説明

太陽電池封止材用シートの製造方法

【課題】 生産性向上と架橋後の良好な外観と黄変安定性を向上した太陽電池封止材用シートを得る。
【解決手段】 EVA樹脂に酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤を80〜220℃で溶融混練して得られた樹脂組成物に有機過酸化物、架橋助剤、シランカップリング剤を、有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練して、シートを成形することにより太陽電池封止材用シートを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの生産性向上と架橋後の良好な外観と黄変安定性が向上された太陽電池封止材用シートの製造方法に関し、より詳しくは、エチレンビニルアセテート共重合体(以下、EVAと称する)樹脂に酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤を温度120〜220℃で溶融混練して得られた樹脂組成物に有機過酸化物、架橋助剤、シランカップリング剤を、有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練してシートを成形することを特徴とする太陽電池封止材用シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電に使用される太陽電池モジュールは、通常ではセルを保護するために両面にEVAシートが使用され、追加的に太陽光が入射される側に透明ガラス基板と、その反対側には水蒸気遮断性及び耐候性が優れたシートでラミネーティングされている。前記ラミネーティング方法は、前記透明ガラス基板、EVAシート、セル、EVAシート、気体遮断性シートを積層した後、特定の温度、圧力下に加熱、架橋して接着させる。
【0003】
一般的に、太陽電池封止材用EVAシートは、架橋後に高い透明性と接着性、耐候安定性が要求されるため、EVAに加橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤のような各種添加剤を先にヘンセルミキサー(Henschel Mixer)やタンブラーを使用して、ドライブレンディング(Dry Blending)するか別途の添加剤供給装置を通じて供給した後、EVAの溶融温度以上でありながら、架橋剤である有機過酸化物の分解温度以下の温度で溶融混練して、封止材用EVAシートを製造する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、太陽電池封止材用に使用される有機過酸化物は、ラミネーティング及び架橋時、生産性の向上と架橋後の黄変や残留過酸化物を少なくするために、殆ど分解温度(半減期が1時間の温度)が150℃以下に低く、実際の分解開始温度が非常に低いので、シート製造時加工温度を上げるには限界があり、殆ど120℃以下で溶融混練してシートを製造するが、この時、生産性を上げるために剪断力を上げる条件下で混練する場合に、発熱が随伴され、有機過酸化物の分解を促進し、先架橋発生の問題を惹起するため、生産性向上に限界があった。
【0005】
一方、従来のEVAシート製造方法のように、EVA樹脂、添加剤及び架橋剤を含んで全ての配合物を一度に混合して、剪断力が低い条件で同時に溶融混練する場合、一部の酸化防止剤と光安定剤は溶融温度が実際にEVAシート製造温度付近であるか却って高く、混練程度が低いので、EVA相(phase)内に均一に分散されない問題があった。
【0006】
また、有機過酸化物の分解温度以下及び剪断力が低い条件で、ビニルアセテート含量及び溶融指数が相対的に低いEVA樹脂を使用する場合、添加剤の分散問題が一層深刻になり、使用されたEVA樹脂の不均一な混練により溶融されないゲルの発生も問題になった。これに対して、加工温度を上昇させる場合、酸化防止剤や光安定剤が却って有機過酸化物と直接接触して反応することにより、酸化防止剤の効果が半減される場合が発生し、有機過酸化物の消失部分を補充するため、実際要求される水準の架橋度に必要な有機過酸化物の使用量が増加するようになり、究極的に架橋後の黄変や気泡発生の問題があった。
【0007】
また、他方では、EVAシート製造のための押出時、別途の添加剤供給装置を通じて添加剤を供給する場合、添加剤が液状でないパウダーの場合は、パウダー固有の特性により、供給装置の壁に接着するかブリッジ現状等で供給量が不正確に投入される問題があった。
【0008】
本発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、シートの生産性向上と架橋後の良好な外観と黄変安定性が向上された太陽電池封止材用シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法は、(1)EVA樹脂に酸化防止剤、UV吸収剤、及び光安定剤を80〜220℃で溶融混練して樹脂組成物を得る段階、及び(2)前記(1)段階から得たEVA樹脂組成物に架橋剤である有機過酸化物、架橋助剤及びシランカップリング剤を混合して、有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練してシートを成形する段階を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法において、前記EVA樹脂は、ビニルアセテート(VA)含量が25〜32重量%であり、溶融指数 (190℃、2.16kgの荷重で測定)が6〜30g/10分であることが好ましいが、前記ビニルアセテートの含量が前記範囲を外れると、透明性、柔軟性及び耐ブロッキング性が劣り好ましくなく、前記溶融指数が前記範囲を外れると、シート成形性及び機械的物性が劣るので好ましくない。
