説明

太陽電池電極用ペースト

【課題】ペーストを焼成する際に、塗膜の収縮により生じる問題を解決し、得られる電極の特性、ひいては太陽電池の特性を高めることを目的とする。
【解決手段】本発明は、太陽電池電極用の導電性ペーストに関し、結晶子径が58nm以上である第1銀粉末、この銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末、ガラスフリット、および樹脂バインダーを含む。上記の導電性ペーストにおいて、(1)第1銀粉末は、アトマイズ法により作製された銀であること、(2)第1銀粉末の収縮開始温度が700℃以上であること、(3)第1銀粉末の含有量は、銀の総重量に基づいて10〜70wt%であること、(4)第1銀粉末の結晶子径は58〜90nmであり、第2銀粉末の結晶子径は30〜58nmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用ペーストに関する。より詳しくは、太陽電池における電極の製造に用いられるペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用電極を作製する際には、反射防止膜が形成された側に、電極が形成される。電極の製造方法としては、銀粉末などの導電性粉末、ガラスフリット、樹脂バインダー、および必要に応じて添加剤を含むペーストを、反射防止層上に塗布して焼成する手法が一般的である。
【0003】
太陽電池における発電特性を高めるためには、電極の特性が重要である。例えば、電極の抵抗値を低めることによって、発電効率が高まる。この目的を達成するために、種々の手法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2005−243500号公報)には、充分な導通性を有する電極を作製する技術が開示されている。具体的には、有機バインダーと、溶剤と、ガラスフリットと、導電性粉末と、Ti、Bi、Zn、Y、In及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属又はその金属化合物とを含んでなる導電性ペーストにおいて、金属又はその金属化合物は、その平均粒径が0.001μm以上0.1μm未満であり、半導体との高い導通性と優れた接着性を与えることができる導電性ペーストが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−243500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ペーストを焼成する際に、塗膜の収縮により、接触抵抗が増大する問題や、マイクロクラックが発生する問題があった。これらの問題は、太陽電池の特性にも悪影響を及ぼしうる。例えば、太陽電池の面内均一性が低下する問題や、太陽電池の変換効率が低下する問題が生じうる。
【0007】
本発明は、ペーストの焼成時に生じるこれらの問題を解決し、得られる電極の特性、ひいては太陽電池の特性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、太陽電池電極用の導電性ペーストに関し、結晶子径が58nm以上である第1銀粉末、この銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末、ガラスフリット、および樹脂バインダーを含む。
【0009】
上記の導電性ペーストにおいて、第1銀粉末は以下の特性を有することが好ましい。(1)第1銀粉末は、アトマイズ法により作製された銀であることが好ましい。(2)第1銀粉末の収縮開始温度が700℃以上であることが好ましい。(3)第1銀粉末の含有量は、銀の総重量に基づいて10〜70wt%であることが好ましい。(4)第1銀粉末の結晶子径は58〜90nmであり、第2銀粉末の結晶子径は30〜58nmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
接触抵抗の増大やマイクロクラックの発生が抑制される。これにより、得られる太陽電池の特性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
導電性粉末としてペースト中に含まれる銀として、特定の結晶子径を有する銀を用いることによって、接触抵抗の増大やマイクロクラックの発生を抑制することが可能であることが見出された。本発明は、かような知見に基づく。
【0012】
