の向きを調整する太陽光集光システムの反射鏡調整方法であって、
前記反射鏡を回転機構により回転させながら、前記入射部の外縁の互いに対向する検出位置で光量を検出する光量検出工程と、
該光量検出手段で検出された光量に基づいて、前記反射鏡の最適となる角度を調整角度として演算する演算工程と、
該演算工程で演算された前記調整角度に前記反射鏡の角度を調整する方向調整工程とを備えることを特徴とする太陽光集光システムの反射鏡調整方法。
【請求項8】
請求項7に記載の太陽光集光システムの反射鏡調整方法において、
前記演算工程では、互いに対向する前記光量センサのそれぞれの検出結果に基づいて、前記反射鏡の角度に対する検出される光量の変化の特徴を表わすとともに、互いに対応する特徴点をそれぞれ抽出し、該特徴点における前記反射鏡の角度を求め、これら角度の中間値を前記調整角度として求めることを特徴とする太陽光集光システムの反射鏡調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−99629(P2011−99629A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254900(P2009−254900)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】