【0011】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法において、前記(1)段階で前記EVA樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.005〜0.1重量部、UV吸収剤0.1〜0.5重量部及び光安定剤0.01〜0.3重量部を溶融混練することが好ましい。この時、溶融混練時の温度は80〜220℃が好ましいが、この温度範囲を外れる場合、シート成形性が悪いので好ましくない。
【0012】
本発明に使用される酸化防止剤は、その種類には特別に限定はなく、例えばフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を1種以上使用することができるし、前記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(Pentaerythritoltetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate)及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(Octadecyl(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate)等があり、前記ホスファイト系酸化防止剤の具体例としては、トリス((2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite)及びトリス(ノニルフェニル)ホスファイト(tris(nonylphenyl)phosphite)等があり、前記硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオナート(Dilaury thiodipropionate)及びジステアリルチオジプロピオナート(Disteary thiodipropionate)等がある。
【0013】
前記酸化防止剤は、EVA樹脂100重量部に対して、0.005〜0.1重量部を含むことが好ましいが、0.005重量部未満であれば、酸化防止効果が微々であり好ましくなく、0.1重量部を超えれば、黄変を招くか架橋速度に影響を与え好ましくない。
【0014】
本発明に使用されるUV吸収剤は、その種類には特別に限定はなく、例えばベンゾフェノン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を1種以上使用することができ、前記ベンゾフェノン系UV吸収剤の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-エン-オクチルオキシベンゾフェノン(2-hydroxy-4-N-octyloxybenzophenone)、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン(2-hydroxy-4-methoxy-benzophenone)、2,2-ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフェノン(2,2-dihydroxy-4,4-dimethoxybenzophenone)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシ-ベンゾフェノン等があり、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤の具体例としては、2-(2H-ベンゾチアゾール-2-イル)-6-(ドデシル)-4-メチルフエノール(2-(2H-benzothiazol-2-yl)-6-(dodecyl)-4-metylphenol)等がある。
【0015】
前記UV吸収剤は、EVA樹脂100重量部に対して0.1〜0.5重量部を含むことが好ましいが、0.1重量部未満であると、UV吸収効果が微々であり好ましくなく、0.5重量部を超えると、黄変を招くか経済性が劣り好ましくない。
【0016】
本発明に使用される光安定剤は、その種類には特別に限定がなく、例えばヒンダードアミン系光安定剤等を使用することができ、具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate)、ビス-(エン-オクチルオキシ-テトラメチル)ピペリジニルセバケート(bis-(N-octyloxy-tetramethyl)piperidinyl sebacate)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(bis(1,2,2,6,6-pentametyl-4-piperidyl)sebacate)及びメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(metyl(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidyl)sebacate)等を1種以上使用することができる。
【0017】
前記光安定剤は、EVA樹脂100重量部に対して、0.01〜0.3重量部を含むことが好ましいが、0.01重量部未満であると、光安定効果が微々であり好ましくなく、0.3重量部を超えると、経済性が劣り好ましくない。