本発明は、結晶子径が58nm以上である第1銀粉末と、この銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末、ガラスフリット、および樹脂バインダーを含む、太陽電池電極用導電性ペーストに関する。
【0013】
本発明の導電性ペーストは、太陽電池セルの表側電極の形成に用いられるものである。
【0014】
以下に本発明の導電性ペーストの各成分について説明する。
【0015】
1.導電性金属
本発明の導電性ペーストで使用できる導電性金属として、銀(Ag)粒子を挙げることができ、これが好ましい。
【0016】
本発明の銀粒子は、所定範囲の結晶子径を有するものである。結晶子径の異なる2種類の銀粒子を導電性金属として用いることが最も好ましい。
【0017】
本明細書において結晶子径とは、Ag粉末のX線回折測定において、Agの111反射のピーク(2θ:約38.1°付近のピーク)の半値幅から下式(Scherrerの式)によって計算される値である。結晶子径が大きいほど結晶性がよいと推定される。
D=K・λ/βcosθ
但し、D:結晶子径
λ:測定X線波長
β:半値幅(ラジアン)
θ:回折角
K:Scherrer定数(0.9)
【0018】
本発明で規定される結晶子径は、λ(測定X線波長)として、Cu=1.54056Åを用いた場合の値である。結晶子径の測定装置については特に限定されず、市販の装置を用いることができる。本願においては、測定装置によって結晶子径に有意差が生じる場合には、マックサイエンス社製、X線回折装置、MXP18VAHFで測定された値を採用する。
【0019】
銀粒子には、結晶子径が58nm以上の第1銀粉末と、この第1銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末を用いる。第1銀粉末の結晶子径は58〜90nmであることが好ましく、前記第2銀粉末の結晶子径は30〜58nm、好ましくは35〜50nm、より好ましくは40〜45nmである。これらの範囲の結晶子径を有する銀粉末を組み合わせて使用することで、焼成後に得られる銀電極の接触抵抗の増大やマイクロクラックの発生が抑制できる。
【0020】
第1銀粉末の含有量は、銀の総重量に基づいて10〜70wt%であることが好ましい。より好ましくは、20〜55重量%、さらに好ましくは25〜45重量%である。第1銀粉末のような結晶子径の大きな銀粒子は、結晶抑制効果が高いと考えられる。一方で、高い導電率を得るためには、焼結性を高めて低抵抗の導体を得ることが好ましい。これらのバランスをとる上で、上記範囲が好ましいと考えられる。つまり、第1銀粉末が少なすぎると焼結過剰になり、第1銀粉末が多すぎると焼結不足になるおそれがある。第1銀粉末と第2銀粉末を合わせた総含有量は、導電性ペーストの重量に基づいて60〜90重量%であることが好ましい。
【0021】
第1銀粉末は収縮開始温度(焼結開始温度とも称する)が700℃以上であることが好ましい。低温で焼結が開始してしまう場合、収縮により過剰な残留応力が発生して、発電特性が低下するおそれがある。
【0022】
銀粒子はアトマイズ法によって形成されることが好ましい。アトマイズ法により銀粒子を形成することで、本発明の特定の範囲の結晶子径を有する銀粒子を効率よく得ることができる。
【0023】
銀粒子の粒径は、一般的な導電性ペーストとして使用される場合、技術的な効果の見地からは、特に限定されないが、粒径は銀の焼結特性に影響を与える(例えば、粒径の大きな銀粒子は粒径の小さな銀粒子よりもゆっくりした速度で焼結される。)ので、本発明の目的のためには、特定の粒径を有することが好ましい。更に、銀粒子は導電性ペーストを塗布するための方法(例えばスクリーン印刷)に適した粒径を有することも必要である。
【0024】
上記の要件を満たすために、本発明の銀粒子は、平均粒径で0.1〜14μm、好ましくは1.0〜8.0μmである。このような粒径を有する銀粒子を用いることで、導電性ペーストの塗布に適するペーストを形成できる。より具体的には、第1銀粉末の平均粒径は、好ましくは3.5〜14.0μm、より好ましくは4.0〜10.0μm、さらに好ましくは4.5〜8.0μmである。第2銀粉末の平均粒径は、好ましくは0.1〜3.5μm、より好ましくは0.5〜3.0μm、さらに好ましくは1.0〜2.5μmである。平均粒径は、例えば、株式会社堀場製作所社製、LA−920による測定値で、平均粒径(50%点)として算出される。
【0025】
銀は通常高純度(99+%)であることが好ましい。しかし、電極パターンの電気的な要求により、純度の低い物質も使用することができる。
【0026】
2.ガラスフリット
本発明の導電性ペーストは、無機バインダーとしてのガラスフリットを含むことが好ましい。本発明で使用可能なガラスバインダーは、導電性ペーストが600〜800℃で焼成され、適切に焼結および湿潤され、更に適切にシリコン基体へ接着が行われるように、450〜550℃の軟化点を有するガラスフリットである。軟化点が450℃よりも低いと焼結が進んで、本発明の効果を十分に得ることができないことがある。一方、軟化点が550℃よりも高いと、焼成時に十分な溶融流動が起こらないため、十分な接着強度が発現せず、かつ銀の液相焼結を促すこともできない場合がある。
【0027】
ここで、「軟化点」とは、ASTM C338−57の繊維伸び法(fiber elongation method)により得られる軟化点である。
【0028】
ガラスフリットの化学組成は本発明では重要ではないので、電子材料用の導電性ペーストに用いられるガラスフリットであれば使用することができる。例えば、鉛ボロシリケートガラスなどを好適に使用できる。鉛シリケートガラスおよび鉛ボロシリケートガラスは、軟化点の範囲およびガラス溶着性の両方の見地から、本発明において優れた材料である。加えて、ジンクボロシリケート等の無鉛ガラスも使用することができる。
【0029】
ガラスフリットの含有量は、本発明の目的を達成できる量であれば特に限定されないが、導電性ペーストの重量に基づいて0.5〜10.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。
【0030】
ガラスフリットの量が0.5重量%よりも少ないと、接着強度が不十分となる場合がある。ガラスフリットの量が10.0重量%を超えると、ガラス浮きなどにより、後の工程であるはんだ付けに支障をきたす場合がある。
【0031】
3.樹脂バインダー
本発明の導電性ペーストは、樹脂バインダーを含む。本明細書において「樹脂バインダー」は、ポリマーとシンナーの混合物を含む概念である。従って、樹脂バインダー中には、有機液体(シンナーとも称される)が含まれていてもよい。本発明では、有機液体が含まれている樹脂バインダーが好ましく、粘度が高い場合に、必要に応じて別途、有機液体を粘度調整剤として追加することができる。
【0032】
本発明では、任意の樹脂バインダーを使用することができる。本発明では、樹脂(ポリメタクリレートなど)またはエチルセルロースの、パイン油溶液またはエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート溶液、エチルセルロースのテルピネオール溶液などを挙げることができる。本発明では、エチルセルロースのテルピネオール溶液(エチルセルロース含量=5重量%〜50重量%)を使用することが好ましい。なお、本発明では、ポリマーを含まない溶媒、例えば水または有機液体を粘度調節剤として使用することができる。使用しうる有機液体には、例えば、アルコール;アルコールのエステル(例えばアセテートまたはプロピオネート);テルペン(例えばパイン油、テルピネオールなど)を挙げることができる。
【0033】
樹脂バインダーの含有量は、好ましくは、導電性ペーストの重量に基づいて5〜50重量%である。
【0034】
4.添加剤
本発明の導電性ペーストには、濃化剤(シックナー)および/または安定化剤および/またはその他の一般的添加剤を加えてもよいし、または加えなくてもよい。添加剤を加える場合、増粘剤(濃化剤)、安定化剤などを添加することができる。あるいは、その他の一般的な添加剤として、分散剤、粘度調整剤などを添加することもできる。添加剤の量は、最終的に求められる導電性ペーストの特性に依存して決定される。添加剤の量は当業者によって適宜決定することができる。なお、添加剤は複数種類を添加してもよい。
【0035】
本発明の導電性ペーストは、以下に説明するように、所定範囲の粘度を有することが好ましい。導電性ペーストに適切な粘度を粘度を付与するために、必要に応じて増粘剤(濃化剤)を添加することができる。増粘剤の例としては、例えば、上述したものを挙げることができる。増粘剤などの添加量は最終的な導電性ペーストの粘度に依存して変化するが、当業者により適宜決定することができる。
【0036】