【0018】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法において、前記(2)段階では、前記(1)段階で得られたEVA樹脂組成物ピレットに架橋剤、架橋助剤及びシランカップリング剤をドライブレンディングした後、架橋剤である有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練して、シートを成形する。
【0019】
又は前記(2)段階では、前記(1)段階で得られた酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤が均一に分散されたEVA樹脂組成物ペレットを、架橋剤である有機過酸化物の分解温度以下で押出機で溶融させながら架橋剤、架橋助剤及びシランカップリング剤の混合物を別途の原料供給装置を通じて、前記押出機に供給して溶融混練を行い、シートを成形することもできる。
【0020】
前記(2)段階で、有機過酸化物の分解温度より高い温度で溶融混練する場合、シート成形性が悪いか先架橋が起こり好ましくない。
【0021】
本発明で架橋剤として使用される有機過酸化物としては、例えば1時間半減期温度が130〜160℃のジアルキルパーオキサイド系架橋剤及び1時間半減期温度が100〜135℃のアルキルパーオキシエステル系架橋剤又はパーオキシケタルから選ばれる1種以上を使用することができ、前記ジアルキルパーオキサイド系架橋剤の具体例としては、2,4-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパオキシ)ヘキサン(2,5-dimethyl-2,5-bis(t-butylperoxy)hexane)等があり、アルキルパーオキシエステル系架橋剤の具体例としては、t-ブチル-2-エチルへキシルモノパーオキシカーボネート(tert-butylperoxy-2-ethylhexyl carbonate)等があり、パーオキシケタル系としては、1,1-ジ-(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(1,1-di-(t-butylperoxy)-3,3,5-trimethylcyclohexane)等がある。
【0022】
前記架橋剤として、分解温度(1時間半減期温度)が互いに異なる2種以上を併用することも可能である。
【0023】
前記架橋剤は、EVA樹脂100重量部に対し、0.3〜1.5重量部を含むことが好ましいが、0.3重量部未満であれば、架橋効果が微々であり好ましくなく、1.5重量部を超えると、経済性が劣り好ましくない。
【0024】
本発明に使用される架橋助剤は、その種類に特別に限定がなく、例えばポリアリル化合物やポリメタクリルオキシ化合物を使用することができるし、具体例としては、トリアリルイソシアヌレイト(Triallyl isocyanurate)等がある。
【0025】
前記架橋助剤は、EVA樹脂100重量部に対して、0.3〜1.5重量部を含むことが好ましいが、0.3重量部未満であると、架橋効果が微々であり好ましくなく、1.5重量部を超えると、経済性が劣り好ましくない。
【0026】
本発明に使用されるシランカップリング剤は、その種類に特別に限定がなく、例えば有機珪素化合物を使用することができ、具体例としては、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-Methacryloxypropyl trimethoxysilane)等がある。
【0027】
前記シランカップリング剤は、EVA樹脂100重量部に対し0.3〜1.5重量部を含むのが好ましいが、0.3重量部未満であると、少量であるので添加効果を表すことができないので好ましくなく、1.5重量部を超えると、経済性が劣り好ましくない。
【0028】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法において、前記成分等以外に通常的な添加剤等を必要により更に添加することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法によれば、添加剤の分散性を極大化して添加剤の使用量を最少化することができるし、これによって架橋剤の使用量も最少化するようになり、シート生産の時、黄変無しに押出量を増大することができるので、シート生産性の向上効果と残留架橋剤含量の減少で、良好な外観と黄変安定性が向上される効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、下記の実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
表1の組成の通り、添加剤が入っていないEVA樹脂(ビニルアセテート含量28重量%、溶融指数15g/10分、三星トータル製E280PV)100重量部に対して、酸化防止剤としてアデカ社のNaugard P(トリス(ノニルフェニル)ホスファイト0.05重量部、UV吸収剤としてシバ社のChimassorb 81(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシ-ベンゾフェノン)0.3重量部、UV安定剤としてシバ社のTinuvin 770(ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.1重量部を混合後、押出機に投入し、押出温度190℃で溶融混練して、ペレット状のEVA樹脂組成物を得た。