本発明の導電性ペーストは、上述の各成分を三本ロール練り機で混合することにより都合よく製造される。本発明の導電性ペーストは、好ましくはスクリーン印刷で太陽電池の裏面の所望の部位に塗布されるが、このような印刷で塗布される場合、所定の範囲の粘度を有することが好ましい。本発明の導電性ペーストの粘度は、ブルックフィールドHBT粘度計で#14スピンドルを用い、ユーティリティカップを使用して、10rpmおよび25℃で測定した場合に、50〜300PaSであることが好ましい。
【0037】
上述したように、本発明の導電性を有するペーストは、太陽電池の受光面側における銀を主成分とする電極を形成するために用いられる。すなわち、本発明のペーストは、太陽電池セルの受光面側に印刷して乾燥される。別途、太陽電池セルの裏面側にも、アルミや銀などからなる裏面電極が形成される。これらの電極は、同時に焼成されることが好ましい。
【0038】
以下に、本発明の導電性ペーストを使用して太陽電池セルを作成する例を、図1を参照して説明する。
【0039】
まず、Si基板102を準備する。この基板の裏面側に、半田接続用の導電性ペースト104をスクリーン印刷により塗布し、乾燥する(図1(a))。この導電性ペーストは、従来のもの、例えば、銀粒子、ガラス粒子、および樹脂バインダーを含む銀導電性ペーストを用いることができる。次に、太陽電池用裏面電極用アルミペースト(太陽電池用であれば特に限定されないが、例えばPV333、PV322(本件特許出願人)106などをスクリーン印刷などにより塗布し、乾燥する(図1(b))。各ペーストの乾燥温度は、180℃以下であることが好ましい。また、裏面の各電極の膜厚は、乾燥後膜厚で、アルミペーストが20〜40μm、銀導電性ペーストが15〜30μmであることが好ましい。また、アルミペーストと銀導電性ペーストの重なり部分は、約0.5mm〜約2.5mmであることが好ましい。
【0040】
次に、Si基板の受光側表面(表面)上に、本発明による導電性ペースト108をスクリーン印刷などにより塗布し、乾燥する(図1(c))。得られた基板を、赤外線焼成炉で例えば約600℃〜約900℃の温度で、約2〜15分アルミペーストと銀導電性ペーストを同時焼成し、目的の太陽電池セルを得ることができる(図1(d))。
【0041】
本発明の導電性ペーストを用いて得られる太陽電池セルは、図1(d)に示されるように、基板(例えばSi基板)102の受光面(表面)側に本発明の導電性ペーストから形成された電極110を有し、裏面側にAlを主成分とするAl電極(第1電極)112およびAgを主成分とする銀電極(第2電極)114を有する。
【実施例】
【0042】
1.導電性ペーストの調製
(実施例1)
結晶子径59.8nmの第1銀粉末、および結晶子径43.5nmの第2銀粉末、Si・B・Pb・O系ガラスフリット、および焼結補助材料を含む混合物を準備した。この混合物に、樹脂バインダーとして、エチルセルロースを20wt%含むテルピネオール溶液を加えた。さらに、粘度を調整するために、シンナーとしてテルピネオールを加えた。各成分の含有量は、表1に示すとおりである。すなわち、結晶子径が58nm以上である第1銀粉末が8.4wt%、結晶子径が43.5nmである第2銀粉末が75.6wt%、ガラスフリットが1.6wt%、樹脂バインダーが10.0wt%、粘度調整のために加えられたテルピネオールが0.9wt%、および焼結補助材料が3.5質量%である。
【0043】
この混合物を万能混合機で予備混合した後、三本ロール混練機で混練し、太陽電池電極用ペーストを得た。使用した材料の粒径、含有量、特徴などは表1に示した。
【0044】
(実施例2、比較例1〜2)
使用する銀粉末の種類および使用量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池電極用ペーストを得た。
【0045】
【表1】

【0046】
2.太陽電池セルの作製
得られた4種類のペーストを用いて、太陽電池セルを作製した。まず、Si基板を準備した。このSi基板の裏面側に、半田接続用の導電性ペースト(銀ペースト)をスクリーン印刷により塗布し、乾燥した。次いで、乾燥した銀ペーストと一部重なるように裏面電極用アルミペースト(PV333(本件特許出願人による)をスクリーン印刷により塗布し、乾燥した。各ペーストの乾燥温度は、120℃とした。また、裏面の各電極の膜厚は、乾燥後膜厚で、アルミペーストが35μm、銀ペーストが20μmとなるように塗布した。
【0047】