【0032】
前記で得たEXA樹脂組成物ペレット100重量部に対して、架橋剤としてアルケマ社のLuperox TBEC(t-ブチル-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネート)0.7重量部及び架橋助剤としてエボニック社のTAICROS(トリアリルイソシアヌレイト)0.5重量部、及びシランカップリング剤としてダウコニング社のOFS 6030(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシロキサン)0.5重量部を混合した後、押出機の温度を90℃、T-ダイの温度を100℃にし、シートの先速度を分当り2.5mにして、厚さ0.45mmのシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【実施例2】
【0033】
シートの先速度を分当り8.0mにしたことを除いては、実施例1と同一な方法でシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【実施例3】
【0034】
T-ダイの温度を110℃にし、シートの先速度を分当り10mにしたことを除いては、実施例1と同一な方法でシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【0035】
[比較例1]
表1の組成の通り、EVA樹脂(ビニルアセテート含量28重量%、溶融指数15g/10分、三星トータル製E280PV)100重量部に対して、酸化防止剤としてアデカ社のNaugard P(トリス(ノニルフェニル)ホスファイト)0.05重量部、UV吸収剤としてシバ社のChimassorb 81(2-ヒドロキシ-4-オキチルオキシ-ベンゾペノン)0.3重量部、UV安定剤としてシバ社のTinuvin 770(ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.1重量部、架橋剤としてアルケマ社のLuperox TBEC(t-ブチル-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネート)0.7重量部、架橋助剤としてエボニック社のTAICROS(トリアリルイソシアヌレート)0.5重量部、及びシランカップリング剤としてダウコニング社のOFS 6030(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシロキサン)0.5重量部を混合した後、押出機の温度を90℃、T-ダイの温度を100℃にし、シートの先速度を分当り6.5mにして、厚さ0.45mmのシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【0036】
[比較例2]
T-ダイの温度を110℃にし、シートの先速度を分当り10mにしたことを除いては、比較例1と同一な方法でシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【0037】
[比較例3]
Luperox TBEC(t-ブチル-2-エチルヘキシルモノパーオキシカーボネート)を1.0重量部使用したことを除いては、比較例1と同一な方法でシートを製造した後、シートの生産性及び外観を評価して、その結果を表1に示した。
【0038】
表1
(単位:重量部)
実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 比較例3
EVA樹脂 100 100 100 100 100 100
Naugard P 0.1 0.1 0.1 0.05 0.05 0.05
Chimassorb 81 0.2 0.2 0.2 0.3 0.3 0.3
Tinuvin 770 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
Luperox TBEC 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 1.0
TAICROS 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
OFS 6030 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
シート生産性(m/分) 6.5 8.0 10 6.5 10 6.5
ダイ温度(℃) 100 100 110 100 110 100
シート外観 無色 無色 無色 薄い黄色 薄い黄色 薄い黄色
【実施例4】
【0039】
低鉄分強化ガラス(200mm×200mm)の上に、前記実施例1から得たEVAシート(200mm×160mm)1枚を置き、その上にbackシート(200mm×200mm、DNP社)を置き、温度150℃で6分間真空段階を経て、その後に11分間ラミネータの上部圧力と下部圧力の差異を0.4Mpaに維持して架橋を進行して、試片を製造した。常温で冷却過程を経た後、製造された試片の内部気泡残存状態を目視で観察し、架橋された試片に対し架橋度を測定し、ハンタラッブ社のウルトラスケンプロスペクトロカロリメータ(Hunter Lab., UltraScan PRO Colorimeter)で黄変度(YI)を測定した後、恒温恒湿器(85℃、相対湿度85%)で1,000時間放置後に測定した黄変度差異(△YI)及びラミネーティングして得られた架橋されたシートの物性評価の結果を表2に示した。
【実施例5】
【0040】
前記実施例2で製造されたシートを使用したことを除いては、実施例4と同一な方法で試片を製造した後、観察、測定された黄変度及び物性評価の結果を表2に示した。
【実施例6】
【0041】
前記実施例3で製造されたシートを使用したことを除いては、実施例4と同一な方法で試片を製造した後、観察、測定された黄変度及び物性評価の結果を表2に示した。
【0042】
[比較例4]
前記比較例1で製造されたシートを使用したことを除いては、実施例4と同一な方法で試片を製造して、同一な方法で観察、測定された物性評価の結果を表2に示した。
【0043】
[比較例5]
前記比較例2で製造されたシートを使用したことを除いては、実施例4と同一な方法で試片を製造した後、観察、測定された黄変度及び物性評価の結果を表2に示した。
【0044】
[比較例6]
前記比較例3で製造されたシートを使用したことを除いては、実施例4と同一な方法で試片を製造した後、観察、測定された黄変度及び物性評価の結果を表2に示した。
【0045】
表2
実施例4 実施例5 実施例6 比較例4 比較例5 比較例6
架橋度(%) 84.5 86.0 85.1 84.7 83.2 85.2
架橋後気泡 残存有無 無し 無し 無し 無し 無し 有
初期黄変度(YI) 1.46 1.53 1.58 1.68 1.92 2.4
黄変度差異(△ YI) 3.32 3.25 3.6 6.87 8.20 8.14
【0046】
前記表1及び表2の結果に示したように、実施例1〜3は添加剤の均一な分散及び優れた黄変安定性に因り、生産性を向上させることができ、本発明の製造方法によって製造された実施例4〜6のシートでラミネーティング及び架橋を行う場合、比較例4〜6よりも優れた外観と黄変安定性を表すことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む太陽電池封止材用シートの製造方法:
(1)エチレンビニルアセテート共重合体樹脂に酸化防止剤、UV吸収剤及び光安定剤を80〜220℃で溶融混練して、樹脂組成物を得る段階;及び
(2)前記(1)段階から得たエチレンビニルアセテート共重合体樹脂組成物に架橋剤として有機過酸化物、架橋助剤及びシランカップリング剤を、有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練して、シートを成形する段階。
【請求項2】
前記(2)段階で、(1)段階で得たエチレンビニルアセテート共重合体樹脂組成物に有機過酸化物、架橋助剤及びシランカップリング剤をブレンディングした後、有機過酸化物の分解温度以下で溶融混練して、シートを成形することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項3】
前記(2)段階で、(1)段階で得たエチレンビニルアセテート共重合体樹脂組成物を押出機で有機過酸化物の分解温度以下で溶融させながら有機過酸化物 、架橋助剤及びシランカップリング剤の混合物を別途の原料供給装置を通じて前記押出機に供給して溶融混練して、シートを成形することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項4】
前記(1)段階で、エチレンビニルアセテート共重合体樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.005〜0.1重量部、UV吸収剤0.1〜0.5重量部及び光安定剤0.01〜0.3重量部を溶融混練することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項5】
エチレンビニルアセテート共重合体樹脂のビニルアセテート含量が25〜32重量%であり、溶融指数が6〜30g/10分であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項6】
前記酸化防止剤は、フノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項7】
前記UV吸収剤は、ベンゾフェノン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項8】
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項9】
前記有機過酸化物として、分解温度が異なるものを2種以上使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。

【公表番号】特表2012−525489(P2012−525489A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528762(P2012−528762)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際出願番号】PCT/KR2011/003148
【国際公開番号】WO2012/020910
【国際公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(511264799)三星TOTAL株式会社 (1)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】411−1, Dokgod−ri, Daesan−up, Seosan−shi, Chungcheongnam−do, 356−711
【Fターム(参考)】