さらに本発明のペーストを、受光側表面(表面)上にスクリーン印刷により塗布し、乾燥した。印刷機はプライス社製、マスクは8インチ×10インチフレームのステンレスワイヤー250メッシュのものを使用した。パターンは100ミクロン幅のフィンガーラインと2mm幅のバスバーで構成される1.5インチ角の評価用パターンであり、膜厚は焼成後で13μmとした。
【0048】
次に、得られた基板を、赤外線焼成炉でピーク温度約730℃で、IN−OUT約5分の条件で、塗布されたペーストを同時焼成し、目的の太陽電池セルを得た。
【0049】
本発明の導電性ペーストを用いて得られる太陽電池セルは、図1に示されるように、基板(例えばSi基板)102の受光面(表面)側にAg電極110を有し、裏面側にAlを主成分とするAl電極(第1電極)112およびAgを主成分とする銀電極(第2電極)114を有する。
【0050】
3.セルの評価
得られた太陽電池セル基板の電気特性(I−V特性)の評価をセルテスターによりおこなった。セルテスターはNPC社製の機器(NCT−M−150AA)を使用した。
得られる特性値は、Eff:変換効率(%)、FF:フィルファクター(%)、Voc:開放電圧(mV)、Jsc:短絡電流(mA・cm2)、Rs:直列抵抗(Ω・cm)、Rsh:シャント抵抗(Ω・cm)である。Rs以外の特性値は高いほうが太陽電池としての発電性能に優れる。結果を表2に示す。表2に示す各電気特性の数値は、5枚の太陽電池セル基板サンプルの測定値の平均であり、比較例1の各数値を100.0とした場合の相対値である。
【0051】
【表2】

【0052】
上記示したように、本発明で規定する所定の結晶子径を有する2種類の銀粉末を併用することによって、得られる太陽電池の特性が向上する。
【0053】
(実施例3)
銀粉末中の第1銀粉末の適正含有量を見積もるための試験を行った。第1銀粉末(A)として結晶子径59.8nm(収縮開始温度740℃)を用い、第2銀粉末(B)として結晶子径43.5nm(収縮開始温度670℃)を用いた。第1銀粉末と第2銀粉末の組成比を下記表4のように変化させ、実施例1および2と同様の手順で導電性ペーストおよび太陽電池セル基板を調製した。得られた太陽電池の変換効率(Eff)を測定した。結果を表3にあわせて示した。また、表3の結果を図2にグラフで表した。
【0054】
【表3】

【0055】
上記の結果から、第1銀粉末の適正含有量は、銀の総重量に基づいて10〜70重量%であると見積もることができた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、太陽電池に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の導電性ペーストを使用して太陽電池セルを製造する際の製造工程を説明するための図である。
【図2】第1銀粉末および第2銀粉末の最適含有量を見積もるために、これらの含量を変化させた場合の太陽電池の電気特性を測定したときのグラフである。
【符号の説明】
【0058】
102 Si基板
102 裏面Ag電極用導電性ペースト組成物
106 裏面Al電極用ペースト組成物
108 受光面側電極用導電性ペースト組成物
110 受光面側Ag電極
112 裏面Al電極
114 裏面Ag電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶子径が58nm以上である第1銀粉末、
前記銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末、
ガラスフリット、および
樹脂バインダー
を含む、太陽電池電極用ペースト。
【請求項2】
前記第1銀粉末は、アトマイズ法により作製された銀である、請求項1に記載のペースト。
【請求項3】
前記第1銀粉末の収縮開始温度が700℃以上である、請求項1に記載のペースト。
【請求項4】
前記第1銀粉末の含有量は、銀の総重量に基づいて10〜70wt%である、請求項1に記載のペースト。
【請求項5】
前記第1銀粉末の結晶子径は58〜90nmであり、前記第2銀粉末の結晶子径は30〜58nmである、請求項1に記載のペースト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−194581(P2007−194581A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209802(P2006−209802)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】